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2025年04月20日
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【は虫類が大嫌いなツンデレ】
2010年05月10日
「かなみ、帰りにペットショップに寄らないか? ドッグフードが残り少ないんだ」
「なに? アンタドッグフードなんて食うの?」
「そんなわけないだろう。愛犬『ネコ』の主食だ」
「犬なのにネコ!? ていうか、それ名前!?」
「で、どうだ? 俺としてはかなみと一緒に行きたいのだが」
「う……し、仕方ないわね。行ってあげるわよっ」
「感謝する」
「そ、そんなことくらいで感謝しないでよっ。あたしが冷たいみたいじゃない」
「そうじゃない。かなみと少しでも一緒にいられることに感謝しただけだ」
「うっ……そ、そういうことを平然と言うなっ!」
真っ赤なかなみから平手を受けたものの、約束は取り付けた。
放課後、俺はかなみと一緒にペットショップのドアをくぐった。
「いらっしゃいませ~♪」
可愛らしい店員さんがにこやかに俺達を迎えいれる。俺は早速いつも買ってる銘柄のドッグフードがあるか訊ねた。
「タカシ、あたしちょっとペット見てくるね」
うなずきで返事し、店員と会話を再開する。幸運なことに、目的の品はセール中だったので大量に買う。
用は済んだので、かなみを探す。狭い店内だったので、すぐ見つかった。だが、様子がおかしい。
顔色は青白く、体はかすかに震えている。そして、視線はまっすぐ──ケージの中のイグアナに向けられていた。
「かなみ、どうした? 顔色が優れないようだが」
「あ、う、ううん、なんでもない」
「なんでもない、というには少々無理があるように思えるが……ああ、そうか」
「な、なによ!」
「便意を催したのだろう? トイレならそこの通路をまっすぐ突き当たった先に」
殴られた。
「違うわよ! デリカシーないわね!」
「ふむ……なら、そこのは虫類が怖いのか?」
「なっ、なんであたしがこんな恐竜の赤ちゃんを怖がらなくちゃいけないのよっ!」
「なんでと言われても、そのようにしか見えないから、としか言いようがない」
「うっ……」
かなみは一瞬狼狽したあと、敢然と言い返してきた。
「怖くなんかないわよ! ただ、ちょっとあの表面のぬめっとしたところとか、何考えてるか分かんない目とかが嫌なだけよ!」
「なるほど、そういった箇所が苦手なのか」
「こ、怖くないのよ? ホントよ?」
「俺としては怖がって欲しいがな。そうすれば、かなみを抱きしめて安心させるという大義名分ができるのだから」
「……アンタね」
「なんだ?」
「……馬鹿でしょ?」
「……賢くなろうと努力はしてるんだが、これがなかなか」
情けなくて軽く頭を掻こうと持ち上げた手を、かなみが無理やり握った。
「……でも、正直な分マシな馬鹿ね」
聞こえないくらい小さな声で、そう言った。
「そういう、かなみの優しいところが好きなんだ。俺は」
「だっ、誰も優しくなんてないわよっ! 変なこと言うな、ばかっ!」
かなみの顔が目に見えて赤く染まっていく。
「仲が良いわねぇ、学生さん」
笑顔を向ける店員さんに、俺は笑顔で言った。
「最高のバカップルですから」
「誰がバカップルかっ!」
照れ隠しのキックを受けて棚に激突しながらも、俺は笑顔のままだった。
「なに? アンタドッグフードなんて食うの?」
「そんなわけないだろう。愛犬『ネコ』の主食だ」
「犬なのにネコ!? ていうか、それ名前!?」
「で、どうだ? 俺としてはかなみと一緒に行きたいのだが」
「う……し、仕方ないわね。行ってあげるわよっ」
「感謝する」
「そ、そんなことくらいで感謝しないでよっ。あたしが冷たいみたいじゃない」
「そうじゃない。かなみと少しでも一緒にいられることに感謝しただけだ」
「うっ……そ、そういうことを平然と言うなっ!」
真っ赤なかなみから平手を受けたものの、約束は取り付けた。
放課後、俺はかなみと一緒にペットショップのドアをくぐった。
「いらっしゃいませ~♪」
可愛らしい店員さんがにこやかに俺達を迎えいれる。俺は早速いつも買ってる銘柄のドッグフードがあるか訊ねた。
「タカシ、あたしちょっとペット見てくるね」
うなずきで返事し、店員と会話を再開する。幸運なことに、目的の品はセール中だったので大量に買う。
用は済んだので、かなみを探す。狭い店内だったので、すぐ見つかった。だが、様子がおかしい。
顔色は青白く、体はかすかに震えている。そして、視線はまっすぐ──ケージの中のイグアナに向けられていた。
「かなみ、どうした? 顔色が優れないようだが」
「あ、う、ううん、なんでもない」
「なんでもない、というには少々無理があるように思えるが……ああ、そうか」
「な、なによ!」
「便意を催したのだろう? トイレならそこの通路をまっすぐ突き当たった先に」
殴られた。
「違うわよ! デリカシーないわね!」
「ふむ……なら、そこのは虫類が怖いのか?」
「なっ、なんであたしがこんな恐竜の赤ちゃんを怖がらなくちゃいけないのよっ!」
「なんでと言われても、そのようにしか見えないから、としか言いようがない」
「うっ……」
かなみは一瞬狼狽したあと、敢然と言い返してきた。
「怖くなんかないわよ! ただ、ちょっとあの表面のぬめっとしたところとか、何考えてるか分かんない目とかが嫌なだけよ!」
「なるほど、そういった箇所が苦手なのか」
「こ、怖くないのよ? ホントよ?」
「俺としては怖がって欲しいがな。そうすれば、かなみを抱きしめて安心させるという大義名分ができるのだから」
「……アンタね」
「なんだ?」
「……馬鹿でしょ?」
「……賢くなろうと努力はしてるんだが、これがなかなか」
情けなくて軽く頭を掻こうと持ち上げた手を、かなみが無理やり握った。
「……でも、正直な分マシな馬鹿ね」
聞こえないくらい小さな声で、そう言った。
「そういう、かなみの優しいところが好きなんだ。俺は」
「だっ、誰も優しくなんてないわよっ! 変なこと言うな、ばかっ!」
かなみの顔が目に見えて赤く染まっていく。
「仲が良いわねぇ、学生さん」
笑顔を向ける店員さんに、俺は笑顔で言った。
「最高のバカップルですから」
「誰がバカップルかっ!」
照れ隠しのキックを受けて棚に激突しながらも、俺は笑顔のままだった。
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【タカシに恥ずかしい質問をして、ちゃんと答えないとエロDVDを一枚ずつ叩き割るツンデレ】
2010年05月08日
散歩してたら薄着の小学生がいたので、思わずもよおし、家に帰りお気に入りのエロDVDで抜こうとしたら、携帯が鳴った。
「あ、あたしだけど、アンタ今暇よね?」
「超忙しい」
「暇ね? 今からそっち行くから」
そう断言して、一方的に切られた。暇なんて一言も言ってない。
まあ来るなら仕方ない、エロDVDを元の場所にしまって、ちんこもしまって、と。ぼやぼやしてたら、かなみがやってきた。
「早速だけど、あんた童貞?」
「ぶっ!」
いきなり何を言うか、この娘さんは。
「なななんでそんなことおまえに言わなくちゃいけないんだよ!」
「……えーと、この辺かな」
「おい、ちょっと」
かなみは俺の質問に答えることなく、本棚の奥をごそごそ探り出した。……ってそこはエロDVDの隠し場所!
「見っけた。……うわ、ロリものが束で。つくづく変態ねぇ」
「う、うっせい! つーかなんで隠し場所分かったんだよ! なに探り当ててんだよ!」
「いーからさっきの質問に答えなさい。答えないと」
かなみは手に持ったDVDを叩き割った。
「あああああ!」
「こんなふうに割るから。じゃ、答えて」
「な、なんでこんなことに……」
「もう一枚いく?」
「えっとですね! その! なんちうか!」
「……遅い」
かなみは別のDVDを叩き割った。
「うあああああ! それはお気に入りの『悶絶わななき少女』! なんつーことを!」
「わななかないでいいから、とっとと答える」
半分になってしまったわななき少女を胸に抱き、嗚咽する。
「俺の……ひっく、俺の、わななき少女が……。こんなこと、たとえ神が許しても俺が許さなええとですね!」
すでにかなみが別のDVDを持ってスタンバっていたので慌てる。
「ええと?」
「……ど、童貞……です」
なんという屈辱だろう。暴力に負けた。
「……そっか。童貞かぁ」
「な、なんだよぅ! 童貞を馬鹿にすんな!」
「あー違う違う。馬鹿にしたんじゃなくて、その」
「その?」
「……まーいいじゃんそんなの。あはははは!」
かなみが笑いながら手に持ったDVDを叩き割った。
「ああああああ! 割った! かなみが俺の『淫虐少女・悶え泣く』を割った!」
「じゃね。また明日学校で♪」
なんか知らんが上機嫌に去っていくかなみとは裏腹に、俺は深い悲しみに包まれていた。
「……悪夢だ」
割られてしまったDVDを胸に抱き、俺は泣いた。
(そっかぁ、タカシってまだ童貞なんだ。てっきりちなみと済ましちゃったと思ってたけど……よかったぁ)
かなみはスキップしながら家に帰った。
「あ、あたしだけど、アンタ今暇よね?」
「超忙しい」
「暇ね? 今からそっち行くから」
そう断言して、一方的に切られた。暇なんて一言も言ってない。
まあ来るなら仕方ない、エロDVDを元の場所にしまって、ちんこもしまって、と。ぼやぼやしてたら、かなみがやってきた。
「早速だけど、あんた童貞?」
「ぶっ!」
いきなり何を言うか、この娘さんは。
「なななんでそんなことおまえに言わなくちゃいけないんだよ!」
「……えーと、この辺かな」
「おい、ちょっと」
かなみは俺の質問に答えることなく、本棚の奥をごそごそ探り出した。……ってそこはエロDVDの隠し場所!
「見っけた。……うわ、ロリものが束で。つくづく変態ねぇ」
「う、うっせい! つーかなんで隠し場所分かったんだよ! なに探り当ててんだよ!」
「いーからさっきの質問に答えなさい。答えないと」
かなみは手に持ったDVDを叩き割った。
「あああああ!」
「こんなふうに割るから。じゃ、答えて」
「な、なんでこんなことに……」
「もう一枚いく?」
「えっとですね! その! なんちうか!」
「……遅い」
かなみは別のDVDを叩き割った。
「うあああああ! それはお気に入りの『悶絶わななき少女』! なんつーことを!」
「わななかないでいいから、とっとと答える」
半分になってしまったわななき少女を胸に抱き、嗚咽する。
「俺の……ひっく、俺の、わななき少女が……。こんなこと、たとえ神が許しても俺が許さなええとですね!」
すでにかなみが別のDVDを持ってスタンバっていたので慌てる。
「ええと?」
「……ど、童貞……です」
なんという屈辱だろう。暴力に負けた。
「……そっか。童貞かぁ」
「な、なんだよぅ! 童貞を馬鹿にすんな!」
「あー違う違う。馬鹿にしたんじゃなくて、その」
「その?」
「……まーいいじゃんそんなの。あはははは!」
かなみが笑いながら手に持ったDVDを叩き割った。
「ああああああ! 割った! かなみが俺の『淫虐少女・悶え泣く』を割った!」
「じゃね。また明日学校で♪」
なんか知らんが上機嫌に去っていくかなみとは裏腹に、俺は深い悲しみに包まれていた。
「……悪夢だ」
割られてしまったDVDを胸に抱き、俺は泣いた。
(そっかぁ、タカシってまだ童貞なんだ。てっきりちなみと済ましちゃったと思ってたけど……よかったぁ)
かなみはスキップしながら家に帰った。
【昼寝とツンデレ】
2010年05月07日
天気がいいので、かなみと共に学校の中庭で昼食を摂る。昨日夜更かししたのと腹が膨れたのとで、非常に眠い。
「眠そうね、タカシ」
「んー……眠い。その通り、眠い。あと、眠い」
「本当に眠いのね……頭回ってないもん。いっつも回ってないけど」
かなみに酷いこと言われてるような気がするが、眠くてよく分からない。
「眠いので、寝たい気持ち」
「少し寝たら? チャイム鳴ったらさしものアンタでも気づくでしょ」
「んー……膝枕してくれるなら寝てやってもいい」
「な、なななんでアンタなんかに膝枕しなくちゃならないのよ!」
「枕が変わると寝れないんだ」
「じゃああたしが膝枕しても一緒じゃないの!」
「ぐー……」
「ちょ、誰もやってあげるなんて言ってないのに頭載せないでよ!」
なんか言ってるけど眠いので分からない。それにしてもこの枕は柔らかくて気持ちいい。こんな枕買ったっけ?
「こっ、こらっ、太もも触るなっ!」
殴られたような。頭がズキズキする。
「……もうっ、馬鹿なんだから」
殴られた場所を優しく撫でられているような感触。心地よさに包まれ、俺はそのまま深く眠りに就いた。
「……ん~、よく寝た」
たっぷり眠って、気分爽快。枕も柔らかくて……おや、なんだこのぷにぷに感は。そして、なぜ俺の顔を覗き込むような姿勢でかなみは寝てるんだ。
寝起きの回らない頭をなんとか回転させて、とりあえず腕時計を見る。……5時限目始まってる。
「かなみ、起きろ! 授業始まってる!」
しかし、かなみは幸せそうにむにむにと口を動かすだけで一向に目を覚まさない。
「…………」
なんだか、起こすのが忍びないな。いいか、ちっとくらいサボっても。
俺は起こしていた頭を再びかなみの太ももに乗せ、心地よいまどろみに落ちていった。
「眠そうね、タカシ」
「んー……眠い。その通り、眠い。あと、眠い」
「本当に眠いのね……頭回ってないもん。いっつも回ってないけど」
かなみに酷いこと言われてるような気がするが、眠くてよく分からない。
「眠いので、寝たい気持ち」
「少し寝たら? チャイム鳴ったらさしものアンタでも気づくでしょ」
「んー……膝枕してくれるなら寝てやってもいい」
「な、なななんでアンタなんかに膝枕しなくちゃならないのよ!」
「枕が変わると寝れないんだ」
「じゃああたしが膝枕しても一緒じゃないの!」
「ぐー……」
「ちょ、誰もやってあげるなんて言ってないのに頭載せないでよ!」
なんか言ってるけど眠いので分からない。それにしてもこの枕は柔らかくて気持ちいい。こんな枕買ったっけ?
「こっ、こらっ、太もも触るなっ!」
殴られたような。頭がズキズキする。
「……もうっ、馬鹿なんだから」
殴られた場所を優しく撫でられているような感触。心地よさに包まれ、俺はそのまま深く眠りに就いた。
「……ん~、よく寝た」
たっぷり眠って、気分爽快。枕も柔らかくて……おや、なんだこのぷにぷに感は。そして、なぜ俺の顔を覗き込むような姿勢でかなみは寝てるんだ。
寝起きの回らない頭をなんとか回転させて、とりあえず腕時計を見る。……5時限目始まってる。
「かなみ、起きろ! 授業始まってる!」
しかし、かなみは幸せそうにむにむにと口を動かすだけで一向に目を覚まさない。
「…………」
なんだか、起こすのが忍びないな。いいか、ちっとくらいサボっても。
俺は起こしていた頭を再びかなみの太ももに乗せ、心地よいまどろみに落ちていった。
【ツンデレと初詣】
2010年05月05日
正月。かなみが晴れ着でやってきて初詣に行こうとうるさい。うるさいので無視してたらロープでぐるぐる巻きにされ、無理やり連れ出された。
「ほら、アンタもお賽銭入れなさいよ」
「手が出ません」
晴れ着の群れの中にロープ男がいるのは大変珍しいのだろう、皆が俺をじろじろ見てて非常に辛い。
「ほら、口でやりなさい」
かなみが5円玉を俺の口に咥えさせた。俺を何だと思ってるんだこの娘さんは。
仕方ないので口で咥え、ぷっと空中に吐き出し、器用に回転させて賽銭箱に入れると拍手が舞い起こった。お辞儀するとおひねりが飛んできた。
「かなみ、拾って拾って」
「いらんことすんな!」
かなみは俺を殴ると、人気の少ない場所へ俺を引っ張って縄を解いた。
「やれやれ、恥ずかしかった」
「……アンタ、なんでパジャマなの?」
それは俺がパジャマなのに有無を言わさず縄でぐるぐる巻きにする人がいるからです。
「……なんでこんな奴と来ちゃったのかな、あたし」
軽く頭を押さえるかなみに、無理やり連れてきたのはお前だろと言いたいけど言えない。殴られるから。
「……まーいーや。ほら、おみくじしよ」
かなみに手を引かれ、おみくじ売り場へ。そこでは、巫女さんが売り子をしていた。
「巫女は処女しかなれないと聞きましたが本当ですか? 仮にそうなら処女検査があるのですか?」
「いきなり何聞いてんのよアンタはッ!」
巫女さんに質問したらかなみに蹴り飛ばされた。
「ったく、馬鹿。……そこの馬鹿の分も一緒にください」
かなみは俺の分もおみくじを買ってくれた。渡された紙切れを開く。大吉だった。続けて書いてある一文に目を通す。
『かなりのラッキーガイです。しかし、賽銭をたんまりくれるとさらなる幸運が!』
この神社、頭おかしい。
嫌な一文から目をそむけかなみを見ると、明らかに落胆していた。
「まさか大凶?」
こくりと頷き俺に紙切れを渡す。恐る恐る文を読む。
『最悪です。超B・A・D! しかし、賽銭をたんまりくれると幸運が!』
この神社、頭おかしい。
どうしたもんかとかなみを見ると、ゆっくり賽銭箱のほうに向かっている。
「おまっ、あんな馬鹿な文句に騙されるなよ!」
「離して! あたしは幸運が欲しいのよ!」
かなみを羽交い絞めするが、思わぬ抵抗に遭う。
「俺のおみくじと交換してやるから! 大吉だぞ!」
「……いいの?」
ぴたりと抵抗をやめ、かなみは期待に満ちた目で俺を見つめた。
「構わん。元よりそういうのあんま気にしな」
最後まで言う前におみくじを引っ手繰られた。
「おまえなぁ、もうちょっと……」
「やった! アンタみたいなのでも、たまには役に立つわね♪」
文句言おうと思ったけど、かなみのお日様のような笑顔を見てしまってはその気も失せてしまう。
「ほら、木に結ぼ! アンタの大凶、ここで落としていかないとね!」
ひらひらとおみくじを振るかなみに、俺は軽く嘆息して着いていくのだった。
「ほら、アンタもお賽銭入れなさいよ」
「手が出ません」
晴れ着の群れの中にロープ男がいるのは大変珍しいのだろう、皆が俺をじろじろ見てて非常に辛い。
「ほら、口でやりなさい」
かなみが5円玉を俺の口に咥えさせた。俺を何だと思ってるんだこの娘さんは。
仕方ないので口で咥え、ぷっと空中に吐き出し、器用に回転させて賽銭箱に入れると拍手が舞い起こった。お辞儀するとおひねりが飛んできた。
「かなみ、拾って拾って」
「いらんことすんな!」
かなみは俺を殴ると、人気の少ない場所へ俺を引っ張って縄を解いた。
「やれやれ、恥ずかしかった」
「……アンタ、なんでパジャマなの?」
それは俺がパジャマなのに有無を言わさず縄でぐるぐる巻きにする人がいるからです。
「……なんでこんな奴と来ちゃったのかな、あたし」
軽く頭を押さえるかなみに、無理やり連れてきたのはお前だろと言いたいけど言えない。殴られるから。
「……まーいーや。ほら、おみくじしよ」
かなみに手を引かれ、おみくじ売り場へ。そこでは、巫女さんが売り子をしていた。
「巫女は処女しかなれないと聞きましたが本当ですか? 仮にそうなら処女検査があるのですか?」
「いきなり何聞いてんのよアンタはッ!」
巫女さんに質問したらかなみに蹴り飛ばされた。
「ったく、馬鹿。……そこの馬鹿の分も一緒にください」
かなみは俺の分もおみくじを買ってくれた。渡された紙切れを開く。大吉だった。続けて書いてある一文に目を通す。
『かなりのラッキーガイです。しかし、賽銭をたんまりくれるとさらなる幸運が!』
この神社、頭おかしい。
嫌な一文から目をそむけかなみを見ると、明らかに落胆していた。
「まさか大凶?」
こくりと頷き俺に紙切れを渡す。恐る恐る文を読む。
『最悪です。超B・A・D! しかし、賽銭をたんまりくれると幸運が!』
この神社、頭おかしい。
どうしたもんかとかなみを見ると、ゆっくり賽銭箱のほうに向かっている。
「おまっ、あんな馬鹿な文句に騙されるなよ!」
「離して! あたしは幸運が欲しいのよ!」
かなみを羽交い絞めするが、思わぬ抵抗に遭う。
「俺のおみくじと交換してやるから! 大吉だぞ!」
「……いいの?」
ぴたりと抵抗をやめ、かなみは期待に満ちた目で俺を見つめた。
「構わん。元よりそういうのあんま気にしな」
最後まで言う前におみくじを引っ手繰られた。
「おまえなぁ、もうちょっと……」
「やった! アンタみたいなのでも、たまには役に立つわね♪」
文句言おうと思ったけど、かなみのお日様のような笑顔を見てしまってはその気も失せてしまう。
「ほら、木に結ぼ! アンタの大凶、ここで落としていかないとね!」
ひらひらとおみくじを振るかなみに、俺は軽く嘆息して着いていくのだった。
【タカシがツンデレ大全を買っているのをツンデレが目撃したら】
2010年05月04日
「ククククク……とうとう買ったぞ、ツンデレ大全! 正直1470円(税込み)なのはどうかと思うが、これで思う存分悶え転がることができる」
「あっ、タカシ! アンタまたエッチな本買ったんじゃないでしょうね!」
「こ、これはこれはかなみさん。今日も頭の横にでろんと垂れた何かが素敵でいらっしゃる」(さりげなく本を後ろに隠しつつ)
「何かじゃなくて髪よ、髪! ツインテール! 変な言い方すんな! ……で、何買ったの?」
「ええと……参考書的な何かだから、怪しくないよ?」
「…………」(無言で本を奪い包みをびりびり)
「ああん」
「……『ツンデレ大全』? アンタ何買ってんのよッ!」
「だから、ツンデレ大全だってば。自分で言ってたじゃん」
「そういうことじゃなくて! あーもー馬鹿!」
「そんなに叫ぶな。何事かと店内の客がみんな見てるぞ」
「誰のせいで叫んでると思ってるのよ! ……ぜーぜー」
「まぁまぁ。んなことより一緒に帰らないか? ジュースでも奢ってやるよ」
ご機嫌を取って本を返してもらう魂胆は内緒だ。
「……まぁいいわよ。本は返さないけど」
「…………」
結局、120円財布から消えただけだった。
その夜、かなみ邸にて。
「……ったく。あの馬鹿、何買ってんだか」
かなみはベッドに寝そべり、ぺらぺらとページをめくっていた。
「ツンデレ、ねぇ。……え、これ」
ツンデレに当てはまるという条件に、かなみはことごとく当てはまっていた。
「……あたし、ツンデレ? ……じゃ、じゃあ、タカシはあたしを研究するために、この本を……?」
かなみはかすかに頬を赤らめ、タカシを想うのだった。
「……くぅ、明日だ。明日こそ、かなみから奪い返してくれるッ!」
想われているとも知らず、タカシは夜空に適わぬ願いを誓うのだった。
「あっ、タカシ! アンタまたエッチな本買ったんじゃないでしょうね!」
「こ、これはこれはかなみさん。今日も頭の横にでろんと垂れた何かが素敵でいらっしゃる」(さりげなく本を後ろに隠しつつ)
「何かじゃなくて髪よ、髪! ツインテール! 変な言い方すんな! ……で、何買ったの?」
「ええと……参考書的な何かだから、怪しくないよ?」
「…………」(無言で本を奪い包みをびりびり)
「ああん」
「……『ツンデレ大全』? アンタ何買ってんのよッ!」
「だから、ツンデレ大全だってば。自分で言ってたじゃん」
「そういうことじゃなくて! あーもー馬鹿!」
「そんなに叫ぶな。何事かと店内の客がみんな見てるぞ」
「誰のせいで叫んでると思ってるのよ! ……ぜーぜー」
「まぁまぁ。んなことより一緒に帰らないか? ジュースでも奢ってやるよ」
ご機嫌を取って本を返してもらう魂胆は内緒だ。
「……まぁいいわよ。本は返さないけど」
「…………」
結局、120円財布から消えただけだった。
その夜、かなみ邸にて。
「……ったく。あの馬鹿、何買ってんだか」
かなみはベッドに寝そべり、ぺらぺらとページをめくっていた。
「ツンデレ、ねぇ。……え、これ」
ツンデレに当てはまるという条件に、かなみはことごとく当てはまっていた。
「……あたし、ツンデレ? ……じゃ、じゃあ、タカシはあたしを研究するために、この本を……?」
かなみはかすかに頬を赤らめ、タカシを想うのだった。
「……くぅ、明日だ。明日こそ、かなみから奪い返してくれるッ!」
想われているとも知らず、タカシは夜空に適わぬ願いを誓うのだった。