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2024年11月23日
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【は虫類が大嫌いなツンデレ】
2010年05月10日
「かなみ、帰りにペットショップに寄らないか? ドッグフードが残り少ないんだ」
「なに? アンタドッグフードなんて食うの?」
「そんなわけないだろう。愛犬『ネコ』の主食だ」
「犬なのにネコ!? ていうか、それ名前!?」
「で、どうだ? 俺としてはかなみと一緒に行きたいのだが」
「う……し、仕方ないわね。行ってあげるわよっ」
「感謝する」
「そ、そんなことくらいで感謝しないでよっ。あたしが冷たいみたいじゃない」
「そうじゃない。かなみと少しでも一緒にいられることに感謝しただけだ」
「うっ……そ、そういうことを平然と言うなっ!」
真っ赤なかなみから平手を受けたものの、約束は取り付けた。
放課後、俺はかなみと一緒にペットショップのドアをくぐった。
「いらっしゃいませ~♪」
可愛らしい店員さんがにこやかに俺達を迎えいれる。俺は早速いつも買ってる銘柄のドッグフードがあるか訊ねた。
「タカシ、あたしちょっとペット見てくるね」
うなずきで返事し、店員と会話を再開する。幸運なことに、目的の品はセール中だったので大量に買う。
用は済んだので、かなみを探す。狭い店内だったので、すぐ見つかった。だが、様子がおかしい。
顔色は青白く、体はかすかに震えている。そして、視線はまっすぐ──ケージの中のイグアナに向けられていた。
「かなみ、どうした? 顔色が優れないようだが」
「あ、う、ううん、なんでもない」
「なんでもない、というには少々無理があるように思えるが……ああ、そうか」
「な、なによ!」
「便意を催したのだろう? トイレならそこの通路をまっすぐ突き当たった先に」
殴られた。
「違うわよ! デリカシーないわね!」
「ふむ……なら、そこのは虫類が怖いのか?」
「なっ、なんであたしがこんな恐竜の赤ちゃんを怖がらなくちゃいけないのよっ!」
「なんでと言われても、そのようにしか見えないから、としか言いようがない」
「うっ……」
かなみは一瞬狼狽したあと、敢然と言い返してきた。
「怖くなんかないわよ! ただ、ちょっとあの表面のぬめっとしたところとか、何考えてるか分かんない目とかが嫌なだけよ!」
「なるほど、そういった箇所が苦手なのか」
「こ、怖くないのよ? ホントよ?」
「俺としては怖がって欲しいがな。そうすれば、かなみを抱きしめて安心させるという大義名分ができるのだから」
「……アンタね」
「なんだ?」
「……馬鹿でしょ?」
「……賢くなろうと努力はしてるんだが、これがなかなか」
情けなくて軽く頭を掻こうと持ち上げた手を、かなみが無理やり握った。
「……でも、正直な分マシな馬鹿ね」
聞こえないくらい小さな声で、そう言った。
「そういう、かなみの優しいところが好きなんだ。俺は」
「だっ、誰も優しくなんてないわよっ! 変なこと言うな、ばかっ!」
かなみの顔が目に見えて赤く染まっていく。
「仲が良いわねぇ、学生さん」
笑顔を向ける店員さんに、俺は笑顔で言った。
「最高のバカップルですから」
「誰がバカップルかっ!」
照れ隠しのキックを受けて棚に激突しながらも、俺は笑顔のままだった。
「なに? アンタドッグフードなんて食うの?」
「そんなわけないだろう。愛犬『ネコ』の主食だ」
「犬なのにネコ!? ていうか、それ名前!?」
「で、どうだ? 俺としてはかなみと一緒に行きたいのだが」
「う……し、仕方ないわね。行ってあげるわよっ」
「感謝する」
「そ、そんなことくらいで感謝しないでよっ。あたしが冷たいみたいじゃない」
「そうじゃない。かなみと少しでも一緒にいられることに感謝しただけだ」
「うっ……そ、そういうことを平然と言うなっ!」
真っ赤なかなみから平手を受けたものの、約束は取り付けた。
放課後、俺はかなみと一緒にペットショップのドアをくぐった。
「いらっしゃいませ~♪」
可愛らしい店員さんがにこやかに俺達を迎えいれる。俺は早速いつも買ってる銘柄のドッグフードがあるか訊ねた。
「タカシ、あたしちょっとペット見てくるね」
うなずきで返事し、店員と会話を再開する。幸運なことに、目的の品はセール中だったので大量に買う。
用は済んだので、かなみを探す。狭い店内だったので、すぐ見つかった。だが、様子がおかしい。
顔色は青白く、体はかすかに震えている。そして、視線はまっすぐ──ケージの中のイグアナに向けられていた。
「かなみ、どうした? 顔色が優れないようだが」
「あ、う、ううん、なんでもない」
「なんでもない、というには少々無理があるように思えるが……ああ、そうか」
「な、なによ!」
「便意を催したのだろう? トイレならそこの通路をまっすぐ突き当たった先に」
殴られた。
「違うわよ! デリカシーないわね!」
「ふむ……なら、そこのは虫類が怖いのか?」
「なっ、なんであたしがこんな恐竜の赤ちゃんを怖がらなくちゃいけないのよっ!」
「なんでと言われても、そのようにしか見えないから、としか言いようがない」
「うっ……」
かなみは一瞬狼狽したあと、敢然と言い返してきた。
「怖くなんかないわよ! ただ、ちょっとあの表面のぬめっとしたところとか、何考えてるか分かんない目とかが嫌なだけよ!」
「なるほど、そういった箇所が苦手なのか」
「こ、怖くないのよ? ホントよ?」
「俺としては怖がって欲しいがな。そうすれば、かなみを抱きしめて安心させるという大義名分ができるのだから」
「……アンタね」
「なんだ?」
「……馬鹿でしょ?」
「……賢くなろうと努力はしてるんだが、これがなかなか」
情けなくて軽く頭を掻こうと持ち上げた手を、かなみが無理やり握った。
「……でも、正直な分マシな馬鹿ね」
聞こえないくらい小さな声で、そう言った。
「そういう、かなみの優しいところが好きなんだ。俺は」
「だっ、誰も優しくなんてないわよっ! 変なこと言うな、ばかっ!」
かなみの顔が目に見えて赤く染まっていく。
「仲が良いわねぇ、学生さん」
笑顔を向ける店員さんに、俺は笑顔で言った。
「最高のバカップルですから」
「誰がバカップルかっ!」
照れ隠しのキックを受けて棚に激突しながらも、俺は笑顔のままだった。
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