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2025年05月04日
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【ツンデレはクルトンを知らないようです】

2010年02月03日
 スープでも飲もうかとクルトンを袋から開けてたら、俺の肩越しに誰かが顔を覗かせた。すわ飛頭蛮か、と思ったが、そうではなくてちなみだった。
「……それ、なに?」
「え、あ、これか?」
 クルトンの入った袋を持ち上げると、ちなみはコクコクとうなずいた。
「クルトンだよ、クルトン。知らないのか?」
「……し、知ってる。知ってて当然。くるとん。……おいしい」
 ……知らねぇな、コイツ。
「じゃあ問題。ジャジャン」
「……効果音。じゃじゃん」
 なんか嬉しそうに俺に続いてじゃじゃんと言うちなみ。
「クルトンは生きた豚の鼻をもぎ取り、四角く加工したものである。○か×か?」
「……怖いこと言うの禁止」
 物凄く恨めしそうな目で見られた。
「問題だから仕方ない。で、答えは?」
「……ばつ。……そんな怖い加工方法など、ない」
「正解。実際は……あ、いや、怖いこと言うの禁止だから言わないでおこう」
「……し、知らないだけのくせに」
 さりげなくちなみがクルトンから離れた。
「第二問。クルトンは、実はこの状態でも生きている。○か×か」
「……ばつ。……さすがにそれはない」
「正解。生きてるというか声が……あ、いや、なんでもない」
「……はっきり言え」
「怖いことを言うのを禁止されている身なので」
 ちなみはさらにクルトンから離れた。
「第三問。じゃじゃん」
「……も、もういい。もういいから、クルトンとか捨てろ」
「クルトンを食べると、とある事が体内で起きますが、一体どのような惨事が起きるのでしょう。お答えください」
「……わ、私、用事思い出した。……帰る」
 帰ろうとするちなみの手を取り、逃がさない。
「まあそう言うな。せめてクルトン食ってから帰れよ」
「うう……タカシが謎の食物で私を死に至らしめようとする」
「……その程度で済めばいいがな」
 無駄にニヤリと笑ってみると、ちなみの毛が逆立った。実に愉快。
「もちろんじょうだんだから、あんしんしてくえ」
「……どうしてこういう時に限って棒読みなのか!」
「気にするな。ほれ食え」
 クルトンを持ち、涙目のちなみを押し倒す。片手で押さえつけるも、予想以上の強い反抗に遭う。……てか、いけないことをしてるみたいで気分よくないな。
「あー、よし分かった。そこまで嫌なら俺にも考えがある」
「……う?」
「俺に抱きつきながら『お兄ちゃん大好き♪』とロリボイスで言ったら許してやろう」
「……お兄ちゃん大嫌い」
 予想以上のダメージを受ける。
「……何も泣かなくても」
「うっうっ……もういい、帰ってください。再起不能なのでもう寝る」
 その場にごろりと横になり、流れる涙もそのままにうつ伏せで寝る。
「……そんなところで寝ると、風邪ひく予感。……これ食べて、元気出す」
 手渡された物を確認もせずにほうばる。ばりばりする。
「カリカリしてうまひ。何コレってクルトンだなげはあっ!」
「……やはり毒だったか。なむー」
「死んでません」
 拝んでるちなみにでこぴん。
「……むー」(不満そう)
「ということで、クルトンは危険な食材ではなくパンを小さく切って揚げたものだ。おいしいよ」
 ちなみの口にクルトンを入れる。
「もぐもぐ。……む、カリカリでおいしい。もっと」
「スープに入れる分がなくなるのでダメ。ダメなのに!」
「……もぐもぐ。おいしい」
 ダメと言ったのに、全部取られた。だけどまあ、リスみたいに頬膨らませてクルトン食ってるちなみが見れたのでよしとしよう。

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【ツンデレととんど焼きに行ったら】

2010年02月03日
 今日の夜、近所でとんど焼きがあるらしい。暇なので行くことにした。
「お」
「……ん」
 向かう最中に、見知った顔と出会った。ちなみだ。なんとなく、一緒に向かう。
「……タカシは何を焼くの? 自分? ……なむー」
「拝むな。夏の虫じゃねーんだから焼かねーよ」
「……ちっ」
 舌打ちする娘っ子のほっぺを引っ張ってると、とんど焼きが行われる田んぼについた。既に炎は上がっていたが、人影はまばらだ。
「もうちょっといるかと思ったが、少ないな」
「……やれやれ、これだからおつむが足りない人間は。……とんど焼きが行われるのは7時。そして、今は8時。……もうみんな焼いた後に違いない」
「なるほど」
 ちなみのほっぺを引っ張って溜飲を下げつつ、ぼーっと炎を眺める。真っ暗な空に赤い炎がうねる様は、どこか非現実的で、何より美しかった。
「……あ、そだ」
 そう言って、ちなみは胸元をごそごそと探り始めた。
「こんなところでいきなり自慰するな」
「……今日はしてない」
「今日は!?」
「……ただの冗談にそんな過剰に反応するな。……これ、焼くようにお母さんに頼まれてた」
 ちなみは胸元から小さなしめ飾りを取り出すと、炎の中に投げ入れた。そして、ぱんぱんと手を叩くと、目を瞑って口の中で何かつぶやき始めた。さり気なく耳を寄せる。
「……もうちょっと大きくなりますように。……背とか胸とか色々」
「無理だ。てか、これは別に願い事を言う行事ではないと思う」
「……聞くな」
 ちなみは嫌そうな顔をして俺を睨んだ。
「あと、俺は現在のちなみの大きさが大変好ましいので大きくなられると悲しいです」
「……背? 胸?」
「両方! つるぺたはにゃあん最高ですよねウヒヒヒヒ」
「……変態め」
 どういうことか、本音を言うと変態扱い。
「ま、いーや。用事も済んだようだし、帰るか」
「……タカシは焼かないの?」
「焼くも何も、暇つぶしに来ただけだし。焼くもの持ってきてない」
「……火だるまにジョブチェンジできるちゃんす到来やも。……ごー?」
「行かねーよ」
 期待に満ちた視線を送られるが、ノリで焼死体になるのはとても嫌なので辞退する。
「……ぶー」
「ぶーじゃない。ほら、帰るぞ」
「……ん」
 最後にもう一度だけ燃え盛る炎を見た後、ちなみと一緒に元来た道を辿る。
「……うう」
 しばらく黙って歩いてたら、不意にちなみが声を漏らした。先ほどまで炎の前にいたので、より一層寒さが堪えるのか、小さな体を震わせていた。
「えーと。需要と供給の一致、ということで」
「……わ」
 ちなみを捕まえ、俺のコートの中に入れる。これで俺も暖か、ちなみも暖か、のハズ。
「……タカシ大胆。大胆すりー」
「日輪の力を借りて、今、必殺の、サンアタック!」
「……夜中におっきな声出すな。……迷惑」
 最初にネタ振ったの誰だ。
「……まあ、暖かくてよい。……タカシにしてはよい判断。……余は満足じゃ」
「んむ。俺も暖かいは柔らかいはで幸福の絶頂だ」
「……タカシの棒が私のお尻をつんつくと」
「勃ってねぇ!」
「……あ、出た。……お尻にねばねばで熱いのが」
「出てねぇ! こいつ最悪だ!」
「……むふー」
 無駄に嬉しそうな娘をコートに入れ、家まで送り届ける。
「……送迎ごくろー」
「はいはい。んじゃな、また学校で」
「……ばいばい」
 ちなみと別れ、家路に就く。ふと振り返ると、ちなみがこっちを見てた。手を振って、また進む。もう一度振り返ってみる。まだこっちを見てた。
 一瞬考えたあと、ちなみに携帯で電話をかける。
『……どしたの?』
「いや、なんとなく。暇だし、帰るまで話し相手になってもらおうかな、と」
『……別に、いいケド』
「つーわけで、家に入れ。長くなるとアレだし」
『…………』
「ど、どした?」
『……優しいね、タカシ』
「なな何のことだか俺には皆目!」
『……ふふ。……じゃ、何の話しよっか?』
 心持ち優しい声のちなみと電話越しに会話しながら、ゆっくりと帰宅するのだった。

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【ヒーリングツンデレ】

2010年02月03日
 近頃肩がこる。
「……腕を回すことにより発生する風を使い、私のスカートの中身を覗き見ようとは。……タカシは呆れ返るほどすけべえだ」
 そんなつもりもないのに、ちなみが難癖つけてくる程度には腕を回しているのだろう。
「違う、ただの肩凝りだ」
「……肩が凝るほど勉強もしてないくせに、肩凝りなんて生意気だ」
「肩凝りとは無縁の胸囲を誇る方は、言うことが違う」
「……今日もタカシは失礼だ」
 俺の頬をぐいぐい引っ張りながら、ちなみは小さくほっぺを膨らませた。
「いやな、最近肩がこって肩がこって。そだ、ちなみいま暇だろ? ちょっと肩揉んでくれないか」
「……代わりにお前の貧相な胸を揉んで大きくしてやるから、とか言い出しそうだから断る」
 いや、言いそうだけど。お前が言うな。
「言わない、言うはずがない。そもそも、貧乳大好きだし!」
「……へ、変態め。そんなことを嬉しそうに言う奴は、頭がおかしいに違いない」
 悪態を吐きながらも、ちょっとだけ嬉しそうなのは何故ですか。
「そーゆーわけなんで、ちょちょっと肩揉んで。また今度お礼するからさ」
「……お礼参りと称し、ボコボコにされる予感」
「え、俺そんな酷いことすると思われてるの?」
「……よく考えると、タカシはヘタレなので手をあげたりはしない予感」
 ヘタレ言うな。紳士と言え。
「……ま、いい。……このひーりんぐますたーにお任せあれ」
「お願いします、頭の悪い発言をする人」
「…………」
「痛い痛い痛い! 無言で頭を噛むな!」
「……ふん、だ。……余計なこと言ったら、また噛む」
「言わないよう努力するので、普通に肩揉んで」
「ん」
 小さくそう言うと、ちなみは黙って俺の肩を揉んだ。一生懸命揉んでるのは伝わってくるのだけど、如何せん力がないのであまり気持ちよくない。
「ちなみ、もーちっと力入れられないか?」
「……これ以上力を入れると、タカシの肩がえぐれる」
「そこまでするな!」
「……もう遅い。……私に頼んだことを後悔するがいい」
 そう言って、ちなみは更に力を込めた。恐らく全力で揉んでいるのだろうが、俺にはちょうどいい感じだ。
「あー、気持ちいい」
「……はふー。……疲れた」
「頑張れヒーリングマスター」
「…………」
「痛い痛い痛い! だから噛むなっての!」
「……馬鹿にした罰」
「おまーが最初に言い出したんだろーが!」
「……知らない」
 俺の頭をかぷかぷ噛みながらも、ちなみは俺の肩を揉み続けた。数分続けてもらったおかげで、肩のこりも大分マシになったような気がする。
「サンキュ、ちなみ。もういいよ」
「……20万円になります」
「ぼったくりだ!?」
「……払えないなら、今日帰りに買い物付き合え」
「デートですか」
「……先ほどの迂闊な発言により、今日はタカシのおごりに決定」
「いつの間に!?」
「……嫌と言うほど買い食いしてやる」
「ノー! ちなみさんノー! リミット解除は俺の財布が大変危険!」
「……ふぁいと」
「ふぁいとじゃねえ!」
 小さく握りこぶしを作るちなみだった。

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【何かいつもお腹を空かせているツンデレ】

2010年02月02日
 お昼休みは飯を食うと相場が決まっているので、俺も飯を食う。
「……じぃっ」
 しかし、知り合いに擬音つきでじっと見られたまま昼食を摂れるほど、肝は据わっていない。
「えーと。何か用ですか、ちなみさん」
「……別に」
「そか。じゃ、遠慮なく」
「……じぃっ」
 ちなみは両手の指とアゴを机の上にちょこんと置き、じーっと俺の弁当箱を見つめている。
「えーと。見られてると非常に食い難いのですが」
「……だいじょぶ。……私の知ってるタカシは、その程度の苦境、ものともしない。……ふぁいと」
「褒められて悪い気はしないが、俺の知ってる俺はこの程度の苦境で根を上げるぞ」
「……根性なし」
 誰のせいだ。
「ったく……お前、飯は?」
「食べた」
「満腹か?」
「足んない」
「…………」
「……じぃっ」
「……はあ。半分やるよ」
「……んむ」
 ちなみは当然といった様子で俺の弁当箱からおむすびを取り出し、もむもむ食べだした。
「うまいか?」
「……まあまあ」
「人の飯取っておいてまあまあとか、殺意を覚えますよね」
「……狭量」
 非常に不愉快なので、ちなみのほっぺを引っ張る。しかし、全く気にせずもむもむ咀嚼を続けるちなみは大物なのかもしれない。
「……もむもむ、ごくん。……おかわり」
「あ、こら、おにぎりばっか取るな。おかずも食え」
「……おにぎり、好き」
「好きでも何でも主食ばっか取られると俺が困る」
「……タカシはつけものだけ食べてればいい」
「よくない! 俺も一応は若者なので肉とかそういった脂ギッシュなものを食いたいと──だからおにぎりばっか二個も三個も取るな!」
「……確保。もむもむ」
 ちなみはおにぎりを咥え、更に両手に一個ずつおにぎりを持った。
「ええい、おにぎり娘めが! 結局おにぎり全部おまえが食べちゃったじゃねえか! 一個くらい返せ!」
「……もむもむ、ごくん。……タカシがおにぎり欲しいダンスを情熱的に踊ったら、返す」
「よし分かった、任せろ!」
 自分でも物分りが良すぎると思うが、おにぎりが食べたいので教室の中心でもよんもよん踊りまくる。
「ふぅ……どうだ!?」
 会心のダンスを笑顔で終える。気のせいか、クラス中から奇異の視線が集まってるような。
「あー……いや違うんです、別にお腹が空きすぎて頭がおかしくなったわけではないです。ちょっとおにぎり欲しいダンスを踊っただけで」
 言い訳すると、気のせいか、視線の色が強くなったような。
「……ええいっ、もういい! それよりちなみ、約束のぉぉぉぉぉ!?」
「……けぷ」
 あらあら、ちなみったら、人の弁当全部平らげて満足そうにお腹さすってますよ。(笑)
「いや(笑)じゃねえ! ちなみ! 俺の弁当返せ!」
「……?」
「不思議そうな顔すんなあ!」
「……吐こうか?」
「んなことされて喜んだら異常者だろうが!」
「……だいじょぶ。……タカシは立派な異常者。……胸張っていい」
「胸張る箇所がねえよっ!」
「……?」
「だから、不思議そうな顔すんなッ!」
 結局、腹をきゅるきゅる鳴らしっぱなしで午後の授業受けました。
「……きゅるきゅるうるさい」
 迷惑そうな顔してるちなみがむかちゅく。

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【殺意の波動に目覚めたツンデレ】

2010年02月01日
「……きゅぴーん」
 ちなみが殺意の波動に目覚めたらしく、俺を見ては目元を光らせる。
 怖いので手でそっと目を押さえると、ちなみの口が尖がった。
「……困る」
 しょうがないので手をのけると、ちなみは嬉しそうに小さく微笑んだ。
「……ん。……じゃ、殺していい?」
「NO」
「えー」
 ぽふりとちなみの頭に手を置くと、残念そうな声が返ってきた。
「……殺意の波動に目覚めたのだから、殺すのが当然の筋合い。……どうして殺してはいけないのか」
 無茶を言っているような気がするのは俺だけだろうか。
「知り合いが殺意の波動に目覚めたのは初めてだからよく分からないけど、法律がダメだと言ってたような気がする」
「……そゆのは、いい。……タカシは黙って私に瞬獄殺されればいいと思う」
「思うな。目を光らせるな。片足だけでスライドするな」
「……ちっ」
 小さく舌打ちすると、ちなみは目を光らせるのをやめた。
「女の子が舌打ちするねい。それはそうと、どうしてまた殺意の波動になんか目覚めたんだ?」
 我ながらどんな質問だ、と思いながらちなみに尋ねる。
「……タカシのことを思ってると、胸がとくんとくんと高鳴って、……気がついたら」
「字面だけ見たら素敵なのに、結果が殺意の波動とは。女力がなさすぎる」
「…………」
「だから、無言でスライドすなっ!」
「……ちっ」
「それで、どうすんだ? やはり、俺より強い奴に会いに行くのか?」
「……私より弱い奴に会いに行く」
「コイツ最低だ!」
「……じーっ」
「なぜ俺を見る」
「……私より弱い奴、はっけーん」
「いや待て落ち着け、殺意の波動に目覚めたとはいえ、ちなみは女性、そして俺は曲がりなりにも男。結果は歴然ではなくて?」
「……試してみよう」
「試すまでもないよ? いや本当に、本当に! だから目を光らせるな! notスライド!」
「……たー」
 やる気のないかけ声とともにちなみが俺に触れると、世界が暗転した。数十発の打撃エフェクトの後、『しゅんごくさつ』の文字が画面に。なんだ、画面て。
「……めっさつ」
「痛い! なんか体中痛い! 上の方に体力バーがあったらコンマ数ミリしか残ってないと思う!」
「……む、めっされてない。……ちゃんと死ぬ」
 ごろりと転がる俺のおでこをぺちぺち叩くちなみ。そんな攻撃で死にたくない。
「……こうなっては、もう一度瞬獄殺するしか……?」
「さっきのおでこぺちぺちで体力が尽きた。死亡」
「…………」
「死亡と言ったのになぜ無言でスライドする!?」
 べきばきぼきべきばき。
「……めっさつ」
「ふふ。子供みてーな奴にべっこぼこにされる俺」
「……子供とは失礼な」
 ぼろ雑巾みたいになってる俺の隣に座り、ほっぺをむにーと引っ張るちなみ。容赦ないですね。
「……じゃ、勝ったので、明日はタカシと買い物に行く。……で、その時に使うお金は全部、タカシの財布持ち」
「悪魔だ! 悪魔がいる!」
「……きゅぴーん」
「楽しみだなあ! ちなみとのデート!」
「……で、デートなんかじゃない。……ただの買い物。……ま、まったく、勘違いも甚だしい」
「…………」
「……な、なんだよぅ」
「そういうところも可愛いよな」
 りんごみたいになってるほっぺたをつつくと、何かがまずかったようで、ちなみが無言でスライドしてきた。

拍手[6回]