忍者ブログ

[PR]

2025年04月20日
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

【ねずみちなみん】

2010年05月18日
 腹が減ったのでおにぎりを作った。しかし、作るそばからおにぎりが消えていくのはどういうイリュージョンなのだろう。
 知らぬ間に手品師になったんだなと納得しておにぎりを作り、皿に置く。その皿に、机の下から手が伸びてきた。その手はおにぎりを掴むと、机の下に消えた。
「…………」
 嫌な予感を感じながら机の下を見る。……えてして嫌な予感は当たるものだ。
「……むぐむぐ、ねずみです。ちゅーちゅー」
 口の端にご飯粒をつけたねずみがいた。
「他人のものを取るのはいけないことだと、親に教わらなかったのか?」
「……ねずみはおにぎりを食べるものですから。おむすびころりん、です」
 うん、それなら仕方ない。おにぎり転んでないけどね。
「……むぐむぐ、おいしいです。タカシはおにぎりだけは上手です」
「便所行った後に手を洗わないのが秘訣だ」
「……冗談、ですよね?」
「たぶん。それより、机の下から出ろ。椅子に座れ」
「……不安です」
 言葉どおり不安げな面持ちで、それでもちなみは手に持ったおにぎりをぱくりと食べた。
「むぐむぐ……おいしいです。もっと食べたいです」
 椅子に座って破願するちなみに、俺はため息をついた。
「もう飯ねぇよ」
 ちなみの顔についた飯粒を取り、食べる。
「……わ、食べた」
「誰かに飯取られたから腹減ってんだよ。捨てるのも勿体ないしな」
「……間接ちゅーです。……タカシはえっちです」
 ほほを赤らめるな。期待した目で見るな。腹減ってんだよ。……ああ、なんか腹立ってきた。
「その口の中の飯をよこせ! 俺が食う!」
「きゃー(棒読み)」
「あら、タカシいたの。ご飯買ってきたけど……」

 うん。嫌な予感は最初からしてたんです。今となっては罠だったんだなって思うんです。だからもう勘弁してください、母さん。結婚とか言わないで。

拍手[7回]

PR

【ツンデレに貧乳も良いよって言ったら】

2010年05月18日
 ちなみが貧乳に悩んでいるらしい。
「もっと大人っぽくなりたいです……」
 自分の胸を見下ろしてはため息をつくちなみに、俺は優しく言った。
「ちなみ、貧乳もいいよ。ていうか貧乳以外はダメダメだよ」
 ドン引きされた。おかしい、嘘は言ってないのに。
「……タカシは、ロリコンさんですか?」
「まぁ、つるぺたを求めると、どうしてもそっちに流れてしまうな。ちっちゃい子でも可だが、胸がないなら誰でも……おや?」
 なぜか犯罪者を見るような目で見られている。おかしい。
「……よく分からんのだが、俺は何かまずいことを言っているのか?」
「……そんなのも分からないのですか。やっぱり馬鹿ですね」
「ええい馬鹿にしおって! そんなに貧乳が嫌なら悪の巨乳になってしまえ!」
 雄叫びと共にちなみの極めて薄い胸をもむ。……薄い、つーかぺたんこだ。もむのも一苦労。
「…………」
「ん? どうした震えて。感激で泣けてきたなら、俺の胸を貸ぐげぇ」
 周囲の女子生徒たちがよってたかって俺に殴る蹴るの暴行を加えた。何がそんなに気に食わないと言うのだ。
 結局、パンツ一丁で屋上の網から吊るされることで許された。大したことなくてよかった。
「……タカシはお馬鹿さんです」
 ゆらりゆらりと揺れてると、ちなみの声が頭上から聞こえた。
「おお、ちなみか。ちょうどよかった、助けてくれ」
「……質問に答えてくれたら、助けてあげます」
「いいぞ。なんでも答える。性の目覚めはTVでやってた」
「そんなものは聞きたくありません。……その、貧乳が好きって、本当、ですか……?」
「無論だ。そんなことで嘘をつくわけないじゃないか」
「……じゃ、じゃあ、私の胸も、その……」
「当然、その範疇に入る。ほれ、答えたぞ。助けてくれ」
「……ありがとうございます。じゃ」
 そんな声と、屋上のドアが閉まる音が無常にも響いた。
「え? あれ? ちなみさーん? 助けてくれないのー? 俺、明日までこのまま?」
 結局一日そのまま過ごした。でも、翌日ちなみを見るとなんだかふっきれた顔してたから、まぁいいかと思った。

拍手[5回]

【換気扇ちなみん】

2010年05月17日
 罪悪感がないわけではないが、極々まれに煙草を吸う。
「すー……げへんげへんげへん! うー、何度吸っても気持ち悪ぃ……。換気扇つけよ」
 台所に向かうと、ちなみが当然のような顔をしてジュースを飲んでいた。……なんか、換気扇の格好して。
「……何やってんだ?」
「ごくごく。……換気扇です。ぶーん、ぶーん」
 とりあえず殴った。
「……痛いです。相も変わらずタカシはひどいです」
「で、何やってんだ?」
「……換気扇なので、吸ってます。すー」
 ちなみは深呼吸して、かすかに眉をひそめた。
「……なんか、煙草臭いです」
 ちなみの言葉に、ぎくりとする。
「ア、アハハ、キノセイジャナイカ?」
「…………(じーっ)」
「う……」
「……煙草、吸いましたか?」
「……えーっと、その、……ごめんなさい」
「……タカシはまだ高校生。20歳になってません。……吸ってはダメです」
「はい、仰るとおりです。すいません」
 ちなみの迫力に気圧されたのか、気がつけば正座していた。
「……なにより、タカシが煙草を吸って早死にしたら……嫌です。つまらないです」
「……あー、そだな。ごめん。もう吸わない」
「……でも、もう吸いました。……吸った分は、私が吸い取ってあげます」
「はい……えっ! いやちょっと待ってそれはむぐっ」
 ちなみに吸い付かれた。いや、口唇ぷにぷにで気持ちいいけどなんか犯されてる気分!
「……ちゅ、ちゅちゅー……ぷはっ。これでおっけーです。……もう、煙は吸い取りました」
「ぜはーぜはーぜはー……。お、おまえ無茶すんな!」
「……いいんです。タカシがこれで健康になってくれたら、私は嬉しいです」
 そう言って擦り寄ってくるちなみに、俺は別の場所が健康になったよぱおーんと言いだせずにいた。

拍手[6回]

【ヤンバルテナガコガネちなみん】

2010年05月16日
 暑い。もう、死にそう。ふらふらになりながら帰宅すると、虫っぽいちなみがいた。無視して服を着替える。
「……ヤンバルテナガコガネです。……無視されるのは、ちょっと辛いです」
「あちーんだよ。おまえもそんなの着てたら暑いだろ」
「……クーラー内蔵で冷え冷え。熱帯夜もらくちん、です」
 それ着て寝るのか。逆に寝苦しいと思うぞ。
「……ヤンバルテナガコガネは、日本最大の甲虫です。しかも、天然記念物です」
「ほう、それは凄いな」
 階下に降りて何か飲み物を、と思ってドアを開けようとしたら、ちなみに腕を引っ張られた。
「……相手、してください」
 目の端に涙をためて、ちなみは少し拗ねたように言った。
「ノド乾いたんだよ。なんか飲んでくるから、ちょっと待ってろ」
「……そんなのどうでもいいです。……相手してくれないと、ヤンバルテナガコガネのすごさを見せつけます」
「すごさって……具体的にどうすんだ?」
「……天然記念物なので、捕まえると逮捕されます」
「捕まえないから、意味ないな」
「……タカシはいじわるです。空気を読んでくれません。……最悪ぷーです」
 ぷーと言って、ちなみはぷーとほおを膨らませた。
「……こうなったら、逆に私がタカシを捕まえます。その後、タカシは逮捕されます」
「本物の天然記念物じゃないし、されねーよ」
「……なせばなる、です。とうっ」
 掛け声をあげて、ちなみっぽい虫が飛んできた。ひらりとかわすと、ちなみは俺の後ろの本棚にぶつかった。そして、落ちてきた本に埋もれた。
「さて、なんか飲んでくるか」
「……ひどいです。あんまりです。……タカシは、いじわるです」
 本の山から半泣きのちなみが現れた。
 俺はため息をついて、ちなみの頭を撫でてやった。
「あーもう、分かった分かった。相手してやるから機嫌直せ」
「……いやです。怒りました。……もっと撫でてくれないと、許しません」
 怒ったポーズをとりながら撫でろとせがむちなみに、俺は苦笑して頭を撫でてやった。

拍手[6回]

【おたまじゃくしちなみん】

2010年05月15日
「今日ずっと考えてたんだけど、おたまじゃくしから蛙に変化するのってすごいよな。生命の神秘を感じずにはいられない。だから鉄板で焼くのはやめようよ」
「……なるほど」
 級友たちに熱弁をふるっていると、いつの間にか側にちなみがいた。そしてそのまま音もなく教室から出て行った。
 そして案の定と言うかなんと言うか、今日も今日とてちなみは我が家にいます。おたまじゃくしで。
「……おたまじゃくしです。おた、おた」
「お、俺はオタクじゃない! エッチな本やゲームや漫画やアニメはわんさと持ってるけど違う! 自信ないけど!」
「……そんなこと、言ってません。やっぱりタカシは馬鹿です」
「むっ。で、何用でしょう? ちなみにドアはそちらです」
 ほっぺたを引っ張られた。
「……まだ来たばかりです。……おたまじゃくしは、蛙に変態します」
 ちなみの口上が始まった。ああ、嫌な予感がするなぁ。
「……普通のオタマジャクシが蛙に変態するには、栄養が必要です。……ちなみオタマジャクシが変態するには、心の栄養が必要です」
「こ、心の栄養って?」
 話を合わせながら、脱出の算段を練る。ドアはちなみに塞がれているため使えない。あとは窓だけだが、ここ二階だしなぁ……。
「……いっぱい、優しくされたら変態できそうです」
「俺が変態だからそれで我慢しない?」
「しません」
 きっぱり言われた。ていうか俺は変態だと認識されているのか。少し悲しい。
「……それとも、私に優しくするのは、……嫌、ですか?」
 母さんに見つかったりして大変な目に遭うのが嫌なんです。……とは、悲しげにまつ毛を震わすちなみには言えない。例えそれがフリだとしても、誰かを悲しませるのは好きじゃない。
「……あー、なんだ、嫌じゃない。わーった、ほら、おいで」
「……♪」
 あぐらをかき、覚悟を決めてちなみを呼ぶと嬉しそうに飛び込んできた。ぎゅっと抱きしめる。
「……ぎゅってしてもらうの、久しぶりです。……気持ちいい、です」
「つまり心の栄養はもう溜まったということだな?」
 手を離そうとしたら、逆にちなみに抱きつかれた。
「……まだまだ、です。あと5時間はかかりそうです」
「5秒にしない?」
「……せめて、10分ぐらいは」
 なんとか現実的な数字になったので、あとはちなみに抱きつかれるがまま、すりすりされるがまま、たまに頭をなでたり。そうして10分ほど経ったころ、ちなみは顔を上げた。
「……ちーん。心の栄養が満タンになりました」
「やったぁ」
「……全然気持ちがこもってません。……まぁいいです、それじゃ変態します」
 そう言って、ちなみはオタマジャクシの衣装を脱ぎ捨て、蛙に……
「蛙じゃねえええええ!?」
 下着姿になっていました。
「……タカシはうるさいです。大げさです」
「え、いや、あの、俺、男ですよ? なのに下着って……しかも、そんなする必要のないブラまで……」
「……ブラは必要です。……ブラがなかったら大惨事です」
「絆創膏でいいじゃん」
「……胸が小さいものは人にあらず、と言いたいのですね」
「言ってません。むしろ胸は小さい方が好きです。つるぺた万歳」
「……なら、問題ありません」
 じりじり迫ってくるちなみに、俺の心臓は破裂寸前。ど、どうすれば……!
「……なんでいきなり座禅を組むんですか?」
 しまった、混乱のあまりつい。しかし座禅の力でよい考えが浮かんだ。
「ちなみ、こういうことはムードが大事だと思うぞ」
「……タカシ相手にそんなもの求めるほど馬鹿じゃないです」
「んーあーえーっと、そ、そうだ! 俺はパイパンじゃないと興奮しない変態なんだうへへぇ」
「……あの、その、実は、……まだ、生えてないんです」
「なにぃッッッッッ!!!!!」
 恥ずかしげに身をくねらせるちなみに、俺はかつてないほど興奮していた。
 まずい、まずいぞ。断る理由が見つからん!
「……こんな子供みたいな体ですけど、……タカシに喜んでもらえるなら、私は……嬉しいです」
 そう言ってにっこり笑うちなみに、俺の理性は陥落寸前。あ、陥落した。
「……ちなみぃぃぃぃ!!!」
「タカシー、暇だから遊びに来た……」

 かなみさん。その笑みは何ですか。そしてポケットから取り出したやたら凶悪そうな物は何ですか。はぁ、カイザーナックルというのですか。それで殴られると死にますよ?

拍手[10回]