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2025年04月20日
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【寒くて寝床から出られない男の布団をツンデレが引っぺがすと朝立ちがばれて・・・】
2010年04月22日
朝は眠いのでぐーすかぴー。
ダンダンダンダン、ガチャッ!
「起きろ、馬鹿! 早く起きないと遅刻するわよ!」
かなみの声に似た声が聞こえるような気がするが、よく分からない。夢の中だし。
「ほら、起きろってば!」
布団を引っぺがされたような。なんかすげー寒い。
「きっ……きゃああああ!」
「ん……あ、はろー、かなみ」
耳をつんざく悲鳴に目を覚ますと、かなみが布団を手に顔を真っ赤にしていた。
「あ、あ、アンタ、なんで裸なのよ!」
「ん……おお、言われてみれば。昨夜は一人全裸祭をしたからなぁ。説明しよう! 全裸祭とは」
「いいから隠すか服着るかしろ、ばかっ! し、し、しかも、なんか立ってる!」
震える手が指すほうを見ると、なるほど朝だから奴が超元気に屹立してる。
「いや、朝はこうなるもんなんだ。生理現象。ほら、かなみも腹減ったりするだろ? それと全く同じで、俺にはどうしようも」
「冷静に説明してないで服着ろッ!」
布団を俺に投げつけて、かなみは階下に下りていった。
「……あのー、かなみさん、怒ってます」
かなみと一緒に家を出てからここまで、かなみは口を開いてくれなかった。
「……別に」
「いや、俺も時間なくて飯食えなかったのにはご立腹だけど、かなみまで怒る必要はないかと」
「んなことに怒ってないわよ! ……ていうか、別に怒ってなんかないわよ」
「? じゃあ、なんで口きいてくんないんだ? 寂しーぞ」
「……べ、別に大したことじゃないけど……その、なんか気まずくて」
そう言って、かなみは顔中赤くした。
「なるほど、気まずさを感じなくなるくらい、屹立したモノを見たいと」
「アンタの頭ん中、どうなってるのか一度見る必要があるわねッ!」
かなみはアイアンクローで俺の頭を割りにかかった。
「うう……痛い」
「……はぁ、もういいわ。馬鹿なこと言ってないで行くわよ」
かなみは呆れた様子で足を進めた。
「ちったぁ調子戻ったか?」
「……へ?」
「ほれ、馬鹿面してないで学校行くぞ」
「…………。へへっ、馬鹿面なのはアンタでしょ」
「失敬な、稀代の美男子を捕まえて」
「ほらほらっ、馬鹿言ってないで早く行こ? 遅刻するわよ!」
俺の手を取り、かなみは笑顔で学校へ駆け出すのだった。
ダンダンダンダン、ガチャッ!
「起きろ、馬鹿! 早く起きないと遅刻するわよ!」
かなみの声に似た声が聞こえるような気がするが、よく分からない。夢の中だし。
「ほら、起きろってば!」
布団を引っぺがされたような。なんかすげー寒い。
「きっ……きゃああああ!」
「ん……あ、はろー、かなみ」
耳をつんざく悲鳴に目を覚ますと、かなみが布団を手に顔を真っ赤にしていた。
「あ、あ、アンタ、なんで裸なのよ!」
「ん……おお、言われてみれば。昨夜は一人全裸祭をしたからなぁ。説明しよう! 全裸祭とは」
「いいから隠すか服着るかしろ、ばかっ! し、し、しかも、なんか立ってる!」
震える手が指すほうを見ると、なるほど朝だから奴が超元気に屹立してる。
「いや、朝はこうなるもんなんだ。生理現象。ほら、かなみも腹減ったりするだろ? それと全く同じで、俺にはどうしようも」
「冷静に説明してないで服着ろッ!」
布団を俺に投げつけて、かなみは階下に下りていった。
「……あのー、かなみさん、怒ってます」
かなみと一緒に家を出てからここまで、かなみは口を開いてくれなかった。
「……別に」
「いや、俺も時間なくて飯食えなかったのにはご立腹だけど、かなみまで怒る必要はないかと」
「んなことに怒ってないわよ! ……ていうか、別に怒ってなんかないわよ」
「? じゃあ、なんで口きいてくんないんだ? 寂しーぞ」
「……べ、別に大したことじゃないけど……その、なんか気まずくて」
そう言って、かなみは顔中赤くした。
「なるほど、気まずさを感じなくなるくらい、屹立したモノを見たいと」
「アンタの頭ん中、どうなってるのか一度見る必要があるわねッ!」
かなみはアイアンクローで俺の頭を割りにかかった。
「うう……痛い」
「……はぁ、もういいわ。馬鹿なこと言ってないで行くわよ」
かなみは呆れた様子で足を進めた。
「ちったぁ調子戻ったか?」
「……へ?」
「ほれ、馬鹿面してないで学校行くぞ」
「…………。へへっ、馬鹿面なのはアンタでしょ」
「失敬な、稀代の美男子を捕まえて」
「ほらほらっ、馬鹿言ってないで早く行こ? 遅刻するわよ!」
俺の手を取り、かなみは笑顔で学校へ駆け出すのだった。
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【ツンデレに膝枕してって言ったら】
2010年04月20日
中庭で昼飯食ったら眠くなった。そこで、芝生で友人らと楽しげに談笑しているかなみの膝に頭を乗せたらすごい殴られた。
「ぼ、暴力はいけないと思います」
「何も言わずにいきなり膝枕してきた奴にどうしろって言うのよ!」
「ああ、それが悪かったのか。ええと、眠いので膝枕して」
また殴られた。今度はちゃんと言ってから頭を乗せたというのに……何が悪いのかさっぱりだ。
「なんでアンタなんかに膝枕なんかしないといけないのよ!」
「眠いから」
なにかまた言ってはいけないことを言ったようだ。かなみはまるで怒りに耐えるようにぷるぷる震えながら拳を握り締めている。
「かなみー、いーじゃん膝枕くらい。恋人のお願いなんだから」
かなみの友人さんが衝撃の事実を告げた。
「だっ、誰がこんな奴の恋人だってのよ、誰がッ!」
「彼女の言によると、かなみが俺の恋人らしいが……いや、まったく知らなかった。というわけでかなみ、恋人に膝ま」
最後まで言う前にまた殴られた。
「もう顔痛いです……かなみの友人さんでもいいです、膝枕してください」
「え、私? んふふ~、どーしよっか、かなみ」
友人さんはかなみにいやらしい笑みを見せた。
「な、なんで私に聞くのよ……勝手にしたらいいじゃない」
「あ、そう? んじゃいいよ。はい、ひざまくら~」
許可が出たので、友人さんの膝に頭を乗せる。うむ、心地よし。
「…………」
ただ、隣でじっと俺と友人さんを何か言いたげに見ているかなみがいなければ、言うことなしなのだが。
「かなみ、代わる?」
「なっ、なんでよ! こんな奴に膝枕するなんて、アンタも大概変ね」
「そう? 男の子に膝枕するのって、なんか憧れたんだーアタシ」
そう言って、友人さんは優しく俺の頭をなでた。心地よくて、なんだかこのまま寝てしまいそうだ。
「…………」
けど、なにか、何か物足りない。気持ちいいのは確かなんだが、どうもしっくりこない。
「ちょい失礼」
「わっ、な、何すんのよ!」
芋虫のようにもぞもぞ移動して、かなみの膝に頭を乗せる。
「や、やめてよ、素子にしてもらったらいいじゃない」
「うん、これだ」
「へ?」
「やっぱかなみの膝枕じゃなきゃダメだ。なんか安心できない」
「な、なによ、安心って……」
「前に膝枕してもらったことあったろ? それで、俺の頭がかなみしか受け付けなくなっちまったみたいだ」
なぜか、かなみの顔が赤く染まった。
「そ、それなら仕方ないわね。……我慢してあげる。ほんっと、タカシって変な奴」
「……くくっ、あははははっ! あんたら、そこらのバカップルよりタチ悪いよ」
何か堪え切れない様子で、友人さんは一人笑っていた。
「……うー、ばか」
かなみはかなみで、ぶちぶち悪口を言いながら俺のほっぺを引っ張っていた。
「ぼ、暴力はいけないと思います」
「何も言わずにいきなり膝枕してきた奴にどうしろって言うのよ!」
「ああ、それが悪かったのか。ええと、眠いので膝枕して」
また殴られた。今度はちゃんと言ってから頭を乗せたというのに……何が悪いのかさっぱりだ。
「なんでアンタなんかに膝枕なんかしないといけないのよ!」
「眠いから」
なにかまた言ってはいけないことを言ったようだ。かなみはまるで怒りに耐えるようにぷるぷる震えながら拳を握り締めている。
「かなみー、いーじゃん膝枕くらい。恋人のお願いなんだから」
かなみの友人さんが衝撃の事実を告げた。
「だっ、誰がこんな奴の恋人だってのよ、誰がッ!」
「彼女の言によると、かなみが俺の恋人らしいが……いや、まったく知らなかった。というわけでかなみ、恋人に膝ま」
最後まで言う前にまた殴られた。
「もう顔痛いです……かなみの友人さんでもいいです、膝枕してください」
「え、私? んふふ~、どーしよっか、かなみ」
友人さんはかなみにいやらしい笑みを見せた。
「な、なんで私に聞くのよ……勝手にしたらいいじゃない」
「あ、そう? んじゃいいよ。はい、ひざまくら~」
許可が出たので、友人さんの膝に頭を乗せる。うむ、心地よし。
「…………」
ただ、隣でじっと俺と友人さんを何か言いたげに見ているかなみがいなければ、言うことなしなのだが。
「かなみ、代わる?」
「なっ、なんでよ! こんな奴に膝枕するなんて、アンタも大概変ね」
「そう? 男の子に膝枕するのって、なんか憧れたんだーアタシ」
そう言って、友人さんは優しく俺の頭をなでた。心地よくて、なんだかこのまま寝てしまいそうだ。
「…………」
けど、なにか、何か物足りない。気持ちいいのは確かなんだが、どうもしっくりこない。
「ちょい失礼」
「わっ、な、何すんのよ!」
芋虫のようにもぞもぞ移動して、かなみの膝に頭を乗せる。
「や、やめてよ、素子にしてもらったらいいじゃない」
「うん、これだ」
「へ?」
「やっぱかなみの膝枕じゃなきゃダメだ。なんか安心できない」
「な、なによ、安心って……」
「前に膝枕してもらったことあったろ? それで、俺の頭がかなみしか受け付けなくなっちまったみたいだ」
なぜか、かなみの顔が赤く染まった。
「そ、それなら仕方ないわね。……我慢してあげる。ほんっと、タカシって変な奴」
「……くくっ、あははははっ! あんたら、そこらのバカップルよりタチ悪いよ」
何か堪え切れない様子で、友人さんは一人笑っていた。
「……うー、ばか」
かなみはかなみで、ぶちぶち悪口を言いながら俺のほっぺを引っ張っていた。
【ツンデレに「今日のパンツ何色?」って聞いたら】
2010年04月20日
「かなみ、今日のパンツ何色?」
「聞きながらスカートめくるなッ!」
ひどく殴られた。
「軽いジョークなのに……」
「重いわよ! 相変わらず馬鹿ね……」
「むっ。馬鹿じゃないぞ」
「どう見ても馬鹿よ。しかも、大馬鹿。救いようのないくらい馬鹿」
「し、失礼な! ならば明日、俺がいかに聡明か見せてやろう」
「……なんか嫌な予感がするから、いい」
「今から作戦練るから、楽しみに待ってろよ!」
「人の話聞けッ!」
次の日。俺は一晩寝ずに考えた作戦を決行した。
「かなみ、今日のパンツ何色?」
「スカートに頭突っ込むなッ!!!」
ひどくひどく殴られた。歯も折れた。
「な、何故だ!? これなら他者の目にかなみのパンツが映らないと言うのに!」
「アンタの目に映るでしょうが!」
「映るだけでなく、香りも堪能できました。白い布地の奥から、どこか甘やかな香りが」
首を絞められた。“スカートの中はいい香り”という秘密を守るため、俺を殺す気か!?
「……はぁ、馬鹿は死んでも治らないって言うし、殺してもなぁ」
「げほげほ……うう、馬鹿じゃないのに、馬鹿じゃないのに……」
「はいはい、そーね。アンタは馬鹿じゃない。ちょっとオツムが足りないだけだもんね」
「うむ。……あれ、同じような意味のような……?」
「気のせい気のせい」
首を傾げてると、かなみに頭をなでられた。様々な疑問がどうでもよくなってくる。
「えへへぇ」
「うわっ、気持ち悪ッ」
「…………」
「無言でスカートの中に入るなッ!」
大変殴られた。痛みも大変なことに。
「落ち込んだ時はかなみのスカートの中、と決めてるんだ」
「アンタは一生落ち込むな!」
「じゃあ、俺に優しくするがいい。ほれ、優しくすれ」
調子にのると鉄拳が飛んでくるので、おちおち調子にも乗れやしない。
「だから、スカートに潜り込むな!」
「かなみのスカートの中にいると、落ち着くんだ。引っ越そうかな」
「できるかッ!」
「努力すれば夢は叶うと言うし、大丈夫。俺を信じろ!」
「……はぁ。そんなスカート好きなら、一着あげるからそれに潜ってなさい」
「や、スカートそのものには興味ない。俺が興味あるのは、あくまでかなみなわけで」
「んな……」
不思議なことに、かなみの顔が朱に染まった。
「そ、そういうこと言うな、ばかっ!」
「なんで? 俺はいつだってかなみに興味津々だぞ」
「う……」
俺が口を開くたび、かなみの顔の赤さが増していく。
「どうして一向に胸が成長しないのだろう、とか、まだ胸がAAAなのか、とか」
「AAに成長したわよッ!」
「げはぁっ!?」
貫く勢いのボディーブローが腹に突き刺さる。
「うう……成長おめでとう」
「死ね、馬鹿!」
かなみは俺をそのままに、足音荒くどっかへ行ってしまった。
「……まぁ、本当の興味は別なんだけどな」
かなみがいなくなったのを確認してから、俺は転がったままぼそりと呟くのだった。
「聞きながらスカートめくるなッ!」
ひどく殴られた。
「軽いジョークなのに……」
「重いわよ! 相変わらず馬鹿ね……」
「むっ。馬鹿じゃないぞ」
「どう見ても馬鹿よ。しかも、大馬鹿。救いようのないくらい馬鹿」
「し、失礼な! ならば明日、俺がいかに聡明か見せてやろう」
「……なんか嫌な予感がするから、いい」
「今から作戦練るから、楽しみに待ってろよ!」
「人の話聞けッ!」
次の日。俺は一晩寝ずに考えた作戦を決行した。
「かなみ、今日のパンツ何色?」
「スカートに頭突っ込むなッ!!!」
ひどくひどく殴られた。歯も折れた。
「な、何故だ!? これなら他者の目にかなみのパンツが映らないと言うのに!」
「アンタの目に映るでしょうが!」
「映るだけでなく、香りも堪能できました。白い布地の奥から、どこか甘やかな香りが」
首を絞められた。“スカートの中はいい香り”という秘密を守るため、俺を殺す気か!?
「……はぁ、馬鹿は死んでも治らないって言うし、殺してもなぁ」
「げほげほ……うう、馬鹿じゃないのに、馬鹿じゃないのに……」
「はいはい、そーね。アンタは馬鹿じゃない。ちょっとオツムが足りないだけだもんね」
「うむ。……あれ、同じような意味のような……?」
「気のせい気のせい」
首を傾げてると、かなみに頭をなでられた。様々な疑問がどうでもよくなってくる。
「えへへぇ」
「うわっ、気持ち悪ッ」
「…………」
「無言でスカートの中に入るなッ!」
大変殴られた。痛みも大変なことに。
「落ち込んだ時はかなみのスカートの中、と決めてるんだ」
「アンタは一生落ち込むな!」
「じゃあ、俺に優しくするがいい。ほれ、優しくすれ」
調子にのると鉄拳が飛んでくるので、おちおち調子にも乗れやしない。
「だから、スカートに潜り込むな!」
「かなみのスカートの中にいると、落ち着くんだ。引っ越そうかな」
「できるかッ!」
「努力すれば夢は叶うと言うし、大丈夫。俺を信じろ!」
「……はぁ。そんなスカート好きなら、一着あげるからそれに潜ってなさい」
「や、スカートそのものには興味ない。俺が興味あるのは、あくまでかなみなわけで」
「んな……」
不思議なことに、かなみの顔が朱に染まった。
「そ、そういうこと言うな、ばかっ!」
「なんで? 俺はいつだってかなみに興味津々だぞ」
「う……」
俺が口を開くたび、かなみの顔の赤さが増していく。
「どうして一向に胸が成長しないのだろう、とか、まだ胸がAAAなのか、とか」
「AAに成長したわよッ!」
「げはぁっ!?」
貫く勢いのボディーブローが腹に突き刺さる。
「うう……成長おめでとう」
「死ね、馬鹿!」
かなみは俺をそのままに、足音荒くどっかへ行ってしまった。
「……まぁ、本当の興味は別なんだけどな」
かなみがいなくなったのを確認してから、俺は転がったままぼそりと呟くのだった。
【メイド+体育+ケーキ】
2010年04月16日
今日はメイドの日だ。
メイドの日とは、学校の女生徒全員がメイドの格好をしなければならないという一部男子高校生(主に俺)が狂喜乱舞するめでたい日のことだ。こんなイベントを作った校長に敬礼。
そんな日に、女子は家庭科でケーキを作るとか。……メイドさんのケーキ、なんとしても頂く!
「おい別府、なに突っ立ってんだ。走れ走れ」
教師に言われて気づいたが、今は体育の最中だった。握り締めていた手から力を抜き、だらだら走る。
「別府……せめて、もうちょっと頑張れ。タコみたいだぞ、お前」
「任せろ、先生!」
「誰もタコの真似を頑張れとは言ってない!」
なんだ、紛らわしい。
しばらく走ってるとチャイムが鳴った。それは同時に、メイドさんケーキの完成を意味する。
男連中が家庭科室に疾走する中、俺は頭一つ抜けて家庭科室に飛び込んだ。このために体育で力を抜いていたのだ!
「大人しくケーキを寄越せ! 逆らうとぶっとばす!」
「アンタは強盗かッ!」
近くにいた女生徒を人質にしてたら、誰かにぶっとばされた。
「痛いじゃないか、かな……かなみ?」
「なんで疑問系なのよ! そうよ、椎水かなみよ」
「別府タカシと申します」
幼なじみと自己紹介をする。
「知ってるわよ、馬鹿。……しっかし、なんでこんな格好しなくちゃならないのかしらね」
かなみは嫌そうにスカートの裾を掴んだ。見慣れたかなみでも、メイドの格好をしているだけで鼻血出そう。
「それはひとえに校長の権力のおかげだ。俺も校長に倣い、将来は総理大臣になって日本メイド化をなしとげようと企んでいる」
「……なんか、アンタのよこしまなパワーを使ったら本気でなりそうだからやめて」
メイドにお願いされたので、やめることにする。
「そんなくだらない話はどうでもいい。俺はメイドさんケーキを食いに来たんだ」
「ああ、そうなの。でも、ちょっと遅かったみたいね」
「遅いって……あああああ!」
気がつくと、メイドさんケーキは他の男子連中の胃の中だった。机の上にはクリームのついた皿だけが乗っている。
「…………」
「無言で皿を舐めるな! 妖怪か!」
妖怪クリーム舐め。夜な夜な皿についたクリームを舐めて空腹を癒やす俺の考えた可哀想な妖怪だ。
「他にないのか、メイドさんケーキは!」
周囲を見渡すも、そこにあるのは皿ばかり。
「あらあら、残念ね~。私と話してる間に、みんな食べられちゃったみたいね♪」
「謀ったなかなみ! 私とて別府家の男。無駄死にはしない!」
メイド姿の悪魔に向かい、飛びつく。よく考えると無駄死になんてしてないけどまぁいいか。
「……で、ここに私の作ったケーキがあるわけなんだけど」
「どうかこの愚かな私めにください」
飛んだ勢いのまま床に着地、そのまま土下座。
「すごい、欠片もプライドが見当たらないわ……」
周囲でメイドが騒いでる。うるさい。
「ふふ~ん、そんな私の作ったケーキが欲しい?」
「“かなみの作った”だからではなく、“メイドの作った”ケーキだから欲しい」
正確に自分の欲望を伝えたのに、なぜかケーキを顔にぶつけられた。
「はいどうぞ! 美味しい!?」
「はぐはぐ、うまい」
「すごい、あの状態で普通に食べてる……」
また周囲でメイドが騒いでる。いいじゃん、別に。
「はぐはぐはぐ、げふー。かなみ、おかわり」
「もうないわよッ!」
「じゃあ紅茶淹れて、メイドさん」
「もう帰れッ!」
尻を蹴られた。まぁ食うもん食ったし、教室に戻ろう。
「うまかったぞ、メイドかなみ! 一ヵ月後のメイドの日、またここで会おう!」
「もう来るなッ!」
「ったく、あの馬鹿。……あそこまでされて、なんで美味しいとか言うかなぁ」
不満そうに言いながらも、かなみの口元は緩んでいた。
メイドの日とは、学校の女生徒全員がメイドの格好をしなければならないという一部男子高校生(主に俺)が狂喜乱舞するめでたい日のことだ。こんなイベントを作った校長に敬礼。
そんな日に、女子は家庭科でケーキを作るとか。……メイドさんのケーキ、なんとしても頂く!
「おい別府、なに突っ立ってんだ。走れ走れ」
教師に言われて気づいたが、今は体育の最中だった。握り締めていた手から力を抜き、だらだら走る。
「別府……せめて、もうちょっと頑張れ。タコみたいだぞ、お前」
「任せろ、先生!」
「誰もタコの真似を頑張れとは言ってない!」
なんだ、紛らわしい。
しばらく走ってるとチャイムが鳴った。それは同時に、メイドさんケーキの完成を意味する。
男連中が家庭科室に疾走する中、俺は頭一つ抜けて家庭科室に飛び込んだ。このために体育で力を抜いていたのだ!
「大人しくケーキを寄越せ! 逆らうとぶっとばす!」
「アンタは強盗かッ!」
近くにいた女生徒を人質にしてたら、誰かにぶっとばされた。
「痛いじゃないか、かな……かなみ?」
「なんで疑問系なのよ! そうよ、椎水かなみよ」
「別府タカシと申します」
幼なじみと自己紹介をする。
「知ってるわよ、馬鹿。……しっかし、なんでこんな格好しなくちゃならないのかしらね」
かなみは嫌そうにスカートの裾を掴んだ。見慣れたかなみでも、メイドの格好をしているだけで鼻血出そう。
「それはひとえに校長の権力のおかげだ。俺も校長に倣い、将来は総理大臣になって日本メイド化をなしとげようと企んでいる」
「……なんか、アンタのよこしまなパワーを使ったら本気でなりそうだからやめて」
メイドにお願いされたので、やめることにする。
「そんなくだらない話はどうでもいい。俺はメイドさんケーキを食いに来たんだ」
「ああ、そうなの。でも、ちょっと遅かったみたいね」
「遅いって……あああああ!」
気がつくと、メイドさんケーキは他の男子連中の胃の中だった。机の上にはクリームのついた皿だけが乗っている。
「…………」
「無言で皿を舐めるな! 妖怪か!」
妖怪クリーム舐め。夜な夜な皿についたクリームを舐めて空腹を癒やす俺の考えた可哀想な妖怪だ。
「他にないのか、メイドさんケーキは!」
周囲を見渡すも、そこにあるのは皿ばかり。
「あらあら、残念ね~。私と話してる間に、みんな食べられちゃったみたいね♪」
「謀ったなかなみ! 私とて別府家の男。無駄死にはしない!」
メイド姿の悪魔に向かい、飛びつく。よく考えると無駄死になんてしてないけどまぁいいか。
「……で、ここに私の作ったケーキがあるわけなんだけど」
「どうかこの愚かな私めにください」
飛んだ勢いのまま床に着地、そのまま土下座。
「すごい、欠片もプライドが見当たらないわ……」
周囲でメイドが騒いでる。うるさい。
「ふふ~ん、そんな私の作ったケーキが欲しい?」
「“かなみの作った”だからではなく、“メイドの作った”ケーキだから欲しい」
正確に自分の欲望を伝えたのに、なぜかケーキを顔にぶつけられた。
「はいどうぞ! 美味しい!?」
「はぐはぐ、うまい」
「すごい、あの状態で普通に食べてる……」
また周囲でメイドが騒いでる。いいじゃん、別に。
「はぐはぐはぐ、げふー。かなみ、おかわり」
「もうないわよッ!」
「じゃあ紅茶淹れて、メイドさん」
「もう帰れッ!」
尻を蹴られた。まぁ食うもん食ったし、教室に戻ろう。
「うまかったぞ、メイドかなみ! 一ヵ月後のメイドの日、またここで会おう!」
「もう来るなッ!」
「ったく、あの馬鹿。……あそこまでされて、なんで美味しいとか言うかなぁ」
不満そうに言いながらも、かなみの口元は緩んでいた。
【バイオハザードをタカシが一緒にいないと出来ないツンデレ】
2010年04月15日
かなみが今更バイオ2を買ったらしい。
「ワゴンセールしててね、すっごい安かったのよ。でもアンタにはやらせてやんない」
「スネ夫か、お前」
「違うわよっ!」
なんてやり取りがあったのが昨日。
「あ、あのね、タカシ? 今日暇? 暇よね? 暇だったら、家に遊びに来てもいいわよ」
「いや、今日は古本屋でだらだら過ごすつもりなんだけ」
「暇よね! 暇だったら、家に来てもいいわよ!」
「……はい、分かりました」
言外に来いと行っているので、仕方なくかなみの家へ。
「なんか飲む? お茶? カルピス? そうめんつゆ?」
「最後のはありえないが……んなことより、なんか用事あるんだろ。なんだ?」
「うぐっ……そ、その、可哀想だからアンタにもゲームやらせてあげようと思ってね。やる? やるでしょ?」
「やんない。んじゃ、俺はこれで」
「待って! ……分かったわよ。一人でやるの怖いの! アンタがやって! これでいい!?」
何を威張っているのだろう、この娘さんは。
「お願いします、は?」
「ぐぐぐ……お、お願いします、タカシさん」
……これは、大変気持ちいい。
「鼻持ちならない娘さんを屈服させるのは途方もなく心地よいなぁ」
「誰が鼻持ちならない娘さんよッ!」
しまった、本音がつい。
「そ、それじゃ俺がやってやろう。それでいいな?」
「ぐ……なんか偉そうだけど、お願い」
ゲーム機の電源を入れ、ゲームスタート。
「で、どこまでやったんだ?」
「……最初のセーブポイントのとこまで」
「なんだ、そんなとこか」
「だ、だって! ……なんか、怖いし」
「かなみが女みたいなこと言ってる」
「最初っから女よッ!」
あんまりいらんこと言うと殴られるので、さくさく進めよう。適当にゾンビを蹴散らしながら進む。
「なんで全部倒さないの?」
「弾がもったいない。有限だから、大事にしないとな」
「ふ~ん……ひっ!」
廊下を歩いてると、舌の長い化け物が天井から降ってきた。
「おおっ、そういやこんなイベントもあったっけ」
「こっ、子供騙しよね!?」
「…………」
「な、なに?」
「……なんで俺の服握ってるの?」
「こっ、これはっ……あ、アンタが怖がるといけないから! 感謝しなさいよ!」
「別に怖くないので、握らなくていいです」
「う……ううううう~! あっそ! じゃあいいわよ!」
かなみは少し怒りながら俺から離れた。気のせいか、少し目が潤んでいるような。
「まぁとにかく、倒すか」
銃弾を数発撃ち込み、化け物を倒す。
「……死んだ? もう動かない?」
「大丈夫だろうと背を向けた瞬間、後ろから襲い掛かってきたりしてな。はっはっは」
「いらんこと言うなっ!」
威勢良く怒鳴りながらも、かなみは涙目だった。
「大丈夫だって、へーきへーき。ほれ、ドア開けるぞ」
「うう……このドア開ける間が嫌。もっとぱっぱって進みなさいよね」
ゾンビたちから逃げながら進むと、狭い通路に出た。
「う~……なんか出そう」
「なんか……尿か? ……それはそれで怖いな」
「違うわよッ! そうじゃなくて、お化わっひゃあ!」
窓から多数の手が伸びてきたのを見て、かなみが奇声を上げた。そして、すかさず俺の腕にしがみつく。
「な、な、なんなのよこのゲーム! 全然怖くないわよ!」
「怖くないなら怒鳴ることないだろ。ほれ、離れる」
「わ、私は怖くないけど、怖くないけど! 傍にいたげる! 断ったら怒るわよ!」
「はぁ、それは構わんが……俺の腕に胸当たってるぞ。いいのか?」
「う、うう、う……い、いいわよっ! サービスよ、サービス! 今を逃したらアンタ一生味わえないだろうし、せいぜい神経を腕に集中させることね!」
「なるほど、それは名案だ」
目をつぶって全神経を腕に集中する。うむ、ささやかながらも柔らかな膨らみが俺の二の腕にふんわりと。
「ちょ、ちょっと、ゾンビ! ゾンビ来てる! 」
意識の外側から何か聞こえてくるような気がしたが、今は腕に意識を集中させねば。
「あっ、ああっ、あああああっ!」
かなみの叫び声に目を開けると、咀嚼音と共にDEAD ENDという文字が躍っていた。
「あ」
「“あ”じゃないわよ! 死んじゃったじゃない!」
「食われたな。はっはっは」
「う……あのしゃぐしゃぐって音、やっぱ食べられた音?」
「そりゃそうだろう。むしゃむしゃ食われたに違いない」
かなみは嫌そうに顔をしかめた。
「ん、ちょい腹減ったな。かなみ、飯食いに行かね? 焼肉とか」
「なんで食べられちゃったの見てお腹空くの!? しかも、よりにもよって焼肉って!」
「む……金ないな。しゃーない、コンビニでなんか買ってくか。じゃ、俺そろそろ帰るな」
「ええっ!? か、帰るの!?」
「そりゃ帰るだろう。それとも、泊まってっていいのか?」
「だ、ダメに決まってるでしょ!」
「そりゃそうだ。じゃな、かなみ。また明日」
「う……また明日」
その夜。眠くなったので寝ようと布団敷いてると、携帯が鳴った。かなみだ。
「はい」
「私わたし、かなみ。怖がってないかなって電話してあげたの。感謝しなさい」
「だいじょぶ、怖くない」
電話を切ると、またかかってきた。
「切るな! いいからなんか適当な話しなさい!」
「俺、眠いんだけど……」
「いいから! ほら、なんかないの?」
「ん~……あ、そうそう。さっきとあるサイトで心霊現象見てな。レポーターの後ろに手が」
「怖いのは、なしっ! いつもみたいに馬鹿な話しなさいよ!」
「眠いんだけど……」
「いいから、ほら」
「ん~……かなみの感じる場所はどこ?」
「教えるか、馬鹿ッ!」
そんなこんなで、結局明け方近くまでかなみにつき合わされた。
「ふぁぁ……日、昇ってきたね」
「うう……ダメだ、もう寝る。おやすみ、かなみ」
「いま寝たら起きれな……ふにゅふにゅ……」
携帯の向こうからかなみの寝息が聞こえてきた。かなみもダウンのようだ。通話ボタンを押し、携帯を切る。そのままの状態で目を瞑る。すぐ寝た。
で、起きたら昼過ぎ。ものすごい遅刻。起こせよ、母さん。「ありゃ、いたの」じゃねえよ。
いまさら多少遅れたところで問題ないので、だらだら登校してるとかなみに会った。
「おまえも遅刻か?」
「う、タカシ……アンタもなのね。ううっ、遅刻なんてしたことなかったのに……」
「あんな時間に寝たら、普通そうなるわな。おばさん起こしてくれなかったのか?」
「お母さん、私が出る前に出勤してるもの。……はぁ」
「ま、たまには遅刻もいいじゃん。のんびり行こうぜ」
「はぁ、お気楽ねぇ。……ま、たまにはいっか」
かなみと並んでぷらぷら歩く。
「ところで、電話してきたのってやっぱ怖いから?」
「ばっ、んなわけないでしょうが!」
「かなみもけっこー女らしいとこあるのな。かーわいー」
馬鹿にしたつもりだったのだが、かなみは顔を真っ赤にして俺を上目遣いに見るのだった。
「……うー、いーじゃん、別に」
「ま、まぁいいんだけど……え、えと、よかったら今日も遊び行こうか? お前一人じゃクリアできないだろうし」
「う、うー……うん」
会話が終わっても、かなみは依然変わらず顔を赤くしたままだし、俺は俺でドキドキしてるし。ああもう、困る。
「ワゴンセールしててね、すっごい安かったのよ。でもアンタにはやらせてやんない」
「スネ夫か、お前」
「違うわよっ!」
なんてやり取りがあったのが昨日。
「あ、あのね、タカシ? 今日暇? 暇よね? 暇だったら、家に遊びに来てもいいわよ」
「いや、今日は古本屋でだらだら過ごすつもりなんだけ」
「暇よね! 暇だったら、家に来てもいいわよ!」
「……はい、分かりました」
言外に来いと行っているので、仕方なくかなみの家へ。
「なんか飲む? お茶? カルピス? そうめんつゆ?」
「最後のはありえないが……んなことより、なんか用事あるんだろ。なんだ?」
「うぐっ……そ、その、可哀想だからアンタにもゲームやらせてあげようと思ってね。やる? やるでしょ?」
「やんない。んじゃ、俺はこれで」
「待って! ……分かったわよ。一人でやるの怖いの! アンタがやって! これでいい!?」
何を威張っているのだろう、この娘さんは。
「お願いします、は?」
「ぐぐぐ……お、お願いします、タカシさん」
……これは、大変気持ちいい。
「鼻持ちならない娘さんを屈服させるのは途方もなく心地よいなぁ」
「誰が鼻持ちならない娘さんよッ!」
しまった、本音がつい。
「そ、それじゃ俺がやってやろう。それでいいな?」
「ぐ……なんか偉そうだけど、お願い」
ゲーム機の電源を入れ、ゲームスタート。
「で、どこまでやったんだ?」
「……最初のセーブポイントのとこまで」
「なんだ、そんなとこか」
「だ、だって! ……なんか、怖いし」
「かなみが女みたいなこと言ってる」
「最初っから女よッ!」
あんまりいらんこと言うと殴られるので、さくさく進めよう。適当にゾンビを蹴散らしながら進む。
「なんで全部倒さないの?」
「弾がもったいない。有限だから、大事にしないとな」
「ふ~ん……ひっ!」
廊下を歩いてると、舌の長い化け物が天井から降ってきた。
「おおっ、そういやこんなイベントもあったっけ」
「こっ、子供騙しよね!?」
「…………」
「な、なに?」
「……なんで俺の服握ってるの?」
「こっ、これはっ……あ、アンタが怖がるといけないから! 感謝しなさいよ!」
「別に怖くないので、握らなくていいです」
「う……ううううう~! あっそ! じゃあいいわよ!」
かなみは少し怒りながら俺から離れた。気のせいか、少し目が潤んでいるような。
「まぁとにかく、倒すか」
銃弾を数発撃ち込み、化け物を倒す。
「……死んだ? もう動かない?」
「大丈夫だろうと背を向けた瞬間、後ろから襲い掛かってきたりしてな。はっはっは」
「いらんこと言うなっ!」
威勢良く怒鳴りながらも、かなみは涙目だった。
「大丈夫だって、へーきへーき。ほれ、ドア開けるぞ」
「うう……このドア開ける間が嫌。もっとぱっぱって進みなさいよね」
ゾンビたちから逃げながら進むと、狭い通路に出た。
「う~……なんか出そう」
「なんか……尿か? ……それはそれで怖いな」
「違うわよッ! そうじゃなくて、お化わっひゃあ!」
窓から多数の手が伸びてきたのを見て、かなみが奇声を上げた。そして、すかさず俺の腕にしがみつく。
「な、な、なんなのよこのゲーム! 全然怖くないわよ!」
「怖くないなら怒鳴ることないだろ。ほれ、離れる」
「わ、私は怖くないけど、怖くないけど! 傍にいたげる! 断ったら怒るわよ!」
「はぁ、それは構わんが……俺の腕に胸当たってるぞ。いいのか?」
「う、うう、う……い、いいわよっ! サービスよ、サービス! 今を逃したらアンタ一生味わえないだろうし、せいぜい神経を腕に集中させることね!」
「なるほど、それは名案だ」
目をつぶって全神経を腕に集中する。うむ、ささやかながらも柔らかな膨らみが俺の二の腕にふんわりと。
「ちょ、ちょっと、ゾンビ! ゾンビ来てる! 」
意識の外側から何か聞こえてくるような気がしたが、今は腕に意識を集中させねば。
「あっ、ああっ、あああああっ!」
かなみの叫び声に目を開けると、咀嚼音と共にDEAD ENDという文字が躍っていた。
「あ」
「“あ”じゃないわよ! 死んじゃったじゃない!」
「食われたな。はっはっは」
「う……あのしゃぐしゃぐって音、やっぱ食べられた音?」
「そりゃそうだろう。むしゃむしゃ食われたに違いない」
かなみは嫌そうに顔をしかめた。
「ん、ちょい腹減ったな。かなみ、飯食いに行かね? 焼肉とか」
「なんで食べられちゃったの見てお腹空くの!? しかも、よりにもよって焼肉って!」
「む……金ないな。しゃーない、コンビニでなんか買ってくか。じゃ、俺そろそろ帰るな」
「ええっ!? か、帰るの!?」
「そりゃ帰るだろう。それとも、泊まってっていいのか?」
「だ、ダメに決まってるでしょ!」
「そりゃそうだ。じゃな、かなみ。また明日」
「う……また明日」
その夜。眠くなったので寝ようと布団敷いてると、携帯が鳴った。かなみだ。
「はい」
「私わたし、かなみ。怖がってないかなって電話してあげたの。感謝しなさい」
「だいじょぶ、怖くない」
電話を切ると、またかかってきた。
「切るな! いいからなんか適当な話しなさい!」
「俺、眠いんだけど……」
「いいから! ほら、なんかないの?」
「ん~……あ、そうそう。さっきとあるサイトで心霊現象見てな。レポーターの後ろに手が」
「怖いのは、なしっ! いつもみたいに馬鹿な話しなさいよ!」
「眠いんだけど……」
「いいから、ほら」
「ん~……かなみの感じる場所はどこ?」
「教えるか、馬鹿ッ!」
そんなこんなで、結局明け方近くまでかなみにつき合わされた。
「ふぁぁ……日、昇ってきたね」
「うう……ダメだ、もう寝る。おやすみ、かなみ」
「いま寝たら起きれな……ふにゅふにゅ……」
携帯の向こうからかなみの寝息が聞こえてきた。かなみもダウンのようだ。通話ボタンを押し、携帯を切る。そのままの状態で目を瞑る。すぐ寝た。
で、起きたら昼過ぎ。ものすごい遅刻。起こせよ、母さん。「ありゃ、いたの」じゃねえよ。
いまさら多少遅れたところで問題ないので、だらだら登校してるとかなみに会った。
「おまえも遅刻か?」
「う、タカシ……アンタもなのね。ううっ、遅刻なんてしたことなかったのに……」
「あんな時間に寝たら、普通そうなるわな。おばさん起こしてくれなかったのか?」
「お母さん、私が出る前に出勤してるもの。……はぁ」
「ま、たまには遅刻もいいじゃん。のんびり行こうぜ」
「はぁ、お気楽ねぇ。……ま、たまにはいっか」
かなみと並んでぷらぷら歩く。
「ところで、電話してきたのってやっぱ怖いから?」
「ばっ、んなわけないでしょうが!」
「かなみもけっこー女らしいとこあるのな。かーわいー」
馬鹿にしたつもりだったのだが、かなみは顔を真っ赤にして俺を上目遣いに見るのだった。
「……うー、いーじゃん、別に」
「ま、まぁいいんだけど……え、えと、よかったら今日も遊び行こうか? お前一人じゃクリアできないだろうし」
「う、うー……うん」
会話が終わっても、かなみは依然変わらず顔を赤くしたままだし、俺は俺でドキドキしてるし。ああもう、困る。