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2024年11月23日
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【バイオハザードをタカシが一緒にいないと出来ないツンデレ】

2010年04月15日
 かなみが今更バイオ2を買ったらしい。
「ワゴンセールしててね、すっごい安かったのよ。でもアンタにはやらせてやんない」
「スネ夫か、お前」
「違うわよっ!」
 なんてやり取りがあったのが昨日。
「あ、あのね、タカシ? 今日暇? 暇よね? 暇だったら、家に遊びに来てもいいわよ」
「いや、今日は古本屋でだらだら過ごすつもりなんだけ」
「暇よね! 暇だったら、家に来てもいいわよ!」
「……はい、分かりました」
 言外に来いと行っているので、仕方なくかなみの家へ。
「なんか飲む? お茶? カルピス? そうめんつゆ?」
「最後のはありえないが……んなことより、なんか用事あるんだろ。なんだ?」
「うぐっ……そ、その、可哀想だからアンタにもゲームやらせてあげようと思ってね。やる? やるでしょ?」
「やんない。んじゃ、俺はこれで」
「待って! ……分かったわよ。一人でやるの怖いの! アンタがやって! これでいい!?」
 何を威張っているのだろう、この娘さんは。
「お願いします、は?」
「ぐぐぐ……お、お願いします、タカシさん」
 ……これは、大変気持ちいい。
「鼻持ちならない娘さんを屈服させるのは途方もなく心地よいなぁ」
「誰が鼻持ちならない娘さんよッ!」
 しまった、本音がつい。
「そ、それじゃ俺がやってやろう。それでいいな?」
「ぐ……なんか偉そうだけど、お願い」
 ゲーム機の電源を入れ、ゲームスタート。
「で、どこまでやったんだ?」
「……最初のセーブポイントのとこまで」
「なんだ、そんなとこか」
「だ、だって! ……なんか、怖いし」
「かなみが女みたいなこと言ってる」
「最初っから女よッ!」
 あんまりいらんこと言うと殴られるので、さくさく進めよう。適当にゾンビを蹴散らしながら進む。
「なんで全部倒さないの?」
「弾がもったいない。有限だから、大事にしないとな」
「ふ~ん……ひっ!」
 廊下を歩いてると、舌の長い化け物が天井から降ってきた。
「おおっ、そういやこんなイベントもあったっけ」
「こっ、子供騙しよね!?」
「…………」
「な、なに?」
「……なんで俺の服握ってるの?」
「こっ、これはっ……あ、アンタが怖がるといけないから! 感謝しなさいよ!」
「別に怖くないので、握らなくていいです」
「う……ううううう~! あっそ! じゃあいいわよ!」
 かなみは少し怒りながら俺から離れた。気のせいか、少し目が潤んでいるような。
「まぁとにかく、倒すか」
 銃弾を数発撃ち込み、化け物を倒す。
「……死んだ? もう動かない?」
「大丈夫だろうと背を向けた瞬間、後ろから襲い掛かってきたりしてな。はっはっは」
「いらんこと言うなっ!」
 威勢良く怒鳴りながらも、かなみは涙目だった。
「大丈夫だって、へーきへーき。ほれ、ドア開けるぞ」
「うう……このドア開ける間が嫌。もっとぱっぱって進みなさいよね」
 ゾンビたちから逃げながら進むと、狭い通路に出た。
「う~……なんか出そう」
「なんか……尿か? ……それはそれで怖いな」
「違うわよッ! そうじゃなくて、お化わっひゃあ!」
 窓から多数の手が伸びてきたのを見て、かなみが奇声を上げた。そして、すかさず俺の腕にしがみつく。
「な、な、なんなのよこのゲーム! 全然怖くないわよ!」
「怖くないなら怒鳴ることないだろ。ほれ、離れる」
「わ、私は怖くないけど、怖くないけど! 傍にいたげる! 断ったら怒るわよ!」
「はぁ、それは構わんが……俺の腕に胸当たってるぞ。いいのか?」
「う、うう、う……い、いいわよっ! サービスよ、サービス! 今を逃したらアンタ一生味わえないだろうし、せいぜい神経を腕に集中させることね!」
「なるほど、それは名案だ」
 目をつぶって全神経を腕に集中する。うむ、ささやかながらも柔らかな膨らみが俺の二の腕にふんわりと。
「ちょ、ちょっと、ゾンビ! ゾンビ来てる! 」
 意識の外側から何か聞こえてくるような気がしたが、今は腕に意識を集中させねば。
「あっ、ああっ、あああああっ!」
 かなみの叫び声に目を開けると、咀嚼音と共にDEAD ENDという文字が躍っていた。
「あ」
「“あ”じゃないわよ! 死んじゃったじゃない!」
「食われたな。はっはっは」
「う……あのしゃぐしゃぐって音、やっぱ食べられた音?」
「そりゃそうだろう。むしゃむしゃ食われたに違いない」
 かなみは嫌そうに顔をしかめた。
「ん、ちょい腹減ったな。かなみ、飯食いに行かね? 焼肉とか」
「なんで食べられちゃったの見てお腹空くの!? しかも、よりにもよって焼肉って!」
「む……金ないな。しゃーない、コンビニでなんか買ってくか。じゃ、俺そろそろ帰るな」
「ええっ!? か、帰るの!?」
「そりゃ帰るだろう。それとも、泊まってっていいのか?」
「だ、ダメに決まってるでしょ!」
「そりゃそうだ。じゃな、かなみ。また明日」
「う……また明日」
 その夜。眠くなったので寝ようと布団敷いてると、携帯が鳴った。かなみだ。
「はい」
「私わたし、かなみ。怖がってないかなって電話してあげたの。感謝しなさい」
「だいじょぶ、怖くない」
 電話を切ると、またかかってきた。
「切るな! いいからなんか適当な話しなさい!」
「俺、眠いんだけど……」
「いいから! ほら、なんかないの?」
「ん~……あ、そうそう。さっきとあるサイトで心霊現象見てな。レポーターの後ろに手が」
「怖いのは、なしっ! いつもみたいに馬鹿な話しなさいよ!」
「眠いんだけど……」
「いいから、ほら」
「ん~……かなみの感じる場所はどこ?」
「教えるか、馬鹿ッ!」
 そんなこんなで、結局明け方近くまでかなみにつき合わされた。
「ふぁぁ……日、昇ってきたね」
「うう……ダメだ、もう寝る。おやすみ、かなみ」
「いま寝たら起きれな……ふにゅふにゅ……」
 携帯の向こうからかなみの寝息が聞こえてきた。かなみもダウンのようだ。通話ボタンを押し、携帯を切る。そのままの状態で目を瞑る。すぐ寝た。
 で、起きたら昼過ぎ。ものすごい遅刻。起こせよ、母さん。「ありゃ、いたの」じゃねえよ。
 いまさら多少遅れたところで問題ないので、だらだら登校してるとかなみに会った。
「おまえも遅刻か?」
「う、タカシ……アンタもなのね。ううっ、遅刻なんてしたことなかったのに……」
「あんな時間に寝たら、普通そうなるわな。おばさん起こしてくれなかったのか?」
「お母さん、私が出る前に出勤してるもの。……はぁ」
「ま、たまには遅刻もいいじゃん。のんびり行こうぜ」
「はぁ、お気楽ねぇ。……ま、たまにはいっか」
 かなみと並んでぷらぷら歩く。
「ところで、電話してきたのってやっぱ怖いから?」
「ばっ、んなわけないでしょうが!」
「かなみもけっこー女らしいとこあるのな。かーわいー」
 馬鹿にしたつもりだったのだが、かなみは顔を真っ赤にして俺を上目遣いに見るのだった。
「……うー、いーじゃん、別に」
「ま、まぁいいんだけど……え、えと、よかったら今日も遊び行こうか? お前一人じゃクリアできないだろうし」
「う、うー……うん」
 会話が終わっても、かなみは依然変わらず顔を赤くしたままだし、俺は俺でドキドキしてるし。ああもう、困る。

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