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2025年02月03日
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幽霊「幽霊です」 男「怖いなあ」 前編
2012年07月24日
幽霊「ひゅーどろどろどろ。……怖いですか?」
男「うん、怖い」
幽霊「あまりそう見えないんですけど」
男「うーん。でも、怖いよ?」
幽霊「そですか。ならいいんです」
男「気がついたら知らない人が家にいるなんて、恐怖以外の何物でもないよ」
幽霊「そっちの意味で怖いんですか」
男「うん、怖い」
幽霊「あまりそう見えないんですけど」
男「うーん。でも、怖いよ?」
幽霊「そですか。ならいいんです」
男「気がついたら知らない人が家にいるなんて、恐怖以外の何物でもないよ」
幽霊「そっちの意味で怖いんですか」
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【サトリツンデレ3】
2012年06月26日
今日は梅雨という噂なのだが、幸いな事に晴れている。雨でないのは嬉しいが、暑いのだけは勘弁な。
とか思いながらぷらぷら通学路を歩いてると、一際目を引く人物が曲がり角から現れた。
(あの目立つ金髪、そしてブラをしててもなお揺れるあの乳は……転校生か! どうする、声をかけるか? ……まあ、一応はクラスメイトだし、昨日友達になったし、大丈夫だよな)
「お、おはよー」
しかし、転校生はこちらを見ることもなく、そのままスタスタと行ってしまった。
(……無視? 昨日少しだけ仲良くなれたと思ったのだが……。それとも昨日の出来事は夢だったのか? ……なるほど、それなら先の行動も理解できる。俺の妄想は記憶を捏造するくらい酷くなっているのだなあ)
などと悲しみに暮れていると、転校生がびっくりしたような顔でこちらを見ていることに気づいた。落ち窪んだ気分をどうにか奮い立たせ、再び挨拶をしかける。
「え、あ、お、おっはー」
(今更おはスタ!? 慌てていたとはいえ、なんたる時代錯誤! この恥辱をそそぐには死ぬしかない。放課後にでも縄を買いに行こう)
死を決意していると、何やら転校生があわあわしだした。何だろう。
「……お、お」
「ん?」
「……お、おっはー」
どういうわけか、転校生は顔を真っ赤にしながら精一杯という感じでおっはーを返した。フリつきで。
(……局地的におっはーが再流行していたのか? 何にせよ、助かった。しかし、そんな恥ずかしいのならしなくてもいいのに。変な奴)
「……誰のためにしてあげたと思ってるのっ」(ぼそり)
なんか知らんが転校生が半泣きで俺を睨みながら何か呟いてた。
「ええと。学校にはもう慣れた?」
「……ふん。そんなすぐ慣れたりなんてしません」
「そ、そりゃそうか」
(……言葉が冷たい。昨日友達になったハズなんだけど。話しかけられるのが嫌なのだろうか)
横目で転校生を盗み見る。つーんと澄ました顔の下で、おっぱいがどでーんと存在を主張していた。
(ふぅむ。改めて見ると、やっぱでかいなあ。デカメロン伝説だなあ。無理だろうけど、一度揉んでみたいなあ)
「……はぁ。どこ見てるんですか」
隣で揺れてる乳を見つめていると、転校生がため息を吐きながら冷たい視線を俺に送ってることに気づいた。
「いや、おっぱいを少々見ていただけなんだ」
これはまずいと思ったが、気がつくと思ったままのことを言っていた。
「……え?」
想定外の答えだったのか、転校生はハトが豆鉄砲食らったみたいな顔をした。まずいと思ったが、止まらない。
「や、見ただけで触りませんよ? けどまあ、こうも近くに大きなおっぱいがあると、男ってのは見たくなるもんなんです。だから、目線がそっちに行っても、許してはもらえないだろうか」
「…………」
(いかん。依然変わらずぽかーんだ)
「じゃあもういっそ揉ましてくれないだろうか」
「な……何を言ってるんですか!?」
ようやっと意識が戻ったのか、転校生は顔を真っ赤にしながらそう叫んだ。
「いや本当に、何を言ってるんだろう」
(どうして俺はテンパると思ったまま言ってしまうのだろう。我ながら頭がおかしいとしか思えない)
転校生はびっくりした顔でしばらく俺を見つめた後、突然吹き出した。
「ええと。何なのだろうか」
「……ふふっ。いいえ、なんでもありません。……そう、貴方はそういう人なんですね」
「?」
何か勝手に納得された。どう判断されたのか、ちょっと気になる。
「それより、いい加減私のことを名前で呼んでもらえませんか? 転校生呼ばわりは、ちょっと悲しいです」
「あ、それもそうか。ええと……」
(いかん。覚えてない。……乳山乳子だったか? 絶対に違うと言い切れる。……だが!)
「よろしくな、乳山乳子」
にっこり笑いながら、手を差し出す。
「……横溝リネアです」
転校生改め横溝リネアは、引きつった笑みを浮かべながら俺の手を万力の如く締め付けた。
(もぎ取れる! なんだこの力は!? きっと親類縁者にゴリラ族がいるに違いない!)
「いませんっ!」
「はい?」
「え、あ、いや、なんでもないですっ! ……昨日も教えたんだから、ちゃんと覚えてくださいね、別府くん」
(覚えてくれてたのは嬉しいが、苗字かあ。……まあいっか)
「ああ。悪かったな、横溝」
「……リネアです。名前で呼んでください」
「え、あ、や、まあ」
「昨日もそう言ったのに……」
「その、やはり女性のファーストネームを気安く呼ぶのは少々抵抗が」
「私がそう呼んで欲しい、と言ってるのに?」
「……ああもう、分かったよ。リネアね、リネア」
「そう、それでいいんです♪ ……この名前、結構気に入ってるんですよ?」
とっておきの秘密を打ち明けるかのように、リネアはチャーミングに片目をつむりながら俺に言った。
「リニアモーターカーに似てるから?」
「…………」
そんな可愛らしい顔を即座に粉砕し、うんざりさせる俺の話術は大した物と言えるだろう。
「……似てません」
「実は俺もそうじゃないかと密かに思ってたんだ」
「じゃあ言わないでください!」
「本当になあ……」
「何をしみじみ遠くを眺めてるんですか! 別府くんの話をしてるんですよ!?」
「ところで、リネア」
「なんですかっ!」
「そろそろ急がないと遅刻するぞ?」
「えっ?」
リネアはポケットからケータイを取り出し、時間を確認した。
「どういうことですかっ!?」
「無駄話とはかくも恐ろしいものなんだなあ……」
「何をまた遠い目をしてるんですかっ! ほらほらっ、急ぎますよっ!」ギュッ
「はへえっ」
「きゃっ!? な、なに!?」
「いや、あの、突然手を握られて狼狽してうろたえた結果、あのような声が」
「一緒の意味ですっ! ……て、手を握ったのは、急ぐためです。た、他意なんてないですっ!」
「いや、繋がないで走ったほうが速いと思うが」
「…………。じゃあ一生別府くんと手なんて繋ぎませんからねっ!」
(しまった。言い過ぎたようだ。もうあの感触を味わえないとは。帰ったらさっきの感触を反芻してから死のう)
「って、ていうのは冗談、冗談ですからね? ね、ね?」
とか思ってたら、何やら慌てた様子でリネアがまた手を握ってきたので、またしてもはへぇっ。
「ほ、ほら、行きますよ?」
「は、はい」
(柔らかい手が柔らかいスベスベする気持ちいい一生手を繋いでいたい最高すぎるリネアとずっと一緒にいたいなあ!)
「~~~~~っ! な、なにをぼーっとしてるんですかっ! い、急いでるんですから!」
なんか知らんが超絶顔が赤いリネアに手を引っ張られながら、通学路を疾走しました。
とか思いながらぷらぷら通学路を歩いてると、一際目を引く人物が曲がり角から現れた。
(あの目立つ金髪、そしてブラをしててもなお揺れるあの乳は……転校生か! どうする、声をかけるか? ……まあ、一応はクラスメイトだし、昨日友達になったし、大丈夫だよな)
「お、おはよー」
しかし、転校生はこちらを見ることもなく、そのままスタスタと行ってしまった。
(……無視? 昨日少しだけ仲良くなれたと思ったのだが……。それとも昨日の出来事は夢だったのか? ……なるほど、それなら先の行動も理解できる。俺の妄想は記憶を捏造するくらい酷くなっているのだなあ)
などと悲しみに暮れていると、転校生がびっくりしたような顔でこちらを見ていることに気づいた。落ち窪んだ気分をどうにか奮い立たせ、再び挨拶をしかける。
「え、あ、お、おっはー」
(今更おはスタ!? 慌てていたとはいえ、なんたる時代錯誤! この恥辱をそそぐには死ぬしかない。放課後にでも縄を買いに行こう)
死を決意していると、何やら転校生があわあわしだした。何だろう。
「……お、お」
「ん?」
「……お、おっはー」
どういうわけか、転校生は顔を真っ赤にしながら精一杯という感じでおっはーを返した。フリつきで。
(……局地的におっはーが再流行していたのか? 何にせよ、助かった。しかし、そんな恥ずかしいのならしなくてもいいのに。変な奴)
「……誰のためにしてあげたと思ってるのっ」(ぼそり)
なんか知らんが転校生が半泣きで俺を睨みながら何か呟いてた。
「ええと。学校にはもう慣れた?」
「……ふん。そんなすぐ慣れたりなんてしません」
「そ、そりゃそうか」
(……言葉が冷たい。昨日友達になったハズなんだけど。話しかけられるのが嫌なのだろうか)
横目で転校生を盗み見る。つーんと澄ました顔の下で、おっぱいがどでーんと存在を主張していた。
(ふぅむ。改めて見ると、やっぱでかいなあ。デカメロン伝説だなあ。無理だろうけど、一度揉んでみたいなあ)
「……はぁ。どこ見てるんですか」
隣で揺れてる乳を見つめていると、転校生がため息を吐きながら冷たい視線を俺に送ってることに気づいた。
「いや、おっぱいを少々見ていただけなんだ」
これはまずいと思ったが、気がつくと思ったままのことを言っていた。
「……え?」
想定外の答えだったのか、転校生はハトが豆鉄砲食らったみたいな顔をした。まずいと思ったが、止まらない。
「や、見ただけで触りませんよ? けどまあ、こうも近くに大きなおっぱいがあると、男ってのは見たくなるもんなんです。だから、目線がそっちに行っても、許してはもらえないだろうか」
「…………」
(いかん。依然変わらずぽかーんだ)
「じゃあもういっそ揉ましてくれないだろうか」
「な……何を言ってるんですか!?」
ようやっと意識が戻ったのか、転校生は顔を真っ赤にしながらそう叫んだ。
「いや本当に、何を言ってるんだろう」
(どうして俺はテンパると思ったまま言ってしまうのだろう。我ながら頭がおかしいとしか思えない)
転校生はびっくりした顔でしばらく俺を見つめた後、突然吹き出した。
「ええと。何なのだろうか」
「……ふふっ。いいえ、なんでもありません。……そう、貴方はそういう人なんですね」
「?」
何か勝手に納得された。どう判断されたのか、ちょっと気になる。
「それより、いい加減私のことを名前で呼んでもらえませんか? 転校生呼ばわりは、ちょっと悲しいです」
「あ、それもそうか。ええと……」
(いかん。覚えてない。……乳山乳子だったか? 絶対に違うと言い切れる。……だが!)
「よろしくな、乳山乳子」
にっこり笑いながら、手を差し出す。
「……横溝リネアです」
転校生改め横溝リネアは、引きつった笑みを浮かべながら俺の手を万力の如く締め付けた。
(もぎ取れる! なんだこの力は!? きっと親類縁者にゴリラ族がいるに違いない!)
「いませんっ!」
「はい?」
「え、あ、いや、なんでもないですっ! ……昨日も教えたんだから、ちゃんと覚えてくださいね、別府くん」
(覚えてくれてたのは嬉しいが、苗字かあ。……まあいっか)
「ああ。悪かったな、横溝」
「……リネアです。名前で呼んでください」
「え、あ、や、まあ」
「昨日もそう言ったのに……」
「その、やはり女性のファーストネームを気安く呼ぶのは少々抵抗が」
「私がそう呼んで欲しい、と言ってるのに?」
「……ああもう、分かったよ。リネアね、リネア」
「そう、それでいいんです♪ ……この名前、結構気に入ってるんですよ?」
とっておきの秘密を打ち明けるかのように、リネアはチャーミングに片目をつむりながら俺に言った。
「リニアモーターカーに似てるから?」
「…………」
そんな可愛らしい顔を即座に粉砕し、うんざりさせる俺の話術は大した物と言えるだろう。
「……似てません」
「実は俺もそうじゃないかと密かに思ってたんだ」
「じゃあ言わないでください!」
「本当になあ……」
「何をしみじみ遠くを眺めてるんですか! 別府くんの話をしてるんですよ!?」
「ところで、リネア」
「なんですかっ!」
「そろそろ急がないと遅刻するぞ?」
「えっ?」
リネアはポケットからケータイを取り出し、時間を確認した。
「どういうことですかっ!?」
「無駄話とはかくも恐ろしいものなんだなあ……」
「何をまた遠い目をしてるんですかっ! ほらほらっ、急ぎますよっ!」ギュッ
「はへえっ」
「きゃっ!? な、なに!?」
「いや、あの、突然手を握られて狼狽してうろたえた結果、あのような声が」
「一緒の意味ですっ! ……て、手を握ったのは、急ぐためです。た、他意なんてないですっ!」
「いや、繋がないで走ったほうが速いと思うが」
「…………。じゃあ一生別府くんと手なんて繋ぎませんからねっ!」
(しまった。言い過ぎたようだ。もうあの感触を味わえないとは。帰ったらさっきの感触を反芻してから死のう)
「って、ていうのは冗談、冗談ですからね? ね、ね?」
とか思ってたら、何やら慌てた様子でリネアがまた手を握ってきたので、またしてもはへぇっ。
「ほ、ほら、行きますよ?」
「は、はい」
(柔らかい手が柔らかいスベスベする気持ちいい一生手を繋いでいたい最高すぎるリネアとずっと一緒にいたいなあ!)
「~~~~~っ! な、なにをぼーっとしてるんですかっ! い、急いでるんですから!」
なんか知らんが超絶顔が赤いリネアに手を引っ張られながら、通学路を疾走しました。
【傘を盗まれたところをツンデレに見られたら】
2012年06月23日
今日も雨が降っている。梅雨なので毎日のことだ。というわけで傘を持ってきている。持ってきているハズなんだ。朝、傘立てに入れたんだけどなあ。
「…………」
「ちょっと、何やってんのよ」
「いやね、俺の傘がどうやら知らない間に擬人化してどこかへ出かけたようなんだ。だから、どうにか探しだしてこれから毎日家を焼……いや、これから毎日一緒に楽しく過ごす予定なんだ」
「なくなったの? 誰かにパクられた?」
「…………」
「ぷふ~っ! こういうところで日頃の行いが出るわね~♪」
「そんな放屁で揶揄しなくてもいいだろうに」
「おならじゃないわよっ! 口で言ったの!」
誰かに後頭部を殴られた。
「痛いなあ……何すんでい」
「アンタのせいよっ!」
探すのを一時中断し、埃を払って立ち上がる。目の前に不機嫌そうな顔をしたかなみがいた。
「で、で? どうなの? なくなったの?」
しかし、一転して機嫌良さげに嫌なことを聞いてきた。なんて性格だこの娘。
「いや、俺の目論見だと、ようやっと九十九神になったはいいが、突然のことに物陰に隠れていると踏んでいるのだが」
「はいはい、はーい。戯言はいいから」
「ばか、俺から戯言を取ったら何も残らないぞ」
「自信満々に言うなっ!」
「付け加えるなら、雨の時にしか使われないので、少しネガティブな感じの子になってると思う。頭なでて大丈夫だよ、君は必要なんだよって言ってあげたい」
「うわっ、キモッ!」
「俺が思ったことを言うと、往々にしてそういう鳴き声が聞こえる。その鳴き方流行ってるの?」
「鳴き声じゃないわよ! 気持ち悪いって言ってるの!」
「臆病な自尊心が気づかないフリをしろと告げるんだ。あと、尊大な羞恥心も」
「どこの山月記よ……」
かなみは思ったより博識だった。分からないネタだと思ったのに。
「……んーでっ。アンタ、傘もないのに今日はどうやって帰るの?」
「瞬間移動」
「んじゃやってみなさいよっ!」
「んなのできるわけねーじゃねーか。ばーかばーかばーか」
「…………」ギリギリ
「ぐげげぇ」
小学生みたいな囃し声をあげたら首を締められた。このお嬢さんのツッコミは生死に関わることがあるので、もうちょっと優しい感じのでお願いしたい。
「げほっげほっ……あのさ、死ぬから。そこを締められると、死ぬから」
「早く死になさい」
「嫌です」
「まったく……で、濡れて帰るの?」
「もうしばらく探すつもりだが、見つからないならそうするしかあるまい。はぁ……なんで人のをパクったりするかなあ……」
「あはっ、とうとうパクられたって認めたわね」
「おどけてでもなけりゃ、正直やってられねえよ。ああもう、人間不信になりそうだ」
「ちょ、ちょっと。なにを大袈裟な……」
「自分でもそう思うが、やられると結構なダメージだぞ? あー、ヘコむわ……」
「…………。……じゃ、じゃあさ。ヘコむのと同じくらい嬉しいことあったら、人間不信が直るわよね?」
どういうわけか、かなみは顔を赤くしながら何かを決意したような顔でそう言った。
「? や、別になりそうなだけで、なってるわけじゃ……」
「いいから! そうよね!?」
「は、はい」
勢いに押されて思わず肯定する。一体何をしようというのか、このお嬢さんは。
「…………」
固唾を飲んで様子を伺っていると、かなみは傘立てに近づいた。そして中を探り、一本の傘を抜き取った。鮮やかな赤の傘だ。
「ほ、ほら。何ぼーっとしてるのよ。帰るわよ」
「え、いや、俺は自分の傘を探さないといけないから」
「どうせ誰かにパクられてるわよ。だ、だから今日のところは、……そ、その。……わっ、私と一緒に帰ったらいいじゃない」
「や、だから傘が」
「……あ、アンタも一緒に私の傘に入ったらいいじゃない」
視線は足元に、顔は傘に負けないくらい赤く染め、かなみが呟く。
「かっ、勘違いしないでよねっ!? アンタがヘコんだりしてたら殴っても楽しくないから嫌々傘に入れてやるってだけで、アンタと相合傘なんて生涯最後なんだからねっ!?」
かなみは俺を見ると、ものすごい勢いでまくしたてた。あと顔が超赤いです。
「え、あ、は、はい。……はい?」
あまりの勢いに、何がなんだか分からなくなる。
「な、なによ。……それとも、嫌なの?」
「いいえいいえいいえいいえ!」ブルブルブル
「そ、そんないっぱい否定しなくていいケド……じゃ、じゃあ、どする? もちょっと探す? それとも帰る?」
「え、ええと、帰るます」
「そ、そうね。今日のところはそうね。うん」
何かコクコクうなずきながら、かなみは昇降口へ向かうと、こちらに振り向いた。
「ほら、何してんのよ。帰るわよ、ばか」
「あ、ああ」
慌ててかなみの元へ向かい、隣に立つ。
「……ん、んじゃ、帰るわよ」
「あ、ああ」
ばさりと傘を広げ、かなみはその下に入った。遅れて俺も入る。
「あ、あんまり近寄らないでよね」
「友達に噂とかされると恥ずかしいから?」
「どんな時でも気持ち悪いわねぇ……」
呆れた様子でかなみはため息をついた。それと同時に、肩の力も抜けたようだ。うむ、よし。
「…………。……えへへっ」
「なんですか」
「なんでもないないっ♪」バシバシ
「痛い痛い」
なんか知らんが背中をバシバシと叩かれた。痛いんですの。
「ほらほらっ、アンタの方が背高いんだから、傘持ちなさいよ」
「遠近法の関係でそう見えるだけだ。だからお前が持ってろ」
「んなわけないでしょっ! ほら持った持った!」
無理やりに柄を持たされた。まだかなみの体温が残ってる。
「にひひっ、らっくちーん♪」
「やるェやるェ」
「なんで巻き舌!? 普通にやれやれって言いなさいよ!」
「やれやれは言いたかったが、やれやれ系主人公にはなりなくなかったので、苦肉の策だ」
「今日も変な奴ー♪」
なんだか嬉しそうに、かなみは歩き出した。遅れて俺も続く。
「にしても、アンタもついてないわよね。傘を盗まれるなんてさ?」
「んー、まあ、なあ」
「なによ、奥歯に物が挟まったみたいな言い方して」
「ついてないのは確かだが、こうしてかなみと一緒に相合傘で帰れるので、プラマイゼロ、むしろプラスの方が大きいから、どちらかと言えば幸運じゃないかなー、と思ったので」
「な……」
みるみるかなみの顔が赤くなっていく。忙しい奴め。
「……こっ、今回だけの特別よっ! そ、そんなの、毎回毎回なんてありえないからねっ!?」
「へーへー」
「次はちゃんと傘に名前をでっかく書いておきなさいよねっ!? 盗まれないようにっ!」
「分かった、書く。俺の名前をでっかく書いた100円のビニ傘持ってくる」
「盗まれる気マンマンじゃないのっ! ……そ、そんなに相合傘したいの?」
「う」
「そ、それなら、たまにならしてあげるから……ちゃんと普通の傘に名前書いて持って来なさい。ね?」
「は、はい」
優しくたしなめられては、何も抵抗できない。
「よろしい♪ ……す、素直な子には、ご褒美が必要よね」ギュッ
「へ? ……はふぇ!?」
「へ、変な声出すな、ばかっ!」
突然、かなみが傘の柄を握った。俺の手の上から。
「い、いや、その、あの、そこ俺の手がありますよ?」
「し、知ってるわよ! わざわざ言うな、ばかっ!」
「いやはや、その、なんというか、なんて言いますか!」
「よ、喜ぶな変態っ! ご、ご褒美だから! それ以外の感情なんて何もないからねっ!」
「ああもう、一年を通してずっと雨が降ればいいのに!」
「だから、喜ぶな変態っ!」
空いてる手でぺこぽこ叩かれながらも、手に触れる感触はそのままに、一緒に楽しく帰りました。
「…………」
「ちょっと、何やってんのよ」
「いやね、俺の傘がどうやら知らない間に擬人化してどこかへ出かけたようなんだ。だから、どうにか探しだしてこれから毎日家を焼……いや、これから毎日一緒に楽しく過ごす予定なんだ」
「なくなったの? 誰かにパクられた?」
「…………」
「ぷふ~っ! こういうところで日頃の行いが出るわね~♪」
「そんな放屁で揶揄しなくてもいいだろうに」
「おならじゃないわよっ! 口で言ったの!」
誰かに後頭部を殴られた。
「痛いなあ……何すんでい」
「アンタのせいよっ!」
探すのを一時中断し、埃を払って立ち上がる。目の前に不機嫌そうな顔をしたかなみがいた。
「で、で? どうなの? なくなったの?」
しかし、一転して機嫌良さげに嫌なことを聞いてきた。なんて性格だこの娘。
「いや、俺の目論見だと、ようやっと九十九神になったはいいが、突然のことに物陰に隠れていると踏んでいるのだが」
「はいはい、はーい。戯言はいいから」
「ばか、俺から戯言を取ったら何も残らないぞ」
「自信満々に言うなっ!」
「付け加えるなら、雨の時にしか使われないので、少しネガティブな感じの子になってると思う。頭なでて大丈夫だよ、君は必要なんだよって言ってあげたい」
「うわっ、キモッ!」
「俺が思ったことを言うと、往々にしてそういう鳴き声が聞こえる。その鳴き方流行ってるの?」
「鳴き声じゃないわよ! 気持ち悪いって言ってるの!」
「臆病な自尊心が気づかないフリをしろと告げるんだ。あと、尊大な羞恥心も」
「どこの山月記よ……」
かなみは思ったより博識だった。分からないネタだと思ったのに。
「……んーでっ。アンタ、傘もないのに今日はどうやって帰るの?」
「瞬間移動」
「んじゃやってみなさいよっ!」
「んなのできるわけねーじゃねーか。ばーかばーかばーか」
「…………」ギリギリ
「ぐげげぇ」
小学生みたいな囃し声をあげたら首を締められた。このお嬢さんのツッコミは生死に関わることがあるので、もうちょっと優しい感じのでお願いしたい。
「げほっげほっ……あのさ、死ぬから。そこを締められると、死ぬから」
「早く死になさい」
「嫌です」
「まったく……で、濡れて帰るの?」
「もうしばらく探すつもりだが、見つからないならそうするしかあるまい。はぁ……なんで人のをパクったりするかなあ……」
「あはっ、とうとうパクられたって認めたわね」
「おどけてでもなけりゃ、正直やってられねえよ。ああもう、人間不信になりそうだ」
「ちょ、ちょっと。なにを大袈裟な……」
「自分でもそう思うが、やられると結構なダメージだぞ? あー、ヘコむわ……」
「…………。……じゃ、じゃあさ。ヘコむのと同じくらい嬉しいことあったら、人間不信が直るわよね?」
どういうわけか、かなみは顔を赤くしながら何かを決意したような顔でそう言った。
「? や、別になりそうなだけで、なってるわけじゃ……」
「いいから! そうよね!?」
「は、はい」
勢いに押されて思わず肯定する。一体何をしようというのか、このお嬢さんは。
「…………」
固唾を飲んで様子を伺っていると、かなみは傘立てに近づいた。そして中を探り、一本の傘を抜き取った。鮮やかな赤の傘だ。
「ほ、ほら。何ぼーっとしてるのよ。帰るわよ」
「え、いや、俺は自分の傘を探さないといけないから」
「どうせ誰かにパクられてるわよ。だ、だから今日のところは、……そ、その。……わっ、私と一緒に帰ったらいいじゃない」
「や、だから傘が」
「……あ、アンタも一緒に私の傘に入ったらいいじゃない」
視線は足元に、顔は傘に負けないくらい赤く染め、かなみが呟く。
「かっ、勘違いしないでよねっ!? アンタがヘコんだりしてたら殴っても楽しくないから嫌々傘に入れてやるってだけで、アンタと相合傘なんて生涯最後なんだからねっ!?」
かなみは俺を見ると、ものすごい勢いでまくしたてた。あと顔が超赤いです。
「え、あ、は、はい。……はい?」
あまりの勢いに、何がなんだか分からなくなる。
「な、なによ。……それとも、嫌なの?」
「いいえいいえいいえいいえ!」ブルブルブル
「そ、そんないっぱい否定しなくていいケド……じゃ、じゃあ、どする? もちょっと探す? それとも帰る?」
「え、ええと、帰るます」
「そ、そうね。今日のところはそうね。うん」
何かコクコクうなずきながら、かなみは昇降口へ向かうと、こちらに振り向いた。
「ほら、何してんのよ。帰るわよ、ばか」
「あ、ああ」
慌ててかなみの元へ向かい、隣に立つ。
「……ん、んじゃ、帰るわよ」
「あ、ああ」
ばさりと傘を広げ、かなみはその下に入った。遅れて俺も入る。
「あ、あんまり近寄らないでよね」
「友達に噂とかされると恥ずかしいから?」
「どんな時でも気持ち悪いわねぇ……」
呆れた様子でかなみはため息をついた。それと同時に、肩の力も抜けたようだ。うむ、よし。
「…………。……えへへっ」
「なんですか」
「なんでもないないっ♪」バシバシ
「痛い痛い」
なんか知らんが背中をバシバシと叩かれた。痛いんですの。
「ほらほらっ、アンタの方が背高いんだから、傘持ちなさいよ」
「遠近法の関係でそう見えるだけだ。だからお前が持ってろ」
「んなわけないでしょっ! ほら持った持った!」
無理やりに柄を持たされた。まだかなみの体温が残ってる。
「にひひっ、らっくちーん♪」
「やるェやるェ」
「なんで巻き舌!? 普通にやれやれって言いなさいよ!」
「やれやれは言いたかったが、やれやれ系主人公にはなりなくなかったので、苦肉の策だ」
「今日も変な奴ー♪」
なんだか嬉しそうに、かなみは歩き出した。遅れて俺も続く。
「にしても、アンタもついてないわよね。傘を盗まれるなんてさ?」
「んー、まあ、なあ」
「なによ、奥歯に物が挟まったみたいな言い方して」
「ついてないのは確かだが、こうしてかなみと一緒に相合傘で帰れるので、プラマイゼロ、むしろプラスの方が大きいから、どちらかと言えば幸運じゃないかなー、と思ったので」
「な……」
みるみるかなみの顔が赤くなっていく。忙しい奴め。
「……こっ、今回だけの特別よっ! そ、そんなの、毎回毎回なんてありえないからねっ!?」
「へーへー」
「次はちゃんと傘に名前をでっかく書いておきなさいよねっ!? 盗まれないようにっ!」
「分かった、書く。俺の名前をでっかく書いた100円のビニ傘持ってくる」
「盗まれる気マンマンじゃないのっ! ……そ、そんなに相合傘したいの?」
「う」
「そ、それなら、たまにならしてあげるから……ちゃんと普通の傘に名前書いて持って来なさい。ね?」
「は、はい」
優しくたしなめられては、何も抵抗できない。
「よろしい♪ ……す、素直な子には、ご褒美が必要よね」ギュッ
「へ? ……はふぇ!?」
「へ、変な声出すな、ばかっ!」
突然、かなみが傘の柄を握った。俺の手の上から。
「い、いや、その、あの、そこ俺の手がありますよ?」
「し、知ってるわよ! わざわざ言うな、ばかっ!」
「いやはや、その、なんというか、なんて言いますか!」
「よ、喜ぶな変態っ! ご、ご褒美だから! それ以外の感情なんて何もないからねっ!」
「ああもう、一年を通してずっと雨が降ればいいのに!」
「だから、喜ぶな変態っ!」
空いてる手でぺこぽこ叩かれながらも、手に触れる感触はそのままに、一緒に楽しく帰りました。
【ハナ 梅雨】
2012年06月22日
今月は梅雨なので雨がすごい。そして今日は傘なんてその存在意義を問われそうなくらい役に立たないレベルの雨が降っている。
「うう……びしょびしょです」
そんなわけで、帰宅を諦め公園の東屋に一時避難。だが、既に俺も恋人のハナも雨で濡れ濡れだ。
「本当だな。服が透けて下着が見えて嬉しいな」
「はや、はやややや!? こ、これはダメです、見てはダメです!」
ハナは顔を真っ赤にして胸元を覆い隠した。
「大丈夫だ、ハナ! 幸いにしてこの公園には俺たちしかいない。だから、さあ、乳を見せろ」
「御免被ります。乳は見せません」
「あ、よく観たら乳はなかった。ないものねだりはよくなかったな。はっはっは」
「女性として鼎の軽重を問われています! あります、おっぱいはあります!」
「…………。いや、そんなことはない」
「じっくり見られてそう言われては、返す言葉がないです……」
なんだかしょんぼりしてしまったので、頭をなでて慰める。
「冗談だよ、ハナ。俺はそういうちっこいのが大好きなんだ」ナデナデ
「その言葉となでなでで、しょんぼりがどこかへ行ってしまいました♪」
「まあそれはそれとして小さいですよね」
「しょんぼりさん、ご帰還です……」ションボリ
「いやはや、今日も可愛いなあ!」ナデナデナデ
「今日もからかわれていた様子です……くしゅっ」
「あ。……うーむ、止まないなあ」
ちらりと外を見る。雨は勢いを弱めるどころか、どこか増しているような気さえする。
「だ、だいじょぶです。ちょっとくしゃみが出ただけです。このくらいじゃ風邪なんてひきません。ヘッチャラです。ハナは強い子です」
「ふむン……ちょい失礼」ギュッ
「ふやっ!?」
ハナの身体をむぎゅっと抱きしめる。濡れてて冷たいが、俺の体温で少しはマシだろう。
「あ、彰人くんっ、彰人くんっ!?」
「はいはい」ナデナデ
「はぅー……。……いやいやっ、違いますっ! 思わず落ち着いちゃいましたが、違いますっ! こっ、こんなお外で抱っこなんて、恥ずかしいですっ!」
「まあ、人目もないことだし、少しだけ我慢してくださいよ。こうしてりゃちょっとは暖かいだろうし。雨の勢いが弱るまでの我慢ですよ、我慢」
「が、我慢というか、とってもとっても嬉しいですが……あ、あの、恥ずかしいのがどうにもこうにも困っちゃいます」
ハナは困ったような恥ずかしそうな顔で俺を見上げた。むぎゅー、とその頭を俺の胸に押し付ける。
「はぅぅ……」
「ハナって頭小さいよな」
「自分じゃ分からないです……」
なんとなくハナの頭にあごを乗せる。
「はぅ。私の頭はあご置き場じゃないですよ?」
「いや、あご置き場だ」
「奇妙極まる置き場にされました……」
「ただ、俺専用のあご置き場だ」
「……はい。それは、その、いい感じです」
「なんだそりゃ」
「その……独占欲が、いい感じに作用した感じです」
「実に感じまくりだな。ハナは敏感なのか?」
「勘違いされている様子です……」
「よし、確かめてみよう」ナデナデ
「はぅー……」
「不感症だ」
「大変に失礼です! 敏感です!」
「だって、頭なでたらはぅーって言うだけでちっとも感じやがらねえ」
「うっとりしただけです! 幸福に耽っていただけです!」
「負けじとこちらもなでてると幸せですよ?」
「今日も彰人くんは嬉しいことばかり言って私を喜ばせるので要注意です」
「この娘は変だなあ」ナデナデ
「彰人くんに変呼ばわりされるとは、予想だにしませんでした……」
と失礼なことを言われつつなでなですりすりしてたら、いつの間にか雨脚が弱くなったようだ。
「ハナ、今なら大丈夫っぽいぞ」
「はいっ!? ……は、はい」
なんか知らんがハナが目をつむって口をむちゅーってしだした。
「いや、雨が弱くなったから帰ろうか、って話のつもりだったのだけど」
「…………」
目をつむったまま、ハナの顔がとんでもなく赤くなっていく。
「……このまま消えてしまいたいほど恥ずかしいです」
ゆっくりと開いた目は、既に半泣きだった。
「ふむン。ちょい失礼」
「!!?」
ちゅっ、とハナの口に自分のそれを合わせる。少し湿ってて、そして慣れた感触が唇に訪れる。
「あっ、あきっ、彰人くん!?」
「はいはい」ナデナデ
「こ、今度ばかりははぅーって場合じゃないです! ちゅ、ちゅー! ちゅーしました!」
「気持ちよかったです」
「はいっ! ……いやいや、はいじゃないです。何を元気よく返事してるんですか、私は」
「んじゃ、帰ろっか?」
「は、はい。……あの、彰人くん。さっきのちゅーはどういうことか説明する義務があると思います」
「ハナが可愛いくてちゅーしたくなったので、した」
「……そ、それはずるい説明です。反論とか抗議とかできなくなっちゃいます」
「俺の狙いはばつぐんだ!」
「……私の勘違いで恥ずかしくなっちゃったのをかき消す、華麗な策です。今日も彰人くんは素敵すぎです」
「……全く。恋人の頭がよいと困るね」ナデナデ
「それはこっちの台詞ですよ、彰人くん?」
ご機嫌な感じのハナと一緒に、相合傘で帰りました。
「うう……びしょびしょです」
そんなわけで、帰宅を諦め公園の東屋に一時避難。だが、既に俺も恋人のハナも雨で濡れ濡れだ。
「本当だな。服が透けて下着が見えて嬉しいな」
「はや、はやややや!? こ、これはダメです、見てはダメです!」
ハナは顔を真っ赤にして胸元を覆い隠した。
「大丈夫だ、ハナ! 幸いにしてこの公園には俺たちしかいない。だから、さあ、乳を見せろ」
「御免被ります。乳は見せません」
「あ、よく観たら乳はなかった。ないものねだりはよくなかったな。はっはっは」
「女性として鼎の軽重を問われています! あります、おっぱいはあります!」
「…………。いや、そんなことはない」
「じっくり見られてそう言われては、返す言葉がないです……」
なんだかしょんぼりしてしまったので、頭をなでて慰める。
「冗談だよ、ハナ。俺はそういうちっこいのが大好きなんだ」ナデナデ
「その言葉となでなでで、しょんぼりがどこかへ行ってしまいました♪」
「まあそれはそれとして小さいですよね」
「しょんぼりさん、ご帰還です……」ションボリ
「いやはや、今日も可愛いなあ!」ナデナデナデ
「今日もからかわれていた様子です……くしゅっ」
「あ。……うーむ、止まないなあ」
ちらりと外を見る。雨は勢いを弱めるどころか、どこか増しているような気さえする。
「だ、だいじょぶです。ちょっとくしゃみが出ただけです。このくらいじゃ風邪なんてひきません。ヘッチャラです。ハナは強い子です」
「ふむン……ちょい失礼」ギュッ
「ふやっ!?」
ハナの身体をむぎゅっと抱きしめる。濡れてて冷たいが、俺の体温で少しはマシだろう。
「あ、彰人くんっ、彰人くんっ!?」
「はいはい」ナデナデ
「はぅー……。……いやいやっ、違いますっ! 思わず落ち着いちゃいましたが、違いますっ! こっ、こんなお外で抱っこなんて、恥ずかしいですっ!」
「まあ、人目もないことだし、少しだけ我慢してくださいよ。こうしてりゃちょっとは暖かいだろうし。雨の勢いが弱るまでの我慢ですよ、我慢」
「が、我慢というか、とってもとっても嬉しいですが……あ、あの、恥ずかしいのがどうにもこうにも困っちゃいます」
ハナは困ったような恥ずかしそうな顔で俺を見上げた。むぎゅー、とその頭を俺の胸に押し付ける。
「はぅぅ……」
「ハナって頭小さいよな」
「自分じゃ分からないです……」
なんとなくハナの頭にあごを乗せる。
「はぅ。私の頭はあご置き場じゃないですよ?」
「いや、あご置き場だ」
「奇妙極まる置き場にされました……」
「ただ、俺専用のあご置き場だ」
「……はい。それは、その、いい感じです」
「なんだそりゃ」
「その……独占欲が、いい感じに作用した感じです」
「実に感じまくりだな。ハナは敏感なのか?」
「勘違いされている様子です……」
「よし、確かめてみよう」ナデナデ
「はぅー……」
「不感症だ」
「大変に失礼です! 敏感です!」
「だって、頭なでたらはぅーって言うだけでちっとも感じやがらねえ」
「うっとりしただけです! 幸福に耽っていただけです!」
「負けじとこちらもなでてると幸せですよ?」
「今日も彰人くんは嬉しいことばかり言って私を喜ばせるので要注意です」
「この娘は変だなあ」ナデナデ
「彰人くんに変呼ばわりされるとは、予想だにしませんでした……」
と失礼なことを言われつつなでなですりすりしてたら、いつの間にか雨脚が弱くなったようだ。
「ハナ、今なら大丈夫っぽいぞ」
「はいっ!? ……は、はい」
なんか知らんがハナが目をつむって口をむちゅーってしだした。
「いや、雨が弱くなったから帰ろうか、って話のつもりだったのだけど」
「…………」
目をつむったまま、ハナの顔がとんでもなく赤くなっていく。
「……このまま消えてしまいたいほど恥ずかしいです」
ゆっくりと開いた目は、既に半泣きだった。
「ふむン。ちょい失礼」
「!!?」
ちゅっ、とハナの口に自分のそれを合わせる。少し湿ってて、そして慣れた感触が唇に訪れる。
「あっ、あきっ、彰人くん!?」
「はいはい」ナデナデ
「こ、今度ばかりははぅーって場合じゃないです! ちゅ、ちゅー! ちゅーしました!」
「気持ちよかったです」
「はいっ! ……いやいや、はいじゃないです。何を元気よく返事してるんですか、私は」
「んじゃ、帰ろっか?」
「は、はい。……あの、彰人くん。さっきのちゅーはどういうことか説明する義務があると思います」
「ハナが可愛いくてちゅーしたくなったので、した」
「……そ、それはずるい説明です。反論とか抗議とかできなくなっちゃいます」
「俺の狙いはばつぐんだ!」
「……私の勘違いで恥ずかしくなっちゃったのをかき消す、華麗な策です。今日も彰人くんは素敵すぎです」
「……全く。恋人の頭がよいと困るね」ナデナデ
「それはこっちの台詞ですよ、彰人くん?」
ご機嫌な感じのハナと一緒に、相合傘で帰りました。
【雪ねえ】
2012年06月16日
とある深夜。特にすることもないのだけれども、翌日が休日ということもあり、ぐだぐだと起きていたらドアが突然開いたので超驚いた。
「まだ起きてるのか。コーヒーでもどうだ、あき……彰人ぉぉぉぉぉっ!!!!!?」
びっくりしたあまり椅子から転げ落ち、ついでに泡吹いて遊んでたら奇声が聞こえました。
「……まったく! 貴様は! どうしてお姉ちゃんを驚かせるか!」
あの後恐慌状態に陥った姉こと雪ねえをどうにかなだめすかして落ち着かせたはいいが、超怒られた。そんなわけで、現在正座させられ絶賛説教されてます。
「驚くかなーって思ったんだ」
「驚いたさ、そりゃ驚くさ! お姉ちゃん、びっくりしすぎて死ぬかと思ったぞ! この姉不幸者め!」
「何その単語。ていうか雪ねえ、正座やめていい? 足がしびれてきたんだけど」
「そのくらい我慢しろ! お姉ちゃんはその500倍苦しかったぞ! ……言っておくが、お姉ちゃんは彰人がいないと死んじゃうんだぞ?」
「俺は酸素がなくなると死んじゃう」
「彰人は頭が悪いな」
「…………」
「でも大丈夫だぞ。どんなダメ人間になろうとも、将来はお姉ちゃんが養ってあげるからな?」
「どこのヒモだ、俺。ていうか、普段から色々世話になってんだから、俺が雪ねえを養ってあげられるくらい稼げるように頑張るよ」
「……お、お前からお姉ちゃんにプロポーズするだなんて、なんて生意気な弟だ。このこのー!」
それくらい頑張るという心積もりを言っただけだったで、プロポーズするつもりなど毛頭なかったのだが、雪ねえが超ご機嫌な感じで俺の頬をつんつんしてるので、まあいいか。
「ほらほら、いつまで正座なんてしてるんだ。足がしびれるだろう」
ニコニコしながら俺の足を解くと、雪ねえは俺の膝の上にちょこんと座った。
「あの、雪ねえ。乗ってますが」
「お姉ちゃんを心配させた罰だ。甘んじて受けろ。あとすりすりしろ。抱っこもしろ」
「罰?」
「罰だ。ああそうだ、それから『お姉ちゃん大好き』と甘く囁け」
「……罰?」
「罰だと言っているだろう」
どうにも納得がいかないが、姉を心配させたということで、粛々と罰を受ける。
「雪ねえ大好き」(ぎゅー)
「ふふ……ふふふ。まったく、しょうがないなあ彰人は! あと、お姉ちゃんとずっと一緒にいたいと言え」(超ご機嫌)
思うところしかないが、ご機嫌な様子なので素直に従っておく。
「雪ねえとずっと一緒にいたいなー」(すりすり)
「ははっ、そうか! お姉ちゃんも全く同じ気持ちだ! いや、やはり姉弟というのは似るものなんだなあ!」
「でもあくまでも姉弟だからずっと一緒という訳にはいかないな。いやはや至極残念」
「何を言ってるのだ彰人? 私達はただの幼なじみだから結婚という手段があるぞ?」
雪ねえは実の姉以上に姉らしいので普通の人には見分けがつかないが、実は昔から隣に住んでるひとつ上の幼なじみというすずねえ的存在なので、しようと思えば結婚できる。いや、しませんが。
「で、するのか? いつだ? 今日か? 明日か?」
「しません」
「なんだと!? お姉ちゃん怒るぞ!」
将来、結婚の理由はと問われ、お姉ちゃんに怒られるからとは言えないので、ここは断固拒否する。
「むぅ……彰人は頑固だな。一本筋の通った立派な大人になりそうだな」(なでなで)
何をやっても褒められる。
「ところで雪ねえ、いつまで乗ってんだ」
今現在も俺の膝の上で俺にしなだれかかっている俺まみれな雪ねえに、無意味とは思いつつ一応言ってみる。
「ん? 今度はお姉ちゃんに膝枕してほしいのか? 甘えんぼうな弟め。仕方ないな……ほら、こいこい♪」
んなこたぁ一言もいってないのに、雪ねえは俺から降りると、正座して自分の太ももをポンポンと叩いた。
「ほら、姉弟で何を遠慮しているか。ほらほら♪」
姉力+女性とは思えぬ膂力を持ってして、雪ねえのももに誘われた。普段から合気道でならしているためか、雪ねえのふとももは一般のそれと違いふよふよではなく、ムチッとしていて張りが半端ではない。いや、雪ねえ以外に膝枕なんてされたことないから想像だけど。
「…………」(ぎゅー)
そして雪ねえが姉の以心伝心能力により俺の妄想を勝手に読み取り勝手に機嫌が悪くなって勝手に俺の頬をつねるので痛い。
「雪ねえ、痛い」
「ふん。お姉ちゃんに膝枕されてる時に、お姉ちゃん以外の女のことを考えるからだ。猛省しろ、愚か者」
「妄想すら許されぬとは。なんと恐ろしき世界に来てしまったのだ俺は」
「代わりにお姉ちゃんに膝枕してもらえるのだ、よい世界だと思わないか?」(なでなで)
「思う」(すりすり)
「こっ、こらっ! 誰もすりすりしていいなどと言ってないだろう!」(なでなでなで)
言葉は怒っているが、どういうわけかなでりが増しているので、そこまで怒っているわけではないようだ。
「すりすりしていい?」
「いい」(なでなで)
いいのか。というわけですりすりしまくった。
「……ま、まったく、……はぁ、あ、甘えんぼうな弟だな……ふぅ。……こ、困った奴だ。……はぁはぁ」
大変気持ちよかったが、どういうわけか雪ねえが息を荒げて頬を上気させているのが気になりました。
「まだ起きてるのか。コーヒーでもどうだ、あき……彰人ぉぉぉぉぉっ!!!!!?」
びっくりしたあまり椅子から転げ落ち、ついでに泡吹いて遊んでたら奇声が聞こえました。
「……まったく! 貴様は! どうしてお姉ちゃんを驚かせるか!」
あの後恐慌状態に陥った姉こと雪ねえをどうにかなだめすかして落ち着かせたはいいが、超怒られた。そんなわけで、現在正座させられ絶賛説教されてます。
「驚くかなーって思ったんだ」
「驚いたさ、そりゃ驚くさ! お姉ちゃん、びっくりしすぎて死ぬかと思ったぞ! この姉不幸者め!」
「何その単語。ていうか雪ねえ、正座やめていい? 足がしびれてきたんだけど」
「そのくらい我慢しろ! お姉ちゃんはその500倍苦しかったぞ! ……言っておくが、お姉ちゃんは彰人がいないと死んじゃうんだぞ?」
「俺は酸素がなくなると死んじゃう」
「彰人は頭が悪いな」
「…………」
「でも大丈夫だぞ。どんなダメ人間になろうとも、将来はお姉ちゃんが養ってあげるからな?」
「どこのヒモだ、俺。ていうか、普段から色々世話になってんだから、俺が雪ねえを養ってあげられるくらい稼げるように頑張るよ」
「……お、お前からお姉ちゃんにプロポーズするだなんて、なんて生意気な弟だ。このこのー!」
それくらい頑張るという心積もりを言っただけだったで、プロポーズするつもりなど毛頭なかったのだが、雪ねえが超ご機嫌な感じで俺の頬をつんつんしてるので、まあいいか。
「ほらほら、いつまで正座なんてしてるんだ。足がしびれるだろう」
ニコニコしながら俺の足を解くと、雪ねえは俺の膝の上にちょこんと座った。
「あの、雪ねえ。乗ってますが」
「お姉ちゃんを心配させた罰だ。甘んじて受けろ。あとすりすりしろ。抱っこもしろ」
「罰?」
「罰だ。ああそうだ、それから『お姉ちゃん大好き』と甘く囁け」
「……罰?」
「罰だと言っているだろう」
どうにも納得がいかないが、姉を心配させたということで、粛々と罰を受ける。
「雪ねえ大好き」(ぎゅー)
「ふふ……ふふふ。まったく、しょうがないなあ彰人は! あと、お姉ちゃんとずっと一緒にいたいと言え」(超ご機嫌)
思うところしかないが、ご機嫌な様子なので素直に従っておく。
「雪ねえとずっと一緒にいたいなー」(すりすり)
「ははっ、そうか! お姉ちゃんも全く同じ気持ちだ! いや、やはり姉弟というのは似るものなんだなあ!」
「でもあくまでも姉弟だからずっと一緒という訳にはいかないな。いやはや至極残念」
「何を言ってるのだ彰人? 私達はただの幼なじみだから結婚という手段があるぞ?」
雪ねえは実の姉以上に姉らしいので普通の人には見分けがつかないが、実は昔から隣に住んでるひとつ上の幼なじみというすずねえ的存在なので、しようと思えば結婚できる。いや、しませんが。
「で、するのか? いつだ? 今日か? 明日か?」
「しません」
「なんだと!? お姉ちゃん怒るぞ!」
将来、結婚の理由はと問われ、お姉ちゃんに怒られるからとは言えないので、ここは断固拒否する。
「むぅ……彰人は頑固だな。一本筋の通った立派な大人になりそうだな」(なでなで)
何をやっても褒められる。
「ところで雪ねえ、いつまで乗ってんだ」
今現在も俺の膝の上で俺にしなだれかかっている俺まみれな雪ねえに、無意味とは思いつつ一応言ってみる。
「ん? 今度はお姉ちゃんに膝枕してほしいのか? 甘えんぼうな弟め。仕方ないな……ほら、こいこい♪」
んなこたぁ一言もいってないのに、雪ねえは俺から降りると、正座して自分の太ももをポンポンと叩いた。
「ほら、姉弟で何を遠慮しているか。ほらほら♪」
姉力+女性とは思えぬ膂力を持ってして、雪ねえのももに誘われた。普段から合気道でならしているためか、雪ねえのふとももは一般のそれと違いふよふよではなく、ムチッとしていて張りが半端ではない。いや、雪ねえ以外に膝枕なんてされたことないから想像だけど。
「…………」(ぎゅー)
そして雪ねえが姉の以心伝心能力により俺の妄想を勝手に読み取り勝手に機嫌が悪くなって勝手に俺の頬をつねるので痛い。
「雪ねえ、痛い」
「ふん。お姉ちゃんに膝枕されてる時に、お姉ちゃん以外の女のことを考えるからだ。猛省しろ、愚か者」
「妄想すら許されぬとは。なんと恐ろしき世界に来てしまったのだ俺は」
「代わりにお姉ちゃんに膝枕してもらえるのだ、よい世界だと思わないか?」(なでなで)
「思う」(すりすり)
「こっ、こらっ! 誰もすりすりしていいなどと言ってないだろう!」(なでなでなで)
言葉は怒っているが、どういうわけかなでりが増しているので、そこまで怒っているわけではないようだ。
「すりすりしていい?」
「いい」(なでなで)
いいのか。というわけですりすりしまくった。
「……ま、まったく、……はぁ、あ、甘えんぼうな弟だな……ふぅ。……こ、困った奴だ。……はぁはぁ」
大変気持ちよかったが、どういうわけか雪ねえが息を荒げて頬を上気させているのが気になりました。