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2025年02月03日
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【泳ぎみゆ】
2012年08月11日
「あっちいので泳ぎたいです、お兄ちゃん!」
ここ数日の暑さにやられ床でごろごろしてたら、妹のみゆが寄ってきてごろごろ真っ最中の俺の腹の上に座り込んできた。
「なるほど、話はよく分かった。だが、先立つものがないのだよ」
「プール行くお金くらいあるよ? ええと……じゃじゃーん、みゆ貯金ー!」
じゃじゃーんな効果音も高らかに、みゆはポケットから小銭を取り出した。
「じゃあ行ってらっしゃい」
「お兄ちゃんも行くのー! みゆが一人で行って、頭悪そーな人にさらわれたらどうするの!?」
「みゆは超者なので無理だと思うが……もしそうなったら、世を儚んで自殺するorテロリストとして日本という国を完膚なきまで粉砕した後に自殺する」
「一瞬で何もかもを諦めたよこの人!? じゃなくて、そうならないようにお兄ちゃんがついてくの!」
「そうだな、暑いし死にたくないしそれが一番いい案だな」
そんなわけで、近所の市営プールへやってきた。やはり誰しも暑いのだろう、人でごった返していた。
「それじゃみゆ、後で」
「了解であります、お兄ちゃん!」
ばびっと敬礼して、みゆは女子更衣室へ向かっていった。それを追跡する俺。見つかる俺。つまみ出される俺。しょうがないので着替えてぼやーっと待つ俺。
「お待たせですだよ、お兄ちゃん」
そんな俺まみれの俺に、声がかけられたので振り向くと、水着に着替えたみゆが立っていた。
「にゃはー……どうかにゃ? 可愛い? ぐっとくる? 押し倒したくなる? そこの陰でする?」
「質問が色々問題ありすぎです!」
「みゆが可愛くないって言うの!!!!?」
「大変可愛いです」
どうして土下座しながら褒めなければならないのか。
……まあ冗談はともかく、身内贔屓を差し引いても妹は可愛いのではなかろうか!
「特に真っ赤なビキニに覆われた極小の胸がたまらない」
「お兄ちゃんお兄ちゃん、声に出てるよ?」
「わざとなんだ」
「ぬぬ……本来であれば怒るシーンなのだろうけど、みゆはお兄ちゃんがぺたんこ好きの変態やろーと知っているので怒れない! それどころか喜ばしい!」
妹は基本的に声が大きいので、家族連れやら恋人たちが僕を犯罪者を見る目で見るので死にたい。
「にゃにゃっ、お兄ちゃんがまとうオーラが負に!? 出ろ~元気出ろ~」
にゅろにゅろと手を動かし、珍妙な呪いをかける愛しの妹。知り合いじゃなければダッシュで逃げてる。
「まじなわれた結果、元気が出た」
「まじなった甲斐があった!」
どんな会話だ、と思いながらも感謝の意を込めてみゆの頭をなでる。
「まじなってくれてありがとうな、みゆ」
「ふにゅにゅ……みゆ、照れ照れだよぅ」
なでられて嬉しそうなみゆを引きつれ、とりあえず波が押し寄せるプールへ向かう。
「解説しよう! このプールは人工的な波が常に押し寄せており、この施設の中でも一二を争う人気プールだ!」
「そりはつまり、人が多い&波が押し寄せるので、うまいことお兄ちゃんに抱きつき放題って解釈でいいのかにゃ?」
「いいえ」
「そんにゃー……」
「代わりに兄が妹に抱きつくスポットとなっております」
「よっしゃこい! どさくさに紛れてみゆの尻やら乳を揉めばいいよ!」
「女子として最低限の恥じらいが欲しいです」
「にゃ、つい本能が先走っちゃったよ。ごめんね、お兄ちゃん。次からは恥ずかしがるよ」
「宣言されると萎えます」
「うんとー……それ以上近寄ると舌を噛んで死にまする!」
「極端に過ぎると思う。口調の割りに水着だし」
「もー! お兄ちゃん文句ばっかだよ! モンクだらけだよ! こぶしこぶしこぶし!」
「はは痛い痛いマジで痛いすいませんごめんなさい許してぇ!」
文句とモンク(FFとかでお馴染みの殴る系のジョブ)をかけてぺこぽこ殴ってきたのはいいが、予想をはるかに超える攻撃力により、あっという間に兄のHPは一桁になったので土下座で許しを請う。
「許して欲しかったら波のどさくさに紛れてみゆに触ったりぎゅーってしたり大好きだよーって言いなさい!」
後半は波とか関係ねぇと思ったが、このままぺこぽこされると黄泉路へ誘われてしまうので必死にうなずく。
「にゃ! んじゃプールへごーだよ、お兄ちゃん!」
「それはいいが、兄は何者かにべこんぼこんにされ死にそうなので少し休みたい」
「ほいみー! ……回復した?」
「いいえ」
「ぬぬ……ほいみー!」
ほいみーと叫びながらみゆが抱きついてきた。ほにゃっとした柔らかな身体が、ちっこいながらもふにふにとその存在を見せ付ける胸が、すべすべな太ももが俺の脳髄を刺激する。
「回復したかにゃ?」
「した。あとダメな部分も隆起しがち」
「……そ、そりはおうちに帰ったあとで大人しくさせるから、今は我慢だよ、お兄ちゃん?」
「おや、そのもじもじとした羞恥はとてもいいですね。非常にえろいですよ」(なでなで)
「にゃんと! 覚えておくよ、お兄ちゃん! 夜の営みでお兄ちゃんをもっともっと満足させるべく!」
「あまり大きな声で叫ばないでください」
気がつけば周囲の視線が犯罪者を見るものしか存在してなかったので、妹の頭をなでながら諭す。
「ふにゃ。ところでお兄ちゃん、今日はこの水着でするのはどうですかにゃ?」
「うちの妹は兄を刑務所に入れてほしいのだろうか」
「みゆを抱っこしていーこいーこしてくれるなら、そゆこと言わなくなる可能性が少しだけあるよ!」
「少しなの?」
「いーから抱っこしていーこいーこして大好きだよーって言って帰りに結婚式を挙げなさい!」
「うちの妹は無茶が過ぎる。抱っこ&いーこいーこで我慢しなさい」(なでなで)
「にゃっこあんどにゃーごにゃーご♪」
なんかわからんが嬉しそうなのでよかった。
「ふひゅー。大変喜ばしくなったところで、そろそろプールに入らない、お兄ちゃん?」
「待つんだ、妹よ。体操しないと足が吊って溺れて死んでみゆと二度と会えないなんて!!!!?」
「落ち着けお兄ちゃん! 想像で苦しみもだえてもしょうがないよ!」
それもそうだと思ったので、普通に兄妹で体操する。合間に抱きつかれたり抱きついたり監視員にマークされたりしながら、体操を終える。
「ふひゅー……いっしょけんめーしたら体操もけっこーしんどいね、お兄ちゃん?」
「兄は監視員の目が気になって気になって」
「もー! みゆと一緒にいる時は、みゆだけを見なさい!」
「おや、恋人の台詞のようですね」
「兄妹は恋人よりも深い絆で結ばれているので、それも当然の帰結なのだよ! ……難しい言葉使えたよ? 偉い?」
「偉い偉い」
褒めてほしそうだったので、頭をなでてあげる。
「にゃーにゃー♪ 今日はいっぱいなでてもらえて、みゆはすっごく嬉しいよ!」
「じゃあ、ぼちぼち水に浸かろう。プールサイドでわーきゃー言うのもいい加減暑くて死にそうだ」
「ラジャったよ、お兄ちゃん!」
そんなわけで、ようやっとプールに侵入する。ぬるめの水が暑く火照った身体を優しく冷ましていく。
「ほふー……涼しいね、お兄ちゃん!」
「いやはや全く。一生ここにいたいな」
「どーしてもそうしたいならみゆがここと交渉するけど……冬になったら凍っちゃうよ?」
軽い気持ちで住処を変更させられそうになったので、そのぐらい心地がいいことを比喩しただけを伝える。
「にゃんだ、まぎららしい」
「勘違いするほうがどうかと思います。あと、紛らわしい、です」
「まぎららしい、まぎららしい……にゅー、言えないよう」
「頑張れ妹! ファイトだ妹!」
「……ええい、一か八かだ! マギー司郎!」
「うむ!」
「うむ!?」
なんかびっくりしてる妹の頭をなでてると、波がざっぷんざっぷん二人の身体を揺らしだした。
「ほわわ……結構激しい波だね、お兄ちゃん」
「この激しい波に、二人の仲が引き裂かれそうだ」
「絶対に離れないもん!!!」
両手両足を俺に絡ませ、みゆがしがみついてきた。
「凄まじい重みが兄を襲う」
「女の子は羽みたいに軽いもん!」
「羽が大群を成して攻めてきたようだ」
「軽いもん!!!」
ぐらぐら揺らされ、その隙を突いて波が押し寄せてきた。二人まとめて水中に没す。
「げぼげぼげば」
「にゃぐにゃぐにゃべ」
水中会話は困難と判断し、犬かき猫かき水面へ浮上。
「ぷはっ! ……やー、苦しかった」
「ぷはー! はふー、でも気持ちよかったね!」
「水中でおっぱいを揉んだ甲斐があった」
「そういう意味じゃないし、揉まれてないよ、お兄ちゃん! ……あの、揉みたかったの?」
「揉むほどないです」
「あるよ?」
手を掴まれ、そのままみゆの胸へと誘われる。確かに平らいが、それでも指が多少埋まる程度は……ある!
「ね? あるでしょ? お兄ちゃん、らっきー♪」
ついでなので、そのままもみもみ。
「にゃ、んにゃ……っ、あ、あの、お兄ちゃん、ここでしたら捕まっちゃうと思うんだけど……が、我慢できる? むり?」
「無理! みゆの柔らかさを前にしたら、当然の事よ!」
「捕まったら、みゆとえっちできなくなっちゃうよ?」
「清廉潔白な俺を捕まえて、誰が犯罪者か!」
「もはや清々しささえ漂うよ、お兄ちゃん!」
とにかくこのままでは捕まるのも時間の問題なので、みゆのおっぱいから手を離す。
「にっゃ。……お兄ちゃん、もっと触りたかった?」
「勿論!!!」
「お兄ちゃんのえっちっちー♪」
「金輪際貴様なんかの乳なぞ揉むか!」
「にゃんですって!?」
「すいません揉みまくりたいです」
もうおしっこ漏れそうなくらい怖かったので許しを請う。
「それでいいんだよー♪ じゃ、とっとと帰ってもみもみするる?」
「大変心惹かれる提案ですが、兄としてはもう少しここで妹ときゃっきゃうふふな遊びを行いたいです。まだ水没しただけなので」
「それもそだね。んじゃ、次のプールへごーだよ、お兄ちゃん!」
次のプールは普通の25mプールだった。ここは普通のプールなので、人の数もそれなりで落ち着いて遊べそうだ。
「お兄ちゃん、ここで競争しよ? 負けた方が勝った方のいうこときくの!」
「じゃあ兄が勝ち、みゆと一緒に寝る権利を得てみせる!」
「いつも一緒に寝てるよ?」
「む。じゃ、みゆにご飯作ってもらう権利を!」
「毎日みゆがご飯作ってるよ?」
「むむ。じゃあじゃあ、みゆと一緒にお風呂に入る権利を」
「毎日一緒でうっふんあっはんだよ?」
「畜生! 何一つとして願いがねえ!」
「にゃはは。んじゃね、お兄ちゃんが勝ったら、おこづかいあっぷしたげるよ!」
「なんと! しかし、兄の小遣いはその大半がみゆへの奢りに使うのであまり意味がない気がする」
「え、えーと……気にしないのが一番だよ!」
「……まあいいや。で、みゆが勝ったら何するんだ?」
「にゅーっとね、そだね、お兄ちゃんにぎゅーってしてもらう!」
「はい、ぎゅー」
その場でみゆをぎゅっと抱きしめる。
「にゃ!? ……にゃー♪」(嬉しい)
「完了しました」
「ぬぬ、お願いが完了しちったよ! んじゃんじゃ、なでなでしてもらう!」
「なでなで」
「にゃーにゃー♪ ……はうわっ、またなでられちった! このままではお願い事が尽きてしまうですにゃ!」
「ククク……兄が味わった苦しみをその身で味わうがいい!」
「にゅー……じゃあ、お兄ちゃんにちゅーしてもらう!」
「ぬ」
「お兄ちゃんはお外でみゆにちゅーするの恥ずかしがるので、これならお願いとして成立すること請け合い!」
「じゃあ兄はみゆとここでえっちする!」
「捕まりますが」
「がむでぶ! 俺の望みはすぐ捕まる!」
「じゃあ、そーゆーことでげっとれでぃーだよ、お兄ちゃん」
二人でプールの中に入り、準備を行う。俺が勝っても何の権利も得られないが、公衆の面前で妹とキスという甘美な誘惑から逃れるためには、なんとしても勝たねば!
「すたーとって言ったらすたーとなのでもうすたーと!」
「卑怯スタートとは卑怯な、みゆ! そして卑怯スタートという名目なので卑怯なのは当たり前と言ってる間にすごい距離行かれた!」
みゆを追いかけ、水をかく。特別水泳が得意というわけではなく、そして特別下手でもない俺の泳ぎでは、人魚のように水面を滑るみゆには一向に追いつけない。完璧超人め。
「このままでは……こうなってはターボ発動げぼげばごば」
泳いでる最中に大口を開けたので口内に大量の水が入ってきたが、それでもなんとかターボを発動させる。
「! ターボとはやるね、お兄ちゃんげぼげば!」
「震えて眠るがいい、みゆごばげば!」
二人してプールの水量を減らしながら、ターボの力を量る。気分の問題なので実際には変化がないはずだが、思い込みの強さは人類で五本の指に入るくらい強いので、かなり速度アップ。
「もう追いついてきたがばにゃばごば!」
「兄の底力思い知ったかごばげばごはっ!」
いい加減腹がたぷたぷしてきたが、それでもみゆの足が届く範囲まで追いついた。そしてその結果、うにうに動くみゆの尻が目の前で揺れてるのでこれ以上先に進めない。
「……ぷはっ! みゆ、いっちゃーく!」
そのまま普通にゴールされた。しょうがないのでみゆの泳いでたレーンへ移動し、勢いを殺さないままみゆの尻に顔を埋める。
「にゃにゃっ!? もー、お兄ちゃん! みゆのお尻に顔つっこまないの!」
「……ぷはっ。いや、尻が」
「にゅ? とにかく、みゆの勝ちだよ!」
「異論! 兄がみゆの躍動感あふれる尻を鑑賞せずに抜くことができないことを、みゆが気づかないだろうか。いや、そんなわけない。このレースで兄が勝てる可能性などなかったのだ!」
「……だからみゆを抜かなかったの?」
こっくりうなずくと、ため息をつかれた。
「もう何百回とみゆのお尻見たろうに、お兄ちゃんって……」
「何度見ても飽きません」
「まあ、どっちにしてもみゆの勝ちだよ。ちゅーだよ、ちゅー!」
うーむ。してもいいのだけど、恥ずかちいしなあ。なんかみんな見てるし。そりゃ、兄妹がちゅーちゅー言ってたら見るか。
「ぬー……約束を反故したら、大変な目に遭うよ?」
「具体的には?」
「てんちゅーって声と共に水着を剥がれ、そのまま女子更衣室に放り込まれる災難に巻き込まれる」
その後の事態を考えなければ最高の災難だが、きっと自宅に戻るのに数ヶ月かかる。
「ちゅーと前科、どっちがいいかにゃー?」
にんまりとした笑みを浮かべる妹に、両手を上げる。
「えへへー? ちゅーかにゃ?」
「分かった。俺も男だ、勘弁して下さい」
そのまま手を水面に置き、土下座へ。だが、水中では土下座は難しい!
「……うーん、失敗したバタ足みたいだね。なので不許可!」
「じゃあしょうがない、ちゅーしましょう」
水から顔を上げ、がっしとみゆの両肩に手をかける。
「わ、わわ……あ、あの、お兄ちゃん。優しく……ね?」
うるうる揺れるみゆの瞳が、静かに閉じられる。ゆっくりとみゆの顔に唇を寄せ──
「げふーっ」
──てたら、みゆの口から重低音のゲップが出た。
「……え、えと」
「ま、まあ、沢山水飲んだしなあ。しょうがない」
「優しい反応は逆に酷だよ、お兄ちゃん!」
もうキスとかそんな雰囲気は雲散霧消してしまったので、わははと笑いながらみゆの頭に手をのせる。
「うにゅー……とってもとっても残念だよ」
「ま、いいじゃん。普通に遊ぼうぜ」
「しょうがないけど……分かったよ、お兄ちゃん。しかし、みゆはまだ諦めてはいない! みゆはようやく登りはじめたばかりだからな、このはてしなく遠い男坂をよ……」
「妹が打ち切られた」
「にゃはは。んじゃ気を取り直して泳ご、お兄ちゃん?」
連載再開を夢見て一緒に遊ぶ俺たちだった。
ここ数日の暑さにやられ床でごろごろしてたら、妹のみゆが寄ってきてごろごろ真っ最中の俺の腹の上に座り込んできた。
「なるほど、話はよく分かった。だが、先立つものがないのだよ」
「プール行くお金くらいあるよ? ええと……じゃじゃーん、みゆ貯金ー!」
じゃじゃーんな効果音も高らかに、みゆはポケットから小銭を取り出した。
「じゃあ行ってらっしゃい」
「お兄ちゃんも行くのー! みゆが一人で行って、頭悪そーな人にさらわれたらどうするの!?」
「みゆは超者なので無理だと思うが……もしそうなったら、世を儚んで自殺するorテロリストとして日本という国を完膚なきまで粉砕した後に自殺する」
「一瞬で何もかもを諦めたよこの人!? じゃなくて、そうならないようにお兄ちゃんがついてくの!」
「そうだな、暑いし死にたくないしそれが一番いい案だな」
そんなわけで、近所の市営プールへやってきた。やはり誰しも暑いのだろう、人でごった返していた。
「それじゃみゆ、後で」
「了解であります、お兄ちゃん!」
ばびっと敬礼して、みゆは女子更衣室へ向かっていった。それを追跡する俺。見つかる俺。つまみ出される俺。しょうがないので着替えてぼやーっと待つ俺。
「お待たせですだよ、お兄ちゃん」
そんな俺まみれの俺に、声がかけられたので振り向くと、水着に着替えたみゆが立っていた。
「にゃはー……どうかにゃ? 可愛い? ぐっとくる? 押し倒したくなる? そこの陰でする?」
「質問が色々問題ありすぎです!」
「みゆが可愛くないって言うの!!!!?」
「大変可愛いです」
どうして土下座しながら褒めなければならないのか。
……まあ冗談はともかく、身内贔屓を差し引いても妹は可愛いのではなかろうか!
「特に真っ赤なビキニに覆われた極小の胸がたまらない」
「お兄ちゃんお兄ちゃん、声に出てるよ?」
「わざとなんだ」
「ぬぬ……本来であれば怒るシーンなのだろうけど、みゆはお兄ちゃんがぺたんこ好きの変態やろーと知っているので怒れない! それどころか喜ばしい!」
妹は基本的に声が大きいので、家族連れやら恋人たちが僕を犯罪者を見る目で見るので死にたい。
「にゃにゃっ、お兄ちゃんがまとうオーラが負に!? 出ろ~元気出ろ~」
にゅろにゅろと手を動かし、珍妙な呪いをかける愛しの妹。知り合いじゃなければダッシュで逃げてる。
「まじなわれた結果、元気が出た」
「まじなった甲斐があった!」
どんな会話だ、と思いながらも感謝の意を込めてみゆの頭をなでる。
「まじなってくれてありがとうな、みゆ」
「ふにゅにゅ……みゆ、照れ照れだよぅ」
なでられて嬉しそうなみゆを引きつれ、とりあえず波が押し寄せるプールへ向かう。
「解説しよう! このプールは人工的な波が常に押し寄せており、この施設の中でも一二を争う人気プールだ!」
「そりはつまり、人が多い&波が押し寄せるので、うまいことお兄ちゃんに抱きつき放題って解釈でいいのかにゃ?」
「いいえ」
「そんにゃー……」
「代わりに兄が妹に抱きつくスポットとなっております」
「よっしゃこい! どさくさに紛れてみゆの尻やら乳を揉めばいいよ!」
「女子として最低限の恥じらいが欲しいです」
「にゃ、つい本能が先走っちゃったよ。ごめんね、お兄ちゃん。次からは恥ずかしがるよ」
「宣言されると萎えます」
「うんとー……それ以上近寄ると舌を噛んで死にまする!」
「極端に過ぎると思う。口調の割りに水着だし」
「もー! お兄ちゃん文句ばっかだよ! モンクだらけだよ! こぶしこぶしこぶし!」
「はは痛い痛いマジで痛いすいませんごめんなさい許してぇ!」
文句とモンク(FFとかでお馴染みの殴る系のジョブ)をかけてぺこぽこ殴ってきたのはいいが、予想をはるかに超える攻撃力により、あっという間に兄のHPは一桁になったので土下座で許しを請う。
「許して欲しかったら波のどさくさに紛れてみゆに触ったりぎゅーってしたり大好きだよーって言いなさい!」
後半は波とか関係ねぇと思ったが、このままぺこぽこされると黄泉路へ誘われてしまうので必死にうなずく。
「にゃ! んじゃプールへごーだよ、お兄ちゃん!」
「それはいいが、兄は何者かにべこんぼこんにされ死にそうなので少し休みたい」
「ほいみー! ……回復した?」
「いいえ」
「ぬぬ……ほいみー!」
ほいみーと叫びながらみゆが抱きついてきた。ほにゃっとした柔らかな身体が、ちっこいながらもふにふにとその存在を見せ付ける胸が、すべすべな太ももが俺の脳髄を刺激する。
「回復したかにゃ?」
「した。あとダメな部分も隆起しがち」
「……そ、そりはおうちに帰ったあとで大人しくさせるから、今は我慢だよ、お兄ちゃん?」
「おや、そのもじもじとした羞恥はとてもいいですね。非常にえろいですよ」(なでなで)
「にゃんと! 覚えておくよ、お兄ちゃん! 夜の営みでお兄ちゃんをもっともっと満足させるべく!」
「あまり大きな声で叫ばないでください」
気がつけば周囲の視線が犯罪者を見るものしか存在してなかったので、妹の頭をなでながら諭す。
「ふにゃ。ところでお兄ちゃん、今日はこの水着でするのはどうですかにゃ?」
「うちの妹は兄を刑務所に入れてほしいのだろうか」
「みゆを抱っこしていーこいーこしてくれるなら、そゆこと言わなくなる可能性が少しだけあるよ!」
「少しなの?」
「いーから抱っこしていーこいーこして大好きだよーって言って帰りに結婚式を挙げなさい!」
「うちの妹は無茶が過ぎる。抱っこ&いーこいーこで我慢しなさい」(なでなで)
「にゃっこあんどにゃーごにゃーご♪」
なんかわからんが嬉しそうなのでよかった。
「ふひゅー。大変喜ばしくなったところで、そろそろプールに入らない、お兄ちゃん?」
「待つんだ、妹よ。体操しないと足が吊って溺れて死んでみゆと二度と会えないなんて!!!!?」
「落ち着けお兄ちゃん! 想像で苦しみもだえてもしょうがないよ!」
それもそうだと思ったので、普通に兄妹で体操する。合間に抱きつかれたり抱きついたり監視員にマークされたりしながら、体操を終える。
「ふひゅー……いっしょけんめーしたら体操もけっこーしんどいね、お兄ちゃん?」
「兄は監視員の目が気になって気になって」
「もー! みゆと一緒にいる時は、みゆだけを見なさい!」
「おや、恋人の台詞のようですね」
「兄妹は恋人よりも深い絆で結ばれているので、それも当然の帰結なのだよ! ……難しい言葉使えたよ? 偉い?」
「偉い偉い」
褒めてほしそうだったので、頭をなでてあげる。
「にゃーにゃー♪ 今日はいっぱいなでてもらえて、みゆはすっごく嬉しいよ!」
「じゃあ、ぼちぼち水に浸かろう。プールサイドでわーきゃー言うのもいい加減暑くて死にそうだ」
「ラジャったよ、お兄ちゃん!」
そんなわけで、ようやっとプールに侵入する。ぬるめの水が暑く火照った身体を優しく冷ましていく。
「ほふー……涼しいね、お兄ちゃん!」
「いやはや全く。一生ここにいたいな」
「どーしてもそうしたいならみゆがここと交渉するけど……冬になったら凍っちゃうよ?」
軽い気持ちで住処を変更させられそうになったので、そのぐらい心地がいいことを比喩しただけを伝える。
「にゃんだ、まぎららしい」
「勘違いするほうがどうかと思います。あと、紛らわしい、です」
「まぎららしい、まぎららしい……にゅー、言えないよう」
「頑張れ妹! ファイトだ妹!」
「……ええい、一か八かだ! マギー司郎!」
「うむ!」
「うむ!?」
なんかびっくりしてる妹の頭をなでてると、波がざっぷんざっぷん二人の身体を揺らしだした。
「ほわわ……結構激しい波だね、お兄ちゃん」
「この激しい波に、二人の仲が引き裂かれそうだ」
「絶対に離れないもん!!!」
両手両足を俺に絡ませ、みゆがしがみついてきた。
「凄まじい重みが兄を襲う」
「女の子は羽みたいに軽いもん!」
「羽が大群を成して攻めてきたようだ」
「軽いもん!!!」
ぐらぐら揺らされ、その隙を突いて波が押し寄せてきた。二人まとめて水中に没す。
「げぼげぼげば」
「にゃぐにゃぐにゃべ」
水中会話は困難と判断し、犬かき猫かき水面へ浮上。
「ぷはっ! ……やー、苦しかった」
「ぷはー! はふー、でも気持ちよかったね!」
「水中でおっぱいを揉んだ甲斐があった」
「そういう意味じゃないし、揉まれてないよ、お兄ちゃん! ……あの、揉みたかったの?」
「揉むほどないです」
「あるよ?」
手を掴まれ、そのままみゆの胸へと誘われる。確かに平らいが、それでも指が多少埋まる程度は……ある!
「ね? あるでしょ? お兄ちゃん、らっきー♪」
ついでなので、そのままもみもみ。
「にゃ、んにゃ……っ、あ、あの、お兄ちゃん、ここでしたら捕まっちゃうと思うんだけど……が、我慢できる? むり?」
「無理! みゆの柔らかさを前にしたら、当然の事よ!」
「捕まったら、みゆとえっちできなくなっちゃうよ?」
「清廉潔白な俺を捕まえて、誰が犯罪者か!」
「もはや清々しささえ漂うよ、お兄ちゃん!」
とにかくこのままでは捕まるのも時間の問題なので、みゆのおっぱいから手を離す。
「にっゃ。……お兄ちゃん、もっと触りたかった?」
「勿論!!!」
「お兄ちゃんのえっちっちー♪」
「金輪際貴様なんかの乳なぞ揉むか!」
「にゃんですって!?」
「すいません揉みまくりたいです」
もうおしっこ漏れそうなくらい怖かったので許しを請う。
「それでいいんだよー♪ じゃ、とっとと帰ってもみもみするる?」
「大変心惹かれる提案ですが、兄としてはもう少しここで妹ときゃっきゃうふふな遊びを行いたいです。まだ水没しただけなので」
「それもそだね。んじゃ、次のプールへごーだよ、お兄ちゃん!」
次のプールは普通の25mプールだった。ここは普通のプールなので、人の数もそれなりで落ち着いて遊べそうだ。
「お兄ちゃん、ここで競争しよ? 負けた方が勝った方のいうこときくの!」
「じゃあ兄が勝ち、みゆと一緒に寝る権利を得てみせる!」
「いつも一緒に寝てるよ?」
「む。じゃ、みゆにご飯作ってもらう権利を!」
「毎日みゆがご飯作ってるよ?」
「むむ。じゃあじゃあ、みゆと一緒にお風呂に入る権利を」
「毎日一緒でうっふんあっはんだよ?」
「畜生! 何一つとして願いがねえ!」
「にゃはは。んじゃね、お兄ちゃんが勝ったら、おこづかいあっぷしたげるよ!」
「なんと! しかし、兄の小遣いはその大半がみゆへの奢りに使うのであまり意味がない気がする」
「え、えーと……気にしないのが一番だよ!」
「……まあいいや。で、みゆが勝ったら何するんだ?」
「にゅーっとね、そだね、お兄ちゃんにぎゅーってしてもらう!」
「はい、ぎゅー」
その場でみゆをぎゅっと抱きしめる。
「にゃ!? ……にゃー♪」(嬉しい)
「完了しました」
「ぬぬ、お願いが完了しちったよ! んじゃんじゃ、なでなでしてもらう!」
「なでなで」
「にゃーにゃー♪ ……はうわっ、またなでられちった! このままではお願い事が尽きてしまうですにゃ!」
「ククク……兄が味わった苦しみをその身で味わうがいい!」
「にゅー……じゃあ、お兄ちゃんにちゅーしてもらう!」
「ぬ」
「お兄ちゃんはお外でみゆにちゅーするの恥ずかしがるので、これならお願いとして成立すること請け合い!」
「じゃあ兄はみゆとここでえっちする!」
「捕まりますが」
「がむでぶ! 俺の望みはすぐ捕まる!」
「じゃあ、そーゆーことでげっとれでぃーだよ、お兄ちゃん」
二人でプールの中に入り、準備を行う。俺が勝っても何の権利も得られないが、公衆の面前で妹とキスという甘美な誘惑から逃れるためには、なんとしても勝たねば!
「すたーとって言ったらすたーとなのでもうすたーと!」
「卑怯スタートとは卑怯な、みゆ! そして卑怯スタートという名目なので卑怯なのは当たり前と言ってる間にすごい距離行かれた!」
みゆを追いかけ、水をかく。特別水泳が得意というわけではなく、そして特別下手でもない俺の泳ぎでは、人魚のように水面を滑るみゆには一向に追いつけない。完璧超人め。
「このままでは……こうなってはターボ発動げぼげばごば」
泳いでる最中に大口を開けたので口内に大量の水が入ってきたが、それでもなんとかターボを発動させる。
「! ターボとはやるね、お兄ちゃんげぼげば!」
「震えて眠るがいい、みゆごばげば!」
二人してプールの水量を減らしながら、ターボの力を量る。気分の問題なので実際には変化がないはずだが、思い込みの強さは人類で五本の指に入るくらい強いので、かなり速度アップ。
「もう追いついてきたがばにゃばごば!」
「兄の底力思い知ったかごばげばごはっ!」
いい加減腹がたぷたぷしてきたが、それでもみゆの足が届く範囲まで追いついた。そしてその結果、うにうに動くみゆの尻が目の前で揺れてるのでこれ以上先に進めない。
「……ぷはっ! みゆ、いっちゃーく!」
そのまま普通にゴールされた。しょうがないのでみゆの泳いでたレーンへ移動し、勢いを殺さないままみゆの尻に顔を埋める。
「にゃにゃっ!? もー、お兄ちゃん! みゆのお尻に顔つっこまないの!」
「……ぷはっ。いや、尻が」
「にゅ? とにかく、みゆの勝ちだよ!」
「異論! 兄がみゆの躍動感あふれる尻を鑑賞せずに抜くことができないことを、みゆが気づかないだろうか。いや、そんなわけない。このレースで兄が勝てる可能性などなかったのだ!」
「……だからみゆを抜かなかったの?」
こっくりうなずくと、ため息をつかれた。
「もう何百回とみゆのお尻見たろうに、お兄ちゃんって……」
「何度見ても飽きません」
「まあ、どっちにしてもみゆの勝ちだよ。ちゅーだよ、ちゅー!」
うーむ。してもいいのだけど、恥ずかちいしなあ。なんかみんな見てるし。そりゃ、兄妹がちゅーちゅー言ってたら見るか。
「ぬー……約束を反故したら、大変な目に遭うよ?」
「具体的には?」
「てんちゅーって声と共に水着を剥がれ、そのまま女子更衣室に放り込まれる災難に巻き込まれる」
その後の事態を考えなければ最高の災難だが、きっと自宅に戻るのに数ヶ月かかる。
「ちゅーと前科、どっちがいいかにゃー?」
にんまりとした笑みを浮かべる妹に、両手を上げる。
「えへへー? ちゅーかにゃ?」
「分かった。俺も男だ、勘弁して下さい」
そのまま手を水面に置き、土下座へ。だが、水中では土下座は難しい!
「……うーん、失敗したバタ足みたいだね。なので不許可!」
「じゃあしょうがない、ちゅーしましょう」
水から顔を上げ、がっしとみゆの両肩に手をかける。
「わ、わわ……あ、あの、お兄ちゃん。優しく……ね?」
うるうる揺れるみゆの瞳が、静かに閉じられる。ゆっくりとみゆの顔に唇を寄せ──
「げふーっ」
──てたら、みゆの口から重低音のゲップが出た。
「……え、えと」
「ま、まあ、沢山水飲んだしなあ。しょうがない」
「優しい反応は逆に酷だよ、お兄ちゃん!」
もうキスとかそんな雰囲気は雲散霧消してしまったので、わははと笑いながらみゆの頭に手をのせる。
「うにゅー……とってもとっても残念だよ」
「ま、いいじゃん。普通に遊ぼうぜ」
「しょうがないけど……分かったよ、お兄ちゃん。しかし、みゆはまだ諦めてはいない! みゆはようやく登りはじめたばかりだからな、このはてしなく遠い男坂をよ……」
「妹が打ち切られた」
「にゃはは。んじゃ気を取り直して泳ご、お兄ちゃん?」
連載再開を夢見て一緒に遊ぶ俺たちだった。
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【ゆら姉と七瀬 くっつきング】
2012年08月07日
昨今は夏休みということもあり、毎日が日曜日だ。いや、高田裕三の漫画ではなくて。
そんなわけで毎日ゆら姉がくっついてきたり七瀬が毎日家にやってきてくっついてきたりと、姉たちにくっつかれている。俺は姉を吸い寄せる何かを持っているのだろうか。
「その辺りどう思う、七瀬?」
「そんなことより、もっと七瀬をぎゅーっと抱っこすべき?」
「あ、はい」
ゆら姉が外出してる隙をついてやってきた七瀬が、俺を見つけるなりいつものように抱きついてきたので疑問を口にしたのだけど、抱っこ>俺の疑問 のようだ。
「あと、七瀬、ではなく、七瀬お姉ちゃんと呼ぶべき?」
「めんどくせえなあ……」
「生意気な弟だ。でも、そういうところも可愛かったり?」ナデナデ
基本的に姉という存在は弟を可愛がるようにできているようで、俺の行動を好意的に受け取るフシがある。そんなわけで、何をしても可愛がられる。
「それにしても暑い。彰人、七瀬と一緒にお風呂に入る?」
「入りませんっ! お前、嫁入り前の女性がそういうことを言うなッ!」
「彰人は真面目でいい子だね?」
「勘弁してください」
「ご褒美に将来は七瀬が結婚してあげるね?」
「いや、意味が分からない」
「そうだよっ! アキくんはお姉ちゃんと結婚するって昔っから決まってるし!」
何者かが俺の頭をがぶあっとかき抱いたと思ったら、ささやかな膨らみに触れた。ゆら姉が帰ってくるなり俺を抱きしめたようだ。七瀬と同じくらいおっぱいが小さい。素敵ね。
「ていうか七瀬ちゃん! 私がいない間にアキくんを誘惑しないの!」
「こんな可愛いのに誘惑しないなんて、無理」
「た、確かに……!」
このお二人は本来頭がいいハズなのだが、俺が関わるとこんな残念な感じになってしまう。そして二人の日常と俺の日常は大体重なっているので、基本的に残念な感じで申し訳ない。
「ていうか二人とも、暑いのでくっつかないでいただきたいのですが」
いや本当はぷにぷにほにょほにょでずっとくっついていたいのだが、色々と俺のアレが危ないので、暑さのせいにしてみる。
「彰人はゆらさんに向けて先の台詞を言った。だから、彰人のことは七瀬に任せて、ゆらさんは一人で部屋に戻るべき?」
「違うよ。アキくんは優しいからはぐらかしたけど、さっきのは全部七瀬ちゃんに言ったんだよ?」
「おや、何か空気がぴしぴししますね。修羅場?」
二人ともふふふと笑っているが、目が笑っていない。怖くて超泣きそう。
「あーーーーーーっ!!!! アキくんが泣いてるーーーーーーーっ!!!!?」
それを目ざとく見つけたゆら姉が超うるせえ。
「!!? だ、大丈夫、彰人? 七瀬はいるよ、ここにいるよ?」(なでなで)
「お、お姉ちゃんもいるからね! 大丈夫だからね、ずっと一緒だからね!」(なでなで)
二人がかりで激しく頭をなでられた。
「い、いや、別に泣いてなんて」
「彰人は優しいから、喧嘩なんて見たら泣いちゃうに決まってる。ゆらさん、とりあえず仲直り?」
「……そうね。アキくんのためだから、一時休戦ね」
ふたりの益荒女ががっしと握手した。脳内に河原で喧嘩したあとの不良たちの絵が浮かぶ。
「ま、まあ、なんにせよ、喧嘩が終わってよかった。仲が良いに越したことはないからな」
「彰人のハーレム宣言が出た」
「出てねえ!」
「第一婦人はお姉ちゃんだよね! ね!?」
「日本国憲法では重婚は犯罪だよ、ゆら姉。つか、そもそも姉弟だし」
「そうだった!!! 今だけはこの身体に流れる血が憎い……!」
「ふふふ。ここで擬似姉弟の強みが出た。彰人は七瀬と結婚すべき?」(すりすり)
「あああああーっ! ずるい! すっごいずるい! お姉ちゃんもアキくんと結婚したいのに!」(すりすりすり)
「じゃあ間をとってゆら姉と七瀬が結婚したらどうだ? それならみんな幸せになるんじゃないか?」
二人の姉に左右から頬ずりされながら、一応の折衷案を出してみる。
「何言ってるのアキくん。意味ないし、女同士で結婚なんて無理でしょ」
「彰人は少し頭が悪いね。頑張ろうね?」
俺の折衷案により、泣かされた。
「ご、ごめんねアキくん! お、お姉ちゃん、言い過ぎちゃったね?」(なでなで)
「よしよし。泣き止んだら七瀬が結婚してあげるから泣き止むべき?」(なでなで)
「お、お姉ちゃんも! お姉ちゃんもそれ!」
「二人とも、無茶はほどほどに」
「無茶なんて言ってないもん! ね、七瀬ちゃん?」
「はぁはぁ……あ、彰人、あとで七瀬と一緒にお風呂……ね?」
「おや、発情してらっしゃる。ゆら姉、助けて」
「むーっ!」
助けを求めたのに、どういうわけか頬をつねられた。
そんなわけで毎日ゆら姉がくっついてきたり七瀬が毎日家にやってきてくっついてきたりと、姉たちにくっつかれている。俺は姉を吸い寄せる何かを持っているのだろうか。
「その辺りどう思う、七瀬?」
「そんなことより、もっと七瀬をぎゅーっと抱っこすべき?」
「あ、はい」
ゆら姉が外出してる隙をついてやってきた七瀬が、俺を見つけるなりいつものように抱きついてきたので疑問を口にしたのだけど、抱っこ>俺の疑問 のようだ。
「あと、七瀬、ではなく、七瀬お姉ちゃんと呼ぶべき?」
「めんどくせえなあ……」
「生意気な弟だ。でも、そういうところも可愛かったり?」ナデナデ
基本的に姉という存在は弟を可愛がるようにできているようで、俺の行動を好意的に受け取るフシがある。そんなわけで、何をしても可愛がられる。
「それにしても暑い。彰人、七瀬と一緒にお風呂に入る?」
「入りませんっ! お前、嫁入り前の女性がそういうことを言うなッ!」
「彰人は真面目でいい子だね?」
「勘弁してください」
「ご褒美に将来は七瀬が結婚してあげるね?」
「いや、意味が分からない」
「そうだよっ! アキくんはお姉ちゃんと結婚するって昔っから決まってるし!」
何者かが俺の頭をがぶあっとかき抱いたと思ったら、ささやかな膨らみに触れた。ゆら姉が帰ってくるなり俺を抱きしめたようだ。七瀬と同じくらいおっぱいが小さい。素敵ね。
「ていうか七瀬ちゃん! 私がいない間にアキくんを誘惑しないの!」
「こんな可愛いのに誘惑しないなんて、無理」
「た、確かに……!」
このお二人は本来頭がいいハズなのだが、俺が関わるとこんな残念な感じになってしまう。そして二人の日常と俺の日常は大体重なっているので、基本的に残念な感じで申し訳ない。
「ていうか二人とも、暑いのでくっつかないでいただきたいのですが」
いや本当はぷにぷにほにょほにょでずっとくっついていたいのだが、色々と俺のアレが危ないので、暑さのせいにしてみる。
「彰人はゆらさんに向けて先の台詞を言った。だから、彰人のことは七瀬に任せて、ゆらさんは一人で部屋に戻るべき?」
「違うよ。アキくんは優しいからはぐらかしたけど、さっきのは全部七瀬ちゃんに言ったんだよ?」
「おや、何か空気がぴしぴししますね。修羅場?」
二人ともふふふと笑っているが、目が笑っていない。怖くて超泣きそう。
「あーーーーーーっ!!!! アキくんが泣いてるーーーーーーーっ!!!!?」
それを目ざとく見つけたゆら姉が超うるせえ。
「!!? だ、大丈夫、彰人? 七瀬はいるよ、ここにいるよ?」(なでなで)
「お、お姉ちゃんもいるからね! 大丈夫だからね、ずっと一緒だからね!」(なでなで)
二人がかりで激しく頭をなでられた。
「い、いや、別に泣いてなんて」
「彰人は優しいから、喧嘩なんて見たら泣いちゃうに決まってる。ゆらさん、とりあえず仲直り?」
「……そうね。アキくんのためだから、一時休戦ね」
ふたりの益荒女ががっしと握手した。脳内に河原で喧嘩したあとの不良たちの絵が浮かぶ。
「ま、まあ、なんにせよ、喧嘩が終わってよかった。仲が良いに越したことはないからな」
「彰人のハーレム宣言が出た」
「出てねえ!」
「第一婦人はお姉ちゃんだよね! ね!?」
「日本国憲法では重婚は犯罪だよ、ゆら姉。つか、そもそも姉弟だし」
「そうだった!!! 今だけはこの身体に流れる血が憎い……!」
「ふふふ。ここで擬似姉弟の強みが出た。彰人は七瀬と結婚すべき?」(すりすり)
「あああああーっ! ずるい! すっごいずるい! お姉ちゃんもアキくんと結婚したいのに!」(すりすりすり)
「じゃあ間をとってゆら姉と七瀬が結婚したらどうだ? それならみんな幸せになるんじゃないか?」
二人の姉に左右から頬ずりされながら、一応の折衷案を出してみる。
「何言ってるのアキくん。意味ないし、女同士で結婚なんて無理でしょ」
「彰人は少し頭が悪いね。頑張ろうね?」
俺の折衷案により、泣かされた。
「ご、ごめんねアキくん! お、お姉ちゃん、言い過ぎちゃったね?」(なでなで)
「よしよし。泣き止んだら七瀬が結婚してあげるから泣き止むべき?」(なでなで)
「お、お姉ちゃんも! お姉ちゃんもそれ!」
「二人とも、無茶はほどほどに」
「無茶なんて言ってないもん! ね、七瀬ちゃん?」
「はぁはぁ……あ、彰人、あとで七瀬と一緒にお風呂……ね?」
「おや、発情してらっしゃる。ゆら姉、助けて」
「むーっ!」
助けを求めたのに、どういうわけか頬をつねられた。
【犬子 はわわ】
2012年08月01日
「なんか萌え言語に飢えてるのではわわとか言え」
「いきなり酷すぎるよ、符長くん!」
今日もどうやら酷いと噂の符長彰人ですこんにちは。そして今日も俺の脳内こんにちはが冴えている。素敵ね。
「大体ね、ふつーの女の子はね、はわわとか言わないんだよ? そーゆーのはゲームとかでしか言わないんだよ?」
何やら偉そうに講釈を垂れてる犬子がむかちゅく。ここはひとつビシッと言ってやらねば!
「それくらいギリギリで分かってるに決まってるであろうが、たわけ!」
「ギリギリなんだ……」
「でもほら、目の前にいるのは女の子とかじゃなくて巧妙に人間に擬態してる犬だから気づかないよ。犬って頭悪いし」
「酷い!? ていうかまだ犬扱いなの!? そんなこと言ってるの符長くんだけだよ!」
「大丈夫、俺は、俺だけはずっと、お前にそう言う。言い続ける。……信じてくれ、犬子」
なんとなく犬子の手を握り、じーっと目を見つめながら囁いてみる。
「ふ、符長くん……ってえ! なんか素敵な雰囲気だけど、言ってることはちっとも素敵じゃないよ!」
「いけると思ったが、無理だったか。流石に力押しに過ぎるな。わはは」
「わははじゃないよぉ……。はぅー」
「お、その調子だ。どんどん萌え言語を言って俺をニタニタさせるように」
「別に好きで言ったわけじゃないもん。疲れてはぅーって感じになっちゃったから、言っちゃっただけだもん。はぅー」
「ふふふ。ふふふふ」(にまにま)
「……は、はぅー」
「あ、急に作為的になった。もういいです」(NOという感じの手を突きつけながら)
「なんで!? なんでもいいんじゃないの!?」
「人工物に興味はねえ。俺は天然物が好きなんだ」
「無茶だよぉ! そもそも最初が人工物なのに!」
「無茶とかヤムチャとか最初に言い出したのは誰なのかしら」
「たぶん鳥山明だよ」
「天津飯!」(太陽拳のポーズで)
「ポーズと言う台詞が合ってないよ?」
「たぶん間違えたんだろうね」
「はぁ……」
「む、ヤムチャとか言ってたら飲茶(ヤムチャ)したくなった。犬子、コンビニ行って肉まんでも買い食いしようぜ。おごるから来い」
「今日も適当だよぉ……。でも、おごりなら行くよ♪」
「ん、よし。じゃあちょっと財布を置き忘れるから、コンビニで代わりに払ってくれな」
「酷い故意犯を見たよ! 今日は符長くんのおごりなの!」
「やれやれ、わがままだなあ」
「符長くんがそれを言うかなあ……」
「まあいいや。じゃ、買ってあげるから代わりに『はわわ』って言ってくれ」
「うー……まあ、おごってくれるし、いっか。んじゃ言うよ?」
「はい」
「は……はわわ! はわわわ!」
「うーん、0点。やっぱおごらん」
「なんとなくそうなるんじゃないかと思ったけど、それでも酷いよ符長くん!」
犬子は怒ったような顔で俺をぺこぽこと叩いた。痛み0。なんて弱々なんだ。
「いじめて満足したのでやっぱ買ってあげます」(なでなで)
「ううう……今日もいじわる王だよ」
そんなわけで、クソ暑いなか近所のコンビニへ。
「あっ、ほらほら符長くん、肉まんがあったよ! どれにしよっか?」
犬子が嬉しそうに俺の腕を引っ張りながらレジ前へと連れて行く。
「肉まんとか誰が買うんだ。馬鹿じゃねえの」
「ええっ!?」
「アイス買おうアイス。犬子は何がいい?」
「や、やむちゃは? 一緒にやむちゃしないの?」
「そうしたいのは山々なんだが、サイバイマンがいないから自爆で死ねないんだ」
「そっちのヤムチャじゃない! ぱくぱく食べるほーのやむちゃ!」
「アイスでいーじゃん」
「うー……」
どうにも納得してない様子で、犬子は唸っていた。
「ふむ。どしてそんなに肉まんがいいんだ?」
「……あのね? 冬みたいにね? 久しぶりにぺたーってくっついて食べたいかなー、って……」
言ってるうちに自分が何を言ってるのか気づいたのか、ゆっくりと犬子の顔に朱が差していく。
「な、なし! うそ! 違うの! べ、別に符長くんとくっつきたいとかじゃなくて!」
「か、勘違いしないでよね! くっつきたいんじゃないんだからね!?」
「なんで言い直したの!?」
「自動ツンデレ語翻訳機能付きなんだ」
犬子がはぅーって感じの顔になった。
「はぅー……」
実際に言いもした。
「じゃあ、そういうことなら分かった。すいません、肉まん二個ください」
「わわっ!? べ、別にいいよ、買わなくてもいいよ!」
「うるさい黙れ死ね」
「酷い!?」
なんか知らんが半泣きになってる犬子の隙を狙い、肉まんを買う。
「や、よい買い物をした」
「死ねって言われたー……」
コンビニから出ても犬子は泣きそうな顔をしている。
「一方俺は俺で空からの熱光線+地面からの輻射熱+肉まんのホカホカ熱で早くも死にそうだ」
「うー……。よく分かんないけど、熱いなら私が肉まん持つよ?」
「そう言うなり、犬子は俺から肉まんを素早く奪うと自分の肉まんを口に詰め、俺の分を道路に放り投げた。次の瞬間、無残にも俺の肉まんが車に轢かれ、轢死体に変わっていた。酷すぎる」
「符長くんの方が明らかに酷いよ! 嘘ばっか言って! ふん! 嫌いだもん!」
ぷいってされた。ぷいって。
「ごめんね? お詫びに死ぬね」
「重すぎるっ! もーちょっと軽いお詫びをご所望だよっ!」
「じゃあ、身体にくくりつける重りを100kgから80kgにするよ」
「そーゆーことじゃないっ! あと水死なの!?」
「ニューヨークで入水自殺する。む、ダジャレになってないな。しょうがない、入浴してから入水自殺だな。わはは」
「ちっともわははじゃないよぉ! そーゆー冗談一切禁止!」
「は、はい」
何やら涙目で訴えられたので、勢いに押される形でうなずいてしまった。
「うぅー……符長くんはすぐそーゆーこと言うから、嫌いだよ」
「頭がおかしいからね」
「自分のことだよ!?」
「間違えた。犬子の頭がおかしいからね」
「そっちにしても酷いよ!」
「どうしろと言うのだ」
「普通にしたらいいんだよ」
「任せろ、得意だ」
「…………」
「犬子の信頼を感じる」
「ジト目だよ!?」
「じゃあとっとと帰って一緒に肉まんを食おうな」(なでなで)
「うぅー……こ、こんなので誤魔化されないからね。いじわるの分の謝罪を要求するからね!」
「ほう。何をすればいいんだ?」
「……だ、抱っこ?」
何かを期待した目で、犬子がこちらを見ている。
「分かった、任せろ。だが、いきなり見知らぬ奴が抱きついたりしても、お巡りさんに通報されないかな?」
「符長くんは知ってる人だよ?」
何か嬉しいのか知らないが、嬉しそうにニコニコ笑いながら犬子が俺の頬をさする。
「いや、帰ってから鈍器のようなもので殴って記憶喪失にさせてから優しく抱っこするつもりなので。そのバヤイは知らない人になってるだろ?」
「いい人か悪い人か分からないよ、符長くん!」
混乱してる様子だったので、頭をなでて落ち着かせてみた。
「はぅー」
「はわわではないが、これはこれで!」(なでなで)
「はぅー」
そんな休日。
「いきなり酷すぎるよ、符長くん!」
今日もどうやら酷いと噂の符長彰人ですこんにちは。そして今日も俺の脳内こんにちはが冴えている。素敵ね。
「大体ね、ふつーの女の子はね、はわわとか言わないんだよ? そーゆーのはゲームとかでしか言わないんだよ?」
何やら偉そうに講釈を垂れてる犬子がむかちゅく。ここはひとつビシッと言ってやらねば!
「それくらいギリギリで分かってるに決まってるであろうが、たわけ!」
「ギリギリなんだ……」
「でもほら、目の前にいるのは女の子とかじゃなくて巧妙に人間に擬態してる犬だから気づかないよ。犬って頭悪いし」
「酷い!? ていうかまだ犬扱いなの!? そんなこと言ってるの符長くんだけだよ!」
「大丈夫、俺は、俺だけはずっと、お前にそう言う。言い続ける。……信じてくれ、犬子」
なんとなく犬子の手を握り、じーっと目を見つめながら囁いてみる。
「ふ、符長くん……ってえ! なんか素敵な雰囲気だけど、言ってることはちっとも素敵じゃないよ!」
「いけると思ったが、無理だったか。流石に力押しに過ぎるな。わはは」
「わははじゃないよぉ……。はぅー」
「お、その調子だ。どんどん萌え言語を言って俺をニタニタさせるように」
「別に好きで言ったわけじゃないもん。疲れてはぅーって感じになっちゃったから、言っちゃっただけだもん。はぅー」
「ふふふ。ふふふふ」(にまにま)
「……は、はぅー」
「あ、急に作為的になった。もういいです」(NOという感じの手を突きつけながら)
「なんで!? なんでもいいんじゃないの!?」
「人工物に興味はねえ。俺は天然物が好きなんだ」
「無茶だよぉ! そもそも最初が人工物なのに!」
「無茶とかヤムチャとか最初に言い出したのは誰なのかしら」
「たぶん鳥山明だよ」
「天津飯!」(太陽拳のポーズで)
「ポーズと言う台詞が合ってないよ?」
「たぶん間違えたんだろうね」
「はぁ……」
「む、ヤムチャとか言ってたら飲茶(ヤムチャ)したくなった。犬子、コンビニ行って肉まんでも買い食いしようぜ。おごるから来い」
「今日も適当だよぉ……。でも、おごりなら行くよ♪」
「ん、よし。じゃあちょっと財布を置き忘れるから、コンビニで代わりに払ってくれな」
「酷い故意犯を見たよ! 今日は符長くんのおごりなの!」
「やれやれ、わがままだなあ」
「符長くんがそれを言うかなあ……」
「まあいいや。じゃ、買ってあげるから代わりに『はわわ』って言ってくれ」
「うー……まあ、おごってくれるし、いっか。んじゃ言うよ?」
「はい」
「は……はわわ! はわわわ!」
「うーん、0点。やっぱおごらん」
「なんとなくそうなるんじゃないかと思ったけど、それでも酷いよ符長くん!」
犬子は怒ったような顔で俺をぺこぽこと叩いた。痛み0。なんて弱々なんだ。
「いじめて満足したのでやっぱ買ってあげます」(なでなで)
「ううう……今日もいじわる王だよ」
そんなわけで、クソ暑いなか近所のコンビニへ。
「あっ、ほらほら符長くん、肉まんがあったよ! どれにしよっか?」
犬子が嬉しそうに俺の腕を引っ張りながらレジ前へと連れて行く。
「肉まんとか誰が買うんだ。馬鹿じゃねえの」
「ええっ!?」
「アイス買おうアイス。犬子は何がいい?」
「や、やむちゃは? 一緒にやむちゃしないの?」
「そうしたいのは山々なんだが、サイバイマンがいないから自爆で死ねないんだ」
「そっちのヤムチャじゃない! ぱくぱく食べるほーのやむちゃ!」
「アイスでいーじゃん」
「うー……」
どうにも納得してない様子で、犬子は唸っていた。
「ふむ。どしてそんなに肉まんがいいんだ?」
「……あのね? 冬みたいにね? 久しぶりにぺたーってくっついて食べたいかなー、って……」
言ってるうちに自分が何を言ってるのか気づいたのか、ゆっくりと犬子の顔に朱が差していく。
「な、なし! うそ! 違うの! べ、別に符長くんとくっつきたいとかじゃなくて!」
「か、勘違いしないでよね! くっつきたいんじゃないんだからね!?」
「なんで言い直したの!?」
「自動ツンデレ語翻訳機能付きなんだ」
犬子がはぅーって感じの顔になった。
「はぅー……」
実際に言いもした。
「じゃあ、そういうことなら分かった。すいません、肉まん二個ください」
「わわっ!? べ、別にいいよ、買わなくてもいいよ!」
「うるさい黙れ死ね」
「酷い!?」
なんか知らんが半泣きになってる犬子の隙を狙い、肉まんを買う。
「や、よい買い物をした」
「死ねって言われたー……」
コンビニから出ても犬子は泣きそうな顔をしている。
「一方俺は俺で空からの熱光線+地面からの輻射熱+肉まんのホカホカ熱で早くも死にそうだ」
「うー……。よく分かんないけど、熱いなら私が肉まん持つよ?」
「そう言うなり、犬子は俺から肉まんを素早く奪うと自分の肉まんを口に詰め、俺の分を道路に放り投げた。次の瞬間、無残にも俺の肉まんが車に轢かれ、轢死体に変わっていた。酷すぎる」
「符長くんの方が明らかに酷いよ! 嘘ばっか言って! ふん! 嫌いだもん!」
ぷいってされた。ぷいって。
「ごめんね? お詫びに死ぬね」
「重すぎるっ! もーちょっと軽いお詫びをご所望だよっ!」
「じゃあ、身体にくくりつける重りを100kgから80kgにするよ」
「そーゆーことじゃないっ! あと水死なの!?」
「ニューヨークで入水自殺する。む、ダジャレになってないな。しょうがない、入浴してから入水自殺だな。わはは」
「ちっともわははじゃないよぉ! そーゆー冗談一切禁止!」
「は、はい」
何やら涙目で訴えられたので、勢いに押される形でうなずいてしまった。
「うぅー……符長くんはすぐそーゆーこと言うから、嫌いだよ」
「頭がおかしいからね」
「自分のことだよ!?」
「間違えた。犬子の頭がおかしいからね」
「そっちにしても酷いよ!」
「どうしろと言うのだ」
「普通にしたらいいんだよ」
「任せろ、得意だ」
「…………」
「犬子の信頼を感じる」
「ジト目だよ!?」
「じゃあとっとと帰って一緒に肉まんを食おうな」(なでなで)
「うぅー……こ、こんなので誤魔化されないからね。いじわるの分の謝罪を要求するからね!」
「ほう。何をすればいいんだ?」
「……だ、抱っこ?」
何かを期待した目で、犬子がこちらを見ている。
「分かった、任せろ。だが、いきなり見知らぬ奴が抱きついたりしても、お巡りさんに通報されないかな?」
「符長くんは知ってる人だよ?」
何か嬉しいのか知らないが、嬉しそうにニコニコ笑いながら犬子が俺の頬をさする。
「いや、帰ってから鈍器のようなもので殴って記憶喪失にさせてから優しく抱っこするつもりなので。そのバヤイは知らない人になってるだろ?」
「いい人か悪い人か分からないよ、符長くん!」
混乱してる様子だったので、頭をなでて落ち着かせてみた。
「はぅー」
「はわわではないが、これはこれで!」(なでなで)
「はぅー」
そんな休日。
幽霊「幽霊です」 男「怖いなあ」 後編
2012年07月24日
男「ふぅ……。終わった」
幽霊「お疲れ様です、おにーさん」
男「ん。じゃ戻ろっか?」
幽霊「はい」
女「あ、お、終わったのね。お、お疲れ様」
男「ひゅーどろどろ」
女「忘れろって言ったでしょうがッ!!!」
男「ひぃ」
幽霊「お、鬼もかくやと思えるほどの怖さです! 思わず弟子入りしたくなります!」ブルブル
男「待て、コイツの恐怖と幽霊の目指す恐怖のベクトルは明らかに違うぞ。こいつの撒き散らす恐怖は物理的なもので、幽霊が目指すのは精神的な恐怖だろ?」
幽霊「あ、そでした。おにーさんの指摘には小生感服です」
男「一人称がおかしいが、分かってくれて何よりだ」ナデナデ
幽霊「えへへー」
幽霊「お疲れ様です、おにーさん」
男「ん。じゃ戻ろっか?」
幽霊「はい」
女「あ、お、終わったのね。お、お疲れ様」
男「ひゅーどろどろ」
女「忘れろって言ったでしょうがッ!!!」
男「ひぃ」
幽霊「お、鬼もかくやと思えるほどの怖さです! 思わず弟子入りしたくなります!」ブルブル
男「待て、コイツの恐怖と幽霊の目指す恐怖のベクトルは明らかに違うぞ。こいつの撒き散らす恐怖は物理的なもので、幽霊が目指すのは精神的な恐怖だろ?」
幽霊「あ、そでした。おにーさんの指摘には小生感服です」
男「一人称がおかしいが、分かってくれて何よりだ」ナデナデ
幽霊「えへへー」
幽霊「幽霊です」 男「怖いなあ」 中編
2012年07月24日
男「俺の想像が当たり、ちょっと辛い事件があったが、どうにか放課後になった」
幽霊「頬が腫れてますよ、おにーさん」
女「当然の報いよ。ふん、だ」
友「あっはっは。んじゃ俺は先に帰るな」
男「待てよ。一緒に帰って友達に噂とかされると恥ずかしいし、一緒に帰らないか? ゲーセン行こうぜ」
友「頭おかしい奴とは一緒に帰りたくないんだ」
男「じゃあ仕方ないな。また明日な、友」
友「ああ。また明日な、男。それに女さん、あと幽霊も」
女「はいはい。またね、友くん」
幽霊「見えてないようですが、また明日です」
男「幽霊とか馬鹿じゃねえの」
友「お前が言うな」
幽霊「見えてるおにーさんが言うのは明らかにおかしいです!」
女「じゃあ、一刻も早く死んで証明してみなさいよ」
男「女の台詞の鋭利さといったら……!」
友「あっはっは。んじゃ今度こそまたな、皆」
幽霊「頬が腫れてますよ、おにーさん」
女「当然の報いよ。ふん、だ」
友「あっはっは。んじゃ俺は先に帰るな」
男「待てよ。一緒に帰って友達に噂とかされると恥ずかしいし、一緒に帰らないか? ゲーセン行こうぜ」
友「頭おかしい奴とは一緒に帰りたくないんだ」
男「じゃあ仕方ないな。また明日な、友」
友「ああ。また明日な、男。それに女さん、あと幽霊も」
女「はいはい。またね、友くん」
幽霊「見えてないようですが、また明日です」
男「幽霊とか馬鹿じゃねえの」
友「お前が言うな」
幽霊「見えてるおにーさんが言うのは明らかにおかしいです!」
女「じゃあ、一刻も早く死んで証明してみなさいよ」
男「女の台詞の鋭利さといったら……!」
友「あっはっは。んじゃ今度こそまたな、皆」