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2025年02月03日
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【狐ねえ4】

2012年10月16日
弟「お姉ちゃん」
姉「なんですか弟」
弟「今日のご飯はスパゲッティだよ」
姉「…………」
弟「不満そうな顔しないの」
姉「……油揚げ乗せ、スパゲッティ」
弟「乗せません」
姉「…………」
弟「こら、黙ってスパゲッティに油揚げ乗せないの」
姉「……弟はいじわるだ。お姉ちゃんが油揚げ好きなの知ってて、スパゲッティにしたんだ」
弟「いやいや。油揚げばっかだと栄養が偏るから、たまには違うのもって思って作ったんだ」
姉「……あぶらげ……」
弟「……はぁ。分かったよ、油揚げも食べていいから、スパゲッティも食べてくれな」
姉「…………」パァァァ
弟「はいはい、嬉しいのは分かったから食べなさい」
姉「えへへへ。あぶらげ。……あ、今日はお箸じゃなくて、フォークなんですね」
弟「ああ、スパゲッティだからね」
姉「とうっ」ズビシ
弟「フォークを掲げて……何?」
姉「人間なので、上手に扱えます。人間なので」
弟「いや、そりゃ別に普通だと思うけど……あと、お箸は未だ上手に扱えないことは言及しない方がいいのかな?」
姉「お箸がない場でその話をするのはマナー違反です!」プンプン
弟「ああはいはい、ごめんよお姉ちゃん」(なでなで)
姉「分かればよいのです」フリフリ
弟「しっぽがふりふりと」
姉「あや、あやややや! み、見てはいけないのです! 弟になでられて喜んでいるとばれては、姉のぷらいどが!」
弟「えい」(なでなで)
姉「あああああ」フリフリ
弟「わはは。お姉ちゃんは可愛いなあ」(なでなでなで)
姉「ぐぐぐぐぐ。弟は隙あらばお姉ちゃんをいじめる。くやしい」フリフリフリ
弟「悔しければしっぽの動きを止めることだな」(なでなで)
姉「できないことを言うものではないです!」フリフリ
弟「できないのか」
姉「できないのです……」ションボリ
弟「ん? おお、止まってるぞお姉ちゃん」
姉「……! 本当です! これがお姉ちゃんの意志力です。すごいのです!」
弟「えい」(なでなで)
姉「あああああ」フリフリ
弟「元の木阿弥だね、お姉ちゃん」(なでなで)
姉「とても迷惑です!」フリフリ

弟「そうこうしている間にスパゲッティが冷めてしまった」
姉「どうしてくれるのですか!」
弟「仕方ない、温め直そう」
姉「しかたない、その間にあぶらげを食べよう」ビリビリ
弟「ダメだよ」ヒョイ
姉「あっ、お姉ちゃんのあぶらげを! 返して、返してくださいー!」ピョンピョン
弟「お姉ちゃんは小さいので、ジャンプしても高く掲げられた油揚げまでは届かない」
姉「ぐぐぐぐぐ。小ささをばかにされた。くやしい」ピョンピョン
弟「悔しければ大きくなることだな。わはははは!」
姉「ぐぐぐ。ぐぐぐぐ。……ぐすん」ピョンピョン
弟「あっ」
姉「食べていいと言ったのに。あぶらげも食べていいと言ったのに。弟がいじわるして食べさせてくれない。ぐしゅ……」ピョンピョン
弟「あ、いや、その、……ごめん、お姉ちゃん」
姉「取った!」サッ
弟「あっ」
姉「お姉ちゃんの素敵で無敵な演技に騙されましたね! お姉ちゃんにかかればこんなものです!」
弟「いや、実際に涙出てたし」
姉「こっ、これも演技なのです! 別に悲しくなって泣いたのではないのです!」ゴシゴシ
弟「まあ、なんだ。ごめんな、お姉ちゃん。お姉ちゃんと一緒にいると楽しくて、つい調子に乗っちゃうんだ。……ごめんな?」ペコリ
姉「……ま、まあ、私はお姉ちゃんなので。お姉ちゃんは、弟のすることは大体全部許すので、許します。……だ、だから、頭をあげて欲しいのですよ?」オロオロ
弟「いやはや。ありがとな、お姉ちゃん。優しいお姉ちゃんで俺は嬉しいよ」(なでなで)
姉「……う、ううううう。あ、あまりそういうことを言うものではないのです。……こ、困っちゃうのです」フリフリ
弟「しっぽがフリフリするだけでなく、顔まで真っ赤だよ、お姉ちゃん」
姉「言わなくていいのです!」
弟「わはは。……ん、そろそろスパゲッティが温まったようなので、食べようか」
姉「うー……分かりました」

姉「ずるずるずる……」
弟「お姉ちゃん、なんで逆手でフォークを握ってるの?」
姉「に、握り方は自由と聞きましたが!?」
弟「いや、別にいいんだけど……食べにくいと思って」
姉「た、食べやすいです。弟もするといいのです。世界が一変しますよ!?」
弟「まあ、そこまで言うなら……」
姉「どきどきどき」
弟「チュルチュル……ふむ。食べにくい」
姉「ええっ!?」
弟「よし、この機にお姉ちゃんにちゃんとしたフォークの使い方を教えよう」
姉「とても結構です!」
弟「フォークの使い方覚えるのと、一週間油揚げ禁止と、どっちがいい?」
姉「ふわああん!」
弟「このお姉ちゃんは簡単に泣くので可愛いなあ」

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【ツンデレに手の冷えを訴えたら】

2012年10月14日
 なんだか最近急に冷え込んできたので、おててが冷たいよ。
「そこで、貴様に俺様の手を温める権利を与えよう」
「なんの罰ゲームなのじゃ……?」
 のっけから泣きそうな顔をするまつりだった。
「いや、ほら、寒いから」
「知らんのじゃ。ほれ、燐寸(マッチ)をやるから燃えて全身火だるまになって温まって死ぬがよい」
「お、大魔王みたいな言い方が気に入った。よし、燃やせ」
「それじゃわらわが悪い人になっちゃって捕まっちゃうから嫌なのじゃ! 自分で燃えて死んじゃうがいいのじゃ」
「自殺は趣味じゃないのでいいです。なので、妥協案として俺の手を握って温めてはくれまいか」
「くれないのじゃ」
「股の間に挟んで温めるのでもいいから」
「もっと嫌なのじゃ!」
 なんか半泣きで嫌がられた。そこまで嫌がらなくてもいいのに。
「贅沢だなあ。じゃ、温めてくれるなら、代わりに今日はエッチしないでいいから」
「は、ってなんなのじゃ、はって! そんなことされたことないのじゃ! 今日も人聞きが悪いのじゃ!」
 まつりはふがーって怒った。鼻の穴が開いてる。ふがー。
「どうどう。落ち着け」(なでなで)
「あぅ……き、気安くなでるでない、愚か者」
 なでられ血流がよくでもなったのか、まつりはほんのり頬を染めながらそう言った。
「ああっ、まつりの頭をなでるだなんて、緊張してどうにかなっちゃいそうだよ!」(なでなで)
「気安くなければなでてよいという話ではないっ!」
 女の子との会話は難しい。
「ところで、手の摩擦によりもう暖かくなってしまった現在、俺はどうすればいいんでしょうか」(なでなで)
「そりゃ幸いじゃ。金輪際わらわに近づかなればもっと幸いじゃ。あとなでるでない」
「はい!」(なでなで)
「満面の笑みで嘘をついちゃダメなのじゃー!」
「だって、手を繋いでくれないというのだから、なでなでで我慢するしかないじゃあないですか」(なでなで)
「どっちも我慢せい!」
「はい!」(なでなで ぎゅっ)
「なでながらわらわの手をぎゅっと!? また笑顔で嘘をついたのじゃ!」
 なんかびっくりしてるまつりだった。けどまあ、振り解かれなかったのでそのまま手を繋いでました。

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【みゆ とある秋の日】

2012年10月07日
「秋ですね」
「ふにゃ」
 朝晩めっきりもっきり冷えだした今日この頃、俺は妹(猫系)のみゆと膝を突き合わせて会話していた。
「秋といえば」
「妹可愛がり!」
「初耳です」
「というわけで、みゆを可愛がってはいかがかにゃ?」
「いいえ」
「いいえ」
「兄の拒否を更に拒否とな。じゃあ仕方ない、可愛がります」
「なんでもやってみるものですにゃ!」
 というわけで、今日はみゆを可愛がる日になった。
「で、何をして可愛がられたいですか」
「sex」
「もうちょっとソフトな方向で!」
「せっくす」
「言い方を柔らかくしろと言ったのではない」(なでなで)
「ふにゃ」
「もうちょっと、こう、一般的な兄妹が行う範囲のことでお願いしたいのだけれど」
「極めて一般的の範疇だよぅ! ふんとにもう!」
 兄の知らない間に世間が随分とロックになっていた。
「でもまー、お兄ちゃんの頼みは断れないよ。見つかっても通報されない方向で考えるよ」
「あ、一般的ではあるが捕まりはするんだね」
「うーにゅにゅにゅにゅ……」
 みゆは両手を組み、どうするか考え込んだ。眉間にシワまで寄せて、随分と真剣に考えているようだ。これは邪魔をしたくなる。
「とやっ」(なでなで)
 というわけで、とりあえず頭をなでて思考の邪魔をしてみた。
「にゃーにゃー♪」(嬉しい)
 すると、ぴょんぴょん飛び跳ねて喜ばれた。
「邪魔をしたのですが」
「みゆは喜びました!」
「おかしな話だ」
「もっとなでて?」
「はあ」(なでなで)
「ふにゃー♪」(嬉しい)
「で、何か思いつきましたか」
「肉の交わりを断たれたら、もうみゆは何も思いつかないよ」
「肉て。もうちょっと何かあるだろうに。遊園地に行くとか、水族館に行くとか、動物園に行くとか」
「どこそこへ行くばっかり……そんなにどっか行きたいなら一人でどこにでも行っちゃいなさい!」
「なんで兄が怒られてるの?」
「出かけるのめんどいの! 家でお兄ちゃんとごろごろしてたいの! ごろごろしませんか! か?」
「はい」
 というわけで、ごろごろすることになった。のだが。
「ぶにゃー♪」
「これはごろごろではないと思う」
 妹は布団に俺を入れると、自分もその中に入って兄に抱きついている。
「んじゃ、ごろごろするよ?」
 そしてその状態のまま転がり出した。自然、抱きつかれてる兄も転がり、そして家は狭いのでやたらと身体が周囲の家具にあたる。
「ううううう……お兄ちゃんにいじめらりたぁ……」
 そしてタンスに頭をぶつけ、みゆが涙目になっていた。
「言いがかりだ! その証左に、ほら兄にもたんこぶが!」
「いぎあり! 自分が犯人でないと示すため、あえてつけたに違いないよ! ばばーん!」
「否! これはみゆが兄に抱きついて転がったため、タンスにぶつかってついた傷だ! いわば、これ自体がみゆが犯人である証拠!」
「しまった、ばりた!」
「罰としてなでます」(なでなで)
「罰なら仕方ないですにゃあ」(すりすり)
 と、ぐだぐだ話したり寝たりすりすりしたりしてたら一瞬で休日が終わったので、時間って野郎は平等じゃないなあと思った。

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【ツンデレと練習をしたら】

2012年10月03日
 どうやら最近の俺はセクハラが過ぎるようなので、少し自制したほうがいいやもしれない。ということで、しばらくはスキンシップを禁止しよう。
「…………」
 と決意した時に限って、かなみが遊びに来たりしますか。
「ねー。なんでそんな部屋の隅っこにいるのよ」
「隅っこに追いやられがちなんだ」
「うっさい。で、どしたの?」
「や、べ、別に?」(視線をあらぬ方向へ向けつつ)
「……ふーん」
 何やら面白くなさそうな顔で、かなみはこちらに寄ってきた。同じだけ俺も部屋を移動する。
「なんでアンタも動くのよ」
「そうは言うが、自分の意志で心臓を止める技術は持ってないんだ」
「心臓の話じゃないっ! ていうか止めたら死ぬから止めるなっ!」
「だから、止められないんだっての」
「わ、わかってるわよ……」
 そう言いながらもこっちに寄ってきてるので、部屋の壁を背にして、ずりずりと移動して回避する。
「……なんで逃げるのよ」
「や、逃げてなんていないよ? 背中がかゆいから壁でかいてるだけだよ?」
「私がかいてあげるから動くな」
 また寄ってきたので、回避。
「…………」
「…………」
「…………」(涙じわーっ)
「泣くなッ!」
「な、泣いてないわよっ! アンタに嫌われたところでなんともないわよっ!」
 とか言いながら目をゴシゴシされたりされたりなんてしたら、良心がうずくじゃあないですか。
「や、嫌ってなんていないよ? そうじゃなくて、その、色々とね?」
「……ホントに?」
「ホントに、ホント」
「…………」(無言でこっちに)
「…………」(回避)
「…………」(涙じわーっ)
「だから、泣くなッ!」
「嫌ってるもん……絶対私のこと嫌ってるもん……」
「ああもう。ああもう」
 なんかあと数秒で泣きそうな雰囲気だったので、仕方なく事情を説明する。
「……なるほどね。ばーか」
 すると、なじられる不思議。
「正直に言ったのに」
「アンタがセクハラしないなんて不可能なのよ、不可能。分かった?」
「人が必死で自制しているというのに、なんたる言い草か」
「分かったら諦めることね。……ということで、もー逃げない? 近づいてもだいじょぶ?」
 くりって小首を傾げられた。くりって。
「い、いいけど、その、ほどほどの距離感って大事だよね」
「そうね。じゃ、ちょっとあぐらかいて」
「嫌な予感が止まらないよ」
「早く」
「はい」
 殴られそうな雰囲気を感じ取ったので、大人しくあぐらをかく。すると、そこにかなみがぽふりと座るじゃないですか!
「なんで!?」
「れ、練習。アンタが過剰なセクハラしないように。今からアンタは私を抱っこするの」
「はぁ!?」
「おっきな声出すな! れ、練習だから。アンタに過剰なセクハラをさせない練習だから。手つきがえっちだったら指摘するから。だから抱っこはいいの。それ以外の理由なんてないの。おーけー?」
「nope」
「yesって言え!」
 とても怖かったのでyepになった。
「ん。……じゃ、じゃあ、ぎゅってしろ」
「いや、でも」
「…………」
「おや、突然無言に。妙に怖いですね」
「……やっぱ私のこと嫌いなんだ」(涙じわーっ)
「その武器は禁止の方向でお願いします!」
 相も変わらず俺は涙に弱い様子。後ろからかなみのちっこい背中を抱きしめる。
「ぐしゅ……な、泣いてなんてないわよっ!」
「はいはい、分かったから。泣かない泣かない」(なでなで)
「子供扱いすんな、ばか……」
 そう言いながらも、かなみは大人しく俺になでられていた。黙ってりゃ可愛いんだけどなあ。
「んー」(ぐりぐり)
 しばらくそうやってなでてると、今度はかなみの方からぐりぐりと頭を俺の頬にすりつけてきた。
「それはどういう練習なのだ」
「……え、えと。すりすりすることにより、アンタが私にえっちなことをしたくなる気分を増加させ、そのうえでセクハラを我慢するっていう訓練よ!」
「なるほど。抱っこだけで手一杯で、そこまでされると流石に我慢できなくなるのでやめてください」
「……わ、分かったわよ」
 なわけで、しばらく抱っこしてなでていると。
「んー」(ぐりぐり)
 またしてもかなみがぐりぐり攻撃をしてきた。
「なにをしている」
「れ、練習だもん。練習だからいいんだもん」
「だから、我慢できなくなるのでやめてください」
「うー……」
 そしてまたしばらくなでなでしていると、三度ぐりぐりしてくるという。
「やめれ」
「うっさい! アンタのことだから、ホントは我慢できるけど意地悪のためにやめろって言ってるんでしょ! すりすりさせろっ!」
「大変に破廉恥ですね!」
 殴られたので、すりすりさせる。
「……別にすりすりしたいんじゃないもん。練習だもん」(すりすり)
 そして殴られ騒動の際にかなみが前後回転しており、つまり抱き合った形ですりすりされていて困る。色々と。困る。
「あ、あの、もう練習は十分じゃあないでしょうか」
「まだ。全然まだ。ちっとも足りてない」(すりすり)
「いや、しかしだな……ていうか、すりすりしすぎではなかろうか」
「大丈夫だもん。これは練習だもん。練習だからいいもん」(すりすりすり)
「ふぅむ。納得がいかない」
「あ、なでなでもしろ。あと、アンタからもすりすりしろ」
「俺のセクハラを抑制する練習って話だったような」
 でもまあ、否定する材料が全く無いのでなでなですりすりしました。

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【瑠璃葉 コンビニ】

2012年09月29日
 なんか妹が超好きなんですが、妹はそうでもないようなので、基本的に悲しい。
「昔は『にぃさまにぃさま♪』とニコニコしながらついて来てくれたものを……時の流れというのは寂しいものだ」
「か、勝手なことを言わないでください、にぃさま。瑠璃葉はもう大人なので、そんなどこでも付いて行ったりなんてしないのです」
「悲しい話だ。それはそうと瑠璃葉、兄はコンビニで何かあむぁ~いものを買おうと思うのだが、何か買ってきてほしいものがあるか?」
「あ、瑠璃葉も行きます」
「えー。さっきどこでもついて来ないと言ったのに。えー」
「た、ただの偶然です。偶然コンビニに用事があっただけなのです。用事があるのにわざわざにぃさまと別々に行く方が子供っぽいと思ったのです。別に一緒に行きたいわけではないのです」
「なるほどそうか!」
「簡単に納得しすぎです……」
 自分で説得しておいて何か不満そうだったが、それでも二人で仲良く近所のコンビニへやって来た。
「なぜ近所のコンビニなのかと言うと、遠くだと遠くて行くのが大変だから」
「聞いてないです、にぃさま……」
 瑠璃葉は困った顔をした。
「で、瑠璃葉は何を買いに来たんだ?」
「えっ? えー……っと」
 瑠璃葉は店内をきょろきょろと見回した。明らかに視線が泳いでる。
「まあいいや。俺はうろうろしてるから、用事が終わったら来てくれな」
「えっ、あっ、は、はい、にぃさま」
 そんなわけで、ぼやーっとしつつ、瑠璃葉を眺める。
 本のコーナーへ行ったので立ち読みでもするのかと思ったが、読んでるサラリーマン風の男性に気後れして近寄れないようだ。
 次に瑠璃葉は、ソフトドリンクのコーナーへ向かった。しかし、選んでいる最中に数人の学生たちがそこへやって来たのに気づき、そそくさとその場を後にした。
「頑張ってください」(ぽふぽふ)
「に、にぃさま!」
 あんまりにもダメダメな妹を慰めるべく、後ろから瑠璃葉に近寄り、頭をぽふぽふする。
「……頑張ってます。これでも瑠璃葉は頑張ってます!」
「もうちょっとがんばりましょう」
「うぅー」(涙目)
「分かった、今すぐこの店内の人間をMINAGOROSHIするから、そのあとに瑠璃葉はゆっくり買い物を楽しんでくれ」(なでなで)
「頑張りすぎです、にぃさま!」
「や、失敬。妹のこととなると、兄は見境がなくなるのです」(なでなで)
「……べ、別に、そんなの、瑠璃葉には関係ありません」
 ぷいってされた。ぷいって。
「……あ、あぅ」
 でも、その後に申し訳なさそうにこっちをちらちら見てくるので、総合点で100点をoverしました。
「今日も可愛い」(なでなで)
「失礼なことを言ったのだから怒ってください、にぃさま!」
「うーん。怒るの嫌いなんだよね。でも、お天道様に顔向け出来ないようなことをした時は怒る予定なので、大丈夫だよ」
「むー。ちゃんと怒ってください」
「ごめんね」
 どういうわけか俺が怒られた。
「……はぁ。しょうがないにぃさまですね?」
「ああ、異性がいるところは怖くて近寄れない妹よりもしょうがないよ」
「……にぃさまは意地悪です」
 瑠璃葉の頬が小さく膨れた。
「でも、にぃさまがいれば別に怖くないです。へっちゃらです」
 そう言いながら、瑠璃葉は俺の手をきゅっと握った。小さな指が、俺の指に絡まる。
「……に、にぃさま。あ、あの、店には男の人がいっぱいいて怖いので、そ、その、商品を選ぶまで、こうして手を握っていてもいいですか?」
 どうしてそこで赤くなる。赤くなる!
「あ、ああ」
「そ、それと、頑張って男の人の近くまで行けたら、頭をなでてくれますか?」
「え、あ、まあ」
「……えへ。やたっ♪」
 なんかちっこい声でやたって言われた。ちっちゃくガッツポーズなんかもしてるし。
「……あ。な、何もしてませんよ?」
「いや、別になんでもいいんですけど。それで瑠璃葉、お前は何を買いに来たんだ?」
「へ?」
「へ、じゃねえ。何か買うものがあるから一緒に来たんだろ?」
「え……え、ええ! そうですそうです!」
 何か壊れた機械人形みたいにコクコクうなずかれたので、負けじとこちらもコクコクうなずいたら、怪訝な顔をされた。
「別にそういう遊びではないです、にぃさま……」
「ぼのぼのでこういうシーンがあったような」
「どうでもいいです!」
「ちぇ。それで、結局何を買いに来たのだ?」
「え? えー……っと」
 瑠璃葉はぐるーっと店内を見回し、最後に俺を見た。なんだか困った顔をしてたので、笑いかけてみる。
「えへー♪」
 すると、満面の笑みを返された。
「……い、いえ、違います。今のは違います」
 何が違うのか分からないが、瑠璃葉は顔を赤くして何かぶつぶつ言っていた。
「……うぅー。にぃさま、あまり瑠璃葉に笑いかけてはいけません」
「無理です」
「ううぅー」
 瑠璃葉は困った顔をした。可愛いのでなでなでする。
「うううううー」
「どしました?」
「……なんでもないです。にぃさまには困りものです」
「何が」
「いいのです。もー今日は頑張ったのでここまでです」
「はぁ。よく分からんが、買うものはいいのか?」
「よいのです。にぃさまと一緒におでかけしたかっただけなんです」
「なんと! これは兄さん大喜びな事実ですよ?」
「今日だけの秘密です。明日からまたがんばりますので、今日はいいのです」
「はい?」
「よいのです! それじゃにぃさま、お菓子を買いましょう。何か甘いのを食べたいです」
「うむ、異論はない。ポッキーでも買うか。そしてポッキーゲームでもしようか」
「…………」
「無言で頬を染めないで。ちらちらとこっちを見ないで。買い物カゴにポッキーを大量に入れないで。冗談です」
「……る、瑠璃葉も冗談です!」
 真っ赤な顔で怒る瑠璃葉は可愛いなあ。

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