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2025年04月22日
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【ボクっ娘と恋人ごっこ】

2010年02月19日
 賭けをして勝ったので、ボクっ娘と恋人ごっこに興ずることにした。
「え……そんなの嫌だよ、気持ち悪いよ」
「確かに恋人ごっこをしたがために、お前が本当は男だとばれてしまうかもしれない。だが、それでも俺はお前を気持ち悪がったりしない。いや、むしろ新たなステージに立てたことに感謝の気持ちを」
「超女の子だよ、ちょー! 何言ってんだよ、ばかっ! 気持ち悪いのはこっちだよ! なんでタカシなんかと恋人ごっこなんてしなくちゃならないんだよ!」
「夫婦ごっこでもいいぞ?」
「一緒だよ、ばかっ!」
「どっちにしろ、賭けに負けたお前に拒否権はないけどな」
「うー……わ、分かったよ。で、でもえっちなことはダメだからね! したら絶交だからね!」
 かなり不満そうだが、不承不承うなずいてくれた。
「よし。じゃ、とりあえず抱っこだ。カモン」
「……うー」
 くいくい手招きすると、梓は嫌そうに俺の膝の上に腰を下ろした。
「逆だ、逆」
「う?」
 梓の体をくりんと回転させ、お互いに向き合うように座らせる。
「ち、近い近いよ! 鼻息が届きそうな距離だよ! タカシの毒ガス臭がするよ!」
「口臭はないと思ったが……ちょっと嗅いでみて。はー」
「げふうっ! うう……もうダメだよ。死因はタカシの臭い息。もるぼるぐれーとだよ」
「失敬な。モルボル程度だぞ」
「あまり変わらないよ! ……まあ、ホントは臭くないけど。くんくんくん」
 俺の口元に顔を寄せ、梓は鼻をひくつかせた。
「なんか、タカシって石鹸の匂いがするね」
「主食だからな」
「……タカシ、悪食は程々にしたほうがいいよ」
 なぜ信じる。
「まあ臭くないのであればいいや。はい、ぎゅー」
 梓の背中に手を回し、ぎゅーと抱きしめる。
「は、はう……」
 そのままほっぺをすりすり。ほにょほにょでやーらかい。
「ん、ふ……は、はう、ふう……」
「梓……」
「ん、なに?」
「実は、お前に言っておかなくてはならないことがあるんだ」
「え、な、な、なに?」
「ドアの影から母さんがじーっと俺たちの痴態を眺めてる」
「「ふえええええっ!?」」
 母さんの声と梓の声が重なった。
「いや違うんです、梓ちゃんに飲み物を持ってきたらうちの息子が大ハッスルしてまして! そのまま覗いてたんですが、ばっち気づかれてましたか! 気づいてた上での痴態だとすれば、うちの息子露出癖が目覚めてます!」
 母さんが混乱しながら嫌なことを言う。
「うわうわ、うわうわうわ!」
 そしてうわうわ言いながら俺から逃れようとするボクっ娘。無論、逃すはずもなく背中に回した手は緩まさない。
「ど、どうしましょう、母さんここで見てましょうか? それとも混ざりますか?」
「いや……息子の初体験が3Pで、さらに近親相姦ってのは色々ダメだろ」
「しょたいけんーっ!?」
 俺の膝の上の物体がやかましい。
「大丈夫です。こう見えても母さんは経験済みです。大人の女性です。ずっこんばっこんです」
 そりゃそうだろ。そうじゃなかったら俺生まれてないし。あと、ずっこんばっこん言うな。
「……それとも、こんなおばさんじゃ嫌ですか?」
「自ら禁忌を勧めるな。それでなくても母さん見た目は女学生で通じるんだから、間違いがあっても知らんぞ」
 梓と並べても、まるで違和感のない恐怖。ほんとに人類か、この人。
「口説かれました! どっきんばぐばぐです! 久しく感じなかった感情に、母さん身も心も委ねたいです!」
「委ねんなっ! 父さんが見たらなんて言うか……」
「…………」
 母さんのいる場所からさらに奥に、口をぱくぱくさせた父さんがいた。
「超見てたーっ! い、いや、違うんだ父さん、これはただの誤解で」
「……あ、あの、私、ちょっと近所の喫茶店で時間潰してきますから」
「気を使うなッ!」
「……タカシの家族、どうかしてるね」
 梓の言葉に、頷かざるを得ない俺だった。

 もう恋人ごっこという空気でもなかったので、両親を交えて事情を説明する。
「はぁ……そういうことだったんですか。ダメですよタカシさん、そういうことはちゃんと両思いになってからでないと」
 母さんが正論を言う。
「はあ、すいません」
「我慢できなくなったら、いつもみたいに母さんに言いなさい。ぎゅーってして、ちゅーってしてあげますから」
「さも普段からしてるみたいに言うなっ! 梓もそんな目で見んな! 嘘だよ、嘘!」
「……嫌じゃないくせに」
 コメントは差し控えさせていただきます。
「スキンシップが足りないからこんなことになるんです。そうだ、今日はお父さんと一緒にお風呂に入ってスキンシップを取りなさい。ね、お父さん?」
 母さんの言葉に、父さんは半泣きで母さんを見た。……父さんは母さんと同じく、とても人の親とは思えない骨格をしており、簡潔に言うと可愛い小学生。
「だっ、ダメですダメですよ! そ、そんな、恥ずかしすぎます!」
 父さんは俺を見て、まるで少女のように頬を赤らめた。その様子に、なんだか俺まで照れてしまう。
「……サイテー」
 そんな俺を冷ややかな目で見る梓たん。
「えへんえへん! と、とにかくだ。今後はこんなことがないよう鋭意努力する所存です」
「そうですよ、タカシさん。まず手始めに、今日は家族三人でお風呂に入りましょう!」
「入らねーよっ!」
 再び半泣きの父さんと、呆れた様子の梓だった。

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【ボクっ娘が希少価値な存在だったら】

2010年02月19日
「という体で」
「……はい?」
 意味が分からない、という顔をしている梓に事細かに説明する。
「ふんふん……つまり、ボクが希少な存在っていう設定で今日は遊ぶんだね」
「設定とか言うない。じゃ、今からお前はレア的存在な。よーい始めー」
 ぱしんと手を叩き、ゲーム開始。ゲーム?
「え、えっと……ボクは珍しい存在だから、もっと崇め奉らないとダメだよ、いっぱい尊敬するべきだよ、ボクを教祖としてあがめるべきだよ」
「ははー」
「ははーって言いながらボクを踏んだ!? ちっとも尊敬されてない感じだよ!」
「言葉の上では尊敬してるからいいじゃん」
「ちっともよくないよ! もっと全身全霊で尊敬しろよ!」
 俺を押しのけ、梓は床をぺしぺし叩いて抗議した。
「しかしだな、お前のどこに尊敬する要素があると言うのだ、ファクターが存在すると言うのだ、小腹が空いたと言うのだ」
「ボクを馬鹿にしつつ胃の状態を言われた!? けなすか空腹を訴えるかどっちかにしろっ!」
「むぐむぐ」
「ボクのお菓子を勝手にむぐむぐと!? こらっ、それボクんだぞ、取るな!」
「これ以上ぷくぷくにならないよう、無駄なカロリーを俺が代わりに摂取しているのです、姫」
「ボクはちっともぷくぷくじゃないっ! 痩せてるもん! ガリガリだもん! 栄養失調で餓死寸前だもん!」
 それはそれで問題があると思います。
「いーから寄こせっ! ボクのおこづかいで買ったお菓子だぞ!」
「まあ待て。レアキャラにこんなコモンアイテムを与えるなんてとてもできない。やはりレアキャラにはレアアイテムこそが似合ってる」
「レアアイテムって……なに?」
「はい、進呈」
「……梅じゃん! 梅干しじゃん! ちっともレアじゃないよ、どこのスーパーでも売ってるよ!」
「ばか、うちは家族全員が梅干し嫌いだから、この家にそれが存在すること自体レアなんだぞ」
「む、む~……確かにレアだけど……」
「そんなわけで、希少な梓には希少な梅干しをあげるから、俺はベタでどこにでもある菓子をいただく。ああベタだつまらないなあむしゃむしゃ」
「……すっぱい」(梅干しを食べながらも釈然としない様子)
「げふー。さて、腹も膨れたし、寝るか」
「寝るなっ! まだ遊び途中だろっ! ほら、もっと色々あるじゃん? ボクが珍しい存在だから、世界中の人から狙われて、それをタカシがびしばし撃退して、こう……らぶらぶになるとか? いっ、いや、別にボクがそれを望んでるとかそんなのじゃなくて!」
「ぐごー」
「まさかの睡眠!? こら、ボクをほって寝るな!」
「うーんむにゃむにゃ。もう食べられない」
「そんなベタな寝言あるかっ! 明らかに起きてるだろっ!」
 顔面をぺしぺし叩かれたので、しぶしぶ目を開ける。
「分かった、分かったよ。らぶらぶな展開がお望みですか」
「べっ、別にお望みじゃないもん。……まあ、タカシがどうしてもって言うならやぶさかでもないケド」
「いや、全然」
 期待されているようなので、当然断る。
「…………」
 想像通り、超不満そう。大変愉快。
「……タカシって、基本的にいじわるだよね」
 機嫌を損ねまくったのか、梓は口を尖らせた。
「いやいや、バファリンも尿漏れを起こすほど優しいぞ? 犬猫とかに」
「なんでわんわんや猫限定なんだよっ! ボクに優しくしろっ! ボクは希少なんだぞ!」
「確かに、ここまでへっぽこな輩は希少だが……」
「へっぽこってゆーなっ! そーゆー希少はのーさんきゅーだよ!」
「じゃ、どんな希少がお望みですか?」
「え? えっと……お、お姫さま?」
「…………」
「な、なんだよ。……いいじゃん、別に! ボクがお姫さまに憧れても!」
「……や、まあいいケド。じゃ、お姫さま(笑)扱いしようか?」
「(笑)をつけんなッ! 明らかに馬鹿にしてるだろっ!」
「一生お守りいたします、お姫さま(笑)」
「超嬉しくないッ!」
 お姫さま(笑)扱いしたのに嫌がられた。

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【占い師に男との相性は最悪だと言われたツンデレとボクっ娘】

2010年02月19日
 かおるとボクっ娘のふたりと街まで遊びに出かけた。映画見たりカラオケ行ったりしてボチボチ帰ろうと思ってると、声をかけられた。
「もし、そこな若人達。ちょっと占いなどどうかの?」
 声の主は、怪しげな装束に身を包んだ占い師のような爺さんだった。道の片隅に小さな机を配置し、その奥で好々爺とした笑みを浮かべる爺。
「占いだけは信じるなと朝の占いで言ってたから信じてないんだ」
「タカシ、矛盾してるよ?」
「なんだと!? 貴様、俺の矛を馬鹿にするな!」
「あうーっ!?」
「わけわかんねーよ……」
 ボクっ娘のほおを引っ張る俺を、呆れた様子で眺めるかおるだった。
「うー……いーじゃん、占い。ボク、みてもらおーっと」
「『こんなところにいられるか!』そう言い残し、梓は皆のいる部屋から逃げ出して占い師のいる自室に篭もった」
「死亡フラグだ!」
 俺とかおるの連携プレイに、梓が嫌そうな顔をした。
「なんでそういうこと言うかなあ……」
「純然たる善意だ」
「明らかに嘘だよ! いーもん、そんなの気にしないもん。おじいさん、ボクを占ってください」
 そう言って、梓は占い師の前に置かれた椅子に座った。
「はいはい、見料は2000円だよ」
「かおる、ちょっと見張ってろ。梓、少し待ってろ、ライターとガソリン調達してくる」
「ひいいいいっ!? き、今日は特別に100円でいいわい!」
 不思議なことに見料が安くなった。
「……おめー、絶対地獄落ちるぞ」
「地獄にハーレム作るから大丈夫」
 爺さんは「今日は厄日かのう……」とか言いながら、梓の手を調べた。
「あ、あの……タカシの、えっと、そこの男の人との相性って、どうです?」
 梓のこっ恥ずかしい言葉に、かおるの目が細まった。
「へー……」
「な、なんだよ、ボクがタカシとの相性気にしたらいけないのかよ」
「……べっつにー。まー、梓ってタカシのこと好きみたいだし、いいけどさー」
「ぼぼぼぼボクは別にタカシのこと好きじゃないもん! あ、相性が悪かったら嬉しいなーって思っただけだもん!」
「そいつはよかったの。嬢ちゃん、おぬしとそこの物騒な男性との相性は最悪じゃ」
 微笑みながら爺が梓に俺との相性を伝える。
「え……うそ」
 答えを聞いて、梓は泣きそうになっていた。
「へー、よかったじゃん梓。じゃ、オレもいっちょタカシとの相性でも調べてみっか」
 梓を椅子からのかせ、楽しげにかおるが爺に手を見せた。
「ふむ……ほう、嬢ちゃんも相性最悪じゃの」
「え……そ、そっか。まあ、そうだと思ってたけどさ。へへっ、嬉しいな……」
 言葉とは裏腹に、かおるも答えを聞いて泣きそうになっていた。
 爺に見料を払い、テンションだだ下がりの二人を連れて街を歩く。
「…………」
「…………」
 うーむ、会話がない。二人とも死にそうな顔してるし、どうしたものか。
「そう落ち込むな、二人とも。大丈夫、占いなんて当たりゃしないさ」
「べ、別に落ち込んでたりなんてしてないもん。タカシとの相性最悪で、万々歳だもん……」
「そ、そうだぜ。お前との相性が最悪なんて、今年最高のニュースに決まってんだろ……」
 乾いた笑みを浮かべる二人。なんか放っておいたら死にそうなほど元気が無い。
「大丈夫だって。毛なんてその内生えてくるさ」
「そんな話してないよっ!」
「なっ、なんで知ってんだ!?」
 かおるの言葉に、思わず梓と一緒にかおるの顔を見つめる。見る間に赤くなっていくかおるが愉快痛快。
「う、ううう……一生の不覚だぜ……」
「梓も生えてないから気にするな」
「人の秘密をぽんぽん言うなっ、ばかっ!」
 赤い生き物が俺をぺこぽこ叩きます。
「まあアレだ、元気出せ。相性とか気にするな。そもそも、相性が悪かったらこうして一緒に遊んだりしてないだろ」
「……タカシ、ボクらを元気付けるためにわざと……?」
 梓がよく分からん事を言うので、そっぽを向く。
「あ、そーゆーことか。……へへっ、なんだよ、いい奴じゃん、お前って。手段はともかくとして」
「うあっ!?」
 かおるの奴が楽しそうに俺の腕に自分の腕をからませたので、変な声が出た。
「あっ、かおるちゃんずるい! ボクも!」
 そして梓も反対側の手に抱きついてきて困る。
「お、お嬢さん方。あまり引っ付くのはどうかと思いますがね」
「お前ってさ、自分からは平気なくせに、こっちから行くと照れるよな」
「だよねー。タカシって照れ屋さんだもんね」
「ええい、からかうな馬鹿者ども! 元気が出たなら帰るぞ!」
「「タカシきゅんの照れ屋さんー♪」」
「タカシきゅん言うな! 照れ屋とかも言うな! がーっ!」
 結局、家までずっとからかわれ続ける俺だった。

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【ボクっ娘にお前の好きな物を三つあげよって聞いたら】

2010年02月16日
 もうすぐボクっ娘の誕生日だ。いつも適当にプレゼント買っているのだが、今年は何がいいか本人に聞いてみよう。
「なあ少年、おまいの好きなものを三つあげてみてはどうだろうか」
「少年じゃないよ、少女だよっ!」
「そんな瑣末事はいい。ほれ、言え」
「瑣末じゃないのに……ええと、ボクが好きなのはタカ」
「鷹?」
「……じゃじゃじゃ、じゃなくてっ!」
 突然、ボクっ娘の顔がりんごみたいに真っ赤になった。
「何を赤くなっている」
「なってない、なってないよ!? あ、あははっ、気にすんなよ!」
「分かった、全力で気にする」
「何一つ分かってないよこの人!? そ、そんなことよりボクの好きなものだろ? 言うからそっちを気にしてはどうかにゃ?」
「可愛く媚びられてはそちらに気を向けるしかあるまい。ほれ、言え」
 媚ぱぅわーに引き寄せられ、梓の頭をなでなでしながら訊ねる。
「わふわふ♪」(嬉しそう)
「わふわふはいいから」
「うっ、うるさいなあ……タカシになでられると言っちゃうんだよ、なんか」
「じゃあ今後絶対になでない。それがお前へのプレゼントの一つだ。よかったな、梓!」
「……わ、わぁーい」
 地獄に落ちたみたいな顔で喜ぶ梓。
「しかし、お前を喜ばせるのはつまらないのでやっぱやめ。今後もお前の頭をなで続ける」
「えっ……こ、困ったなあ、もー。ほんっと、タカシってばいぢわるで嫌な奴だね♪」
 満面の笑みで俺をなじる梓。変な奴。
「それはそれとして、好きなものを三つ言え」
「えぇと、タカ……じゃ、じゃなくて! もうっ、それはいいの! 学習しろ、ボク!」
「学習とかボクっ娘には無理だ」
「タカシつっこみが冷たすぎるよ! 愛情がないよ、愛情が!」
「代わりにあんぱんならある」
「なんで……?」
 懐から取り出したあんぱんを渡すと、梓は不思議そうな顔をしつつかぶりついた。
「まふっ。あ、おいし」
「俺の非常食。しかし、梓が食べてしまったので非常時にはお前を食べる」
「ボクの知り合いが食人鬼に成り果てた!?」
「いや、性的な意味合いで」
 ややあって、梓の頭から湯気が出た。
「たたたたっ、タカシのえっちえっちえっち! なっ、なんだよ、性的な意味合いって! いや説明しないでよ! タカシのことだから嬉々として事細かに説明するだろうからっ!」
 期待に応える。
「説明するなって言ってるのになんで説明すんだよっ、ばかっ!」
 ド赤面&涙目で梓は俺をぽかぽか叩いた。
「なぜ好きな物を聞くだけでこんな大騒ぎになるのだ……?」
「もーっ! もーっ! もーっ!」
 ぽこぽこ叩かれること数分、梓が落ち着いたのを見計らって口を開く。
「で。そろそろ好きなものを聞きたいのだが」
 これだけ話しても未だに一つも聞き出せないことに、我ながら驚く。どれだけ脱線してんだ。
「えーと……くまさん、かな」
「くま……くまの手……熊手か。ホームセンターに売ってるかな」
「勝手に連想されて熊手が好きな変な子にされた!? 違うよ、ボクが好きなのは熊手じゃなくて、くまさんだよ! 冬眠する方!」
「冬眠する熊手……? バイオの力を駆使すれば、どうにかなるか?」
「バイオとかいいの! くま! 手はいらないの! くまのぬいぐるみとか喜ぶ所存だよ!」
「じゃあ、くまのぬいぐるみ(手なし)を今度プレゼントするよ」
「かっこの中が余計だよっ! 手はいらないってのはそういう意味じゃない! そんなぬいぐるみ嫌だよ、なんか呪われてそうだよ!」
「いやいや、呪われてなんてないぞ。ちょっと夜中に『手……オレの手はどこだ……』って呟きながらうろうろする機能がついてるだけだ」
「それを呪いって言うんだよっ!」
 その後も話は続いたが、結局何一つ決まらなかった。
「ううう……ふつーに話せば5分で済むことが、なんでタカシが相手だと何時間経っても終わらないの?」
「無駄話のしすぎだな。俺と梓、単品なら問題ないが、二人が化学反応を起こすと無駄話が生まれてしまう。いわば、二人の愛の結晶」
「そ、そんな結晶嬉しくないよっ!」
 とか言いながら、ちょっとにやけてる梓だった。

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【ツンデレ喫茶で働く事になったボクっ娘】

2010年02月15日
 梓がバイトを紹介してくれと言うので、ツンデレ喫茶を紹介してやった。
「なんだってよりにもよってこんなところ紹介すんだよ……」
「職業に貴賎はないぞ? あと汽船もない」
「意味わかんないよッ!」
「いや、アレだ、こう……汽船の……蒸気が、こう、……ぽっぽー?」
「適当に言ったのを無理につなげようとするな、ばかっ!」
 そんなわけで、今日は梓の初バイトです。様子を見に行ってみよう。ドアを開けて店内に入る。
「何しに来たの?」
 入るなりいきなり出迎えてくれたウェイトレスさんが暴言を吐くので、ちょっと面食らう。
「いや、その、喫茶店だし、汁気の物をすすりに」
 店員さんは一瞬怪訝な顔をした後、いいからそこに座れと言って俺を近くのテーブルに案内した。
 ……ううむ、想像してたのと違うな。なんちうか、思いっきりマニュアルって感じだな。梓は大丈夫だろうか。
 ぼやーっと待ってると、ウエイトレスさんが注文を取りに来た。……ん、梓じゃん。いつものボーイッシュな格好とは違い、今日はメイドさん装備に身を包んでおり、ムネキュンな感じだ。
「あ、タカシだ! ……あ、えへんえへん。何にするの? 早く決めてよね」
 梓は一瞬だけ顔を綻ばせたが、すぐに顔を引き締め、嫌そうに俺に注文を促した。
「偉そうだから、帰ったら物凄い罰ゲーム」
「えええっ!? で、でも、仕事だからこーゆー対応しないと、店長さんに怒られ……」
「罰ゲーム」
「あ、あぅぅ……」
 泣きそうな顔に満足したので、とりあえず注文する。
「ええと、もんじゃ焼き」
「喫茶店なんだから、そんなのないよ! ……食べたいんだったら、帰ってから作ろっか?」
 他の人にばれないよう、梓はこそこそっと俺に耳打ちした。
「お、マジ? じゃあ頼む」
「お任せだよ♪ ……で、それはそれとして、注文なに? 早く決めてよね」
「んーと、果汁100%のコーラ」
「か、果汁!? コーラの果汁ってなんだろ……」
「そりゃ、黒い汁なんだから……黒い果実? 果実……じゃなくて、虫? 黒い虫……ゴキブリの絞り」
「すとーーーーーーっぷ! これから先コーラ飲めなくなっちゃうから、それ以上その嘘を言うの禁止!」
「どっちにしろ、炭酸飲めないじゃん、お前」
「う……お、大人になったら飲めるもん! ボクが大人になる頃には、しゅわしゅわするのなくなってるかもしんないし!」
 それはもう炭酸ではない。
「まあなんでもいいや、コーラ頂戴」
「ん、分かったよ……じゃないや、しょうがないからやったげる」
 ムカつくタイプの口調なので、こめかみを拳でぐりぐりする。
「あぅぅぅぅーっ! し、仕事だもん、マニュアルだもん! 怒られてもしょうがないもん!」
「マニュアルだかなんだか知らないが、俺様相手にそんな口を利くとは……今日の罰は凄そうだな」
「あ、あぅぅ……」
 すっかりしょげかえった梓を見送り、しばし待つ。ほどなく、梓がコーラを持ってやってきた。
「はい、コーラです。……さっさと飲んで早く帰ってよね!」
「…………」
「あ、あの、ま、まにゅある、マニュアルだから……あ、あぅぅ」
 とても怖い顔をしたら、とてもとても怯えられた。
 とにかく、ここはダメだ。俺の肌に合わない。とっとと帰ろう。コーラを5秒で飲み干し、席を立つ。
「んじゃ、俺帰るな。バイト頑張れよ」
「あっ……うんっ!」
 頭を軽くなでると、梓は顔を輝かせた。犬属性め。素敵だぞ。
 レジで金を払い、店から出ようとしたら、店員さんが呼び止めた。
「いっぱい酷いこと言っちゃったけど、また来てくれるよね?」
 死んだ魚のような目でそんなことを言う店員さんに、俺は会釈だけしてそこから逃げ出した。

「おじゃまします! あー疲れた! もー嫌だよあの店!」
 喫茶店から帰った後、部屋でぼやーっと漫画読んでたら、バイトを終えた梓が入ってきた。
「お疲れ」
「まったくだよ。来るお客さんみんなボクがなんか言う度にニヤニヤして、なんか……あーっ、もーっ!」
 ベッドに倒れこみ、その場で泳ぐように梓は手をばたつかせた。
「まぁ、無理するこたないさな。合わないなら別のバイトすれ」
「そもそもタカシが紹介したんだろ、あそこ!」
「だって、ノーパンしゃぶしゃぶの店を紹介したら嫌がるだろ?」
「当然だよっ! ていうか未成年がそんなところで働けないし、仮に働けても嫌に決まってるだろっ、ばかっ!」
「今度適当なバイト先紹介するから、そう怒るな」
「……真っ当なバイトなんだろうね? 変なとこだったら怒るよ?」
「俺のノーパン店リストを甘く見るな」
「なんでノーパン限定なんだよっ! あんまり変なことばっか言ってると、もんじゃ作ってあげないよ?」
「もんじゃ……?」
「あっ、もー忘れてる。作ってくれってタカシが言ったんじゃないかよ」
「んー、そだっけ? まあいいや、腹は減ってないからそれはいいや。代わりに、罰ゲームしよう、罰ゲーム」
「なっ、なんでそんなことだけ覚えてるんだよっ! こら、にやにやしながら来るなっ、手をわきわきさせんなっ!」
 怯えまくる梓にゆっくりと近寄り、一気に襲い掛かる!
「あぅぅぅぅっっっ!!! ……あぅ?」
「ふはははは! どうだ、我が指テクは?」
「あっ、あー……気持ちイー」
 梓の後ろから肩をもみもみする、というオチですよ。
「あー、お前でも慣れない事したら緊張すんだな。けっこー凝ってるじゃん」
「ボクでも、っていうのが引っかかるけど……まあいいや。珍しくタカシが優しいし」
「何を言うか。俺はいつだって優しいぞ」
「あは。そだね、タカシって本当は優しいよね」
 てっきり「何言ってんだよ、ばか」とかそういう返しがくると思っていたのだけど、梓は嬉しそうにそう言って俺に背中を預けた。
「タカシ、もー肩揉みはいいから、……その、ぎゅってして?」
 しばらくそのまま肩を揉んでると、梓は肩越しに振り向き、そう言ってちょっと恥ずかしそうにはにかんだ。綿菓子みたいな微笑みに、どうにも調子が狂う。
「恥ずかしい奴だな、お前は」
「う……た、タカシ限定だからいいんだよ! ……その、嫌だったらいいんだけど」
「そうは言ってない」
 悲しそうな瞳に、俺は慌てて後ろからぎゅっと抱きしめた。全く、梓の悲しそうな顔に弱くて困る。
「……え、えへ。で、でねでね、すりすりも、いい?」
「ものすごい甘えっぷりですね」
「う……い、いーじゃん。バイト頑張ったんだし、それくらい。ね?」
 甘えに特化した梓の視線と上目遣いに、撃沈。後ろからすりすりすりしました。その度にきゅーきゅーと嬉しそうな悲鳴があがって嬉しいやら恥ずかしいやら嬉しいなあチクショウ。

拍手[13回]