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2024年11月21日
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【ツンデレをしばらくほったらかしにしたら】
2014年09月16日
「ふみ」
「…………」ツーン
「あの。ふみさん」
「…………」ツーン
困った。今日は休日なのだが、朝から近所の中学生のふみが家に来るなり、人の部屋を、俺の布団の領土を占領し、そこから非常に居心地の悪い視線を俺に送り続けている。
「えーと。もし用事がないのであれば、その、少し睨むのをやめてほしいのだけど」
「ふん。私をずっとずっとずーっとほったらかしにしてるおにーさんの言うことなんてききません」ツーン
「ほったらかしなんかにゃしてないと思うが……」
「にゃーとか言ってカワイコぶってもダメです。ちょっと可愛いけどダメです。……もっかいだけ言ってください、おにーさん」
「カワイコぶった記憶はない。そして簡単に籠絡されるな」ナデナデ
「私が猫好きと知っての策ですね。やはりおにーさんは一筋縄ではいきません。……あ、あと、もっかいなでなでしてください」クイクイ
「なんか今日のキミは可愛いな!」ナデナデ
「むっ。いつでもいつだって私は可愛いのです。あと、別にこのなでなで要求は別にそのアレですから勘違いしたら銃殺刑なのです」ウンウン
「意味が分かりません」
「むっ。手が止まってます、おにーさん」ムー
「あ、はい」ナデナデ
「んー」
俺になでられ、ふみは気持ち良さそうに目を細めていた。さながら毛づくろいされる子猫のよう。しかし……。
「…………」ナデナデ
「…………。色々思うの禁止です」
「思想の弾圧が!」
大変な事態に陥ったが、恥ずかしそうに頬を染めて俺を睨んでるふみを見てると、まあいいかと思ったのでまあいいか。
「ん。とりあえずなでなではいいです。とりあえずです」
「疲れた……」グテー
いかになでるのが好きとはいえ、小一時間もなでてると手が取れそうです。
「次です、次。ぐてーとなるのは後です、おにーさん。ぐてーは私が帰った後にしてください」グイグイ
「おにーさんは疲れたよ……」グテー
「自分でおにーさんとか言うおにーさん愉快痛快です」
「ぐぬぬ。次から一人称は拙僧に統一しよう」
「おにーさんがお坊さんに」
「自分でも言いながらこれはまずいなあと思ったが、つがえた矢は撃つ以外術がなかったよ。明日にでも出家しよう」
「出家なんてしないで、矢筒に戻せばいいんです」
「それができればもうちょっとマシな性格になってるんだけどなあ。でたらめ矢を撃ちまくり、気づけば周囲にいるのは数人の友人とふみだけだよ」
「ふふ。……こういうの、楽しいです」ニコニコ
「こういう?」
「んー……ちょっと捻ったおしゃべり、です」
「ふぅん? よく分からんが、ふみが楽しいなら俺も嬉しいよ」
「あっ。……お、おにーさんくらいしかいませんもん、こういうお話できる人。だから楽しいんです。別におにーさんとお喋りするのが楽しいとかじゃないです。本当です」ムー
「何も言ってねえ」
「これ以上疑うと殺します」
「冤罪だあ!」ワタワタ
「ぶっ! ……わざと醜態をさらし、私を吹き出させましたね。重罪です、おにーさん」
「冤罪だあ!」ワタワタ
「ぶふっ! ……天丼とはやりますね、おにーさん」フルフル
「ちなみにだが、ふみが吹き出したつばが全部俺にかかった」ベトベトン
「おにーさんが女子中学生の唾液を全身に塗りたくってます」
「待て、その言い様だとさながら俺の性癖に新たな1ページが刻まれたようではないか! 生憎そのような特殊性癖は持ちあわせておりません! 俺なんて極めてノーマルなので、せいぜいふみを無理やり抱きしめ動きを止めて一日中口内を舌で犯」
そこまで言ってはたと気づいた。俺は中学生相手に何性癖を暴露しようとしてんだ。ふゆー、危ない危ない。ほとんど言ってたような気もするが、まあ大丈夫だろ。
「…………///」
全然大丈夫じゃなかった。静かに赤面されてます。これは録音されてたら捕まるね。いや、証言だけでも……?
「お、おにーさんはえっちです。えっちです///」ムー
「え、あ、はい」
「わた、私を抱っこして、ちゅーしようだなんて! えっちにもほどがあります、おにーさん!///」
「ひぃぃ! 不穏当なことを大声で叫ばないで!」
「そっ、そーゆーのは段階を踏まないとダメなんですっ! なでなでしてっ、手をつないでっ、ぎゅーってしてっ、それからなんですっ!」パタパタ
「えっ」
なんか変なこと言ってるようだが、こちらも相当変なことを言ってるので俺の認識が信用できない。とりあえずペンギンみたいに両手をパタパタ扇いでるふみが可愛い。
「あっ、で、でも、もうなでなではしましたしっ。手もつないだことありますしっ。ぎ、ぎゅーもありますし。……あ、あれ? え、えと、おにーさん、これではちゅーのお膳立てが……///」オロオロ
「ふふ、なんという愛らしさ。鼻血が出そうだ」
「ああ、そればかりはアタシも同感だね、坊主」ガラッ
鬼が現れた。
「やあ母さん、今日も美しくて何よりだ。ただ、台所以外で鉄製調理器具を持つのはいかがなものかな?」
「ああ、これは極悪強姦魔を撲殺するのに使うんだ。何、殺すのは半分だ、安心しろ」ブォン
「どこをどう安心しろって言うんだ、ちくしょう」(諦念)
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【ツンデレがお年玉をせびったら】
2013年01月07日
「お正月です、おにーさん」
近所の中学生、ふみが我が家にやってきた。これは俺の財布が大変にピンチな予感。
「そ、そうだな。あけましておめでとう、ふみ」
「あけましておめでとうです、おにーさん」
ふみはペコリと頭を下げた。礼儀正しいので頭をなでる。
「新年から中学生の頭をなでるとは。今年もおにーさんの性欲は留まることを知らないようです」
「ただなでただけでこの扱いとは。今年もこの娘さんには困らされそうだ」
「まったく、これだからロリコンは危険です。……えへへ」
ちゃんと最後まで毒を吐いてて。せめて分からないように笑って。どうしたらいいか分からなくなるよ。
「こ、こほん。……ところでおにーさん、私は年下です」
「そ、そうだね。小さくて可愛いね」
「小さくないですが、可愛いのは異論ないです」フンス
「…………」
「……おにーさんから言っておいて、可愛くないと言うのですか。社交辞令だったのですね」ションボリ
「いやいやいや! 超可愛いですよ! ただ、今は別の心配事がありましてね?」
「ほう。ちょー可愛いのですか」
「あ、ああ。ちょー可愛いです」
「そんなちょー可愛くて年下の私に、おにーさんはどんな評価を下すのでしょうか」
さあ。来たぞ。
「おにーさん。お年玉、ください」
「……ふみ。古典には古典の良さがあってだな、その良さを確認してもらうために」
「あ、『玉を落としてお年玉ー』とかやったら半裸になって叫びます」
奥の手を潰された。もう何もない。
「どしました? さあ、お年玉ください」
「う、うむ……」
「お年玉、おとしだま。おっとしっだまっ、おっとしっだまっ♪」
ふみは節をつけて歌い出した。それどころか、楽しげな踊りまで繰り出した。ただ、依然として無表情を貫いたままだが。
「い、いや、まあ。その、だな」
「おっとしっだまー、おっとしっだにゃー。にゃっにゃにゃっにゃにゃー♪」
「もう全部猫です」
「可愛いですか?」
「鼻血が出そうな程度は」ナデナデ
「うにゃうにゃ」
「うぅむ。……分かった、ここまでサービスをされては俺も異論はない。お年玉をやろう!」
「わーい」
「わーいと言う時くらい笑ってくれませんかねェ?」
「これ以上のサービスには追加料金が発生しますが、大丈夫ですか?」
「もはや風俗ですね」
「お、おにーさん、えっちです……」
「なんでそういう時はキチンと恥じらいの表情をするのですか!!!」
これだけで一週間はオカズに困りそうにないですよ。全く。
「お正月だけの特別サービスです。ただ、思い出す度にいちおくえんください」
「嫌です」
「おにーさん、けちです……」
「お年玉だけで我慢しとけ。んーと……ああ、あったあった」
引き出しに入れておいたポチ袋を取り出し、さらに自分の財布も取り出す。……うーむ、あまり芳しくないな。
「有り金全部でも構いませんよ?」
「強盗か」
「かねをだせー」ペシペシ
「こんな可愛い強盗には金を差し出すしかない」
札を数枚入れて、ふみにポチ袋を渡す。
「わ。……ありがとうございます、おにーさん。大切に使いますね?」
「ん、そうしてくれると嬉しい」
「じゃあ、窓からお金を投げ捨てて、愚民どもがそれを必死に拾う様を鑑賞する遊びをするので、おにーさんも一緒に見ますか?」
「大切の意味って知ってる?」
「おにーさんが私に対して思ってることですね?」ニヤリ
「はい。あ。……い、いやいや、そんなこと思ってませんよ? 厄介な奴としか思ってませんよ?」
「そ、そですか。あ、あはは」
「ははは」
二人して乾いた笑い声をあげる。やたらめったら顔が熱い。ふみも真っ赤なまま、はははと笑ってる。ええい。
「ど、どんなに大切に思おうとも私は手に入らないのに、それでも私を大切にするおにーさんは滑稽ですね。は、ははは」
「そ、そうだな。はっはっは」
「……うぅ。……一度、仕切りなおすのが互いのためだと思うのです」
絞りだすような声で、真っ赤なふみがつぶやく。
「う、うむ。異論はない」
というわけで、二人同時に深呼吸。……ふう、少し落ち着いた。
「……ふぅ。えと、ここからやり直します。大切……つまり、おにーさんが私に対して思ってることですね?」
「えーと……いやいや、何言ってんだこの娘は」
そう言うと、ふみはほっとしたように息を吐いた。
「うん、それでいいのです。まったく、なんで最初に『はい』とか言っちゃいますかね、このおにーさんは」ペシペシ
「や、急に質問が来たので、つい本音が──」
……あ。いかん。
「……わざとですか。一度やり直した上での先の台詞。わざとですね。わざと私の顔の毛細血管を活発にさせているのですね。おにーさんは今年も悪魔のようです」
真っ赤で涙目のふみが、俺をじろーっと睨む。
「もしそうなら、俺の顔が熱を持っている理由がないのだが」
「ただの間抜けでしたか。非常に厄介な間抜けです。えいえい」
チョップされた。完璧に俺が悪いので、粛々と受ける。
「……うー。もういいです。罰です、どっか連れてってください。いっぱいおごってもらいます」
「貴様、お年玉まで強奪しておいてさらに俺の財布にダメージを与えようというのか」
「こんな可愛い女の子とデートできるのだから、喜ぶべきではないですか?」
「む。本当だ。嬉しい」
「そこは、『何言ってんだコイツ』とか言うところじゃないのですか! 今年のおにーさんはなんだか素直で厄介です!」
「すいません冬休みの野郎が俺の頭を朦朧としやがりまして!」
「うー! えいえい!」
またしても真っ赤な顔で俺に何度もチョップするふみだった。
近所の中学生、ふみが我が家にやってきた。これは俺の財布が大変にピンチな予感。
「そ、そうだな。あけましておめでとう、ふみ」
「あけましておめでとうです、おにーさん」
ふみはペコリと頭を下げた。礼儀正しいので頭をなでる。
「新年から中学生の頭をなでるとは。今年もおにーさんの性欲は留まることを知らないようです」
「ただなでただけでこの扱いとは。今年もこの娘さんには困らされそうだ」
「まったく、これだからロリコンは危険です。……えへへ」
ちゃんと最後まで毒を吐いてて。せめて分からないように笑って。どうしたらいいか分からなくなるよ。
「こ、こほん。……ところでおにーさん、私は年下です」
「そ、そうだね。小さくて可愛いね」
「小さくないですが、可愛いのは異論ないです」フンス
「…………」
「……おにーさんから言っておいて、可愛くないと言うのですか。社交辞令だったのですね」ションボリ
「いやいやいや! 超可愛いですよ! ただ、今は別の心配事がありましてね?」
「ほう。ちょー可愛いのですか」
「あ、ああ。ちょー可愛いです」
「そんなちょー可愛くて年下の私に、おにーさんはどんな評価を下すのでしょうか」
さあ。来たぞ。
「おにーさん。お年玉、ください」
「……ふみ。古典には古典の良さがあってだな、その良さを確認してもらうために」
「あ、『玉を落としてお年玉ー』とかやったら半裸になって叫びます」
奥の手を潰された。もう何もない。
「どしました? さあ、お年玉ください」
「う、うむ……」
「お年玉、おとしだま。おっとしっだまっ、おっとしっだまっ♪」
ふみは節をつけて歌い出した。それどころか、楽しげな踊りまで繰り出した。ただ、依然として無表情を貫いたままだが。
「い、いや、まあ。その、だな」
「おっとしっだまー、おっとしっだにゃー。にゃっにゃにゃっにゃにゃー♪」
「もう全部猫です」
「可愛いですか?」
「鼻血が出そうな程度は」ナデナデ
「うにゃうにゃ」
「うぅむ。……分かった、ここまでサービスをされては俺も異論はない。お年玉をやろう!」
「わーい」
「わーいと言う時くらい笑ってくれませんかねェ?」
「これ以上のサービスには追加料金が発生しますが、大丈夫ですか?」
「もはや風俗ですね」
「お、おにーさん、えっちです……」
「なんでそういう時はキチンと恥じらいの表情をするのですか!!!」
これだけで一週間はオカズに困りそうにないですよ。全く。
「お正月だけの特別サービスです。ただ、思い出す度にいちおくえんください」
「嫌です」
「おにーさん、けちです……」
「お年玉だけで我慢しとけ。んーと……ああ、あったあった」
引き出しに入れておいたポチ袋を取り出し、さらに自分の財布も取り出す。……うーむ、あまり芳しくないな。
「有り金全部でも構いませんよ?」
「強盗か」
「かねをだせー」ペシペシ
「こんな可愛い強盗には金を差し出すしかない」
札を数枚入れて、ふみにポチ袋を渡す。
「わ。……ありがとうございます、おにーさん。大切に使いますね?」
「ん、そうしてくれると嬉しい」
「じゃあ、窓からお金を投げ捨てて、愚民どもがそれを必死に拾う様を鑑賞する遊びをするので、おにーさんも一緒に見ますか?」
「大切の意味って知ってる?」
「おにーさんが私に対して思ってることですね?」ニヤリ
「はい。あ。……い、いやいや、そんなこと思ってませんよ? 厄介な奴としか思ってませんよ?」
「そ、そですか。あ、あはは」
「ははは」
二人して乾いた笑い声をあげる。やたらめったら顔が熱い。ふみも真っ赤なまま、はははと笑ってる。ええい。
「ど、どんなに大切に思おうとも私は手に入らないのに、それでも私を大切にするおにーさんは滑稽ですね。は、ははは」
「そ、そうだな。はっはっは」
「……うぅ。……一度、仕切りなおすのが互いのためだと思うのです」
絞りだすような声で、真っ赤なふみがつぶやく。
「う、うむ。異論はない」
というわけで、二人同時に深呼吸。……ふう、少し落ち着いた。
「……ふぅ。えと、ここからやり直します。大切……つまり、おにーさんが私に対して思ってることですね?」
「えーと……いやいや、何言ってんだこの娘は」
そう言うと、ふみはほっとしたように息を吐いた。
「うん、それでいいのです。まったく、なんで最初に『はい』とか言っちゃいますかね、このおにーさんは」ペシペシ
「や、急に質問が来たので、つい本音が──」
……あ。いかん。
「……わざとですか。一度やり直した上での先の台詞。わざとですね。わざと私の顔の毛細血管を活発にさせているのですね。おにーさんは今年も悪魔のようです」
真っ赤で涙目のふみが、俺をじろーっと睨む。
「もしそうなら、俺の顔が熱を持っている理由がないのだが」
「ただの間抜けでしたか。非常に厄介な間抜けです。えいえい」
チョップされた。完璧に俺が悪いので、粛々と受ける。
「……うー。もういいです。罰です、どっか連れてってください。いっぱいおごってもらいます」
「貴様、お年玉まで強奪しておいてさらに俺の財布にダメージを与えようというのか」
「こんな可愛い女の子とデートできるのだから、喜ぶべきではないですか?」
「む。本当だ。嬉しい」
「そこは、『何言ってんだコイツ』とか言うところじゃないのですか! 今年のおにーさんはなんだか素直で厄介です!」
「すいません冬休みの野郎が俺の頭を朦朧としやがりまして!」
「うー! えいえい!」
またしても真っ赤な顔で俺に何度もチョップするふみだった。
【ふみをしばらく放置してたら】
2012年04月30日
「とー。とー。とー」
先ほどから知り合いの中学生であるところのふみが突然部屋にやってくるなり人の頭にチョップを乱打するので困っている。
「やめてください、このままでは首が埋まってしまいます!」
「そのくらい当然の罰です、おにーさんのばか」
「まあとりあえずその手を止めることから始めないか」
「知りません。おにーさんなんて首が埋まって人なんだか亀なんだか分からない存在になっちゃえばいいんです。おにーさんのばか」
「そう馬鹿馬鹿言うない。何がそんな気に食わないのか、お兄さんに言ってみてはどうだろうか」
そう言うと、ふみはぴたりとその動きを止めた。突然のことに、少し不安になる。
「ふ、ふみ……?」
「……おにーさんのせいです」
「はい?」
「おにーさんが、ずっとずっと、ずーっと私に会わないように避けているからです!」
「えええっ!?」
「おにーさんが私を嫌っているなんて、まるっとお見通しです。でも、そんなの知ったこったないです。どんなに嫌おうが、私はおにーさんに嫌がらせを続けます」
「いやいや、いやいやいや。嫌ってないぞ? むしろ逆というか、その、アレですよ?」
「……逆って、なんですか」
「だ、だから、そ、その、アレだよ、アレ。わ、分かるだろ?」
「……わ、分かりません。ちっとも全然分かりません。詳しく説明お願いします」
「嘘つけ。じゃあなんで顔が赤くなってんだ」
「っ! こ、これは違います。私の恐るべき攻撃により、おにーさんの目が完全におかしくなっただけです」
「おかしくてもなんでもいいから、見当がついてるなら、それだから。だから避けてるとか思われると、悲しいぞ、俺は」
「うー……。じゃ、じゃあ、仮に、仮に、です。それなら、どうしてずっと会わないようにしてたんですか。嫌がらせですか。大成功ですよ、おにーさんのばか」
「ちげー。ちょっと色々と忙しくてな」
「……これからも忙しいですか?」
「ふむ。どうだと思う?」
「内容次第では殺します」
「も、ものすごく暇です」(ガタガタ震えながら)
「そですか。……で、実際のところは?」
「ああ、幸いにしてもう大丈夫だ」
「……本当ですか?」
「ふみに嘘なんてつかねーよ」
安心させるため、ふみの頭に手をのせる。そして、ゆっくりとなでる。
「うりゅー……」
「うりゅー?」
「ち、違います。久しぶりの感触に泣きそうになっただけです。いや今のも違います。……ち、ちょっとこっち見ないでください、おにーさんの変態」
「あー……どうやら寂しい思いをさせちゃったみたいだな。ごめんな、ふみ」ナデナデ
「……ちょこっとだけ抱きつきます。目をつむって耳を塞いでください。しなかったら殺します」
とても怖いので言うことをきく。フリをする。薄目を開けて少しだけ耳から手を離す。
「ふえぇぇぇぇぇん……」
がっしと俺に抱きつき、静かに泣いてるふみ。
「よしよし」ナデナデ
「うぅ……おにーさぁん……」
思わず頭をなでてしまう。ふみはスリスリと俺の胸に頬ずりした。
「ぐすぐす……それで、なんで手を耳から離してるんですか」
「あ」
いかん、ばれた。殺される。
「……まあ、おにーさんのことですから、私の言うことなんてきかないと思ってたから別にいいです。なでなでしてくれたから許したとかじゃないです」
「なでなでが好きなのか」
「違います」
「よしよし」ナデナデ
「ち、違います。好きとかじゃないです。こんなので喜ぶほど子どもじゃないです」
「なるほど。ちなみに、他にされて嬉しいこととかあるか?」
「おにーさんの生命活動が停止する様を見るのは結構好きです」
「お前は俺に死ねと言うのか」
「虫ケラのように息絶えるおにーさん、素敵です」
「褒められても死ぬ気はない」
「残念です。……あと、まあこれはどうでもいいんですが、抱っことかされると、気持ち悪くて吐き気がします」
「なるほど、抱っこか」ギュッ
「おえーおえー」ムギューッ
「俺の三倍くらいの力で抱きつき返してませんか?」
「気のせいです」スリスリスリ
「あと、俺の胸にものすげー頬をこすりつけてません?」
「またしても気のせいです。あ、おにーさんもうちょっと屈んでください」
「はいはい」
言われたようにちょっと屈むと、ふみは俺の首に腕を回し、背伸びしながら俺に頬ずりした。
「ん、んぅ……おにーさん、もっと屈んでください。足がぷるぷるします」
「いつになったら中学生平均の身長に辿り着くんだ、ちび」
「うるさいですロリコン」
口では全く勝てないので、素直にさらに屈む。
「それでいいんです。まったく、おにーさんは今日もばかで困ります」
そんなことを言いながら、うにうにと頬ずりをするふみ。
「……なんですか」
自分でも思うところがあるのだろう、頬を染めながらふみが俺を睨む。
「ええと。また明日も会うか?」
「どうしても私に性的ないたづらがしたいんですね。他の女の子を被害に遭わせるのも忍びないですし、私が我慢しましょう」
「久しぶりだが、やっぱりお前は酷いな」ナデナデ
「……そう思うんだったら、そんな優しい顔でなでないでください。おにーさんのばか」
「お前と一緒で、天邪鬼なんだ」
「私は正直者です。天邪鬼なんかじゃないです」
「ところで、そろそろ帰らなくて大丈夫か?」
「……今日はちょっと遅くまでいます。理由は不明であり以後ずっと不明です」
「天邪鬼じゃない、と」
ぷにぷにとふみの頬を押す。不満そうな顔でふみは俺を睨んだ。
「今日もおにーさんはいじわるです。大嫌いです」
「いでいで」
がじがじと頬を噛まれた。
「……嫌いですが、ちょこっとだけ好きです」
「えっ?」
そう言った刹那、ふみは俺の頬にキスした。慌ててふみを見ると、その顔は真っ赤に染まっていた。
「う、うぅ……こ、こっち見ないでください。おにーさんのばか。えっち」
「い、いや、このバヤイえっちなのはふみではないだろうか」
「う、うるさいです。おにーさんは黙ってちゅーされてたらいいんです」
そう言いながら、再び俺の頬にキスするふみ。どうなっている。
「え、ええと。お返しをするべきであろうか」
「……べ、べきです。礼儀として、です。別におにーさんにちゅーされたいとかじゃないです」
「じゃ、じゃあ」
ちゅっ、とふみの頬に口づけする。弾力があり、同時にふにふにで、甘いような気がするようなふみの頬。
「……え、えっち。おにーさんのえっち。おにーさんはえっちです」
「そんな赤い顔でえっちえっち言うない。こっちまで恥ずかしくなってくる」
「う、うるさいです。と、とにかく、お返しのお返しをする必要があります。礼儀は大事ですから」チュッ
「な、なるほど。じゃあそのお返しを」チュッ
そのあとは、お返し地獄になったわけで。30回までは覚えてる。
「はぁ……はぁ……。お、おにーさんの、えっち……」
だから、俺の顔が涎まみれで、ふみも顔中涎まみれなのも、不思議な話ではないです。
先ほどから知り合いの中学生であるところのふみが突然部屋にやってくるなり人の頭にチョップを乱打するので困っている。
「やめてください、このままでは首が埋まってしまいます!」
「そのくらい当然の罰です、おにーさんのばか」
「まあとりあえずその手を止めることから始めないか」
「知りません。おにーさんなんて首が埋まって人なんだか亀なんだか分からない存在になっちゃえばいいんです。おにーさんのばか」
「そう馬鹿馬鹿言うない。何がそんな気に食わないのか、お兄さんに言ってみてはどうだろうか」
そう言うと、ふみはぴたりとその動きを止めた。突然のことに、少し不安になる。
「ふ、ふみ……?」
「……おにーさんのせいです」
「はい?」
「おにーさんが、ずっとずっと、ずーっと私に会わないように避けているからです!」
「えええっ!?」
「おにーさんが私を嫌っているなんて、まるっとお見通しです。でも、そんなの知ったこったないです。どんなに嫌おうが、私はおにーさんに嫌がらせを続けます」
「いやいや、いやいやいや。嫌ってないぞ? むしろ逆というか、その、アレですよ?」
「……逆って、なんですか」
「だ、だから、そ、その、アレだよ、アレ。わ、分かるだろ?」
「……わ、分かりません。ちっとも全然分かりません。詳しく説明お願いします」
「嘘つけ。じゃあなんで顔が赤くなってんだ」
「っ! こ、これは違います。私の恐るべき攻撃により、おにーさんの目が完全におかしくなっただけです」
「おかしくてもなんでもいいから、見当がついてるなら、それだから。だから避けてるとか思われると、悲しいぞ、俺は」
「うー……。じゃ、じゃあ、仮に、仮に、です。それなら、どうしてずっと会わないようにしてたんですか。嫌がらせですか。大成功ですよ、おにーさんのばか」
「ちげー。ちょっと色々と忙しくてな」
「……これからも忙しいですか?」
「ふむ。どうだと思う?」
「内容次第では殺します」
「も、ものすごく暇です」(ガタガタ震えながら)
「そですか。……で、実際のところは?」
「ああ、幸いにしてもう大丈夫だ」
「……本当ですか?」
「ふみに嘘なんてつかねーよ」
安心させるため、ふみの頭に手をのせる。そして、ゆっくりとなでる。
「うりゅー……」
「うりゅー?」
「ち、違います。久しぶりの感触に泣きそうになっただけです。いや今のも違います。……ち、ちょっとこっち見ないでください、おにーさんの変態」
「あー……どうやら寂しい思いをさせちゃったみたいだな。ごめんな、ふみ」ナデナデ
「……ちょこっとだけ抱きつきます。目をつむって耳を塞いでください。しなかったら殺します」
とても怖いので言うことをきく。フリをする。薄目を開けて少しだけ耳から手を離す。
「ふえぇぇぇぇぇん……」
がっしと俺に抱きつき、静かに泣いてるふみ。
「よしよし」ナデナデ
「うぅ……おにーさぁん……」
思わず頭をなでてしまう。ふみはスリスリと俺の胸に頬ずりした。
「ぐすぐす……それで、なんで手を耳から離してるんですか」
「あ」
いかん、ばれた。殺される。
「……まあ、おにーさんのことですから、私の言うことなんてきかないと思ってたから別にいいです。なでなでしてくれたから許したとかじゃないです」
「なでなでが好きなのか」
「違います」
「よしよし」ナデナデ
「ち、違います。好きとかじゃないです。こんなので喜ぶほど子どもじゃないです」
「なるほど。ちなみに、他にされて嬉しいこととかあるか?」
「おにーさんの生命活動が停止する様を見るのは結構好きです」
「お前は俺に死ねと言うのか」
「虫ケラのように息絶えるおにーさん、素敵です」
「褒められても死ぬ気はない」
「残念です。……あと、まあこれはどうでもいいんですが、抱っことかされると、気持ち悪くて吐き気がします」
「なるほど、抱っこか」ギュッ
「おえーおえー」ムギューッ
「俺の三倍くらいの力で抱きつき返してませんか?」
「気のせいです」スリスリスリ
「あと、俺の胸にものすげー頬をこすりつけてません?」
「またしても気のせいです。あ、おにーさんもうちょっと屈んでください」
「はいはい」
言われたようにちょっと屈むと、ふみは俺の首に腕を回し、背伸びしながら俺に頬ずりした。
「ん、んぅ……おにーさん、もっと屈んでください。足がぷるぷるします」
「いつになったら中学生平均の身長に辿り着くんだ、ちび」
「うるさいですロリコン」
口では全く勝てないので、素直にさらに屈む。
「それでいいんです。まったく、おにーさんは今日もばかで困ります」
そんなことを言いながら、うにうにと頬ずりをするふみ。
「……なんですか」
自分でも思うところがあるのだろう、頬を染めながらふみが俺を睨む。
「ええと。また明日も会うか?」
「どうしても私に性的ないたづらがしたいんですね。他の女の子を被害に遭わせるのも忍びないですし、私が我慢しましょう」
「久しぶりだが、やっぱりお前は酷いな」ナデナデ
「……そう思うんだったら、そんな優しい顔でなでないでください。おにーさんのばか」
「お前と一緒で、天邪鬼なんだ」
「私は正直者です。天邪鬼なんかじゃないです」
「ところで、そろそろ帰らなくて大丈夫か?」
「……今日はちょっと遅くまでいます。理由は不明であり以後ずっと不明です」
「天邪鬼じゃない、と」
ぷにぷにとふみの頬を押す。不満そうな顔でふみは俺を睨んだ。
「今日もおにーさんはいじわるです。大嫌いです」
「いでいで」
がじがじと頬を噛まれた。
「……嫌いですが、ちょこっとだけ好きです」
「えっ?」
そう言った刹那、ふみは俺の頬にキスした。慌ててふみを見ると、その顔は真っ赤に染まっていた。
「う、うぅ……こ、こっち見ないでください。おにーさんのばか。えっち」
「い、いや、このバヤイえっちなのはふみではないだろうか」
「う、うるさいです。おにーさんは黙ってちゅーされてたらいいんです」
そう言いながら、再び俺の頬にキスするふみ。どうなっている。
「え、ええと。お返しをするべきであろうか」
「……べ、べきです。礼儀として、です。別におにーさんにちゅーされたいとかじゃないです」
「じゃ、じゃあ」
ちゅっ、とふみの頬に口づけする。弾力があり、同時にふにふにで、甘いような気がするようなふみの頬。
「……え、えっち。おにーさんのえっち。おにーさんはえっちです」
「そんな赤い顔でえっちえっち言うない。こっちまで恥ずかしくなってくる」
「う、うるさいです。と、とにかく、お返しのお返しをする必要があります。礼儀は大事ですから」チュッ
「な、なるほど。じゃあそのお返しを」チュッ
そのあとは、お返し地獄になったわけで。30回までは覚えてる。
「はぁ……はぁ……。お、おにーさんの、えっち……」
だから、俺の顔が涎まみれで、ふみも顔中涎まみれなのも、不思議な話ではないです。
【ふみ なでてぇ】
2011年05月03日
昼。太陽が一番高い時間。そして同時に、一番暖かい時間帯。そして、最もダメな電波を受信しやすい時間帯のようで。
つまりどういうことかと言うと、なんか超なんかふみをなでたい! 性的な箇所ではなく! いや本当はそっちも興味津々(SINSIN)なのだけど、今日のところは普通に、こう、頭をなでなでしてえ!
だがしかし。いきなりふみを捕まえて頭をなでたりしたら良くて逮捕、悪くて収容されるだろう。作戦を練らねば……!
「おにーさん、おにーさん」
「ああ、ちょっと今俺は忙しくてな。悪いが後にしてくれ」
何やら横合いから人の服をくいくいと引っ張る者がいる。この忙しい時に構ってられないので、適当に流す。
「──ってえ今まさに俺がどうにかしようと考えている奴じゃないかってえっ!?」
まずふみが俺の家にいたことに驚き、次にふみの格好に驚いた。
「どどどどどうしたというのだこの有様は一体!?」
「にゃー」
なんかなんかふみが猫に! ふみねこに! 猫の格好をしていてお兄さんこれはもう死にますよ!?
「あ、触ったら通報します」
石になったかのように全身が硬直する。付き合いが長いのもあり、俺の弱点を心得ている様子。
「……ええと。ご用件は?」
居住まいを正し、ふみねこに訊ねる。
「お休み用の寝巻きを手に入れたので、わざわざおにーさんに見せに来てあげたんです。とても可愛いのです」
「それはとてもありがたい話だね」
「にゃー」
「あの、ふみさん。鳴かないでいただけると何かと助かります」
鳴かれる度に、ふみをなでたいという欲求が膨れ上がる故。
「にゃー。おにーさん。にゃー」
しかし、ふみは鳴くのをやめるどころかより一層鳴く数を増やした。
「ははーん。わざとだな?」
「にゃー。ちょこっとでも触ったら通報します。ふにゃー」
俺の忍耐で遊んでいる模様。これが本来の目的か。なんていい趣味してやがる。
「んしょっと。ごろごろごろ」
「気のせいか俺の膝に座ってごろごろ言ってやしませんか」
「私から触るのはおーけーなんです。おにーさんが触ると即座に通報されるシステムなんです」
「ふみは分からないかもしれないけど、この状態は想像以上に辛いんだよ?」
「ふにゅふにゅ」
ふみのあまりの可愛さに、背中に汗がにじんできた。今の俺なら地獄の責め苦にも耐えられるハズ。
「……あ」
「あ」
しかし、ふみの攻撃には耐えられなかったようで。気がつけば、俺の手はふみの頭をなでていた。
「げーむおーばーです、おにーさん」
「待って違う今のナシ! ワンモアチャンス!」
携帯を取り出しボタンを押そうとしているふみを必死で説得する。
「ダメです。チャンスは一回だけなんです」
ぴっぴっぴとボタンを押して、警察に……警察に?
「細かい作業は難しいみたいだな」
ふみの寝巻きはよく出来ており、ちゃんと手の部分は肉球仕様だった。触ってみるとぷにぷにして気持ちいい。
「う、うー。むぅ。おにーさん、私の代わりに押してください」
「なんで俺がわざわざ警察を呼ばなきゃいけねーんだ」
「自首すると罪が軽くなりますよ?」
「そもそもそんな重い罰を受ける覚えはない」
「人の身体をべたべた触った痴漢のくせに偉そうです」
「そこまで触ってねえ! 思わず頭をなでちゃっただけだ!」
「ふにゃー」
「そう、その鳴き声に触発されてね」(なでなで)
「罪状が増えましたね、おにーさん」
「もう泣きそうだよ」
「にゃあにゃあ」
「そっちの鳴くじゃなくて」(なでなで)
「そろそろ死刑も視野に入ってきましたよ、おにーさん」
「こんなのってないよ」
「ふわあ……じゃ、満足したので寝ます」
「ええっ!?」
「寝巻きを着てる時は寝る時と相場が決まってます」
「いや、そうだけど……え?」
「お休みなさい、おにーさん」
「え、あ、うん。……え?」
人のベッドで勝手に寝る猫の人。本当の本当の目的は、昼寝しにきた様子。
「なんて勝手な奴だ……」
ベッドで眠るふみに近づき、ほっぺをなでる。何もしてないのに超疲れた。
「んー。こそばゆいです、おにーさん」
「それくらい我慢しろ」
「今日もおにーさんは悪辣です」
「お前に言われるとは思わなかった」
「酷い言い草です」
ベッドの端に腰掛け、ふみのほっぺを触りながら夕方近くまでぐだぐだと話してた。何もしてない休日だったけど、とても楽しかった。
つまりどういうことかと言うと、なんか超なんかふみをなでたい! 性的な箇所ではなく! いや本当はそっちも興味津々(SINSIN)なのだけど、今日のところは普通に、こう、頭をなでなでしてえ!
だがしかし。いきなりふみを捕まえて頭をなでたりしたら良くて逮捕、悪くて収容されるだろう。作戦を練らねば……!
「おにーさん、おにーさん」
「ああ、ちょっと今俺は忙しくてな。悪いが後にしてくれ」
何やら横合いから人の服をくいくいと引っ張る者がいる。この忙しい時に構ってられないので、適当に流す。
「──ってえ今まさに俺がどうにかしようと考えている奴じゃないかってえっ!?」
まずふみが俺の家にいたことに驚き、次にふみの格好に驚いた。
「どどどどどうしたというのだこの有様は一体!?」
「にゃー」
なんかなんかふみが猫に! ふみねこに! 猫の格好をしていてお兄さんこれはもう死にますよ!?
「あ、触ったら通報します」
石になったかのように全身が硬直する。付き合いが長いのもあり、俺の弱点を心得ている様子。
「……ええと。ご用件は?」
居住まいを正し、ふみねこに訊ねる。
「お休み用の寝巻きを手に入れたので、わざわざおにーさんに見せに来てあげたんです。とても可愛いのです」
「それはとてもありがたい話だね」
「にゃー」
「あの、ふみさん。鳴かないでいただけると何かと助かります」
鳴かれる度に、ふみをなでたいという欲求が膨れ上がる故。
「にゃー。おにーさん。にゃー」
しかし、ふみは鳴くのをやめるどころかより一層鳴く数を増やした。
「ははーん。わざとだな?」
「にゃー。ちょこっとでも触ったら通報します。ふにゃー」
俺の忍耐で遊んでいる模様。これが本来の目的か。なんていい趣味してやがる。
「んしょっと。ごろごろごろ」
「気のせいか俺の膝に座ってごろごろ言ってやしませんか」
「私から触るのはおーけーなんです。おにーさんが触ると即座に通報されるシステムなんです」
「ふみは分からないかもしれないけど、この状態は想像以上に辛いんだよ?」
「ふにゅふにゅ」
ふみのあまりの可愛さに、背中に汗がにじんできた。今の俺なら地獄の責め苦にも耐えられるハズ。
「……あ」
「あ」
しかし、ふみの攻撃には耐えられなかったようで。気がつけば、俺の手はふみの頭をなでていた。
「げーむおーばーです、おにーさん」
「待って違う今のナシ! ワンモアチャンス!」
携帯を取り出しボタンを押そうとしているふみを必死で説得する。
「ダメです。チャンスは一回だけなんです」
ぴっぴっぴとボタンを押して、警察に……警察に?
「細かい作業は難しいみたいだな」
ふみの寝巻きはよく出来ており、ちゃんと手の部分は肉球仕様だった。触ってみるとぷにぷにして気持ちいい。
「う、うー。むぅ。おにーさん、私の代わりに押してください」
「なんで俺がわざわざ警察を呼ばなきゃいけねーんだ」
「自首すると罪が軽くなりますよ?」
「そもそもそんな重い罰を受ける覚えはない」
「人の身体をべたべた触った痴漢のくせに偉そうです」
「そこまで触ってねえ! 思わず頭をなでちゃっただけだ!」
「ふにゃー」
「そう、その鳴き声に触発されてね」(なでなで)
「罪状が増えましたね、おにーさん」
「もう泣きそうだよ」
「にゃあにゃあ」
「そっちの鳴くじゃなくて」(なでなで)
「そろそろ死刑も視野に入ってきましたよ、おにーさん」
「こんなのってないよ」
「ふわあ……じゃ、満足したので寝ます」
「ええっ!?」
「寝巻きを着てる時は寝る時と相場が決まってます」
「いや、そうだけど……え?」
「お休みなさい、おにーさん」
「え、あ、うん。……え?」
人のベッドで勝手に寝る猫の人。本当の本当の目的は、昼寝しにきた様子。
「なんて勝手な奴だ……」
ベッドで眠るふみに近づき、ほっぺをなでる。何もしてないのに超疲れた。
「んー。こそばゆいです、おにーさん」
「それくらい我慢しろ」
「今日もおにーさんは悪辣です」
「お前に言われるとは思わなかった」
「酷い言い草です」
ベッドの端に腰掛け、ふみのほっぺを触りながら夕方近くまでぐだぐだと話してた。何もしてない休日だったけど、とても楽しかった。
【ツンデレに昼は大体コンビニかなって言ったら】
2011年04月27日
今日は休日だが、特に用もないのでぷらぷら街を歩いてたら、腹が減った。近くのコンビニで何か買おうと入ると、何やら見知った後ろ姿が。回れ右する前にその後ろ姿が振り向いた。
「……これはこれは、おにーさんじゃないですか。身体が横向きで、そのうえ顔が引きつってるのは気のせいですか?」
「い、いやぁ、ふみに会えたのに引き返そうとか顔が引きつったりとかするはずなんてないじゃないか」
本を元の場所に戻し、とてとてとこちらに歩み寄ってきた知り合いであるところの中学生、ふみに笑顔を作りながら答える。まあ、その笑顔が完璧とはとてもじゃないが自信をもって言えやしないが。
「とう」
「へぶっ」
嘘笑いを看破され、ふみに腹を突かれる。
「痛たた……お前なあ、いきなり殴るな」
「嫌そうな顔をするのが悪いんです。おにーさんのばか」
「いや、別に嫌という訳じゃないんだぞ? ただ、すげー厄介な奴だとは常々思っているが」
「とう」
「へぶっ」
先ほどのやりとりをもう一度繰り返す。
「それで、おにーさん。私に何か用ですか」
「別にお前に用なんかねーよ。小腹が空いたから何か買いにきただけだ」
「むっ。私に用がないとはおにーさんのくせに生意気です。いつもいつも人の中に出すだけ出して、スッキリしてる時は用なしですか」
ふみを抱え、慌ててコンビニの隅に逃げる。
「人聞きが超悪ぃッ! ていうかいつお前に手出したッ! 日夜我慢してるってのになんたる言い草か!」
「私の夢にいつも出てくるおにーさんが毎夜毎夜私にします」
「……いや、夢までは面倒見れねぇよ」
「おかげで毎日睡眠不足です。慰謝料ください。いちおくえんでいいです」
「あーまた今度な」
ふみの頭をくしゃくしゃとなでてやりすごす。まったく、こいつにはほとほと困る。
「まあ、面白い情報が手に入ったので今回はいいです。……我慢してるんですか」
ふみの頭をなでる手がピタリと止まる。これは分かりやすい失言をしたような。
「流石はおにーさん、いつだって中学生の肢体に興味津々なんですね?」
「い、いや、何の話だか俺には皆目」
「今度一緒にお風呂入りましょうね。あ、見たり触ったりしたら通報しますから」
「すげー楽しそうですね、ふみさん」
「気のせいです」
と言いながらも、いつもの無表情の中に小さな笑顔を含ませている。まあ、付き合いの長い俺くらいでなければ見逃してしまうほど些細なものだけど。
「はぁ……ともかく、飯買うべ。ふみ、お前飯は?」
「まだです」
「んじゃ来い。安いのでよけりゃおごってやるよ」
「嫌です。高いのがいいです」
「安いのな」
「おにーさん、甲斐性ナシです」
「ただの学生に無茶を言うない。ていうか、コンビニにそんな高い飯なんてないだろ」
「そこは量でカバーです」
「絶対食いきれねえだろ。ヘタすりゃ一個でも多いんじゃないか?」
「そんなことないです。……小さめのお弁当なら食べ切れます」
こいつは普通の奴より小さいだけあって、食う量も相応だ。別にそんなこと気にする必要もないと思うのだけど、こいつはそうでもないようで。
「大人なのに沢山食べられないなあ、ふみ?」
つーわけで、早速大人げなく攻める。
「沢山食べるロリコンよりマシです」
思わぬところで反撃を喰らう。もう立ち上がる気力なんて残ってません。
「もうお前にはおごってやらん」
「些細なことですぐに腹を立てるロリコ……おにーさん、素敵です」
「もうちょっと褒める箇所を推敲して! ていうか明らかにロリコンって言おうとしただろ!」
「ところでおにーさん、おにーさんはどうして生きてるんですか?」
「おおぉう。なんというシンプルかつ鋭利な攻撃だ。立て続けの攻撃に膝が笑ってるぜ」
「あ。ちょっと言葉が足りませんでした。おにーさんはお休みの時、お昼はどうしてるんですか、と聞きたかったんです」
「言葉が足りないどころか丸々違うぞ」
「てへ、しっぱいしっぱい」
くっ……わざとに違いないが、可愛らしいので指摘できない!
「今日もおにーさんは私の手の平の上で転げまわっていて、大変愉快です」
そして全部分かっててやってるふみに大変腹が立ちます。ほっぺ引っ張ってやれ。
「むにょー」
今日もふみには全く通用しない模様。胸に去来する敗北感を噛み締めながら、手を離す。
「おにーさんはすぐに女性に手をあげますね」
「相手によりけりだ」
「つまり、興味のある女性にのみ手をあげるのですね。非常に迷惑です。やめてください」
「なんて勝手な娘だろうか」
「そんなことないです。それで、さっき質問の答えは?」
「ん、ああ。昼な。大体コンビニかなあ。休みの時はなんだかんだと親が家あけてること多いから」
「その調子です。身体に悪い物質をたくさん取り込んで早死にしてください」
「そういうことをコンビニで言うなッ! ええいっ、帰るぞ!」
話を聞いていた周りの客や店員の悲しそうな顔を尻目に、ふみを小脇に抱えて慌ててコンビニを飛び出す。
「まったく……ああもう、あのコンビニ行けやしねえ」
「おにーさんは何かあるとすぐに私を抱えますね」
俺に抱えられているふみが、ジト目で俺を睨みながら責めた口調で話しかけてきた。
「その何かってのは大体お前によって引き起こされるものだがな」
「酷い責任転嫁を見ました」
「ちっとも転嫁してねぇ! 全てお前の責任だっ!」
「不思議な話もあったものです」
「こいつは……」
「とりあえず、離してください。私に触りたいのも分かりますが、このままでは妊娠しかねません」
「しねぇよッ! どういう身体の構造してんだ!」
とはいえ、ふみの言う通り長々と触っているのも色々問題があるので、とっとと解放してやる。
「んしょっと。さて、おにーさん。お昼はどうするつもりですか?」
「コンビニで適当に買うというプランが何者かの手により妨害されたので、どっか適当なファミレスで食うことにする」
「しょうがない、そこまで言うならおごられてやります」
「おごると言ったのはコンビニでの話で、ファミレスはまた別の話なのだよ?」
「パフェも食べます、パフェ。あの甘いと噂の憎い奴を食べます」
「だから、あの。話を聞け」
「ほら、早く行きますよ、おにーさん。早く行かないと閉まってしまいます」
俺の話を今日も聞かずに、ふみは俺の手を取って急かすのだった。
「……これはこれは、おにーさんじゃないですか。身体が横向きで、そのうえ顔が引きつってるのは気のせいですか?」
「い、いやぁ、ふみに会えたのに引き返そうとか顔が引きつったりとかするはずなんてないじゃないか」
本を元の場所に戻し、とてとてとこちらに歩み寄ってきた知り合いであるところの中学生、ふみに笑顔を作りながら答える。まあ、その笑顔が完璧とはとてもじゃないが自信をもって言えやしないが。
「とう」
「へぶっ」
嘘笑いを看破され、ふみに腹を突かれる。
「痛たた……お前なあ、いきなり殴るな」
「嫌そうな顔をするのが悪いんです。おにーさんのばか」
「いや、別に嫌という訳じゃないんだぞ? ただ、すげー厄介な奴だとは常々思っているが」
「とう」
「へぶっ」
先ほどのやりとりをもう一度繰り返す。
「それで、おにーさん。私に何か用ですか」
「別にお前に用なんかねーよ。小腹が空いたから何か買いにきただけだ」
「むっ。私に用がないとはおにーさんのくせに生意気です。いつもいつも人の中に出すだけ出して、スッキリしてる時は用なしですか」
ふみを抱え、慌ててコンビニの隅に逃げる。
「人聞きが超悪ぃッ! ていうかいつお前に手出したッ! 日夜我慢してるってのになんたる言い草か!」
「私の夢にいつも出てくるおにーさんが毎夜毎夜私にします」
「……いや、夢までは面倒見れねぇよ」
「おかげで毎日睡眠不足です。慰謝料ください。いちおくえんでいいです」
「あーまた今度な」
ふみの頭をくしゃくしゃとなでてやりすごす。まったく、こいつにはほとほと困る。
「まあ、面白い情報が手に入ったので今回はいいです。……我慢してるんですか」
ふみの頭をなでる手がピタリと止まる。これは分かりやすい失言をしたような。
「流石はおにーさん、いつだって中学生の肢体に興味津々なんですね?」
「い、いや、何の話だか俺には皆目」
「今度一緒にお風呂入りましょうね。あ、見たり触ったりしたら通報しますから」
「すげー楽しそうですね、ふみさん」
「気のせいです」
と言いながらも、いつもの無表情の中に小さな笑顔を含ませている。まあ、付き合いの長い俺くらいでなければ見逃してしまうほど些細なものだけど。
「はぁ……ともかく、飯買うべ。ふみ、お前飯は?」
「まだです」
「んじゃ来い。安いのでよけりゃおごってやるよ」
「嫌です。高いのがいいです」
「安いのな」
「おにーさん、甲斐性ナシです」
「ただの学生に無茶を言うない。ていうか、コンビニにそんな高い飯なんてないだろ」
「そこは量でカバーです」
「絶対食いきれねえだろ。ヘタすりゃ一個でも多いんじゃないか?」
「そんなことないです。……小さめのお弁当なら食べ切れます」
こいつは普通の奴より小さいだけあって、食う量も相応だ。別にそんなこと気にする必要もないと思うのだけど、こいつはそうでもないようで。
「大人なのに沢山食べられないなあ、ふみ?」
つーわけで、早速大人げなく攻める。
「沢山食べるロリコンよりマシです」
思わぬところで反撃を喰らう。もう立ち上がる気力なんて残ってません。
「もうお前にはおごってやらん」
「些細なことですぐに腹を立てるロリコ……おにーさん、素敵です」
「もうちょっと褒める箇所を推敲して! ていうか明らかにロリコンって言おうとしただろ!」
「ところでおにーさん、おにーさんはどうして生きてるんですか?」
「おおぉう。なんというシンプルかつ鋭利な攻撃だ。立て続けの攻撃に膝が笑ってるぜ」
「あ。ちょっと言葉が足りませんでした。おにーさんはお休みの時、お昼はどうしてるんですか、と聞きたかったんです」
「言葉が足りないどころか丸々違うぞ」
「てへ、しっぱいしっぱい」
くっ……わざとに違いないが、可愛らしいので指摘できない!
「今日もおにーさんは私の手の平の上で転げまわっていて、大変愉快です」
そして全部分かっててやってるふみに大変腹が立ちます。ほっぺ引っ張ってやれ。
「むにょー」
今日もふみには全く通用しない模様。胸に去来する敗北感を噛み締めながら、手を離す。
「おにーさんはすぐに女性に手をあげますね」
「相手によりけりだ」
「つまり、興味のある女性にのみ手をあげるのですね。非常に迷惑です。やめてください」
「なんて勝手な娘だろうか」
「そんなことないです。それで、さっき質問の答えは?」
「ん、ああ。昼な。大体コンビニかなあ。休みの時はなんだかんだと親が家あけてること多いから」
「その調子です。身体に悪い物質をたくさん取り込んで早死にしてください」
「そういうことをコンビニで言うなッ! ええいっ、帰るぞ!」
話を聞いていた周りの客や店員の悲しそうな顔を尻目に、ふみを小脇に抱えて慌ててコンビニを飛び出す。
「まったく……ああもう、あのコンビニ行けやしねえ」
「おにーさんは何かあるとすぐに私を抱えますね」
俺に抱えられているふみが、ジト目で俺を睨みながら責めた口調で話しかけてきた。
「その何かってのは大体お前によって引き起こされるものだがな」
「酷い責任転嫁を見ました」
「ちっとも転嫁してねぇ! 全てお前の責任だっ!」
「不思議な話もあったものです」
「こいつは……」
「とりあえず、離してください。私に触りたいのも分かりますが、このままでは妊娠しかねません」
「しねぇよッ! どういう身体の構造してんだ!」
とはいえ、ふみの言う通り長々と触っているのも色々問題があるので、とっとと解放してやる。
「んしょっと。さて、おにーさん。お昼はどうするつもりですか?」
「コンビニで適当に買うというプランが何者かの手により妨害されたので、どっか適当なファミレスで食うことにする」
「しょうがない、そこまで言うならおごられてやります」
「おごると言ったのはコンビニでの話で、ファミレスはまた別の話なのだよ?」
「パフェも食べます、パフェ。あの甘いと噂の憎い奴を食べます」
「だから、あの。話を聞け」
「ほら、早く行きますよ、おにーさん。早く行かないと閉まってしまいます」
俺の話を今日も聞かずに、ふみは俺の手を取って急かすのだった。