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2025年05月03日
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【寒いのでツンデレの頬っぺたで手を暖めてみたら】
2010年02月22日
最近暖かくなってきたなあと思ってたのに急に寒くなりやがってへっくしょん。
「……タカシが鼻を垂らしてる。……タカシと鼻水、お似合いのカップル、爆誕」
教室でくしゃみをしたら、嫌な奴がやってきて嫌な事を言う。
「寒いんだよ。……あ、とてもいいことを思いついた!」
「……否決」
「否決されたにも関わらず果敢に挑む俺は凄い。このかじかんだ手をおまいのほっぺで温めよう。心が冷たい奴でも、恒温動物である限り体温はあるはず」
「……むっ。心が冷たくなんてない。……タカシ限定で冷たいだけ。……ヤッタネ」
ちっともヤッタネではない。
「……それに、タカシに触られたら、そこから腐れ落ちる予感」
「人を妖怪扱いするな。いーから触らせろ」
「……うう、タカシが孕ませようとする」
「してないッ!」
俺から逃げるちなみを一喝する。
「聞いた? 別府くん、ちなみを孕ませたらしいよ」
「うわ、子供相手に……別府くん鬼畜」
してないと言うのに、クラスメイトたちが微妙に聞こえる程度の声で俺の悪口を言う。あと、クラスメイトを子供と言うな。
「……子供じゃない」
ほら見ろ、ちなみの奴が落ち込んだ。
「大丈夫、俺はちなみが子供じゃないって知ってるぞ。立派に大人、いや熟女だと思ってるぞ」
「……ちっとも嬉しくない」
「老婆と思われたいのか?」
この人は馬鹿なのかなあ、という視線をぶつけられる。
「……タカシは馬鹿なの?」
視線だけでなく、実際に言葉でぶつけられた。
「別府くん、老婆趣味だって」
「うわ、別府くんアグレッシブ……」
それだけでなく、クラスメイト達が俺の性癖を曲解する始末。
「普通の性癖と思われたいので、どうかここは一つちなみさん、俺にほっぺを触らせてください」
「……普通?」
ちなみは自分の体を見下ろした。遮るものがない胸部を見て、次に俺を見る。
「訂正。老婆趣味よりロリコンの方がマシなので、ほっぺを触らせて」
「……失礼千万」
ほっぺを引っ張られた。
「自分で疑問を持ったくせに」
「……うるさい」
引っ張る力が強まる。
「うーん。これはこれで悪くないですが、俺がちなみのほっぺを触りたいのですよ。こんな感じで」
ちなみのほっぺをふにふにする。
「……触るの、許可してないけど」
「この俺に目を付けられた不運を嘆くことだな! ふわーっはっはっはっはっは!」
「……タカシが安っぽい悪の帝王みたいに」
安っぽい言うな。
「しかし、おまいのほっぺやーらかいな。ふにふにふに」
ちなみのほっぺを両手で包み、揉みほぐすようにふにふにする。
「……人のほっぺで遊ばない」
「楽しいよ?」
「……楽しくても遊ばない」
「じゃ、遊ばないから温めさせて」
「……はぁ、仕方ない。……温まるまでだよ?」
そんなわけで、ちなみのほっぺをふにふにし続ける。
「……まだ温まらないの?」
「凍傷にかかってるから時間かかるんだ」
「……平然と嘘を。……まったく、困った人だ」
互いにほっぺを擦りあう、奇妙で割と幸せな休み時間だった。
「……タカシが鼻を垂らしてる。……タカシと鼻水、お似合いのカップル、爆誕」
教室でくしゃみをしたら、嫌な奴がやってきて嫌な事を言う。
「寒いんだよ。……あ、とてもいいことを思いついた!」
「……否決」
「否決されたにも関わらず果敢に挑む俺は凄い。このかじかんだ手をおまいのほっぺで温めよう。心が冷たい奴でも、恒温動物である限り体温はあるはず」
「……むっ。心が冷たくなんてない。……タカシ限定で冷たいだけ。……ヤッタネ」
ちっともヤッタネではない。
「……それに、タカシに触られたら、そこから腐れ落ちる予感」
「人を妖怪扱いするな。いーから触らせろ」
「……うう、タカシが孕ませようとする」
「してないッ!」
俺から逃げるちなみを一喝する。
「聞いた? 別府くん、ちなみを孕ませたらしいよ」
「うわ、子供相手に……別府くん鬼畜」
してないと言うのに、クラスメイトたちが微妙に聞こえる程度の声で俺の悪口を言う。あと、クラスメイトを子供と言うな。
「……子供じゃない」
ほら見ろ、ちなみの奴が落ち込んだ。
「大丈夫、俺はちなみが子供じゃないって知ってるぞ。立派に大人、いや熟女だと思ってるぞ」
「……ちっとも嬉しくない」
「老婆と思われたいのか?」
この人は馬鹿なのかなあ、という視線をぶつけられる。
「……タカシは馬鹿なの?」
視線だけでなく、実際に言葉でぶつけられた。
「別府くん、老婆趣味だって」
「うわ、別府くんアグレッシブ……」
それだけでなく、クラスメイト達が俺の性癖を曲解する始末。
「普通の性癖と思われたいので、どうかここは一つちなみさん、俺にほっぺを触らせてください」
「……普通?」
ちなみは自分の体を見下ろした。遮るものがない胸部を見て、次に俺を見る。
「訂正。老婆趣味よりロリコンの方がマシなので、ほっぺを触らせて」
「……失礼千万」
ほっぺを引っ張られた。
「自分で疑問を持ったくせに」
「……うるさい」
引っ張る力が強まる。
「うーん。これはこれで悪くないですが、俺がちなみのほっぺを触りたいのですよ。こんな感じで」
ちなみのほっぺをふにふにする。
「……触るの、許可してないけど」
「この俺に目を付けられた不運を嘆くことだな! ふわーっはっはっはっはっは!」
「……タカシが安っぽい悪の帝王みたいに」
安っぽい言うな。
「しかし、おまいのほっぺやーらかいな。ふにふにふに」
ちなみのほっぺを両手で包み、揉みほぐすようにふにふにする。
「……人のほっぺで遊ばない」
「楽しいよ?」
「……楽しくても遊ばない」
「じゃ、遊ばないから温めさせて」
「……はぁ、仕方ない。……温まるまでだよ?」
そんなわけで、ちなみのほっぺをふにふにし続ける。
「……まだ温まらないの?」
「凍傷にかかってるから時間かかるんだ」
「……平然と嘘を。……まったく、困った人だ」
互いにほっぺを擦りあう、奇妙で割と幸せな休み時間だった。
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【ちなみんのほか弁】
2010年02月21日
人間、迂闊なことを言うもんじゃないよね。回り回って自分に降りかかるからね。
「『やー、おにゃのこがお弁当作ってくれたら嬉しいよね。交際を申し込みたくなるよね。結婚を前提に付き合いたくなるよね。嫁が欲しいなあ!』。……と泣いて友人を引かせていたタカシのために」
とか言いながら俺に弁当を押し付けるちなみを見ながら、そう思う。
「超嫌な予感がするので断る」
「……折角私が作ってやったお弁当を、タカシは食べないと言う。……貧乳の作る飯は残飯に劣ると言う」
NOという感じの手をして断ったら、恨み言を言われた。そこまでは言ってねえ。
「聞いた? 別府くん、残飯が大好物なんだって」
「うわ、別府くん青空生活者……」
クラスメイトが微妙に聞こえる程度の声で囁きあっている。別に青空を屋根に生活はしてないし、残飯も好物ではない。
「いや、好意は嬉しいが、ほら、パン買ってきてるし」
「…………」(じわーっ)
「ちなみが弁当作ってくれるだなんて感激だなあ! 育ち盛りだからパン+弁当でもヘッチャラさ!」
「……容易し」(ぼそり)
やはり嘘泣きか。分かっててかかる俺もどうかと思う。
「……じゃ、冷めないうちにどうぞ」
「弁当というのは冷めているものだと思うが」
「……特製、ちなみのほか弁。……ほかほか。……触ってみて?」
「そこまで言うなら」
ちなみのほっぺをむにむにする。うむ、お餅みたいにやーらかい。
「……違う。私じゃない。……お弁当」
「分かった上でやったんだ。本当は胸を触りたかったけど、冗談で済まない気がしたんでこっちにしたんだ。そんな俺を褒めろ」
ちなみが不満そうに俺を睨み始めたので、弁当を触ってみる。
「お、まだ温かいじゃん。どういう仕組み?」
「……家庭科室に忍び込んで、チンした。……偉い?」
「偉いのはチンと鳴った機械であり、忍び込んだ人物は偉くない」
「……頑張ったのに、タカシは褒めない。……これだから狭量の男は」(ほっぺぷくー)
「狭量とか言うない。んじゃ、いただきますか」
両手を合わせてから、弁当のフタを取る。玉子焼きにハンバーグ、千切りキャベツにプチトマトと目にも鮮やかな料理が並んでいた。
「へぇ……頑張ったんだな」
「……べ、別に頑張ってない。……こんなの、私にかかればちょちょいのちょい。……タカシ相手に頑張るとか、意味分かんない」
ちなみはちょっと照れ臭そうにして、そっぽを向いた。褒める事を強要するわりに、褒められ慣れしてない奴め。
「や、偉い偉い」
ねぎらいの意を込めてちなみの頭をなでる。
「……タカシはすぐ私を子供扱いする」
不服そうになでられるちなみだったが、その頬は高揚していた。指摘すると怒られるから言わないけど。
「ここまで頑張られては食うしかないな。んじゃ、いただきます」
「…………」(じーっ)
「ごちそうさま」
視線に耐えかね、箸を置く。
「……全然食べてませんが」
「擬音が実際に聞こえそうなほど見つめられては、食べるのにも抵抗がありまして」
「……こうしてるから、気にせず食べる」
そう言って、ちなみは両目を覆った。
「それなら問題ない。いただきます」
「…………」(指の隙間からじーっ)
「ごちそうさま」
「……見てないのに、タカシはお弁当を食べない」
「嘘つけ。明らかに見てたじゃねえか」
「……見てないにゅ?」
ちなみは頭の悪い語尾をつけながら小首を傾げた。
「そんな可愛い感じの語尾をつけても誤魔化されないぞ」
「……ど、どうしてタカシは私をぎゅーっとするのか」
「む」
誤魔化されはしなかったが、俺の体はちなみを抱きしめていました。
「ええい、頭では媚びていると理解しているのに! 畜生、可愛いぞこの娘!」
「……け、計算通りですよ? ここまで過剰な反応するなんて予想だにしていなかったなんて、思ってないですよ?」
目を白黒させながら言われても説得力ありません。
「そっ、それよりお弁当食べなさい、お弁当。……時間、もうないから」
「えー? それよりこのまま保健室に連れ込み、色々なことを」
「…………」
「すいませんご飯食べます」
無言の圧力に負け、抱っこを解いて再び弁当の前に。箸を取り、まずは玉子焼きを。
「もぐもぐもぐ」
「……どう?」
「おいしい」
「……当然。私の作るものに失敗があるはずもない」
どこかほっとした様子で、ちなみは一息に言った。
「タマゴの殻が入ってなければ言うことなし」
ジャリジャリ鳴る玉子焼きを噛み砕きながら言うと、ちなみの頬が膨れた。
「……男なら細かいこと言わない」
「いや、細かくはないと思うが」
「……お弁当を作ってもらっておきながら、タカシは文句を言う。……なんと狭量な生物だろうか」
「狭量はともかく、なまもの言うな。あと、頼んでない」
「……文句言う暇があったら、早く食べる」
「はいはい。がつがつがつ」
多少は問題があるものの、全体的に美味しくいただけました。
「ごちそうさまげふー。うまかったぞ」
弁当にフタをしてちなみに渡すが、そのまま動く様子がない。
「どした?」
「……お弁当作ってもらえて、嬉しかった?」
「? まぁ、悪い気はしないな」
「……そ、そう。……やれやれ、私を嫁にしたいとタカシは言う」
「超言ってねーっ!」
突拍子もない台詞に、全力でつっこむ。
「……言った」(ほっぺぷくー)
「いつ言った何時言った何時何分何秒地球が何回まわったとき言った!?」
「……タカシ、子供みたい」
「子供に言われたくねー!」
「……子供じゃない。大人。超大人」(ほっぺぷくー)
「ちなみが大人なら、俺はもはや中年と言っても過言ではないぞ?」
「……やーい中年」
「まるで嬉しくない! 畜生、畜生! はめられた!」
「……いま分かった。タカシは馬鹿だ。基本的に何も考えずに喋ってる」
「失礼な。時々は考えてるぞ?」
呆れたようにちなみは首を振った。失礼な奴め。
「……まあいい。……それじゃ、また次も作ってくるので、ありがたく食べるように」
「え」
「……私の作るお弁当をタカシは嫌だと言う。……吐き気を催さんばかりだと言う」(じわーっ)
「だから、言ってねーっつの! すぐ女の武器を使うな! 分かったお願いしますどうか俺に弁当作ってきてください!」
「……やれやれ、そこまで言われては断れない。……まったく、タカシはワガママだ」
どっちがワガママだ、と思いながらも次の弁当を楽しみにしている自分がいた。
「……べ、別に私が作ってあげたいんじゃない。……タカシが楽しみにしてるから、作ってやるだけ。……ああ面倒だ」
俺の視線に気づいたのか、慌てたように言い訳を並べるちなみだった。
「『やー、おにゃのこがお弁当作ってくれたら嬉しいよね。交際を申し込みたくなるよね。結婚を前提に付き合いたくなるよね。嫁が欲しいなあ!』。……と泣いて友人を引かせていたタカシのために」
とか言いながら俺に弁当を押し付けるちなみを見ながら、そう思う。
「超嫌な予感がするので断る」
「……折角私が作ってやったお弁当を、タカシは食べないと言う。……貧乳の作る飯は残飯に劣ると言う」
NOという感じの手をして断ったら、恨み言を言われた。そこまでは言ってねえ。
「聞いた? 別府くん、残飯が大好物なんだって」
「うわ、別府くん青空生活者……」
クラスメイトが微妙に聞こえる程度の声で囁きあっている。別に青空を屋根に生活はしてないし、残飯も好物ではない。
「いや、好意は嬉しいが、ほら、パン買ってきてるし」
「…………」(じわーっ)
「ちなみが弁当作ってくれるだなんて感激だなあ! 育ち盛りだからパン+弁当でもヘッチャラさ!」
「……容易し」(ぼそり)
やはり嘘泣きか。分かっててかかる俺もどうかと思う。
「……じゃ、冷めないうちにどうぞ」
「弁当というのは冷めているものだと思うが」
「……特製、ちなみのほか弁。……ほかほか。……触ってみて?」
「そこまで言うなら」
ちなみのほっぺをむにむにする。うむ、お餅みたいにやーらかい。
「……違う。私じゃない。……お弁当」
「分かった上でやったんだ。本当は胸を触りたかったけど、冗談で済まない気がしたんでこっちにしたんだ。そんな俺を褒めろ」
ちなみが不満そうに俺を睨み始めたので、弁当を触ってみる。
「お、まだ温かいじゃん。どういう仕組み?」
「……家庭科室に忍び込んで、チンした。……偉い?」
「偉いのはチンと鳴った機械であり、忍び込んだ人物は偉くない」
「……頑張ったのに、タカシは褒めない。……これだから狭量の男は」(ほっぺぷくー)
「狭量とか言うない。んじゃ、いただきますか」
両手を合わせてから、弁当のフタを取る。玉子焼きにハンバーグ、千切りキャベツにプチトマトと目にも鮮やかな料理が並んでいた。
「へぇ……頑張ったんだな」
「……べ、別に頑張ってない。……こんなの、私にかかればちょちょいのちょい。……タカシ相手に頑張るとか、意味分かんない」
ちなみはちょっと照れ臭そうにして、そっぽを向いた。褒める事を強要するわりに、褒められ慣れしてない奴め。
「や、偉い偉い」
ねぎらいの意を込めてちなみの頭をなでる。
「……タカシはすぐ私を子供扱いする」
不服そうになでられるちなみだったが、その頬は高揚していた。指摘すると怒られるから言わないけど。
「ここまで頑張られては食うしかないな。んじゃ、いただきます」
「…………」(じーっ)
「ごちそうさま」
視線に耐えかね、箸を置く。
「……全然食べてませんが」
「擬音が実際に聞こえそうなほど見つめられては、食べるのにも抵抗がありまして」
「……こうしてるから、気にせず食べる」
そう言って、ちなみは両目を覆った。
「それなら問題ない。いただきます」
「…………」(指の隙間からじーっ)
「ごちそうさま」
「……見てないのに、タカシはお弁当を食べない」
「嘘つけ。明らかに見てたじゃねえか」
「……見てないにゅ?」
ちなみは頭の悪い語尾をつけながら小首を傾げた。
「そんな可愛い感じの語尾をつけても誤魔化されないぞ」
「……ど、どうしてタカシは私をぎゅーっとするのか」
「む」
誤魔化されはしなかったが、俺の体はちなみを抱きしめていました。
「ええい、頭では媚びていると理解しているのに! 畜生、可愛いぞこの娘!」
「……け、計算通りですよ? ここまで過剰な反応するなんて予想だにしていなかったなんて、思ってないですよ?」
目を白黒させながら言われても説得力ありません。
「そっ、それよりお弁当食べなさい、お弁当。……時間、もうないから」
「えー? それよりこのまま保健室に連れ込み、色々なことを」
「…………」
「すいませんご飯食べます」
無言の圧力に負け、抱っこを解いて再び弁当の前に。箸を取り、まずは玉子焼きを。
「もぐもぐもぐ」
「……どう?」
「おいしい」
「……当然。私の作るものに失敗があるはずもない」
どこかほっとした様子で、ちなみは一息に言った。
「タマゴの殻が入ってなければ言うことなし」
ジャリジャリ鳴る玉子焼きを噛み砕きながら言うと、ちなみの頬が膨れた。
「……男なら細かいこと言わない」
「いや、細かくはないと思うが」
「……お弁当を作ってもらっておきながら、タカシは文句を言う。……なんと狭量な生物だろうか」
「狭量はともかく、なまもの言うな。あと、頼んでない」
「……文句言う暇があったら、早く食べる」
「はいはい。がつがつがつ」
多少は問題があるものの、全体的に美味しくいただけました。
「ごちそうさまげふー。うまかったぞ」
弁当にフタをしてちなみに渡すが、そのまま動く様子がない。
「どした?」
「……お弁当作ってもらえて、嬉しかった?」
「? まぁ、悪い気はしないな」
「……そ、そう。……やれやれ、私を嫁にしたいとタカシは言う」
「超言ってねーっ!」
突拍子もない台詞に、全力でつっこむ。
「……言った」(ほっぺぷくー)
「いつ言った何時言った何時何分何秒地球が何回まわったとき言った!?」
「……タカシ、子供みたい」
「子供に言われたくねー!」
「……子供じゃない。大人。超大人」(ほっぺぷくー)
「ちなみが大人なら、俺はもはや中年と言っても過言ではないぞ?」
「……やーい中年」
「まるで嬉しくない! 畜生、畜生! はめられた!」
「……いま分かった。タカシは馬鹿だ。基本的に何も考えずに喋ってる」
「失礼な。時々は考えてるぞ?」
呆れたようにちなみは首を振った。失礼な奴め。
「……まあいい。……それじゃ、また次も作ってくるので、ありがたく食べるように」
「え」
「……私の作るお弁当をタカシは嫌だと言う。……吐き気を催さんばかりだと言う」(じわーっ)
「だから、言ってねーっつの! すぐ女の武器を使うな! 分かったお願いしますどうか俺に弁当作ってきてください!」
「……やれやれ、そこまで言われては断れない。……まったく、タカシはワガママだ」
どっちがワガママだ、と思いながらも次の弁当を楽しみにしている自分がいた。
「……べ、別に私が作ってあげたいんじゃない。……タカシが楽しみにしてるから、作ってやるだけ。……ああ面倒だ」
俺の視線に気づいたのか、慌てたように言い訳を並べるちなみだった。
【いくらなんでも胸が無さすぎるツンデレ】
2010年02月20日
ちなみと一緒に登校してる最中、ふと視線が彼女の胸に行く。
「……すけべ」
視線を感じたのか、ちなみは胸を隠し、目を三角にして俺を睨んだ。
「いや、そういう意味の視線ではない。膨らみが全くないにゃーと思っただけにすぎないのだ」
「……失礼千万」
機嫌を損ねたようで、ほっぺを引っ張られた。
「いや、そうは言うがな、ちなみ。女性でここまで乳なし芳一だと問題があると思うぞ」
自分でもそう思っていたのか、ちなみは俺から手を離し、悲しそうに目を伏せた。
「……私にだけ、第二次性徴が来ない。……あと、耳なし芳一みたいに言うな」
「じゃ、全身に般若心経書こうか?」
「……別に、耳なし芳一になりたいわけじゃない」
「年頃の娘さんは難しいなあ」
やりきれない感じのため息を吐かれた。
「……とはいえ、直に成長する。……超ナイスボディ確定。……上から90・59・88」
「バスト90cm、ウエスト59cm、足のサイズ88cmか。随分といびつな生き物になりたいんだな。将来の夢はビッグフット?」
「……どう考えてもヒップに決まってる。……どうして足のサイズと思うのか」
「バストウエストと来て、次が首の長さだと変だろ?」
「……足のサイズでも変。……まったく、どうして普通に会話できないのか」
「会話してる相手が普通の胸囲じゃないからな」
再びほっぺを引っ張られ痛い痛い。
「まあそう怒るな。大丈夫、きっと成長するさな」
「タカシ……」
「…………」
「……どうして目頭を押さえているのか」
「いや、成長すると信じきるお前があまりに不憫で」
「……自分で言っておいて、まるで信じてない。……許せぬ」
三度目のほっぺ引っ張り。痛いよ?
「まあ、アレだ。あんま気にするな。そーゆーのが好きなのも近頃はたんといる。問題ない」
「……ロリコンに好かれても、まるで嬉しくない」
「ロリコンを子供好きと変換すると、心温まるラブストーリーが始まりそうだと思いませんか?」
「……いかに言葉を飾ろうと、変態野郎は変態野郎のまま」
「いや、変態野郎が編隊野郎に変身する」
「……変態が増えた」
変態が編隊でやってくる様は、さながら地獄絵図です。
「うう……嫌だ、変態が編隊してやってくる」
「変態野郎Aチーム。ロリの天才だ。リア充でもぶん殴ってみせらあ。でも、熟女だけは勘弁な!」
「熟女に……早く熟女にならないと」
ちなみがおかしくなってきた。
「大丈夫。何が襲ってきたって、俺がちなみを守るから」
「……タカシ」
よし、好感度うなぎ上り!
「……でも、よく考えたら襲ってくるのはロリコンのタカシぐらいだ」
「しまった、冷静になられた! あと、俺はロリコンではないよ? ちっちゃくてつるぺたな女性が好きなだけですよ?」
「……それを人はロリコンと呼ぶ。……寄るな、変態」
「非常に残念」
適当な会話に満足したのでそのまま学校に行こうとしたら、制服の裾をきゅっと掴まれた。
「うん?」
「……た、タカシを放っておくと近所の小学生が非常に危険なので、私が捕まえておかねば」
「人を性犯罪者扱いするねい。分別くらいついてるよ」
「……騙されない。……はい、逮捕」
人を何だと思ってんだ、とか思ってたら、きゅっと手を握られた。
「逮捕ですか」
「……逮捕、連行、処刑」
「死ぬのか、俺」
「……それが嫌なら、このまま学校に行くこと」
「えーと。手、握りたかったの?」
その一言で、耳まで赤くなった。
「か、勘違いも甚だしい。連行しているだけ。やれやれ、タカシは何を言っているのか」
早口に言いながらも手を離そうとしないちなみと一緒に、学校に向かいました。
「……すけべ」
視線を感じたのか、ちなみは胸を隠し、目を三角にして俺を睨んだ。
「いや、そういう意味の視線ではない。膨らみが全くないにゃーと思っただけにすぎないのだ」
「……失礼千万」
機嫌を損ねたようで、ほっぺを引っ張られた。
「いや、そうは言うがな、ちなみ。女性でここまで乳なし芳一だと問題があると思うぞ」
自分でもそう思っていたのか、ちなみは俺から手を離し、悲しそうに目を伏せた。
「……私にだけ、第二次性徴が来ない。……あと、耳なし芳一みたいに言うな」
「じゃ、全身に般若心経書こうか?」
「……別に、耳なし芳一になりたいわけじゃない」
「年頃の娘さんは難しいなあ」
やりきれない感じのため息を吐かれた。
「……とはいえ、直に成長する。……超ナイスボディ確定。……上から90・59・88」
「バスト90cm、ウエスト59cm、足のサイズ88cmか。随分といびつな生き物になりたいんだな。将来の夢はビッグフット?」
「……どう考えてもヒップに決まってる。……どうして足のサイズと思うのか」
「バストウエストと来て、次が首の長さだと変だろ?」
「……足のサイズでも変。……まったく、どうして普通に会話できないのか」
「会話してる相手が普通の胸囲じゃないからな」
再びほっぺを引っ張られ痛い痛い。
「まあそう怒るな。大丈夫、きっと成長するさな」
「タカシ……」
「…………」
「……どうして目頭を押さえているのか」
「いや、成長すると信じきるお前があまりに不憫で」
「……自分で言っておいて、まるで信じてない。……許せぬ」
三度目のほっぺ引っ張り。痛いよ?
「まあ、アレだ。あんま気にするな。そーゆーのが好きなのも近頃はたんといる。問題ない」
「……ロリコンに好かれても、まるで嬉しくない」
「ロリコンを子供好きと変換すると、心温まるラブストーリーが始まりそうだと思いませんか?」
「……いかに言葉を飾ろうと、変態野郎は変態野郎のまま」
「いや、変態野郎が編隊野郎に変身する」
「……変態が増えた」
変態が編隊でやってくる様は、さながら地獄絵図です。
「うう……嫌だ、変態が編隊してやってくる」
「変態野郎Aチーム。ロリの天才だ。リア充でもぶん殴ってみせらあ。でも、熟女だけは勘弁な!」
「熟女に……早く熟女にならないと」
ちなみがおかしくなってきた。
「大丈夫。何が襲ってきたって、俺がちなみを守るから」
「……タカシ」
よし、好感度うなぎ上り!
「……でも、よく考えたら襲ってくるのはロリコンのタカシぐらいだ」
「しまった、冷静になられた! あと、俺はロリコンではないよ? ちっちゃくてつるぺたな女性が好きなだけですよ?」
「……それを人はロリコンと呼ぶ。……寄るな、変態」
「非常に残念」
適当な会話に満足したのでそのまま学校に行こうとしたら、制服の裾をきゅっと掴まれた。
「うん?」
「……た、タカシを放っておくと近所の小学生が非常に危険なので、私が捕まえておかねば」
「人を性犯罪者扱いするねい。分別くらいついてるよ」
「……騙されない。……はい、逮捕」
人を何だと思ってんだ、とか思ってたら、きゅっと手を握られた。
「逮捕ですか」
「……逮捕、連行、処刑」
「死ぬのか、俺」
「……それが嫌なら、このまま学校に行くこと」
「えーと。手、握りたかったの?」
その一言で、耳まで赤くなった。
「か、勘違いも甚だしい。連行しているだけ。やれやれ、タカシは何を言っているのか」
早口に言いながらも手を離そうとしないちなみと一緒に、学校に向かいました。
【ツンデレが嫌がる事をしてみよう】
2010年02月18日
さて、今日はちなみが嫌がることをしよう。それにはまず、何が嫌なのか調べる必要がある。調査開始!
「ちなみ、お前の嫌がることってなに?」
「……まんじゅう怖い」
「はい?」
「……いや、なんでもない。……えっと、なでなでが怖い。怖すぎる。……なでられたら、発狂する、やも」
「…………」
「……ホントダヨ?」
ちなみはこてりと小首をかしげた。如何せん胡散臭いが、本人が言っているので信じざるを得ない。ということで、今日の俺は嫌がらせ王なので嫌がらせ開始。
「くらえッ!」(なでなで)
「……ん」
「気のせいか、心地よさそうに目を細めてますが」
「……超気のせい。……ああ嫌だ嫌だ、もう少しで発狂しそう」
「む、なればさらになでてみよう。ふはははは、嫌がるがいい!」(なでなで)
「……んー」
「やはり気持ち良さそうに見えるのは、俺の気のせいですか」
「……その通り。……本当は、嫌で嫌で仕方がない。……でも、タカシは嫌な奴なのでもっとなでるんだろうなあ」
期待を込めた視線が俺を貫いているような気がしてならない。
「本当に嫌なのですか」
「……もちろん。怪獣モチロンさパパ、と言いそうなくらい、もちろん」
「誰がそのネタを判ると言うのだ」
「……?」
「や、なんでもない。まあ、本人が言うなら嫌なのだろうけど……俺から見ると、どうにも気持ちよさそうに見えてならないんだが」
「……まったく。私が嫌がっていると言っているのだから、黙ってなでなでする。……ああ、そうだ。ついでに、抱っこされるのも怖気立つくらい嫌だ」
「…………」
「……ホントダヨ?」
再びちなみはこてりと小首をかしげた。やはり、胡散臭さが満載だ。
「……タカシが私を信じてくれない。……貧乳の言は信ずるに値せず、とタカシは言う」
「言ってません」
「……貧乳万歳、とタカシは言う」
「絶対言ってません。ていうかそれ、そうあってほしいというお前の願望だろ」
「……巨乳主義者め」
「いや、貧乳主義です」
しまった、惚れ惚れするほど見事な誘導尋問にかかった! ちなみの野郎が嬉しそうににやけてやがる。
「……やれやれ、これだから変態は嫌だ」
「でも、人前での放尿を強要したりしないよ?」
「……当たり前だ、ばかやろう。……流石にそんなこと強要されたら、タカシと絶交する」
「尿属性はないが、やらせてみるか……?」
「……タカシは、私のことが嫌いなのだろうか」
「大好きだよ?」
「…………」
「……はうあっ!?」
しまった、普通に答えてしまった! ええい、ちなみの奴、タコ茹で状態になってやがる!
「えへんえへんえへん! 今のナシ! 嘘! いや嘘じゃないけど嘘!」
「……うー」
「うーじゃない! ほほほら、嫌がらせをしよう! そうしよう!」
ピンクい空気をごまかすように、嫌がらせとしてさっきちなみが言ってた行為を実行する。
「…………」
そうです、抱っこです。ピンク空気絶賛増加中!
「……うー」
「や、ち、ちが、違うのです、まさかこんなところで伏線が生きてくるなんて思ってもなくて」
「……なでなでは?」
ちょっと拗ねたような言葉に、もう陥落。ピンクな空気に必死に気づかないようにしながら、ちなみをなでなでしました。
「……ん♪」
嫌がらせなのに、嬉しそうに俺の胸に顔を埋めるちなみに大弱りです。
「ちなみ、お前の嫌がることってなに?」
「……まんじゅう怖い」
「はい?」
「……いや、なんでもない。……えっと、なでなでが怖い。怖すぎる。……なでられたら、発狂する、やも」
「…………」
「……ホントダヨ?」
ちなみはこてりと小首をかしげた。如何せん胡散臭いが、本人が言っているので信じざるを得ない。ということで、今日の俺は嫌がらせ王なので嫌がらせ開始。
「くらえッ!」(なでなで)
「……ん」
「気のせいか、心地よさそうに目を細めてますが」
「……超気のせい。……ああ嫌だ嫌だ、もう少しで発狂しそう」
「む、なればさらになでてみよう。ふはははは、嫌がるがいい!」(なでなで)
「……んー」
「やはり気持ち良さそうに見えるのは、俺の気のせいですか」
「……その通り。……本当は、嫌で嫌で仕方がない。……でも、タカシは嫌な奴なのでもっとなでるんだろうなあ」
期待を込めた視線が俺を貫いているような気がしてならない。
「本当に嫌なのですか」
「……もちろん。怪獣モチロンさパパ、と言いそうなくらい、もちろん」
「誰がそのネタを判ると言うのだ」
「……?」
「や、なんでもない。まあ、本人が言うなら嫌なのだろうけど……俺から見ると、どうにも気持ちよさそうに見えてならないんだが」
「……まったく。私が嫌がっていると言っているのだから、黙ってなでなでする。……ああ、そうだ。ついでに、抱っこされるのも怖気立つくらい嫌だ」
「…………」
「……ホントダヨ?」
再びちなみはこてりと小首をかしげた。やはり、胡散臭さが満載だ。
「……タカシが私を信じてくれない。……貧乳の言は信ずるに値せず、とタカシは言う」
「言ってません」
「……貧乳万歳、とタカシは言う」
「絶対言ってません。ていうかそれ、そうあってほしいというお前の願望だろ」
「……巨乳主義者め」
「いや、貧乳主義です」
しまった、惚れ惚れするほど見事な誘導尋問にかかった! ちなみの野郎が嬉しそうににやけてやがる。
「……やれやれ、これだから変態は嫌だ」
「でも、人前での放尿を強要したりしないよ?」
「……当たり前だ、ばかやろう。……流石にそんなこと強要されたら、タカシと絶交する」
「尿属性はないが、やらせてみるか……?」
「……タカシは、私のことが嫌いなのだろうか」
「大好きだよ?」
「…………」
「……はうあっ!?」
しまった、普通に答えてしまった! ええい、ちなみの奴、タコ茹で状態になってやがる!
「えへんえへんえへん! 今のナシ! 嘘! いや嘘じゃないけど嘘!」
「……うー」
「うーじゃない! ほほほら、嫌がらせをしよう! そうしよう!」
ピンクい空気をごまかすように、嫌がらせとしてさっきちなみが言ってた行為を実行する。
「…………」
そうです、抱っこです。ピンク空気絶賛増加中!
「……うー」
「や、ち、ちが、違うのです、まさかこんなところで伏線が生きてくるなんて思ってもなくて」
「……なでなでは?」
ちょっと拗ねたような言葉に、もう陥落。ピンクな空気に必死に気づかないようにしながら、ちなみをなでなでしました。
「……ん♪」
嫌がらせなのに、嬉しそうに俺の胸に顔を埋めるちなみに大弱りです。
【風邪をひいて弱っているツンデレ】
2010年02月18日
「体温が高いようにお見受けしますが」
「……そのような感じ」
ちなみが風邪をひいてダウンしたという情報をちなみ母→俺の母経由で聞いたので見舞いにきたら、赤ら顔でベッドに寝てるぐんにゃり娘がそこにいました。
「で、どう? 元気? 俺は超元気! Yeah!」
「……うう、お見舞いに来たと思ったのに、嫌がらせだったとは……流石はタカシ、いつも私の想像の上を行く。……今すぐ回れ右して帰ってほしい」
ベッドの脇に腰を下ろして励ますと、ちなみは大層嫌そうな顔をした。
「そう言うな。ほれ、土産のアイス。これくらいだったら食えるだろ?」
「……普通、こういう時には高級スイーツを買ってくるものかと」
「スイーツとか真顔で言う奴見ると殴りたくなるよな」
ムカつくことを言うちなみにアイスの入った袋を渡す。ちなみは体を起こし、袋からアイスを取り出した。
「……あ、雪見だいふく」
「おいしいよな、これ」
「…………」(コクコク、もぐもぐ)
「もう食ってる! なんたる早技……あ、両方ともお前のじゃなくて、一つは俺のだから、ちゃんと残しとけよ」
「……ごっくん。ケチケチしない。病人には優しくするもの。……これ、常識」
「俺は病人にはやらしい性質なんだ」
「……惜しい、一字違い。……それでは私の幼い蕾が大変なことになる」
「自分で幼いとか蕾とか言うな」
「……すじ?」
「がーっ!」
「……まったく、自分ではえろいことをぽんぽん言うくせに、私が言うと照れる。困ったものだ。……もぐもぐ」
「だから俺の分まで食うなと言っとろーが!」
「……おいしいよ?」
「感想なんて聞いてないしそれは知ってる! ……あーなんかもーいいや。俺の分まで堪能してくれ」
「……はぐはぐ♪」
「嬉しそうで何よりです」
「……もぐもぐ、ごっくん。足りない」
「たとい病人だとしても、遠慮と言うものを覚えた方がいいかと愚考する見舞人です」
「……愚考。つまり、タカシは愚か。……ぷ」
「こいつ犯してやろうか」
「……弱ってるおにゃのこを力づくでどうにかするだなんて、タカシはなんて鬼畜なんだろう」
「おにゃのこ言うな。……ま、思ったより元気そうで安心したよ。んじゃ、俺帰るな」
「え……あ、うん。……図々しい生き物が、やっと帰る。……よかった、よかった」
言葉とは裏腹に、ちなみは寂しそうな顔をしてうつむいてしまった。
「…………」
浮かしかけた腰を、再び下ろす。
「……あれ、帰らないの?」
「よく考えると帰っても暇だし、嫌がらせとして飽きるまでここにいる」
「……そ、そう。あー、本当に困った人だ。……まったく、嫌がらせの達人なのかもしれない」
ちなみはベッドに寝転び、安堵したように顔を緩ませた。まったく、こいつは。
「そんなわけなんで、大量に時間ができた。暇ですな」
「……じゃあ、私は寝るんで」
「えええええ!? せっかくおまいのために残ったのに寝るの!?」
「……嫌がらせのために残ったのでは?」
しまった。くそう、にやけ顔で俺を見てる病人が恨めしい。
「ふっふー。……私の勝ち?」
「好きにすれ」
「……じゃあ、勝利のご褒美として、……えっと、……私が寝るまでの間、手を握ってる事を要求する」
「…………」
「……ご褒美、だもん」
ちなみは恥ずかしそうに布団で顔を隠し、消え入るような声で言った。
「あー、そうな。そうですな。ご褒美だったら仕方がないよな」
ちなみの小さくて熱い手を、壊れ物を扱うように握る。
「……えへ」
「笑うな、阿呆」
「……阿呆じゃないもん。……寝るまでの間に離したら、罰ゲーム」
「大丈夫だっての。お前が嫌がろうとも絶対離さないから、安心しろ」
「……それは困ったものだ」
ちなみは安心しきった顔で微笑むと、まぶたをつむった。
「……そのような感じ」
ちなみが風邪をひいてダウンしたという情報をちなみ母→俺の母経由で聞いたので見舞いにきたら、赤ら顔でベッドに寝てるぐんにゃり娘がそこにいました。
「で、どう? 元気? 俺は超元気! Yeah!」
「……うう、お見舞いに来たと思ったのに、嫌がらせだったとは……流石はタカシ、いつも私の想像の上を行く。……今すぐ回れ右して帰ってほしい」
ベッドの脇に腰を下ろして励ますと、ちなみは大層嫌そうな顔をした。
「そう言うな。ほれ、土産のアイス。これくらいだったら食えるだろ?」
「……普通、こういう時には高級スイーツを買ってくるものかと」
「スイーツとか真顔で言う奴見ると殴りたくなるよな」
ムカつくことを言うちなみにアイスの入った袋を渡す。ちなみは体を起こし、袋からアイスを取り出した。
「……あ、雪見だいふく」
「おいしいよな、これ」
「…………」(コクコク、もぐもぐ)
「もう食ってる! なんたる早技……あ、両方ともお前のじゃなくて、一つは俺のだから、ちゃんと残しとけよ」
「……ごっくん。ケチケチしない。病人には優しくするもの。……これ、常識」
「俺は病人にはやらしい性質なんだ」
「……惜しい、一字違い。……それでは私の幼い蕾が大変なことになる」
「自分で幼いとか蕾とか言うな」
「……すじ?」
「がーっ!」
「……まったく、自分ではえろいことをぽんぽん言うくせに、私が言うと照れる。困ったものだ。……もぐもぐ」
「だから俺の分まで食うなと言っとろーが!」
「……おいしいよ?」
「感想なんて聞いてないしそれは知ってる! ……あーなんかもーいいや。俺の分まで堪能してくれ」
「……はぐはぐ♪」
「嬉しそうで何よりです」
「……もぐもぐ、ごっくん。足りない」
「たとい病人だとしても、遠慮と言うものを覚えた方がいいかと愚考する見舞人です」
「……愚考。つまり、タカシは愚か。……ぷ」
「こいつ犯してやろうか」
「……弱ってるおにゃのこを力づくでどうにかするだなんて、タカシはなんて鬼畜なんだろう」
「おにゃのこ言うな。……ま、思ったより元気そうで安心したよ。んじゃ、俺帰るな」
「え……あ、うん。……図々しい生き物が、やっと帰る。……よかった、よかった」
言葉とは裏腹に、ちなみは寂しそうな顔をしてうつむいてしまった。
「…………」
浮かしかけた腰を、再び下ろす。
「……あれ、帰らないの?」
「よく考えると帰っても暇だし、嫌がらせとして飽きるまでここにいる」
「……そ、そう。あー、本当に困った人だ。……まったく、嫌がらせの達人なのかもしれない」
ちなみはベッドに寝転び、安堵したように顔を緩ませた。まったく、こいつは。
「そんなわけなんで、大量に時間ができた。暇ですな」
「……じゃあ、私は寝るんで」
「えええええ!? せっかくおまいのために残ったのに寝るの!?」
「……嫌がらせのために残ったのでは?」
しまった。くそう、にやけ顔で俺を見てる病人が恨めしい。
「ふっふー。……私の勝ち?」
「好きにすれ」
「……じゃあ、勝利のご褒美として、……えっと、……私が寝るまでの間、手を握ってる事を要求する」
「…………」
「……ご褒美、だもん」
ちなみは恥ずかしそうに布団で顔を隠し、消え入るような声で言った。
「あー、そうな。そうですな。ご褒美だったら仕方がないよな」
ちなみの小さくて熱い手を、壊れ物を扱うように握る。
「……えへ」
「笑うな、阿呆」
「……阿呆じゃないもん。……寝るまでの間に離したら、罰ゲーム」
「大丈夫だっての。お前が嫌がろうとも絶対離さないから、安心しろ」
「……それは困ったものだ」
ちなみは安心しきった顔で微笑むと、まぶたをつむった。