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2025年05月01日
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【寝過ごした男】

2010年03月21日
 目覚めるとちなみが隣でぷーぷー寝息を立てていた。
 ははぁ我ながら俺の全自動ロリ鹵獲機能も大したものだなあと一瞬驚嘆したものの、そんなわけはないと頭を振る。
 なんでコイツが隣で寝てんだ。とりあえず、起こして事情を聞こう。
「ちなみ、ちなみ。起きろ」
「……んー?」
「いや、んーではなくて。起きろ」
「……んー。……うー、眠い」
 ちなみはうっすら瞼を開けると、手でこしこしこすった。そして、大きく口を開けてあくびをした。
「……ふわぁぁぁ。……ふう」
「女の子がそんな大口開けるな。ちょっとは隠せ」
「……うるさい」
「それはともかく、現在の状態について事情を聞きたいのだが」
「……むぅ。タカシは眠い私を無理やりに起こし、頭が回ってないのをいいことに騙くらかしてちゅーとかしようと画策しているに違いない」
「寝起きでそういうことをすらすら言える人が頭回ってないとは思えませんが」
「…………」(不満げ)
「睨むな。それより、なんで人の布団でぐっすりすやすや寝ていたのか説明を求める」
「……まあ、端的に言うと、タカシが悪い」
「端折らずに言ってください」
「…………」(不満げ)
「だから、睨むな。いいから普通に言え」
「……起こしに来てやったのに、タカシと来たら平和そうな顔で寝てた」
「はぁ。まあ平和かどうかは知らないが、寝てたわな」
「……で、一所懸命起こしてやったのに、ちっとも起きない。時間は逼迫している。なのに、ちっとも起きない。起こしているうち、なんだか疲れてしまって私も眠たくなってきた」
「嫌な予感がしてきましたが、続けて」
「……丁度目の前には布団が。何か横で歯軋りをしてる物体があるけど、布団には換えられない。……で、ぐっすりすやすやと」
「なるほどそうか。眠くなったと」
 ちなみはこっくりうなずいた。そのどたまにチョップを落とす。
「……痛い」
 ちなみは両手で頭を押さえ、不満げに俺を睨んだ。
「起こしに来てくれたのはありがたい。感謝する。だが、どうして一緒に寝てしまうのか」
「……眠かった」
 極めて簡潔で分かりやすい理由だが、再びチョップを落とす。
「……痛い」
 再度頭を押さえ、ちなみは俺を不満げに睨んだ。
「はぁ……まあやってしまったものは仕方ない。とりあえず学校……学校?」
 恐る恐る時計を見る。一時間目はとうの昔に終わっており、二時間目も半ば過ぎている時間だった。
「はっはっは……いや、ここまで全力で遅刻するのって初めてだなあ」
「タカシのせいで私まで遅刻だ。……まったく、タカシは人を悪の道に引きずりこむのが上手すぎる」
「起こしに来たのにその業務を全うせず、あまつさえ自分も寝てしまった奴は言うことが違うな」
「…………」(不満げ)
「だから、睨むなっての。あー、もうここまでの遅刻だと多少急いだところで変わらんな。ちなみ、お前飯は?」
「……うちで食べてきた」
「そか。じゃ、俺は自分の食ってくるから、お前は適当に待っててくれ」
「……でも、睡眠でカロリーを大量に消費したので、ご飯を食べる必要がある」
「……はぁ。一緒に食うか?」
 コクコクうなずく生物を引き連れ、台所へ。両親は、まあこの時間なら当然だが、既に出かけているようだ。米は……あるな。
「何にすっかな……ちなみ、何がいい?」
 ちなみは食卓に着くと、足をぱたぱたさせながら何にするか思案しているようだった。
「……んと、おにぎり」
「熱いから嫌だ」
「……予めコンロでタカシの手をあぶれば、熱さに抵抗ができるため、おにぎりを握っても熱くない。……名案?」
「愚策。なぜならあらかじめの時点で俺の手が黒焦げになるから」
「…………」(不満げ)
「いちいち睨むでない。まあいいや、おにぎりな。作るからちょっと待っててくれ。あ、何個食う?」
「……ふたつ」
「食ってきたくせに、結構食うな。太るぞ」
「…………」(超不満げ)
「まあ、お前はちっとやせすぎだから多少は肉あるほうがいいけど。んーと、塩しお……」
「……褒めているように見せかけ、絶妙に私の胸がないことを指摘するタカシは悪魔だ」
「どんだけ悪くとってんだよ……あ、あった」
 引き出しの中にあった塩を取り出し、準備完了。炊飯器を開け、手を軽く濡らして塩をつけ、米を手に乗せる。
「あっちぃ!」
「……ふぁいと」
「応援するならもっとやる気を出してやってくれ!」
「……ふぁいとー」
「聞いているだけでどんどんやる気がなくなってくるその技術はすごいな」
 後ろにいるのでどんな顔をしているのか分からないが、何か不満げな雰囲気がこちらにまで漂ってきた。
「怒るな。んーで、具は何がいい?」
「……しゃけ」
「ない」
「……しーちきん」
「ない」
「……この家には何もない」
「失礼なことを言うな。偶然切らしてるだけだ。昆布はあるぞ」
 言いながら、勝手に塩昆布をおにぎりに詰める。
「……それしかない、とも言う」
「うるさい。ほい、できたぞ」
 言ってる間にぽんぽん作り、皿におにぎりを5つ乗せ、食卓に置く。
「ちょっと待ってろ、手洗ってくるから一緒に食おう」
「……それには及ばない予感」
「ん?」
 ちなみは俺の手を取ると、何のためらいもなく口に含んだ。
「人の手を食うな」
「……ぺろぺろ。……んと、水で洗うより、舐め取った方が、地球に優しい?」
「言ってることは素晴らしいが、そういった地球に優しいだのエコだのって台詞は超嫌いです」
「……私の唾液に含まれる毒素を送ってる最中?」
「それだ、それこそがちなみだ!」
「…………」(がじがじがじ)
「何も言わずに歯を立てるでない。痛いです」
「……ふん、だ。……ぺろぺろ。……はい、綺麗になった予感」
「感謝したいが、結果お前の唾液まみれであまり変わらないような」
「……タカシは私の指も舐め、お互いに唾液まみれにしてえと言う」
「言ってねえ」
 ……まあ、その提案は非常に甘美な誘いではあるけど。
「……まあ、タカシが舐めたらタカシ毒が私にまわるので舐めさせないけど」
「こんなところに美人局がいようとは」
 とりあえず席に着き、唾液まみれの指でおにぎりを食べる。我ながらよい塩加減だと思うが、よられでベトベトなのでよく分からない。
「私も。……もくもく、おいしい」
「そいつぁ何よりだ」
「もくもく。もくもくもく。……けぷ。おいしかった」
「お前の咀嚼音変だよな」
「うるさい。……むう、手がべたべただ」
 おにぎりは手掴みで食べるものなので、どうしても手はべたつく。手抜きして海苔も貼ってないので尚更だ。
「……はい」
「はい?」
 手を差し出されたので、疑問で返す。
「……みっしょん。舐めて綺麗にせよ」
 ちなみが変なことを言い出した。
「い、いや、ほら。さっき言ってたじゃん、タカシ毒がまわるので舐めさせないって」
「……幸か不幸か、私の体内にはタカシ毒の血清が生成されている。なので、だいじょぶ」
「つまり、俺が舐められるのはちなみだけなのか」
「…………」
「顔を赤くするなッ!」
「……うう、タカシは私だけしかぺろぺろしたくないと言う」
「う……」
 虚を突かれた。普段のようにつっこめばいいのだろうけど、なぜか何の言葉も出なかった。
「……ひ、否定するターンなのに、何も言わないという攻撃に出るとは。……う、うぬぬ、タカシは日々進化しており、侮れない」
「あ、う、うん、そうだな。はっはっは」
「……うう」
 回答失敗。ちなみは俺を見て、顔を赤くしながらうめくばかり。
「……は、はい」
「え?」
「……み、みっしょん。……舐めて綺麗にせよ」
 再びちなみの手が向けられた。
「……あー、まあ、うん。俺の毒が効かないのはちなみだけだから、しょうがないな?」
「そ、そう。しょがない」
 差し出された指を、そっとくわえる。で、舌でぺろぺろ舐める。
「……う、うー。……タカシは舐め方がえっちだ」
「し、失敬な。お前の方がよっぽどだ」
「……そんなことはない。実験」
 え、と思う間もなく、ちなみは俺の手を取って再び口に含んだ。
「……ぺろぺろ。……ほら、えっちくない」
「む。そんなことはないぞ、大変にえっちいぞ。なぜならオラワクワクしてきたから」
「……タカシは時々戦闘民族になる」
「俺には興奮したら一瞬にして髪を金色に染色する技術はないぞ?」
「……ぺろぺろぺろ」
 俺の話なんてちっとも聞かずに、ちなみはなんだか嬉しそうに俺の指をぺろぺろ舐めている。
「……うう、どうしてこんなことで楽しいのか」
「なんで悔しそうやねん」
「……タカシは時々関西人にもなる」
「ていうかだな、いつまで舐めてんだ。そろそろ学校行くぞ」
「……はむはむ」
 ちなみは残念そうに俺の指を甘噛みした。そして最後にちゅーっと強めに吸うと、ようやっと口から指を離した。そして最後に軽く俺の指に口付けした。
「……ちゅ。綺麗になった予感」
「そいつはありがとうございます」
「……続いて、タカシが私の指を綺麗にするターン」
「……ええと、もう舐めたよ?」
「……私はいっぱいいっぱい舐めてあげたと言うのに、私の指は舐めたくないと言う。……貧乳の指を吸うと俺のアレまで貧しくなると言う」
「超言ってねえ! ていうか色々問題ありすぎの発言だッ!」
「……嫌なら、いい」(寂しげ)
「そうは言ってない! ……ああもう、分かったよ。誠心誠意尽くさせていただきますよっ!」
 半ばヤケクソにちなみの指を口に含み、ぺろぺろれろれろする。ああもう、なんかいけない気分。
「……こーふん?」
「終わりっ! もう終わりっ!」
「ぶー」
 指を引き抜いてタオルで拭いてやると、ちなみは不満げに口をとがらせた。
「……ま、いい。……んじゃ、行こ?」
「あいあい」
 皿をシンクに入れ、家を出る。
「……やれやれ、タカシのせいで手がべたべただ」
「そもそも舐め始めたのはお前からだろうが」
「……うるさい。……そうだ、なすりつけてやれ」
 きゅっ、とちなみの手が俺の手を握る。
「え、ええと」
「な、なすりつけただけ。……そ、その先が偶然タカシの手だっただけ。……ほ、ほんとに」
「ま、まあ、偶然なら仕方ないわな。わっはっは」
「そ、そう。……あ、あと、どーせ遅刻だし、ゆっくり行った方が疲れない予感」
「あ、うん。大変に賛成だ」
 そんなわけで、ちなみと手を繋いだままゆっくりゆっくり通学路を歩くのだった。
 そしてゆっくり歩きすぎたせいで到着したのは昼休みだった。
「……ゆっくりしすぎだ。タカシは本当に頭が悪い」
「途中で公園寄ったりアイス食べ合いっこしたり休憩と称して膝枕させたのは誰だ」
「……ま、まったく。タカシは本当にいぢわるだ」
「鼻を引っ張るな」
 赤い顔で人の鼻を引っ張るちなみだった。

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【しにがみちなみん】

2010年03月21日
 ちなみが死神になった、と言い張る。
「じゃーん。……さくさく魂狩るるるる。……かっこいい?」
「馬鹿」
 自分の身長ほどあるでっかい鎌持って変なポーズつけてたので、でこぴんしてあげた。
「うう……タカシは死神すら凌駕するでこぴん力を持ってる。……いわば、でこぴん王」
 嫌な王にされた。
「で、死神さんはわざわざ俺をでこぴん王に任命しに来たのか?」
「……やれやれ、私はそんな暇な人じゃないです。……はっ、えっと、……そんな暇な死神じゃないです」
 別に言い直す必要はないです。
「……じゃあ、本題です。……死神なので、魂ください」
「嫌です」
「……30円あげますよ?」
 金でどうにかするにしても、30円はあんまりかと。
「安い。もっと高値で」
「……32えん?」
「ダメだ、コイツ思ったより馬鹿だ」
「……むっ、ばかじゃないです。タカシの魂なんて、それ位の値段です。超安値です。やーいばーかばーか」
 なぜ魂を32円で買い叩かれた上、馬鹿呼ばわりされないといけないのだろう。
「……じゃ、32えんあげますから魂ください」
「金の話は置いとくとして、どうやって魂取んの? そのでっけー鎌で俺の心臓を貫いたりするのか?」
「……これ、ゴム」
 ちなみは鎌の先端を持ち、クニクニ折り曲げた。
「……安全設計。……お子様にも安心して持たせられます」
「なるほど、確かにお子様が持ってるな」
「……? ……はっ、今のは私がお子様であるという皮肉を込めた、タカシ流のジョーク。略してタョーク」
「最初気づいてなかった事を指摘する前に、一つ質問。どうやって発音した?」
「たょーく、です。かんたーん。……タカシには無理だけど。ぷぷー」
 なんかムカついたので、でこぴんしてやった。
「……うう、でこぴん王が私を攻める」
「その名で俺を呼ぶな。んで、どうやってゴムの鎌で俺の魂取るの?」
「……頑張れば、だいじょぶ」
「いや、無理だから」
 俺の胸をゴム鎌で押すが、鎌がくにくに折れ曲がるだけ。どう頑張っても魂は取れそうになかった。
「……むぅ。しょうがないので、どうにかなるまで住むことにします」
「一緒に住んでもどうにかならない。住むな。すごい迷惑」
「……こんな可愛い子が一緒に住んであげるというのに、すごい迷惑、とタカシは言う。……はっ、まさか、……ゲイ?」
「俺にそんな趣味ないッ! 気持ち悪いこと言うなッ!」
「……俺はロリコンなので目の前の死神みたいなつるぺたが一番、とタカシは言う」
 誓ってもいいがそんなことは言ってない。
「……と、いうわけで、お世話になります」
「ダメ。お世話しない。三つ指つくな。頭下げて谷間を見せようとするな。どうがんばっても谷間できないから」
 ちなみの頬がふくれた。怒ったようだ。
「……えっちなえっちなことをしないと住んではいけない、とタカシは言う。やれやれ、タカシはえっちで困る」
 再び誓うが、そんなこと言ってない。
「……はぁ、もういいから帰れ」
「……じゃあ、頭なでてくれたら帰ります」
「お嬢ちゃん、何歳?」
「……タカシと同い年、です」
 自分でも恥ずかしいと思ったのか、ちなみの頬が赤く染まった。
「……やっぱいいです。もう帰ります。スピードワ……じゃない、死神はクールに去るぜ、です」
「あー待て待て。忘れ物だ」
 恥ずかしさのあまり逃げようとしていたちなみを引きとめる。
「ないです帰ります死神はクールに去るので……」
 わにゃわにゃ言ってるちなみの優しく頭をなでる。
「はい、忘れ物終わり。で、家まで送って行きたい気分の人がいますが、どうだろう?」
「……どうしてもと言うなら、許可してもいい気分の人も、います」
 スカートをぎゅっと握り、下を向いてもごもご言うちなみの頭をもう一度なでてから、俺たちは一緒に家を出たのだった。

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【ツンデレを起こしに行ったら胸もとがはだけてたのでもにゅもにゅしてみた】

2010年03月19日
 朝です。朝は隣家の寝ぼすけ娘っ子を起こしに行かないといけないのです。だから、起こしに行きます。
「おはよう、タカシ君。ごめんね、よろしくね」
 何度繰り返したか分からない挨拶をおばさんと交わし、寝てる幼なじみが待つ二階の部屋へ。
「……ぷー、……ぷー」
 部屋に入ると、年頃の女性だというのにまるで女性らしさを感じさせない体つきの子どもが変な寝息を立てていた。
「起きろ、ちなみ。朝だ」
「……む、むぅ……変態が寝込みを襲う」
「し、失敬な! 誰が変態だ! ちょっと人より女性の好みが幼くてちょっと人よりつるぺたが好きでちょっと人より背が低い子が好きなだけだ!」(変態だと気づいてないご様子)
「……ぷーぷー」
 人の訴えを無視し、尚もぷーぷー鳴きながら寝続けるちなみ。早く起きれ。
「どーすっかな……そうだ! 変態とか言われたので、変態らしい起こし方をしよう!」
 変態といえば、えろいことだろう。(力説)
 というわけでちょいと布団を剥いで……って、胸元がはだけてて、なんかピンク色の突起物が!
 いくら幼なじみとはいえ、そうそう突起物を見る機会なぞない。多少の後ろめたさはあるが、それ以上にエロ心があるのでここぞとばかりに見れ! 網膜に焼き付けろ!
「うーん、やはりこう、なんというか隆起がほとんどない胸の上にぽつんと突起物があるのはたまらないなぁ。まるで湖上の塔のようで、美しいと思いませんか?」
「……ぷー?」
 疑問形の寝言が返ってきた。別に答えなくていいです。
「……ん、んむ、ここは、も、揉んだりしてみるかな。ばれたら三日くらいネチネチ言われそうだが、寝てるし……よし、いざ!」
 両手をこすりあわせ、薄い胸の上に持っていく。手の平の中心にツンとした突起があたり、そして指先がちなみの胸元に少しだけ埋まった。
「おお……まさか、こんな貧乳なのに埋まるとは……恐るべし、乳」
 指先を細かく動かし、ちなみの胸をまさぐる。あまりの気持ちよさと、かなりの後ろめたさで脳がクラクラしてきた。
「……私としては、なんの躊躇もなく寝てる幼なじみのおっぱいを揉むタカシの方が恐るべしだと思う」
 頭上から降ってきた声に、背筋を冷たいものが伝う。
「……お、起きて?」
 恐る恐る顔を上げると、顔を真っ赤にさせたちなみが俺をにらんでいた。
「え、えっと、その、だな」
 さあ考えろ、起こしに来たのにいつのまにか胸を揉んでいて、それでいてちなみが許してくれそうな理由を!
 そんな都合のいい言いわけ存在しねぇ。(0.3秒)
「あ、いや、その、……俺はこれくらいのおっぱいが大好きデスよ?」
「……いいから、出てく」
「はいっ!」
 怒気をふりまくちなみから逃げるように部屋から飛び出し、そのまま階段を落ちるように下りる。
「あら、どうしたの? なんかすごい音してたけど……」
「いやあ、ちょっと階段を滑り落ちて尻が大変痛むだけです」
「まあ。いわゆる階段落ち→尻痛みのコンボね」
 そんなコンボはないと思いながら席に着き、おばさんの淹れてくれたコーヒーを飲む。そうしている間にも、刻一刻とちなみと対面する時間は近づいてくるわけで。
「オラドキドキしてきたぞ」
「娘の幼なじみが戦闘民族に」
「違います」
 恥ずかしい独り言を聞かれ軽く赤面してると、俺よりもっと赤い人が居間に入ってきた。
「あ、お、おはよ、ちなみ。さっきは、その、……ごめん」
「……うー、えっちぃ人がずうずうしくも私の家にいる」
 言葉で俺をチクチク責めながら、ちなみは隣に座った。
「おはよ、ちなみ。……あらちなみ、顔真っ赤よ? 風邪?」
「……違う。……ちょっと、アレが」
 おばさんの言葉にちなみが俺方向を見るので、気づかないフリをしながら新聞を読むことにする。
「アレ? ……はっ、まさか、タカシ君が朝から娘の膜を……?」
「違うっ! 膜とか言うなっ! アホかっ!」
 我関せずを貫き通したかったが、あまりのことに思わず突っ込んでしまう。
「……まさかおしり? あのねタカシ君、初めてでお尻はちょっと……」
 うるさいのでチョップでおばさんを黙らせる。おばさんは残念そうに奥に消えていった。
「……タカシは胸だけで飽き足らず、私の前はおろか後ろの処女までも付け狙う」
「狙ってないっ! 全部おばさんの妄想だっ! ええいもう知らん、一人で学校行ってくる!」
「……タカシは人の胸を陵辱したあげく、私を残して行ってしまおうとする。……私を置いて」
 ……ああ、もう。そんなこと言われたら、逃げるに逃げられない。
「早く飯食え! 遅刻するぞ!」
「……乳揉み魔が、えらそうに」
 もっかい揉んだろかと思ってると、おばさんが焼いたパンを持ってやってきた。
「まあ、タカシ君乳揉み魔だったのね。でも、ちなみのぺたんこな胸ですら揉めるなんて……。どんな最先端技術が?」
 パンを受け取ったちなみは、悲しそうにもぐもぐした。
「別府家に伝わる秘伝ですので、申し訳ありませんが」
「代々乳揉み魔なのね」
 嫌な家系にされたので嫌な顔をしてると、くいくい袖を引っ張られた。ちなみだ。
「……終わった。……遊んでないで、早く行く」
 誰を待っててやったんだと思ってたが、大人なので言わずに付いていく。おばさんに見送られ、外へ。雲ひとつない快晴だ。
「……おっぱい魔人。……おっぱい魔人」
 だが、後ろからいやな呟きがずっとついてくるので、心の中は曇模様。
「あの、ちなみさん、できればそういうことは言わないでいただきたいのですが」
「……おっぱい魔人が近づいてきた。……また揉まれる予感」
 振り返ってそう言うと、ちなみは両手で胸を隠して後ずさった。言い返したいが、揉んだのは事実なのでどうしようもない。しょうがない、素直に謝ろう。
「ごめん。俺が悪かった。金輪際こんなことしない」
「……タカシは私のおっぱいを揉みたくないと言う。……つるぺたは胸にあらず、と言う」
「いやいや、言ってない。とにかく、もうこんなことしないから、許して欲しいココロ」
「……ふん」
 人が折角謝ったというのに、ちなみの奴はふくれっつらで他所向いてしまった。
「なんだよ、不満そうな顔して」
「……別に」
「別に、って顔してないぞ。ほれ、どーした」
 ちなみのほっぺをつまんでむにーっと引っ張る。
「……へふひ(別に)」
 それでも表情を崩さないのは驚嘆に値すると思う。
「うーん……まさかとは思うが、金輪際ちなみの胸を揉まないって誓いが嫌なのか?」
 そう言った瞬間、初めて表情が崩れた。
「あれ、まさか正解?」
「……ち、違う。不正解。はずれ。ぶぶー。間違い。論外」
 ほっぺを掴んでた指を払い、ちなみは足早に先へ行ってしまった。
「待て。答えを教えるべし」
「……教えないべし」
 そんな感じで学校まで行きました。

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【ちなみんはタカシの膝の上がお好き】

2010年03月16日
 ちょっとおふざけでちなみを膝に乗せたら、下りてくれません。
「ちなみちなみ、いい加減しんどいので、どいてほしいのだけど」
「……ふふ、これぞまさしく一度私を乗せたが最後、二度とどかない地獄。……ガクガクガク、恐ろしい」
 恐ろしいとか言ってるけど、何が恐ろしいのかイマイチ伝わってこない。
「……ちなみに、今後おトイレには行かないので悪しからず」
「尿攻めか! こんなことなら尿属性を開花させておけばよかった! いや、今からでも遅くない! 急ぎ水月とさくらむすびをせねば!」
「……タカシは尿属性を開花させ、事ある毎に私の排泄行為を覗こうとするに違いない。……ぶるぶるぶる」
「そこまで変態に成り下がるつもりはないです」
「……やれやれ、一体どこまで属性をつければ満足するのだろう。……これだから変態は困る」
「へ、変態とは失礼な! 清廉潔白、聖人君子を地でいく俺様になんという言い草! 俺に属性なぞ皆無!」
「……ええと、現在タカシにはロリ属性と幼なじみ属性、あと獣耳属性がある。……ああ、コスプレ属性を忘れるところだった」
「……は、はは、何を言ってるかな、この娘っ子は」
 ぐうの音も出ないとは、このことを言うのだろう。つーか、なんで知ってんだ。
「……タカシの持ってるゲーム、そんなのばっかだから」
 押入れを指して……って、なんでエロゲの隠し場所を知ってるんデスカ!?
「……ふふ、伊達や酔狂で幼なじみしてない」
 ちなみの幼なじみ力に戦慄すると同時に、俺の思考をごく普通に読んでることにも戦慄する。いわば超戦慄。
「……タカシは考えがすぐ顔に出るので、読むのは容易い」
 コンチクショウ、こうなったら口に出すのもはばかられるほどエロい想像を! うーんうーんうーん!
「……タカシは私にえっちなことをしようとする想像をしてる。……やれやれ、タカシはエロくて困る」
「断じてしてねー!」
「…………」(不満そう)
 なんで不満そうなのか聞きたいけど、聞くと面倒なことになりそうなので気づかなかった方向で。
「……ま、いいケド。……じゃ、ゲームしよう、ゲーム。……コントローラー取って」
「別に構わんが、その前にどけ。足がしびれあしら」
「……タカシの足なんて、しびれあしらのままで充分。……可愛い可愛い私が膝に乗ってあげてるんだから、それくらい我慢すべき」
「いや、一度も乗れなんて言ってない。つーか、何度もどけと言ったような」
「……座り心地がいいのが悪い。……もっと座りにくかったら、私も座ろうと思わない。……全部タカシのせい」
 ちなみが無茶を言った。
「……とうっ」
「いつっ! いきなり何すんだっ!」
 突如、ちなみが俺のアゴを突き上げた。
「……む、気絶しない。……おかしい。脳を揺らされ、脳挫傷を起こして全部忘れるはずなのに」
「起こすのは脳震盪であり、脳挫傷を起こすと死ぬ」
「……なんだ、死なないのか。……残念」
「ちなみが俺を殺そうとする」
 俺を殺そうとする人物が俺の膝に乗っているという事実に、なんだか泣きそうだ。
「……冗談。泣かなくてもいい」
「なんだ、驚いた」
「……じゃ、落ち着いたところでゲームしよう」
「そだな」
 なんか忘れてるような気がするけど、まあいっか。
「……ふふ、これぞまさしく別のことで気をそらし、膝のことを忘れさせる地獄」
 そしてちなみの台詞で全部思い出した。
「はっ……しまった」
 ちなみは思ったよりバカだった。
「……無念、語るに落ちた。……しょうがない、降り」
「あー、やっぱいい。乗ってろ」
 降りようとするちなみのお腹に手をまわし、制する。
「……いいの?」
「いいの」
「……やれやれ、タカシは時々優しいから困る」
「何を言うか。俺はいつだって優しいぞ」
 ちなみは俺に身体を預け、力を抜いた。なんとなくちなみの手をいじくってると、ちなみは口元を緩めた。
「……む、にぎにぎされた」
「にぎにぎ教の教祖だから仕方ない。ちなみもにぎにぎ教に入れ。今なら俺と握手!」
「……教祖にしてくれるなら、入ってあげてもいい」
「今日からちなみがにぎにぎ教の教祖様です。ははー」
 教祖様の手をにぎにぎしたり教祖様と一緒にゲームしたりして、まったり過ごしました。

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【本多忠勝ちなみん】

2010年03月16日
 学校から帰ると、部屋に変なロボットがいた。
「ぎゅぃぃぃぃぃん」
 聞き覚えのある声。ロボではなく、ちなみのようだった。
「……本多忠勝です。ドリルでるんるん、ぎゅぃぃぃぃぃん」
 ちなみがぎゅいーんと言うと同時に、手に持ったドリルが火花を上げて高速回転しだした。
「どこで間違った」
「……? どこからどう見ても本多忠勝です。……ドリル槍、つの、ブースター。完璧です。……戦国BASARAでも、こんな格好でした。……間違いなし。ぶい」
 ちなみはぶい、と言いながらVサインをした。
「よし。馬鹿」
「むっ、……馬鹿ではないです。……馬鹿はタカシです。……馬鹿はドリルで串刺しです。……ドリルでルンルン、皆殺し」
 そんな血生臭い歌じゃなかったように思える。
「……ぎゅぃぃぃぃぃん。……ドリルは、男の浪漫です。……じゃあ、女の浪漫と言えば?」
「そうだな、やっぱ」
「……間違うと、ドリルで串刺しの刑」
 こんなに緊張するクイズ初めてだ。汗が背中を伝っているのを感じながら、必死でちなみの気に入りそうな答えを考える。
「え、ええっと、……こ、コスプレ?」
 一般的には違うと思うが、ちなみ的にはコレだろう。どうだ?
「……まあ、半分正解です。……ですので、半殺しの刑」
 ちなみの槍が火花を散らしながら高速回転を始めた。
「待て、待つにゃり! それで俺をどうこうしたら、半殺しの前に一瞬でミンチになると思う!」
「……瑣末事ですよ?」
「生死に関わる事を瑣末と言い切られた俺だ!」
「……じゃあ、ドリルあたっく、いきます」
 ちなみは回転するドリルの穂先を俺に向け、突進の構えをとった。このままではよくて即死、悪くて粉々だろう。どっちにしても死ぬ。
「ま、待て。俺が死ぬとお前の変なコスプレを見てくれる奴がいなくなるぞ?」
「……変じゃないです。……毎回、らぶりーです。……今回の本多忠勝なんて、らぶりーの極みです」
 ちなみの趣味は悪かった。
「……褒めないのが悪いんです。……地獄で後悔するがいいです、タカシ」
 瞬間、俺の頭に格納されてる灰色の脳がちなみのドリル槍ばりに高速回転を始めた。
「か、かわいい……よ?」
 脳が『褒めれば助かる』と告げたので褒めたけど、ロボを可愛いと言い切るには少々無理があった。
「むっ。……あんまり思ってません。……口だけです。……妖怪、口だけタカシ」
「だってしょーがねーじゃん! んな全身装甲で身を包んで、お前の顔あんま見えないのに、可愛いなんて思えるか! このロボ、ロボ丸!」
 言ってから気づいた。死ぬ。
「……ぷしゅー」
 死ぬ……と思ったのだけど、なんかちなみの全身から蒸気が噴出しただけで、ミンチにはならなかった。
「……だ、大チャンスの機会です。クイズに正解すると、死なないかも」
「チャンスの機会って、同じ意味じゃん」
「う、うるさいです。黙って答えるべきです。……私は、いま、タカシに何をしてほしいでしょう?」
 何を? ……死んで欲しい? いや、それならさっき殺してるし、えーと。
「……じーっ」
 む、ちなみが俺をじっと見つめている! 何かを伝えようとじっと俺を見つめている! 見つめて……はっ、そうか!
「みつめてナイトを貸して欲しいんだな? アレ面白いよな。よもや『貴様に名乗る名などない』って言ったら、そのキャラに二度と会えないとは」
「…………」
 すごく睨まれた。違ったようなので、ちなみの頭をなでて茶を濁す。
「……む、ダメです。本多忠勝は、なでなで感を味わえません」
「全身装甲で覆われてるしなあ」
 頭をなでても、装甲を磨いているようにしかならない。なでてるこっちも楽しくない。
「……これは欠陥品です。……訴えて、お金をもぎ取ってやりましょう。……ふふ、おっかねもちー」
「頭の悪い計画はともかく、これ、どこで買ったんだ?」
「……お父さんに言ったら、作ってくれました」
 ちなみの親父さんはとても偉い科学者らしいので、こういう変なのを作らせるとお手の物なので大変迷惑。
「つまり、お前は実の父から金をもぎとると。悪魔だな」
「……悪魔なので、タカシを串刺しにしても、罪悪感にさいなまされませんよ?」
「ちなみは天使と見紛うばかりの可愛さだよね?」
「……タカシは口だけです。妖怪、口だけタカシ。……妖怪は、串刺しの刑」
 ちなみの背中にあるブースターが点火したので、全力で逃げる。捕まった。
 串刺しにされる前に俺のアレで串刺しにしてやるって言ったら、ちなみの究極技が発動して半殺しになったので辛い。

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