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2024年11月24日
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【本多忠勝ちなみん】

2010年03月16日
 学校から帰ると、部屋に変なロボットがいた。
「ぎゅぃぃぃぃぃん」
 聞き覚えのある声。ロボではなく、ちなみのようだった。
「……本多忠勝です。ドリルでるんるん、ぎゅぃぃぃぃぃん」
 ちなみがぎゅいーんと言うと同時に、手に持ったドリルが火花を上げて高速回転しだした。
「どこで間違った」
「……? どこからどう見ても本多忠勝です。……ドリル槍、つの、ブースター。完璧です。……戦国BASARAでも、こんな格好でした。……間違いなし。ぶい」
 ちなみはぶい、と言いながらVサインをした。
「よし。馬鹿」
「むっ、……馬鹿ではないです。……馬鹿はタカシです。……馬鹿はドリルで串刺しです。……ドリルでルンルン、皆殺し」
 そんな血生臭い歌じゃなかったように思える。
「……ぎゅぃぃぃぃぃん。……ドリルは、男の浪漫です。……じゃあ、女の浪漫と言えば?」
「そうだな、やっぱ」
「……間違うと、ドリルで串刺しの刑」
 こんなに緊張するクイズ初めてだ。汗が背中を伝っているのを感じながら、必死でちなみの気に入りそうな答えを考える。
「え、ええっと、……こ、コスプレ?」
 一般的には違うと思うが、ちなみ的にはコレだろう。どうだ?
「……まあ、半分正解です。……ですので、半殺しの刑」
 ちなみの槍が火花を散らしながら高速回転を始めた。
「待て、待つにゃり! それで俺をどうこうしたら、半殺しの前に一瞬でミンチになると思う!」
「……瑣末事ですよ?」
「生死に関わる事を瑣末と言い切られた俺だ!」
「……じゃあ、ドリルあたっく、いきます」
 ちなみは回転するドリルの穂先を俺に向け、突進の構えをとった。このままではよくて即死、悪くて粉々だろう。どっちにしても死ぬ。
「ま、待て。俺が死ぬとお前の変なコスプレを見てくれる奴がいなくなるぞ?」
「……変じゃないです。……毎回、らぶりーです。……今回の本多忠勝なんて、らぶりーの極みです」
 ちなみの趣味は悪かった。
「……褒めないのが悪いんです。……地獄で後悔するがいいです、タカシ」
 瞬間、俺の頭に格納されてる灰色の脳がちなみのドリル槍ばりに高速回転を始めた。
「か、かわいい……よ?」
 脳が『褒めれば助かる』と告げたので褒めたけど、ロボを可愛いと言い切るには少々無理があった。
「むっ。……あんまり思ってません。……口だけです。……妖怪、口だけタカシ」
「だってしょーがねーじゃん! んな全身装甲で身を包んで、お前の顔あんま見えないのに、可愛いなんて思えるか! このロボ、ロボ丸!」
 言ってから気づいた。死ぬ。
「……ぷしゅー」
 死ぬ……と思ったのだけど、なんかちなみの全身から蒸気が噴出しただけで、ミンチにはならなかった。
「……だ、大チャンスの機会です。クイズに正解すると、死なないかも」
「チャンスの機会って、同じ意味じゃん」
「う、うるさいです。黙って答えるべきです。……私は、いま、タカシに何をしてほしいでしょう?」
 何を? ……死んで欲しい? いや、それならさっき殺してるし、えーと。
「……じーっ」
 む、ちなみが俺をじっと見つめている! 何かを伝えようとじっと俺を見つめている! 見つめて……はっ、そうか!
「みつめてナイトを貸して欲しいんだな? アレ面白いよな。よもや『貴様に名乗る名などない』って言ったら、そのキャラに二度と会えないとは」
「…………」
 すごく睨まれた。違ったようなので、ちなみの頭をなでて茶を濁す。
「……む、ダメです。本多忠勝は、なでなで感を味わえません」
「全身装甲で覆われてるしなあ」
 頭をなでても、装甲を磨いているようにしかならない。なでてるこっちも楽しくない。
「……これは欠陥品です。……訴えて、お金をもぎ取ってやりましょう。……ふふ、おっかねもちー」
「頭の悪い計画はともかく、これ、どこで買ったんだ?」
「……お父さんに言ったら、作ってくれました」
 ちなみの親父さんはとても偉い科学者らしいので、こういう変なのを作らせるとお手の物なので大変迷惑。
「つまり、お前は実の父から金をもぎとると。悪魔だな」
「……悪魔なので、タカシを串刺しにしても、罪悪感にさいなまされませんよ?」
「ちなみは天使と見紛うばかりの可愛さだよね?」
「……タカシは口だけです。妖怪、口だけタカシ。……妖怪は、串刺しの刑」
 ちなみの背中にあるブースターが点火したので、全力で逃げる。捕まった。
 串刺しにされる前に俺のアレで串刺しにしてやるって言ったら、ちなみの究極技が発動して半殺しになったので辛い。

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