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2025年04月30日
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【ツンデレになんで秋休みが無いのかなって言ったら】

2010年05月09日
「なーちなみ、なんで秋休みってないんだ?」
「……そんなこと知らない」
「いや、本当は休みで、みんなどっかで集まって寿司やケーキを食べてるんだ! 今話してるおまえは俺の幻覚だ!」
「…………(また始まった)」
「俺も食いたい! 寿司! ケーキ! 寿司! ケーキ!」
「……うるさい」
「もが」
 ちなみに何かを口に詰め込まれた。
「むぐむぐ……うまいな。これなんだ?」
「消しゴム」
「ぺっぺっぺ! 何しやがる!」
「……ショートケーキの匂いつき」
「ん? くんくんくん……なるほど、言われてみれば確かに。ほら、ちなみも匂え」
「……嫌。タカシの唾液がべっとりついてる」
「これって間接キスだよな。ほら、匂え。むしろ口に含め」
「……嫌がらせだ。もうこの消しゴム使えない」
 一体誰が消しゴムを人の口に詰め込んだのか、よく考えたほうがいいと思う。
「……タカシはひどい人だ。私の大切なものを傷物にして、平気な顔してる」
 その言い方はどうかと思う。
「ちょっと聞いた? 別府くん、ちなみを傷物にしたって」
「別府サイテー」
 まるで示し合わせたかのように、クラスメイトたちがちょうど俺に聞こえるくらいの声で囁き合い出した。
「なんでそんな話になってんだよ! 俺はただ単に、なんで秋休みがないか知りたかっただけなんだ!」
「……国が決めたから」
「ああ、そうか」
 国が決めたのなら仕方ないので着席すると、担任が来たので寝ようぐぅ。

「……ちゅっ」
 ちなみは静かに消しゴムに口付けしたことを、いびきをかいてるタカシは知らない。

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【鶏ちなみん】

2010年05月09日
 朝からコケコケうるさい鶏がいるなぁと思ったら、ちなみだった。
「……にわとりです。こけー」
「なに人んちの前で鳴いてんだよ! 近所迷惑だし恥ずかしいからどっか行け!」
 窓から叫ぶと、ちなみは悲しそうに声を震わせて言った。
「……私、恥ずかしいですか?」
「え、いや、家の前で叫んでるのが恥ずかしいのであって、別におまえが」
「……じゃ、そっち行きます」
 言うが早いか、10秒もせずにちなみが俺の部屋に現れた。
「……にわとりです。こけこっこ」
「帰れ」
「……折角来たのに帰れだなんて、タカシはいじわるです。……新鮮な卵をあげようと思ったのに」
「……産むのか?」
「産みます」
 即答してぽろぽろ卵を産み出した。
「なんでそう無駄に高性能なんだよ!」
「……無駄とか、ひどいです。……みんな、お父さんはいじわるですね」
 ちなみは床に落ちた卵をかき集めて胸に抱き、とんでもないことを言った。
「誰がお父さんだ! 種を仕込んだ覚えはないっ!」
「……みんな、お父さんは認知してくれません。……悲しいですね」
「悲しいピヨ~」「悲しいピヨ~」「悲しいピヨ~」
 卵が割れ、中からちなみにそっくりな顔をしたヒヨコが現れた。
「ああもう、ああ! 何が悲しいピヨだ! ていうかなんでそんな無意味に凄いんだよ!」
「……頑張りました」
 薄い胸を張るちなみを見て、もっと違うことを頑張って欲しいと願わずにはいられない。
「……なんで褒めないんですか?」
「褒めるか!」
「……残念です。折角タカシが褒めてくれると思って頑張ったのに。いーこいーこしてくれると思ったのに」
 そう言って、期待を込めた目で俺をじっと見つめる。胸に抱かれたちなみ(小)も俺をじっと。
「……はぁ。いーこいーこ」
 諦めてちなみの頭をなでる。ああもう、こいつなんでそれだけでこんな嬉しそうな顔すんだよ。
「……はふぅ。タカシのなでなでは堪りません。病み付きです」
 勘弁してください。
「……満足したので今日はとりあえず帰ります。もっとたくさん産めるよう改良してくるので、次はもっともっと頭なでてください」
 俺に喋らせる暇を与えないまま、ちなみは来た時と同様素早く出て行った。
「……これも持って帰れよ」
 俺の周囲で「ぱぱ、ぱぱ」と鳴く小さなちなみを見て、俺は深くため息をついた。

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【イモートコントロールダンディ】

2010年05月08日
 学校からの帰り道、変なのを拾った。
「……リモコン?」
 なんか、鉄人を操れるっぽいレトロなリモコン。レバーふたつの、あれ。それとアンテナ。
「……あ、タカシ。拾い食いはほどほどに」
「こんなもん食えるか。ていうか、拾い食いなんかしたことねーよ」
 ぽてぽてやってきたちなみにつっこみ一閃。そのはずみに、手に持っていたアンテナがちなみの頭にくっついた。
「……あ」
 途端、ちなみの顔がとろんと。目が潤みだして、なんか頬が染まってる。
「……命令は? お兄ちゃん」
「お兄ちゃん!?」
 いかん、これは夢だ。ちなみを妹と見立てて日々えろい妄想するあまり、白昼夢を見てしまうとは!
「覚めろ~覚めろ~夢覚めろ~」
 呟きながら近くの電柱に頭をぶつけまくる。おかしい、血が出るばかりで一向に覚めない。
「……お兄ちゃん、普通に怖いよ」
「出血多量で死にそうだが、とりあえず痛みを感じるので夢ではない、と」
「あ~もう、お兄ちゃんは私がいないと何にもできないんだから」
 いそいそと嬉しそうに止血するちなみをそのままに、俺は腕を組んで考えた。
 なんか知らんがちなみが妹になったしいいか(0.5秒)。
「よしちなみ、命令だ! 一緒に買い物行ったり映画行ったり手繋いだりするのだ!」
「おまかせだよ、お兄ちゃん」
 妹は満面の笑みを浮かべるのだった。

「……へへ、だーいせーいこーう」
 自分の部屋に戻り、ちなみは小さく笑った。
「……入念な下調べの甲斐があったね。……妹、だーいせーいこーう」
 頭についたアンテナをはずす。アンテナもリモコンも全て、ちなみが用意したものだった。
 今日あったこと──ホラー映画を観てタカシに抱きつき、頭をなでなでしてもらったことを思い出し、ちなみは頬が緩むのを止められないでいた。
「えへへ……明日は、どうしようかな」
 どうやってタカシに甘えるか考えながら、ちなみは瞳を閉じた。

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【たまごやきちなみん】

2010年05月07日
 俺は常日頃玉子焼きが好物と言い放っている。しかし、あくまでそれは食べるのが好きと言うだけの話で。
「……玉子焼きです。……じゅーじゅー、食べごろです」
 だから、ちなみに玉子焼きの格好されても困るだけで。
「……おいしいですよ?」
「知るか。ていうか、うまけりゃ食ってもいいのか?」
「……おいしいですが、食べると死にます」
「んなもん勧めんな!」
「……残念です。タカシは根性ナシです」
 そんな根性は犬にでもくれてしまえ。
「……はっ。もしタカシが根性を出して食べてしまい、その結果死んでしまったら私は殺人者……」
 うんうん、気づいてくれたか。気づいたらならいいさ、気にしないぞ。
「……私を犯罪者に仕立て上げようだなんて……タカシはひどいです」
「…………」
 驚きを通り越して逆に感心してしまう。
「……ひどいタカシはつねってやりましょう。えい、えい」
 ぎゅうぎゅうとつねられる。俺が何をしたのでしょう。
「ちなみさん。俺にも痛覚がある故痛いのですよ?」
「……それは初耳です」
 一体俺を何だと思っていたのかこの玉子焼きは。ええい腹立たしい、ほっぺ引っ張ってやれ。ぐにー。
「……ひはひ、へふ」
「ふはははは、この俺様がやられたままでいると思っていたのか!」
 手を離し、今度はむにむにとほっぺをこねる。
「……むぅ。お返し、です」
 俺がしていることと同様にほっぺをこねられる。
「……なんか、気持ちいいです。仕返しのつもりなのに……弱りました」
 言葉とは裏腹に、ちなみはにっこり微笑むのだった。
 そしてその様子を偶然遊びに来たかなみに見られ、必死の土下座に挑む俺だった。(でもたぶん殴られる)

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【たぬきちなみん】

2010年05月04日
 学校から帰ってくると、二階にある俺の部屋の中からすっぽこすっぽこ気の抜けた音が聞こえてくる。
 足音を立てずにそっと逃げようとしたら、部屋のドアが勢いよく開いた。
「すっぽこすっぽこ。……たぬきです、たぬたぬ」
 ちなみは俺の腕を掴み、部屋に連れ込んだ。
「……逃げようとしました?」
「いいえ」
「……嘘つくと、ちゅーしますよ」
「それは罰じゃないことに気づいてるか?」
「はっ。……タカシは油断すると私を騙すので、注意が必要です」
 勝手に騙されて俺を睨むたぬき。
「騙すのはむしろ、たぬきの方じゃないのか?」
「……言われてみれば、それもそうです。……こほん。……実は、私はタカシのことが嫌いです」
「はぁ」
「…………」
「…………」
「……ショック、受けてください」
 ちなみは目に見えて落ち込んだ。半泣きでいじいじと指を合わせている。
「超ショック。死のう」
 窓を開け外に飛び出そうとしたら羽交い絞めされた。
「離せっ、ちなみに嫌われては生きていけないっ!」
「だっ、ダメですダメですっ! 嫌いなんて嘘ですっ!」
「そいつはよかった」
「あっ……」
 くるりと反転し、ちなみを抱きしめる。
「……やっぱり、タカシはすぐに私を騙します。……ひどいです」
「騙されるお前が間抜けなんだ」
「むっ。……間抜けなんかじゃないです。タカシのばか。ばーか」
 俺に抱きしめられたまま、ちなみは悪態をついていた。

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