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2024年11月22日
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【イモートコントロールダンディ】

2010年05月08日
 学校からの帰り道、変なのを拾った。
「……リモコン?」
 なんか、鉄人を操れるっぽいレトロなリモコン。レバーふたつの、あれ。それとアンテナ。
「……あ、タカシ。拾い食いはほどほどに」
「こんなもん食えるか。ていうか、拾い食いなんかしたことねーよ」
 ぽてぽてやってきたちなみにつっこみ一閃。そのはずみに、手に持っていたアンテナがちなみの頭にくっついた。
「……あ」
 途端、ちなみの顔がとろんと。目が潤みだして、なんか頬が染まってる。
「……命令は? お兄ちゃん」
「お兄ちゃん!?」
 いかん、これは夢だ。ちなみを妹と見立てて日々えろい妄想するあまり、白昼夢を見てしまうとは!
「覚めろ~覚めろ~夢覚めろ~」
 呟きながら近くの電柱に頭をぶつけまくる。おかしい、血が出るばかりで一向に覚めない。
「……お兄ちゃん、普通に怖いよ」
「出血多量で死にそうだが、とりあえず痛みを感じるので夢ではない、と」
「あ~もう、お兄ちゃんは私がいないと何にもできないんだから」
 いそいそと嬉しそうに止血するちなみをそのままに、俺は腕を組んで考えた。
 なんか知らんがちなみが妹になったしいいか(0.5秒)。
「よしちなみ、命令だ! 一緒に買い物行ったり映画行ったり手繋いだりするのだ!」
「おまかせだよ、お兄ちゃん」
 妹は満面の笑みを浮かべるのだった。

「……へへ、だーいせーいこーう」
 自分の部屋に戻り、ちなみは小さく笑った。
「……入念な下調べの甲斐があったね。……妹、だーいせーいこーう」
 頭についたアンテナをはずす。アンテナもリモコンも全て、ちなみが用意したものだった。
 今日あったこと──ホラー映画を観てタカシに抱きつき、頭をなでなでしてもらったことを思い出し、ちなみは頬が緩むのを止められないでいた。
「えへへ……明日は、どうしようかな」
 どうやってタカシに甘えるか考えながら、ちなみは瞳を閉じた。

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