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2024年11月22日
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【雷が怖いツンデレ】
2010年05月08日
登校する時は曇り空だったものの、下校時、つまり今は土砂降りになっていた。
残念なことに天気予報は見てこなかったので、俺は傘を持ってきてない。つまりは、教室の窓際で困ったように窓から空を見上げてるみことと同じ境遇なわけだ。
「おまえも同類か?」
「ん? ……ああ、貴様も傘を」
軽く頷き返し、みことと同様に空を見上げる。空は厚い雲に覆われ、止みそうになかった。
「もう少し小降りになったところを見計らって帰れば、そう濡れずに済むだろう」
「なら、少し待つか。一人なら寂しいところだが、みことと一緒ならむしろ喜ぶことだな」
「そればかりは同意しかねるな」
相変わらずの厳しい意見に苦笑していると、不意に光が瞬いた。そしてすぐ轟音がした。
「雷か? 近いな」
ふと、制服の袖が引っ張られる感覚がした。見ると、不安げな表情を浮かべたみことが俺の袖を握り締めていた。
「みこと?」
「……! な、なんでもない」
途端、弾かれたように袖から手を離した。
「もしかして、雷苦手か?」
「そんなわけないだろう」
それもそうか、ときびすを返そうとすると、また稲光が走り、ほぼ同時に鼓膜を揺るがす轟音が。
「…………」
また制服の袖が引っ張られる感覚。見ると、やはり不安げな──いや、泣きそうな表情を浮かべたみことが俺の袖を。
「! な、なんだ! 用がないならどこかへ行くがいい!」
「……んー、残念ながら急用ができた」
みことの後ろに回り、覆いかぶさるように彼女の体をそっと抱きしめる。
「お、おい!」
「雷が怖いんで、こうしてていいか?」
「……ふ、ふん、情けない奴め。……少しの間だけだぞ」
「了解」
みことの髪に顔をうずめながら、俺はもうしばらく雷が続くよう小さく祈った。
残念なことに天気予報は見てこなかったので、俺は傘を持ってきてない。つまりは、教室の窓際で困ったように窓から空を見上げてるみことと同じ境遇なわけだ。
「おまえも同類か?」
「ん? ……ああ、貴様も傘を」
軽く頷き返し、みことと同様に空を見上げる。空は厚い雲に覆われ、止みそうになかった。
「もう少し小降りになったところを見計らって帰れば、そう濡れずに済むだろう」
「なら、少し待つか。一人なら寂しいところだが、みことと一緒ならむしろ喜ぶことだな」
「そればかりは同意しかねるな」
相変わらずの厳しい意見に苦笑していると、不意に光が瞬いた。そしてすぐ轟音がした。
「雷か? 近いな」
ふと、制服の袖が引っ張られる感覚がした。見ると、不安げな表情を浮かべたみことが俺の袖を握り締めていた。
「みこと?」
「……! な、なんでもない」
途端、弾かれたように袖から手を離した。
「もしかして、雷苦手か?」
「そんなわけないだろう」
それもそうか、ときびすを返そうとすると、また稲光が走り、ほぼ同時に鼓膜を揺るがす轟音が。
「…………」
また制服の袖が引っ張られる感覚。見ると、やはり不安げな──いや、泣きそうな表情を浮かべたみことが俺の袖を。
「! な、なんだ! 用がないならどこかへ行くがいい!」
「……んー、残念ながら急用ができた」
みことの後ろに回り、覆いかぶさるように彼女の体をそっと抱きしめる。
「お、おい!」
「雷が怖いんで、こうしてていいか?」
「……ふ、ふん、情けない奴め。……少しの間だけだぞ」
「了解」
みことの髪に顔をうずめながら、俺はもうしばらく雷が続くよう小さく祈った。
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