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2025年02月06日
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【ツンデレにしっぽを触らせてくれって言ったら】

2010年07月01日
 放課後。普通の学生であれば部活動に、それに所属していない者は羽を伸ばせる時間だ。俺は後者にカテゴライズされる人間であるはずなのだが、今日も会長の奴隷として生徒会室に監禁されてます。
「そして疲れた俺は寝る」
「寝るな、阿呆。寝るなら仕事を終えてからにしろ、阿呆。早く死ね阿呆」
 会長に押し付けられた仕事を一人で必死にこなした俺を、会長は優しく労わるわけでもなく、ただただ罵倒した。なんて酷い奴だ。
「ぬ? ……なんじゃ、その目は」
「生まれつきです」
「目つきの悪い奴よのぉ。それだけでも恐れられているというのに、いつも無表情じゃから、誰からも恐がられているのじゃぞ?」
「俺ほど人畜無害な奴はいないというのに、酷い話だと思わないか」
「人畜無害、のぉ……」
 会長は俺を頭の先から足のつま先まで遠慮なくじろじろ見た。
「まあ、そうじゃの。見た目よりも中身の方がよほど酷いからの、貴様は」
「悪だ。俺の目の前に悪がいる。滅さなければ……!」
「ほほう。ワシに勝負を挑むか。勇気と蛮勇を履き違えておるようじゃが、どこで命を賭けるかは個人の自由じゃ。ほれ、構えよ」
 会長が愉快そうに口角を吊り上げると同時に、スカートの裾からふわりとしっぽが姿を現した。
 会長の正体は狐の妖怪であり、その中でも結構な力を持ってる存在らしい。いや、本人の談だからどこまで本当なのか知らないけど。
 そんなわけで戦ったりなんてしたらほぼ間違いなく負けるというかこちらが滅されるので、論外だ。ていうか、それ以前に女の子に手をあげるとか超嫌いなのでやらないけど。
「とぅー」
 ちうわけで戦いを忌避すべく、会長のしっぽをもふっと触る。
「ふひゃっ!? ち、違う、戦う、戦うと言ったのじゃ! 誰も触れとは言ってないのじゃ!」
「もふもふもふ」
「こやつ今日もワシの話を聞いておらぬ!? ええい、何を一心不乱に人のしっぽをもふもふしとるか!」
「なー会長、しっぽ触っていい?」
「聞く前にすでに触っておる! 触るどころか、顔を埋めておる!」
「会長のしっぽは触ると気持ちいいし、真っ白な毛が一本一本つやつやしてて、すごく綺麗だよね。売ったら結構な金になりそうだよね」
「こやつワシより悪魔度が高いのじゃ!?」
 妖怪より悪魔っぽいのか、俺。
「まあ、売らないけど。このしっぽは俺だけのものだから!」
「だっ、誰が貴様のものじゃ、たわけ! ワシのものに決まっておろう!」
「じゃあ会長は俺のものだ!」
「──っ!? そっ、そっ、そんなわけあるか、愚か者っ!」
 会長は顔を真っ赤にして俺をべしべし叩いた。会長は妖怪なのでその破壊力たるや泣きそうになりそうだが、しっぽをぶりゅぶりゅ振ってるので、その意味を考えると嬉しい。
「おおぅ、しっぽが右へ左へ大移動だ。捕まえにくくて困るぜ」
「だっ、だから触るでないと言っておろう!」
 会長は俺をむぎゅーっと押して、しっぽから遠ざけた。
「ふぅ……まったく。よいか? しっぽは狐にとって大切なものなのじゃ。そうやたら触ってよいものではないのじゃぞ?」
「そうなのか。じゃあ、今後は触るたびに申し訳ないと思うようにするよ」
「何の解決にもなってないのじゃ! ええい、貴様はもうワシのしっぽに触れてはならぬ!」
「やれやれ。そこまで嫌がられては仕方がない。会長のぺたーんとしたおっぱいで我慢するよ。あーあ、俺は巨乳フェチだからそんなぺったんこには興味ないんだけどなあ」
「ダメに決まっているであろう、阿呆!」
「何ィ!? 本当は貧乳フェチで、会長のおっぱいが俺の好みにジャストフィットしてるのを看破されないため、思ってもいない事を言って巧みにその胸に触ろうとしたのに、それすらも不許可と!?」
「わ、ワシの胸の大きさなどどうでもよいであろう、阿呆!」
「でもしっぽがブンブンしてるので、あながち嫌ではなかったのだね」
「わひゃ!? みっ、見るな、阿呆!」
 会長は両手で自分のしっぽを押さえつけ必死に動きを止めようとしたが、その程度では止まる気配すらなかった。
「う、うぬぬぅ……! ええい、見るな、こっちを見るなあ!」
「恥ずかしそうなだし、俺も負けじと尻でも振ろうか?」
「明らかにワシを馬鹿にしておるな、貴様!?」
「そんなつもりはないのに。まあ見て欲しくないなら、見ないよ」(ふにふに)
「だからと言ってワシの耳をふにふにするのを許可した覚えはないっ!」
 目を逸らしつつ、会長の頭から飛び出てる狐の耳をふにふにしたら怒られた。
「しょうがない。今日のところは抱っこだけで我慢するよ」
 会長を一度抱き上げ、先に俺が椅子に座り、その俺の上に会長を下ろす。
「誰がそんなものを許可した!? あっ、こら、頭をなでるな!」
「ぐーぐー」
「明らかな嘘寝息じゃっ! 人の頭をなでながら寝る奴などおらんっ!」
「小さいからかどうか知らないけど、会長は体温が高いので、冷房のよく効いたこの部屋で抱っこすると気持ちいいよね」
「知らんっ! ええい、なでるなと言ってるであろうっ! こやつの頭についてるのは飾りかや!?」
 がうがう怒りながらも、えらい勢いでしっぽを振ってる会長だった。

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【ブブゼラちなみん】

2010年06月27日
 いつものように帰宅すると、俺のベッドに巨大な何かが鎮座していた。嫌な予感しかしません。
 このまま回れ右してしばらく友人の家にお泊りでもしたいところだが、既に当の本人に見つかってしまったようで、期待に満ち溢れた目がこちらをじぃーっと見つめている。しょうがないので、とぼとぼベッドへ向かう。
「……はぁ。で、何のつもりだ」
「ぶおー、ぶおー」
「うるせえ」
 巨大なプラスチックのラッパのようなものに全身包まれているちなみをはたく。
「……痛いですよ?」
 ちなみは両手を合わせ、ちょこんと小首を傾げた。その所作だけならあら可愛い抱っこしようねとなるのだが、今のちなみは珍妙ラッパに包まれているため、何やってんだこの馬鹿という印象以外受け付けない。
「理由を問うているのです。何故にそのような珍妙な衣装に身を包んでいるのか聞いているのです」
「……タカシのような珍妙極まる人間が、他者の珍妙さを問うなんておこがましいと思わんかね」
 とりあえずちなみのほっぺをむにょーんと引っ張る。
「……むにょーん」
 チクショウ、まるで堪えてねぇ。いつもの無表情に半眼の様子で、ほっぺを引っ張られたままむにょーんとか余裕で言ってやがる。
「……今日もタカシは私をいじめる。めそめそ」
「さういう台詞は通常モードの時に言ってこそ効果があると思うます。ネタ着ぐるみ状態では何も思いません」
「……今日もちなみは可愛くねぇ、とドSのタカシは言う」
「そこまでは言ってねぇ。ていうかいうかていうかですね、なんなんだ今日の着ぐるみは」
「……ブブゼラ。ぶおー」
「ああ、アレな。サッカーの」
「……話題沸騰のアレ。……タカシも興味津々」
「実はサッカーに興味ないんだ」
 ちなみは困ったように眉を八の字にした。
「……興味、持ってください」
「そう言われても」
「……今なら、ブブゼラ吹き放題。……やったね、ラッキー」
 全く幸運と思えないのは俺の心がゆがんでいるからなのか。ていうか、人の顔をぺちぺち叩かないで。
「……というわけで、吹いて」
「吹け、と言われても……え、これ音が出るの?」
「……出る」
 とりあえず一度吹けばちなみも満足すると思ったので吹こうと思ったのだが、吹き口が見つからない。広がった部分の反対側にあると思うのだが、ラッパ部は頭にあり、その反対とは即ち尻であり、え、尻?
「……ええと。じゃあ、尻を出せ」
「……何の躊躇もなく人のお尻をまさぐろうだなんて、タカシは今日も鬼畜だ」
「酷い愚弄を受けたものだ。じゃなくて、吹き口が尻にあるんだろ?」
「……お尻から息を吹き込まれて喜ぶ性癖はないので、そこに設置してない」
「それはよかった。ていうか女の子が性癖とか言うな」
「……今日もタカシは女性に幻想を抱いている」
 うるせえ。
「……吹き口は、ここ」
 そう言ってちなみが指差したのは、ちょっとばかり問題がある箇所だった。
「……えっと、ちなみさん。間違いじゃあないですかね?」
「……全く間違ってない。……ここに口をつけて、吹き鳴らす。……ぶおーって」
 ちなみが指差した場所。そこは誰がどう見てもおっぱいだった。
「客観的に見て、非常にヤクイ光景だと思うのだけど」
「……搾乳?」
「だから、女の子がそういう台詞を言うなッ!」
「……今日もタカシの童貞パワーは健在だ」
「そろそろ泣くぞ」
「……それは、搾乳の後にどうぞ」
「だから! ……ええい、名称はまあいい。その、アレだよな? 何か笛的なものがそこからまろびでるシステムなんだよな?」
「…………。うん」
「その間は嘘の間ですよね」
「……ちなみ、嘘なんてついてないよ?」(うるうる)
「いや全くその通りで誰だこんな可愛いちなみを嘘つき扱いした奴は! とっちめてやる!」
 ちなみをむぎゅーっと抱きしめながら混乱する。今日も俺は女性の涙に弱いようです。
「……き、今日もタカシは私の嘘泣きにしてやられている。ま、まったく、簡単で困る」
「俺の気のせいでなければ、全力で顔を赤くして目を回してやいませんか、ラッパの人」
「き、気のせい。……ほ、ほら、ブブゼラなので赤くならなければならないので。……ぶおー」
 別にブブゼラ全てが赤いとは限らないと思うが。まあ、ぶおぶお言ってるので、黙っておこう。
「それで、えっと。どうすればいいのだ?」
「……え、えと。……ちょ、ちょっと待って。落ち着く。……ふぅー」
 ちなみは俺から離れると、数度深呼吸し、俺に向き直った。顔の赤さが取れている。どうにか落ち着きを取り戻したようだった。
「……じゃあ、準備する。ぽち」
「ぽち?」
 ぽちと言いながら、ちなみは胸の上部にあるボタンを押した。すると、胸の部分が開き、そこから──
「下着を付けろ!!!」
「……おおぅ」
 全力で目を逸らしながら、ちなみに指摘する。ええい、なんかピンクいのが見えちゃったじゃねえか!
「……まあ、胸がないので下着は必要ないのです。……絆創膏、貼る?」
「チクショウ、なんて心揺れる誘惑をしやがる! 上も下も貼りたい所存です!」
「わ。……よもや肯定されたうえ、下も貼りたいとは。……タカシはいつも私の予想を上回る。……すごいね?」
 嬉しくない。
「……まあ、ともかく。手で隠したので、こっち見てもだいじょぶ」
 恐る恐るちなみの方を見れば、なるほど確かに指で見てはいけない部分を隠している。
「ていうか、さっきのボタンをもっかい押して元に戻した方がいいのでは」
「……もう戻らない。開く専門ボタン」
「なんて使えないんだ」
「うるさい。……それより、ここを吹けばぶおーって鳴る。……予感?」
「そこを吹いても俺が嬉しいばかりで鳴らないと思います」
「……だいじょぶ。私も嬉しい」
 違う。そういう問題ではない。
「……まあ、さういうわけでいっちょ吸ってみてはどうか」
「吸うじゃねえ! 吹くんだろ!」
「……ちっ」
 このお嬢さん超怖え。
「……じゃあ、気を取り直して、ちゅぱちゅぱれろれろしてみてはどうか」
「もう騙す気すらねーだろ」
「……てへ?」(小首をくいっと傾げながら)
「あら可愛い」
「……褒められた」
 ちなみはほんのり頬を染めながら、ぼそりとつぶやいた。なんでそこは普通に照れるんだ。
「……ともあれ、ちゅっちゅすべし」
 むにーっと口を尖らせだしたので、その唇を指できゅっと挟む。
「…………」
 ちなみは目と眉で困ってる事を俺の訴えた。訴えが届いたので、手を離してやる。
「……今日もタカシは極悪非道だ」
「なんでやねん。ていうか、ブブゼラを鳴らすという話だったのでは。どうしてむちゅー姿勢になってるのか、理解に苦しむ」
「……タカシの見事な話術にしてやられた?」
「疑問系なので納得できません」
「……むぅ。……じゃあ、ぶおーって吹き鳴らすべし」
 そう言ってちなみは両手を下ろしたら貴方平らなおっぱいが丸見えじゃあないですか!?
「隠せ! ええい、隠せ!」
「……おおぅ」
 狼狽した俺の行動により、俺の手がちなみのおっぱいを触るという事態に陥った現在、ほのかな柔らかさに脳が支配されておりまする。
「あ。いやその、わざとじゃなくて!」
「……え、えっちだ。タカシはえっちだ」
「いやその、だから! ……はい。えっちです」
 どんな言い訳をしようが触ったことは事実だしやたら柔らかいし、素直に認める。
「……す、素直なのはいいこと。……だ、だから、鳴らしたら許してあげる」
「……ええと。まさかとは思いますか、ブブゼラを?」
「……そ、そう」
「い、いや、流石にそれは」
「……吹かないと、痴漢されたって言いふらす」
「どうか俺にブブゼラを吹かせてくださいお願いします」
 と、いうわけで。
「え、ええと。んじゃ、やるぞ?」
「……う、うん。……あ、あの。優しく、優しくすること。命令。噛むとか禁止」
「お、おう。分かってる」
 ゆっくりと、人には言えないちなみのどこかの部位に口に含み、少しばかり尖ってる箇所に舌が触れないよう注意しながらぷうぷう吹く。
「……ぶ、ぶおー。……ぶ、ぶおっ!? ……うう、タカシの息が非常にこそばゆい」
「細心の注意は払っているのですがそればっかりはどうにもこうにも! 謝る以外どうしようもないですごめんなさい!」
「……で、でも、鳴らせと言ったのは私の方。……し、しょがないので、あと100回鳴らしたら、解放してあげる」
「ええと。そりはつまり、100回ぷうぷうしなければならないということなのでしょうか?」
「……そう。……ちょっと、ふやけそうだ」
 自分の胸を見下ろすちなみに、果たして理性を保つことができるのか自問自答する俺だった。
「……と、途中でのどが渇いたら、吸ってもいい予感?」
 理性を保てず途中でのどが超渇いてしまうに1万カボス。

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【クー 勉強】

2010年06月20日
 クーが勉強を教えろと言う。
「いや、全然構わないけど、お前の方が成績良くなかったか?」
 確か、前のテストで学年一位だったような。つか、学校でも飛び抜けて頭が良かったような。天才と称される人物だったような。
「大丈夫。問題ない」
「いや、何が」
「いいから教えろ。クーに教えろ」
「は、はい」
 ずずずいっと押しきられる形で、クーに勉強を教えることになった。
「えーっと、じゃあ英語でも。不定詞の用法とか」
 ぺらぺらと英語の教科書をめくってると、クーが口を開いた。
「to+動詞の原型だな。名詞的用法、形容詞的用法、副詞的用法がある。それぞれ~すること、~するための、~するために、といった意味になるのだな?」
「…………」
「どうした? もっとクーに教えるがいい」
「……あー。えっと、じゃあ、現在完了とか」
「完了、結果、継続、経験を表すときに使うのだな。have(has)+過去分詞で表される。少々理解し難いが、よくテストに出るので頑張って覚えた方がいいのだな?」
「……あの、クー」
「なんだ? いっぱい勉強を頑張ったクーを褒めるか? いいこいいこするのか?」
「しません」
「馬鹿な!? 不可解だ……」
「そんな力いっぱい驚くことか。ていうかだな、クー。これのどこが勉強だ?」
「クーがオマエにいっぱい教わっている。どこをどう見ても勉強だ」
「俺が教えようとした事柄を、全て即座に説明されることのどこが勉強だ」
「違うのか?」
「違います」
「むぅ。まぁいい、続けろ。クーはもっとオマエに勉強を教わりたい」
「いや、だからこれは勉強でも何でもなくてだな」
「ああ、そうだ。思い出した。勉学の際は、こうした方が能率が上がるというのを以前論文で見たことがあるような気がするということにする」
 クーは突然立ち上がると、てってここちらまで歩み寄り、俺の膝の上に座った。
「うむ。これで能率は格段に向上するに違いない」
「酷すぎる言い訳はともかく、あの。クー?」
「なんだ? ……ああ、そうか。クーも同じ気持ちだ」
 何も言ってないのに、クーは俺にべそっと抱きつき、すりすりとほお擦りした。
「いやいや。いやいやいや。俺が言いたいのはだな」
「……むぅ。クーはちゅーがしたくなってしまった。するぞ?」
「ダメだ」
「不可解だ!?」
「イチイチ叫ぶな。ていうか、なんで俺の方を向いてんだ」
 勉強をするのなら、机の方を向いてなくちゃ当然できない。だというのに、クーは何を血迷ったのか俺の方を向いている。つまり、お互い抱き合った形で収まっている。
「クーはいつだってオマエを見ていたいんだ」
「それは大変にありがたい話ですが、勉強教えろって話じゃなかったっけ?」
「ああ、それはもういい。そもそもクーには不要だ。クーの成績を知らないのか?」
「俺が最初に言いましたよ」
「忘れた」
 しれっと抜かしやがりましたよ、コイツ。でこぴんしてやれ。
「にゃっ。……女の子に暴力を振るうだなんて、オマエは酷い奴だ」
 クーはおでこを押さえ、ちょっぴりうるうるしながら俺を責めた。
「クーだけの特別扱いだ」
「……むう。酷い特別だが、それでも特別という響きが、なんだかちょっぴり嬉しいぞ」
「そいつぁよござんした」
 乱暴にクーの頭をわしゃわしゃなでる。
「おお、おおお。クーはそれ好きだ。オマエになでられると、心がぽわぽわする」
「奇遇だな、俺もクーをなでるとぽわぽわする」
「うむ。一緒で嬉しい限りだ。……クーは嬉しいが、オマエも嬉しいか?」
「そうでもないよ?」
「不可解だ!?」
「だから、叫ぶなっての」
 適当言ったらまた驚かれたので、むにむにとほっぺをこねて叫ぶのを防ぐ。
「うに、うにー。……オマエはクーが理解できない初の生物だ。だから、今日も勉強と銘打ち、オマエを観察しようとしたのだが……どうしてこうなっている?」
 俺にほっぺをむにむにされながら、クーはどこか残念そうな口調で言った。
「俺に抱っこされた時点で狂ったのではないかと思います」
「やはりか。やはりオマエがキーか。うぬぬ、もっともっと観察する必要がある。だから、今日泊めろ。一緒にお風呂も入れ。寝るときも一緒だ。朝もちゅーで起こせ」
「全部お断りします」
「不可解だぞ!?」
 とてもうるさいクーだった。

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【ツンデレとマクドナルド】

2010年06月18日
 放課後、みおと一緒に帰ってると、突然ハラヘッタという台詞が飛び出した。
「そこに雑草が生えてます」
「オマエが食え」
「うっうっうっ……」
「泣きながら抜くな! 嘘に決まってんだろ!」
「なんだ。みおのことだ、無理やりにでも食わせるのかと思った」
「どんだけ悪人だと思われてんだよ……むかついたから、オマエの奢りでどっかで飯食わせろ」
「なんということでしょう」
 そんなわけで、近くのマクドナルドへやって来た。
「で、何食うんだ?」
 列に並びながら、みおに訊ねる。
「んと……てりやきバーガーとクォーターパウンダーとベーコンレタスバーガーとチキンタツタと」
「…………」
「無言で店から出ようとすんな!」
 首根っこを掴まれ、列に引き戻される。
「あのですね、みおさん。俺の財布は叩いても内容物が増えないので、そんなに買われると死に絶えるのですが」
「んなの知らねーよ、ばーか」
「…………」
「だから、無言で出ようとすんな! なんで半泣きなんだよ!」
「お金が、お金がないんです……」
「だーっ、もう! うるせーなー! わーったよ、ちょっとだけにしてやんよ。なっさけねーなー、オマエ」
 俺に情けがなかったおかげで、みおはてりやきセットだけ頼むことになった。俺はハンバーガーひとつ。
「んーで、なんでオマエはセットじゃねーんだ?」
 席で注文の品ができあがるのを待ってると、みおが疑問をぶつけてきた。
「さっきも言ったように、お金がないのです」
「びんぼーにん」
「その貧乏人にたかってるのは誰だ」
「にゃはは……まっ、気にすんな」
「にゃははと可愛い感じで誤魔化されては、気にしないに決まってるであろう!」
「ぅ……か、可愛いとか言うなっ!」
「照れ隠しに殴るのもまた。だがしかし、その打撃力は俺の予想を遥かに超えており、結果すいません助けてください!」
「イチイチ叫ぶな!」
 などと店に迷惑をかけていると、店員さんが注文の品を持ってきた。
「へへー、んじゃいただきまーす!」
「おあがりなさい」
「んがんが……んぅー♪ 久々だけど、やっぱうめーな!」
 みおは嬉しそうにハンバーガーをほうばった。女性とは程遠い口調だが、元気いっぱいで可愛いので頭とかなでたい。
「……なに人の頭なでてんだよ」
「お?」
 宿主の意向を無視したのか尊重しすぎたのかは知らないが、俺の腕が欲求だけに留まらず、実際にみおの頭をなでていた。
「おお! いやあのですね、説明するからせめてその間だけは生かしておいてくださると何かと助かります」
「なんで殺す前提なんだよ! ……んで、いつまでなでてんだ?」
 みおはハンバーガーをはぐはぐ食いながら、俺をじろーっと睨んでいた。しかし、その頭には俺の手が載っており、さらにせわしなくなでているので、結果俺になでられながらも怒ってるみお、という図式が完成しているので、持って帰りたい。
「な、何をにやにやしてんだ! ばっかじゃねえの? ……つ、つーか、ホントにいつまでなでてんだ」
「だってもぐもぐ中のみおがなんかもう新種の生物かーってくらい可愛いので、俺の腕が制御を受け付けないんですもの!」
「で、で、ですものじゃねえ、ばーか! ……え、えと、あと、……ばーか!」
 人をなじりながらも、みおはそれでも俺の腕を跳ね除けようとはしなかった。あと、頬の赤さは指摘しない方がいいのでしょうか。
「いや本当すいません今度俺の制御を受け付けない腕になったのであれば切除も視野に入れるのでどうか勘弁を」
「……とか言いながら、ちっともやめる気配ねーし」
「うーん……まあいいか。さよなら五体満足」
「一瞬で諦めんな! ……はぁ。も、もーいーよ。好きなだけなでたらいーよ。べ、別に減るもんじゃないしさ」
 みおはハンバーガーの包み紙で顔を隠そうとしながらもごもご言った。
「やったあ! あ、最初に言っとくが、なですぎて発火したらごめんな? いわゆるナデボッてやつ」
「…………」
 とても怖い目で睨まれたので、細心の注意を払ってみおの頭をなでる。震えながらもなでるのをやめない俺をどうか褒めて欲しい。
「もがもが……ごくん。ごちそーさま」
 向こうは食べ終わったようだが、俺のターンは未だ終了していない。俺はみおの頭をなで続けた。
「……うぅ」
 みおはちらちら俺を見ながら、目だけでまだかと催促した。それに気づかないフリをして、なでなでを堪能する。
「……うー。……うー!」
 両手で自分のズボンをぎゅっと握り、みおは声を出して俺を急かした。しかし、それでもなお俺は気づかないフリを続ける。
「うー! うー! うー!」
 俺の気づかないフリにいい加減怒ったのか、みおは俺の頬をつねりながらうーうー言った。しかし、そんなもので俺のなでなで欲を抑えられようか。俺はそれでもみおの頭をなで続けた。
「うーっ!」
 殴られたので、なでなで中止。
「お前……殴るのはナシだろ」
 あふれ出る鼻血を止めつつ、みおを糾弾する。
「うっさい、ばーか! いつまでなでてんだ!」
「お前が好きなだけなでてもいいと言ったではないか」
「限度があんだろ! いくらなんでもなですぎだ、ばーか!」
「こんな機会でもないと、みおの頭をなでられないので」
「う……な、なんでオレの頭をそんななでてーんだ?」
「恐らく、みおの考えてる通りかと」
 みおの顔が一気に赤くなった。
「えっ、ええっ!? なんでバレて!? あ、あのっ、違うぞ!? みおはオマエなんてちっとも!?」
「まあ本当はお前が何考えてるかなんてちっとも分からないのですがね。はっはっは」
「…………」
「おや? どうしましたみおさん? 何やらぷるぷると震えているようにお見受けしますが。そして嫌な予感がふつふつと」
「……しゅんごくさつ!」
 何か選択肢を誤ったようで、マクドナルド店内だというのにKOされたので辛い。あと、一人置いてかれるのも辛い。

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【気持ち良さそうに眠るツンデレの口からよだれが垂れていたら】

2010年06月07日
 みおが俺の家まで遊びに来て、さっきまで適当に話してたはずなんだが、気づけばなんか爆睡してる。しかもよだれ垂れてるし。
「女性としての自覚ゼロだな、こいつ……」
 ほっぺをつついてみると、うっとうしそうに手で払ってる。口元がむにむにしてて、猫みてえ。
「んに……すひゃー」
「すひゃーじゃねえ」
 などと、寝言につっこみを入れてる場合じゃない。乳でも揉みたいところだが、揉むところがない。……じゃない、ばれたら大変なことになる。主に俺の命関連が。
 そういうわけで、毛布をかけてやろう。もうすぐ夏で暑いとはいえ、うっかり風邪でも引かれたら、無理やり俺の責任にされて酷い目に遭わされそうだし。
「んに……んー」
 そんなわけで優しさたっぷり毛布をかけてやったのに、みおの奴、あろうことかその毛布で涎拭きやがった。俺の毛布が!
「んぅ……う?」
 悲しみのあまり頭を抱えてたら、ふとみおの目が開いた。
「くぁぁぁぁぁ……ん。おあよー」
 猫のように大きく身体を伸ばしながらあくびをして、みおは舌っ足らずな挨拶をした。
「おあよ、じゃねえ。人んち来て寝るな」
「んー。なんか眠くってさー。オマエんち、なーんか落ち着くんだよなあ」
「壁に貼られている美少女ポスターの群れが、みおを優しく見つめているからじゃないか?」
「こんなオタク部屋がなんで落ち着くんだろなあ……あ、コレ」
 自分にかけられた毛布をひょいとつまみ、みおは俺を見た。
「俺様が寒かろう寒かろうと毛布を夜なべして編み、かけてやったんだ。感謝しろ」
「もう夏だし。放課後に来て夜なべも何もないし。編み物できねーだろーし。……でも、まあ、アリガト」
 最後だけぽしょぽしょと、少し恥ずかしそうにみおは言った。
「んむ、存分に感謝しろ。ところでみお、お前一応女の子なんだから、寝てる最中とはいえ涎を垂らすのはどうかと」
「んなの知らねーし。寝てる間のことまで分かんねーよ」
「俺だったからなんとか自制できたが、これが普通の男だったら今頃涎を舐めに舐められまくってるぞ」
「やんねーし! 普通の男はまず舐めようって考えとかねーし! つーかオマエ、まさかとは思うけど、舐めたりしてねーだろーな?」
「…………。うん、舐めてない」
「ぜってー嘘だ! その間はなんだよ!?」
「いや、なんとなく。とまれ、嘘じゃないよ? 本当に舐めてないよ?」
「ううううう……ぜんっぜん信じらんねーし。それ、ふつーに犯罪だかんな」
 みおは俺を犯罪者的な何かを見る目つきでじとーっと見た。
「いやはや。信用ないなあ、俺」
「普段のオマエの行動を鑑みるに、当然だろ。むー……」
「そんな可愛い感じで口を尖らせられても」
「そっ、そんなつもりじゃーねよ! ばか!」
 みおは顔を赤くしながら俺の背中をばんばん叩いた。
「痛い痛いっていや本当に背骨折れそうなくらい痛いのでやめて助けてぇ!」
「イチイチ叫ぶな、ばか! ……そ、それよりだ。ホントのところはどーなんだ? お、オレのよだれ、舐めたのか?」
「だから、舐めてないっての。いくらなんでも寝てる友達の涎をこっそり舐めるほど堕ちちゃあいないつもりだ」
「そ、そか。……あの、ごめんな?」
「いいさ」
「怒ってる?」
「怒ってない」
「……なんか言葉が怒ってる」
 みおは不満げに俺を睨んだ。まったく。こいつは普段は粗野なくせに、こういうところは無駄に気を使いやがる。
「本当に怒ってないっての。お前はいつもみたく、適当に笑ってろ」
 みおの頭をわしわし混ぜくりながら、わざとぶっきらぼうに言う。
「うぅ~。なんだよ、それってオレが普段馬鹿みたいじゃねえか」
「自覚がないとは。酷い馬鹿がいたものだ」
「うっせー! オマエの方がよっぽど馬鹿じゃねーか! 今日も教師に呼び出し喰らってたろ!」
「え、あ、いやあれはその、更衣室での色々が、その……まあいいじゃん。わはははは!」
「えろやろー」
「なんて不名誉な称号を授かってしまったものだろう」
「あはははっ。……んとな、あのさ。その、ごめんな? 疑って」
「またその話か。もう怒ってないから気にするなっての」(なでなで)
「うに……で、でもさ! ……あのさ、よかったら、オレの涎、舐める?」
「みおの頭がおかしくなった」
「なってねー! ほら、アレだよ。……お詫び?」
「お詫びに涎を舐めさせる、という話を聞いたことがないのは俺だけなのだろうか」
「う、うっせー! どーすんだよ、舐めるのか、舐めねーのか!?」
「そりゃどちらがいいといえば、もちろん舐めたいです」
「や、やっぱか。えろやろーだもんな、オマエ」
「そんなえろやろーに舐められるお前は何なんだろうな」
「い、いーから早くしろ!」
「わーったよ。動くなよ」
「う、あぅ……」
 みおの顔に自分の顔を寄せる。……ぐ、なんかいい匂いが。
「ま、まだ? もーいいか?」
「まだ全然。てか、ちょっと口開けろ」
「う、うぅー」
 みおは俺の顔をちらちら見ながら、おずおず口を開いた。隙間から八重歯が覗く。
「で、涎垂らせ」
「明らかに変態の欲求だ、この変態やろー!」
「お前が舐めさせるって言ったんだろーが。ほれ、早く」
「う、うぅ……」
 恥ずかしがるばかりで、みおはちっとも垂らそうとしない。あんまりにも遅いのでれろんと口周辺を舐めてやれ。せーの、れろん。
「ふひゃっ!? なっ、なにすんだっ、ばかっ!」
「すごく痛いっ!?」
 舐めると同時にすごく痛い感じのパンチを繰り出され、壁まで吹き飛ぶ。すごく痛い。
「なっ、なっ、舐めた、舐めたろ!? オレの口!」
「いたた……いや、周辺。口はセーフ」
「う、うっせー! 絶対舐めた! べろべろーって!」
「舐めてないっての……」
「うっせー、えろやろー! もーよだれはナシ! 口舐めたんだからいーだろ!」
「やってないと言うのに、頑な奴め。しかし、仮に口を舐めたのであれば、それはもうキスではなくって?」
「へ? ……う、うぅぅぅぅ~!」
 みおの怒りゲージと羞恥ゲージが一気にMAXへ上がっていくのが傍目にも分かる。そして、俺の命が大変ピンチなのも分かる。
「……し、しゅんごくさつ!」
「お?」
 何やら滅されたようで、死ぬほど痛い。
「こ、このえろやろー! オマエなんか、オマエなんか……その、アレだぞ、許さないかんな!」
「滅されたうえ、さらに何かされるとほぼ確実に死にますがよろしいか!?」
「オマエなんか死んじまえ、ばーかばーかばーか!」
 顔を真っ赤にしながら、床に転がる俺をぺしぺし叩くみおだった。

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