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2024年11月24日
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【ブブゼラちなみん】

2010年06月27日
 いつものように帰宅すると、俺のベッドに巨大な何かが鎮座していた。嫌な予感しかしません。
 このまま回れ右してしばらく友人の家にお泊りでもしたいところだが、既に当の本人に見つかってしまったようで、期待に満ち溢れた目がこちらをじぃーっと見つめている。しょうがないので、とぼとぼベッドへ向かう。
「……はぁ。で、何のつもりだ」
「ぶおー、ぶおー」
「うるせえ」
 巨大なプラスチックのラッパのようなものに全身包まれているちなみをはたく。
「……痛いですよ?」
 ちなみは両手を合わせ、ちょこんと小首を傾げた。その所作だけならあら可愛い抱っこしようねとなるのだが、今のちなみは珍妙ラッパに包まれているため、何やってんだこの馬鹿という印象以外受け付けない。
「理由を問うているのです。何故にそのような珍妙な衣装に身を包んでいるのか聞いているのです」
「……タカシのような珍妙極まる人間が、他者の珍妙さを問うなんておこがましいと思わんかね」
 とりあえずちなみのほっぺをむにょーんと引っ張る。
「……むにょーん」
 チクショウ、まるで堪えてねぇ。いつもの無表情に半眼の様子で、ほっぺを引っ張られたままむにょーんとか余裕で言ってやがる。
「……今日もタカシは私をいじめる。めそめそ」
「さういう台詞は通常モードの時に言ってこそ効果があると思うます。ネタ着ぐるみ状態では何も思いません」
「……今日もちなみは可愛くねぇ、とドSのタカシは言う」
「そこまでは言ってねぇ。ていうかいうかていうかですね、なんなんだ今日の着ぐるみは」
「……ブブゼラ。ぶおー」
「ああ、アレな。サッカーの」
「……話題沸騰のアレ。……タカシも興味津々」
「実はサッカーに興味ないんだ」
 ちなみは困ったように眉を八の字にした。
「……興味、持ってください」
「そう言われても」
「……今なら、ブブゼラ吹き放題。……やったね、ラッキー」
 全く幸運と思えないのは俺の心がゆがんでいるからなのか。ていうか、人の顔をぺちぺち叩かないで。
「……というわけで、吹いて」
「吹け、と言われても……え、これ音が出るの?」
「……出る」
 とりあえず一度吹けばちなみも満足すると思ったので吹こうと思ったのだが、吹き口が見つからない。広がった部分の反対側にあると思うのだが、ラッパ部は頭にあり、その反対とは即ち尻であり、え、尻?
「……ええと。じゃあ、尻を出せ」
「……何の躊躇もなく人のお尻をまさぐろうだなんて、タカシは今日も鬼畜だ」
「酷い愚弄を受けたものだ。じゃなくて、吹き口が尻にあるんだろ?」
「……お尻から息を吹き込まれて喜ぶ性癖はないので、そこに設置してない」
「それはよかった。ていうか女の子が性癖とか言うな」
「……今日もタカシは女性に幻想を抱いている」
 うるせえ。
「……吹き口は、ここ」
 そう言ってちなみが指差したのは、ちょっとばかり問題がある箇所だった。
「……えっと、ちなみさん。間違いじゃあないですかね?」
「……全く間違ってない。……ここに口をつけて、吹き鳴らす。……ぶおーって」
 ちなみが指差した場所。そこは誰がどう見てもおっぱいだった。
「客観的に見て、非常にヤクイ光景だと思うのだけど」
「……搾乳?」
「だから、女の子がそういう台詞を言うなッ!」
「……今日もタカシの童貞パワーは健在だ」
「そろそろ泣くぞ」
「……それは、搾乳の後にどうぞ」
「だから! ……ええい、名称はまあいい。その、アレだよな? 何か笛的なものがそこからまろびでるシステムなんだよな?」
「…………。うん」
「その間は嘘の間ですよね」
「……ちなみ、嘘なんてついてないよ?」(うるうる)
「いや全くその通りで誰だこんな可愛いちなみを嘘つき扱いした奴は! とっちめてやる!」
 ちなみをむぎゅーっと抱きしめながら混乱する。今日も俺は女性の涙に弱いようです。
「……き、今日もタカシは私の嘘泣きにしてやられている。ま、まったく、簡単で困る」
「俺の気のせいでなければ、全力で顔を赤くして目を回してやいませんか、ラッパの人」
「き、気のせい。……ほ、ほら、ブブゼラなので赤くならなければならないので。……ぶおー」
 別にブブゼラ全てが赤いとは限らないと思うが。まあ、ぶおぶお言ってるので、黙っておこう。
「それで、えっと。どうすればいいのだ?」
「……え、えと。……ちょ、ちょっと待って。落ち着く。……ふぅー」
 ちなみは俺から離れると、数度深呼吸し、俺に向き直った。顔の赤さが取れている。どうにか落ち着きを取り戻したようだった。
「……じゃあ、準備する。ぽち」
「ぽち?」
 ぽちと言いながら、ちなみは胸の上部にあるボタンを押した。すると、胸の部分が開き、そこから──
「下着を付けろ!!!」
「……おおぅ」
 全力で目を逸らしながら、ちなみに指摘する。ええい、なんかピンクいのが見えちゃったじゃねえか!
「……まあ、胸がないので下着は必要ないのです。……絆創膏、貼る?」
「チクショウ、なんて心揺れる誘惑をしやがる! 上も下も貼りたい所存です!」
「わ。……よもや肯定されたうえ、下も貼りたいとは。……タカシはいつも私の予想を上回る。……すごいね?」
 嬉しくない。
「……まあ、ともかく。手で隠したので、こっち見てもだいじょぶ」
 恐る恐るちなみの方を見れば、なるほど確かに指で見てはいけない部分を隠している。
「ていうか、さっきのボタンをもっかい押して元に戻した方がいいのでは」
「……もう戻らない。開く専門ボタン」
「なんて使えないんだ」
「うるさい。……それより、ここを吹けばぶおーって鳴る。……予感?」
「そこを吹いても俺が嬉しいばかりで鳴らないと思います」
「……だいじょぶ。私も嬉しい」
 違う。そういう問題ではない。
「……まあ、さういうわけでいっちょ吸ってみてはどうか」
「吸うじゃねえ! 吹くんだろ!」
「……ちっ」
 このお嬢さん超怖え。
「……じゃあ、気を取り直して、ちゅぱちゅぱれろれろしてみてはどうか」
「もう騙す気すらねーだろ」
「……てへ?」(小首をくいっと傾げながら)
「あら可愛い」
「……褒められた」
 ちなみはほんのり頬を染めながら、ぼそりとつぶやいた。なんでそこは普通に照れるんだ。
「……ともあれ、ちゅっちゅすべし」
 むにーっと口を尖らせだしたので、その唇を指できゅっと挟む。
「…………」
 ちなみは目と眉で困ってる事を俺の訴えた。訴えが届いたので、手を離してやる。
「……今日もタカシは極悪非道だ」
「なんでやねん。ていうか、ブブゼラを鳴らすという話だったのでは。どうしてむちゅー姿勢になってるのか、理解に苦しむ」
「……タカシの見事な話術にしてやられた?」
「疑問系なので納得できません」
「……むぅ。……じゃあ、ぶおーって吹き鳴らすべし」
 そう言ってちなみは両手を下ろしたら貴方平らなおっぱいが丸見えじゃあないですか!?
「隠せ! ええい、隠せ!」
「……おおぅ」
 狼狽した俺の行動により、俺の手がちなみのおっぱいを触るという事態に陥った現在、ほのかな柔らかさに脳が支配されておりまする。
「あ。いやその、わざとじゃなくて!」
「……え、えっちだ。タカシはえっちだ」
「いやその、だから! ……はい。えっちです」
 どんな言い訳をしようが触ったことは事実だしやたら柔らかいし、素直に認める。
「……す、素直なのはいいこと。……だ、だから、鳴らしたら許してあげる」
「……ええと。まさかとは思いますか、ブブゼラを?」
「……そ、そう」
「い、いや、流石にそれは」
「……吹かないと、痴漢されたって言いふらす」
「どうか俺にブブゼラを吹かせてくださいお願いします」
 と、いうわけで。
「え、ええと。んじゃ、やるぞ?」
「……う、うん。……あ、あの。優しく、優しくすること。命令。噛むとか禁止」
「お、おう。分かってる」
 ゆっくりと、人には言えないちなみのどこかの部位に口に含み、少しばかり尖ってる箇所に舌が触れないよう注意しながらぷうぷう吹く。
「……ぶ、ぶおー。……ぶ、ぶおっ!? ……うう、タカシの息が非常にこそばゆい」
「細心の注意は払っているのですがそればっかりはどうにもこうにも! 謝る以外どうしようもないですごめんなさい!」
「……で、でも、鳴らせと言ったのは私の方。……し、しょがないので、あと100回鳴らしたら、解放してあげる」
「ええと。そりはつまり、100回ぷうぷうしなければならないということなのでしょうか?」
「……そう。……ちょっと、ふやけそうだ」
 自分の胸を見下ろすちなみに、果たして理性を保つことができるのか自問自答する俺だった。
「……と、途中でのどが渇いたら、吸ってもいい予感?」
 理性を保てず途中でのどが超渇いてしまうに1万カボス。

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