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2025年02月05日
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【アン 押しかけむぅ】

2011年03月31日
 家でピコピコとゲームをしてると、何の前触れもなくドアがドアー(擬音)って開いたのでどあー(悲鳴)って驚いた。
「……洒落かい?」
「そう思われるのも癪だが、結果だけ見ればそうだな」
「ははは。君は面白いね」(棒読み)
「…………。んで、何用だ、アン」
 人の家に突然押しかけてきた傍若無人なこやつはアンといい、名前からも分かるとおり外国人だ。スウェーデンだかスイスだかから来たらしいが、詳しいことはよく分からん。あそこらの地理は苦手だ。
 こいつの本来の名前はアンジェリカなんたらかんたらという、30文字以上ある超長い名前だったので、もう最初から覚えるのは諦め、短くアンと呼んでいる。
 金髪のうえ金色の瞳と、どんだけ金色が好きなんだこの娘はと思うところだが、身体のことなので実際は好きとか関係ないと思う。
「……何をしている」
 と心の中でアンのパーソナルな情報について考えてると、その当人が俺の膝の上に乗っていた。
「ああ、気にしなくていい」
「いや、気にするだろ」
「家で優雅に紅茶を飲んでいたのだけれど、どうにも据わりがよくなくてね。どうしたものかと思っていたら、君がいないことに気づいてね。こうしてわざわざ来てあげたんだ」
「頼んでねぇ」
「ああ、それから紅茶を頼む。なに、種類は問わないから安心してくれ」
「俺は執事じゃねえからそんなのを甲斐甲斐しく準備しないし、そもそもこの家に紅茶はインスタントしか存在しねぇ」
「なんだって!? そんな家が存在するのか……」
 一般庶民との格差に驚いている模様。これだから金持ちは。
「ていうか降りろ。もっさりした毛が邪魔だ」
「むぅ。君ねぇ、こんな可愛らしい女子が家に来たんだ。少しくらい喜んでも罰は当たらないと思うのだけれど」
 アンは頬を膨らませ、俺の膝の上から人の頬をむいむい引っ張った。
「ゲームしてたんです。このままではお前の頭が邪魔で画面が見えません」
「むぅ。君はゲーム>私、なのか? ……まさか、君はいわゆる二次元しか愛せない人なのか?」
「三次元も愛せます」
「なんだ。君、あまり私を驚かせるものではないぞ」
「しかし、その言い方だとまるで俺がアンを愛しているかのようですね」
「これほど愛らしい容姿をしている私だ、心奪われるのも無理ない話だろう?」
「奪われてねぇ。ていうかお前も別に俺のこと好きとかじゃねえだろ」
「と、当然だ。どうして私が君なんかに。少しばかり仲が良いからといって、調子に乗るものではない」
「そういうことだから、お帰りください。俺は引き続きゲームする」
 アンの両ワキに手を通し、膝から下ろす。そして手でドアの方を指し示す。
「むぅーっ!」
 すると、不思議なことに再び俺の頬がむぃむぃと引っ張られた。
「痛いんですよ?」
「うるさい! 人がわざわざ来てやったというのに、君ときたら喜びもせず私を邪魔者扱いして! 不愉快だ、ああ不愉快だ!」
「ああもう叫ぶな。分かった、分かったから」
 ゲーム機の電源を落とすと、俺はアンを再び膝の上に座らせ、頭をなでてなだめることにした。
「……君はいつだって私を子ども扱いしているな。頭をなでておけばそれで済むと思ってる」
「実際、落ち着いてるし」
「……君の髪をとかす技術に少しばかり感心しているだけだ。それだけだ」
「ふーん。お前以外の女性の髪触ったことないけど、うまいのか、これ」
 くしくしとアンの金色の髪を指でとかしながら訊ねる。一切指にからまることのない滑らかな髪は、触れているだけで気持ちいい。
「少なくとも、私はこの膝でまどろむ時を、どの椅子で眠るより心地良いと感じている」
「椅子扱いか、俺」
「もう少し頑張れば無機物から脱却できるかもしれないよ?」
「せめて生命を持ったものになりたいものだ」
「この本を読み終えるまで私の頭をなでているのであれば、昇進も夢ではないかもしれないよ?」
 アンは懐から小さな小説を取り出し、ページをめくった。
「めんどくせえから無機物でいいや」
「…………」(ほっぺぷくー&恨みがましい視線&半泣き)
「……有機物になるまで頑張るゼ」(なでなで)
「う、うむ。頑張るのだよ、君」
 コクコクと機械みたいに何度もうなずくと、アンは小説を読み始めるのだった。同時に、俺のいつ終わるとも知れないなでなで地獄も始まったのだった。

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【瑠璃 家の前でぼんにゃり】

2011年03月30日
 春だってのにまだまだ寒い。雪まで降ってやがる。そしてそんな中で空を見上げ、ぼやーっと突っ立ってる変な奴までいる。……ていうか知り合いだ。
「あのな、瑠璃。雪降ってんだから外でぼさーっとするな」
 肩や頭に乗ってる雪を払ってやりながら説教する。何時間ここにいたんだ。
「……ん、やあ、彰人。久しいね」
「昨日ぶりだ」
「うん。久しいね」
 何が楽しいんだか知らないが、瑠璃はニコニコと薄く笑ったまま繰り返した。
 この知り合いは現実感がどうにも希薄で、本当に現実に存在しているのか不安になることがある。そんな不安をかき消すように、瑠璃に積もってる雪を払いのける。
「久しくねえ。ていうかだな、何でまた俺んちの前でぼさーっと突っ立ってるか。普通に電話しろ」
「うーん……散歩してたらね、ここに足が向いたんだ。なんとなくだけどね、彰人が出てくるような気がしたんだよ」
「俺がふとコンビニへ行こうと思い立たなかったら、お前は一日中ここで突っ立ってる羽目になってたんだぞ?」
「でも、実際は出てきたじゃないか。これはもう運命だね?」
「そういうのは信じてません」
「彰人はリアリストだね?」
「いやいや。親方、空から女の子が! というシチュエーションを切望する程度は理想主義者だ」
「私が飛ぼうか?」
「やめてください。本当に。お前は本当にしそうだから怖い」
「あはは」
 ぽんぽんぽんと雪を払い、最後にその名の通り瑠璃色の長い髪をぐしぐしーっとなでて終了。
「はい、綺麗になりました」
「うん、ありがとうね、彰人。……うん、私は彰人に頭をなでられるの好きだな?」
「なんだその目は」
「彰人になでられるの好きだな?」
「…………」
「うーん……ネコミミとかをつけたらいいのかな?」
「つけないでいいです!」
「わ、わ、わ」
 わっしわっしと瑠璃の頭をなでる。まったく、変な奴だ。
「あはは。オタク趣味を公言しているくせに、私がそういう発言をすると彰人は照れるね?」
「客観的に己を見てるようで恥ずかしいんだよ……」
「あはは……はくちゅっ」
「なんだそれ。くしゃみか?」
「あはは。可愛らしいだろ?」
「ちょお可愛い。つか、薄着すぎだろ」
「うん、そうかい?」
 瑠璃は秋の装いといわれれば納得しそうな厚着っぷりを見せていた。見てるこっちが寒い。
「うーん。私はね、暑いとか寒いとか、そういうのはよく分からないんだよ」
「はぁ……分からなくてもいいから、この季節は厚着をしてろ」
 とりあえず、俺の着ているジャンパーを着せてやる。……うぉっ、超寒ぃ!
「うーん……気持ちは嬉しいけど、この服は私の趣味じゃないよ」
「やったんじゃねぇよっ! とりあえずそれで寒さを凌げっての!」
「やっぱりそうなんだね。彰人は優しいね?」
「俺の優しさに惚れろ」
「無理だよ」
「即答は辛いなあ」
「だって、私はもうすでに君に惚れているからね?」
 ニコニコと、嬉しそうな笑顔と一緒に瑠璃の手が俺の手に触れ、そして握られる。
「……まったく。ふらふらしているようで、お前はいつだって真っ直ぐだな」
「その分、彰人の性根が捻じ曲がりまくってるからバランスが取れてるね?」
「お前は本当に俺に惚れているのか」
「証明が欲しいのかい? 私ならいつでもいいよ? ……あ、ただ、一応これでも女子なのでね、それなりの場所を用意して欲しいというか。その、一応、初めてなもので。いや、知識はあるんだよ?」
「黙れ。いいから黙れ」
「ふぎゅっ」
 瑠璃の口唇を指で挟んで黙らせる。
「……ぷはっ。まったく、彰人は酷いね?」
「こんな悪人に惚れたことを後悔しろ」
「それだけは絶対に後悔しない自信があるけどね?」
「変な奴」
「彰人にだけは言われたくないけどね?」
「繰り返すが、お前は本当に俺が好きなのか」
「うーん……どうしてもと言うなら、ここで始めてもいいけど……初めてが屋外、というのはあまりよい記憶になりそうにないね?」
「そろそろ殴るぞ」
「彰人は酷いね?」
 まったくそう思ってない口調で、瑠璃はニコニコしながら俺の手を握るのだった。

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悠久幻想曲のマリアの話

2011年03月26日
『悠久幻想曲』という言葉を熟知している者だけがこの門をくぐることを許される。それ以外の者は……去れ! 一刻も早く立ち去れ!

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【ボクっ娘に相談したら】

2011年03月23日
 どうにも人肌が恋しい。性欲的な方向ではなく、なんか……なんというか。誰かに傍にいて欲しいというか。ええ、そりゃもちろん女性がいいです!(力強い意見)
「どしたの、馬鹿みたいにぽけーっとしちゃって。帰んないの?」
 放課後、学校で一人ぼんやりそんなことを考えてると、ひょこひょことボクっ娘が寄ってきた。
「うーむ。これも女性扱いしていいものだろうか」
「なんかちょー失礼なこと言われてるよ! ちょー女の子だよ、ちょー! どっからどー見ても女の子だろ!」
「でも、普通の女子は一人称がボクじゃないからなあ」
「そ、それはいいじゃん、別にさ。個性だよ、個性」
「あと、普通の女子は多少なりとも胸に膨らみがあると思う」
「今日もタカシは悪魔だよっ!」
 ほぼ平らな自身の胸を両手で隠し、梓は真っ赤な顔で叫んだ。
「それはそうと梓たん」
「なんだよっ! まだ馬鹿にする気かよっ!」
「いや、事実を指摘しただけで、今日はまだ馬鹿にしてない」
「これで!?」
「今日はこれからお暇ですか? 暇なら俺と遊びませんか?」
「ここまで馬鹿にされてどーして遊ぶなんて思うんだよ! タカシ頭おかしいよ!」
「なんかお前と一緒にいたかったんだが……そっか。残念だな」
 ぴたり、と梓の動きが止まった。いたわしげな表情になってる。しまった。
「……どったの? なんかあったの?」
「何もないです」
「どしてこっち見ないの?」
「前世からの因縁でボクっ娘を見ると石化するんだ」
「さっきまでがっつり見てただろっ! いーからこっち見ろ!」
 ぐいっと顔を持たれ、視線をぶつけられる。まっすぐな視線に耐えられず、視線を逸らす。
「あーっ! 目逸らした!」
「うひゃひゃひゃ。にらめっこ弱いんだ」
「そんなのしてないっ! ……ね、なんかあったの? ボクでよかったら、相談に乗るよ?」
 ……あー。まあいっか。こいつにこんな顔させるより、素直に言った方がマシか。
「ただ人肌恋しいだけだが、そういうことならこいつを騙してえろいことしよう。ええと、女体に触れていないとバナナになっちゃう奇病にかかっちゃったんだ。だから乳を触らせろ」
「もっと騙す努力をしろっ! なんだよ、バナナ病って!」
 もっともな話だ。
「……でも、そっか。辛いことがあったんじゃなくて、ただ寂しくなっちゃっただけなんだね。へへっ、タカシの寂しんぼ♪」
 やたら嬉しそうに人の頬をむいむい引っ張るボクっ娘。だから言いたくなかったんだ。
「じゃ、じゃ、どうする? ボクの家に来る? それともタカシの家?」
「ラブホ」
「えっちなことなんてするわけないだろっ、ばかっ!」
「うぐぐ、バナナ病が進行して全身が甘味になる」
「嘘病気はいいのっ! もー、ボクの家ね! けってい!」
「ぶーぶー」
「ぶーいんぐ禁止!」
 さういうわけで、ボクっ娘の家に一緒に向かうと着いたのでボクっ娘の部屋へ侵入。
「あっ、こら! 勝手に入るなよ!」
「大好きな人の部屋に入れる喜びのために我を忘れちゃったんだ」
「え……えええええっ!? タカシってボクのこと好きなの!? はわ、はわわわわ!?」
「ぐぅぐぅ」
「そうじゃないかと思ったけど、やっぱりボクの話聞かずに人のベッドでぐっすり!?」
「あー、そだ、梓。さっきのはわわ言語をもっかいお願い。ああいう萌え言語は俺の大好物なので大変安らぐのです」
「好きこのんで言ってるわけじゃないよっ! びっくりしたらつい出ちゃっただけだよ!」
「さすがは梓、生まれついての萌えキャラだな。お前が友人でよかったよ」
「萌えキャラなんかじゃないよっ! もー、ボクのことからかってばっかでさ」
 梓はベッドに腰掛けると、寝転ぶ俺の頭を優しくなでた。
「……それで、どう? ちょっとは寂しいのどっか行っちゃった?」
「お前と話してるそんなの思う余裕ねーよ」
「そか……へへっ、そっか♪ ほんとー、タカシはボクにおんぶに抱っこだね♪」
「分かった。いずれ分身の術を会得し、いつかお前におんぶと抱っこを同時に試行する」
「別に物理的にやれって言ってるんじゃないよっ!」
「なんだ、紛らわしい」
「どこをどうとったらそう思うんだよ……まったく、変な奴だよね、タカシって」
 梓はやたら嬉しそうに俺の頭をぐしぐしなでている。
「どした。妙に嬉しそうだけど」
「ボクだけだもんね、タカシのこーゆー性格知ってるの」
「いや、みんな俺の性格が破綻してることくらい知ってるぞ」
「自分で言ってどうすんだよ……じゃなくて、実は寂しがりやなとこだよ♪」
「ぐぅ」
「ぐぅの音を出した!?」
「ていうか勘弁してください。じゃないとお前を犯して殺して埋めて掘り起こしてまた埋める」
「予想以上に怖い!? ていうか最後になんで掘り起こして埋めてるの?」
 思ったより梓は冷静だった。
「気にするな。それよりもふもふさせろ」
「もふもふ?」
「このような感じです」
 梓を後ろから抱きしめ、犬っぽい毛質の髪に顔をつっこむ。
「わ、わ!」
「うーん、犬っぽい」
「女性に対してなんて発言!?」
「でもまあ、実に梓的ですね」
「うぅー……褒められてるのか、けなされてるのか分かんないよ」
「当然けなしてる」
「今日もタカシは悪魔だよ!」
 そんな感じでもふもふしてたら、だいぶ落ち着いてきた。
「ふむ。お前のもふもふぱぅわーのおかげで俺の心も平静を取り戻したようだ。感謝する、梓」
「なんだかわんわんをあてがっても一緒の結果になりそうで、女心がずたずただよ……」
「いや、同時にお前の香りに興奮もしてるから安心しろ」
「そっ、そういうことを真顔で堂々と言うなっ、ばかっ!」
 怒りながらも、ちょっと照れてる梓だった。

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【看病 クロワッサン 謳歌】

2011年03月20日
 季節の変わり目にやられ、風邪をひいてしまった。たいした事はないと思うのだが、大事をとって休んでたら悪魔襲来。
「……馬鹿は風邪をひかないというのに、タカシは風邪を引いたと言い張る。……そこまでして私に看病してほしいのかと思うと、正直うんざりする」
 勝手にやって来て難癖をつけつつ、ちなみが寝てる俺の頬をむいむいと引っ張る。
「一切頼んでねえ」
「……でもまあ、優しい優しい私は看病してやるので一生感謝しろ」
「なんて押しつけがましさだ」
「……とりあえず、買ってきた見舞いの品を食べろ」
 ちなみは持ってきた学生鞄の中から、紙袋を取り出した。……明らかにパン屋の包みだ。
「あの。一応病人なんで、パンとかは避けていただけると幸いです」
「……だいじょぶ。これは、タカシの大好物。私の気遣いに思わず惚れてしまうだろうけど、とても迷惑なのでやめろ」
 常に勝手なことを言いながら、ちなみは紙袋から目的の品を取り出した。
「……はい、クロワッサン。焼き立てだから、おいしいこと請け合い」
「え? いや、それは俺の好物ではないぞ?」
「……?」
「俺の好物はクリームパンだ」
「……でも、この間一緒にご飯食べた時、これ食べてたよ?」
「あの時は売り切れてて、しょうがなしに買ったんだ」
「……でも、おいしそうに食べてたよ?」
「パンは大体なんでも好きなんだ」
「……じゃあいいじゃん」(ほっぺぷくー)
「そう怒るな。どっちにしろ、病気の時にこんなの食えやしねえよ」
 膨れたほっぺを指でむにむに押しながら、ちなみをなだめる。
「ぷしー。……まあ、無理矢理食べさせて吐かれても気持ち悪いし。……はい、本命」
「お、ポカリ」
「……水分補給は大事。……これを飲まないと、明日ミイラ化した死体がこのベッドで見つかること請け合い」
「ここはどこの砂漠だ」
「……タカシ砂漠。迷い込んだら最後、奇妙極まる着ぐるみを着せられるという地獄のような砂漠。……まぐまぐ」
「いやそりゃちなみ砂漠だろってお前何を普通にクロワッサンを食ってるか」
「……おいしいよ?」(小首をこてりと傾げながら)
「あら可愛い。じゃなくて! 一応そりゃ俺の見舞いだろ?」
「……食べたら吐いちゃうようなものを、意地汚くもタカシはよこせと言う。それとも、私との間接キスが目的なのだろうか。汚らわしいと断言できる」
「少なくとも間接キス目的ではないです」
「…………」(不満げ)
「睨むな。……あー、なんかお前と話してたら疲れた」
「……貧乳と会話すると体力を吸い取られる、とタカシは言う」
「言ってねえ。あー悪い、ちょっと寝るわ」
「……そか。じゃ」
「おおぉおお!?」
 クロワッサンを机の上に置いたと思ったら、なんかちなみがちなみが俺の布団にもそもそって入ってきたよ!?
「い、一体何がこの世界に起きているのか説明していただきたい!」
「……間近でタカシが苦しみもだえ死ぬところを見て、自分の健康を謳歌したい」
「いや、ただの風邪なので死にません」
 酷い発言に一瞬で冷静になった。
「…………」(不満げ)
「だから、睨むな」
「……しょがない。じゃあ、おやすみ」
「いや、おやすみじゃなくて。何を人の布団で寝ようとしてるか」
「……じゃあ、今からこの布団は私の布団」
「所有権の話ではなくて!」
「……むぅ、寒い」
「抱きつかないで!」
「……貧乳に抱きつかれても肋骨がゴリゴリ当たるばかりでちっとも嬉しくない、とタカシは言う」
「いや俺は貧乳とか超好きだからそれは別にいいんだけど」
「……しまった、罠だった。このままでは貧乳好きの変態にちゅーとかされてしまう」
「しません」
「…………」(超不満げ)
「だから、睨むなっての」
 布団の中でじろーっと睨まれ続け、大変居心地が悪かったです。

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