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2025年02月03日
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【ツンデレに相談したら】

2012年12月16日
「なんか最近大きいおっぱいが好きなんですが病気なんですかね?」
「…………」
 学校への道すがら、軽く話しかけただけなのに、みおが俺のことをさげすむような目で見てきます。
「や、そういう視線で興奮できるスキルがあるのでありがたいですが、今はそういうサービスはいいので、俺の相談に乗ってはくれまいか」
「んなつもりねーよ! きめーって思ってんだよ! 寄んな変態っ!」
「いやはや。それで、どうなんでしょう。治るんでしょうか」
「知んねーよ。まー、オレとしちゃ好都合だし」
「? ……ああ! みおはおっぱいが大変に小さいからなあ!」
 周囲にがおーって感じで吠え猛るように叫んだら、ものすごい勢いでしばかれた。
「殴らないでください」
「何叫んでんだよ何叫んでんだよ何叫んでんだよッ!?」
「大事なことなので二回どころか三回言いましたか。叫んだ内容はみおの胸部に収まる脂肪容量について少し」
「なんで叫ぶんだよっ!?」
 俺をがっくんがっくん揺さぶりながら、半泣きで訴えるみお。かーわいい。かーわいい。
「ちっぱいの素晴らしさを俺だけが愛でるのも申し訳なく思って、そして、貧乳の友を一人でも増やすための啓蒙活動のひとつでもある」
「オメーはおっきいのが好きになったんだろっ!?」
「ああ。そういやそうだ。ただみおの恥を撒き散らすだけに終わったね。まあ、他人事だし、いっか!」
「いくねー! んで酷すぎだっ! オメー絶対ろくな死に方できねーかんなっ!」
「まあ畳の上で死ねるとは思ってませんがね。でも昨今は大体病院で死ぬので誰しもがそうなのではないでしょうか? では俺の覚悟とはなんなのだ。畳の上で死ぬ覚悟より畳の上で水練でもした方がカロリーを消費できてマシなのだろうか」
「知るかっ! あとオメー泳げるから練習しても意味ねーしっ!」
「そうだっけ? プール入ったの半年前だからよく覚えてないよ」
「オメー、ある意味すげーな……」
「ただ、みおのスク水姿は今でもまぶたを閉じれば克明に思い出せる。……そう、思い出せるッ!」カッ
「うっせーっ! ……て、ていうか、オメーは大きいのが好きなんじゃねーのか。オレの、その、そーゆー姿思い出しても、しょーがねーんじゃねーのか?」
「む? ……ふむ」
 試しに目を閉じ、みおのスク水姿を思い浮かべる。今までに何度となく繰り返した行為だ、容易くできる。
 そうして浮かんだ像は、果たして目の前にじっさいにいるかと錯覚するほどの出来栄えだと自負できるものだった。作り上げた俺ですら惚れ惚れする。
 ぴたりと肌に張り付いた生地、水に濡れるナイロンの色、二の腕と肩の境目に現れる日焼けの境界線、そして楽しげに水と戯れるみお。の胸元のぺたんこ加減。
「……perfectだ」ニヤニヤ
「うわぁ」
「よかった……よかった! 俺は今でもちゃんと貧乳者だ! ただ、ストライクゾーンが増えただけなんだ。俺はここにいてもいいんだ!」
「いくねー。出てけ」
「俺も宇宙船地球号の一員なので、嫌です」
「はぁぁ……結局一緒かよ。いや、それどころか変態度が上がっただけか。最悪だな」
「ありがたうありがたう。これでも本気で悩んでたんだ。これでこれからもみおのおっぱいを……いや、なんでもない」
「んなわけねーっ! ちょーヤバげなこと言いかけてたろっ! なんだよ、オレのお……む、胸がどしたんだよっ!」
「おっぱい、って言ってくれたら言う」
「お……」
 みおは顔を赤くして停止した。これくらいで照れなくてもいいと思うのだが、そこもまた魅力なので言わない。
「言いにくいのであれば、『あのね……みおのおっぱいをもみもみして、おっきくしてくれる?』とロリロリな感じで言うのでも構わない。いや、そっちの方がいい。是非そっちで。言って。言ってくれ。いくら出せば言ってくれる? 録音は別料金か? 有り金全部で足りるか?」
「もうどっからつっこみゃいいのかわかんねーよっ!」
「さて、妄言に満足したので今まで通りみおのおっぱいを観察していよう」
「にゅ? ……あ、それかっ! つか、見んな変態ッ!」
「ああっ! さっきの『にゅ』って台詞が大変に可愛かったのに録音しなかった! ええい、どうして準備をしておかなかった! 自分の迂闊さが恨めしい! ええい!」
「……ふふん。にゅー。にゅー」
「ああ! 待って待って今ケータイ出すから待って!」ワタワタ
「にゅーにゅーにゅー♪」
「待ってああ可愛い可愛すぎて手が震えてうまく鞄を探れないああ、あああ」
「にゅー。にゅあー。にゅー」
 みおは調子に乗って俺の周囲をクルクル回りながら、節をつけてにゅーにゅー言いまくった。それに混じって、理性のタガが壊れる音が聞こえた。
「ああもういいや」ナデナデ
「ぬあっ!? な、なでるなっ!」
「度を越した挑発の罰だ。甘んじてなでられるがよい。断った場合、俺は妖怪なで男と成り果て周辺の女性をなでまくり、数刻後には警察官に囲まれていること請け合いなので断らないでくださいお願いします」ナデナデ
「罰なのに最終的にはお願いしてんじゃねーか……はぁ、まーいーよ、オレも挑発しすぎたもんな。……だ、だからなでられてもしょがないもんな。……だ、だよな?」
「何の確認ですか」
「い、いーんならいーんだよっ! ほ、ほらっ、手が止まってんぞ!」
「なでられたいのですか」
「ん、んわけねーから! 絶対にねーから! 誰がオメーなんかに!」
「そりゃそうだ。はっはっは」
「…………。ふんっ!」
「痛いっ!?」
 どういうわけか全力で足を踏まれた。
「あの、みおさん」
「ふんっ。知るか。オレの勝手だ」グリグリ
「いやはや。痛いです」ナデナデ
「とか言いながら怒りもせずにオレの頭なでてるし。ばかじゃねーの」
「んーむ。怒るよりなでる方が楽しいと思いませんか?」ナデナデ
「……うー。今日もばか」
 みおは困ったように俺を見上げたまま、なでられてた。

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【ツンデレの家で便所を借りたら】

2012年12月09日
 昨今の寒さときたら、便座の冷たさのあまり便所に行くのをためらうほどだ。
「その点お前の家のトイレはいいな。いつでもいつだって便座が温かい。ただ夏場が大変そうで可哀想に思います」
「……今日も馬鹿なんだね。がんばれ、がんばれ」ナデナデ
 憐憫に満ちた瞳の友人に冒頭から頭をなでられる俺です。コンチクショウ。
「冗談に決まっとろーが」
「……なんだ。タカシのことだ、その程度の知能指数しかないと思ったのに。……タカシにはがっかりだ」ムー
「なぜ俺が失望されなければならない」
「……ところで、便所を借りに来ただけなのか。もしそうなら大変に迷惑なので二度と来るな」
「この娘さんは酷いことを言うね。遊びに来たら尿意をもよおしただけだよ」
「……うら若い娘の前で尿意とか、もうそういうプレイをする前フリとしか思えない」
「さすがに童貞の身で聖水プレイはハードルが高すぎます」
「……やーい童貞。ばーかばーか」
「繰り返すが、この娘さんは酷いことを言うものだ」
 言われっぱなしも悔しいので、ちなみのほっぺを引っ張って溜飲を下げる。
「……で、遊びって何するの」
「ほっぺを引っ張られてるんだから、何らかの反応がほしいところですね」
「……痛い、でもお兄ちゃんのくれた痛みだから、嬉しい」
「何の話ですかっ!?」
「……いざという時、なんかそういうこと言った方が喜びそうなので、練習」
「しなくていいです」
 否定の意を込めてちなみの頭をぐしぐしなでる。
「……分かった。呼称を『にぃにぃ』に変更する」
「何も分かっちゃいない、ということは理解した」
 褒めてない。胸を張るな。えっへんじゃねえ。
「はぁ……。あと、お兄ちゃんじゃねえ。いや勿論そう呼ばれることに異論はないというかその!」
「……これはびっくり。タカシが相手とか100回生まれ変わってもありえないのに、当然自分が相手と思い込んだ台詞が飛び出した」
「これが101回の生まれ変わりなので、可能性はあるな」
「…………。そういう返しがぽんっと出てくるのは、ちょっとすごいと思う」
「そ、そうかなぁデヘヘうへへへイヒヒヒヒ」
「ただ、そのあとの酷い顔にはただただ残念だ」ションボリ
「全くだ……」ションボリ
「……まあいい。101回めの生まれ変わりなら仕方ないので、する?」
「いいのっ!? 口からでまかせが得意でよかった!」
「……当然、嘘だが」
「おや、まあ」
「……んじゃ、何しよっか。ゲームでもする? それともトランプとか?」
「じゃあトランプマンのものまねするから、トランプ貸して」
「……ゲームしよう」
「びっくりするくらいクオリティーの低いものまねだったので、正直助かった」
 そんなわけで、ゲーム機のセッティング。なのだが。
「いつになったらこの家にSFC以外のハードが現れるのだ」
「……お母さんが昔使ってたのをもらったから、新しいのは現れない予感」
「なるほど。それなら大事に使わないとな」
「…………。……ん」
 何やら嬉しそうに小さく微笑んで、ちなみはコクコクうなずいた。
「どしました」
「……ん、別に。……んふふ」
「だから、どしたっての」
「……んんん。なんでもない。……ただ、私の眼に間違いはなかったな、と再認識しただけ」
「?」
「いいの。……あ、そだ。……晩ご飯、食べてく?」
「いや、流石にそこまで甘えるつもりはないから遠慮しとく」
「……残念、もうお母さんはスーパーに買物に出かけた。……タカシがいなければ、大量の食材は消費しきれず廃棄される運命にある」
「晩飯食うと、なんか泊まる運びになるからなあ……」
「……こほん。『痛い、でもにぃにぃのくれた痛みだから、嬉しい』」
「するな。練習をするな」
「……ま、いい。……とにかく、そゆことなので、晩ご飯は食べて行け」
 そゆことらしい。

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【ツンデレと一緒に登校したら】

2012年12月04日
 最近寒いので登校がかったるい。
「うーむ。どうにかなりませンかねェ?」
「知らないわよ馬鹿。イチイチそんなことあたしに言うな馬鹿。寄るな馬鹿」
 などと、朝っぱら酷い罵声を浴びせてくるかなみさん。
「俺の名は馬鹿ではないです」
「うっさい。アンタなんて馬鹿で充分よ、馬鹿」
「酷い話だ。うー……にしても、ホント寒いな」
 ポケットに手をつっこんでいるものの、防寒具としての効果はほぼないと言っていいだろう。明日から手袋でも持ってくるか、と思ってると、不意にかなみがこちらをじぃーっと見ていることに気づいた。
「どしました?」
「べっつにぃー。ポケットに手つっこんで背中まるめて、カッコ悪いなーって思っただけー」
「つまり平時はかっこいんですねウヘヘヘヘ」
「そうなの?」
「……そう言い切れるほどの自信はないです。チクショウ」
「あははっ。弱いわねー」
 かなみは楽しそうにケラケラ笑いながら俺の頭をぽむぽむ叩いた。チクショウ。
「ほら、いーから背中伸ばしなさい。それくらいしかアンタの取り柄なんてないんだから」
「姿勢がいい、ってだけじゃ流石に履歴書の特技欄を埋めるのは難しそうだな」
「後は……そうね、大言壮語しがち?」
「意味は分からんが、嫌な予感はする」
「できそうにもないことや威勢のいいことを言うこと、おおぼらふきって意味よ」
「なるほどコンチクショウ」
「あははっ。ぶすーってして馬鹿みたい。ばーかばーか」
 またしても楽しげに人の頭をぽむぽむしやがる。失礼な奴め。
「あー朝から面白。アンタ将来道化師にでもなんなさいよ」
「せめてお笑い芸人とかって言ってくれません?」
「あー、それは無理ね。頭の回転が早くないと無理だもん。それに、アンタには道化の方がお似合いよ」
「チクショウ、こうなったら外国のピエロの専門学校に行ってビッグになってやる……!」
「えっ、ちょ、ちょっと。冗談よね?」
 突然かなみが焦ったように俺の腕をくいくい引っ張りながらそう言った。いきなりどうしたんだろうか。
「え、そりゃ、まあ」
「そ、そうよね。分かってたけどね。焦ってなんてないけどね」
「…………」
「……な、何よ。別にアンタがどこに行こうが知ったことじゃないわよ!」
「何も言ってません」
「うるさいうるさいうるさいっ!」
「あ、うるちゃいの方がロリっぽくて好みです!」
「ドやかましいッ!」
 超怒られた。
「いやはや。まー日本語しか使えないので外国に行く予定は今のところないです。なので安心しろ、ってのも変な話だがな。はっはっは」
「……べ、別に心配とかしてないし。むしろアンタがいない方がせーせーするし」
「ふむン。悲しいですね」
「……うー」
 なにやら唸られながら睨まれた。
「なんでせうか」
「……別に」
「むぅ。あまりそんな感じはしないのだけど。アレですか、見当違いなことを言って不快にさせましたか。だとしたらごめんね」
「……ふん。今日も馬鹿」ギュッ
「えっ」
 かなみは俺のポケットに手を突っ込むと、既に中にあった俺の手をギュッと握った。
「あの、これは」
「さ、寒いから。寒いから近くのポケットに手入れたの。女子の制服にはポケットないから」
 こっちを一切見ずに、かなみは一気にまくしたてた。
「ものすごい説明力ですね。あと俺の手ぎああああ」
 何やら俺のポケット内で異変があった模様。突如かなみの手が万力に変化し、俺の手をギリギリとしめつけている。
「何か、言った?」
 ギロリ、と殺し屋と見まごうばかりの目で俺をにらみつけるかなみ。超怖え。だが、言うべきことだけは言っておかねば。
「かなみと手をつなげて嬉しいなあ、と言った」
「~~~~~!///」ペシペシ
「痛い痛い」
 俺をぺしぺし叩きつつも、決して手を離そうとしないかなみと一緒に登校しました。

拍手[38回]

【沙夜 prpr】

2012年11月12日
 部屋で寝転んで漫画を読んでると、幼馴染の沙夜が音もなく部屋にやってきて、俺と漫画の隙間に収まった。
「何をしている」
「?」
「いや、?ではなくて」
「……!」
「うむ、分かってくれたようだな」
「…………」(ぺろぺろ)
 分かっていなかった様子。
「舐めるな。人の顔を舐めるな」
「…………」(ドヤ顔)
「褒めてねえ」
 何やらショックを受けてる様子。がーんじゃねえ。
「はぁ……。まあいいや」(なでなで)
「♪」(嬉しい)
 なでられて満足したのか、沙夜は俺の隣に寝転んで一緒に漫画を読み始めた。
「?」
「ん、ああ。前から持ってる漫画だ。最近金なくて新刊が買えなくてなあ」
「……?」
「ああ、いやいや。貸してもらうほど困ってはないから大丈夫だ」(なでなで)
「…………」(ぺろぺろ)
「顔を舐めるのはお返しにならないです」
 沙夜は残念そうな顔をした。
「ところで、何か用か?」
 ぷるぷるぷる。沙夜の顔が横に振られる。その拍子に沙夜の髪が俺の顔にびしばし当たって痛い。
「……♪」
 何が楽しいのか知らないが、さらにぷるぷる首を横に振って俺の顔に髪を当てまくる沙夜。
「痛いです」
「…………」コクコク
「やめれ」
 ぷるぷる、という否定の動作でさらに俺に攻撃を加える沙夜。
「ぷるぷるじゃねえ」
 チョップで沙夜の動きを止める。
「…………」ムー
 沙夜は両手で頭を押さえると、不満げな顔で俺を見た。
「怒るねい」(なでなで)
「……♪」
 なでたら機嫌直った。沙夜さんちょお簡単。
「……ふむ。ていっ」(チョップ)
「……!」
 ちょっとした実験を思いついたので、も一度チョップしてみる。案の定、沙夜が怒った。
「そして、こうだ!」(なでなで)
 続けざまに沙夜の頭をなでる。連続なら、機嫌はどうなるか。
「……! ……!」
 実験失敗。沙夜の機嫌は直っていなかった。
「なるほど。委細承知しました。叩いたりしてごめんな、沙夜」(なでなで)
「…………」ムフー
 分かればいい、とばかりに沙夜は大きく鼻息を漏らした。
「鼻息が綺麗に全部かかった」
「…………///」
 さすがに恥ずかしかったのか、沙夜の顔が赤く灯る。
「…………」(ぺろぺろ)
 そして誤魔化すように俺の顔を舐める沙夜。
「いや、それは誤魔化しにならないかと」
「…………」(ぺろぺろぺろ)
 舐める量が増えた。そういうことじゃない。
「熱意は伝わったが、誤魔化されていないぞ。あと、舐められすぎて顔がべっとべとなんだが」
「…………。……!」
 何事か考えた後、沙夜は自分の顔をくいくいと指した。
「んん?」
「…………」クイクイ
「ふぅむ。……まさか、いや、まさかだな」
 ひとつの考えが脳裏をよぎるが、流石にそれはないと流す。
「…………」(ぺろぺろ)
 だが、沙夜が俺の頬を舐めて、それから自分の顔を指したことから、やはりその結論に行き着く。
「……あー、違ったら悪いが、その、沙夜の顔も舐めてバランスを取れ、って言いたいのか?」
「…………」コクコクコク
 なるほど。沙夜は馬鹿に違いない。
「…………。ええと、ほっぺにな」
 だが、俺も馬鹿なので断らない。ていうか、俺も沙夜をぺろぺろしたい。
「…………」
「口に、じゃねえ。ほっぺだ、ほっぺ」
「…………」ムー
 膨れだしたほっぺをめろりと舐める。やーらかい。
「…………」(ぺろぺろぺろ)
 すると、俺が舐めた量の三倍くらい舐められ返された。
「どういうことだ」
「…………」
「嬉しくなって、つい? なるほど。だが嬉しいのは沙夜だけではないぞ!」
 逆襲の俺が登場。ぺろぺろと沙夜の顔を舐める。ちょっとした妖怪といっても過言ではあるまい。
「……!」(ぺろぺろぺろ)
 対抗心が芽生えたのか、沙夜も俺を舐めだした。ここに妖怪が二体います。
「ええい、負けるか!」(ぺろぺろ)
「……!」(ぺろぺろぺろ)
「ふべべべ。俺の負けです」
 もう俺なんだか沙夜の涎なんだか分からない存在になってしまったので、潔く白旗を挙げる。
「♪」(ぺろぺろ)
「いや、あの。負けたのだからもう舐める必要はないかと」
「…………」
「え、勝負とか関係なく単に舐めたいだけ? 俺の顔から何か甘い分泌液でも出ているのか」
 それなら奇病にかかっているので病院に行かなければならないが、ふるふると沙夜の首が横に振られたので一安心。
「…………」
「俺を舐めるのが好き? ほほう。ちなみに俺も好きだぞ」
「…………///」
 何か勘違いしたのか、沙夜の顔がゆっくり赤くなっていく。
「……♪♪♪」(スリスリ)
 そしてゴキゲンな蝶になって俺にスリスリしだした。
「負けるか!」(スリスリ)
 対抗意識が無駄に刺激され、沙夜にスリスリし返す。
「いかん! このままスリスリし続けたら、互いの肌をこすり合わせすぎ、もみじおろしになる未来しかない!」
「……!」
 沙夜が泣きそうになった。なんで信じる。
「が、幸いにして沙夜の肌は柔らかくてすべすべしてるので大丈夫っぽい」
「……!」プンプン
 騙されたことに気づいたのか、ようやっと沙夜が怒った。
「そう怒るねい」(ふにふに)
「……♪」
 ほっぺをふにふにしたら機嫌が直った。相変わらず沙夜の機嫌修復機能は優れている。
 といった感じで、なでたり怒らせたり舐められたりしたら夜になったので一緒に寝た。

拍手[16回]

【ツンデレに理想郷について話したら】

2012年11月10日
 こんなにネコミミが好きなのに、この世界ときたら女の子にネコミミを生やしやがらねえ。
「おかしいと思いませんか!?」プンスカ
「……思う」
「よもや賛同を得られるとは! よし、一緒に神を成敗しにいこうではないか、ちなみ!」
「……ただ、まあ、タカシがおかしいのはいつものことなので、殊更言う必要もない気もする」
「いや、俺の頭の話ではなくて、この世界のコトワリをね。ちなみに、俺の頭はおかしくない」
「……名前を呼ばれた。本当にタカシは私が好きで好きで困る。迷惑なので自殺しろ」
「呼んでねえ。『前に述べた事柄に、あとから簡単な補足などを付け加えるときに用いる。ついでに言うと、という意味合い』のちなみに、という言葉を使っただけです。あと、自殺はしたくないです」
「……また呼ばれた。そして自殺はしろ」
「嫌だっての」
 ちなみの眉間をむぎゅーっと押して断りをいれる。
「……そこでもいいけど、もうちょっと眉寄りのトコ押したら、もっと眼精疲労が取れるのに。これだからタカシは使えない」
「お仕置きで疲労を取ろうとするな」
 とはいえ、一応眉頭の周辺を押してやる。
「む。ちなみ、押しにくいのでちょっと顔を上向きにして」
「むっ。……人の身体を小さいと申すか」
「申すのです」
「……申されては仕方ない」
 顔が上向きになったので、両手の親指でくいくいとちなみの眉をマッサージする。
「んー。んぅ。んー」
「うるさい」
「……気持ちよさのアピール中なのに。タカシにはがっかりだ」
「がっかり。……そう思いだした、がっかり世界だ! ネコミミの話をしてたのに、どうしてちなみのマッサージをしているのか! こんなことしてる場合じゃない!」
「……うーん。顔のマッサージのあとは、おっぱいのマッサージをしないと。誰かしてくれないかなあ」
「あっ! 丁度俺なんか上手だと思いますよ! なんか嫌な予感がしますが全力で気にしないことにします!」
 元気よくハイと手を上げて立候補する。
「……じゃあ、頑張れ」
「ハイ!」
 そんなわけで、くいくいくいとちなみの顔をマッサージする。
「んー。結構上手だね、タカシ」
「金取れそうなレヴェルか?」
「……唇の下っかわを噛んで発音しているので、お金は取れない」
「抜かった! こんなところで帰国子女の弊害が出ようとは……!」
「……この国から出たことないくせに」
「アイ ドント ハブ ア パスポゥト」
「発音がカタカナ。……ん。もーいーよ」
「しまった、マッサージに夢中になるあまりかくれんぼをしていたことに気づかなかった! これでは即座に捕まってしまう!」
「……もーいーよ、という響きからかくれんぼだと連想、思うがままに言ったと推測」
「当たり」(なでなで)
「…………」(ちょっと嬉しい)
「それで、お、お、お、おっぱいマッサージの話ですが!」
「?」
「おっぱい! おっぱいマッサージですよ! ほら、よく知らないけど大きくするために揉んだりするんでしょう!? ありえないですよね! 揉みたいから言いませんが! だけどまあ、ありえないですよね!」
「……本当にタカシはロリコンなんだなあ。ちなみ」
「みつを、みたいに言うな」(なでなで)
「ふふん。……まあ、なんだ。おっぱいマッサージとか、させるわけない」
「ですよねー。分かってたんです。本当に分かってたんです。だけど、一縷の望みに託したんです」
「ふははははー。ばーか」ペシペシ
 高らかに笑いながら人の頭をぺしぺしするちなみ。こっそり背伸びしてるが、気づかないフリをしてあげるのがマナーです。
「ええい。でもまあ、ちなみの顔をむいむいするのもそう悪くなかったので、まあいいや」
「むっ。……そこは、私に怒ってくれないと、困る」
 言葉通り、さっき俺がマッサージしてたちなみの眉が困ったように八の字を描いた。
「困られても困る。そもそも怒るの嫌いなんです」
「ばーかばーかばーか。……怒った?」(くりっと小首を傾げつつ)
「あまり」(なでなで)
 ちなみの顔がますます困っていく。可愛い。
「……ううううう。……怒れ。おーこーれ」ペシペシ
 両手を振り上げ、ちなみは俺の頬をぺしぺし叩いた。だが、もともと非力なので、鬱陶しいだけでちっとも痛くない。
「ああもう、分かった分かった。えーと、このー!」
「……もっと真剣に怒れ」
「これでなんとかなりません?」
「……やれやれ。これだからタカシは」
 どうして俺が呆れられてる段になってるのか。
「……まあいい、場は整った」
 そう言うと、ちなみはコホンと咳払いをひとつして、懐から何か取り出した。
「……まあまあ、そう怒るな。……このネコミミに免じて許してはどうか」
「ね、ね、ね、ね、ネコミミだぁ!!!」
 そう。ちなみが懐から取り出したのは、果たして俺が渇望して止まない、ネコミミ(のカチューシャ)だったのだ!!!
「……そうちゃーく。ふにゃーん」ネコミミモード
「あああ可愛いなあ。ちなみは可愛いなあ。ねこちなみんは可愛いなあ」(なでなでなで)
「ふにゃーん。くにゃーん」
「あああああ」(なでなでなで)
「……鼻息が荒い」(迷惑げ)
「興奮してるからね!」(なでなでなで)
「……うーん、気持ち悪い」
「はい! すいません! はい!」(なでなで)
「……なで量が減ってる。そんなのでショックを受けるな。いつものことだろうに」
「ご褒美と受け取ろうと努力はしたのですが、どうにも!」(なでなで)
「……やれやれ」(ぽふぽふ)
「ん?」
「……ここに座りたい、と猫が申している」(ぽふぽふ)
 ちなみがぽふぽふと俺の腿を叩く。
「つまり、お膝に乗せて抱っこの許可が出たということでいいんですか!?」
「……のー」
「チクショウ! この世界はいつもこうだ! 期待させるだけ期待させて最後に裏切る! ええい、憎らしい! ええい!」
「……怒った?」
「怒った!」
「……やったー。やっとタカシを怒らせることに成功。ぶい」
「ぶいじゃねえ」
「……じゃあ、満足したので、膝に座らせろ」
「え」
「……怒らせるための嘘だった。膝には座りたい、と猫が申している」
「なんと。この猫はなんて素敵なのだ!」
 というわけで、猫のためにあぐらをかいてその時を待つ。
「ど、どうぞ」
「ふにゃーん」ポフリ
「ネコミミにゃんにゃんが俺の膝に!!!」
「……とてもうるさい。やめておけばよかった」ウンザリ
「時すでにお寿司! 大変にお寿司! ふはははは!」(なでなで)
「……寿司。お寿司食べたい。にゃー」
「あ、今度一緒に食べに行こっか?」
「……ふにゃ」コクコク
「よし、ネコミミ娘とのデートにこぎつけることに成功! その時が楽しみだ!」
「デートではない。……あ、当然だけど、その時は普通のちなみとして行くので、ヨロシコ」
「ええっ!? そしてヨロシコ!?」
「ふにゃふにゃ」スリスリ
「だけどまあ今現在ネコミミの娘さんがふにゃふにゃ言いながらスリスリしてきたからまあいいや!」
「……あ、当然全部おごりね」
「え。いや、それは一介の学生にはちょっとだけ難しいような。もちろん無理すればできるのですが、それでも」
「くにゃーん」スリスリ
「おごりとか当然じゃあないですか!」(なでなで)
「……たやすし」
 自分でもそう思うます。

拍手[14回]