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2024年11月21日
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【魔女とタンク2】
2012年06月14日
「……魔法?」
「だから、そう言ってる」
学校への道すがら、事情を聞く。
少女(ラピスとかいったか)が言うには、自分は魔女の見習い、らしい。本来はこことは違う世界にいるのだが、昨日のような化け物がこちらの世界に現れる時、退治するためにこちらにやってくるとか。
「なるほど。でも、なんで退治なんかすんだ? お前からすりゃ、よその世界のことだろ? 放っときゃいいじゃん」
「……私はタンクと違い、善人なので放っておくとかできない」
「人を勝手に悪人に認定するな」
ぺちりとラピスのでこを叩く。ラピスはむっとしたような顔をしながらおでこをさすった。
「……それと、経験を積むため、という理由もある」
「あー」
なるほど、下積みか。単純かつ明確な理由だ。
「あと、お金にもなる」
「え? でも、昨日の化け物を見る限り、別に何も落としてなかったように思ったが」
「倒したことを申請したら、国からお金もらえる。モノによっては、がっぽり。大もうけ」
「化け物退治で金儲けか……いいなあ、なんかいいなあ! RPGみたいでいいなあ!」
「……やる?」
「俺にもできるのかっ!?」
「昨日みたいな魔物を倒せる技術があるなら」
「……参考までに聞くが、あの魔物はどのくらい強いんだ? こっちの世界の動物で例えてくれ」
「……くま?」
「分かった。無理です」
「ちなみに、昨日の魔物はかなり弱いほう。ドラクエで言うとおおありくい級」
「もういい、分かった。俺みたいなただの人間には無理だ」
「……特別。私、特別」
とても褒めてほしそうだったので、ほっぺを引っ張ってやる。
「……おかしい。想定外」
ラピスは両手で自分のほっぺをさすさすしつつ、何やら呟いていた。
「あー、そだ。なんで俺の親とお前が顔見知りになってんだ? 薬でも使ったか?」
「……魔法。ちょこっと記憶をいじくった」
「とても怖いですね!」
「……そんなことない。私のことを昔から知ってるって風に、少しいじっただけ」
「それでも充分怖えーよ。あ、それから、なんで朝うちにいたんだ?」
「住んでるから」
「……はい?」
「だから、住んでるからいたの。何度も言わせないで」
ラピスの頬がぷくーっと膨らむ。ホント怒りっぽいなこいつ。……いやそうじゃなくて!
「え、知らない間に一つ屋根の下に住んでるの!? お前普段は向こうの世界にいるって言ってたじゃんか!」
「タンクと一緒の方が何かと都合がいいから。今日から私も一緒に学校行く」
「学校まで!? 編入とかどうなってんだ?」
「魔法」
「魔法万能すぎだろ……」
「──でタンクの親に願書とか色んな証明書を出してもらった」
「普通だ!」
「だから、今日試験と面接。らしい」
「はぁ、なるほど。何の試験か知らんがとにかく、頑張れ」(なでなで)
「…………」
ラピスは黙って俺のなでなでを受けていた。心持ち嬉しそうな表情をしているような、そうでないような。
「あ、そうだ。昨日も聞いたが、そもそもタンクって何を指してんだ?」
「……昨日も聞かれた。また今日も聞かれた」(ほっぺぷくー)
「昨日の説明じゃ分かんねーから改めて聞いてんの!」
「……このタンク馬鹿だ。死んだ方がいい」
「お前が女じゃなければ殴ってる」
「女でよかった」
ああ腹が立つ。
「このタンクは馬鹿だから、特別にこの私が講義してあげる。感謝せよ」
「講義は受け入れるが、感謝は断る」
「…………」
ラピスはじろーっと俺を睨んだ。どうにも恨めしげだ。
「いーから早く教えれ」
「……むぅ。……んと、タンクというのは、魔力を貯められる許容量が大きい人間の通称。魔女は魔法を使えるんだけど、基本的に魔力の容量がとても小さいので、常にタンクを従えている」
「はー、なるほど。……ん? てことは、タンクがいなけりゃ魔女は魔法を使えないってコトか?」
「……使えないことはないけど、すぐ魔力が切れる。簡単な魔法を一つか二つ使ったらそれで終わり」
「ふーん。なんつーか、面倒なことだな」
「面倒だけど、大事なこと。魔女だけなら、すぐに魔力が切れる。タンクだけなら、そもそも魔法が発動できない。だから、魔女とタンクは二人でひとつ。一蓮托生」
「ふーん……」
「だから、優秀なタンクを手に入れるため、魔女は普段から人間界を各々調査してる」
「ふーん。お前も調査してるのか?」
「ん。してた」
「大変なのな。どんくらいの期間してたんだ?」
「……5年?」
「5年っ!? ロリババア系か、お前っ!?」
「……失礼」
ロリババアのほっぺが膨れだした。
「え、お前いま何歳なんだ?」
「……女性に年齢を聞くのは、大変に失礼」
「とても大事なことなんです!」
「……はぁ。……んと、ひのふの……たぶん、14歳」
全然ロリババアじゃなかった。ていうか2個年下だ。
「びっくりさせるなよ……。まあ、俺はババア結婚してくれ派だから実年齢はどっちでもいいけど」
「このタンクは変な派閥に所属している。……早まっただろうか」
「ん? 今14で、5年調査してたってことは……お前、9歳の頃からこの世界を調査してたのか? 向こうにゃ小学校とかないのか?」
「常に調査してた訳じゃない。放課後とか、休みの時とか、そういう時に調査に来てた」
「なるほど。部活みたいな感じなのか」
「ん。魔女の世界とこっちの世界をちょくちょく行き来してた」
「へぇ、そんな簡単に行き来できるんだ。どこでもドア的な道具があるのか?」
「んんん。魔法」
そう言って、ラピスは何事かつぶやいた。空間が歪み、青いうねうねした輪郭の穴が開いた。
「……こんな感じ。ポータル。こっちと私の世界を繋ぐ門。……これができないとこの世界には来てはいけないという、すごい魔法。……弱冠9歳で取得した私はすごい」
「ふーん」
うねうねしてる周辺に手をやると、俺の手までうねうねして見える。空間が歪んでいるのか。
「あまり近づくと、向こうの世界に行っちゃうから注意」
「そか。ちなみに、俺みたいな普通の人間が向こうに行くとどうなるんだ?」
「……体中の内臓が裏返って2、3日苦しんだ後、死ぬ?」
ものすごい勢いでポータルから遠ざかる。
「今すぐ消してください!」
「……まだほめてもらってないから嫌だ」(ほっぺぷくー)
「ええい! なんて厄介な奴だ! ええい!」
「はやくほめろ。天才の私をほめろ」(うずうず)
「ああもう! ああもう! 弱冠9歳というロリ歳でポータルという魔法を習得したラピスはすごいなあ!」(なでなで)
「…………」(嬉しい)
「褒めたので! 早くあの処刑装置を消してください!」
「もっとなでろ」
「ええい! ええぇい!」(なでなでなで)
「…………」(嬉しい)
「もういいですか!?」
「ん」
ラピスが手を軽く上げると、ポータルは音もなく消えた。
「はふぅ……なんだってこんなうららかな日に突然死に瀕さなけりゃいけないんだよ……」
「まあ、別に人間が私の世界に来ても死にはしないけど」
「なんだとぉ!?」
「騙した。……すごい?」
「あーすごいすごい」(頬をぎりぎりとつねりながら)
「……つねられている。あまり褒められている気がしない」
「まったく……この魔法使いは厄介だ」
つねって気が晴れたので手を離してやる。あと、一応頬をさすさすしてあげる。
「それと、普通に町中で魔法を使うな。今は偶然誰もいないからいいけど、もし誰かいたら騒ぎになってるぞ?」
「…………」(ほっぺぷくー)
ラピスは不満げに頬を膨らませつつ、俺の手を取ったあああああ!?
「な、なんでしょうか、いきなり」
「……魔力の補充。くっつかないと補充できない」
「ああなるほどこれがタンクとやらの役目なんですね」
などと冷静を装っているが、やはり女子との接触に慣れていないので挙動が不審になったのだろう、ラピスがじとーっとした目でこちらを見ているではないか!
「……どきどき?」
「はい!」
力いっぱい答えたら、目を見開かれた。
「……びっくり。予想に反する行動。変な奴。……うん、やっぱ私のタンクに最適」
「別に好きで変な訳ではない」
「……ツンデレだ」
この魔女は妙に人間界に精通していて困る。
「か、勘違いしないでよね! 別に好きで変な訳じゃないんだからねっ!」
「……ツンデレ度が増した」
そしてのってしまう俺もどうかと思う。
「……このタンクは楽しい。容量もいっぱいだし、やっぱりこのタンクは大当たりだ」
「人を物扱いするない」
「……ただ、頭が悪いのが難点」
「貴様、俺の秘密どこで知った!?」
「ずっと、観察してた」
あー、そういや5年ほど調査してたって言ってたな。……え? ずっと?
「あの。まさかとは思いますが、5年ずっと俺を監視してたんじゃない……よね?」
「……流石にそんなにはしてない」
「だよねー。あー安心した」
「4年と少しくらい」
「俺の安心を返してください!」
「最初、色んな人間を観察したけど、どの人間もあんまり面白くなかった。……でも、このタンクは面白かった。容量もすごくいっぱいあるみたいだから、マークしてた」
「勘弁してください。本当に」
「……だから、このタンクがどういう人間か、よく分かってるつもり」
ぼくはいまとんでもないすとーかーとてをつないでいます。
「……私のことをストーカーって思ってる」(ほっぺぷくー)
「いや、そりゃ思いますよ! そう思わない奴は信じられないくらいのお人好しか、途方もない馬鹿ですよ!」
「……このタンクは後者だよ?」
「お前の考えはよく分かった」
とりあえず、空いてる手でラピスのほっぺを引っ張ってやる。
「……痛い」
まるで堪えた様子がないよコンチクショウ。
「……私のタンクになるの、嫌?」
きゅっ、と手が強く握られる。ラピスの顔が不安で曇る。この状態で嫌だと言える奴がいたら、俺はある意味尊敬するが、それ以上に軽蔑する。
「あー。その、困惑してるだけで、嫌というわけではなくてだな」
「……まあ、タンクの考えなんて知ったことじゃないんだけど」
「人が必死こいてモテ台詞をはいたのになんつー言い草だ!」
「……うーん、やっぱり変なタンク」
などと呟きながら説明回を終えるラピスだった。
「だから、そう言ってる」
学校への道すがら、事情を聞く。
少女(ラピスとかいったか)が言うには、自分は魔女の見習い、らしい。本来はこことは違う世界にいるのだが、昨日のような化け物がこちらの世界に現れる時、退治するためにこちらにやってくるとか。
「なるほど。でも、なんで退治なんかすんだ? お前からすりゃ、よその世界のことだろ? 放っときゃいいじゃん」
「……私はタンクと違い、善人なので放っておくとかできない」
「人を勝手に悪人に認定するな」
ぺちりとラピスのでこを叩く。ラピスはむっとしたような顔をしながらおでこをさすった。
「……それと、経験を積むため、という理由もある」
「あー」
なるほど、下積みか。単純かつ明確な理由だ。
「あと、お金にもなる」
「え? でも、昨日の化け物を見る限り、別に何も落としてなかったように思ったが」
「倒したことを申請したら、国からお金もらえる。モノによっては、がっぽり。大もうけ」
「化け物退治で金儲けか……いいなあ、なんかいいなあ! RPGみたいでいいなあ!」
「……やる?」
「俺にもできるのかっ!?」
「昨日みたいな魔物を倒せる技術があるなら」
「……参考までに聞くが、あの魔物はどのくらい強いんだ? こっちの世界の動物で例えてくれ」
「……くま?」
「分かった。無理です」
「ちなみに、昨日の魔物はかなり弱いほう。ドラクエで言うとおおありくい級」
「もういい、分かった。俺みたいなただの人間には無理だ」
「……特別。私、特別」
とても褒めてほしそうだったので、ほっぺを引っ張ってやる。
「……おかしい。想定外」
ラピスは両手で自分のほっぺをさすさすしつつ、何やら呟いていた。
「あー、そだ。なんで俺の親とお前が顔見知りになってんだ? 薬でも使ったか?」
「……魔法。ちょこっと記憶をいじくった」
「とても怖いですね!」
「……そんなことない。私のことを昔から知ってるって風に、少しいじっただけ」
「それでも充分怖えーよ。あ、それから、なんで朝うちにいたんだ?」
「住んでるから」
「……はい?」
「だから、住んでるからいたの。何度も言わせないで」
ラピスの頬がぷくーっと膨らむ。ホント怒りっぽいなこいつ。……いやそうじゃなくて!
「え、知らない間に一つ屋根の下に住んでるの!? お前普段は向こうの世界にいるって言ってたじゃんか!」
「タンクと一緒の方が何かと都合がいいから。今日から私も一緒に学校行く」
「学校まで!? 編入とかどうなってんだ?」
「魔法」
「魔法万能すぎだろ……」
「──でタンクの親に願書とか色んな証明書を出してもらった」
「普通だ!」
「だから、今日試験と面接。らしい」
「はぁ、なるほど。何の試験か知らんがとにかく、頑張れ」(なでなで)
「…………」
ラピスは黙って俺のなでなでを受けていた。心持ち嬉しそうな表情をしているような、そうでないような。
「あ、そうだ。昨日も聞いたが、そもそもタンクって何を指してんだ?」
「……昨日も聞かれた。また今日も聞かれた」(ほっぺぷくー)
「昨日の説明じゃ分かんねーから改めて聞いてんの!」
「……このタンク馬鹿だ。死んだ方がいい」
「お前が女じゃなければ殴ってる」
「女でよかった」
ああ腹が立つ。
「このタンクは馬鹿だから、特別にこの私が講義してあげる。感謝せよ」
「講義は受け入れるが、感謝は断る」
「…………」
ラピスはじろーっと俺を睨んだ。どうにも恨めしげだ。
「いーから早く教えれ」
「……むぅ。……んと、タンクというのは、魔力を貯められる許容量が大きい人間の通称。魔女は魔法を使えるんだけど、基本的に魔力の容量がとても小さいので、常にタンクを従えている」
「はー、なるほど。……ん? てことは、タンクがいなけりゃ魔女は魔法を使えないってコトか?」
「……使えないことはないけど、すぐ魔力が切れる。簡単な魔法を一つか二つ使ったらそれで終わり」
「ふーん。なんつーか、面倒なことだな」
「面倒だけど、大事なこと。魔女だけなら、すぐに魔力が切れる。タンクだけなら、そもそも魔法が発動できない。だから、魔女とタンクは二人でひとつ。一蓮托生」
「ふーん……」
「だから、優秀なタンクを手に入れるため、魔女は普段から人間界を各々調査してる」
「ふーん。お前も調査してるのか?」
「ん。してた」
「大変なのな。どんくらいの期間してたんだ?」
「……5年?」
「5年っ!? ロリババア系か、お前っ!?」
「……失礼」
ロリババアのほっぺが膨れだした。
「え、お前いま何歳なんだ?」
「……女性に年齢を聞くのは、大変に失礼」
「とても大事なことなんです!」
「……はぁ。……んと、ひのふの……たぶん、14歳」
全然ロリババアじゃなかった。ていうか2個年下だ。
「びっくりさせるなよ……。まあ、俺はババア結婚してくれ派だから実年齢はどっちでもいいけど」
「このタンクは変な派閥に所属している。……早まっただろうか」
「ん? 今14で、5年調査してたってことは……お前、9歳の頃からこの世界を調査してたのか? 向こうにゃ小学校とかないのか?」
「常に調査してた訳じゃない。放課後とか、休みの時とか、そういう時に調査に来てた」
「なるほど。部活みたいな感じなのか」
「ん。魔女の世界とこっちの世界をちょくちょく行き来してた」
「へぇ、そんな簡単に行き来できるんだ。どこでもドア的な道具があるのか?」
「んんん。魔法」
そう言って、ラピスは何事かつぶやいた。空間が歪み、青いうねうねした輪郭の穴が開いた。
「……こんな感じ。ポータル。こっちと私の世界を繋ぐ門。……これができないとこの世界には来てはいけないという、すごい魔法。……弱冠9歳で取得した私はすごい」
「ふーん」
うねうねしてる周辺に手をやると、俺の手までうねうねして見える。空間が歪んでいるのか。
「あまり近づくと、向こうの世界に行っちゃうから注意」
「そか。ちなみに、俺みたいな普通の人間が向こうに行くとどうなるんだ?」
「……体中の内臓が裏返って2、3日苦しんだ後、死ぬ?」
ものすごい勢いでポータルから遠ざかる。
「今すぐ消してください!」
「……まだほめてもらってないから嫌だ」(ほっぺぷくー)
「ええい! なんて厄介な奴だ! ええい!」
「はやくほめろ。天才の私をほめろ」(うずうず)
「ああもう! ああもう! 弱冠9歳というロリ歳でポータルという魔法を習得したラピスはすごいなあ!」(なでなで)
「…………」(嬉しい)
「褒めたので! 早くあの処刑装置を消してください!」
「もっとなでろ」
「ええい! ええぇい!」(なでなでなで)
「…………」(嬉しい)
「もういいですか!?」
「ん」
ラピスが手を軽く上げると、ポータルは音もなく消えた。
「はふぅ……なんだってこんなうららかな日に突然死に瀕さなけりゃいけないんだよ……」
「まあ、別に人間が私の世界に来ても死にはしないけど」
「なんだとぉ!?」
「騙した。……すごい?」
「あーすごいすごい」(頬をぎりぎりとつねりながら)
「……つねられている。あまり褒められている気がしない」
「まったく……この魔法使いは厄介だ」
つねって気が晴れたので手を離してやる。あと、一応頬をさすさすしてあげる。
「それと、普通に町中で魔法を使うな。今は偶然誰もいないからいいけど、もし誰かいたら騒ぎになってるぞ?」
「…………」(ほっぺぷくー)
ラピスは不満げに頬を膨らませつつ、俺の手を取ったあああああ!?
「な、なんでしょうか、いきなり」
「……魔力の補充。くっつかないと補充できない」
「ああなるほどこれがタンクとやらの役目なんですね」
などと冷静を装っているが、やはり女子との接触に慣れていないので挙動が不審になったのだろう、ラピスがじとーっとした目でこちらを見ているではないか!
「……どきどき?」
「はい!」
力いっぱい答えたら、目を見開かれた。
「……びっくり。予想に反する行動。変な奴。……うん、やっぱ私のタンクに最適」
「別に好きで変な訳ではない」
「……ツンデレだ」
この魔女は妙に人間界に精通していて困る。
「か、勘違いしないでよね! 別に好きで変な訳じゃないんだからねっ!」
「……ツンデレ度が増した」
そしてのってしまう俺もどうかと思う。
「……このタンクは楽しい。容量もいっぱいだし、やっぱりこのタンクは大当たりだ」
「人を物扱いするない」
「……ただ、頭が悪いのが難点」
「貴様、俺の秘密どこで知った!?」
「ずっと、観察してた」
あー、そういや5年ほど調査してたって言ってたな。……え? ずっと?
「あの。まさかとは思いますが、5年ずっと俺を監視してたんじゃない……よね?」
「……流石にそんなにはしてない」
「だよねー。あー安心した」
「4年と少しくらい」
「俺の安心を返してください!」
「最初、色んな人間を観察したけど、どの人間もあんまり面白くなかった。……でも、このタンクは面白かった。容量もすごくいっぱいあるみたいだから、マークしてた」
「勘弁してください。本当に」
「……だから、このタンクがどういう人間か、よく分かってるつもり」
ぼくはいまとんでもないすとーかーとてをつないでいます。
「……私のことをストーカーって思ってる」(ほっぺぷくー)
「いや、そりゃ思いますよ! そう思わない奴は信じられないくらいのお人好しか、途方もない馬鹿ですよ!」
「……このタンクは後者だよ?」
「お前の考えはよく分かった」
とりあえず、空いてる手でラピスのほっぺを引っ張ってやる。
「……痛い」
まるで堪えた様子がないよコンチクショウ。
「……私のタンクになるの、嫌?」
きゅっ、と手が強く握られる。ラピスの顔が不安で曇る。この状態で嫌だと言える奴がいたら、俺はある意味尊敬するが、それ以上に軽蔑する。
「あー。その、困惑してるだけで、嫌というわけではなくてだな」
「……まあ、タンクの考えなんて知ったことじゃないんだけど」
「人が必死こいてモテ台詞をはいたのになんつー言い草だ!」
「……うーん、やっぱり変なタンク」
などと呟きながら説明回を終えるラピスだった。
PR
甘スレに載せてくれたらもっと嬉しいです。
『ラピスとタンクの別れ』
または
『ラピスとタンクの結婚』
という名の最終回あたりまで一気にシリーズ化してくれるともっと嬉しいです
確かに結婚ネタはもっと見てみたい気もします...文字だけで幸せいっぱいの空間を表現できるって素晴らしい文才ですし。かなみは俺の嫁シリーズ然り、ハナ×彰人シリーズ然り。