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2024年11月21日
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【ちなねえとクイズ番組】
2010年02月07日
「……アキくん、アキくん」
座椅子に座り部屋で一人テレビを見てると、近所の幼馴染、ちなねえがノックと同時に部屋に入ってきた。
ちなみにアキくんと呼ばれているのはそう呼ばせて悦に浸っているのではなく、何度言ってもやめてくれないので諦めている彰人ですこんばんわ。なぜ挨拶になっている?
「んあ」
そんな益体もないことを考えていたため、返事が雑になった。
「……一緒にテレビ見ましょう」
こっちが返事するより前に俺の膝の間に入り込み、ちなねえは俺に体を預けた。
「……ま、いいケドさ」
「♪」
ちなねえのお腹に手を回し、そのままぼんやりテレビを見る。丁度クイズ番組が始まった。
「よしちなねえ、クイズで勝負だ」
「……お姉ちゃん、年上のプライドにかけて、負けません」
「年上の人は年下の人に抱っこされても、手放しで喜んだりしないと思う」
「……始まりますよ?」
都合の悪い話は無視し、ちなねえはテレビに意識を向けた。
『第一問。ドライアイスは何が固まったもの?』
「簡単。二酸化炭素だな」
「……ちっちっち。……アキくん、まだまだです。……気体が固まるなんて無理です。……正解は、氷をもっともっと固めたものです」
『正解は……二酸化炭素です!』
「…………」
「……お、お姉ちゃんでも、時々は間違えます。時々です。ぐーぜんです」
珍しく饒舌なちなねえだった。
『第二問。X線を発見したのは誰でしょう?』
「……エックス博士です。だから、X線って名前になったんです」
「レントゲン」
「あっ、あっ、お姉ちゃんも、お姉ちゃんもそれ」
「ダメ」
「……アキくん、いじわるです」
『正解は……レントゲンです!』
「……分かってたのに、アキくんのせいで間違えました」
「いやいや、最初にエックス博士とかとんちんかんなこと言ってたじゃん」
「……言ってないです」
ちなねえのほっぺがぷくーっと膨れた。
「怒るねい」
なんとなくちなねえのほっぺを押す。ぷにぷにして幸せ。
「……怒ってなんて、ないです」
俺にぷにぷにされたまま、ちなねえは不機嫌そうに言った。
『第三問。桃太郎が家来たちに与えた食べ物は何?』
「あっ、きびだんご! きびだんごです! お姉ちゃん、自信あります!」
「あ、俺もそれ」
「ダメです。お姉ちゃん、先に言いました。アキくんは、別の食べ物にしてください」
「そんなルールなのか?」
「……です」
「あー……じゃあ、りんご」
色々と納得いかないが、姉の言うことには逆らえないので適当な食べ物を言う。
『正解は……きびだんごです!』
だよなあ、と思いながらちなねえのつむじを眺めてると、くるりと顔がこちらを向いた。
「……むふー」
得意満面で俺を見るちなねえ。
「いや、こんな問題でそんな顔されても」
「……アキくん、間違えました。……むふー」
ムカつくのでほっぺを引っ張ってやる。
「……痛いです」
ちょっと悲しそうにちなねえの眉が八の字になった。
『第四問。世界でいちばん深い湖は?』
んなもん、知らんぞ。ちなねえはどうなんだろう。
「……え、ええと。……アキくんから先に答えさせてあげますよ? 優しいお姉ちゃんに、アキくんにっこり」
「えーと……びわ湖?」
「お姉ちゃんもそうだと思ってました。先に言われちゃったので追従する形になってしまい、残念です」
「ほほう」
『正解は……バイカル湖です!』
じーっとちなねえを見る。
「……わざとですか? わざとですね? わざと間違えて、お姉ちゃんを困らせて楽しんでますね?」(涙じわーっ)
「イチイチ泣くなッ! 俺も知らなかったんだよ……」
ちなねえの頭をわしわしなでて慰める。もう大人のはずなのに、すぐ泣くので困る。
「……うー」
うーと言いながら、ちなねえは体の向きを変えてこちらを向いた。そして、両手両足で俺に抱きついてきた。
「うーじゃねえ。てか、何をしている」
「……もーテレビ見ません。……アキくんがイカサマしてお姉ちゃんを困らせてるのは、まるっとお見通しです」
「何一つ見通せてないぞ、ちなねえ」
「……見通せてます」
「はいはい、分かった分かった」
適当にちなねえをなでながらテレビを見る。と、突然テレビが暗転した。
「あれ?」
「……ちゃんとお姉ちゃんの相手しなさい」
ちょっと口を尖らせるちなねえの手元に、テレビのリモコンが。
「勝手に切るなよ」
「……切ってません」
「嘘をつくな」
「……ついてません」
「……はぁ」
ため息ひとつついて、テレビを諦める。まあどうしても見たいワケでもないし、いっか。
「……代わりに、お姉ちゃんとクイズしましょう」
「あー、別にいいよ」
「……第一問。……お姉ちゃんは、アキくんが……好き?」
「×」
「ぴんぽんぴんぽーん。……正解です」
なんと。嫌われていたのか。予想以上にショックを受けてる自分がいる。
「……お姉ちゃんは、アキくんのことが好きではなくて、アキくんのことが、……大好きです」
「……あー、うん。そ、そか」
何と言ったらいいのか分からなくなって、そっぽを向いてぶつぶつと。
「……照れてるアキくんって、可愛いです」
調子に乗ってるちなねえのほっぺをうにうにする。
「……うにうにされました。……続いて、第二問です。……アキくんは、お姉ちゃんが……好き?」
「△」
「……そんな答え、ありません。……ちゃんと答えるべきです」
「日本語分からないんだ」
「……すっごく、日本語でしゃべってます」
「ちなねえが気づいてないだけで、これはチェンバル語なんだ」
「……お姉ちゃん、そんなのでは誤魔化されません。……それで、正解は?」
「ぐ……ど、どうしても言うのか?」
「……です」
しょうがない。意を決して、ちなねえの耳元に口を寄せ、ぼそぼそぼそ。
「……だいせいかい、です♪♪♪」
ニッコニコの笑顔で俺にむぎゅーと抱きつくちなねえだった。
座椅子に座り部屋で一人テレビを見てると、近所の幼馴染、ちなねえがノックと同時に部屋に入ってきた。
ちなみにアキくんと呼ばれているのはそう呼ばせて悦に浸っているのではなく、何度言ってもやめてくれないので諦めている彰人ですこんばんわ。なぜ挨拶になっている?
「んあ」
そんな益体もないことを考えていたため、返事が雑になった。
「……一緒にテレビ見ましょう」
こっちが返事するより前に俺の膝の間に入り込み、ちなねえは俺に体を預けた。
「……ま、いいケドさ」
「♪」
ちなねえのお腹に手を回し、そのままぼんやりテレビを見る。丁度クイズ番組が始まった。
「よしちなねえ、クイズで勝負だ」
「……お姉ちゃん、年上のプライドにかけて、負けません」
「年上の人は年下の人に抱っこされても、手放しで喜んだりしないと思う」
「……始まりますよ?」
都合の悪い話は無視し、ちなねえはテレビに意識を向けた。
『第一問。ドライアイスは何が固まったもの?』
「簡単。二酸化炭素だな」
「……ちっちっち。……アキくん、まだまだです。……気体が固まるなんて無理です。……正解は、氷をもっともっと固めたものです」
『正解は……二酸化炭素です!』
「…………」
「……お、お姉ちゃんでも、時々は間違えます。時々です。ぐーぜんです」
珍しく饒舌なちなねえだった。
『第二問。X線を発見したのは誰でしょう?』
「……エックス博士です。だから、X線って名前になったんです」
「レントゲン」
「あっ、あっ、お姉ちゃんも、お姉ちゃんもそれ」
「ダメ」
「……アキくん、いじわるです」
『正解は……レントゲンです!』
「……分かってたのに、アキくんのせいで間違えました」
「いやいや、最初にエックス博士とかとんちんかんなこと言ってたじゃん」
「……言ってないです」
ちなねえのほっぺがぷくーっと膨れた。
「怒るねい」
なんとなくちなねえのほっぺを押す。ぷにぷにして幸せ。
「……怒ってなんて、ないです」
俺にぷにぷにされたまま、ちなねえは不機嫌そうに言った。
『第三問。桃太郎が家来たちに与えた食べ物は何?』
「あっ、きびだんご! きびだんごです! お姉ちゃん、自信あります!」
「あ、俺もそれ」
「ダメです。お姉ちゃん、先に言いました。アキくんは、別の食べ物にしてください」
「そんなルールなのか?」
「……です」
「あー……じゃあ、りんご」
色々と納得いかないが、姉の言うことには逆らえないので適当な食べ物を言う。
『正解は……きびだんごです!』
だよなあ、と思いながらちなねえのつむじを眺めてると、くるりと顔がこちらを向いた。
「……むふー」
得意満面で俺を見るちなねえ。
「いや、こんな問題でそんな顔されても」
「……アキくん、間違えました。……むふー」
ムカつくのでほっぺを引っ張ってやる。
「……痛いです」
ちょっと悲しそうにちなねえの眉が八の字になった。
『第四問。世界でいちばん深い湖は?』
んなもん、知らんぞ。ちなねえはどうなんだろう。
「……え、ええと。……アキくんから先に答えさせてあげますよ? 優しいお姉ちゃんに、アキくんにっこり」
「えーと……びわ湖?」
「お姉ちゃんもそうだと思ってました。先に言われちゃったので追従する形になってしまい、残念です」
「ほほう」
『正解は……バイカル湖です!』
じーっとちなねえを見る。
「……わざとですか? わざとですね? わざと間違えて、お姉ちゃんを困らせて楽しんでますね?」(涙じわーっ)
「イチイチ泣くなッ! 俺も知らなかったんだよ……」
ちなねえの頭をわしわしなでて慰める。もう大人のはずなのに、すぐ泣くので困る。
「……うー」
うーと言いながら、ちなねえは体の向きを変えてこちらを向いた。そして、両手両足で俺に抱きついてきた。
「うーじゃねえ。てか、何をしている」
「……もーテレビ見ません。……アキくんがイカサマしてお姉ちゃんを困らせてるのは、まるっとお見通しです」
「何一つ見通せてないぞ、ちなねえ」
「……見通せてます」
「はいはい、分かった分かった」
適当にちなねえをなでながらテレビを見る。と、突然テレビが暗転した。
「あれ?」
「……ちゃんとお姉ちゃんの相手しなさい」
ちょっと口を尖らせるちなねえの手元に、テレビのリモコンが。
「勝手に切るなよ」
「……切ってません」
「嘘をつくな」
「……ついてません」
「……はぁ」
ため息ひとつついて、テレビを諦める。まあどうしても見たいワケでもないし、いっか。
「……代わりに、お姉ちゃんとクイズしましょう」
「あー、別にいいよ」
「……第一問。……お姉ちゃんは、アキくんが……好き?」
「×」
「ぴんぽんぴんぽーん。……正解です」
なんと。嫌われていたのか。予想以上にショックを受けてる自分がいる。
「……お姉ちゃんは、アキくんのことが好きではなくて、アキくんのことが、……大好きです」
「……あー、うん。そ、そか」
何と言ったらいいのか分からなくなって、そっぽを向いてぶつぶつと。
「……照れてるアキくんって、可愛いです」
調子に乗ってるちなねえのほっぺをうにうにする。
「……うにうにされました。……続いて、第二問です。……アキくんは、お姉ちゃんが……好き?」
「△」
「……そんな答え、ありません。……ちゃんと答えるべきです」
「日本語分からないんだ」
「……すっごく、日本語でしゃべってます」
「ちなねえが気づいてないだけで、これはチェンバル語なんだ」
「……お姉ちゃん、そんなのでは誤魔化されません。……それで、正解は?」
「ぐ……ど、どうしても言うのか?」
「……です」
しょうがない。意を決して、ちなねえの耳元に口を寄せ、ぼそぼそぼそ。
「……だいせいかい、です♪♪♪」
ニッコニコの笑顔で俺にむぎゅーと抱きつくちなねえだった。
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