[PR]
2024年11月22日
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
【後輩ちゃん】
2010年02月07日
「先輩先輩せんぱいっ!」
学校から帰ってると、聞き覚えのある甲高い声が背後から聞こえた。
「パンツ一丁で駆けてくる痴女と出くわした。コマンド?」
「私、制服ですよ? それとも、下着姿のほうがぐっときますか? 脱ぎますか?」
「脱ぐなッ!」
俺に叱られしゅんとしているこの娘っ子は俺の一つ年下の女生徒、由依という。さる事情で知り合い、それ以来なんか知らんがやけに気に入られている。
「お帰りですか?」
「レレレのレ」
「惜しいですっ、それお出かけです! そんな惜しい先輩も大好きです!」
この後輩は隙あらば告白してくるので油断ならない。
「それはそうと、先輩っ! 私、先輩と手を繋ぎたいです! 繋いでいいですか?」
「握り潰されるから嫌だ」
「そうしないよう努力しますから!」
「潰せるの!? 怖っ、由依怖あっ!」
「嘘です!」
「…………」
俺もよっぽどだが、コイツもよっぽどだと思う。
「あっ、怒りましたか? 怒らせてしまいましたか? ……嫌いになりましたか?」
「…………」
「やっ、髪が乱れます! 困ります! でもちょっと嬉しいです!」
無言で髪をくしゃくしゃっとすると、由依は嬉しそうにはにかんだ。
「えへへっ……えっとですねっ、先輩はどんな子が好きですか?」
「つるぺ……っ、え、えーと、そうな、どんな子だろうな。はっはっは」
「つるぺたですかっ! 困りました、私ちょびっとだけ胸ありますっ!」
「途中で止めたんだからそれとなく察してくれ!」
「すいません! お詫びとして胸をそぎ落としますから!」
「怖っ、お前の愛情怖あっ!」
「嘘です! 痛いの嫌ですから!」
「…………」
「あっ、ひょっとして先輩痛くするのが好きなんですか? こうなっては努力して痛みを快楽に変える練習をするしかないです!」
「ちげーよ! なんでいつも色々と微妙に間違ってんだ!」
「先輩が訂正してくれるのが好きだからですっ!」
「……ったく。困った生き物だ」
むぎゅー、と眉間を押してやる。
「わわわっ、どんな感情表現なのか分かりません! でも、なんだかちょっぴり嬉しい感じです!」
「下痢になるツボ」
「永遠に恨み続けます!」
「だから、怖いっての! にこやかに言うなッ!」
「嫌なら手を繋いでください!」
「うーん……」
俺みたいな変人と一緒にいたら、いらぬ中傷を受けるだろうに……なんでこんな好意を抱かれてるかな。
「むっ! ばってんにゃんこ!」
「ぐげっ」
自分の手を交差して、由依は俺の首にクロスチョップした。
「げほっげほっ……何すんだ!」
「その目はまた悲しいこと考えてます! ダメです! 許しません!」
「そ、そんなこと考えてないぞ? お前の裸体を想像してただけだグヒヒヒヒ」
「それはとても光栄ですが、私は騙されません! 先輩、また自分のこと卑下してましたね?」
「そっ、……そんなことないぞ」
卑下とかじゃなく、ただの事実だし。
「ほらまた! ばってんにゃんこ!」
「ぐがっ」
またしてもクロスチョップが俺の首に直撃。
「げほっげほっ……お前なぁ、いちいちクロスチョップするな。言えば分かるから」
「クロスチョップじゃないです! ばってんにゃんこです!」
「何が違うんだ」
「可愛いです!」
「…………」
「可愛いですにゃ!」
……まあ、可愛いケド。
「話を戻しますが、先輩はもっともっと自分のこと好きになってください。なんだか先輩、ご自分のこと嫌いみたいに見えます」
「……そっか?」
「そうです! ずーっと先輩見てた私が言うのだから、間違いありません!」
「うーん……そうかなあ」
「そうです! なので、代わりといっては何ですが、私が先輩を好きになります! なりました! 好きです!」
「ずっと告白されてる」
「ずっと好きですから! 先輩のこと、いっぱい甘やかして、いっぱい甘えたいです!」
「……いいのか? 変だぞ、俺?」
「私も変ですから!」
なんだかすごく納得する。
「……そこで納得されると、ちょっと傷つきます」
「ごめぬ」
「許します! 好きですから!」
「じゃあ、その、とりあえず、……よろしく、ということで」
「はい!!!」
ひまわりのような笑顔を見せる由依だった。
「で、早速ですか」
「もちろんです! 私、先輩に鬼甘えます!」
どうしても俺の部屋に来たいというので、てっきりエロ展開かと思ったが、そうではないようで、さっきから俺にべたーっと張り付いている。
「先輩!」
「うん?」
「呼んだだけです! ……なっ、なんだか恋人同士のようで素敵です!」
「なんだかじゃなくて、実際そうだろ」
「こいびと……」
にへらっ、と締まりのない笑みを浮かべる由依。
「なんだか幸せすぎです……はっ! よもや夢ではないでしょうね!」
「実は夢なんだ」
「想像通りです! こうなっては先輩の皮を被った偽者を惨殺し、この夢世界から脱出するしか!」
「助けてえ!」
ちょっとした冗談でラブコメがサイコホラーに。
「嘘です! 軽い冗談です!」
「重えよッ!」
「恋人同士の甘々トークですねっ♪」
こいつには一度甘々トークというのがどういうものか、きちんと教えないといけない。
「先輩! 甘々トークが終わったので、次は抱っこしてほしいです!」
「らっこ?」
「可愛いですよね、ラッコ!」
「そうだね」
「……? 違います、抱っこです! 先輩の巧緻極まる話術にしてやられました!」
こいつがちゃんと日常生活を送れているのか、時々心配になる。
「……あの、ひょっとして、嫌ですか?」
「んなこと言ってねーだろ。ほら、来い」
両手を広げてカムカムする。
「じゃ、じゃあ、思い切っていきます! とうっ!」
「ぐべっ」
ばってんにゃんこが飛んできた。
「あああああっ、ついやってしまいました! ごめんなさい先輩!」
「恋人が殺そうとする」
「……こ、こいびと……」
その響きに、またしてもにへらっとする由依。
「せっ、先輩! どうしましょう、私、幸せすぎて死んじゃいそうです!」
「俺は物理的に死にそうだ」
「お似合いのカップルですねっ!」
付き合うの、早まったかもしれない。俺に抱きつき、幸せそうな笑みを浮かべる由依を見ながらそう思った。
学校から帰ってると、聞き覚えのある甲高い声が背後から聞こえた。
「パンツ一丁で駆けてくる痴女と出くわした。コマンド?」
「私、制服ですよ? それとも、下着姿のほうがぐっときますか? 脱ぎますか?」
「脱ぐなッ!」
俺に叱られしゅんとしているこの娘っ子は俺の一つ年下の女生徒、由依という。さる事情で知り合い、それ以来なんか知らんがやけに気に入られている。
「お帰りですか?」
「レレレのレ」
「惜しいですっ、それお出かけです! そんな惜しい先輩も大好きです!」
この後輩は隙あらば告白してくるので油断ならない。
「それはそうと、先輩っ! 私、先輩と手を繋ぎたいです! 繋いでいいですか?」
「握り潰されるから嫌だ」
「そうしないよう努力しますから!」
「潰せるの!? 怖っ、由依怖あっ!」
「嘘です!」
「…………」
俺もよっぽどだが、コイツもよっぽどだと思う。
「あっ、怒りましたか? 怒らせてしまいましたか? ……嫌いになりましたか?」
「…………」
「やっ、髪が乱れます! 困ります! でもちょっと嬉しいです!」
無言で髪をくしゃくしゃっとすると、由依は嬉しそうにはにかんだ。
「えへへっ……えっとですねっ、先輩はどんな子が好きですか?」
「つるぺ……っ、え、えーと、そうな、どんな子だろうな。はっはっは」
「つるぺたですかっ! 困りました、私ちょびっとだけ胸ありますっ!」
「途中で止めたんだからそれとなく察してくれ!」
「すいません! お詫びとして胸をそぎ落としますから!」
「怖っ、お前の愛情怖あっ!」
「嘘です! 痛いの嫌ですから!」
「…………」
「あっ、ひょっとして先輩痛くするのが好きなんですか? こうなっては努力して痛みを快楽に変える練習をするしかないです!」
「ちげーよ! なんでいつも色々と微妙に間違ってんだ!」
「先輩が訂正してくれるのが好きだからですっ!」
「……ったく。困った生き物だ」
むぎゅー、と眉間を押してやる。
「わわわっ、どんな感情表現なのか分かりません! でも、なんだかちょっぴり嬉しい感じです!」
「下痢になるツボ」
「永遠に恨み続けます!」
「だから、怖いっての! にこやかに言うなッ!」
「嫌なら手を繋いでください!」
「うーん……」
俺みたいな変人と一緒にいたら、いらぬ中傷を受けるだろうに……なんでこんな好意を抱かれてるかな。
「むっ! ばってんにゃんこ!」
「ぐげっ」
自分の手を交差して、由依は俺の首にクロスチョップした。
「げほっげほっ……何すんだ!」
「その目はまた悲しいこと考えてます! ダメです! 許しません!」
「そ、そんなこと考えてないぞ? お前の裸体を想像してただけだグヒヒヒヒ」
「それはとても光栄ですが、私は騙されません! 先輩、また自分のこと卑下してましたね?」
「そっ、……そんなことないぞ」
卑下とかじゃなく、ただの事実だし。
「ほらまた! ばってんにゃんこ!」
「ぐがっ」
またしてもクロスチョップが俺の首に直撃。
「げほっげほっ……お前なぁ、いちいちクロスチョップするな。言えば分かるから」
「クロスチョップじゃないです! ばってんにゃんこです!」
「何が違うんだ」
「可愛いです!」
「…………」
「可愛いですにゃ!」
……まあ、可愛いケド。
「話を戻しますが、先輩はもっともっと自分のこと好きになってください。なんだか先輩、ご自分のこと嫌いみたいに見えます」
「……そっか?」
「そうです! ずーっと先輩見てた私が言うのだから、間違いありません!」
「うーん……そうかなあ」
「そうです! なので、代わりといっては何ですが、私が先輩を好きになります! なりました! 好きです!」
「ずっと告白されてる」
「ずっと好きですから! 先輩のこと、いっぱい甘やかして、いっぱい甘えたいです!」
「……いいのか? 変だぞ、俺?」
「私も変ですから!」
なんだかすごく納得する。
「……そこで納得されると、ちょっと傷つきます」
「ごめぬ」
「許します! 好きですから!」
「じゃあ、その、とりあえず、……よろしく、ということで」
「はい!!!」
ひまわりのような笑顔を見せる由依だった。
「で、早速ですか」
「もちろんです! 私、先輩に鬼甘えます!」
どうしても俺の部屋に来たいというので、てっきりエロ展開かと思ったが、そうではないようで、さっきから俺にべたーっと張り付いている。
「先輩!」
「うん?」
「呼んだだけです! ……なっ、なんだか恋人同士のようで素敵です!」
「なんだかじゃなくて、実際そうだろ」
「こいびと……」
にへらっ、と締まりのない笑みを浮かべる由依。
「なんだか幸せすぎです……はっ! よもや夢ではないでしょうね!」
「実は夢なんだ」
「想像通りです! こうなっては先輩の皮を被った偽者を惨殺し、この夢世界から脱出するしか!」
「助けてえ!」
ちょっとした冗談でラブコメがサイコホラーに。
「嘘です! 軽い冗談です!」
「重えよッ!」
「恋人同士の甘々トークですねっ♪」
こいつには一度甘々トークというのがどういうものか、きちんと教えないといけない。
「先輩! 甘々トークが終わったので、次は抱っこしてほしいです!」
「らっこ?」
「可愛いですよね、ラッコ!」
「そうだね」
「……? 違います、抱っこです! 先輩の巧緻極まる話術にしてやられました!」
こいつがちゃんと日常生活を送れているのか、時々心配になる。
「……あの、ひょっとして、嫌ですか?」
「んなこと言ってねーだろ。ほら、来い」
両手を広げてカムカムする。
「じゃ、じゃあ、思い切っていきます! とうっ!」
「ぐべっ」
ばってんにゃんこが飛んできた。
「あああああっ、ついやってしまいました! ごめんなさい先輩!」
「恋人が殺そうとする」
「……こ、こいびと……」
その響きに、またしてもにへらっとする由依。
「せっ、先輩! どうしましょう、私、幸せすぎて死んじゃいそうです!」
「俺は物理的に死にそうだ」
「お似合いのカップルですねっ!」
付き合うの、早まったかもしれない。俺に抱きつき、幸せそうな笑みを浮かべる由依を見ながらそう思った。
PR
Comment
無題
この子最高、なんどでも読み返したくなる、なんという魅力!