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2024年11月21日
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【沙夜 休日】
2010年01月31日
休みなのでどっか遊びに行こうと部屋のドアを開けて外出しようとしたら、ガンッ!という景気がいい音がした。
「……えーと、だいじょぶか?」
涙目でおでこを押さえてる幼馴染の沙夜がドアの影から現れた。悲しそうに俺を見上げながら、廊下に座り込んでる。
「…………」
物言いたげな瞳でじぃぃぃぃっと見られると、なんだか俺が悪いような気がしてくる。
「いや、まさかこんなところにいるとは思わなくて。悪かった。じゃ、そゆことで」
押さえてるおでこをなでなでしてから、沙夜をまたごうと足を上げたら、足首を掴まれた。
「ええと、そこを掴まれると進退窮まるのですが」
「…………」
またしてもじぃぃぃぃっと。
「……えーと。遊びに来たのか?」
こっくり、とうなずく沙夜。
「いや、しかし俺は外出するつもりだったんだけど。そうだ、お前も一緒に来るか?」
ぷるぷるぷる、と首を横に振る。
「そっか。んじゃ、俺一人で行って来るな」
またしてもぷるぷるぷる。
「……はぁ。それじゃ、一緒に部屋でぐだぐだすっか?」
沙夜は嬉しそうにコクコクうなずいた。なんとなく嬉しそうな顔にチョップしてから、部屋に戻る。
「…………(怒)」
チョップされて怒ってるのか、沙夜はちょっとむくれながら部屋に入ってきた。
「そう怒るな。ただの外出を邪魔された腹いせだ」
沙夜は怒ってるぞー、という雰囲気を振りまきながら俺のベッドに座った。
「さて……することないな。することないからどっか行こうとしたわけだし」
何をするかな、と思いながら座布団に座る。その俺に座る沙夜。
「重い」
ぷるぷるぷる。重くないらしい。
「いや、重いっての」
またもぷるぷるぷる。
「ていうか、怒ってたんじゃないのか」
しばしの沈黙(まあ、いつも黙ってるのだけど)の後、沙夜はくるりと体を回転させ俺と相対すると、俺のほっぺをむにーっと引っ張り、にっこり笑った。
「えーと。これで帳消し、ってコトか?」
コクコクうなずく平和そうな顔を鷲づかみする。慌ててる雰囲気が手の奥から伝わってくる。
「帳消しの上書き」
手を離すと、はぅーって顔になってた。やれやれ、困ったちゃんだぜー、とでも言いたげな顔がむかちゅく。
「……まあいいや。そうだ、録り貯めしてたビデオでも見るかな」
沙夜を膝に乗せたまま、リモコンでテレビをつける。そのままビデオを再生しようとリモコンを操作する俺の手を、沙夜が制した。
「ん?」
ぷるぷるぷる。ダメらしい。テレビを見ると、動物系の番組をやってた。
「いや、これ再放送だし。見たことあるだろ?」
コクコク。
「ならいいじゃん。ビデオ片付けたい」
ぷるぷるぷる。リモコンを制される。ていうか奪われた。
「返して」
ぷるぷるぷる、と首を振りながらも、沙夜はテレビに夢中だ。
「はぁ……このワガママ娘が」
まあ、どうしても見たかったわけではない。沙夜と一緒に俺も見るか。
ぼんにゃりテレビを眺める。芸能人と希少動物とのふれあいがテーマの番組のようだ。沙夜には悪いが、正直あまり興味がないので、ちょい退屈。手慰みに沙夜のほっぺをむにむにする。
「…………」
ちょっと俺を見上げた後、沙夜はむにむにしてる俺の手を自分の手で包んだ。
「沙夜、この番組面白いか?」
コクコク。
「そか。俺は捕食シーンが早く見たい。トドがペンギン喰らうようなやつ」
沙夜は俺の顔をぺちぺち叩いた。
「いやいや、いいじゃん別に。それも自然の一部だし」
ぷるぷるぷる。自然の一部ではないらしい。
「いやいやいや。あるって。何なら今見せてもいいぞ。youtubeとかにあるだろうし」
パソコンを起動するため立ち上がろうとする俺を、必死で押し留める沙夜。
「まあそう遠慮するな」
今までにない激しさで首を横に振る沙夜。何が何でも嫌らしい。
「そんな嫌か?」
コクコクコク!と、ちょっと面白いくらいの速度で首を縦に振りまくる沙夜。首痛めるぞ。
「じゃ、やめる」
安堵したように沙夜は息を吐いた。
「代わりに虫の捕食シーンのアップを撮影したものを」
さっきよりも激しい抵抗にあう。
「嫌か? そんなわけないよな、虫族のヒエラルキーの頂点に立つ沙夜が、常日頃虫を捕食してはニヤリと笑ってる沙夜が嫌がるわけないよな」
そんなのに立った覚えはない、とでも言わんばかりに沙夜は俺をぺしぺし叩いた。
「で、今日は何食べた? バッタ?」
がぶりと俺の肩を噛む沙夜。俺を食うらしい。
「いてててて! 分かった、分かったから噛むな!」
しぶしぶ俺から口を離すと、沙夜は恨めしげに俺を睨んだ。
「んな顔すんな。冗談だよ」
沙夜の頭に手を載せ、なでなでなで。
「…………」
ちょっとだけ不服そうで、ちょっとだけ嬉しそうな沙夜だった。
「それはそうと、テレビ見なくていいのか?」
俺に言われて気づいたのか、沙夜は慌ててテレビの方を向いた。スタッフロール流れてた。
「…………」
じぃぃぃぃっ、と俺を睨む沙夜。
「いや、そんな顔されても。まあ確かにお前で遊んで時間食ったのは確かだけど、もうテレビ点けた時点で半分以上終わってたし、その、ええと、……ごめんなさい」
軽くため息をつき、沙夜は俺の頭をなでなでした。許してくれるらしい。
「正直俺に責任はないと思うが、許してくれるならいいや。じゃ、そろそろビデオを片付けに入りますか」
そう言って沙夜からリモコンを受け取ろうとするも、渡してくれない。
「沙夜?」
沙夜は俺に抱きつくと、胸に顔を押し付けた。
「ええと、ビデオ見たいのだけど」
ぷるぷるぷる。ダメらしい。
「いや、しかし、休みくらいしかビデオ片付ける暇ないし」
ぷるぷるぷる。やっぱりダメらしい。
「……はぁ。ったく、このワガママ娘め」
「…………♪」
沙夜は俺から顔を離すと、にぃーっと笑った。その顔にチョップを落とす。
「チョップ軍隊だから仕方ないんだ」
落としたチョップを両手で掴み、がぶがぶ噛む沙夜。
「痛え」
しばらく噛んで満足したのか、沙夜は俺の指をちゅぱちゅぱ舐め始めた。
「赤子か。泣き赤子か」
俺の話なんてちっとも聞かず、沙夜は俺の指をちゅーちゅー吸った。そうはさせじと沙夜の舌を掴む。
「秘技、舌掴み。ジョブがエンマ様だとこの後、舌引っこ抜きのコンボが可能だ」
しかし俺のジョブはただの学生なので、せいぜい空いた手で沙夜のほっぺをなでなでするくらいだ。
「…………」
舌を解放すると、沙夜は優しく俺の指をかぷかぷ噛んだ。どこかとろんとした目つきで俺を見てる。
「指マニアめ。将来はヤクザの落とした指を集めるに違いない」
かぷかぷがガリガリに移行したので痛い。
「痛い痛い痛いッ! ええいっ、もう終わり!」
沙夜の口から指を引き抜く。あー痛かった。
「…………」
もっとしたかったのに、と不満いっぱいな様子で俺を見る沙夜。
「また今度だ、今度。これ以上やられると指がふやけて肉が削げて骨が出てくる」
沙夜は俺の顔にチョップした。怖いこと言うの禁止らしい。
「それが嫌なら、今日は抱っこに終始してはいかがかな?」
ちょっと小首を傾げ何事か考えた後、沙夜は俺に抱きついてきた。
「んむ。それがいい」
「…………」
ばれないように、沙夜はそーっと俺の指に手を伸ばした。
「だから、今日は終わりだっての! また後日! ……ったく」
残念そうな沙夜をなでる俺だった。
「……えーと、だいじょぶか?」
涙目でおでこを押さえてる幼馴染の沙夜がドアの影から現れた。悲しそうに俺を見上げながら、廊下に座り込んでる。
「…………」
物言いたげな瞳でじぃぃぃぃっと見られると、なんだか俺が悪いような気がしてくる。
「いや、まさかこんなところにいるとは思わなくて。悪かった。じゃ、そゆことで」
押さえてるおでこをなでなでしてから、沙夜をまたごうと足を上げたら、足首を掴まれた。
「ええと、そこを掴まれると進退窮まるのですが」
「…………」
またしてもじぃぃぃぃっと。
「……えーと。遊びに来たのか?」
こっくり、とうなずく沙夜。
「いや、しかし俺は外出するつもりだったんだけど。そうだ、お前も一緒に来るか?」
ぷるぷるぷる、と首を横に振る。
「そっか。んじゃ、俺一人で行って来るな」
またしてもぷるぷるぷる。
「……はぁ。それじゃ、一緒に部屋でぐだぐだすっか?」
沙夜は嬉しそうにコクコクうなずいた。なんとなく嬉しそうな顔にチョップしてから、部屋に戻る。
「…………(怒)」
チョップされて怒ってるのか、沙夜はちょっとむくれながら部屋に入ってきた。
「そう怒るな。ただの外出を邪魔された腹いせだ」
沙夜は怒ってるぞー、という雰囲気を振りまきながら俺のベッドに座った。
「さて……することないな。することないからどっか行こうとしたわけだし」
何をするかな、と思いながら座布団に座る。その俺に座る沙夜。
「重い」
ぷるぷるぷる。重くないらしい。
「いや、重いっての」
またもぷるぷるぷる。
「ていうか、怒ってたんじゃないのか」
しばしの沈黙(まあ、いつも黙ってるのだけど)の後、沙夜はくるりと体を回転させ俺と相対すると、俺のほっぺをむにーっと引っ張り、にっこり笑った。
「えーと。これで帳消し、ってコトか?」
コクコクうなずく平和そうな顔を鷲づかみする。慌ててる雰囲気が手の奥から伝わってくる。
「帳消しの上書き」
手を離すと、はぅーって顔になってた。やれやれ、困ったちゃんだぜー、とでも言いたげな顔がむかちゅく。
「……まあいいや。そうだ、録り貯めしてたビデオでも見るかな」
沙夜を膝に乗せたまま、リモコンでテレビをつける。そのままビデオを再生しようとリモコンを操作する俺の手を、沙夜が制した。
「ん?」
ぷるぷるぷる。ダメらしい。テレビを見ると、動物系の番組をやってた。
「いや、これ再放送だし。見たことあるだろ?」
コクコク。
「ならいいじゃん。ビデオ片付けたい」
ぷるぷるぷる。リモコンを制される。ていうか奪われた。
「返して」
ぷるぷるぷる、と首を振りながらも、沙夜はテレビに夢中だ。
「はぁ……このワガママ娘が」
まあ、どうしても見たかったわけではない。沙夜と一緒に俺も見るか。
ぼんにゃりテレビを眺める。芸能人と希少動物とのふれあいがテーマの番組のようだ。沙夜には悪いが、正直あまり興味がないので、ちょい退屈。手慰みに沙夜のほっぺをむにむにする。
「…………」
ちょっと俺を見上げた後、沙夜はむにむにしてる俺の手を自分の手で包んだ。
「沙夜、この番組面白いか?」
コクコク。
「そか。俺は捕食シーンが早く見たい。トドがペンギン喰らうようなやつ」
沙夜は俺の顔をぺちぺち叩いた。
「いやいや、いいじゃん別に。それも自然の一部だし」
ぷるぷるぷる。自然の一部ではないらしい。
「いやいやいや。あるって。何なら今見せてもいいぞ。youtubeとかにあるだろうし」
パソコンを起動するため立ち上がろうとする俺を、必死で押し留める沙夜。
「まあそう遠慮するな」
今までにない激しさで首を横に振る沙夜。何が何でも嫌らしい。
「そんな嫌か?」
コクコクコク!と、ちょっと面白いくらいの速度で首を縦に振りまくる沙夜。首痛めるぞ。
「じゃ、やめる」
安堵したように沙夜は息を吐いた。
「代わりに虫の捕食シーンのアップを撮影したものを」
さっきよりも激しい抵抗にあう。
「嫌か? そんなわけないよな、虫族のヒエラルキーの頂点に立つ沙夜が、常日頃虫を捕食してはニヤリと笑ってる沙夜が嫌がるわけないよな」
そんなのに立った覚えはない、とでも言わんばかりに沙夜は俺をぺしぺし叩いた。
「で、今日は何食べた? バッタ?」
がぶりと俺の肩を噛む沙夜。俺を食うらしい。
「いてててて! 分かった、分かったから噛むな!」
しぶしぶ俺から口を離すと、沙夜は恨めしげに俺を睨んだ。
「んな顔すんな。冗談だよ」
沙夜の頭に手を載せ、なでなでなで。
「…………」
ちょっとだけ不服そうで、ちょっとだけ嬉しそうな沙夜だった。
「それはそうと、テレビ見なくていいのか?」
俺に言われて気づいたのか、沙夜は慌ててテレビの方を向いた。スタッフロール流れてた。
「…………」
じぃぃぃぃっ、と俺を睨む沙夜。
「いや、そんな顔されても。まあ確かにお前で遊んで時間食ったのは確かだけど、もうテレビ点けた時点で半分以上終わってたし、その、ええと、……ごめんなさい」
軽くため息をつき、沙夜は俺の頭をなでなでした。許してくれるらしい。
「正直俺に責任はないと思うが、許してくれるならいいや。じゃ、そろそろビデオを片付けに入りますか」
そう言って沙夜からリモコンを受け取ろうとするも、渡してくれない。
「沙夜?」
沙夜は俺に抱きつくと、胸に顔を押し付けた。
「ええと、ビデオ見たいのだけど」
ぷるぷるぷる。ダメらしい。
「いや、しかし、休みくらいしかビデオ片付ける暇ないし」
ぷるぷるぷる。やっぱりダメらしい。
「……はぁ。ったく、このワガママ娘め」
「…………♪」
沙夜は俺から顔を離すと、にぃーっと笑った。その顔にチョップを落とす。
「チョップ軍隊だから仕方ないんだ」
落としたチョップを両手で掴み、がぶがぶ噛む沙夜。
「痛え」
しばらく噛んで満足したのか、沙夜は俺の指をちゅぱちゅぱ舐め始めた。
「赤子か。泣き赤子か」
俺の話なんてちっとも聞かず、沙夜は俺の指をちゅーちゅー吸った。そうはさせじと沙夜の舌を掴む。
「秘技、舌掴み。ジョブがエンマ様だとこの後、舌引っこ抜きのコンボが可能だ」
しかし俺のジョブはただの学生なので、せいぜい空いた手で沙夜のほっぺをなでなでするくらいだ。
「…………」
舌を解放すると、沙夜は優しく俺の指をかぷかぷ噛んだ。どこかとろんとした目つきで俺を見てる。
「指マニアめ。将来はヤクザの落とした指を集めるに違いない」
かぷかぷがガリガリに移行したので痛い。
「痛い痛い痛いッ! ええいっ、もう終わり!」
沙夜の口から指を引き抜く。あー痛かった。
「…………」
もっとしたかったのに、と不満いっぱいな様子で俺を見る沙夜。
「また今度だ、今度。これ以上やられると指がふやけて肉が削げて骨が出てくる」
沙夜は俺の顔にチョップした。怖いこと言うの禁止らしい。
「それが嫌なら、今日は抱っこに終始してはいかがかな?」
ちょっと小首を傾げ何事か考えた後、沙夜は俺に抱きついてきた。
「んむ。それがいい」
「…………」
ばれないように、沙夜はそーっと俺の指に手を伸ばした。
「だから、今日は終わりだっての! また後日! ……ったく」
残念そうな沙夜をなでる俺だった。
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