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2024年11月21日
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【はらぺこボクっ娘】

2010年05月07日
 放課後、しっぽを振ってついてくるボクっ娘を連れだらだら帰っていたら「ぐぅ」と盛大な音がした。
「ボクっ娘、はらぺこか?」
「は、はらぺことか言うなよぉ! それにボクっ娘じゃなくて梓! 覚える気ないんでしょ!?」
「はらぺこキャラのためにどっかで飯食うか。マックでいいな?」
「う……べ、別にいいけど」
 頭をなでると途端に大人しくなるので、大変便利。ただ、頬を染めるのはやめて。
 そんなわけではらぺこを連れマックへ。店内は学校帰りの学生達が多数たむろっていた。
「多いな……はらぺこ、薙ぎ払え」
「無理だよ! はらぺこって呼ぶな!」
 仕方ないので大人しく列に並ぶ。しばらく待つと、俺と同じくらいの年の可愛い店員さん笑顔を向けてくれた。
 そして、ここで食えとか一緒に揚げ芋を食えとか一所懸命ナンパするので、意を汲んで席に招待したら梓に叱られた。
「あれはナンパじゃなくてマニュアルなの! 分かれよぉ!」
「分かった上での行為だ」
「余計タチ悪いよぉ!」
 なんか知らんが怒ってる梓をからかってると、店員さんがハンバーガーを持ってきた。俺が二個、梓が一個。
「はらぺこなのに一つで足りるのか?」
「はらぺこはらぺこ言うなよぉ……。ボク、そんなはらぺこじゃないもん」
 なんて言いながらすでに包み紙を破っている梓ははらぺこだと思う。
「もにゅもにゅ……おいしいねぇ」
 さっきまで怒っていたのに、もう笑顔を見せてくれる。簡単というか子供というか可愛いなぁ。
 などといつまでも梓の顔を見ていても仕方ないので、俺も彼女に倣いハンバーガーにかぶりつく。
「うん、結構うまいな。やはり死んだ獣の肉をすり潰した物はうまい」
 梓が嫌そうな顔をした。
「タカシって、デリカシーないよね」
「そうでもないぞ。食事中に下の話題はできるだけ避けるようにしている。ところで今朝トイレ行ったら史上稀に見る大物が」
「言ってる傍から何言ってんだよぉ!」
 梓のハンバーガーを口に突っ込まれる。
「むぐむぐ……うまい」
 ぺろりと一口で平らげ、ついでに梓の指もれろん。
「うひゃっ!? な、何すんだよぉ!」
「妖怪指舐め。ボクっ娘やらはらぺこやらの指を舐めて暮らす可哀想な妖怪」
「全部ボクのことじゃないかよぉ! それに可哀想ってどういうことだよぉ! もー怒った、コレ没収!」
 梓は俺の残ったハンバーガーを奪い、そそくさと噛り付いた。
「あっ、俺のチキンバーガー! 貴様、俺の鳥さんを返せ!」
「やだよーだ! 罰だもん、もうボクのだもん!」
 言いながらも梓は食いきってしまった。
「はらぺこの本領発揮か……くっ、侮っていた」
「だから、はらぺこって言うな!」
 怒りながらも腹が膨れて満足したのか、梓は笑顔だった。

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