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2024年11月23日
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【ツンデレにねこみみ渡してみた】

2010年04月10日
 萌え系の漫画を買ったら、初回限定でネコミミがついてきた。自分でつけて鏡を見たが、死にたくなったので即外した。
 やはりここは娘さんにつけるべきだろう。というわけで、懐にネコミミを隠して学校内を闊歩してると小さな先輩を見つけた。
「先輩、こんちは」
 先輩はとても小さな声で“こんにちは”と言い、ぺこりとお辞儀した。
「そーだ先輩、先輩は大人だからなんだってできるよな?」
 とーぜん、と小さな胸を反らす先輩に、俺は笑って懐の品を先輩に渡した。
「んじゃ、これつけて♪」
「…………」
 ネコミミをじっと見ること数秒、先輩は小さな小さな声で「変態」と言った。
「ちっ、違う! いや、自信ないけど!」
「…………」
 先輩はいつもの眠そうな目で俺をじーっと見た。
「え、えと、先輩がネコミミつけたらどうなるかな~? きっと、女神も羨むほど可愛くなるだろうな~?」
「…………」
「え? 可愛いより、キレイって言われたい? うーん……先輩、人間には分相応って物があるんだぞ?」
 先輩はいきなり俺の体をよじのぼり、ほっぺを思い切り引っ張った。
「……先輩、なんでそこまでして俺のほっぺを引っ張るですか?」
「…………」
「え、悪いことしたらほっぺを引っ張るのが普通? ……そうか、先輩の家ではそうなんだな」
 母親にほっぺを引っ張られ、半泣きの先輩を想像し思わずにやける。
「…………」
「え? 顔が気持ち悪い? 失礼な、見ただけで股ぐらが濡れそぼるほどの美男子だろう?」
 先輩は小さく「ばーか」と言い、地面に飛び降りた。
「とにかく、ネコミミつけて。見たいんだ、先輩の艶姿を。きっと……えへん、キレイだろうなぁ~」
 先輩はネコミミを見て、何か考えている様子だった。……あと一押しか?
「先輩、つけてくれたら後でお菓子おごってやるよ」
 先輩の目が怪しくきらめいたかと思うと、もう先輩の頭にネコミミが装着されていた。
「先輩、簡単だな……」
 口を尖らせ「簡単じゃないもん」とぶーたれる先輩だが、いやしかしこれは……。
「たまらんな……いかん、鼻血出そう」
 鼻を押さえる俺を見て、先輩は不思議そうな顔をして首を傾げた。……だから、そういう仕草がもう、もう!
「ああもうダメだ! 先輩、ちょっと保健室行こう保健室! 手でいいからお願いもうダメなのです!」
 先輩を小脇に抱え、保健室に突撃。
「おや、いらっしゃい」
 先生が気だるそうにタバコを燻らせながら、俺を迎えた。
「なんだ、別府と……猫?」
 先輩がにゃーと鳴いた。
「先生、ちょっと席外して!」
「……構わんが、何をするつもりだ?」
「ちょっと先輩とエロいことを!」
 しまった、つい本音が!
「……別府、ちょっと来い」
「あ、いや、違うのです! 手、手でしてもらおうとしただけで! 挿れるつもりは毛頭ないわけで!」
「……おまえなぁ、子供になんてことしようと……」
 先輩が俺に抱えられたまま小さく「子供じゃないもん、大人だもん」と言ってるが、それどころではない! このままではまた教師連中に吊るされる!
「いてててて急な腹痛! たぶんガン! なので早退しまっす!」
 先輩を置いて逃げようとしたら、わっしと肩を掴まれた。
「まぁそう言うな。ちょっと私と一緒に職員室行こう。ははっ、今日の職員会議の議題ができた」
「ははははは、これは愉快なことを。……冗談だよね?」
 にやりと笑みを見せる先生に、さてどうやって言い訳するかと思いながら、一緒に保健室を出た。

 口八丁でどうにかこうにか危機を脱し職員室を出る頃には、もう窓から夕日が差し込む時間帯になっていた。
 疲れ果てた体を引きずって教室に戻ると、先輩がいた。ネコミミのままで。
「先輩? どしたの?」
「…………」
「え? 待ってた? お菓子? ……ああ、そういやそんな約束してたっけ。今日は疲れたからまた後日……というのは嘘で、今すぐ買いに行こうな」
 先輩が泣きそうになったので慌てて買いに行くと言うと、先輩は晴れ晴れとした笑顔を見せた。
「……嘘泣き?」
 俺の疑問に答えることなく、先輩は嬉しそうに俺の腕にしがみつき、「早く、早く」と急かすのだった。

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