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2024年11月21日
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【お嬢様と執事】

2010年06月02日
「タカシ! ちょっとタカシ! いないの!?」
「へーへー、なんか用かお嬢様」
「何ですの、その口の利き方は。私が貴方の借金を肩代わりする代償に、執事になったんでしょう? もっと言葉遣いをしっかりなさい」
「くっ……カシコマリマシタ、お嬢様。で、なんか用ですか? こう見えても掃除やら飯の準備やらで忙しいんですが」
「肩がこったの。揉みなさい」
「……お嬢さん、俺の話を聞いてましたか?」
「そんなことは、他の使用人にやらせればいいんです。貴方は大人しく私の言うことをきいてればいいのよ」
「……(チクショウ、借金さえなけりゃ!)分かりました、お嬢様。では、揉ませて頂きます」
 リナの細く、すべすべな肩を揉む。
「んっ……そうそう、上手よ」
「……お嬢様、全然こってませんが」
「えっ!? そっ、そう? じゃ、じゃあ、腰を揉みなさい」
 そう言って、リナはベッドに横になった。言われるがまま、腰を揉む。
「……お嬢様、やっぱりこってません」
「そ、それじゃ……胸?」
「できるか」
 思わずタメ口で突っ込んでしまう。
「じ、冗談よ冗談! 当たり前じゃないの、おほほほほ! ……はぁ」
 リナはなんだかがっかりしていた。……揉まれたいのか?
「用事がないなら行きますよ。仕事はいくらでもあるんですから」
「あっ……ま、待って! そうだ、お茶! お茶を淹れなさい!」
 俺は軽くため息をついて、部屋に備えられたティーセットで紅茶を淹れた。
「……ん、ダメね。温度の調整もなってないし、葉も入れすぎね」
「悪かったですね。紅茶なんてティーパックぐらいでしか飲んだことないもんで」
 自分の無知が恥ずかしくて少しぶっきらぼうに言うと、リナは楽しそうにクスクスと笑った。
「仕方ないわね。私が美味しいお茶を淹れてあげますから、これから毎日それを飲んで勉強なさい」
「毎日!?」
「そうよ。執事が美味しいお茶を淹れられないなんて大問題だわ。いいわね? 毎日部屋に来るのよ? 絶対よ? 来ないとひどいわよ?」
 何か別の理由が見え隠れしたが、俺はあえて気にせず「分かりました、お嬢様」と笑って言った。

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【食べすぎツンデレ】

2010年05月26日
 リナが庶民のご飯を食べたいと言うので、晩飯をご馳走した。
「ちょ、ちょっと食べ過ぎましたわね。う~、苦しいですわ……」
「うまいからって、がっつくからだ」
 食器を片付けながらそう言うと、案の定噛み付いてきた。
「だ、誰もおいしいなんて言ってません! ただ、残したら悪いと思っただけですわ!」
「へーへー。で、デザートにコンビニで買ったプリンがあるんだが、食うか?」
「コンビニ……知ってますわ! あれですわ、24時間開いてる便利なお店! 合ってますでしょ?」
 そんな知ってて当然なことを目を輝かせて言われても、返事に窮する。
「で、食うか? それとも腹いっぱいだから、食わんか?」
「甘いものは別腹と言う言葉は、わたくしにも当てはまりますの。いただきますわ」
「甘いものはベル腹? よく分からんが、腹が鳴るということだな。つまりは、空腹か。どんだけ食うんだ、おまえ牛か」
「べ・つ・ば・ら、ですわ!」
 ほっぺをぎゅーっと引っ張られる。痛い。
「いいから寄越しなさいな。……もにゅもにゅ、ふむ、随分と大味ですわね」
「うっせ。安もんなんだよ」
「いえ、これはこれで大変美味しいですわ。このチープな感じがたまりません」
 馬鹿にされているような気がしてならないが、まぁいいや。
「……? タカシは食べないのですか?」
「あー、一個しか買ってないんだよ。いーから食え。今日はお前がお客さんだ」
「そうはいきませんわ。幸せなことは皆で分け合うのが当然ですのよ。さ、口を開けなさい」
「……まさか、食わせる気か!」
「わたくしに食べさせてもらえるなんて、僥倖もいいところですわよ。ほら、観念なさい♪」
「いーーーやーーーだーーーッ! チクショウ、何笑ってんだよ、リナ!」
「うふふふふっ、なんだか楽しいですわ。ほーら、あーん♪」
「ぜってー嫌だ! 誰が食う……むぐむぐ」
「うふふふっ、そんな大口開けてるから、食べさせられるんですのよ♪」
「がーーーーーー! やめれ! もう絶対おまえなんか招待しねえ!」
「あら、そうはいきませんわ。こんな楽しいこと、今日だけで終わらせるなんてもったいないですわよ。明日も明後日もその次も、ずーっと一緒に食べましょうね♪」
 リナの笑顔に、俺はため息をついた。

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【牛リナ】

2010年05月24日
 牛の鼻が濡れているかどうかでリナと大激論になった。翌日、登校したらリナが牛っぽくなってた。
「おーほっほっほっほっ! 牛ですわ! 牛ですわよ!  もー、ですわ!」
「馬鹿」
 それだけ言って自分の席に座る。
「なんですのっ!? 昨日の決着がまだですわよ! いいこと? 牛の鼻は乾いてる。間違いなくってよ」
「だーかーら、それはお前の勘違いだっての。牛の鼻は濡れてんだよ。絶対だって」
「なら確認なさい!」
 リナは俺の手をとり、自分の鼻を触らせた。
「ほら、いかが? 濡れてないでしょう? わたくしは今、牛なんです。つまり、牛の鼻は濡れてないのですよ!」
 なんつー無茶苦茶な理論を組み立てやがるかな、このお嬢様は。鼻つまんでやれ。
「ふひゃー!? はひふふんへふほ!?」
「何言ってるのかわからん。牛だからか?」
「……ふんっ! いきなり何するんですの! まったく、これだから庶民は嫌なんです」
「屁理屈こねるブルジョワよりマシだけどな」
「ブルジョワって誰のこと言ってるんですのーっ!」
「なんか耳かゆいな。耳掻きない?」
「聞いてませんわね! 聞いてらっしゃいませんわね! あと耳掻きは持ってませんわよ!」
 いちいち反応してくれるリナは律儀だ。
「いいから負けを認めなさい! 牛の鼻は濡れてない。わたくしの鼻を見れば一目瞭然でしょう!?」
「そういうことなら、れろん」
 リナの鼻を舐める。
「ひっ……!」
「これで牛であるリナの鼻は濡れてる。ゆえに、牛の鼻は濡れていることが証明されたな」
「い、い、いきなり何するんですのー!?」
「妖怪鼻舐め。主に女性の鼻を舐める。たまに道端の糞を誤って舐め、死ぬほど落ち込みます」
「何を言ってるんですの! ……はぁ、もういいですわ。なんだか疲れましたわ」
「話は終わったか、別府?」
「ええ」
 俺は悪くないはずなのに、ものすごい先生に怒られた。リナは無罪放免って、なんで? 金持ちパワー?

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【ツンデレと雨宿り】

2010年05月16日
 急な通り雨に道をふさがれ、俺はぼーっと雨宿りしていた。やまないな、と思っていると隣に誰かやってきた。
「……リナ?」
「あら、タカシじゃないの。奇遇ですわね」
「なんでこんなとこにいるんだ? 車で帰ったんじゃないのか? 急に貧乏になったのか?」
「なってません! 今日は少し歩きたい気分でしたの。……でも、ついてませんわね。急に雨が降ってきますし、隣にタカシがいますし」
「前者は認めるが、後者はむしろ幸運なことだぞ」
「……何を言ってるのかしら。それにしても、嫌な雨ね……。早くやまないかしら」
 リナにつられ、俺も空を見上げる。重苦しい雲は視界いっぱいに広がり、まだまだやむ気配を見せなかった。
「本格的に降りそうだな……まいったな」
「ええ、本当に参りましたわ。このままタカシの側にいるという苦行を強いられるのは非常に辛いですわね」
「…………」
 リナはなかなか辛辣だ。ちょっと泣きそう。
 それからしばらく待ったけど、雨が止む気配はない。……無言が続いて、どうにも居心地が悪い。適当な話題を振るか。
「あ、そうだ、腹減ってないか? 俺チョコ持ってんだけど、よかったらやるよ」
 ポケットからチョコを取り出し、何か言われる前にリナに渡す。
「随分と強引ですわね……。それにしても、どうしてチョコレートなんて持ってますの?」
 リナがチョコを口にするのを待って、俺は言った。
「いつ遭難しても大丈夫なようにな。保存食と聞いたことがある」
「……ひょっとして、古いんですの?」
「ワインとかは古いほうが美味しいって聞いたが」
「これはチョコレートですわ!」
 リナはハンカチを取り出して口元を覆い、チョコを吐き出してしまった。
「ああ、もったいない……」
「まったく、タカシときたら……ああ、何食べてるんですの! ここにお出しなさい!」
 俺がチョコを頬張るのを見て、リナは慌てた様子でハンカチを広げた。ちょっとチョコがついてる。
「むぐむぐ……大丈夫だよ、腹は丈夫な方だし」
「何言ってるんですの!? 万が一、ということがあるでしょう! ほら、早く!」
「やだ。もったいない。むぐむぐ……むがぁ!」
 リナは強引に俺の口を開き、中のチョコを取り出そうとした。
「ああ、もうほとんど溶けてますわ……もう、何を考えてますの!」
 それはお前に聞きたい。
「古いチョコを食べて、お腹を壊して、……それで死んだりしたらどうするんですの!」
「いや、そんなもんで死んだりはしないと思うが……」
「いいから! もうこんなことはしないと約束なさい!」
 えらい剣幕に、思わずうなずいてしまう。
「よろしい、それでいいのです。……まったく、タカシはダメですわね。一人で放っておくと野垂れ死ぬんじゃないかしら?」
 そこまでダメ人間じゃない、と否定できないのが少し悲しい。
「じゃあリナが面倒見てくれ」
 仕返しとばかりにそう言うと、リナは頬を染めてまくし立てた。
「なっ、なにを言ってるんですの!? なんで私がタカシなんかの面倒を見なくちゃならないんですの!?」
「放っておかれたら死ぬから」
 自分で言っておいてなんだが、小動物か何かか、俺は。
「小動物みたいですわね……」
 ほらみろ、リナにも思われた。
「あーもういいや。ぼちぼち小雨になってきたし、帰ろうぜ」
 リナに手を差し出すが、受け取ってくれない。
「え、でもまだ少し降ってますし、もう少し……」
「いいから!」
 リナの手を強引に取り、俺はそぼ降る雨の中に飛び出した。
「きゃっ! ……もう、本当に強引ですわね」
 ため息をつくリナの笑顔を見て、雨も悪くないと思いながら俺たちは走った。

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【借り物競争なツンデレ】

2010年05月15日
 運動会だ。わーいわーい。かったりぃ。
 かったるいのでパン食い競争だけ出場する。これだけは得意だ。で、あとはたらたら終わるのを待つ。待ってると、借り物競争が始まった。お、リナが出場してる。
 ぼんやりリナを見てると、聞き覚えのある声がスピーカーからノイズ交じりに聞こえてきた。
『はい、始まりました注目の競技、借り物競争です。実況はあたし、椎水かなみと』
『……みんなのラブリーアイドル、ちなみがお送りします』
『ラブリーアイドルって何!?』
『……密かに大人気。にひ。……そんなことより、実況しないと』
 ……姿が見えないと思ったら、何やってんだ二人とも。
『あっ、そ、そうね。えーと……あ、もう始まってる! リナ選手速い! 一番に紙を取りました!』
 走るリナの揺れるおっぱいを見てたら、こっちにやってきた。
「おっぱいは見てませんよ?」
「何の話ですの? そうじゃなくて、貸して頂きたいのですけど」
「任せろ!」
 勢いよく服を脱いだら怒られた。
「何やってるんですの!?」
「貸してもらうのは『全裸の男子高校生』じゃないのか?」
「そんなわけないです! 貸してもらうのは……ええと、その……」
「? やっぱり全裸の男子高校生か?」
「違います! ああもう、いいから来なさい!」
「あっ、おい、ちょ!」
 パンツ一丁でリナに手を引かれ走る。
『おおっと、リナ選手の借り物は我が校の誇る問題児、別府タカシのようです! トランクスしか履いてません! 相変わらず馬鹿ねーアイツ!』
「うっせー! こっちにも色々事情っつーもんがあんだよっ!」
『……タカシは露出狂、と。……めもめも』
「メモんな、ちなみッ!」
「いいから、早く走りなさい! みんな戻って来てますわよ!」
 リナの言うとおり、確かに他の競技者たちが続々と戻ってきている。ここまで恥ずかしい格好して負けるのもつまらん。
「よし、行くぞ!」
「あっ……」
 俺はリナの手を取り、全力で走った。
『速い、速いですリナ、タカシペア! やはりパンツ一枚というのが効いているのでしょうか!?』
 後で覚えてろ、かなみ。
『……がんばれー、みんながんばれー。パンツ男ふぁいとー』
 パンツ男とか言うな、ちなみ。
 かなみとちなみの口撃に耐え、どうにか一番にゴールできた。
「はぁはぁ……やったな、一番だぞリナ!」
「え、ええ、あなたみたいな者でも少しは役に立ちましたわ」
「んで、借りる物って何なんだ?」
「あ、えっと、それは……きゃっ、お返しなさい!」
 リナの手にある紙を奪い取り、中に書かれたものを見る。
「……『一番大切な人』?」
「わっ、私には大切な人はたくさんいますが、その、思いついたのが偶然、ぐ・う・ぜ・ん、あなただけだっただけですわ! い、一応貴方も私の友人ですし、その……た、他意はありませんことよ!?」
 赤い顔で必死に言い訳するリナに、俺は笑って頭を撫でてやった。
「サンキュ、リナ。嬉しいぞ」
「な、なでないで頂けませんこと? 子供じゃないのですから、そ、そんなことされても嬉しくは……」
 なに顔をにやけさせながら言ってるかなぁ、このお嬢さんは。
「確かにこの乳は子供じゃないなぁ」
 圧倒的な存在感を示すリナの乳を指先でつつく。むにむに。
「……ふ、ふふふ。……覚悟はよろしくて?」
 リナの目の色が変わった。全力で逃げ出す。
『おおっと、タカシが逃げました! またいらんことしたのでしょう! それをリナ選手が鬼神の如き表情で追いかけます!』
『……がんばれー、捕まったら死ぬよー』
「うるさい、おまえらちゃんと仕事しろ!」
 振り返ってかなみたちに返事したのが悪かった。
「……さぁ、どのような仕置きがよろしいでしょう?」
 リナに捕まってしまった。にこりと笑う彼女の顔に、俺は恐怖した。
『と、いうわけで実況はあたし、椎水かなみと』
『……ちなみがお送りしました』
 拍手喝采の中、俺はパンツ一丁で怒りの治まらないリナに引きずられていた。

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