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2024年11月21日
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【ハナ エイプリルフール】
2013年04月07日
「エイプリルフールという話だが」
「はや」
4月1日、恋人であるところのハナを呼び出した俺は、唐突にそう切り出した。
「なので、騙しますね」
「困ります」
「む。困られては困りますね」
「はや。じゃ、いいです。騙してください、彰人くん」
「なんという心がけ、素晴らしきは善人思想! 将来は天国行き確定ですね!」
「嬉しいです!」ピョンピョン
「そして俺は悪人なので地獄行きが確定しており、悲しい」
「そんなこと言っちゃダメです! 彰人くんはいい人なので、彰人くんも天国行き確定なのです!」
「ヤッタネ! じゃあ今すぐ殺してください」
「嫌です」
「なんてワガママな」
「今日も彰人くんは無茶苦茶です」
「はい。さて、ではエイプリル嘘、いくぞ!」シュバッ
折角なのでかっこいいポーズを決めてみる。残念ながら一人称視点を変更できないので確認できないが、かっこいいに違いない。
「はや……今日も彰人くんのタコのうねうねポーズは素敵です」
素敵と評されたのは嬉しいが、タコのうねうねポーズと評されてしまった俺のかっこいいポーズが可哀想だ。
「まあいいや。えーと、実は俺はハナが嫌いなんだ」
「…………。た、耐えました。先に嘘って聞いてたから耐えられました。偉いですか?」
「…………」
「あ、彰人くん?」クイクイ
「…………」
「あ、あの、彰人くん? 嘘ですよね? 見破りましたよ? あの、あの?」クイクイ
「…………」プイッ
「あ……。あ、あの、ご、ごめんなさい。毎日いっしょだと、さすがに、つ、疲れちゃいますよね? き、今日は帰りますので、また、もしよかったら、メールでいいから、連絡……してくれると、嬉しいです……」
「……はぁ」
「ふぐっ……あ、あの。……そ、それじゃあ、また新学期に」ポロポロ
「うーそー! 嘘だよー! やーい騙されてやんのばーかばーかばーか!」ムギュー
「もっ……もー! もー! もーもーもー!」ムギュギュー
「嘘をつくとあらかじめ言ったのに、どうして泣きますかね」
「あの態度は酷いです! 私だけでなく、古今東西どんな女の子でも泣いちゃいます!」ポロポロ
「ああはいはい。ごめんな。ごめんな」ナデナデ
「ううー。うううー。ううー!」スリスリ
「では、泣かせたお詫びとして、何かひとつだけ願いを叶えてあげましょう」
「……ホントですか?」
「いや、嘘」
「…………」
「エイプリルフール!」ジャーン
「うううううー!」ポカポカ
「わはは。ハナは愉快だなあ」
「ぐすぐす。今日も彰人くんは冴え渡ってて素敵ですが、少しだけ小憎らしいです」
「小僧という言葉に似てるから、しょうがないね」
「そして今日も思考が謎で素敵です」
それは別に素敵ではないと思う。
「冗談はともかく、お詫びに何か願い事を聞くが、何かあるか?」
「本当ですか? またエイプリルフールですか? ジャーンって口で言うのですか?」
「いや、これは本当。エイプリルフールは関係ない。ジャーンは恥ずかしいから言わないで」
「くすくす。それじゃ、ですね……?」
「あの、ハナさんや」
「なんですか、彰人くん?」
「その、散歩なんてわざわざお願いしなくても、言えばいつでも行くのだけど……」
ハナと手をつなぎ、一緒に近所をぷらぷらと歩いているだけなので、これだけではどうにも申し訳ない。
「いいのです。この季節に、一緒に歩きたかったんです。これは、お願いごとのランキングの中でもかなり上位のことです。地球のドラゴンボールでは叶えられないレベルです。ポルンガならいけます」
「しかし、地球のシェンロンは多数の人間を同時に生き返せられるから、一概にどちらのレベルが高いか言えないぞ?」
「はや……その通りです! 今日も彰人くんの頭脳は冴え渡ってるので大好きです」
「では、冴え渡らなくなると大嫌いになるのか。鍛えないとなあ」
「? 大好きですよ?」
不思議そうな顔で俺の手をきゅっと握るハナ。
「つまり、特に理由もなく好きなのか」
「いいえ」
ハナは小さく頭をふって、俺を見つめた。
「彰人くんだから、好きなんですよ?」
「ぐ……」
ストライク出ました。直球です。久々に大当たりです。ええい。ええい!
「……え、えへへー。照れましたか?」
「ああ。照れたね。ハナと同等程度には」
「わ、私は照れてませんよ!? ええ、ええ!」
「じゃあその顔が真っ赤な理由を述べよ。配点:20点」
「はや、高配点です! し、しかし、理由は不明であり以後ずっと不明なので20点は諦めます!」
「残念……ん?」
行く先に、ちらちらと舞い降る何か。桜だ。そうか、春なんだ。
「綺麗……」
舞い散る桜の中で、空を見上げるハナ。その姿に、思わず息を呑む。情景が完全に一枚の絵画だ。この景色を壊したくない。息すら忘れ、ハナを見つめる。
「……ん? 彰人くん、何してるんですか?」
呼吸を止めていることをジェスチャーで伝えてみる。
「なんでなのですかっ!?」
完全に俺のジェスチャーを読み取ったハナが、無理やり俺の口をこじ開けた。
「ぷはあっ。何をする」
「それはこっちのセリフですっ! なんでいきなり死にかけてるんですかっ!?」
「世界は驚きに満ち満ちているね」
「彰人くんといると、本当にそう思います……」
ぐったりしたかと思うと、ハナは楽しそうにクスクスと笑った。
「ふふっ。……本当に、そう思います。驚きと、幸福に満ち満ちています」
「おや、奇遇ですね。偶然にも、俺もそう感じてますよ」
ハナは一瞬目を見開くと、顔いっぱいの笑顔を見せた。
「えへへっ。素敵な、素敵な時間ですっ♪」
「でっかい幸せです」
「隙あらばアニメをぶち込んできますが、この程度で私の幸福はぐらつきもしませんよ?」
「なんという牙城か……!」
それからしばらく近所をぶらついた後、ハナと一緒に帰りました。
「はや」
4月1日、恋人であるところのハナを呼び出した俺は、唐突にそう切り出した。
「なので、騙しますね」
「困ります」
「む。困られては困りますね」
「はや。じゃ、いいです。騙してください、彰人くん」
「なんという心がけ、素晴らしきは善人思想! 将来は天国行き確定ですね!」
「嬉しいです!」ピョンピョン
「そして俺は悪人なので地獄行きが確定しており、悲しい」
「そんなこと言っちゃダメです! 彰人くんはいい人なので、彰人くんも天国行き確定なのです!」
「ヤッタネ! じゃあ今すぐ殺してください」
「嫌です」
「なんてワガママな」
「今日も彰人くんは無茶苦茶です」
「はい。さて、ではエイプリル嘘、いくぞ!」シュバッ
折角なのでかっこいいポーズを決めてみる。残念ながら一人称視点を変更できないので確認できないが、かっこいいに違いない。
「はや……今日も彰人くんのタコのうねうねポーズは素敵です」
素敵と評されたのは嬉しいが、タコのうねうねポーズと評されてしまった俺のかっこいいポーズが可哀想だ。
「まあいいや。えーと、実は俺はハナが嫌いなんだ」
「…………。た、耐えました。先に嘘って聞いてたから耐えられました。偉いですか?」
「…………」
「あ、彰人くん?」クイクイ
「…………」
「あ、あの、彰人くん? 嘘ですよね? 見破りましたよ? あの、あの?」クイクイ
「…………」プイッ
「あ……。あ、あの、ご、ごめんなさい。毎日いっしょだと、さすがに、つ、疲れちゃいますよね? き、今日は帰りますので、また、もしよかったら、メールでいいから、連絡……してくれると、嬉しいです……」
「……はぁ」
「ふぐっ……あ、あの。……そ、それじゃあ、また新学期に」ポロポロ
「うーそー! 嘘だよー! やーい騙されてやんのばーかばーかばーか!」ムギュー
「もっ……もー! もー! もーもーもー!」ムギュギュー
「嘘をつくとあらかじめ言ったのに、どうして泣きますかね」
「あの態度は酷いです! 私だけでなく、古今東西どんな女の子でも泣いちゃいます!」ポロポロ
「ああはいはい。ごめんな。ごめんな」ナデナデ
「ううー。うううー。ううー!」スリスリ
「では、泣かせたお詫びとして、何かひとつだけ願いを叶えてあげましょう」
「……ホントですか?」
「いや、嘘」
「…………」
「エイプリルフール!」ジャーン
「うううううー!」ポカポカ
「わはは。ハナは愉快だなあ」
「ぐすぐす。今日も彰人くんは冴え渡ってて素敵ですが、少しだけ小憎らしいです」
「小僧という言葉に似てるから、しょうがないね」
「そして今日も思考が謎で素敵です」
それは別に素敵ではないと思う。
「冗談はともかく、お詫びに何か願い事を聞くが、何かあるか?」
「本当ですか? またエイプリルフールですか? ジャーンって口で言うのですか?」
「いや、これは本当。エイプリルフールは関係ない。ジャーンは恥ずかしいから言わないで」
「くすくす。それじゃ、ですね……?」
「あの、ハナさんや」
「なんですか、彰人くん?」
「その、散歩なんてわざわざお願いしなくても、言えばいつでも行くのだけど……」
ハナと手をつなぎ、一緒に近所をぷらぷらと歩いているだけなので、これだけではどうにも申し訳ない。
「いいのです。この季節に、一緒に歩きたかったんです。これは、お願いごとのランキングの中でもかなり上位のことです。地球のドラゴンボールでは叶えられないレベルです。ポルンガならいけます」
「しかし、地球のシェンロンは多数の人間を同時に生き返せられるから、一概にどちらのレベルが高いか言えないぞ?」
「はや……その通りです! 今日も彰人くんの頭脳は冴え渡ってるので大好きです」
「では、冴え渡らなくなると大嫌いになるのか。鍛えないとなあ」
「? 大好きですよ?」
不思議そうな顔で俺の手をきゅっと握るハナ。
「つまり、特に理由もなく好きなのか」
「いいえ」
ハナは小さく頭をふって、俺を見つめた。
「彰人くんだから、好きなんですよ?」
「ぐ……」
ストライク出ました。直球です。久々に大当たりです。ええい。ええい!
「……え、えへへー。照れましたか?」
「ああ。照れたね。ハナと同等程度には」
「わ、私は照れてませんよ!? ええ、ええ!」
「じゃあその顔が真っ赤な理由を述べよ。配点:20点」
「はや、高配点です! し、しかし、理由は不明であり以後ずっと不明なので20点は諦めます!」
「残念……ん?」
行く先に、ちらちらと舞い降る何か。桜だ。そうか、春なんだ。
「綺麗……」
舞い散る桜の中で、空を見上げるハナ。その姿に、思わず息を呑む。情景が完全に一枚の絵画だ。この景色を壊したくない。息すら忘れ、ハナを見つめる。
「……ん? 彰人くん、何してるんですか?」
呼吸を止めていることをジェスチャーで伝えてみる。
「なんでなのですかっ!?」
完全に俺のジェスチャーを読み取ったハナが、無理やり俺の口をこじ開けた。
「ぷはあっ。何をする」
「それはこっちのセリフですっ! なんでいきなり死にかけてるんですかっ!?」
「世界は驚きに満ち満ちているね」
「彰人くんといると、本当にそう思います……」
ぐったりしたかと思うと、ハナは楽しそうにクスクスと笑った。
「ふふっ。……本当に、そう思います。驚きと、幸福に満ち満ちています」
「おや、奇遇ですね。偶然にも、俺もそう感じてますよ」
ハナは一瞬目を見開くと、顔いっぱいの笑顔を見せた。
「えへへっ。素敵な、素敵な時間ですっ♪」
「でっかい幸せです」
「隙あらばアニメをぶち込んできますが、この程度で私の幸福はぐらつきもしませんよ?」
「なんという牙城か……!」
それからしばらく近所をぶらついた後、ハナと一緒に帰りました。
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可愛いなぁ、相変わらず
涙もろいところがまた...