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2024年12月04日
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【放課後になってもツンデレが寝てたら】

2013年05月02日
「zzz……」
 授業が終わりほっとしてると、隣からzが聞こえてきた。見ると、アフリカっぽい所からの留学生であるナコが机の上に頭を載せ、すやンすやンと眠っているではないか。
「ンー……バナナン……おいひい……」
 口元をもぐもぐさせて、夢の中でバナナンとやらを食している模様。チャムチャムか。
 一瞬『ほーら俺様のバナナンを喰らいな』と悪い俺が鎌首をもたげそうになったが、よく考えたら教室で陰部を露出させたら捕まるので、やめた。というかえっちなのはいけないと思います!
 さてどうするか。幸か不幸か今日の授業はこれにて閉幕なので先生に怒られる心配はないが、このまま放って帰り、翌日登校してもまだここで寝てられたら、『このままでは寝る子は育ち、この貧乳が巨乳になってしまうやも!』という危惧のあまり、心労がたたって俺が死んでしまうかもしれない。
 ……くだらないことを考えてないで、とっとと起こそう。ゆっさりゆさゆさ揺すぶってナコを起こす。
「おーい、ナコ。起きろ。授業終わったぞー。いわゆるところの放課後だぞー」
「ン、ン……。ナコ、こーこーせーだゾ……」
「んなこたぁ聞いてない。ほれ、起きれ」
「ンぅ……?」
 薄っすらとナコの目が開く。しぱしぱと瞬き、視線が左右に揺れ、最後にゆっくりと俺を捉えた。
「うぃす。おはよ、ナコ」
「ン……ンー」
 ナコは目をこしこし擦ると、胡乱な様子で俺に突然抱きついた。……え?
「え、えええええええええと、な、ナコさん?」
「ンー」
「い、いや、んーではなくてですね、え?」
「ンぅ?」
 不思議そうな顔で小首をくりって傾けるとか。……というか、あれ、ひょっとしてまだ半分くらい寝てる?
 よし、それならとっとと起こしてこの素敵空間からの脱出を図らねば! いや本当はそんなことしたくなくて一生抱きつかれていたい所存ですが、周囲の女生徒があからさまに俺を見ながらヒソヒソしてるので、どうにも今後の学生生活に不都合を感じまして!
「あー、ええとだな、ナコ。これは夢でもなんでもなくて、ただの現実で」
「ぺろぺろ」
「…………」
「にゃー。おいひい」
「…………。なんだ夢か」
「ぺろぺろぺろ」
 夢の割にやけに質感がリアルだ。まるで現実のように、温かな舌が俺の顔を舐めているように感じる。
「──よし。現実逃避終わり。ナコ、いい加減目を覚ま」
「ンー」ギュー
「抱っことか!」ムギュー
「ンにゃー」スリスリ
 …………。いやいや、いやいやいや。何をしているのだ、俺は。そうではない、そうではないだろう。落ち着いて周囲を見渡してみろ、こちらにスマホを向けて何やら撮影している群れが見えないのか!
「ていうか撮らないで! 記録に残さないで! どうか記憶だけに留めておいてくださいお願いします!」
「うー……。うるしゃー!」ペシペシ
「ぶべらはべら」
「うー。ゆッくり寝てらンないゾ。……ン?」
「おはやう、ナコ」
「お、おはよー。……う?」
「どしました?」
「……ふ、ふにゃあああああッ!!?」
「わぁ」
 突然大きな声を出されてびっくりしてたら、ナコは俺を蹴飛ばし、その勢いを使って大きくジャンプし、空中でくるりと回転した後、教室の後ろにあるロッカーの上に飛び乗った。
「な、な、な、なンでナコに抱きついてンだ、オマエ!?」
「ああ悪いが少し待ってくれ。ナコに蹴られて昏倒して倒れ伏しているという大義名分を得、存分に床からの白や青やピンクの布の眺めを堪能している最中なので」
 教室に黄色い声が立ち込める。
「ふふふ。ふふふふ」ニヤニヤ
「踏んじゃえ!」ゲシゲシ
「ぶべらはべら」
 いい気になってにやけてたら、たくさんの足が俺を踏んだので辛い。俺にM属性があったら、と思うと悔やんでも悔やみきれない。
「ただ、踏まれてる最中も刮目していたので、様々な動きを見せるパンツは俺の脳内HDDに保存済みですので、皆様ご注意を!」
 さんざ俺を踏んでいた足の持ち主たちは、キャーキャー言いながら教室を出て行った。
「窮地を機知に富んだジョークで華麗に回避した俺をどう思うか」
「ただの変態だゾ!」
「ああ、そういえばそうだね。我ながら最低だね。ところでナコ、いつまでロッカーの上にいるのだ」
「う……」
「そしていつまで顔を赤くしているのだ」
「み、見るなぁ!」フカーッ
「おや、猫の威嚇ポーズとは。ははーん、さては俺を誘っているな?」ワキワキ
「違う! 怒ッてるの! く、来るなあ!」フカーッ
「ふふふ。ふふふふ」ニマニマ
「にゃああーッ!?」

「三角飛びからの飛び蹴りが来るとは予想だにしなかったよ」プシュー
「うー。ナコは悪くないゾ。うー」
 矢のような飛び蹴りを喰らい、床に倒れ伏す。一日に二度も教室の床に口付けするとか、俺の人生を設計した奴出てこい。
「優れた身体能力を保持しているのは分かるが、そうみだりに使うものではない。喰らったのが俺だからいいものの、普通の奴だと一週間は飯を食えないぞ」
「うるさい!」
「まあいいや。あいたた……」
「うー。……痛い?」
「内臓が破裂したか真剣に痛みを探る程度には痛いね。ただ、まあ、回復力に優れた俺なので、しばらくすれば治るだろうから、過剰な心配は不要です」
「だ、誰も心配なンてしてないゾ!」
「なんだそうか。残念」
「……うー」ツンツン
「つつかないで」
 ナコは俺の隣にしゃがみ込み、つんつく俺をつついた。
「うー。早く治れ」ツンツン
「じき治りますが、そうもツンツンされると治癒も遅れます」
「むー」

「治った!」ジャーン
「遅い」ムスー
 言われた通り既に日は暮れかけており、教室に残るは俺とナコのみ。
「別に待っててくれなくてもよかったのに」ナデナデ
「ま、待ッてたワケじゃないゾ! 苦しむオマエを間近で見てただけだかンな! あと、なでんな!」フカーッ
「嫌です」ナデナデ
「うぅー」
「さて、帰るか」ポムポム
「ナコの頭をポンポンするな!」
「嫌です」ポムポム
「全部断られるぅ……」ションボリ
 ションボリしてるナコと一緒に学校を出る。
「いやはや、すっかり遅くなってしまったな」
「全部オマエのせいだ。早く治ンないから」ジトーッ
「そうは言うがな、ナコ。そもそも論で言うなら、お前が授業中に寝なきゃ今日の騒動は起きなかったのではないか?」
「眠いもン」ドキッパリ
「なんという潔い猫魂。素晴らしいね」ナデナデ
「猫じゃない! なでんな!」フカーッ
「いいえいいえ」
「だぶるー……」ションボリ
「とはいえ、寝てもらったおかげで色々と美味しい思いも出来たので、俺としては万々歳ですがね」
「うー。エロ魔人め。みンなのスカート覗きまくッてたもンな。エロ魔人め」ペシペシ
「ふべべ。まあ、それもありますが、どちらかと言えばナコに抱きつかれてぺろぺろされた方が比重は大きいですかねウヘヘヘヘ」
「…………」
「お?」
「……~~~っ」
 黙って赤くなられては、その、お兄さんも困ります。
「いや、あの、その」
「……ね、寝ボケてたから! 夢と思ッてたから! ほ、ホントは、オマエなンか嫌いだからな!?」
「そ、そうなんですか」
「……ち、ちょッとだけ嘘だけど。で、でも嫌いだからな!? オマエすぐナコをからかうし! なでるし! 猫扱いするし!」
「お手」
「犬扱いすればいーッて話じゃないッ!」
「難しいね」ナデナデ
「あーッ! ほら、またなでた! もーッ!」
「わはは」ナデナデ
「うー」
 不満げな顔をしながらも、振り払うこともなくそのまま俺になでられてるナコだった。

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Comment
無題
「だぶるー…」←可愛い
もっと他の娘達のGWっぷりも書いていいのよ?
No title
こういう話好き
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