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2024年11月22日
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【ツンデレにこれって間接バナナだよなって言ったら】

2010年04月05日
 去年の夏に転校してきた野性っぽい娘さん、ナコといまだに仲良くなれない日々。
「ちょんまげ」(ナコの髪の房を持ち、頭頂部にぽふりと)
「ナコの髪で変なことするな!」
 こうやってコミュニケーションを取ろうとしても、一方的に断ち切られてしまう。
「何がいけないんだろうか、友よ」
「全部だ」
 隣の友人に問いかけると、そんな答えが返ってきた。
「全部か。……なにっ、全部だと!?」
 思わずノリつっこみするくらい驚いた。
「言葉、行動、容姿。全てダメだ」
 それでは生まれ変わるくらいしか手段がない。
「ちょんまげ」(ナコの髪の房を以下同文)
「だから、ナコの髪で変なことするな!」
 髪をガードされたので、今回は諦めることにする。
「ナコに構うな!」
「しかし、それでは級友と親交を温めることが出来ないではないか」
「ナコ以外の誰かと温めるのだ。どっか行け」
 反骨心が首をもたげる。どっか行けと言われてどこかへ行く別府タカシではないのだ!
「構って欲しいのだ」
 ナコの机の上にごろりと頭を置く。見る人が見れば生首のように見えるよう細心の注意を払うことも忘れない。
「ナコのまねするな! あと、机の上に頭置くな! 気持ち悪いのだ!」
「ナコのマネなどしてないのだ。これはバカボンのパパのマネなのだ。いわばパパマネ」
「パパマネをやめるのだ! まったく、不愉快なのだ。ぷんぷん」
 ぷんぷん、などと口で言われたら、俺にできることは悶えることくらいだ。
「ナコの机の上で転がるな! なんでこんな狭い場所で転がれるのだ!?」
「頑張ったのだ」
「うー……マネをやめるのだ! 第一、ナコは“のだ”なんて言ってないのだ」
「超言ってますが」
「言ってないのだ! お前、耳が腐ってるのだ!」
「頭が腐ってるとか醗酵しきってるとか熟成しすぎて逆にすごいとかは言われたことあるが、耳が腐ってると言われたのは初めてだ」
「なんで嬉しそうに笑ってるのだ!? お前おかしいのだ!」
「あ、バナナ」
 ナコの鞄からバナナが顔を覗かせていたので、一本頂く。
「あーっ!? ナコのバナナン取った、バナナン取ったのだ!」
「もぐもぐもぐ、おいしい」
「あげるなんて一言も言ってないのに食べてるのだ! おいしいとか言ってるのだ!」
「ナコもどうだ? うまいぞ」
「元々ナコのなのだ! 返すのだ!」
 食いかけのバナナを取られる。
「全く……嫌な奴なのだ」
 その食いかけのバナナを、ナコは口にした。
「あ、これって間接バナナだよな」
「うぐ」
「俺のラブがつまったバナナはどうだ? うまいか?」
「……もったいないけど、捨てるのだ」
「なんと、捨てると!? ああ、米粒には100の神様が詰まってるというのに! お百姓さんが苦労して作ったというのに!」
「お米じゃないのだ。お百姓さんは苦労してないのだ。これは、ナコの住んでたジャングルから持ってきたバナナンなのだ」
「お猿さんが苦労して作ったというのに!」
「別に猿が作ってるわけじゃないのだ! さてはお前馬鹿なのだな?」
 クラス中の生徒全員が口を揃えて「その通り!」と言いやがった。
「なんて統率の取れたクラスなのだ……」
 こんな時だけ一致するクラスが憎たらしい。
「俺の脳についてはともかく、捨てるならくれ。俺が食う」
「うー……確かに捨てるのはもったいないけど、お前なんかにやるのはもっともったいないのだ」
「じゃあゴミ箱に捨てろ。それを漁って食うから」
「お前最悪なのだ! ……もういいのだ、やるからどっか行くのだ」
 なげやりに放られたバナナを受け取り、口にする。スーパーとかで売ってるのより、なんだか美味しい。
「うむ、一度ナコが口にした分より美味しく。具体的にはナコの唾液成分が」
 仲良くなりたいのに、どうしたことか大変嫌そうに顔をしかめるナコたんでした。ままならぬ。

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