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2024年11月21日
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【ツンデレな妹VSデレデレな姉3】

2010年03月27日
 居間でテレビを見てたら、お姉ちゃんが膝に乗ってきた。
「……なんでしょうか、お姉様」
「タカくんと一緒にてれびー♪」
「…………」
 この人は本当に俺より年上なんだろうか。
「……まーたやってんの」
 部屋にやってきた妹のカナが呆れた顔で言った。
「あっ、カナちゃんも一緒にテレビ見よ。面白いよ?」
「……んー、まぁすることもないし、別にいいわよ」
 カナは素直に俺の隣に座り、テレビに視線を向けた。
「あっ、あっ、タカくん見て見て。生まれたての鹿が立ったよ。偉いねー♪」
 お姉ちゃんはテレビを見てはしゃいでいた。偉いのは鹿であり、俺は偉くないのでほっぺをすりすりされる必要はないのですが。
「ほらほら、可愛い……!!!!! し、鹿が! 小鹿さんが!」
 生まれたての小鹿がライオンに狙われていた。ライオンはその鋭い爪と牙を使い、小鹿を押し倒した。
「あちゃー、こりゃダメだね、お姉ちゃん。きっと生きながらに体を引き裂かれ、貪られるんだろうね」
 続けてテレビを見ようとしたら、ブツンという短い音の後消えた。
「……こ、こんなのつまんないし、見なくていいじゃん。あ、あたしちょっと用事思い出したから部屋戻るね」
 カナはリモコンでテレビを消すと、足早に部屋を出て行った。
「……どしたんだろいてててて」
 お姉ちゃんにほっぺを引っ張られた。
「怖いこと言ったらダメ! お姉ちゃん泣かせていいの!?」
「いや、でもたぶん俺が言った通りになってるよ?」
「うー……」
「ごめんなさい」
 涙目でじっと見られたので謝る。
「……よし♪ じゃあお姉ちゃんご飯作るから、お部屋で待っててね」
 お姉ちゃんは俺の頬に軽くキスして、台所に消えて行った。
「……戻るか」
 なんだか疲れたので俺も部屋に戻ることにする。
「……っく」
 その途中、カナの部屋の前でちいさく声が聞こえた。
 ……まさか、自らを慰めてる!? あああ兄としてちゃんと出来てるか見守る必要があるよね? はい!(間違った自問自答)
 というわけで小さくドアを開け、様子を見る。
「……っく、ひっく、鹿さん可哀想……」
 カナは枕を抱き、ぼろ泣きしていた。
「……鹿さん?」
「だっ、誰!?」
 思わず漏れた声に、カナは鋭く反応した。そして、目が合った。
「あ、あ、あ、兄貴!? な、なんで!?」
 カナは顔を真っ赤にして狼狽した。
「や、その、なんか声聞こえてきて……」
「だからって覗くな! いいから出てけ!」
 枕を投げられたので、慌ててドアを閉める。その後も音が続いてるってことは、まだ何か投げてるってことか。
 いやしかし、カナがテレビ見て泣くとはなぁ……正直意外だ。
「カナも可愛いとこあるんだなぁ」
「独り言は小さい声で言え、馬鹿兄貴ッ!」
 一際大きくドアが軋んだ。

 その日の晩飯は、カナに赤い顔でずーっと睨まれてたので、非常に居心地が悪かったです。

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