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2024年11月23日
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【ゆら姉】
2012年02月04日
俺には同い年の姉がいる。
「くー……くー……」
そう。今まさに俺の隣で寝息を立ててる人物がそれだ。一見すると高校生の俺と同級生とは思えないほど小さな体つきをしているが、残念ながら姉だ。よく一緒にいる時に妹と間違われて機嫌が悪くなるが、それでも姉だ。
なんで隣で寝てるのか疑問だが、とにかく、起きよう。そう思って体を動かそうとしたが、何かに縛られているかのように動かない。
ここは名状しがたいバールのようなもので呪縛を断ち切るしかないと思ったが、よく自分の体を観察してみると姉が俺に絡まってるだけだった。
「ん……」
無理に剥がすのも可哀想だし、さてどうしようかと思念をこねていると、姉の目がゆっくりと開いた。
「おはよ、ゆら姉ーッ!?」
なんか超なんかちゅーされた。ほ、頬にね、頬に。
「……ぷはっ。えへへーっ、アキくんのちゅー、げっとだぜ!」
「もうなんか色々言いたいことがありすぎて、何から言ったらいいのか俺には」
「さて、次はお待ちかねの口に……ん? 夢の中でもアキくんは言い回しが奇妙だね?」
「ところがどっこい……夢じゃありません……! 現実です……! これが現実……!」
「げんじつ……? ……ふにゃ?」
ゆら姉は指を自分の頬にあて、小首をかしげた。
「ふぅむ。我が姉ながら可愛いですね」
「……──ッ!!?」
遅まきながら、目が覚めたようです。
「う゛ー……」
そんなわけで今日の食卓にはうなる姉がいるので一寸怖い。
「お、お姉ちゃんは別にアキくんとちゅーなんてしたくなかったもん。寝ぼけてただけだから仕方ないもん」
パンをもぐもぐしながら言い訳がましく姉がつぶやく。
「まあ、頬ちゅーなんて数えきれないくらいされてるから別にいいけど。それよりどうして俺の布団に入っていたのか聞きたい弟なのだが」
「……寒かったから」
思うところがあるのだろう、ゆら姉は赤い顔をうつむかせながらぽしょぽしょ呟いた。
「いや、寒いからって俺の布団に入らなくても」
「い、いーじゃない! 姉弟なんだし! お姉ちゃんの言うこと聞きなさい!」
「姉弟だからこそ問題があるように思えるのは、俺にクンフーが足りないからなのだろうか」
「そ、そだよ。全然足りないよ。あちょーあちょーあ痛っ」
デタラメカンフーで手を振り回していたら、背後の戸棚に当たった。
「ああもう。ほら、大丈夫か?」
ゆら姉のところまで行って、手をなでなでしながら『イタイノイタイノトンデイケ』の呪文を唱える。
「お姉ちゃん、子供じゃないのに……」
「誰もそんなこと言ってないだろーが」
「明らかに子供扱いじゃない。ぶー」
不満そうに頬を膨らませ、足をぷらぷらさせている様子は子供そのものだったが、それを口にすると機嫌がとんでもないことになるので言えません。
しばらく手をなでて、もう大丈夫であろうと弟の勘(brother's sence)が告げたので手を離す。
「……もちょっと。手握って」
「握る?」
「──じゃじゃじゃなくて! さすって! さするの! まだ痛いから!」
よほど強く打ったのか、ゆら姉は顔を真っ赤にしながらそう言った。
「……? まあいいが……大丈夫か? 湿布貼るか?」
「う、ううん、だいじょぶ。もちょっとさすってくれたら治る気がするから」
「はぁ……?」
「んじゃ、いってきまーす♪」
朝の機嫌の悪さはどこへやら、いつの間にか機嫌が直ってるゆら姉と一緒に家を出る。
「ほら、アキくん。ちゃんといってきますって言わないと」
「誰も家に残ってないのに言ってもしょうがないだろ」
海外赴任だかなんだかで、我が家の両親は家にいない。空き家にいってきますとか言っても詮無いだろう。
「あのね、いってきますっていうのはね、挨拶の他にどこかに行っても再び帰ってくるって意味もあるんだよ? だから、また無事に帰ってくるよって意味も込めて言わなきゃダメなんだよ?」
「なるほど。ゆら姉は博識だなあ」
「そ、そんな褒めても何も出ないよ。……もうっ、もうっ♪」
ゆら姉が超ご機嫌体質になった。ニッコニコしながら俺の肩をバンバン叩いてくる。
「痛い痛い」
「もー、お姉ちゃんが賢いとか美人とか結婚したいとかー♪ 弟のくせに何言ってるのよ♪」
姉がおかしい。まあ、いつものことか。
「さて、と。いってきまーす」
「もー、もー♪ ……って、あっ! こらっ、弟のくせにお姉ちゃんを置いてくな!」
何やら中学生みたいなのがぷりぷりしながらこちらに走り寄ってくる気配がします。
「くー……くー……」
そう。今まさに俺の隣で寝息を立ててる人物がそれだ。一見すると高校生の俺と同級生とは思えないほど小さな体つきをしているが、残念ながら姉だ。よく一緒にいる時に妹と間違われて機嫌が悪くなるが、それでも姉だ。
なんで隣で寝てるのか疑問だが、とにかく、起きよう。そう思って体を動かそうとしたが、何かに縛られているかのように動かない。
ここは名状しがたいバールのようなもので呪縛を断ち切るしかないと思ったが、よく自分の体を観察してみると姉が俺に絡まってるだけだった。
「ん……」
無理に剥がすのも可哀想だし、さてどうしようかと思念をこねていると、姉の目がゆっくりと開いた。
「おはよ、ゆら姉ーッ!?」
なんか超なんかちゅーされた。ほ、頬にね、頬に。
「……ぷはっ。えへへーっ、アキくんのちゅー、げっとだぜ!」
「もうなんか色々言いたいことがありすぎて、何から言ったらいいのか俺には」
「さて、次はお待ちかねの口に……ん? 夢の中でもアキくんは言い回しが奇妙だね?」
「ところがどっこい……夢じゃありません……! 現実です……! これが現実……!」
「げんじつ……? ……ふにゃ?」
ゆら姉は指を自分の頬にあて、小首をかしげた。
「ふぅむ。我が姉ながら可愛いですね」
「……──ッ!!?」
遅まきながら、目が覚めたようです。
「う゛ー……」
そんなわけで今日の食卓にはうなる姉がいるので一寸怖い。
「お、お姉ちゃんは別にアキくんとちゅーなんてしたくなかったもん。寝ぼけてただけだから仕方ないもん」
パンをもぐもぐしながら言い訳がましく姉がつぶやく。
「まあ、頬ちゅーなんて数えきれないくらいされてるから別にいいけど。それよりどうして俺の布団に入っていたのか聞きたい弟なのだが」
「……寒かったから」
思うところがあるのだろう、ゆら姉は赤い顔をうつむかせながらぽしょぽしょ呟いた。
「いや、寒いからって俺の布団に入らなくても」
「い、いーじゃない! 姉弟なんだし! お姉ちゃんの言うこと聞きなさい!」
「姉弟だからこそ問題があるように思えるのは、俺にクンフーが足りないからなのだろうか」
「そ、そだよ。全然足りないよ。あちょーあちょーあ痛っ」
デタラメカンフーで手を振り回していたら、背後の戸棚に当たった。
「ああもう。ほら、大丈夫か?」
ゆら姉のところまで行って、手をなでなでしながら『イタイノイタイノトンデイケ』の呪文を唱える。
「お姉ちゃん、子供じゃないのに……」
「誰もそんなこと言ってないだろーが」
「明らかに子供扱いじゃない。ぶー」
不満そうに頬を膨らませ、足をぷらぷらさせている様子は子供そのものだったが、それを口にすると機嫌がとんでもないことになるので言えません。
しばらく手をなでて、もう大丈夫であろうと弟の勘(brother's sence)が告げたので手を離す。
「……もちょっと。手握って」
「握る?」
「──じゃじゃじゃなくて! さすって! さするの! まだ痛いから!」
よほど強く打ったのか、ゆら姉は顔を真っ赤にしながらそう言った。
「……? まあいいが……大丈夫か? 湿布貼るか?」
「う、ううん、だいじょぶ。もちょっとさすってくれたら治る気がするから」
「はぁ……?」
「んじゃ、いってきまーす♪」
朝の機嫌の悪さはどこへやら、いつの間にか機嫌が直ってるゆら姉と一緒に家を出る。
「ほら、アキくん。ちゃんといってきますって言わないと」
「誰も家に残ってないのに言ってもしょうがないだろ」
海外赴任だかなんだかで、我が家の両親は家にいない。空き家にいってきますとか言っても詮無いだろう。
「あのね、いってきますっていうのはね、挨拶の他にどこかに行っても再び帰ってくるって意味もあるんだよ? だから、また無事に帰ってくるよって意味も込めて言わなきゃダメなんだよ?」
「なるほど。ゆら姉は博識だなあ」
「そ、そんな褒めても何も出ないよ。……もうっ、もうっ♪」
ゆら姉が超ご機嫌体質になった。ニッコニコしながら俺の肩をバンバン叩いてくる。
「痛い痛い」
「もー、お姉ちゃんが賢いとか美人とか結婚したいとかー♪ 弟のくせに何言ってるのよ♪」
姉がおかしい。まあ、いつものことか。
「さて、と。いってきまーす」
「もー、もー♪ ……って、あっ! こらっ、弟のくせにお姉ちゃんを置いてくな!」
何やら中学生みたいなのがぷりぷりしながらこちらに走り寄ってくる気配がします。
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凜ちゃん、出番まだですかー?