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2024年11月22日
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【男が好きで好きでたまらないツンデレ】
2010年04月12日
「みこと、一緒に帰ろうぜ」
ホームルームが終わり、鞄に教科書を詰めているとタカシが私に声をかけてきた。
「断る。一人で帰れ」
いつものように、すげなく断る。だけど、タカシは諦めることなく言葉を続けた。
「それを更に断る。迷子になって当て所なくさまよう幼子を放っていいと思ってるのか?」
「お前は幼子でもなんでもないだろう。……まぁ、ふらふら迷子になってるタカシを想像するのは容易だがな」
半泣きで家を探すタカシを想像して、思わず吹き出してしまう。
「失礼な。とにかく、帰ろうぜ」
「ふふっ、まぁいいだろう」
鞄を持って、私はタカシと一緒に学校を出た。冷たい風が吹き、小さく体が震える。
「う……外は寒いな」
さり気なく、タカシは私の手を握った。じろりと睨むと、タカシは申し訳なさそうな笑顔を見せた。
「いや、手が冷たいし。それに、一人より二人と言うし。それにだな、……あー、ええと……」
「もういい。まったく、しょうがない奴だ」
タカシの手は冷たいどころか、とても暖かかった。きっと、私が寒そうにしているのを見て手を握ったのだろう。……肩でも抱けばいいものを、不器用な奴。
「……なんだよ、笑ったりして」
タカシは少し不満そうに口を尖らせた。
「いや、なんでもない。……変な奴だと思っただけだ」
「相変わらず失礼だな……」
そんなことを言いながらも、タカシは私の手を離すことはなかった。
……まったく、どうしてこんな素直じゃない私のことを嫌わないんだ。どうしていつも笑顔をくれるんだ。どうして私をいつも笑顔にしてくれるんだ。
……本当に、変な奴。
「みこと、次の休みどっか行かないか? カラオケとか、映画とか」
「む……騒がしいところは少々苦手だ」
「んじゃ、みことの家でしっぽりと」
「ふ、ふざけるな! 何がしっぽりだ!」
「ぐはっ!」
顔が熱を持つのを感じながら、私はタカシのお腹を殴った。まったく、エッチな奴だ。
「いつつ……残念。んじゃ、俺んちでゲームでもすっか?」
「まぁ、それならいいだろう。……しかし、たまには他の奴と遊んだらどうだ? ここしばらく、休みの日はずっと私といるだろう」
「あー……ひょっとして、俺と遊ぶの嫌で、実のところ義理で付き合ってるとか?」
「ま、まぁそんなところだ。私の寛大な心に感謝するがいい」
違う。嫌どころか、タカシと一緒にいれて嬉しい。なんでそんな簡単なことが言えないんだ。
「そっか。……だが、知ったことではない!」
「は?」
「お前が付き合いきれなくなるまで、俺はお前を誘い続けるだろう。なにせ、俺はみことと一緒にいる時が一番楽しいからな!」
そう言って、タカシは笑った。……ああもう、なんでこいつはこんなまっすぐな笑顔ができるんだ。
世辞が言えるような奴ではないから、嘘ではないのだろう。その事実が、私の顔をさらに赤くさせる。
「……ん? みこと、顔赤いぞ? 惚れたか?」
「きっ、貴様のような奴に惚れる訳がないだろうが! この痴れ者が!」
ああそうさ、貴様の言うとおりだ。隣で嬉しそうに笑ってる痴れ者に、私は心底参っているのだろう。
「ま、いーや。とにかく、約束したぞ。忘れんなよ?」
そう言って、タカシは手を離した。……ああそうか、もう別れ道に着いてしまったか。
手の温もりを冬の風が急速に奪っていく。……タカシの温もりが、消えていく。
「た、タカシ!」
気がつくと、私はタカシの後姿に叫んでいた。驚いたような顔をして、タカシは振り向いた。
「ん? どした?」
柔和な笑顔を見せるタカシに、私はどうしていいか分からなくなってしまった。……寂しくなったなんて、言えるわけがない。
「あ、いや、その……」
「……ふむ。よく分からんが、こんな寒いところで立ち話もなんだ。お前の家に行くか」
タカシは私のところまで戻って来て、ぎゅっと手を握った。
「あ……」
私の手が、再び優しい温もりに包まれる。
「ほれ、こんなとこ突っ立ってたら風邪ひくぞ」
「し、しかたないな。そんなに私と一緒にいたいなら、少しだけつきあってやるか」
苦笑いを浮かべるタカシの手を引いて、私は自分の家に向かった。
……タカシといると、どうも調子を狂わされる。私はこんな弱い人間じゃなかった。
だから、責任を取ってもらわないと。ずっと、ずーっと傍にいてもらうからな。覚悟しろ、タカシ。
ホームルームが終わり、鞄に教科書を詰めているとタカシが私に声をかけてきた。
「断る。一人で帰れ」
いつものように、すげなく断る。だけど、タカシは諦めることなく言葉を続けた。
「それを更に断る。迷子になって当て所なくさまよう幼子を放っていいと思ってるのか?」
「お前は幼子でもなんでもないだろう。……まぁ、ふらふら迷子になってるタカシを想像するのは容易だがな」
半泣きで家を探すタカシを想像して、思わず吹き出してしまう。
「失礼な。とにかく、帰ろうぜ」
「ふふっ、まぁいいだろう」
鞄を持って、私はタカシと一緒に学校を出た。冷たい風が吹き、小さく体が震える。
「う……外は寒いな」
さり気なく、タカシは私の手を握った。じろりと睨むと、タカシは申し訳なさそうな笑顔を見せた。
「いや、手が冷たいし。それに、一人より二人と言うし。それにだな、……あー、ええと……」
「もういい。まったく、しょうがない奴だ」
タカシの手は冷たいどころか、とても暖かかった。きっと、私が寒そうにしているのを見て手を握ったのだろう。……肩でも抱けばいいものを、不器用な奴。
「……なんだよ、笑ったりして」
タカシは少し不満そうに口を尖らせた。
「いや、なんでもない。……変な奴だと思っただけだ」
「相変わらず失礼だな……」
そんなことを言いながらも、タカシは私の手を離すことはなかった。
……まったく、どうしてこんな素直じゃない私のことを嫌わないんだ。どうしていつも笑顔をくれるんだ。どうして私をいつも笑顔にしてくれるんだ。
……本当に、変な奴。
「みこと、次の休みどっか行かないか? カラオケとか、映画とか」
「む……騒がしいところは少々苦手だ」
「んじゃ、みことの家でしっぽりと」
「ふ、ふざけるな! 何がしっぽりだ!」
「ぐはっ!」
顔が熱を持つのを感じながら、私はタカシのお腹を殴った。まったく、エッチな奴だ。
「いつつ……残念。んじゃ、俺んちでゲームでもすっか?」
「まぁ、それならいいだろう。……しかし、たまには他の奴と遊んだらどうだ? ここしばらく、休みの日はずっと私といるだろう」
「あー……ひょっとして、俺と遊ぶの嫌で、実のところ義理で付き合ってるとか?」
「ま、まぁそんなところだ。私の寛大な心に感謝するがいい」
違う。嫌どころか、タカシと一緒にいれて嬉しい。なんでそんな簡単なことが言えないんだ。
「そっか。……だが、知ったことではない!」
「は?」
「お前が付き合いきれなくなるまで、俺はお前を誘い続けるだろう。なにせ、俺はみことと一緒にいる時が一番楽しいからな!」
そう言って、タカシは笑った。……ああもう、なんでこいつはこんなまっすぐな笑顔ができるんだ。
世辞が言えるような奴ではないから、嘘ではないのだろう。その事実が、私の顔をさらに赤くさせる。
「……ん? みこと、顔赤いぞ? 惚れたか?」
「きっ、貴様のような奴に惚れる訳がないだろうが! この痴れ者が!」
ああそうさ、貴様の言うとおりだ。隣で嬉しそうに笑ってる痴れ者に、私は心底参っているのだろう。
「ま、いーや。とにかく、約束したぞ。忘れんなよ?」
そう言って、タカシは手を離した。……ああそうか、もう別れ道に着いてしまったか。
手の温もりを冬の風が急速に奪っていく。……タカシの温もりが、消えていく。
「た、タカシ!」
気がつくと、私はタカシの後姿に叫んでいた。驚いたような顔をして、タカシは振り向いた。
「ん? どした?」
柔和な笑顔を見せるタカシに、私はどうしていいか分からなくなってしまった。……寂しくなったなんて、言えるわけがない。
「あ、いや、その……」
「……ふむ。よく分からんが、こんな寒いところで立ち話もなんだ。お前の家に行くか」
タカシは私のところまで戻って来て、ぎゅっと手を握った。
「あ……」
私の手が、再び優しい温もりに包まれる。
「ほれ、こんなとこ突っ立ってたら風邪ひくぞ」
「し、しかたないな。そんなに私と一緒にいたいなら、少しだけつきあってやるか」
苦笑いを浮かべるタカシの手を引いて、私は自分の家に向かった。
……タカシといると、どうも調子を狂わされる。私はこんな弱い人間じゃなかった。
だから、責任を取ってもらわないと。ずっと、ずーっと傍にいてもらうからな。覚悟しろ、タカシ。
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