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2024年11月21日
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【ツンデレの定位置が奪われたら】

2010年10月27日
「おーっす! 哀れな凡愚のため、わざわざ遊びに来てやったぞ!」
「おや。こんにちは」
 とある休日の昼下がり、自室で猫とぼんやり遊んでたら、みことが突然訊ねてきた。
「……ん? なんだそれ? 猫か? にゃーか?」
「そうだ、にゃーだ。ほれ、まる。挨拶」
 俺の膝でぐんにゃり丸まっているまるに挨拶を促すが、軽く耳を動かすだけで、まったく挨拶しようとしない。もっとも、そんな芸仕込んだ覚えがないのでされても困るが。
「ダメだな、このにゃーは」
「全くだ、このにゃーはダメだ」
 猫が珍しいのか、みことはくりくりとまる(飼い猫の名前)の耳やら鼻やらあごの下をくすぐっている。まるはそれが心地よいのかどうでもいいのか、まるで反応しない。
「むーっ。こいつ、動かないぞ。死んでるのか?」
「怖いこと言うな。もう結構な歳だから、昼は基本寝てるんだよ」
「なんだ。つまらないな」
 そう言って、みことは足を投げ出してその場に座った。そして、まるをいじりながらも、俺をちらちらと見ている。
「ん? どうした?」
「べつにー」
 そう言いながらも、まるをいじりながら俺を時々見る、という行為の繰り返し。はて、一体なんだろう、と思いながらまるの背中をなでていると、ピンときた。
「あー、腰痛え」
 我ながら少々臭いかな、と思いながらもまるを俺の膝から近くの座布団に移動させ……。
「!」
 ようとしたが、みことが目を爛々と輝かせる&まるが「やめろ」とでも言いたげにこちらをじろりと睨むので、元のままにする。
「あっ……。……おい、貴様、わざとか?」
「何の話だか俺には皆目」
「むーっ」
 イライラした様子で、みことは俺の頬をぎぅーっと引っ張った。
「痛い」
「うるさいっ! 気づいているくせに! 貴様はいじわるだ!」
「だから、俺には何のことやら」
「貴様を見てる時に一度目が合った! しらばっくれるのも大概にしろ!」
 ぎゃーぎゃー言い合っている(というか、一方的に怒られている)俺たちに嫌気が差したのか、まるは大きく欠伸をすると部屋を出て行ってしまった。いかん。
「きゅぴーん」
 口で擬音を言いながら、みことは素早く俺の膝の上に乗ってきた。
「猫が人に」
「ふふん。私レベルともなると、人変化も容易いものだ」
 適当なことを言いながら、みことは俺に背中を預けた。すかさず頭をなでる。
「なでるな!」
「ここに座るのであれば、俺になでられるのは義務と思え」
「それは断る。貴様のここは座り心地がよいので座るのは好きだが、なでられるのは子供扱いされてるみたいで嫌いだ。だから私をなでるのは禁ずる」
「なでなで」
「私の話を聞いているのかっ!?」
「乳を揉まないだけ俺の自制心を称えて欲しいところだ!」
「何をいばっているのだ貴様は!?」
「はっはっは。みことは可愛いなあ」(なでなで)
「うっ……くっ、き、貴様、……な、なでるな~」
 何故か知らないけど半泣きのみことをしばらくなでなでしました。そんな嫌なら降りればいいのに。

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