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2024年11月24日
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【ツンデレに「(買い物に)付き合ってくれ」って言ったら】

2010年02月13日
 総入れ歯、もとい、そういえば、今日は楽しみにしてたゲームの発売日だった。折角だし、みことでも誘うか。そうと決まれば電話電話。ぴぽぱぽぷるるるがちゃ。
『私だ。何用だ?』
「(買い物に)付き合ってくれ」
 電話機越しに、ガタガタガタッ!と何か大きな物音がした。
『なっ、なななななっ、なァーッ!?』
「何を驚いている」
『おっ、驚くも轟くもない! きっ、貴様、貴様は何を何を言っているのら!?』
「そっちこそ何を言ってる。新しいキャラ付け?」
『何を……ええい、埒が明かん! 貴様の家へ行くからちょっと待ってろ!』
「え、おい、もしもーし」
 呼びかけても、プープーという音が耳朶を叩くばかり。電源OFFしてため息一つ。
「何を驚いてるかなあ……」
「ぜーっ、ぜーっ……」
「うわあっ!?」
 ついさっき電話で話してた人が俺の部屋にいたので驚いた。
「な、何を、驚いて……はぁはぁ」
「早い、早すぎる! 電話切ってから一分も経ってない! お前どれだけ急いで来たんだよ!」
「い、急いでなど全く……はぁはぁ、すー……はぁ」
 大きく深呼吸して、みことは息を整えた。ただの一度でいつもの泰然とした状態に戻るみことは、やっぱりすごいと思う。
「そ、それで、だ。電話でのアレは、その、どういう意味だ?」
 ──とか思ってたのに、次の瞬間にはみことはまるで熟れたトマトのように顔を赤らめ、所在なさげに指をくるくると自分の髪に絡ませ、ちらちらと俺に視線を送っているではないか。泰然のたの字もない。
「いや、どういうもこういうも、そのままの意味だけど?」
「そ、そうか……ま、全く、困ったものだ」
 俺の言葉に、みことの顔はますます赤くなった。何でここまで赤くなってるか皆目検討もつかんが、まるで年頃の娘のような反応にどうしたらいいか分からん!
「は、ははは、いや全く」
 そんなわけで、意味もなく頭をがりがり引っかいたり。ええい、こそばゆい。
「き、貴様が困ってどうする。貴様が言い出したことだろう」
「や、そうなんだけどね。ははははは」
「むぅ……」
 ちょっと不満げに、みことは口を尖らせた。なんか今日のみことさん、扱いが難しいですよ。
「あー、その、なんだ。んじゃ、そろそろ行くか」
「何ィッ!? ま、まだ返事もないのに、いきなりか!?」
「あ、都合悪かったか? じゃあ別に」
「悪いなど言っていないだろうッッッ!!!」
 予想以上の反抗にとてもびっくりした。ちょっと涙出た。
「この程度で泣く奴があるか! ……そ、その、いきなり大きな声を出したりして悪いとは思うが」
 みことは指先で俺の頭をこするようになでた。申し訳なさそうな顔に、こっちが申し訳なく思う。
「いや、ちょっとびっくりしただけ。お前が悪いわけじゃない」
 こしこしと目元を擦ると、みことはほっとしたように息を吐いた。なんだかんだ言って、いい奴なんだよな、こいつ。
「やれやれ。……ま、まあ、貴様のような情けない奴は、私のようなしっかりした者が側にいた方がいいかもしれぬな」
 そっぽを向き、みことは虚空を眺めながら言った。顔から湯気が上がらんばかりに赤いのは病気?
「はぁ」
「……なんだ、その気のない返事は。自分から言い出したくせに、私では不満と言うのか!?」
 よく分からないけど、すごく怒ってる。なんで? ……ああ、早く買い物に出かけたいのか! 俺の買い物に付き合うだけにそこまで気合を入れるとは……こっちも気合を入れないと。
「いや、そんなことはない。よろしく頼む」
「……む、うむ。……その、……幸せにしないと許さないぞ、馬鹿野郎」
 俺の腹を指でうにうにとつつきながら、みことは拗ねた猫のような顔で俺を見上げた。その表情は見ているだけで庇護欲をかき立て、思わず抱きしめそうになるが、その前に疑問が一つ。
「ええと……買い物と幸せにどのような因果関係が?」
「……買い物?」
 みことの顔に疑問符が浮かぶ。
「いや、買い物に付き合ってくれって話……だよな?」
 みことの顔が疑問→氷解→立腹→憤怒へと変化していく。
「ふ、ふふ……そうか、そういうことか……ふふふ」
 底冷えのする笑みを浮かべるみことが怖い。死ぬの、俺?
「あ、あの、みことさんは何の話だと思っていたのでせうか?」
「そっ、そんなこと貴様なぞに言う必要などない、馬鹿者が! そもそも貴様が主語を抜かして喋ったりしたのがいけないのだ! そう、貴様が悪い! そこへ直れ、成敗してくれる!」
「とても嫌だ! 助けてえ!」
 そう言ったのに成敗された。とても痛かった。

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