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2025年05月05日
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【ツンデレに「俺が死んだらどうする?」って聞いたら】

2010年01月25日
 今日は朝からどうも身体の調子がおかしい。死ぬのやも。
「……おいす」
 そんなわけで布団被って寝てたんだけど、そんな時に限ってちなみの野郎が遊びに来たりするのは何なのか。
「……む、何やら調子が悪そうな顔。……死ぬの?」
「はは、この俺様がこんな何もない所で死ぬものか」
「…………」
 何か感じ取ったのか、ちなみの顔が微妙に心配そうなものになってしまった。
「ほ、本当ダヨ? ぜーんぜん調子なんて悪くないヨ?」
「……痛いの、どこ」
「いや、だから」
「……どこ」
「え、ええと、お腹」
 ちなみは何も言わず俺のそばに座ると、布団に手を突っ込み、直接俺の腹を優しくさすり始めた。
「何事か!?」
「……え、えと、お腹の内部を腐食させる魔術。相手は死ぬ」
「それは困る」
「……じゃあ、早く良くなれ」
 殺す相手に良くなれってなんスかそれ、と言いそうになったが、心配そうな顔してたんで、そのまま口を閉ざす。
「……なー、ちなみ」
 それからしばらくちなみの腹さすさすを受けてたのだが、いい加減暇になったので、なんとはなしにちなみに話しかける。
「……ん?」
「もし本当に俺が死んだらどうする?」
「……嬉しくてしょうがない」
 言葉とは裏腹に、俺の腹にかかる力が強くなった。
「……でも、勝手に死なれるのは実に不愉快。……私の手で引導を渡したい」
「どこの戦闘民族だ、お前は」
「……スーパーちなみん。……金髪になることにより戦闘力が格段にあっぷするが、校則違反になるので変身できない」
「はいはい。まあ、ちなみを残して俺が死ぬわけないけどな」
「……困った。告白された」
「してねぇ! お前みたいな周囲に困惑を撒き散らす危険人物を放置できるほど冷たくないだけだっ!」
「……むしろタカシの方が困惑を周囲に撒き散らしているかと」
 そんなわけない、と即答できない自分の行いが嫌。
「……で、どしたの。お腹」
「たぶん、寝冷え」
「…………」
「痛い痛い痛い! 無言でストマックをクローするなっ!」
「……心配して損した」
「おや、心配していたのですか」
「…………」
「痛い痛い痛い! だから無言でストマックのクローはやめろっ!」
「うるさい。ばか」
「いやはや、調子が悪いのは事実なのですが」
「……まだ調子悪いの?」
「や、ちなみが来る前に比べると雲泥だけどな。さすり続けてくれたおかげで、今は大分よくなった。サンキュな、ちなみ」
「……こ、これで心置きなく死闘ができる」
「だから、どこの戦闘民族だ。あと、ボケるなら頬を染めない。顔真っ赤だぞ、お前」
「あ、赤くなんてなってない。ばか。ばかばか」
「痛い痛い痛い! だから腹を握るなッ!」
 その後も数回腹を握られたが、調子が戻るまでずっと俺の腹をさすってくれたちなみは、実はいい奴なのかもしれない。

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【普段は「タカシ」と呼び、脳内では「たくあん」と呼ぶツンデレ】

2010年01月25日
「おっすちなみ」
「……おはよう、タカシ」(たくあんが来た)
「今日も小さいな」
「……巨大なお世話だ」(たくあんが失礼なことを言う)
「んじゃ後でな」
「……ん」(たくあんが去った)

「ちなみ、今日の飯はなんだ?」
「……あげない」(たくあんが来た)
「ふむ。ご飯に玉子焼きにウィンナーに、たくあんか」
「!!?」(たくあんの……二乗!?)
「どうしたちなみ、何を驚いてる?」
「……べ、別に」(落ち着け、ちなみ。これはご飯のたくあん、あれはご飯じゃない方のたくあん)
「ふむ。まあいいか、俺もここで食うな」
「……勝手なことを」(ダブルたくあん……御せるのか、私に)
「むぐむぐ。ふむ、今日も弁当がうまい」
「…………」(たくあんがアホ顔でご飯を食べてる)
「もしゃもしゃもしゃ……ぐっ」
「……はい」(たくあんが食事をのどに詰めたので、救助)
「……ごっごっご……ぷはーっ! ふぅ、死ぬとこだった。サンキュな、ちなみ」(なでなで)
「…………」(たくあんになでられた。嬉しい)
「むにー」
「…………」(たくあんがついでとばかりに私のほっぺを引っ張る)
「わはは。面白い顔」
「…………」(たくあんに反撃。たくあんのほっぺを引っ張る)
「人の顔で遊ぶな」
「……それは私の台詞」(たくあんに触ってると安心する)
「まあいいや。あ、たくあんくれ」
「!!? ……う、うん」(たくあんがたくあんを……)
「サンキュ。ぽりぽりぽり……」
「…………」(たくあんがたくあんを摂取。これでたくあんのたくあん度がさらに増した)
「……何をじっと見てるかね、このお姫さんは」
「……押すな」(たくあんが私のほっぺを押す。少し嬉しい)
「…………」
「……引っ張るな」(たくあんが私のほっぺを引っ張る。やはり少し嬉しい)
「わはは。やっぱり変な顔」
「……失敬な」(たくあんの笑顔は好きだ)
「さて。たくあん貰ったし、お返しにこれやるよ」
「……赤い」(たくあんがイチゴを私の弁当箱に。かなり嬉しい)
「色は言わなくていい。イチゴだよ、確か好きだったろ?」
「……そこそこ」(本当はすごく。たくあんは優しい)
「そこそこか……まあいいや、食え」
「……食う」(たくあんのイチゴを食う。甘くて美味しい)
「…………」
「……もきゅもきゅ」(たくあんがじっと私を見ている)
「…………」
「……もきゅもきゅ」(たくあんがじーっと私を見ている)
「ちなみ」
「もきゅ?」(たくあんに話しかけられた)
「なんで顔赤くなってんだ」
「もきゅ!?」(しまった。たくあんにじっと見られていたせいか)
「咀嚼音で驚くな」
「……もきゅもきゅ、ごくん。……その、アレだ。……全身の血液が顔に集まっただけ。数分後に顔からおびただしい量の血を噴き出し死ぬ予感」(これでたくあんを誤魔化す)
「すごい嘘を平然とつきますね!」
「……う、嘘じゃない。その巻き添えで、たくあんも死ぬ」(たくあんにばれた)
「たくあんではないです、タカシです」
「…………」(間違った)
「どんな間違いだ」(なでなで)
「……ん」(たくあんになでられた。嬉しい)

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【強風なのでツンデレはスカートが気になるようです】

2010年01月25日
 台風が近づいてきたせいか、今日は風の勢いがすげえ。
「……おいす」
 そして、こんな強風吹き荒ぶ日だというのに、顔色一つ変えず無表情に道端に立ってる知り合い。ちなみだ。
「お前はロボットか何かか」
「……人間。なぜなら、ほっぺがふにふにしているから」
 触ってみると、確かにふにふにしている。なるほど、このふにふに感は人間にしか出せないだろう。
「……朝から痴漢された」
「チクショウ、知り合いが朝から美人局を!」
 などと適当なことをやり合いながら学校へ向かってると、不意に突風が吹いた。あまりの風の勢いに、思わず目をつむってやり過ごす。
「ふぅ。なんつー風だ」
「…………」(じーっ)
「む? どうしたちなみ、今更俺様の美貌に気づいたか? さあ、惚れろ」
「無理。……じゃなくて、……見た?」
「うん?」
「……私の、その……ぱ、パンツを。……み、見た?」
「何だと!? そうか、今の突風はパンチラチャンスだったか! 俺としたことが、不覚……!」
「……まあ、この反応だと見てないか。……もしまたさっきみたいな風が吹いても、同じようにすること」
「もももももももももももちろん」
「…………」
 とても疑わしい目で見られた。
「……今のうちに目を潰しておこうか」
「そのやり方は、包丁があると凶器になるから包丁職人を根絶やしにするか、という考えと一緒で危険すぎます」
「……いいじゃん。タカシだし」
 俺にとってはどうでもいいことではないので、必死に抵抗してなんとかやり過ごす。
「……大変不満」
「たかがちなみの尻ひとつで目を潰されてたまるか」
「……私のお尻は、タカシのお尻の500倍だ」
 何が500倍なのか分からないが、凄みだけ伝わった。
「それほど凄い尻なのか」
「すごい。超尻。……まあ、タカシには一生見る機会なんてないけど」
 そう冷たく言って、ちなみは俺に背中を見せた。その瞬間、またさっきのような強い風が。ちなみのスカートがまくりあがり、きゃわいい青白ストライプのパンツが──いわゆる超尻が丸見えに。
「…………」
 くるりとこちらに向き直り、ちなみは俺を無言で見つめた。かすかに頬が赤い。
「いや、あの、ええとですね、ちなみさん」
「……見た」
「そりゃもう! でもですね、その」
「……私の超尻を見た」
「なんでもいいがその超尻ってのやめませんか」
「……うるさい。……私のお尻を見たからには、一生こき使っても100おくまんえんはお釣りが来るくらい貸しができた」
「いやいや、いやいやいや。そこまでお前の尻に価値はない」
「……私のお尻、どだった?」
「超素敵。触りてえ」
「…………」
「しまった、誘導尋問か!」
「……タカシはいつも語るに落ちるので困る」
 じゃあしないでください。
「……そゆことで、今日からタカシは私の下僕」
「何一つ納得がいかない」
「……じゃ、とりあえず、鞄を持て下僕」
「恨みのあまり受け取った鞄を投げ捨てそうだ」
 でもまあ、とりあえず鞄を受け取る。
「……そして、次に、私を持て下僕」
 そう言って、ちなみは両手をあげて俺を見上げた。
「ええと……抱っこ?」
「らっこ」
 意味が分からないが、ラッコなら仕方ない(?)ので、ちなみを抱き上げる。
「俺の鞄&ちなみの鞄&ちなみ本人の重量が一挙に俺の腕にかかり、今にも折れそうだ」
 鞄を両わき挟み、その状態でちなみを腕の力だけで抱き上げるが、大変厳しい。
「……失礼な。私はそこまで重くない」
「はっはっは、ご冗談を」
「……がぶがぶがぶ」
 ゆっくり人の鼻を噛まないでください。
「噛むな。それよりちなみ、なんかもう落としそうだから、ちょっとお前降りろ」
「……断る」
「じゃあもうなんでもいいから俺にしがみ付け。マジで落としそうだ」
「……タカシは大胆で困る」
 ちなみはほんのり頬を染め、俺にしがみついた。これで手がフリーになったので、それぞれの手で鞄を持つ。
「ふう、やれやれ。とはいえ、重いものは重い」
「……そうだ。タカシの鞄を捨てれば軽くなる。超名案」
「not名案。何故なら俺の鞄だから」
「……やれやれ、タカシは鞄まで使えない」
「酷いことを言う」
「……まあ、とにかく。今日から毎日こうやって登校するから、筋トレしておくように」
「驚愕すべき事実をさらりと言いおったな!?」
「……楽ちん楽ちん」
「せめて背中に負ぶされよ……」
「……黙れ下僕。……あと、帰りもこのような感じなので、覚悟完了しておくように」
「俺の人生、面白いことになってきたゼ……!」
 ヤケクソ気味な俺を、道行く人たちが奇異の目で見るのだった。

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【ツンデレと紅葉狩り】

2010年01月24日
「……聞いた話によると、この地球という星には紅葉狩りなる珍妙な行事があるとか」
「はぁ。まあ、ありますが、あなたも地球人だったように記憶してますが」
「……連れてけ」
「そんな枯れた趣味はないのでお断りします」
「……こんな可愛い女の子の頼みを断るだなんて、タカシはホモに違いない。……ネットに書き込んでやれ。かちかち」
「やめて俺の個人情報ホモスレに流さないでぇぇぇぇ!」
 そんな感じで脅迫に屈したので、とある休日、ちなみを連れて近所の山へ紅葉狩りへ来た。
「おお! こいつぁすごい」
 山は色鮮やかな赤に染まっており、興味がないと言っていた俺でさえ心躍る光景だった。
「…………」
 ちなみに至っては実際に踊る始末。ちょっと離れよう。
「……そこ。他人のフリするな」
「電波を受信してる邪魔してはいけないと思い」
「…………」
「痛い」
 無言で頬を引っ張られた。
「……全く。タカシはいつ何時でも失礼だ」
「いきなり踊る奴から離れるのは、危険回避の観点から見ても問題ないと思うのですが」
「…………」
「すいません」
「……まあ、いい。……もみじが綺麗だから、許してやる」
 落ちてきた葉っぱを手に取り、珍しく殊勝な様子でちなみがつぶやく。
「ふむ。ちなみ」
「?」
 こいこいと手招きすると、ちなみはてこてこ小走りに寄って来た。そして、軽く首をかしげて何か用か問う。
「いや、特に用があるというわけじゃないのだけど」
 そう言いながら、ちなみの手をきゅっと握る。
「!!?」
「あー、その。悔しいことに可愛かったので、手を握りたく」
「……う、うぅ、えと。……あ、え、えと、あの、……犯すの?」
 とりあえずはたく。
「むー」
 ちなみは両手を頭にあて、不満そうにほっぺを膨らませた。
「むーじゃねえ! 超いい感じの雰囲気をこの上なく粉砕しくさりやがって!」
「……雰囲気に耐えられなかった」
 無表情に頭をさすってるちなみを視界に収めながら、深くため息を吐く。折角人が頑張ったってのに……まあ、ちなみらしいと言ったららしいが。
「……怒った?」
「残念ながら、こういった事態に慣れてるので怒ってない」
「……M?」
「殴る」
「きゃー」
 わざとらしい悲鳴をあげながら、ちなみはちょこまか走って俺から逃げた。落ちる紅葉がちなみを隠すその景色は、さながら一枚の絵画のようだった。
「……? 追いかけないの?」
「あ、ああ。どうやって処刑するか考えてた」
 見とれていた、なんて死んでも言いたくないので、適当な言い訳を口にする。
「……まあ、見とれるのも仕方がない」
 なんで見抜かれてますかコンチクショウ。羞恥に顔が赤くなるのを感じる。
「……ふふ。私に勝つだなんて100m早い」
「単位がおかしい!」
「……つまり、100m競争をして、私より速かったら、ちゅー?」
「なんだその適当な話は、と言いたいところだが、その提案には乗らざるをえない!」
「……いかん、犯される」
「しねぇよ!」
 こちらに戻ってきたちなみをはたく。
「……やれやれ、タカシは暴力的だ。……将来は暴力団の組員になるに違いない」
「その時はお前が止めてくれよ」
 少し乱暴にちなみの頭をわしわしなでる。
「……一回100万円で止めてやる」
「暴力団よりあくどいな」
「……こんな可愛い女の子を捕まえてあくどいなんて、タカシはやっぱり組員になるに違いない」
 薄く笑うちなみと手を繋ぎ、その日はゆっくり山を散策した。

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【ツンデレが最近筋トレしてると言うので、どのくらい筋肉が付いたか触って確かめてみたら】

2010年01月21日
 放課後、教室でちなみとだらだらだべっていると、ふと話題が筋トレになった。
「……私の見立てだと、タカシのお腹は筋肉のきの字もなく、贅肉でぷよぷよだと見た。……ぱよえーん」
「ぱよえーんは言わなくていいです。しかし、俺はこう見えて結構締まっているぞ?」
「……見せれ」
「いやん」
 乙女を装ったのに無理やり服をはだけられた。
「……やっぱりぷよぷよ。……ぱよえーん」
 ちなみは俺に馬乗りになり、人の腹をぷよぷよつついていた。
「人の腹をつつくな」
「…………」
「無言で腹をこねるな!」
「……くそう、タカシの腹のくせに私を魅了するとは生意気だ」
「そんなつもりは毛頭ありません。ところでちなみ、お前はどうなんだ?」
「?」
 俺から退いて元の席に戻ったちなみが、不思議そうに首を傾げていた。
「だから、贅肉だよ。胸に一切ないのは知っているが、腹とかどうだ? いっつもリスみてーに菓子をカリカリ食ってるじゃん。結構あるんじゃないか?」
「……ふむ。そう言うことにより私に服をはだけさせ、おっと手が滑ったとか言って私の胸を揉む寸法か」
「どうしても俺を性犯罪者にしたいようですね。あと、揉むほどないように思えますが」
「…………」
「無言で人の頬をつねるな」
「……うるさい、馬鹿。……タカシは貧乳好きのくせに、すぐ人の胸を馬鹿にする」
「貴様、俺の秘密どこで知った!?」
「……いっつもタカシが自分で言ってるくせに、何を言っているのか。……虎視眈々と私の胸を狙っているのも、私にはまるっとお見通しだ」
「いや、それは別に」
「…………」
「だから、無言で人の頬をつねるな」
「……うるさい、馬鹿」
 ちなみはちょこっと怒ったように口を尖らせた。
「……閑話休題、私は最近筋肉トレーニングをしてるので、ムキムキだ。……見たい?」
「胸を? まあどうしてもと言うなら見てやらんこともない」
「……そしてそのまま押し倒すと見た。……さよなら、膜」
「だからッ! ええい、女の子が膜とか言うなッ!」
「……ふふり」
 俺にほっぺをつねられても全く堪えていない模様。チクショウ。
「……じゃなくて、お腹。……ちょー引き締まってる予感」
「びっくり人間とかで見る全身これ筋肉って感じのボディービルの女性くらい?」
「……あそこまでだと、正直引くので我慢している」
 したいのか。
「……まあ、とにかく。お願いしますちなみ様ーって言って土下座して、タカシの後の人生全て私に尽くすのであれば、見せてやらないこともない」
「とんでもない譲歩だな」
「……頑張った。……偉い? ……なでなでする?」
「あー偉い偉い」
 ちなみのほっぺをぐにーっと引っ張ってやる。
「……おかしい。……これはなでなでじゃない気がする」
「気のせいだろ」
「……私は賢いので、タカシ如きの奸計には騙されない」
 ちなみも負けじと俺の頬を引っ張ってきた。お互いがお互いの頬を引っ張り合うこの勝負、目が離せないゼ……!
「……で。見る?」
「人が名勝負を繰り広げていると言うのに、この淡白な娘さんは……まあいいや」
 いい加減頬が痛いので手を離すと、ちなみも俺から手を離した。やれやれ。
「ええと、見たいけど後の人生全てを賭けてまでは見たくありません」
「……じゃ、そゆのはいい。見たければ見ればいい」
 そう言って、ちなみは服を捲り上げお腹を晒した。別に筋肉で引き締まっていることはなかったが、三段腹助けてぇ! という腹でもない。ごく普通の女性らしいお腹だった。
「じぇんじぇん引き締まってないですが」
「……さっきのタカシの頬引っ張りで筋肉がずたずたになり、こうなってしまった。……一生恨む」
「なんでお前のほっぺを引っ張ったら腹の筋肉がずたずたになるんだ」
「……医者じゃないから知らない」
 めちゃくちゃ言う奴の鼻をつまむ。
「……むー」
「むーじゃねえ。ていうかだな、年頃の娘さんが人前で肌を晒すなんて、あまり感心できないぞ?」
「……私だって、いちおーは相手を見てやってる」
「む」
 そ、そりはつまり、俺が相手だから構わないと……? つまりは、そういうことなのか?
「……タカシが相手だと、後で賠償金がっぽり貰っても心が痛まない」
「そういうオチかチクショウ! がむでぶ!」
「がむでぶ?」
「はぁ……まあいいや。でも、筋肉はないが贅肉もない、よい腹ですね」
 ちなみの腹をつつく。ふにふにサラサラで気持ちいい。ずっと触っていたい、そんな気持ちにさせる。
「……陵辱された」
「イチイチ人聞きが悪いッ! ちょっとつついただけだッ!」
「……このまま押し倒す?」
「さないッ! まったく……お前、俺をどんな極悪人だと思ってんだ?」
「ふふり。……で?」
「うん?」
「……どう、私のお腹」
「どう、と言われても……」
 ふにふにとちなみのお腹をつつく。他の女性の腹を見たことがないので断言はできないが、目に余るほど醜くも一目で心を奪われるほど美しくもないように思える。
 ただ、触り心地は個人的には大変好みだ。春夏秋冬ずーっと触っていたい。
「……うー。……タカシはずーっと私のお腹を触っている。……気に入られた模様」
「え、いや、……まあ気に入ったかどうかで言えば気に入った、かな?」
 へそに指を出し入れしながらちなみに答える。
「……なら、よし。……じゃ、へそ出し入れ料100万円」
 ちなみは服を戻しながらとんでもないことを言った。
「新種の美人局だとぉ!?」
「……とはいえ、タカシは学生なのでそんなお金はないのは知っている。……なので、私に優しくしたり、嬉しくしたりすることをすれば、ちょっとずつ減らしてあげる」
「ほう。具体的に何をすれば?」
「なでなで」
「…………」
 即答と来ましたよ。
「……早速、する? 一なでなでで、一円まいなす」
「超しないと借金減りませんね」
「……その通り。……やれやれ、タカシのためになでなでさせてあげるなんて、私は優しすぎる」
「無理やり俺に借金を作らせたのは誰だ」
「……ちなみ、何にも分かんない」
 あどけない表情でちなみは小首を傾げた。
「うぐ……ッ」
 あまりの衝撃に頭がくらくらする。チクショウ、コイツ自分の武器って奴を知ってやがる!
「……タカシは簡単で困る」
「ぐぅ……ええいっ! 分かった、分かりました! 嫌と言うほどなでてやる!」
「わ、わ」
 ちなみを後ろから抱っこして、頭をなでなでする。
「いかがですか、お嬢様」
「……なでられている」
「いや、それは知っている。じゃなくて、強すぎるとか、弱すぎるとか」
「……特には。……このまま続けろ」
 そう言って、ちなみは俺に背中を預けて目をつむった。
「……私が満足するまでなでること」
「わーったよ。いちにぃさんしぃ」
「……数えるの禁止」
「ええっ!? じゃあ何回したのか分からなくなるじゃねえか!」
「……私の気分で借金を増減するので、回数は別にいい」
「増!?」
「……手が止まってる。……借金1万円ぷらす」
「なんという恐怖政治か! これじゃいつまで経っても終わらねぇ!」
「……タカシ、ふぁいと」
 借金地獄に落ちてしまったが、ちなみは気持ちよさそうだし、実は俺も満更でもないし、別にいいかな、と思った。

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