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2024年11月24日
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【強化人間ちな姉】
2010年03月14日
「……タカくん、タカくん」
にやにや笑いながらちなねえが近寄ってきたので、デコピンしてやった。
「うぅ~……タカくんがお姉ちゃんをいじめる」
「いや、なんかヤな予感がしたんでつい。悪気はないんだ」
「……悪気がなくても、女の子にデコピンなんかしたらダメですよ?」
「……ちなねえ、20超えてるのに自分を女の子と呼ぶのか」
ちなねえの眉毛が不機嫌そうな八の字になった。いや、まぁ見た目は中学生みたいだけど、流石に女の子は厳しいし。
ともあれ、ほっとくと飯作ってくれなくなるので、機嫌を直そう。
「そ、それでどうしたんだ、ちなねえ?」
「…………」(大人気なくも、ほっぺぷくー)
「あっ、アレか? また変な召還獣手に入れたとか? お、俺、見たいな~?」
「……お姉ちゃんをいじめる弟なんて、知りません。ぷいっ、です」
「はぁ……ぷいっと口に出しながら顔を背ける姉の機嫌が悪くて困る」
「……なんか、馬鹿にされてます」
「気のせいだって。だから、ほら、なんか用あるんだろ?」
「……強化」
「は?」
「……お姉ちゃんは、強化人間になりました」
なんだか拗ねたように言うちなねえ。
「はぁ。強化人間、ですか」
「……また、馬鹿にされてます。……近頃のタカくんは、お姉ちゃんを馬鹿にするので悲しいです」
「や、馬鹿になんてしてない。ただ、ついていけないだけで」
「……弟は、姉についていかなければならないんですよ? ほら、この本にも書いてあります」
そう言ってちなねえは懐を探り、変な本を俺に差し出した。……月刊お姉ちゃん?
「また読者が極めて限られてるような本を……ちょっと貸してみ」
「あっ……」
それなりの厚さの本をぱらぱらとめくると、弟を振り向かせる方法、弟が喜ぶ食事100選、弟の電話を盗聴する方法、弟に彼女が出来たときの彼女討伐術……
「よっ、読んだらダメです」
ちなねえに無理矢理奪われた。大事そうに懐に仕舞ってる。
「……犯罪系の本?」
「……趣味の本、です」
こんな本が流通してる辺り、世も末だと思う。
「……そんなのはどうでもいいです。……お姉ちゃんの強化、とくと見てみるべきです」
「はぁ、具体的にどうなりますか?」
「……魅力が1.3倍あっぷ。……大人っぽくなる予感」
そう言って、ちなねえはばちばちと片目を瞬かせた。
「どした、目にゴミでも入ったか?」
「ち、違うのです。これはその、ウィンクで……」
「はいはい、いーから見せてみ」
わたわたと両手を前に出すちなねえの目を覗き込む。ぱっと見、ゴミは入ってないようだ。ただ……
「大変だちなねえ、でっけえのが入ってる」
「え、ええっ!? ……どうしましょうタカくん、お姉ちゃんは少し怖いです」
「白いのの中に、黒いのが! わぁっ、黒いのが動いた!」
「……タカくん、それって眼球のこと?」
「さっすがちなねえ、賢いなぁ」
「……弟に翻弄され、お姉ちゃんは悲しいです。……はっ、でもこれは姉を翻弄するほど弟が成長したということでしょうか……?」
「いや、単にちなねえが騙されやすいだけだよ」
「…………」
ちなねえがいじけた。指で床にのの字を書いてる。
「……タカくんがお姉ちゃんをいじめる」
ちらちらとこっちを窺い見るちなねえ。……ちょっといじめすぎたか? このままでは晩飯をお預けされてしまうので、もう一度ご機嫌を取ろう。
「ごめんよ、ちなねえ。……ちなねえがあんまり可愛いから、俺、ついいじわるを……」
「っ!! か、可愛いとかは、彼女さんに言うべきです。お姉ちゃんに言う言葉じゃないです。……まったく、タカくんには困ったものです」
なんて言いながら、ちなねえはニッコニコに笑いながら俺の頭をなでた。……言っといてなんだが、ちなねえ、超簡単。
「……こ、困ったものですが、もう一度言うのもいいかもしれません。……さぁタカくん、りぴーとです」
目を輝かせて待つちなねえに、俺は困ったものはどっちだと思いながら、さっきの言葉をもう一度繰り返した。
にやにや笑いながらちなねえが近寄ってきたので、デコピンしてやった。
「うぅ~……タカくんがお姉ちゃんをいじめる」
「いや、なんかヤな予感がしたんでつい。悪気はないんだ」
「……悪気がなくても、女の子にデコピンなんかしたらダメですよ?」
「……ちなねえ、20超えてるのに自分を女の子と呼ぶのか」
ちなねえの眉毛が不機嫌そうな八の字になった。いや、まぁ見た目は中学生みたいだけど、流石に女の子は厳しいし。
ともあれ、ほっとくと飯作ってくれなくなるので、機嫌を直そう。
「そ、それでどうしたんだ、ちなねえ?」
「…………」(大人気なくも、ほっぺぷくー)
「あっ、アレか? また変な召還獣手に入れたとか? お、俺、見たいな~?」
「……お姉ちゃんをいじめる弟なんて、知りません。ぷいっ、です」
「はぁ……ぷいっと口に出しながら顔を背ける姉の機嫌が悪くて困る」
「……なんか、馬鹿にされてます」
「気のせいだって。だから、ほら、なんか用あるんだろ?」
「……強化」
「は?」
「……お姉ちゃんは、強化人間になりました」
なんだか拗ねたように言うちなねえ。
「はぁ。強化人間、ですか」
「……また、馬鹿にされてます。……近頃のタカくんは、お姉ちゃんを馬鹿にするので悲しいです」
「や、馬鹿になんてしてない。ただ、ついていけないだけで」
「……弟は、姉についていかなければならないんですよ? ほら、この本にも書いてあります」
そう言ってちなねえは懐を探り、変な本を俺に差し出した。……月刊お姉ちゃん?
「また読者が極めて限られてるような本を……ちょっと貸してみ」
「あっ……」
それなりの厚さの本をぱらぱらとめくると、弟を振り向かせる方法、弟が喜ぶ食事100選、弟の電話を盗聴する方法、弟に彼女が出来たときの彼女討伐術……
「よっ、読んだらダメです」
ちなねえに無理矢理奪われた。大事そうに懐に仕舞ってる。
「……犯罪系の本?」
「……趣味の本、です」
こんな本が流通してる辺り、世も末だと思う。
「……そんなのはどうでもいいです。……お姉ちゃんの強化、とくと見てみるべきです」
「はぁ、具体的にどうなりますか?」
「……魅力が1.3倍あっぷ。……大人っぽくなる予感」
そう言って、ちなねえはばちばちと片目を瞬かせた。
「どした、目にゴミでも入ったか?」
「ち、違うのです。これはその、ウィンクで……」
「はいはい、いーから見せてみ」
わたわたと両手を前に出すちなねえの目を覗き込む。ぱっと見、ゴミは入ってないようだ。ただ……
「大変だちなねえ、でっけえのが入ってる」
「え、ええっ!? ……どうしましょうタカくん、お姉ちゃんは少し怖いです」
「白いのの中に、黒いのが! わぁっ、黒いのが動いた!」
「……タカくん、それって眼球のこと?」
「さっすがちなねえ、賢いなぁ」
「……弟に翻弄され、お姉ちゃんは悲しいです。……はっ、でもこれは姉を翻弄するほど弟が成長したということでしょうか……?」
「いや、単にちなねえが騙されやすいだけだよ」
「…………」
ちなねえがいじけた。指で床にのの字を書いてる。
「……タカくんがお姉ちゃんをいじめる」
ちらちらとこっちを窺い見るちなねえ。……ちょっといじめすぎたか? このままでは晩飯をお預けされてしまうので、もう一度ご機嫌を取ろう。
「ごめんよ、ちなねえ。……ちなねえがあんまり可愛いから、俺、ついいじわるを……」
「っ!! か、可愛いとかは、彼女さんに言うべきです。お姉ちゃんに言う言葉じゃないです。……まったく、タカくんには困ったものです」
なんて言いながら、ちなねえはニッコニコに笑いながら俺の頭をなでた。……言っといてなんだが、ちなねえ、超簡単。
「……こ、困ったものですが、もう一度言うのもいいかもしれません。……さぁタカくん、りぴーとです」
目を輝かせて待つちなねえに、俺は困ったものはどっちだと思いながら、さっきの言葉をもう一度繰り返した。
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