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2024年11月23日
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【動物とお話できるちなねえ】
2010年04月01日
「……あっ、タカくんタカくん。……お姉ちゃんは、タカくんを探してました」
ぷらぷらと近所を散歩してると、ちなねえと遭遇した。
「人違いです」
「……お姉ちゃんがタカくんを見間違えるわけないです。……あなたは、タカくんです」
「目の迷いです」
「……お姉ちゃんの目は、迷ってませんよ?」
「ヤギズボンです」
「……タカくん、適当なこと言ってるだけ?」
コクコク頷くと、ちなねえが怒った。
「……お姉ちゃんに適当なことを言ってはいけません。……まったく、タカくんには困ったものです」
「だって暑いんですもの」
「……そんなタカくんにろーほーです。……なんと、お姉ちゃんは動物とお話ができるようになりました」
すごい? と眼が雄弁に語っているが無視。
「あー……あのさ、ちなねえ。動物と話できても、暑さは解消されないと思うが」
「……そうですね、そこの猫さんと話してみましょう」
俺の鋭すぎる疑問を完全無視し、ちなねえは日陰でぐったりしてる猫に近づいた。
「……にゃ、にゃー」
「ちなねえが壊れた」
「……壊れてません。……タカくん、邪魔しないでください」
俺を叱りつけ、ちなねえは再びにゃーにゃー言い出した。
「……にゃ、にゃー。にゃにゃ」
「……にゃふ~……」
頑張って見れば、猫と会話しているように見えなくもない。普通に見たら、猫に話しかけてる変な人。
「……ふむふむ、分かりました」
「本当か、20過ぎてにゃーにゃー言ってるちなねえ?」
「…………」
なんだか不満そうに見られた。
「……にゃーにゃー言うお姉ちゃんが言います。……『暑い』って言ってます」
皮肉を交えながら、ちなねえは分かりきったことを言った。
「そんなの、このぐったりしてる姿見りゃ聞かなくても分かるだろ……」
相変わらず暑そうに寝そべってる猫を指すと、ちなねえは小さく頬を膨らませた。
「……だって、そう言ってるんです。……私のせいじゃないです。……タカくんは、お姉ちゃんが頑張ったのに、褒めてくれないんですか?」
にゃーにゃー言ったのは頑張ったことになるのでしょうか。
「この炎天下の下、よくぞにゃーにゃー言った! 感動した!」
「……褒められてる気がしません」
「まーまー、いいから帰ろうぜ。暑くて脳が溶けそうだ」
「……タカくんが褒めてくれなくて残念ですが、それには賛成です」
ちなねえを伴い、帰路に着く。
「ところでさ、どうやって動物と話せるようになったんだ?」
「……ふふ、よくぞ聞いてくれました」
ちなねえの口元が小さく歪む。それを見て、聞くんじゃなかったという後悔の念が俺の中になぜか渦巻いた。
「……えっと、……じゃっじゃ~ん。……これのおかげです」
そう言ってちなねえが取り出したのは、
「……月刊、お姉ちゃん……」
「……今月号は、なんと動物とお話できるようになる方法が書いてあります」
表紙に『動物とお話できるお姉ちゃんになり、弟ともっともっと仲良くなろう!』と、大きく書かれていた。
「……魔術書?」
「……趣味の本、です」
どっかの魔術協会に封印されてもおかしくない本を懐に仕舞い、ちなねえは俺の手を握った。
「……さっ、帰りましょう。……ご飯食べて、その後もう一度猫さんとお話しましょう」
「もーいいよ、家でだらだらしたいよ……」
「……ダメです。タカくんが褒めてくれるまで、お姉ちゃんは猫さんとお話します」
散歩は堪能したので、今日はもう外に出たくない。だが、褒めると以後延々と獣と会話する姉を見させられてしまう。……別の方向から攻めてみるか。
「ちなねえは可愛いなぁ、一日中ずっとすりすりしていたいくらい可愛いなぁ」
「っ!! ……そ、そういうことを褒めるべきではないです。……ね、猫さんと話せる事を褒めるべきです」
作戦は失敗に終わった。しゃーない、家でゴロゴロは諦めよう。
「……だ、だけど、……私はお姉ちゃんなので、弟のしたいことはなるべくさせてあげたいです。……で、ですから、……すりすりしても、いいですよ?」
作戦は変な方向で成功した。ほにゃほにゃだった。
ぷらぷらと近所を散歩してると、ちなねえと遭遇した。
「人違いです」
「……お姉ちゃんがタカくんを見間違えるわけないです。……あなたは、タカくんです」
「目の迷いです」
「……お姉ちゃんの目は、迷ってませんよ?」
「ヤギズボンです」
「……タカくん、適当なこと言ってるだけ?」
コクコク頷くと、ちなねえが怒った。
「……お姉ちゃんに適当なことを言ってはいけません。……まったく、タカくんには困ったものです」
「だって暑いんですもの」
「……そんなタカくんにろーほーです。……なんと、お姉ちゃんは動物とお話ができるようになりました」
すごい? と眼が雄弁に語っているが無視。
「あー……あのさ、ちなねえ。動物と話できても、暑さは解消されないと思うが」
「……そうですね、そこの猫さんと話してみましょう」
俺の鋭すぎる疑問を完全無視し、ちなねえは日陰でぐったりしてる猫に近づいた。
「……にゃ、にゃー」
「ちなねえが壊れた」
「……壊れてません。……タカくん、邪魔しないでください」
俺を叱りつけ、ちなねえは再びにゃーにゃー言い出した。
「……にゃ、にゃー。にゃにゃ」
「……にゃふ~……」
頑張って見れば、猫と会話しているように見えなくもない。普通に見たら、猫に話しかけてる変な人。
「……ふむふむ、分かりました」
「本当か、20過ぎてにゃーにゃー言ってるちなねえ?」
「…………」
なんだか不満そうに見られた。
「……にゃーにゃー言うお姉ちゃんが言います。……『暑い』って言ってます」
皮肉を交えながら、ちなねえは分かりきったことを言った。
「そんなの、このぐったりしてる姿見りゃ聞かなくても分かるだろ……」
相変わらず暑そうに寝そべってる猫を指すと、ちなねえは小さく頬を膨らませた。
「……だって、そう言ってるんです。……私のせいじゃないです。……タカくんは、お姉ちゃんが頑張ったのに、褒めてくれないんですか?」
にゃーにゃー言ったのは頑張ったことになるのでしょうか。
「この炎天下の下、よくぞにゃーにゃー言った! 感動した!」
「……褒められてる気がしません」
「まーまー、いいから帰ろうぜ。暑くて脳が溶けそうだ」
「……タカくんが褒めてくれなくて残念ですが、それには賛成です」
ちなねえを伴い、帰路に着く。
「ところでさ、どうやって動物と話せるようになったんだ?」
「……ふふ、よくぞ聞いてくれました」
ちなねえの口元が小さく歪む。それを見て、聞くんじゃなかったという後悔の念が俺の中になぜか渦巻いた。
「……えっと、……じゃっじゃ~ん。……これのおかげです」
そう言ってちなねえが取り出したのは、
「……月刊、お姉ちゃん……」
「……今月号は、なんと動物とお話できるようになる方法が書いてあります」
表紙に『動物とお話できるお姉ちゃんになり、弟ともっともっと仲良くなろう!』と、大きく書かれていた。
「……魔術書?」
「……趣味の本、です」
どっかの魔術協会に封印されてもおかしくない本を懐に仕舞い、ちなねえは俺の手を握った。
「……さっ、帰りましょう。……ご飯食べて、その後もう一度猫さんとお話しましょう」
「もーいいよ、家でだらだらしたいよ……」
「……ダメです。タカくんが褒めてくれるまで、お姉ちゃんは猫さんとお話します」
散歩は堪能したので、今日はもう外に出たくない。だが、褒めると以後延々と獣と会話する姉を見させられてしまう。……別の方向から攻めてみるか。
「ちなねえは可愛いなぁ、一日中ずっとすりすりしていたいくらい可愛いなぁ」
「っ!! ……そ、そういうことを褒めるべきではないです。……ね、猫さんと話せる事を褒めるべきです」
作戦は失敗に終わった。しゃーない、家でゴロゴロは諦めよう。
「……だ、だけど、……私はお姉ちゃんなので、弟のしたいことはなるべくさせてあげたいです。……で、ですから、……すりすりしても、いいですよ?」
作戦は変な方向で成功した。ほにゃほにゃだった。
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