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2024年11月22日
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【耳鳴り】

2010年05月29日
「……どしたの? 眉間に皺なんか寄せちゃって。……似合わないよ」
「ほっとけ。キーンって耳鳴りがすんだよ。うっとうしい」
「耳鳴り……わたし、治す方法知ってる」
「何っ!? 本当か? やってくれ」
「……いいの? 後悔しない?」
「うむ、任せる」
 ちなみは少し考えて、俺の横に立った。そして、
「はひゃあ!」
 あろうことか俺の耳をなめた。れろんって。
「な、な、な、何を……」
「……治ったでしょ?」
「な、何が」
「耳鳴り」
 言われてみれば、確かに耳鳴りは治まっている。
「おお……おお! 凄いなちなみ! 見事! 褒美に俺の口付けをやろう」
「いらない」
 ぴしゃりと言われて軽くへこむも、耳鳴りが治ったことに機嫌の良さは止まらない。
 うむ、この喜びを誰かに伝えたい。誰かいないか……おお、かなみがいるじゃないか。
「よお!」
「…………」
 喜色満面で話しかけたというのに、かなみときたら不機嫌そうに俺を一瞥しただけで、またそっぽを向いてしまった。
「なんだ? 機嫌悪そうだな」
「……ほっといてよ」
「さては、耳鳴りか? 耳鳴りだろ? よし、俺が治してやろう」
 かなみが何か言う前に彼女の耳に口を寄せ、れろん。
「ひゃああああ! 何すんのよ、変態!」
 耳鳴りを治してあげたんだよ、と言おうと口を開く前に殴られた。殴られた。殴られてる。

 目が覚めたら夜だった。

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