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2025年04月21日
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【ツンデレの入ってる風呂に入ったら】

2010年03月03日
 かなみと一緒に帰ってる最中、突然の雨に見舞われた。どうにか俺の家に辿り着いたが、二人ともビショビショになってしまったので、かなみに風呂を勧めた。
「覗いたら殺すからね」
 それだけ言って、かなみは風呂に入っていった。ふむ、覗くとダメなのか。
「ということで、一緒に入ってみた!」
「っきゃーーーーーーーーーーーーーっっっ!!!」
 タオルを巻いて風呂場に入ると、かなみは浴槽の中に体を隠して絶叫した。
「どうだこのトンチ! 覗くことに関しては釘を刺されたが、共に風呂に入る事に関してはノータッチだったので罰なし! 恐ろしい……自らの頭脳に戦慄すら覚える!」
「な、な、な、なに考えてんのよ! ダメに決まってるでしょ! いいから出てけっ!」
 かなみは顔を真っ赤にして縮こまった。残念なことに風呂に濁り系の入浴剤が入っているため、かなみの幼くも男を惹きつける淫靡な肢体(予想)がまるで見えない。
「せっかくのお風呂イベントなのに何も見えないだなんて……生きる意味すら見失いかねん!」
「勝手に変なイベント発生さすなっ! もーっ、なんでもいいから出てけーっ!」
 折角意を決して入ったというのに、このまま出てしまったらつまらない。せめて乳の一つでも拝まなければ、このリビドーを発散することはできないだろう。
「ということで、ちょっと俺の入る場所を空けてくれ」
「なっ、なんで普通に入ろうとしてるのよっ! 出ていきなさいっ! 入ったら殺すわよ!」
「俺に風邪を引けと言うのか」
「だからってなんで一緒に入るって結論になるのよっ! アンタが出て行ったらあたしもすぐ出るから、ちょっと待ってなさい!」
「うーん、急に日本語が分からなくなった」
「メチャメチャ喋ってるじゃないっ! こっ、こら、入るなって言ってるのに!」
 阿呆のフリをしながら、無理矢理かなみのいる浴槽に身を沈める。
「あー、いい湯だ」
「何を落ち着いてんのよっ!? 出てけ出てけ出てけーっ!」
「どうしてもダメか?」
 得意の子犬っぽい目で哀れっぽく頼んでみる。
「うっ……」
「俺、この銭湯が終わったら、故郷の恋人と結婚するんだ……」
「それ死亡フラグ! あと戦闘違いよっ! あーもう、なんかどうでもいいわ……」
 面倒くさくなったのか、かなみはため息をつきながら俺が風呂に入るのを認めてくれた。
「でもね! 絶っっっ対、ここからこっちに来たらダメだからね! 絶対よ!」
 かなみは水面の真ん中に境界線を引き、俺を牽制した。
「もうちょっと腕を上げてくれるとおっぱいが見えそうなので、非常に助かります」
 首を絞められた。もうちょっとで死ぬという所で、解放される。
「げほっ、げほっ……うう、丁寧に言ったのに」
「丁寧に言われたからって見せる馬鹿がいるわけないでしょっ!」
 非常に残念だが、これ以上言うと本当に殺されかねないので我慢しよう。それはそれとして、水中でかなみの腕や体が当たるので、とても嬉しい。
「……ねぇタカシ、もうちょっとそっちに行きなさいよ。アンタの腕が当たって気持ち悪いんだけど」
「これ以上向こうへ行くと、俺の体が“かべのなかにいる”になるのだが」
「ああもうっ、狭い狭いせーまーいっ! アンタ、早く出なさいよ! あたしと一緒に入って満足したでしょ!」
「まだ満足とは程遠い。あと2時間はこうしていたい」
「いいから出なさいっ!」
 かなみが俺をぎゅうぎゅう壁際に押す。
「うぐぐ、かなみが俺を“かべのなかにいる”状態にしようとする! 負けん、負けるものか! そう、これは聖戦なのだ!」
 これ以上押されると潰されるてしまうので、こちらもかなみ方向に体重をかけて拮抗する。
「何を意味の分からない事を……ひゃっ!?」
 かなみの手が滑り、俺に抱きつくような状態になってしまった。かなみの顔が俺の肩に触れる。
「…………」
「…………」
 かなみと目が合ったまま、互いに黙る。いや、喋れない。一体この状態で何を喋れというのか。お湯の揺れる音だけしかしない。
 俺に横から抱きついたまま、かなみは黙している。俺は俺で、かなみの体の柔らかさを感じるのに精一杯で、とてもじゃないが喋る余裕なんてなかった。
 ところで、この腕に感じる突起の感覚は……乳首かにゃー? 衝動に耐え切れず回転するように腕を小さく動かすと、くりっとしたものが俺の腕にこすれた。
「っっっ!!!?? ななななななななな、何すんのよッッッ!!!」
 今まで経験したことのない、とてもすごいパンチが俺の顔面を襲う。あまりの勢いに後頭部が壁に激突し、とてもとても痛い。死ぬかと思った。
「むっ、むむっ、胸触った! アンタ、あたしの胸触った! 触ったでしょっ!」
 かなみは顔を真っ赤っ赤にして胸を隠した。
「あー……うん。触った。くりくりってしてた。最高。もう思い残すことない。むしろここで死んだらハッピーエンドになると思う」
「~~~~~~~~っ!!」
 思いのままに言ったら、これ以上赤くなりはしないと思ったかなみの顔がさらに赤くなった。
「こっ、ここっ、このっ、変態変態変態! 死んじゃえばかっ!」
「ちっちゃいおっぱい、略してちっぱい最高。もっと誇ってもいいと思う。あと、もっと触りたい。いい?」
「こっ……この、ド変態っっっ!!!」
 怒りまくったかなみに浴槽に沈められた。みずのなかにいる。

「この馬鹿この馬鹿この馬鹿! なんてことするのよっ!」
「ごめんなさい。正直、熱暴走していたとしか思えません」
 風呂から上がり、ソファの上に立って怒ってるかなみに土下座する。
「しかも、何この服! なんでアンタのYシャツしかないのよ!」
 かなみの制服は濡れていたので今は乾燥機の中であり、その代わりに俺の大きなYシャツを着ている。袖が長すぎるのか、手が出てない。そして、下はたぶん、パンツだけ。裾が長くて見えないけど。
「裸Yシャツは男の浪漫! 最高ですよ!」
「アンタまったく反省してないでしょっ!」
「してるよ? てへ、ごめりんこ」
 かなみからぷちっという何かが切れた音がしたような気がした。
「もう謝ったって許さないんだからっ! アンタ今日からあたしの奴隷! 異議は認めないわよ!」
「いや、今の日本に奴隷制度はないんだが」
「うるさいうるさいうるさいっ! なくてもアンタは奴隷なの! 奴隷がダメなら犬! そう、今日からアンタはあたしの犬!」
「ということは、かなみは猫になるんだな」
「なんでそうなるのよっ! あたしはご主人様なの! ほら、言って」
「Yシャツの裾をまくってパンツを見せてくれたら言う」
「みっ、見せるわけないでしょっ! この変態! 変態犬!」
「あ! なんかアニメで聞いたことあるセリフ! やった、やったぞ!」
「なんで喜ぶのよ!? うう……どうしたらこいつをぎゃふんと言わせられるの?」
「それはやっぱり裾をまくってパンツを見せるしかないんじゃないか?」
「だから、見せるわけないじゃないの、この馬鹿犬ーっ!」
 思いっきり蹴り上げられた。大きく裾がまくり上がり、真っ白なパンツが姿を現した。
「ひ、ひゃああああ! 見た!? 見たでしょ!? 絶対見た!」
 自分がやったことだというのに、かなみはその場に座り込んで俺を睨んだ。
「……よしっ、記憶完了、今日のおかずに決定!」
「わっ、忘れなさい、今見たのを忘れなさいっ! ご主人様の命令っ!」
「おっぱい見せてくれたら忘れる」
「見せるわけないじゃない、ばかーっ!」
 座り込んだままヤケクソ気味に叫ぶご主人様だった。

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【神社の境内の床の下+かなみ+料理】

2010年03月03日
 かなみから神社に来いと連絡があったので、来た。だが、当のかなみはまだ来ていないようだった。仕方ないので待つ事にしよう。
 ……暇だ。ぼやーっと空を眺めるのも飽きたので、神社の床下に潜んでみる事にする。うむ、見事にクモの巣まみれで非常に不快。
 顔にかかるクモの巣が嫌だなあと思いながら待っていると、かなみがやって来た。手に何か小さな包みを持っている。
「あれっ? タカシの奴、いないじゃない。……あれだけ遅れるなって言ったのに、あの馬鹿」
 かなみは境内を見回したが、俺を見つけられないでいるようだった。普通、床下なんかにいるとは思わないわな。
「遅れた張本人が何を言ってる」
「えっ、いたの……っきゃあああああ!!!」
 虫か何かのように四つ足で床下からずるりと這い出ると、かなみが悲鳴をあげた。
「おっ、おばけおばけおばけ! 来るな来るな来るなーっ!」
 かなみは俺を幽霊か何かと勘違いしているようだ。確かに全身クモの巣まみれなので、そう見えなくもないかもしれない。よし、調子に乗ろう。
「食ーべちゃーうぞー」
「うええええんっ! あたしおいしくないよーっ!」
 かなみが面白くなった。
「うえっへっへっへ、俺様は貧乳八重歯ツインテールが大好物なーのだー。貴様はその全てに当てはまってるので、是非食べちゃいたいのだー」
「……タカシ? あんた幽霊じゃなくてタカシでしょ!」
 どうしたことか、ばれてしまった。仕方ないので体についたクモの巣を取っ払い、人間状態に戻る。
「ということで、貧乳八重歯ツインテールが大好物のタカシですこんにちは」
「うっさい! それより、なんでそんな全身クモの巣まみれなのよ! “神社で大人しく待ってなさい”って言ったでしょ!」
「“但し、全身にクモの巣をつけることは禁ずる”とは言われなかったし」
「普通しないの! 高校生にもなってたら! なんでこんなこと言わなきゃいけないのよ……」
 叱られた。次からは別の何かをつけることにしよう。カマキリの巣とか。
「……言っとくけど、別の何かをつけてもダメだからね」
 俺の行動は読まれがちだった。
「で、何の用なんだ? 俺をクモの巣まみれにするくらいなんだから、さぞ大層な用件だろうな」
「んなこと頼んでないっ! ……こほんっ」
 かなみは咳払いして、俺に向き直った。
「べ、別に深い意味はないんだけどね? そ、その、アンタが“料理ができないかなみが嫁になんていけるわけねー”とか言って馬鹿にするから、ちゃんと料理できるって証明するために、その……これっ!」
 かなみは手に持っていた小さな包みを俺に押し付けた。
「爆弾だと!? 俺はそこまで恨まれていたのか!」
「違うッ! ……サンドイッチよ。食べなさい」
「え、あ、うん」
 動揺しつつも、包みを解く。中には、小さなサンドイッチが三つ入っていた。
「卵とハムとレタスよ。ちゃっちゃと食べて感想言いなさい」
 どこか怒ったように、かなみは明後日の方向を見ながらそう言った。
「あ、えっと、いただきます」
 状況についていけないながらも、とりあえず一口かじる。口の中にタマゴサンドの味が広がった。
「おいしい」
「そ、そう。……じゃなくてっ! おいしいじゃ分かんないわよ! もっとテレビみたいに言いなさいよっ!」
「テレビあんまり見ないんだ」
「いいから言いなさいっ!」
「ニワトリになるはずだった生命を焼き殺し、それを醗酵、すなわち腐らせたモノで挟んだ食品はおいしいなあ」
 頑張って言ったのに、かなみがとても嫌な顔をした。
「……アンタに期待したあたしが馬鹿だったわ」
「いや、でもおいしいおいしい。なんだ、料理上手じゃん」
「そ、そう? ま、まあ、あたしにかかればこんなのラクショーよ」
 おだてられ、かなみは目に見えて機嫌がよくなった。
「……で、そ、その、……嫁に欲しくなったり、した? あ、そ、その、お嫁さんはいきすぎよね。よくても、彼女……とか」
 かなみは両の指をちょんちょんと合わせながら、上目遣いに俺を見た。
「彼女はともかく、家政婦──否、メイドさんとして雇いたくなった。可愛いよね、メイドさん。性的なご奉仕とかしてほしい」
 おや、何か選択肢を誤ったようで。かなみの体が小刻みに震えてますよ。殴られるのかな?
「人が折角頑張ったのに……メイドになれですってえ! しかも性的なご奉仕!? この変態がーっ!」
「いやいやいや! 性的と言っても、そんな酷いことしませんよ! 挿れたりしないから! ……いや、やっぱ挿れたい! どうですか、合体しませんか?」
 途中で性欲の野郎が暴走したせいで、ものすごく殴られた。

「……へんたいやろう」
「すいません。返す言葉も御座いません。どうかしてました」
 性欲の暴走が過ぎ去った後、ものすごく不機嫌になったかなみをどうにかするべく必死に謝る。
「まったく……なんでアンタってばそんなエッチなのよ」
「好きな人とならエッチしたくもな……なんでもないなんでもないなんでもない! 忘れろ!」
 思わず漏れた俺の失言に、かなみの顔がものすげー赤くなった。
「そ、そうなんだ。ふーん。アンタが、あたしのことを。……あーあ、最悪。こんなのに好かれるなんてねぇ」
 かなみは顔がにやけるのを必死で止めているようだったが、成功には及ばなかったようだ。無論、それを指摘する勇気なんてないけど。
「ま、まあ、あたしがアンタを好きになるなんて絶対にないだろうけどね。ふっふー、残念でしたー」
「じゃあ諦めよう」
 かなみの顔が「しまった」という感じになった。
「そっ、そんなすぐに諦めるのってよくないわよ? ほら、頑張ったらどうにかなったりする可能性もなきにしもあらずと言うか!」
「いや、好きになるなんて絶対無理とか言われたし。そこまで意思が固いなら、もう諦めるしか」
 かなみの顔が泣きそうになった。
「よ、世の中には絶対とかないわよ? ひょっとしたら大丈夫かもしれないし……」
 言葉が尻すぼみになり、かなみは黙ってしまった。……ちょっとからかいすぎたか?
「……ああもうっ! アンタ! 男だったらばしーっと告白しなさいよっ!」
 軽く心配してると、かなみは突然俺の肩を掴み、無茶を言った。
「いや、既にしたようなもんだし。ふられたし」
「いいからっ! もう一回しなさいっ! 返事変わるから!」
 変わるのか。ていうか、それもう答えだろ。
「明日かなみが弁当作ってくれるなら、言う可能性が出てくる」
「な、なんでアンタが上の立場なのよっ! あたしは告白される側、アンタがする側! 分かってんの!?」
「断られた。ああ、やはり嫌われているのだな。悲しいが、諦め」
「わ、分かったわよ! 作ってくるわよ! だから明日、ちゃんと告白しなさいよっ! いいわねっ!」
 そう言って、かなみは偉そうにふんぞり返った。ただ、顔が真っ赤なままだったので、まるで締まらなかった。

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【連休ボケで仕事する気がゼロのタカシ】

2010年03月02日
 三連休過ぎたら、やる気が失せた。バイト行くの超だるい。それに店長なんか息臭いし。そうだ、店長の息臭いから今日は休もう。って電話したら死ぬほど怒られた。仕方ない、行くか。
 家から出たら超暑い。やる気失せた。暑いから休みますって携帯で連絡したら超怒られた。仕方ない、行こう。
 やる気ないし暑いし店長の息臭いし、ああなんで俺バイトなんか行ってんだろう、なんて思ってると、かなみを見かけた。……うう、俺がこんな大変なのに、笑いながらアイス食ってる。
 俺はかなみに見つからないよう忍び足で近づき、一瞬の隙を突いてアイスを一口かじった。
「あああああ! なにすんのよ!」
「忍び足で近づいてアイスを食べた」
「そういうことを言ってるんじゃない! どうしてやったか、って聞いてるのよ!」
「アイスが美味そうだったから」
「あああああ! この馬鹿! 死ね!」
 すげー殴られた。なんでだろう。
「はぁはぁ……ったく、いつもながら馬鹿なんだから。それよりアンタ、バイトじゃないの?」
「あー……そうなんだけど、かったるくてな」
 いかにかったるいか踊りで表現したら、余計にかったるくなった。
「……なに、そのミジンコがダンスしてるみたいなダンス」
 しかもかなみには伝わらなかったようだ。ちぇ。
「もーいー。バイト行く」
 ふらふらと幽鬼のようにかなみから遠ざかろうとしたら、呼び止められた。
「あ、ちょっと待って」
「あー?」
 はい、と未開封のアイスを渡された。
「あげる。ふたつ食べようかと思ったけど、なんかお腹一杯になっちゃったから」
「いや、でも……」
「何よ、私のアイスは食べれないっての? いいからそれ食べて、ちょっとはやる気出しなさい。……元気くらいしか、アンタには取柄ないんだから」
 かなみの心遣いに静かに感動していると、慌てたように弁解しだした。
「ち、違うわよ? 別に心配とかそんな、えっと……いいからとっととバイト行け!」
 かなみに蹴り飛ばされた。振り向くと、もうかなみはどこかへ行ってしまった。
 袋を開け、アイスを食べる。ちょっとだけ頑張ろうかな、と思いながら俺はバイト先へ向かった。

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【耳年増なちゅんでれ】

2010年03月01日
 とあるホームページでストライクゾーンが5~7歳ということを知り、激しいショックを受けた俺は気分転換に散歩することにした。
「あ、ダメにんげんだ!」
「真の名で俺を呼ぶな! ……あ、幼女か。うっす」
 街を徘徊してると、最近知り合った幼女、かなみちゃんに出会った。
「ようじょじゃない、かなみよ! で、どしたの? なんかげんきないけど」
「ちょっとな。大したことじゃない」
「こんどはなにやっておこられたの? のぞき? セクハラ?」
「んなことするかッ!」
 あんまりね。最近はね。痛いの嫌なんだ。
「ん~、じゃあなに?」
「ふ……子供にゃ分からないさ」
「なによ、こどもじゃないわよ! ……ニンジン、たべれないけど」
「ニンジンも食べれん子供にゃ絶対分からんな」
 ていうか誰にも分かるわけない。……俺のストライクゾーンが子供だと知り苦悩しているなどと!
「なによ、ばかにして! わたし、おとななのよ! こどもをつくるほうほうだって、しってるんだから!」
「へーへー」
 どうせキャベツ畑だのコウノトリだの、その辺りだろう。
「えっと、こどもはね、その……ちゅーをしたら、できるの」
「……あー、そか」
「なによ、アンタおとなのくせにしらないの? ほんとうなのよ! ママがいってたもん!」
「はいはい、そうだね。かなみちゃんの言う通りだよ」
 頭をなでてそう言うと、かなみちゃんは顔を真っ赤にして怒った。
「ばかにしてー! ちょっと、しゃがみなさい! なぐらせろ!」
「嫌っぷー。じゃーな」
 かなみちゃんから走って逃げた。こけた。馬乗りされた。
「ふふふ……えい!」
 ……キスされた。ほおに。
「……ここなら、こどもできないもんね。……げんき、でたでしょ? じゃ、じゃーね!」
 照れながら走って逃げるかなみちゃんを見て、まぁ、幼女好きもそれはそれで、と思った。

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【ツンデレとクリスマス】

2010年03月01日
 今日はクリスマスイブなので、是が非にでもぱーてーを行いたい! そして、イチャイチャしたい気持ち!
 という気持ちだけは潤沢にあるのだけど、声をかける勇気はない。
「か、勘違いしないでよね、別に断られるのが怖いんじゃないんだからねっ!」
「どやかましいっ!」
 後ろを通りがかったかなみが俺を怒鳴る。怒られて怖いので、教室の隅っこに移動する。
「……何やってんのよ」
 しばし震えを楽しんでると、かなみが俺の前に立ち、じろりと見下ろしているのに気づいた。
「あ、いや、その、……ぱ、ぱーてーの来客リストを確認してたまでさ」
 怒られて怖かったので隅っこで震えていた、と言うことは男としてのプライドが許さないので、適当なことを言ってみる。
「来客リストぉ? ばっかねー、アンタなんかが開くパーティーに人が集まるわけないじゃない」
 最初から嘘と決めてかかっているのか、かなみは鼻で笑った。
「クロロホルム仕入れたから大丈夫」
「さらってまで集めるなっ!」
 もっともなことを言われた。
「ったく。どーせ誰も来てくれないんでしょ?」
「そ、そんなことはないぞ? 両手両足の指じゃ足りないほどの人数が来るという噂が」
「絶対嘘ね。アンタみたいなのと一緒にクリスマス過ごす奇特な奴なんていないわよ」
 残念でしたー、と晴れやかな笑顔を浮かべるムカツク娘っ子。
「い、いるさっ! たで食う虫も好き好きと言うし、この銀河系のどこかにはきっと俺の事を好きで好きで仕方がない女性型の何かがいるさっ!」
「女性型の何かって……言ってて悲しくない?」
 実は自分で言ってて空しさのあまり死にそう。
「とっ、とにかくそういうことなので、俺様は来客を捌くのに忙しいのだ! さらばだかなみ、また会おうっ!」
「あっ、待ちなさいよ! ……もう」
 これ以上何か言われるとボロが出るので、というかもうすでにかなりの量のボロが出てるが、とにかく教室から飛び出す。こうなったら意地でも声をかけまくってやる!

「……おかしい」
 その後、校内を駆けずり回って必死に「俺とぱーちーしません?」と訊ねまわったが、誰一人としてうなずいてくれなかった。
「やはり執拗に『エロいことはしませんからうえっへっへっへ』と言ったのがまずかったのだろうか」
 怯えられないよう笑顔を作ったはいいが、慣れていないため引きつり、怪しくなってしまった。
「……い、いや、まだだ、まだ! ひょっとしたら気の早いサンタが俺に貧乳の妹っぽい女の子をプレゼントしてくれるかもしれない!」
 一縷の望みを抱き、帰宅する。祈るように自室のドアを開ける。
「……まぁ、そうだわな」
 見慣れた部屋は見慣れたままで、サンタも貧乳も妹もいなかった。
「あー……なんかもういいや。疲れた」
 着替えもそこそこにベッドに倒れこむ。クリスマスの情熱がしぼんでいくのを感じる。もうなんか今年はクリスマスいいや。

「……っと、起きなさいよ!」
 体を揺すられ、意識が覚醒する。
「んあ、んー……ぐぅ」
 しかし、まだ眠いので開きかけたまぶたを閉じて二度寝する。
「だから、起きろって言ってるでしょっ!」
「げはあっ!?」
 おなか痛い、すごくぽんぽんが痛い! あまりの痛みに眠気もどっか飛んで行き、代わりに理不尽な暴力に対する怒りがふつふつと! よし、この乱暴な闖入者に一言いってやる!
「貴様っ、俺様が銀河連邦総司令官だと知っての狼藉かっ!」
「……中二病はほどほどにしといた方がいいわよ」
 意外というか予想通りというか、闖入者はかなみでした。ま、コイツには以前鍵の隠し場所教えちゃったからな。
「えーと、聞いていいかどうか分からないけど、聞くぞ。なんでいるの?」
「えっ? え、えーと、その……」
 かなみは視線を空中にさまよわせた。……適当に考えてるな。
「アンタが哀れにも一人でクリスマスを過ごしてるらしいから、誘いを断ってまでして様子を見に来てやったの! 感謝しなさい!」
 照れているのか知らないが、かなみは顔を真っ赤にし、偉そうに胸を張ってそう言い切った。
「はぁ」
「何よ、その気のない返事! こーんな美少女が来てあげたのよ、もっと喜びなさいよ!」
「わぁい」
「顔が無表情! きちっと笑いなさい! あと、もっと全身を使って喜びを表現しなさい!」
「嬉しさがはちきれるっぜ!」
「……やっぱしなくていいわ。なんか、陸に打ち上げられたタコ系の深海魚みたい」
 人が折角頑張ってやったというのにこの仕打ち。
「まぁいいわ。ほら、パーティーするんでしょ?」
 かなみはコートを脱ぎ、テーブルの前に座った。そして、持っていた袋からチキンとケーキを取り出し、テーブルに並べ始めた。
「……な、何よ。勘違いしないでよね! 偶然安売りしてて、アンタには安物が似合いだと思って買ってきただけなんだから!」
 その様子を呆然と見ている俺に気づいたのか、かなみは顔を赤くしながらそう早口にまくし立てた。
「あー……うん。安物でもなんでも嬉しいです」
「……そ、そう」
 なんだか妙な雰囲気になってしまったが、とにかくパーティーの準備は整った。ジュースで乾杯する。
「ま、まあ一応ね。かんぱーい」
「おっぱーい」
 小動物なら死ぬレベルで睨まれたので、乾杯と言い直してコップを合わせる。
「しっかし……予想通りとはいえ、見事に誰もいないわね。一人くらい連れてこれなかったの?」
 かなみは周囲を見渡し、ジュースを飲みながら馬鹿にした口調で言った。
「よく調べたら、クロロホルムじゃ一瞬で昏倒しないらしくて」
「だから、さらおうとすなっ! ……でも、なんで誰も来ないかねー。アンタ、黙ってたらそこそこ見れるのに。ま、黙ってないから来ないんだけど」
 かなみは楽しそうに笑いながら俺の頬をぐいぐい引っ張った。
「それではまるで俺の性格に難ありと聞こえるが」
「そばにいたら疲れる性格ではあるわね」
 非常に失礼な奴め。俺ほど人畜無害な奴なんていないというのに、とか思いながらチキンをぱくつく。
「どう? おいしい?」
「おいしい」
「そっか。ほら、ケーキも食べなさいよ。アンタ、ショートケーキ好きだったわよね?」
 返事を聞く前にかなみは紙皿にショートケーキを載せ、俺の前に置いた。
「よく覚えてたな、俺がショートケーキ好きなの」
「えっ!? えっ、えっと、あ、あたし記憶力バツグンだから、どんなつまんないことでも覚えてるの!」
 何気ない事を聞いたつもりだったのだが、予想以上に狼狽させてしまった。申し訳なく思いながらケーキを食べる。
「あっ、これすっげーおいしい」
 話を変えるために多少アレでもおいしいと言うつもりだったが、予想を遥かに超えていたため、素直に口からついて出てきた。
「でしょっ? へへっ、前々から予約しておいただけはあるでしょ?」
「ん? 偶然安売りしてたケーキじゃないのか、これ」
 かなみは顔に笑顔を貼り付けたまま凍った。かと思ったら、突然顔を赤くして一気にまくし立てた。
「ちっ、ちちち違うわよっ! 予約をキャンセルされて売れ残ってたケーキよっ! アンタの聞き間違いっ!」
「いや、仮にそうだとしても変だよな。クリスマスなんてケーキが最も売れる時期だろうし、キャンセルされてもすぐ売れるかと」
「うっ、うるさいうるさいうるさいっ! それはドブ川のヘドロが原材料のケーキだから安いのっ! 色々聞くなっ!」
 いくらなんでも訴えられるぞ、と思ったが、あんまりにも必死だったので納得してやることにする。
「そか。それなら安くても納得だな」
「う……」
「ほら、かなみも食え。すごくおいしいぞ」
 かなみの前に持っていく。俺を何度か見た後、かなみはおずおず口にした。
「……おいしい」
 フォークを咥え、かなみはちょっと申し訳なさそうに上目づかいで俺を見た。
「……なんか、ごめんね」
「何の話だか。お前はクリスマスに一人ぼっちで哀れな俺を救済に来た優しい子だろ? 感謝されることはあっても、恨まれることなんて絶対ないさ」
「……へへっ。やっぱタカシは優しいね」
 まっすぐ言われると、非常になんというか、こう、照れる。
「……あ、照れてる?」
「気のせいだ」
「タカシってさ、褒められるの苦手だよね」
「そんなことはないぞ」
「……じゃ、なんでずっと向こう向いてるの?」
「寝違えたんだ」
「さっきまで普通だったでしょ! こっち向きなさい!」
 無理矢理かなみの方を向かされる。
「あはっ、やっぱり顔真っ赤。かっわい~♪」
 だから嫌だったんだ。ふてくされながらケーキを食べる。
「ほら、怒らないの。食べさせてあげるから」
 なんてことを言い出すのか、この娘は。
「い、いや、いい。一人で食べられる」
「いいから。ほら、あーん」
 かなみはケーキを掴み、俺に差し出した。
「いや、だから……」
「それとも、タカシがあたしにあーんしたいのかな?」
「……お願いします」
 観念して口を開ける。かなみはニコニコしながら俺にケーキを食べさせた。
「どう? おいしい? 普通に食べるよりおいしい?」
「……まあ」
「へっへー♪ そうよね、愛しのかなみちゃんが食べさせてくれてるんだもんねー♪」
 どう対処したもんでしょ、このキャラの変わりよう。……まあ、嫌じゃないけど。
「うりうり~」
 しかも、意味もなく俺のほっぺをつついてるし。楽しそうだからいいけど。
「……もーっ! タカシもちょっとは楽しそうにしなさいよ!」
 かと思ったら、突然ふくれっ面になった。気分屋め。
「いや、俺は充分楽しんでるが」
 主にかなみの変貌っぷりに。
「タカシってあんまり表情変わんないから、よく分かんないのよね……タカシってさ、何やってる時が楽しいの?」
「ん? んー……特には思いつかん」
「つまんない奴ねぇ……」
「でも、お前といる時は楽しいと思う。割と」
「……は、恥ずかしい奴ね、真顔で言ってさ」
 少なくとも、今のかなみのリンゴみたいな真っ赤な顔よりは恥ずかしくないと思う。
「……ね、ねえ。もっかいあーん、してあげよっか?」
「え、い、いや、もう結構」
「ね、ね? してほしいでしょ? ほら、あーん」
「いや、だから」
「あーん♪」
 そんな、満面の笑みであーんとか。卑怯ですよ。勝てるわけないじゃないですか。
「……あ、あーん」
 馬鹿みたいに口を開ける俺に、かなみはクスクス笑いながらケーキを食べさせた。
「おいしい? おいしい?」
「……お、おいしい」
「へへっ♪ じゃ、次はチキンね。はい、あーん♪」
 笑顔で迫るかなみに、今日は全部あーんで食べさせられる、そんな幸せな地獄絵図が脳裏に浮かんだ。

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