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2024年11月21日
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【ツンデレに嫌な天気だなって言ったら】

2012年10月23日
 今日はなんだか曇っていて、今にも雨が降り出しそうだ。
「うーむ……嫌な天気だな。傘持ってくりゃよかったかなあ」
「ダウトッ!」
 いきなり隣を歩くかなみが俺に疑念を抱いたことを宣言した。
「し、信じてくれ! 俺は浮気なんてしちゃいない! そもそも相手をしてくれる異性はお前しかいないんだ! あとそういう貧乳が大好きなので浮気とか考えられない!」
 なので、かなみの手を取って必死に訴えてみる。
「何の話よッ!」
「いや、ダウトと言われたから」
「はぁ?」
 というわけで、ダウトの意味を説明してみたら、ため息をはかれた。
「ダウトが疑うって意味なのを知らないのはあたしが悪かったけど……何となく分かるでしょ、間違いって意味で使ってるって」
「手を繋ぐチャンスと思いまして」
「思うなっ! ……あ、あと、浮気とか意味分かんない。そもそも付き合ってないし」
 ほんのりと頬を染め、かなみはあさっての方を見ながらぶつぶつと呟いた。
「そうなの?」
「そうなのっ! 料理の練習のためにお弁当作って、その在庫処理を頼んでるだけっ!」
「なんと」
「まったく……あ、それと貧乳とか言うな。女性に対する言葉じゃないわよ」
「分かったぞ、えぐれ乳」
 言われた通りにしたのに、どうした訳かかなみの機嫌がすごいことになった。
「ふんっ!」
「前が見えねえ」
 あと、俺の顔もすごいことになった。主に暴力的なサムシングで。
「自業自得よ、馬鹿っ!」
「いやはや。ところでかなみ、何がダウトなのだ?」
「は?」
「いや、なんか俺が嫌な天気だなとかって言ったら、お前がダウトって言ったろ。それについてね」
「ああ。ほら、お百姓さんにとっては、雨は嫌な天気じゃないでしょ、って話をしたかったんだけど、もういっぱいアンタと話せたから満足しちゃったからいーの」
「なるほど。ところでかなみ」
 手をひらひらさせてなんでもなく言ってるが、少しだけ気になることが。
「あによ。まだ何かあるの?」
「俺といっぱい話がしたかったのですか?」
「? ……~~~~~っ!?」
 自分の台詞を思い出したのか、かなみの顔がみるみる赤くなっていく。
「ちっ、違うわよ! そんなわけないじゃない! 何をうぬぼれてるのよ、ばか、ばーか! 誰がアンタなんかと! べーっだ!」
「ちなみに俺はかなみといっぱい話したい」
「……! し、し、知らないわよ、アンタのことなんてっ!」
「だから教えてるんじゃないか」
「う、うっさい! 教えるな、ばかっ!」
「いやはや」
「……ま、まあ。あたしは心が広いから、ちょっとくらいなら、アンタとおしゃべりしてあげてもいいわよ?」
「あ、今日はもういっぱい喋ったので結構です」(NOという感じの手をつきつけながら)
「そーゆートコ大っ嫌い!」
「いていて」
 軽い冗談だったのだが、頭をがじがじかじられて大変に痛い。
「嘘嘘、冗談ですよかなみさん。いつでもいつだってウエルカムですよ」
「うー……ホントに?」
「いや、どうだろう。例えば俺が便所で頑張ってるところに突然やってきて『開けろ! 開けろぉ!』とドアをドンドン叩かれては、さしもの俺もウエルカムとはとてもじゃないが」
「ふつーにそうだよって言え!」
「は、はい、そうです。いつでも来てください」
「……わ、分かった。しょーがないから、またお喋りしたげる。か、感謝しなさいよね!?」
「ああはいはい」
 俺の目の前にちょこんと立つと、かなみはそう偉そうに言った。可愛かったので頭をなでる。
「う、うー……なでるのなんて許可してないわよ、ばか」
「なんと」
「なんとじゃないわよ、ばか」
 と言いながらも、手を払いのけないかなみさん超善人。

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