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2024年11月21日
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【カップルが妬ましいツンデレ】

2010年12月08日
 かなみと一緒に帰宅してると、何やらすげぇ圧が。一体どうしたのかと思って隣を見たら、あらかなみさん鬼の形相。
「すいませんこれだけしかないんです」
「震えながら財布を出すなッ!」
 必死の危険回避も空しく殴られた。
「そうじゃなくて、あれ」
「ん? あー」
 かなみが指差した先に、男女の生徒がいた。手を繋ぎ、仲睦まじげに笑い合いながら歩いてる。
「ね、二人でぶち殺さない?」(満面の笑み)
「もう怖すぎて俺にはこうするしか」
「だから、財布を出すなッ!」
 また殴られた。よく殴られます。
「ったく……冗談よ、ばーか。でも、ムカつくわね。なんか楽しそうに笑っちゃってさ」
「そっか? 微笑ましいじゃん」
「うわ、うそ臭。死ね」
「…………」
 そうこうしているうちに、件の恋人たちは角を曲がって視界から消えてしまった。
「手なんか繋いじゃってさ……どうかと思うわよ」
「だと言うのに、かなみは未だ例の恋人たちのことを喋っていた。それほど嫉妬の炎が彼女の内を焦がしているのだろうか。いや、そうではなく、あの女性の胸が平均よりも大きいことに嫉妬を感じずにはぐええええ」
 首を絞めて言葉を止める荒業を受ける。
「違うわよッ! 外で普通に手を繋いでうらやましいなーって……あ」
「ああ。そうだったのか。気づかず申し訳なかった」
 すかさずかなみの手を握る。
「ちがっ、違うわよっ! なんでアンタなんかと手を繋がなくちゃいけないのよ!」
「なんでって……恋人同士だから?」
 その台詞だけでかなみの顔がみるみる赤くなっていく。
「そ、そんなわけないでしょっ! アンタが一方的にあたしを好きなだけで、あたしはしょーがなくつきあってあげてるのっ! 優しいから!」
 この恋人は一事が万事この調子なので、手を繋ぐのも一苦労。何せ、人前では恥ずかしがって、とてもじゃないが繋いでくれないのだ。
「そ、それはともかく、早く離しなさいよ、馬鹿」
「でもですね、かなみさん。周囲にはいま俺たち以外いないようなのですが」
「ほっ、ホント!? ……ホントだ」
 かなみは慌てた様子で周囲をうかがった。俺たち以外はブロック塀の上で猫がアクビしてるくらいで、人影はないようだった。
「……じゃ、じゃあ。繋ぐ」
 かなみは下を向き、小さな小さな声で呟いた。髪から覗く耳がやたら赤い。
「──じゃないっ、繋いであげる! アンタがあんまりにも繋ぎたいみたいだから!?」
 がぶあっと顔をあげ、かなみは突然叫んだ。目がぐるぐるしてて怖い。
「おりゃ」
「ふにゃーっ!?」
 なので、ほっぺを引っ張って落ち着かせてみる。
「はひふふほほっ!」
「落ち着いたか?」
「ほひふははひはほっ、ははっ!」
 翻訳家がいないので何言ってんだか全く分からないので、とりあえず手を離してみたら殴られた。
「痛いのですが」
「人のほっぺをいきなり引っ張ったりするからよ、ばかっ!」
「まあ、なんだ。ちょっとは落ち着いたようですね」
「え、あ、うん。……べ、別にさっきのパニックとアンタと手を繋ぐことは関係ないからね。ほ、ホントに」
「でもまあ、またああなったら嫌だし今回は手を繋ぐのナシということで」
「ダメッ!!!」
 殊の外大きい声でびっくりした。だが、出した本人が一番びっくりしてる。
「あ、その、えと……違う。いや、違わない。え、えと、その……えと、どっ、どうしたらいいの!?」
「知らんがな……」
 なんかもう疲れちゃったので、かなみの手をさりげなく握る。
「ふひゃっ!?」
「帰ろ。とっとと帰ろ」
「あ、あの、あの! て、手! 手、繋いでる!?」
「あーそだな」
「そだなじゃなくて、そだなじゃなくて!」
「あんまりうるさくすると、何事かと人が集まること請け合い」
「う……」
 かなみは何か言いたそうにしていたが、結局何も言わずに口をつぐんだ。ただ、真っ赤な顔で俺をじーっと見ているので大変居心地が悪い。
「……ち、違うからね。別にアンタと手なんか繋いでも嬉しくなんてないから」
「何も言ってないのですが」
「う、うるさい! 黙らないと、黙らないと……えと、アンタって何されたら辛い?」
「かなみに嫌われると辛い」
 かなみが全力で赤くなった。
「そ、そーゆートコ嫌い! 嫌い嫌い嫌い!」
「悲しい限りだ」
「全っ然思ってないでしょ! なんかニヤニヤしてるもん! もーっ! 嫌い嫌い、大っ嫌い!!!」
 嫌い嫌いと言いながらも、決して俺の手を離そうとしないかなみだった。

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Comment
無題
せめて年越しくらい
更新してよね

クリスマス…
寂しかったんだから////

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