[PR]
2024年11月21日
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
【素直クール へそ】
2014年06月09日
近頃ちょお暑い。梅雨だからね。しょうがないね。
「どうだ? クーの夏服だぞ? 薄着だぞ? 半袖だぞ?」グイグイ
「もがもが」
ただ、女性の夏服を口に突っ込まれるのはしょうがなくない。
「む、どうしてクーの服を食う。そんな性癖があったのか? しょうがない、クーの古着を持ってこよう」
「もが……ねーよ! おまーがガンガン服を押し付けてくるからだよ!」
「そうか。少々勘違いした」ペコリ
「コイツは……」
登校するなりクラスメイトのクーに寄ってこられるのは通例なのだが、登校するなり服を食わされるのは初経験だったので油断した。
「それで、クーの夏服姿はどうだ? ワキや腹の視界占有率も上がり、今すぐにでも押し倒したいだろう?」ワクワク
「いいえ」
「馬鹿なッ!?」ガーン
「頭いいのになあ……」ハァ
「腋巫女のコスプレをした方がいいのか?」
「人の性癖をワキに固定するない。もうちょっとノーマルだよ」
「むう」
「ただ、まあ、へそは嫌いではないね。舐めていい?」
「任せろ!」ガバッ
「冗談です!!!」グイッ
「むう」
ものすごい勢いで服をまくり上げたので同じ勢いで戻す。びっくりした。びっくりした。
「クーは一向に構わんぞ?」
「俺が一向に構うの! 学校だぞ!?」
「問題ない。クーにはお前しか見えないからな?」
「ぐ」
ああ、もう。こういうところは本当に。
「だからほら、舐めろ」ガバッ
「ええぇい!」グイッ
いやもうホントこっちのこういうところは勘弁してください。
「むう」
「むうじゃねえ! TPOを考えろっ!」
「む? では、ここではなければいいのか?」
「そりゃ、まあ」
「分かった!」キラキラ
「もう嫌な予感がするよ」
「へそー!」ガバッ
「ぬああ!? ええい!」グイッ
「む?」
「てめぇこのクー野郎! ここがどこか分かってるのか!? 男子トイレだぞ! 見ろ、何の罪もない男子生徒たちの怯えた顔を!」
男子だけの安全地帯に現れた闖入者に、誰もが怯えと戸惑いの色を浮かべていた。
「…………。ふむ、クーがちゅーしたいと思えるのはやはりお前だけだな」エッヘン
「そんな話はしてねえ」グリグリ
「ぬああ! つむじを指でぐりぐりするな!」
「いいえ」グリグリ
「ぬああああ!」
「酷い目に遭った……」グスン
とりあえずクーを小脇に抱えてトイレから緊急脱出し、廊下で息を整える。
「そりゃこっちの台詞だ。よもやクーが男子トイレに入ってくるような痴女だったとは予想だにしなかったよ」
「お前がいる場所ならどこへでも行ける。いつだってお前はクーに力をくれるのだ」エヘン
「台詞だけなら素敵なのに、実際にやったことはただの覗きだからなあ」
「いつだってお前はクーに覗きをする力をくれる」
「俺のせいにしやがった!」
「ということは……クーが知らず覗きをしてしまったのはお前のせいだな。覗きはよくないぞ? 次からはクーの着替えなりトイレなり覗けばいいからな?」
「この野郎!」グリグリ
「つむじがああ!」
「また酷い目に遭った……」グスン
「俺のせいにするからだ」
「お前は狭量だな。だがクーはそんなお前も受け入れるぞ?」
「本当に俺が狭量なら、今ごろクーはDV被害に遭ってるぞ」
「SMか。クーにはそんな趣味はないが、ある程度までなら受け入れるぞ?」
「こいつめげねえなあ」グリグリ
「クーのつむじが消滅する!!?」
いらぬ心配をするクーだった。
PR
【ツンデレに邪魔をしたら】
2014年06月09日
「恥ずかしながら、がをられが竹井10日の作だったというのを知ったのはアニメを視聴してからなんだ」
登校するなりクラスの婦女子たちと談笑していたかなみたちの輪に割り込んで思いの丈をぶつける。
「……あのね。挨拶くらいできないの?」
「おはよう」
「おはよう。じゃあ、あたし友達と楽しくおしゃべりしてる最中だから邪魔しないで」
「分かった。それはそうと以前から自分が好きな作家の作品がアニメ化するってこんな楽しいものなんですね。俺はとても嬉しいよ」
「アンタ人の話聞いてんのッ!?」
「聞いてはいるが聞き入れてはいない」
どういうわけか朝からとても殴られ不愉快。
「痛いのだが」プンスカ
「るっさい! プンスカじゃないわよ! 怒ってるのはこっちの方!」
「いいや、それは違うね! 一番怒っているのは朝っぱらから変な奴に訳の分からんことを聞かされたクラスメイトの女性たち! 今更ながら非常に申し訳ない! すいません!」
とりあえずぺこりと頭を下げ、女生徒たちの怒リミットゲージを下げることを試みる。これが満タンになるとクラスで俺の陰口が一斉に広まり今後の学生生活に支障が出ること請け合い。
「あたしにも謝りなさいよ!」
「生きててすいません」
「重いッ! そういう謝罪じゃなくて!」
「あ、あー。アレね、アレ」
「そうよ。ったく、すぐに分かりなさいよね」
「ポケロリまでは追いかけてたんだけどその後金が尽きてね。後で買おうと思ってたらつい忘れててこの有り様ですよ。ファンとして申し訳ない。あっ、ゲームは全部やりましたよ?」
「んなこたぁどーでもいいっ!」
「カナ坊とすずねえとはるぴーが好き」
折角の嗜好発表の場をアイアンクローに汚される。
「は・や・く・あ・た・し・に・あ・や・ま・れ」ギリギリ
言葉の一区切り毎に指がこめかみにめり込み、脳髄がSOSをしきりに訴える。一刻の猶予もない!
「ゴメンネ☆」
「…………」ギリギリギリ
「謝罪したのに痛みが増した。解せぬ」
「アンタがしたのはあたしを馬鹿にしただけッ! ……あーもう、いいわよ。あたしも疲れちゃった」パッ
「ゴリラにも乳酸って溜まるんだ。あっ、これ怒られるパターンだ! 先に謝ったら怒られないかも! ゴメンネ☆」
駄目でした。
「ったく、本気馬鹿」
「いやはや。あ、邪魔してごめんな。どうしてもこの思いを誰かにぶつけたかったんだ」
「ものすごい迷惑なんだけど」ジトーッ
「や、こういうなんでもないことを気軽に言える奴ってのがかなみしかいなくてなあ」
「なっ……!」
かなみが赤くなるのと、俺たちを見守っていた女生徒たちが黄色い声を上げるのは、ほぼ同時だった。
「なっ、あっ、アンタ何言ってんのよッ!!!」
「みかんの筋を取るか取らないかという議論の提案」
ものすごいアワアワしてる姿に惑わされ、こちらの思考も惑わう。いつも通りという噂もあるが気のせいだ。
「してないッ! あたしは取る派!」
かなみは律儀なのかもしれない。俺は取らない派。
「じゃなくてっ、そっ、そのっ、さ、さっきの……?」
「あー。かなみって喋りやすいよな。気の置けない間柄ってーの?」
「そ、そなんだ……へへへ」ニマニマ
「俺にはもったいないくらい出来た友人だと思うぞ!」ビシッ
「…………へ?」
「どうした、呆けた顔をして。俺にサムズアップはそんなに似合わないか?」
「え、いや、……え? 友人?」
「あ、これは失礼。知人でしたな」
「下がった!?」
「む、違ったか。恋人でしたっけ?」
「っ!! だっ、誰と誰が恋人だってーの! アンタとなんて絶対ありえないわよ! ばーかばーかばーか!」ペシペシペシ
「痛い痛い。叩くな、人の頭をぺしぺし叩くな」
「ばーかばーかばーか!」ペシペシペシ
「痛い痛い。冗談です、冗談ですから!」
「ばーかばーかばーか!」ペシペシペシペシ
「ひぃ、両手に!」
このままでは身長が縮むかもしれないという恐怖に襲われたが、どういうわけかやたらかなみが嬉しそうだからまあいいや。
【ツンデレに独り言を聞かれたら】
2014年04月27日
昼休み。飯も食ったので存分にげふーと呼気を大気に混ぜ合わせる作業をしつつ窓から外を眺める。いい心地だ。
「はー。そういや最近ジャッジメントお化け見ないなあ。成仏したのかなあ」
「……まさかとは思いますが、わたくしのことを言っているのですか?」
「む。なんとなくつぶやいた独り言に反応されると、どうにも恥ずかしいですよね。いやゆる面映いというやつですね。照れくさいというやつですね。もうすぐ春ですね」
くるりと振り向くと、そこに件のお化けがいた。
「わたくしはリナですわっ! ジャッジンメントお化けではないですわっ! 百歩譲ってジャッジメントまではいいとして、どうしてお化けなんですの!?」
「キーキー騒ぐない。あまりキーキー言うとオス猿の野郎がメス猿がいると勘違いして尻を赤く発光させてモテアピールを開始するぞ」
「どこからつっこめばいいんですのっ!?」
今日もリナはうるさいなあ。
「はぁはぁ……」
荒く肩とおっぱいを上下させて呼吸するリナ。おっぱい。
「あ、そういや忘れてた。こほん」
居住まいを正し、リナに向き直る。
「? なんですの?」
「ジャッジメントですのっ!」ズビシッ
「…………」
今日も例の超かっこいい黒子ポーズでリナのご機嫌をうかがう。
「どうだ」
「ばーか」
「ちくしょう」
「はぁ……口を開くと馬鹿な事ばかり。もう少しマシなことを言えないんですの?」
呆れた様子でリナは髪をかき上げた。今日もドリルもみあげの調子は抜群のようだ。
「言えないことはないが、それだとちっとも愉快じゃないじゃないか」
「わたくしはちっとも愉快じゃないですわっ!」
「では聞くが、どういう時が愉快だと言うのだ? 今後の参考にさせてもらおう」
「えっ? そ、それはもちろん、その……」
「?」
何やらこちらを意味ありげにチラチラ見ている。……まさかっ!
「俺の超かっこいいジャッジメントですのポーズを見ている時か! なんてセンスのいいおっぱいなんだ! 褒美をくれてやろう! 俺の一円玉貯金をくれてやる! たぶん400円分くらいはあるはず!」
「違いますわっ! 一円玉で貰っても使いづらいですわっ! おっぱいって言うなっ!」
「大きいじゃん。おっぱい」
「お、大きいとか言わないんですのっ!」ポカポカ
「あいたた。はい、すいません」
可愛い感じでポカポカされ、思わずご機嫌になったので素直に謝罪してしまう。
「まったく、どうしてそんなにアホなんですの……?」
「いやはや。余談だが、俺はこうやってリナと馬鹿やってる時が最高に愉快です」
「うぐ」
「?」
「……そ、そうなんですの。すっごくつまらない趣味ですのね、貴方」
「なんで俺から90度顔を逸らして喋っているのですか。そっちは壁ですよ」
「か、壁を見るのがトレンディーなんですの! 今はこっちの方角が吉なんですの!」
「ヤベェ、風水だ! 溶ける!」
「なんでですの!?」
「宗教アレルギーなんだ」
「アレルギーで溶けるって聞いたことないですの! ……あと、風水って宗教ですの?」
「違う」
「じゃあ二重で間違ってますの!」
「マイナスをマイナスでかけるとプラスになるし、つまりはそういうことだ」
「今日も適当ですの!」
「わはは。……んで、もう風水とやらは大丈夫なのか?」
「へ?」
「や、普通にこっち見て話してるし」
「あ……」
「そしてェ!」ガシッ
「ふにゃっ!?」
リナの頭を両手で抱え込み、固定する。
「これで俺から顔をそむけることはできまい。ふはははは! 存分に苦しむがいい!」
「ちちちちち近い近い近いですのっ!?」
「終末の日が? あれ、リナって預言者属性あったっけ」
「そんな属性はないですのっ! 顔ですのっ、顔が近いですのっ!?」
「そういやベヒモスは終末の日まで草を食い続けるらしいが、そんなに草ばっか食べてて飽きないのだろうか。マヨネーズでも差し入れてあげたいよ」
「超知りませんのっ! いっ、いいから顔を、顔が!?」
「む、俺の顔を食べたいと申すか。残念ながら俺の顔には餡が詰まっていないので、食べてもおいしくないうえに俺が死ぬという大きなリスクがあるのだが、それでも食べたいと言うなら考えないでもない。……いや、やっぱり嫌だ。なぜなら死ぬから」
「顔を、遠ざけるですのーっ!!」
いい加減限界なのか、リナは顔を真っ赤にさせて大きく叫んだ。
「はいはい。ごめんよ」
素直に手を離してリナを解放する。素早くあとずさると、リナは肩とおっぱいを上下させて大きく呼吸した。おっぱい。
「よ、よくもこんな辱めを……!」
「人聞きが悪い! もうちょっと言い様の工夫を!」
「あ、貴方なんかにこんなことされるなんて、華を散らされたも同義ですの!」
「ほう。その隠語の詳しい意味の解説を願いたいものだ」
「ふぇ?」
「いやなに、無学なものでよく分からないんだ。どういうことか詳しく教えてくれないか?」
「え、えと……そ、その。……お、おしべと、め、めしべが……」
「おしべとめしべが」
「~~~~~っ! む、無知なのが悪いんですのっ! 教えてなんてあげないんですのっ! べ、別に恥ずかしいとかそういうんじゃないんですのよっ!?」
「恥ずかしいことなのか」
「貴方わざとおっしゃってませんこと!?」
「このおっぱい察しがいいなあ」
「うー! うー!」ズビシズビシ
涙目でチョップを連打されたが、その度に目の前でおっぱいがぽよんぽよん弾むので、むしろご褒美ですよ、と声を大にして言いたい。
「本気で馬鹿なんですのっ!?」
ので言ったら、さらにチョップが増した。たんこぶできた。
【ツンデレと進級の話をしたら】
2014年03月11日
「3月といえば、卒業のシーズンですね」
「む? まあ、そうじゃな」
学校帰り、通り道の公園でたい焼きを(俺の金で)買ってベンチでもっちゃもっちゃ食ってるまつりに切り出す。
「まだわらわたちは卒業という歳ではないが、貴様はちゃんと進級できるのかえ? もっとも、わらわ的には落第してもらった方が嬉しいがの」モキュモキュ
「そうなんだ。まあ、まつりは小さいから一つ年下の奴らと一緒の教室でもそんな違和感ないから大丈夫だろ」
「ぬ? 貴様の話じゃろ?」
「え、まつりの一ヶ月後の話じゃ?」
「……え? わらわ、落第なの?」
「はい」
まつりが綺麗に凍った。それでもたい焼きは落とさないのは、偉いのか食い意地が張ってるのか。
「……えええええっ!? なんでなんでなんで!? わらわ学業優秀じゃよ? 内申もいいよ? ……あっ、貴様、自分が落第なのをわらわと勘違いしとるのじゃろッ! ええい、そうじゃと言えッ!」
「いいえ」
「なんでそこでいいえとか意地悪なこと言うのじゃー……」ウルウル
まつりが半泣きになった。今日も可愛い。
「ううー……なんでなのじゃー……あっ、ひょっとして担任に袖の下とか渡さないとダメなのかや? でも大谷先生はそういうの嫌いそうじゃし……」ブツブツ
そうかと思えば何か呟きながら考えたりもしたりと、目まぐるしく変わる表情に頬がゆるむのを禁じ得ない。
「……む? なにわらわを見てニヤニヤしとるかや? 今日も気持ち悪いのじゃ」
「ニコニコしてると言ってください。人聞きの悪い」
「人が落第しそうになって困ってる様を見て笑ってるような悪人は、等しくニヤニヤというおとまのぺなのじゃっ!」
「オノマトペです」ナデナデ
「……そ、そうとも言うのじゃ。……じゃ、じゃって外来語は苦手じゃもんっ!」
「無理して使わなくても」
「うぅー。たまにはそーゆうのも使いたくなるお年ごろなのじゃよ」
「うわ超かわいい。あとでさらって三日三晩犯しまくって孕ませよーっと」(うわ超かわいい。あとで妊娠させよーっと)
「怖すぎるっ!?」
「ああ失敬失敬、言ったことと思ってることが逆だった」
「ほぼ一緒じゃったぞ!?」
「いや、言うつもりの台詞はほら、オブラートだかビブラートに包まれてるおり、震える」ビビビビビ
「オブラートじゃ! ええい、貴様が余計なことを言ったせいで着信したみたいになってるのじゃ!」
「モノマネします。西野カナ」ビビビビビ
「うるさいのじゃ!」
「いやはや。まあなんだ、大丈夫。俺は、俺だけは、まつりが後輩になってもこれまで通り馬鹿にするから安心してくれよ」ナデナデ
「途中まで感動しそうになったが後半で一転、いつも通り貴様の悪辣さが出てきおったのじゃたわけーっ! ふえーんっ!」
「ああ泣かしてしまった。これは良心がうずく。ただ、俺に良心とやらがあるのかはなはだ疑問ですね。まだ良心回路があるキカイダーの方が持ってる信憑性が高そうだ。ただ、ハカイダーよりは良心があるように思えるのですが、その辺りまつりはどうお考えでしょうか?」
「キカイダーの話に行きすぎじゃっ! わらわを慰める方向へ行けっ!」
「それもそうだな。よしよし」ナデナデ
「明らかに子供相手の慰め方なのじゃ……」ズーン
「とにかく、元気を出せ。大丈夫、全部嘘だ」
「そうは言っても……ぬ?」
「嘘」
「なにが?」
「落第関連の話」
「…………」
「エイプリールフール!」ジャーン
「何がじゃーんじゃーっ! まだじゃ、一ヶ月早いわっ!」
「俺の持ちネタなんです」イヤハヤ
「あほーっ! 今日もあほーっ!」ポカスカ
「わはは。まつりは俺と違って品行方正五里霧中なんだから落第なんかするわけないだろ」ナデナデ
「ううーっ。びっくりしたのじゃ。ドキドキしたのじゃ。どうしようどうしようかと思ったのに、この阿呆は……。あと、五里霧中ではないのじゃ」
「いや、ほら、よく俺に惑わされてあわあわしてるので割合ぴったりかと」
「超うるさいのじゃ! そもそも貴様がわらわを騙したりしなければドキドキあわあわしなかったのに……ああもう、不愉快なのじゃ! たい焼きも冷えちゃったのじゃ!」
食いかけのたい焼きをぐいっと差し出された。
「めろんちょ」ベロリ
「あああああ!?」
そこで、ちょうど歯形のある箇所を舐めたら奇声をあげられた。そりゃそうだ。
「何をするかや!?」
「めろんちょ」
「意味分からんのじゃ! ああ……わらわの、わらわのたい焼きが、妖怪液に汚染されちゃったのじゃ……」ズーン
「妖怪液じゃなくて、唾液です」
「うるさいのじゃ! ああもう、こんなの絶対に食べられなくなっちゃったのじゃ! 新しいのを要求するのじゃ!」
「へーへー」
「返事は一回なのじゃ! ……それじゃ、次は何にするかの?」
「抹茶は? お前今日選ぶ時に抹茶とそのカスタードと死ぬほど悩んでたじゃん」
「ぬ。……よく見とるのぉ。貴様、わらわのすとーかーかや?」
「していいの? やったぁ!」(天まで届け、とばかりの快哉を叫びつつ)
「ちっ、違う違う違うっ! 許可などしとらんっ! じゃから、わらわをすとーきんぐしてはならんのじゃっ!」
「ちっ。許可が出たなら堂々とまつりの後をつけてさらって三日三晩」
「それはもういいのじゃーっ!!」
半泣きだったのでこの話題はやめることにする。流石に下衆すぎるか。自重しよう。
「んじゃお詫びをかねて買いに行くか」
「ん!」
はい、とたい焼きを手渡された。
「なんでしょうか」
「もう食べられなくなっちゃったから、貴様にやるのじゃ」
「えー」
「えー、とはなんじゃ、えー、とは。わらわのほどこしじゃぞ? 喜ばぬか!」
「だって、妖怪液に汚染されてるんだもん」
「貴様の唾液じゃッ!」
「言われみればそうだった。よし、まつりの目の前でこのたい焼きを舐めて間接キスを堪能しよう」
「かんせ……あーっ! い、言われてみれば! か、返すのじゃ!」アワアワ
「妖怪液に汚染されてますが、大丈夫ですか」
「ぐ」
「というか、既に俺がめろんちょした後ですし、間接キス後なのですが。つまり、もしこれを返してまつりが食したとしたら、間接間接キスですな。お、わけが分からん。はっはっは」
「うううーっ。もうそれ食べちゃダメなのじゃ!」
「嫌です」モグモグモグ
「あああーっ!!」
「うーん。うまい。生地は冷えてるが、それでもこのカスタードが」モグモグ
「……そ、その、わらわの味は?」ドキドキ
「人肉を食った経験がないのでちょっと」
「別にわらわの肉が入っとるわけじゃないわいっ! ほ、ほら、わらわが口をつけた箇所があるじゃろ? なんか甘かったり幸せになったりせぬか? の? の?」
「全然」モグモグ
「……貴様と言うやつはーっ!」
「はい」
「もーっ! 本当にーっ! もーっ!」ポカスカ
「痛い痛い」
「うぐぐーっ! 罰なのじゃ、抹茶とあんこを買うのじゃ!」
「あ、それはダメ。そんな食ったら晩飯入らねーだろ」
「うぐぐぐぐーっ! もーっ! わらわのこの『もーっ』て感じはどうしたらいいのじゃーっ!」ポカスカ
「痛い痛い」
ぽかすか叩かれ続ける俺だった。
【シア いぬ】
2014年01月21日
※ちょいグロ&犬好き注意
俺は学生なので学校へ行かないといけないのだけど、一人で行っては悪魔崇拝者の刺客に殺されてしまうだろう。かといってシアのような小さな子を連れて行ったら、色々と面倒なことになるのは火を見るより明らかだ。さて、どうするか……。
「ねーねー、彰人。どしたの?」