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2025年02月03日
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【ツンデレに性癖を暴露したら】
2012年09月18日
「今の俺は太ももフェチなんだ」
「よく分かんないけど、こっち来ないで」
どういうワケか、冒頭からボクっ娘が嫌悪に顔を歪ませている。
「人を見かけだけで嫌うのはよくないぞ?」
「タカシに関しては内面で嫌ってるんだよ」
「腐ってるからしょうがないよね」
「否定しろっ!」
なんか怒られた。
「でだな、最初に言った通り太ももなんですが」
「う……」
「そのミニスカから伸びる太ももをすりすりさせろ、なんて言わないから安心しろ」
その言葉に、ボクっ娘はほっと息を漏らした。
「ただ、ふやけるくらい舐めさせろ」
「妖怪が可愛く見えるくらい怖いよっ!」
「あれ? ボクっ娘のことだ、『うんうんっ、妊娠するくらいぺろぺろしてねっ♪』って言うと思ったのに。……つまり、貴様は偽物だな。生きたまま皮を剥いて正体を暴くからそこを動くな」
「超本物だよぅっ!? こ、こっち来んなよぅ! は、はぅぅ……」
手をワキワキさせて近づいたらガタガタ震えだしたので、ほっぺを引っ張る。
「うーむ、取れない」
「あぅ、あぅぅーっ!」
「しかし、モチみてえだな。わはは」
「あぅぅーっ! 人のほっぺたで遊ぶなーっ!」
「わはは。あー楽し」
「ボクはちっともだよぅっ!」
ひと通りムニムニして満足したので、ボクっ娘のほっぺから手を離す。
「はぁー……。うー、ほっぺが痛いよ。タカシのばか」
俺を睨みながら、ボクっ娘は自分のほっぺをさすさすとさすった。小動物みたいでなんか可愛い。
「この程度で痛がっていたら、俺との初体験で気絶してしまうぞ?」
「な、なんでボクとタカシがするって決まってるんだよっ!? し、しないもんっ!」
「いや、筋弛緩剤等を使って自由を奪ってる間に行うので、お前の意思は関係ない」
「悪質な犯罪者!?」
何やらボクっ娘方面から人を犯罪者扱いする失礼な気配を感じたので、頭をなでてイメージを回復させる。
「うー……」
「いや、あの。勿論冗談ですよ?」
「ふん。タカシってそーゆー冗談ばっか言ってるから、信じらんないよ」
「じゃあ本気でやる」
「冗談! 冗談だよね!?」
さっきまでのぶすーっとした雰囲気が一転、何やら必死な様子でボクっ娘は俺に訴えかけた。
「いや、やる」
「冗談なの!」
勢いに押され、冗談にされてしまった。くそぅ。
「まあそんなのはいい。では、最初の提案通り、太ももを触らせろ」
「その台詞、ただの痴漢だよ?」
「はい」
「はい!?」
「ただ、どうしても嫌と言うのであれば、その薄ぺたい乳でもいい」
「あのさ、タカシ。通報していい?」
「訂正。その巨乳でもいい」
「別に大きさに注文つけたんじゃないよっ!」
「よかった。その絶壁を巨乳なんて言ったもんだから、あまりの嘘の大きさに吐き気をもよおしていたところだったんだ」
「……どーせ小さいもん」
「いかん、胸を気にするボクっ娘が大変に可愛らしい! ちょっとお兄さんと結婚しませんか!?」
「しません! ボクっ娘ってゆーなっ! まったく、タカシってば未だにボクのことボクっ娘って呼ぶよね。まったくもー……」
「梓、梓」
「なんだよ? ボクはいま怒ってるんだよ?」
「顔が真っ赤ですが、気づいてますか?」
「いっ、イチイチ言うなっ、ばかっ! 可愛いとか結婚とか言われて恥ずかしいんだよっ! うぅー……」
梓は小さくうつむくと、俺をじろーっと睨んだ。ただ、顔が赤いままなので何の迫力もなく、ていうか結婚してえ。
「……はっ! いかんいかん、脳内で梓との結婚生活に突入していた。それは将来のお楽しみなので後にとっておくとして、今は膝枕をしてもらおう」
「か、勝手に人を結婚相手にするなっ! ……で、えと、膝枕してほしいの?」
「嫌なら下半身だけ切断して貸してくれてもいいから」
「それだとボクが死んじゃうよ!」
「数日なら死臭もしないだろ」
「さっきボクにプロポーズした人が何言ってるの!?」
「で、どうでしょうか。個人的には普通に膝枕をしてもらうのが嬉しいのですが」
「うー……えっちなこと、しない?」
「する」
「絶対やんないっ!」
「しまった。しょうがない、ここは嘘をついてやりすごそう。えっちなことはしないから安心しろ」
「前者っ! 台詞のぜんしゃーっ!」
「ままならないなあ」
「超こっちの台詞だようっ!」
このままではしてくれそうになかったので、しないと約束する。
「ホントだね? 嘘ついたら絶交だからね?」
「任せろ。ただ、無意識に身体が動いてしまうのは許してくれ」
「うー……分かったよ。繰り返すけど、えっちなことはダメだからね。絶対だからね?」
「任せろ。おっぱいという台詞だけで顔が真っ赤になっちゃうくらいシャイな俺だから、そんなことしないよ」
「明らかに嘘だよ。……んじゃ、はい。いーよ?」
梓はちょこんと正座すると、ぽむぽむと自分の太ももを叩いた。
「じゃあ寝かせてもらうが、その前にちょっと舐めていい?」
「えっちなことは禁止なのっ!」
「しまった、そうだった! ええいっ、これではなんのために膝枕するのか!」
「そんなこと言うんだったら、もーしてやんないぞっ!?」
「あ、嘘です嘘。お願いします」
ペコペコと土下座する。梓の太ももの前に全ての生命は無力です。
「べ、別にそこまでやんなくてもいいけど……じゃ、じゃあ、ほら。いーよ?」
「はい」
ぽふりと頭を梓の太ももに乗せる。
「向きが逆だよ!!!!!」
「しまったしまった、間違えた」
そしてそのまま深く深呼吸。
「~~~~~っ!!!」
「痛い痛い」
すると、後頭部にチョップの連打があるので俺様の脳細胞が大変危険。とりあえず頭を太ももからどける。
「えっちなことはやんないって言ったのに! のにーっ!」
顔を真っ赤に染め上げて、梓は俺をぽかぽか叩いた。
「あいたた。いやその、間違えた。間違えたんです」
「絶対嘘だよ! 今日もえっちだよ!」
「ばか、普段の俺ならこれに加えてべろべろ舐めまくってたぞ? ただ、今日は約束があったので理性を総動員して我慢したんだ。そんな偉い俺を褒めずに怒るとは……どうかと思うね!」
「どっちがだようっ!? もー! 今日もえっち! もー!」ポカポカ
「あいたた。ごめんごめん。分かった、もうやんないから膝枕をお願いします」
「ここまでしといてまだお願いするの!? どれだけ厚かましいんだよっ!」
「嫌ですか」
「嫌ですよっ! どーせ次はボクの太ももをぺろぺろするつもりだろっ!」
「いいの? やったあ!」
「やってない! 許可してないっ! ……あのさ、どーしてもしてほしいの? 膝枕」
「そだね。ムチムチした太ももを枕に寝てえ。ただ、本音を言えば挟んで欲しい」
「……よく分かんないけど、えっちなこと?」
「はい!」
「満面の笑みだよ……」
「ちなみに具体的に言うとだな、梓の太ももの間に俺の」
「具体的に言ったら膝枕してやんないっ!」
俺のセクハラ攻撃が止められた。くそぅ。だがそれと引き換えに、膝枕の権利を得た。上々の戦果と言えよう。
「分かった。では膝枕を頼む」
「うー……なんかすることになっちゃった。で、でも、えっちなこと禁止だからねっ!? 絶対だからね! 次はないからね!」
「分かった分かった、早く頼む」
「なんでそんな偉そうなんだよぉ……よいしょっと。はい、いーよ?」
ぽむぽむされたので、そこに頭を乗せる。今度は向きを間違えない。
「……ど、どう? 変じゃない?」
「確かに一人称がボクというのは女性としては一般的ではないが、俺は嫌いではないぞ」
「そんな話してないっ! 膝枕の話っ! ……て、ていうか、嫌いじゃないんだ」
「まぁね。かーいーよね」
「……そ、そんなこと言われても、嬉しくないもん」
とか言いながら、梓はにへにへ笑いながら俺の頬をつんつんとつついた。
「うむ。枕もその笑顔も共に素晴らしいぞ」
「わっ、笑ってないんてないもんっ!」ポカポカ
「ぶべらはべら」
「わ、汚い」
「失礼だな、キミは……。まあ、ともかく。大変素晴らしい枕だな、この膝枕は。残念なことに、いやらしい気持ちが吹き飛んでしまったよ」
「そのくらいの方がタカシにはちょうどいいよ。普段がいやらしすぎるもん」
「思春期の男なんてみんなこんなだぞ?」
「普通は口に出したり行動したりしないのっ! タカシが異常なのっ!」
「いやはや……ふわああ」
「……眠くなっちゃった?」
「ちょっとね。大分ね」
「いーよ、寝ちゃっても」
「いや、しかしだな……」
「んー?」ナデナデ
「……そだな。じゃあ、少し寝かせてもらうか。悪いな、梓」
「えへへー。いーよいーよ。んじゃお休み、タカシ」
「ん。お休み、梓」
優しく頭をなでられながら、俺は眠りに落ちるのだった。
「よく分かんないけど、こっち来ないで」
どういうワケか、冒頭からボクっ娘が嫌悪に顔を歪ませている。
「人を見かけだけで嫌うのはよくないぞ?」
「タカシに関しては内面で嫌ってるんだよ」
「腐ってるからしょうがないよね」
「否定しろっ!」
なんか怒られた。
「でだな、最初に言った通り太ももなんですが」
「う……」
「そのミニスカから伸びる太ももをすりすりさせろ、なんて言わないから安心しろ」
その言葉に、ボクっ娘はほっと息を漏らした。
「ただ、ふやけるくらい舐めさせろ」
「妖怪が可愛く見えるくらい怖いよっ!」
「あれ? ボクっ娘のことだ、『うんうんっ、妊娠するくらいぺろぺろしてねっ♪』って言うと思ったのに。……つまり、貴様は偽物だな。生きたまま皮を剥いて正体を暴くからそこを動くな」
「超本物だよぅっ!? こ、こっち来んなよぅ! は、はぅぅ……」
手をワキワキさせて近づいたらガタガタ震えだしたので、ほっぺを引っ張る。
「うーむ、取れない」
「あぅ、あぅぅーっ!」
「しかし、モチみてえだな。わはは」
「あぅぅーっ! 人のほっぺたで遊ぶなーっ!」
「わはは。あー楽し」
「ボクはちっともだよぅっ!」
ひと通りムニムニして満足したので、ボクっ娘のほっぺから手を離す。
「はぁー……。うー、ほっぺが痛いよ。タカシのばか」
俺を睨みながら、ボクっ娘は自分のほっぺをさすさすとさすった。小動物みたいでなんか可愛い。
「この程度で痛がっていたら、俺との初体験で気絶してしまうぞ?」
「な、なんでボクとタカシがするって決まってるんだよっ!? し、しないもんっ!」
「いや、筋弛緩剤等を使って自由を奪ってる間に行うので、お前の意思は関係ない」
「悪質な犯罪者!?」
何やらボクっ娘方面から人を犯罪者扱いする失礼な気配を感じたので、頭をなでてイメージを回復させる。
「うー……」
「いや、あの。勿論冗談ですよ?」
「ふん。タカシってそーゆー冗談ばっか言ってるから、信じらんないよ」
「じゃあ本気でやる」
「冗談! 冗談だよね!?」
さっきまでのぶすーっとした雰囲気が一転、何やら必死な様子でボクっ娘は俺に訴えかけた。
「いや、やる」
「冗談なの!」
勢いに押され、冗談にされてしまった。くそぅ。
「まあそんなのはいい。では、最初の提案通り、太ももを触らせろ」
「その台詞、ただの痴漢だよ?」
「はい」
「はい!?」
「ただ、どうしても嫌と言うのであれば、その薄ぺたい乳でもいい」
「あのさ、タカシ。通報していい?」
「訂正。その巨乳でもいい」
「別に大きさに注文つけたんじゃないよっ!」
「よかった。その絶壁を巨乳なんて言ったもんだから、あまりの嘘の大きさに吐き気をもよおしていたところだったんだ」
「……どーせ小さいもん」
「いかん、胸を気にするボクっ娘が大変に可愛らしい! ちょっとお兄さんと結婚しませんか!?」
「しません! ボクっ娘ってゆーなっ! まったく、タカシってば未だにボクのことボクっ娘って呼ぶよね。まったくもー……」
「梓、梓」
「なんだよ? ボクはいま怒ってるんだよ?」
「顔が真っ赤ですが、気づいてますか?」
「いっ、イチイチ言うなっ、ばかっ! 可愛いとか結婚とか言われて恥ずかしいんだよっ! うぅー……」
梓は小さくうつむくと、俺をじろーっと睨んだ。ただ、顔が赤いままなので何の迫力もなく、ていうか結婚してえ。
「……はっ! いかんいかん、脳内で梓との結婚生活に突入していた。それは将来のお楽しみなので後にとっておくとして、今は膝枕をしてもらおう」
「か、勝手に人を結婚相手にするなっ! ……で、えと、膝枕してほしいの?」
「嫌なら下半身だけ切断して貸してくれてもいいから」
「それだとボクが死んじゃうよ!」
「数日なら死臭もしないだろ」
「さっきボクにプロポーズした人が何言ってるの!?」
「で、どうでしょうか。個人的には普通に膝枕をしてもらうのが嬉しいのですが」
「うー……えっちなこと、しない?」
「する」
「絶対やんないっ!」
「しまった。しょうがない、ここは嘘をついてやりすごそう。えっちなことはしないから安心しろ」
「前者っ! 台詞のぜんしゃーっ!」
「ままならないなあ」
「超こっちの台詞だようっ!」
このままではしてくれそうになかったので、しないと約束する。
「ホントだね? 嘘ついたら絶交だからね?」
「任せろ。ただ、無意識に身体が動いてしまうのは許してくれ」
「うー……分かったよ。繰り返すけど、えっちなことはダメだからね。絶対だからね?」
「任せろ。おっぱいという台詞だけで顔が真っ赤になっちゃうくらいシャイな俺だから、そんなことしないよ」
「明らかに嘘だよ。……んじゃ、はい。いーよ?」
梓はちょこんと正座すると、ぽむぽむと自分の太ももを叩いた。
「じゃあ寝かせてもらうが、その前にちょっと舐めていい?」
「えっちなことは禁止なのっ!」
「しまった、そうだった! ええいっ、これではなんのために膝枕するのか!」
「そんなこと言うんだったら、もーしてやんないぞっ!?」
「あ、嘘です嘘。お願いします」
ペコペコと土下座する。梓の太ももの前に全ての生命は無力です。
「べ、別にそこまでやんなくてもいいけど……じゃ、じゃあ、ほら。いーよ?」
「はい」
ぽふりと頭を梓の太ももに乗せる。
「向きが逆だよ!!!!!」
「しまったしまった、間違えた」
そしてそのまま深く深呼吸。
「~~~~~っ!!!」
「痛い痛い」
すると、後頭部にチョップの連打があるので俺様の脳細胞が大変危険。とりあえず頭を太ももからどける。
「えっちなことはやんないって言ったのに! のにーっ!」
顔を真っ赤に染め上げて、梓は俺をぽかぽか叩いた。
「あいたた。いやその、間違えた。間違えたんです」
「絶対嘘だよ! 今日もえっちだよ!」
「ばか、普段の俺ならこれに加えてべろべろ舐めまくってたぞ? ただ、今日は約束があったので理性を総動員して我慢したんだ。そんな偉い俺を褒めずに怒るとは……どうかと思うね!」
「どっちがだようっ!? もー! 今日もえっち! もー!」ポカポカ
「あいたた。ごめんごめん。分かった、もうやんないから膝枕をお願いします」
「ここまでしといてまだお願いするの!? どれだけ厚かましいんだよっ!」
「嫌ですか」
「嫌ですよっ! どーせ次はボクの太ももをぺろぺろするつもりだろっ!」
「いいの? やったあ!」
「やってない! 許可してないっ! ……あのさ、どーしてもしてほしいの? 膝枕」
「そだね。ムチムチした太ももを枕に寝てえ。ただ、本音を言えば挟んで欲しい」
「……よく分かんないけど、えっちなこと?」
「はい!」
「満面の笑みだよ……」
「ちなみに具体的に言うとだな、梓の太ももの間に俺の」
「具体的に言ったら膝枕してやんないっ!」
俺のセクハラ攻撃が止められた。くそぅ。だがそれと引き換えに、膝枕の権利を得た。上々の戦果と言えよう。
「分かった。では膝枕を頼む」
「うー……なんかすることになっちゃった。で、でも、えっちなこと禁止だからねっ!? 絶対だからね! 次はないからね!」
「分かった分かった、早く頼む」
「なんでそんな偉そうなんだよぉ……よいしょっと。はい、いーよ?」
ぽむぽむされたので、そこに頭を乗せる。今度は向きを間違えない。
「……ど、どう? 変じゃない?」
「確かに一人称がボクというのは女性としては一般的ではないが、俺は嫌いではないぞ」
「そんな話してないっ! 膝枕の話っ! ……て、ていうか、嫌いじゃないんだ」
「まぁね。かーいーよね」
「……そ、そんなこと言われても、嬉しくないもん」
とか言いながら、梓はにへにへ笑いながら俺の頬をつんつんとつついた。
「うむ。枕もその笑顔も共に素晴らしいぞ」
「わっ、笑ってないんてないもんっ!」ポカポカ
「ぶべらはべら」
「わ、汚い」
「失礼だな、キミは……。まあ、ともかく。大変素晴らしい枕だな、この膝枕は。残念なことに、いやらしい気持ちが吹き飛んでしまったよ」
「そのくらいの方がタカシにはちょうどいいよ。普段がいやらしすぎるもん」
「思春期の男なんてみんなこんなだぞ?」
「普通は口に出したり行動したりしないのっ! タカシが異常なのっ!」
「いやはや……ふわああ」
「……眠くなっちゃった?」
「ちょっとね。大分ね」
「いーよ、寝ちゃっても」
「いや、しかしだな……」
「んー?」ナデナデ
「……そだな。じゃあ、少し寝かせてもらうか。悪いな、梓」
「えへへー。いーよいーよ。んじゃお休み、タカシ」
「ん。お休み、梓」
優しく頭をなでられながら、俺は眠りに落ちるのだった。
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【ツンデレに思ったことを言ったら】
2012年09月15日
「あっ! 幼女と触れ合いたい!」
「…………」
思ったことを言っただけなのに、さっきまで普通に会話をしていたちなみが俺から明らかに距離を取った。
「どうして離れる」
「……タカシは日々成長するのだなあ、という事実をまざまざと見せつけられたので」
「どういうこと?」
「……言動が気持ち悪い」
「なるほど。ところでちなみ、ものは相談なのだが」
「嫌」
「俺に」
「嫌」
「ぺろぺろ」
「嫌」
「されることに抵抗はあるか?」
「……三連嫌をこれほど容易く無力化するとは。タカシにはほとほと脱帽だ」
「いやぁ。でへへぇ」
「……褒めていない。早く死ね」
「なんと」
「……そして質問の答えだが、死ね」
「なんと」
「……どうしてタカシなんかにぺろぺろされなければいけないのか。それならまだ硫酸の海に身を投じる方が遥かにマシだ」
「生きながら溶ける方がマシとは。どれほど俺は嫌われているのだ」
「……これくらい?」
ちなみは無表情なまま俺の頬に触れると、両手でむいむい引っ張った。
「痛い」
「……私に力があればこのまま引き千切れたものを。無力な自分が憎い」
「おや、知らず死に瀕していたようだ。世界は常に危険と隣り合わせと再確認できてよかったよ」
「……それはよかった。じゃあ死ね」
「嫌です」
「……死んで?」(こてりと小首を傾げながら)
「はいっ! ああしまった、罠にはまった!」
「……死ね、死ーね」
ちなみは嬉しそうに(と言っても無表情は崩していないが)腕をぱたぱたさせながら、俺を囃し立てた。
「うーん。分かった、俺のお願いを聞いてくれたら死ぬ」
「……嫌だ。何もできずに虫のように死ね」
「虫だけに俺のお願いを無視する。なんちて。うひゃひゃ」
「…………」
「……分かってる。分かってるんだ。だけど、言わずにはいられなかったんだ」
「……がんばれ、がんばれ」
ついさっき死ねと言ってきた奴に慰められたうえ、頭までなでられた。超泣きそう。
「……あまりに哀れなのでお願いを聞いてやる。なに?」
「自爆した甲斐があった。ええとだな、お前の顔をぺろぺろさせ」
「却下」
「なんと」
「……とても気持ちが悪いので」
「俺は気持ちよくなるよ?」
「……却下」
「なんと」
「……じゃあ、聞いたので、死ね」
「うーん、まあ、いっか。じゃあ数十年後に寿命で死ぬよ」
「がーん。騙された。……だが、死因を聞いてなかったのはこちらの落ち度か。仕方ない、今回は諦めるが、次はちゃんと死ぬように」
「はい」(なでなで)
「……なんでなでる」
ちなみは迷惑そうに顔をしかめた。
「ちなみの顔を舐められなかったので、その代償行為」
「……うーん、いつだって気持ち悪い。すごい才能だ」
「じゃ、なでるのは諦めてちなみをぺろぺろするよ。ああ残念無念」
「……却下」
「ままならぬ」
しょうがないので、ちなみをなでてました。
「……ん」
あと、ちなみが迷惑そうだったのは最初だけで、なでられてなんかちょっと嬉しそうになってることは、俺だけの秘密だ。
「…………」
思ったことを言っただけなのに、さっきまで普通に会話をしていたちなみが俺から明らかに距離を取った。
「どうして離れる」
「……タカシは日々成長するのだなあ、という事実をまざまざと見せつけられたので」
「どういうこと?」
「……言動が気持ち悪い」
「なるほど。ところでちなみ、ものは相談なのだが」
「嫌」
「俺に」
「嫌」
「ぺろぺろ」
「嫌」
「されることに抵抗はあるか?」
「……三連嫌をこれほど容易く無力化するとは。タカシにはほとほと脱帽だ」
「いやぁ。でへへぇ」
「……褒めていない。早く死ね」
「なんと」
「……そして質問の答えだが、死ね」
「なんと」
「……どうしてタカシなんかにぺろぺろされなければいけないのか。それならまだ硫酸の海に身を投じる方が遥かにマシだ」
「生きながら溶ける方がマシとは。どれほど俺は嫌われているのだ」
「……これくらい?」
ちなみは無表情なまま俺の頬に触れると、両手でむいむい引っ張った。
「痛い」
「……私に力があればこのまま引き千切れたものを。無力な自分が憎い」
「おや、知らず死に瀕していたようだ。世界は常に危険と隣り合わせと再確認できてよかったよ」
「……それはよかった。じゃあ死ね」
「嫌です」
「……死んで?」(こてりと小首を傾げながら)
「はいっ! ああしまった、罠にはまった!」
「……死ね、死ーね」
ちなみは嬉しそうに(と言っても無表情は崩していないが)腕をぱたぱたさせながら、俺を囃し立てた。
「うーん。分かった、俺のお願いを聞いてくれたら死ぬ」
「……嫌だ。何もできずに虫のように死ね」
「虫だけに俺のお願いを無視する。なんちて。うひゃひゃ」
「…………」
「……分かってる。分かってるんだ。だけど、言わずにはいられなかったんだ」
「……がんばれ、がんばれ」
ついさっき死ねと言ってきた奴に慰められたうえ、頭までなでられた。超泣きそう。
「……あまりに哀れなのでお願いを聞いてやる。なに?」
「自爆した甲斐があった。ええとだな、お前の顔をぺろぺろさせ」
「却下」
「なんと」
「……とても気持ちが悪いので」
「俺は気持ちよくなるよ?」
「……却下」
「なんと」
「……じゃあ、聞いたので、死ね」
「うーん、まあ、いっか。じゃあ数十年後に寿命で死ぬよ」
「がーん。騙された。……だが、死因を聞いてなかったのはこちらの落ち度か。仕方ない、今回は諦めるが、次はちゃんと死ぬように」
「はい」(なでなで)
「……なんでなでる」
ちなみは迷惑そうに顔をしかめた。
「ちなみの顔を舐められなかったので、その代償行為」
「……うーん、いつだって気持ち悪い。すごい才能だ」
「じゃ、なでるのは諦めてちなみをぺろぺろするよ。ああ残念無念」
「……却下」
「ままならぬ」
しょうがないので、ちなみをなでてました。
「……ん」
あと、ちなみが迷惑そうだったのは最初だけで、なでられてなんかちょっと嬉しそうになってることは、俺だけの秘密だ。
【くぱぁの日】
2012年09月10日
「俺は知らなかったのだけど」
「はぁ」
とある放課後、俺は大谷先生と一緒に補習という名のお茶会をしていた。そんな最中、俺はあることを切り出した。
「9月8日はくぱぁの日だったらしいね」
「くぱぁ? なんですかそれは?」
イノセントな感じの瞳に魅入られたので、事細かに説明してあげる。
「~~~~~!!!」
すると、顔を真っ赤にしながら俺をぺしぺし叩く人が出来上がります。素敵ね。
「な、な、な、な、何を教えてるですか!? 神聖なる学び舎で、聖職者に! にぃー!」
「聞かれたので」
「聞かれても! そーゆーことはある程度誤魔化したりするものなのですよ! 普通は!」
「ちなみにくぱぁとは、先生のそこを二本の指でこう、くぱぁと」
「もう聞きました!!!!!」
先生は両手で耳を塞ぎ、イヤイヤと首を振った。興奮して顔が赤く、しかも涙目なので、俺の劣情をまあそそることそそること。
「ということで、先生」
「聞こえませんっ! 何も聞こえないのですっ!!」
「先生」
聞こえないらしいので、純然たる善意からパワーオブゴリラ(訳:ゴリラ力)で先生の手を耳から引き剥がす。純然たる善意で。
「嫌なのですっ!!! 断固拒否するのですっ!!! そーゆーことは結婚してからなのですっ!!!」
「くぱぁをしてくれませんか」
「必死で拒否しているこの姿が見えないのですかっ!!?」
半泣きで怒る先生は可愛いなあ。
で。
「絶対、ぜーったい、絶対の絶対の絶対にお断りなのですっ! 断固拒否するのですっ! 今回ばかりは折れる気配がゼロなのですっ!!!」
こんなに頼み込んでいるのに、先生ときたら一向にくぱぁをしてくれない。これでも聖職者なのか。ふんとにもう。
「でもまぁ、頼み込んだら“くぱぁ”してくれる聖職者がいても嫌だよな。わはは」
「あーっ!? ほらほら、やっぱり別府くんもおかしいと思ってるんじゃないですかっ! 分かったら一刻も早く先生にくぱぁをやらそうとするのはやめてくださいっ!」
「先生の口からくぱぁって聞こえると興奮するな。よし、録音するのでもっかい言って」
「御免被るのですっ!!!」
「あぁん」
いそいそとケータイを取り出したのに、叩き落された。わたわたしながら拾う。
「わたわたしないでくださいっ! 先生は怒っているのですっ!」
「……ん、よし。壊れてないみたいだな。よかったよかった」
「むー……」
口ではむーと言って不満を装っているが、壊れていないと聞いてこっそり安心しているのを俺は見逃していない。善人め!
「まあ、そこまで嫌がるなら、今回は諦めるよ。代わりにちゅーでいいや。ああ残念残念」
「そっちも当然お断りなのですっ」
「えええええーっ!? 超さりげなくしたのに!? いける雰囲気だと思ったのですが!」
「いけるわけないのですっ! 今日も別府くんは頭おかしいのですっ!」
「担任教師にくぱぁしてくれって頼んでいる時点で分かってるだろうが、たわけ!」
「なんで先生が怒られてるのでしょうか……」
何やらショックを受けてる様子。
「分かったら俺にちゅーして今日のところは帰ろうか」
「ちゅーはお断りしますが、帰るのは賛成です」
「あ、気づいてないかもしれませんが、ちゅーとはキス、口づけ、接吻のことだから安心して行なってください」
「分かっているのです! 分かっているから断っているのです!」
「ディープの方でいいから」
「悪化してますっ!」
「ままならないなあ」
「超こっちの台詞なのですっ!」
ということで、くぱぁはおろかちゅーまでしてくれなかった。なんて酷い先生なんだ。
「はぁ」
とある放課後、俺は大谷先生と一緒に補習という名のお茶会をしていた。そんな最中、俺はあることを切り出した。
「9月8日はくぱぁの日だったらしいね」
「くぱぁ? なんですかそれは?」
イノセントな感じの瞳に魅入られたので、事細かに説明してあげる。
「~~~~~!!!」
すると、顔を真っ赤にしながら俺をぺしぺし叩く人が出来上がります。素敵ね。
「な、な、な、な、何を教えてるですか!? 神聖なる学び舎で、聖職者に! にぃー!」
「聞かれたので」
「聞かれても! そーゆーことはある程度誤魔化したりするものなのですよ! 普通は!」
「ちなみにくぱぁとは、先生のそこを二本の指でこう、くぱぁと」
「もう聞きました!!!!!」
先生は両手で耳を塞ぎ、イヤイヤと首を振った。興奮して顔が赤く、しかも涙目なので、俺の劣情をまあそそることそそること。
「ということで、先生」
「聞こえませんっ! 何も聞こえないのですっ!!」
「先生」
聞こえないらしいので、純然たる善意からパワーオブゴリラ(訳:ゴリラ力)で先生の手を耳から引き剥がす。純然たる善意で。
「嫌なのですっ!!! 断固拒否するのですっ!!! そーゆーことは結婚してからなのですっ!!!」
「くぱぁをしてくれませんか」
「必死で拒否しているこの姿が見えないのですかっ!!?」
半泣きで怒る先生は可愛いなあ。
で。
「絶対、ぜーったい、絶対の絶対の絶対にお断りなのですっ! 断固拒否するのですっ! 今回ばかりは折れる気配がゼロなのですっ!!!」
こんなに頼み込んでいるのに、先生ときたら一向にくぱぁをしてくれない。これでも聖職者なのか。ふんとにもう。
「でもまぁ、頼み込んだら“くぱぁ”してくれる聖職者がいても嫌だよな。わはは」
「あーっ!? ほらほら、やっぱり別府くんもおかしいと思ってるんじゃないですかっ! 分かったら一刻も早く先生にくぱぁをやらそうとするのはやめてくださいっ!」
「先生の口からくぱぁって聞こえると興奮するな。よし、録音するのでもっかい言って」
「御免被るのですっ!!!」
「あぁん」
いそいそとケータイを取り出したのに、叩き落された。わたわたしながら拾う。
「わたわたしないでくださいっ! 先生は怒っているのですっ!」
「……ん、よし。壊れてないみたいだな。よかったよかった」
「むー……」
口ではむーと言って不満を装っているが、壊れていないと聞いてこっそり安心しているのを俺は見逃していない。善人め!
「まあ、そこまで嫌がるなら、今回は諦めるよ。代わりにちゅーでいいや。ああ残念残念」
「そっちも当然お断りなのですっ」
「えええええーっ!? 超さりげなくしたのに!? いける雰囲気だと思ったのですが!」
「いけるわけないのですっ! 今日も別府くんは頭おかしいのですっ!」
「担任教師にくぱぁしてくれって頼んでいる時点で分かってるだろうが、たわけ!」
「なんで先生が怒られてるのでしょうか……」
何やらショックを受けてる様子。
「分かったら俺にちゅーして今日のところは帰ろうか」
「ちゅーはお断りしますが、帰るのは賛成です」
「あ、気づいてないかもしれませんが、ちゅーとはキス、口づけ、接吻のことだから安心して行なってください」
「分かっているのです! 分かっているから断っているのです!」
「ディープの方でいいから」
「悪化してますっ!」
「ままならないなあ」
「超こっちの台詞なのですっ!」
ということで、くぱぁはおろかちゅーまでしてくれなかった。なんて酷い先生なんだ。
【ツンデレに言いがかりをつけたら】
2012年09月08日
最近の暑さは全て大谷先生の責任と断定。
「なので粛々と罰を受けろ」
「言いがかりにしても酷すぎですっ! どーゆーことですかっ!?」
なんか小学生みたいのが怒ってきた。ので、頭をなでてみた。
「人が怒ってる最中に頭をなでてはいけませんっ!」
「どうして?」
「なんかぷんぷんってのがどっか行っちゃうからです! ほらほら、言ってるそばからもう! もー! ……もー」
先生はちょっと拗ねたような顔をしながら、俺の腕をきゅっと握った。
「なんスか」
「べ、別になんでもないですよ! もちょっとなでてくれたらなー、なんて思ってもいませんから!」
「奇遇だな、俺も丁度なでたくないと思っていたところだ」
「ほら! ほーら! またいつもの別府くんの天邪鬼が出ましたよ! 今日も悪辣で不愉快です!」
「この子供はうるさいなあ。まあ、子供というのはうるさいものだから仕方ないか」
「そしてまた例によって例のごとく先生を子供扱い! だけどちっとも慣れません! いつまで経っても怒りが治まりません! だって先生は大人ですから!」
「先生、飴食べる?」
「わーい! 食べます!」
大人が飴で喜ぶかなあ、といじめようと思ったのだが、満面の笑みでくださいという感じの手を出されたので、素直にミルクキャンディーを渡す。
「ころころころ……はぅぅ! とってもおいひいです! ありがとーございます、別府くん!」
「いやなに、変態紳士なので女子供には優しくあれと心掛けているのでね」
「……変態、というところと、子供、というところに引っかかりはありますが、飴をもらったので文句は言わないでおきます」
「おお、成長したな。偉いぞ先生!」(なでなで)
「えへへへー」
先生は稚児のようにニコニコ笑った。自分で言っておいてなんだが、本当に子供みたいだな。とても20歳を超えてるとは思えない。
「何やら失礼なことを想像されてる気がします……」
「いやいや、ただ単に俺の脳内で先生をひんむいて酷いことしているだけだ」
「仮にそうだとしても、それを臆面もなく当の本人に伝えるその度胸には驚嘆します!」
「先生には、先生だけには、嘘偽りなく接したいんだ」
先生の小さな手を取り、ぎゅっと握り締める。真摯に目を見つめることも忘れない。
「べ、別府くん……せ、先生は、先生は……!」
「そう言ってるそばから嘘ついてたけどな」
「へ?」
前述のひん剥き関連のことが嘘と伝える。
「もー! 別府くんはー! 今日もー! もぉー!」
「わはは」
「うううー! 先生を騙してはいけません!」
「わかった、次に先生と会うまでは覚えておく。そして会った瞬間に忘れるので、意味無いな。わはは」
「うー! うー!」
先生は涙目で俺をぽかぽか叩いた。なんて可愛い先生なんだ。卒業したら結婚しーよおっと。
「まあそれはそれとして、熱気の罰を受けてもらおうか」
「はぅぅ……まだそれ続いてたんですか?」
「うんざりした顔をするない。罰を受けたくないのであれば、俺を涼しくさせることだな」
「じゃ、冷房点けますねー?」
先生は手元のリモコンを操作し、エアコンをつけた。途端、そよそよと涼しい冷気がエアコンから吐き出されるではないか。
「お?」
「暑いなら最初から言ってくれればよかったのに。私が苦手だからつけてなかっただけなんですよ?」
「だって、担任教師の家にお呼ばれなんかされちゃって、あまりのことに気が動転してそれどころじゃなかったんだ」
「どっ、動転って、動転って! 呼び出ししたのは、そのっ、学校で呼び出してもちっとも来ないからですっ! だからしょーがなしに、家に呼んだのですよ!?」
「家に呼んでも来ない可能性の方が高いだろうに」
「……でも、来てくれましたよ?」
先生は俺の服をちょこんと握り、にこーっと笑った。
「分かった、結婚しよう」
「何かが別府くんの琴線に触れちゃったご様子ですよ!?」
慌ててる先生を見て、冷静さを取り戻す。何を突然求婚してるのだ俺は。
「まあ結婚は卒業後にするとして、今は少し涼むか」
「えええーっ!?」
「先生、超うるさい」
「け、結婚!? え、本気なのですかっ!? でででもっ、卒業しちゃったら教え子と教師って関係はなくなるから、……いいの?」
「いや、よくない」
「別府くんから言い出したことなのにーっ!?」
「今日も先生は打てば響くので大層愉快。わはは」
「ううう……例の意地悪でしたよ。ぐっすん、ですよ。はぅー」
「はぅーって言った」
「言ってません!」
「言った」
「言いません! 先生はそんな二次元の萌えキャラじゃないので、はぅーとか言わないのです!」
「言った」(なでなで)
「は、はぅぅ……」
「ほれみろ」
「い、今のは、はぅぅです! はぅーではないのです! だからセーフなのです! ……よ?」
先生はちょこんと小首をかしげて、こちらの様子を伺っている。
「うむ!」
「ひゃああああ!?」
大変に可愛かったので、気がつくと抱っこして頬ずりしていた。
「あ、いかん。このままでは性犯罪を犯してしまう。……でも、大谷先生だし、いいか!」
「ちっとも全然よくないのですっ! このままでは先生の初めてが悲しい思い出に塗り固められてしまうのですっ! もっと優しくて素敵で甘くてふわふわでなでなでしてくれる感じの思い出がいいのですっ!」
「先生、まだ処女なのな」
「はぅぅっ!? 酷いです別府くん、なんでそーゆーふーに誘導尋問するですかっ!? 先生の最重要機密がダダ漏れですよっ!?」
「わはは。さて、もう少々涼むか」
先生をベッドにぽすりと置き、エアコンの前に陣取る。……衝動的とはいえ、先生を抱きしめたりしたせいで、ドキドキしちゃったよ。ええい、大谷先生のくせに生意気な。
「……は、はぅー」
背後から萌えキャラの声が聞こえる。どうやらこっちの様子を伺っているようだ。
「は、はぅー。はぅー。……はぅ?」
「……ああもう。はぅはぅうるせえ!」(なでなでなで)
「言いながらなでてますよ?」
「もう衝動を止めようとも思わないんだ。自業自得だ、諦めろ」(なでなで)
「はぅー♪」
そんな感じで、数分間先生をなでなでした。至福。
「はぁぁ……♪ ……えっ、いや、違うのですよ? 別に先生、ちっとも嬉しくなかったのですよ?」
「聞いてねえ」
「はぅぅ……。……? あの、ところで、何をしているのですか?」
「いや、ようやく衝動が治まったので、折角先生の家にいることだし、先生の私物を漁っているところだ」
「大変にマナー違反行為ですよっ!? 今すぐやめないと先生泣いちゃいます!」
泣く子と地頭と先生には勝てぬので手を止める。
「ううう……漁るのは酷いですが、すぐにやめてくれたので、別府くんは少しいい子です。なでなでしてあげましょうか?」
「是非お願いします」
先生に届くよう、少しだけ屈む。
「うー……もうちょっと屈んでください」
「先生が一生懸命背伸びして俺の頭をなでる光景が見たいから、お断りします」
「いい子度がまた下がりました。……まあいいです。なでなで、なでなで」
先生はぐーっと背伸びして俺の頭をなでた。だが、背伸びに慣れているのか、あまり辛そうな様子は見られない。これでは俺の歪んだ劣情が解消できないではないか。
「こうなっては先生の私物である『なりきり☆ 魔法少女セット』を強制的に装着させ、魔女っ子大谷先生を鑑賞するしかあるまい」
「なんで先生の秘密の趣味を知ってるんですかーっ!?」
「あと、DVDを全巻揃えていることも知ってます」
「大人買い情報まで!? 先生の社会的地位がピンチですっ!」
「大丈夫だよ、先生。そんなの、最初から超々低空飛行だよ」
先生の手を握り、優しく微笑みながら伝える。
「雰囲気だけが先生に優しいですっ! 伝えられた情報はシベリアもかくやと思えるほど寒いですっ!」
「シベリア超特急」
「言いたいだけのことは言わなくていいですっ!」
「俺もそうしたいんだけどなあ。ところで先生」
「なんですかっ! まだいじめないと気が済みませんか!? あとちょっとで先生泣きますよ!? ちゃんと泣き止ませてくださいよ!?」
「いや、そんな大人が裸足で逃げ出すような情けないこと伝えられても困るのだけど、そんなことより」
「ダムが決壊しましたっ! 泣きます、もー泣きます! ごーよんさんにーいち!」
「先生の手って、小さくて可愛いな」
ぴたり、と先生が停止した。
「先生?」
かと思ったら、小刻みに震えているではないか。まさか……自爆!?
「……そ、そゆことを、先生に言ってはいけないです。……困ってしまいます」
先生はほのかに頬を染め、自身の言葉通り、困ったように視線をさまよわせていた。
「いや、可愛いのは手の話で、先生が可愛いかどうかはまた別の話だ」
「また! また意地悪ですよ! 今回に限ってはよかったのですが!」
「そして先生自体も可愛いので、結果先生は全部可愛い。わはは」(なでなで)
「珍しい種類の意地悪です! きっと先生を困らせるのが主目的なのです! 別府くんのいじわる!」
「ああ可愛い。先生、ちゅーしていい? えーっと、ほら、熱気の罰という名目で」
「絶対にダメなのですっ!」
真っ赤な顔でべーってする先生は可愛いなあ。
「……でも、だからって、どしてこんなことをするですか」
「ちゅーしてくれないし、これくらいのご褒美はあっても構わんだろうという自己判断だ」
先生を膝にのせ、後ろから頭をなでているのだけど、どうも嫌がられている様子。
「ちっともよくないですっ! 別府くんは、今日は叱られに来たのですよ! どしてご褒美をあげなくちゃいけないのですかっ!」
「こんな暑い中、先生の呼び出しを無視せずに来たのだ、それだけで十分ご褒美に値するとは思わんかね?」
「思わないのですー! そもそも、別府くんが学校で呼び出しに答えていたら呼ばなくても済んだのですっ! どして来なかったのですか!?」
「暑いから」
「今日だって暑いのにー!?」
「あと、休みの日に先生に会えるのはラッキーなので」
「……そ、そゆことを言うのはずるいです。……困ってしまいますよ?」
「存分に困るがいい、若人よ。青春は悩むためにあるのだ!」
「先生のほうが大人なのですっ! そう言ってる別府くんが青春のまっただ中にいるのです!」
「あ、なんかおっぱい揉みたくなった。いい?」
「とってもいくないのですっ! 今日も別府くんは頭おかしいのですっ! 今日こそはお説教です! そこに直りなさい!」
「任せろ!」(なでなで)
「なでなではしなくていいのですっ! なでなでは後で、なのですっ!」
「後でするのか」
「そ、そゆことに注目する必要はないのですっ!」
そんなわけで、先生にお説教されました。あと、罰という名目でしばらくなでなでしました。
「えへへへー。罰なのでしょうがないのですよ?」
と、嬉しそうになでられている本人が言っているが、俺にはとても罰とは思えない。
「なので粛々と罰を受けろ」
「言いがかりにしても酷すぎですっ! どーゆーことですかっ!?」
なんか小学生みたいのが怒ってきた。ので、頭をなでてみた。
「人が怒ってる最中に頭をなでてはいけませんっ!」
「どうして?」
「なんかぷんぷんってのがどっか行っちゃうからです! ほらほら、言ってるそばからもう! もー! ……もー」
先生はちょっと拗ねたような顔をしながら、俺の腕をきゅっと握った。
「なんスか」
「べ、別になんでもないですよ! もちょっとなでてくれたらなー、なんて思ってもいませんから!」
「奇遇だな、俺も丁度なでたくないと思っていたところだ」
「ほら! ほーら! またいつもの別府くんの天邪鬼が出ましたよ! 今日も悪辣で不愉快です!」
「この子供はうるさいなあ。まあ、子供というのはうるさいものだから仕方ないか」
「そしてまた例によって例のごとく先生を子供扱い! だけどちっとも慣れません! いつまで経っても怒りが治まりません! だって先生は大人ですから!」
「先生、飴食べる?」
「わーい! 食べます!」
大人が飴で喜ぶかなあ、といじめようと思ったのだが、満面の笑みでくださいという感じの手を出されたので、素直にミルクキャンディーを渡す。
「ころころころ……はぅぅ! とってもおいひいです! ありがとーございます、別府くん!」
「いやなに、変態紳士なので女子供には優しくあれと心掛けているのでね」
「……変態、というところと、子供、というところに引っかかりはありますが、飴をもらったので文句は言わないでおきます」
「おお、成長したな。偉いぞ先生!」(なでなで)
「えへへへー」
先生は稚児のようにニコニコ笑った。自分で言っておいてなんだが、本当に子供みたいだな。とても20歳を超えてるとは思えない。
「何やら失礼なことを想像されてる気がします……」
「いやいや、ただ単に俺の脳内で先生をひんむいて酷いことしているだけだ」
「仮にそうだとしても、それを臆面もなく当の本人に伝えるその度胸には驚嘆します!」
「先生には、先生だけには、嘘偽りなく接したいんだ」
先生の小さな手を取り、ぎゅっと握り締める。真摯に目を見つめることも忘れない。
「べ、別府くん……せ、先生は、先生は……!」
「そう言ってるそばから嘘ついてたけどな」
「へ?」
前述のひん剥き関連のことが嘘と伝える。
「もー! 別府くんはー! 今日もー! もぉー!」
「わはは」
「うううー! 先生を騙してはいけません!」
「わかった、次に先生と会うまでは覚えておく。そして会った瞬間に忘れるので、意味無いな。わはは」
「うー! うー!」
先生は涙目で俺をぽかぽか叩いた。なんて可愛い先生なんだ。卒業したら結婚しーよおっと。
「まあそれはそれとして、熱気の罰を受けてもらおうか」
「はぅぅ……まだそれ続いてたんですか?」
「うんざりした顔をするない。罰を受けたくないのであれば、俺を涼しくさせることだな」
「じゃ、冷房点けますねー?」
先生は手元のリモコンを操作し、エアコンをつけた。途端、そよそよと涼しい冷気がエアコンから吐き出されるではないか。
「お?」
「暑いなら最初から言ってくれればよかったのに。私が苦手だからつけてなかっただけなんですよ?」
「だって、担任教師の家にお呼ばれなんかされちゃって、あまりのことに気が動転してそれどころじゃなかったんだ」
「どっ、動転って、動転って! 呼び出ししたのは、そのっ、学校で呼び出してもちっとも来ないからですっ! だからしょーがなしに、家に呼んだのですよ!?」
「家に呼んでも来ない可能性の方が高いだろうに」
「……でも、来てくれましたよ?」
先生は俺の服をちょこんと握り、にこーっと笑った。
「分かった、結婚しよう」
「何かが別府くんの琴線に触れちゃったご様子ですよ!?」
慌ててる先生を見て、冷静さを取り戻す。何を突然求婚してるのだ俺は。
「まあ結婚は卒業後にするとして、今は少し涼むか」
「えええーっ!?」
「先生、超うるさい」
「け、結婚!? え、本気なのですかっ!? でででもっ、卒業しちゃったら教え子と教師って関係はなくなるから、……いいの?」
「いや、よくない」
「別府くんから言い出したことなのにーっ!?」
「今日も先生は打てば響くので大層愉快。わはは」
「ううう……例の意地悪でしたよ。ぐっすん、ですよ。はぅー」
「はぅーって言った」
「言ってません!」
「言った」
「言いません! 先生はそんな二次元の萌えキャラじゃないので、はぅーとか言わないのです!」
「言った」(なでなで)
「は、はぅぅ……」
「ほれみろ」
「い、今のは、はぅぅです! はぅーではないのです! だからセーフなのです! ……よ?」
先生はちょこんと小首をかしげて、こちらの様子を伺っている。
「うむ!」
「ひゃああああ!?」
大変に可愛かったので、気がつくと抱っこして頬ずりしていた。
「あ、いかん。このままでは性犯罪を犯してしまう。……でも、大谷先生だし、いいか!」
「ちっとも全然よくないのですっ! このままでは先生の初めてが悲しい思い出に塗り固められてしまうのですっ! もっと優しくて素敵で甘くてふわふわでなでなでしてくれる感じの思い出がいいのですっ!」
「先生、まだ処女なのな」
「はぅぅっ!? 酷いです別府くん、なんでそーゆーふーに誘導尋問するですかっ!? 先生の最重要機密がダダ漏れですよっ!?」
「わはは。さて、もう少々涼むか」
先生をベッドにぽすりと置き、エアコンの前に陣取る。……衝動的とはいえ、先生を抱きしめたりしたせいで、ドキドキしちゃったよ。ええい、大谷先生のくせに生意気な。
「……は、はぅー」
背後から萌えキャラの声が聞こえる。どうやらこっちの様子を伺っているようだ。
「は、はぅー。はぅー。……はぅ?」
「……ああもう。はぅはぅうるせえ!」(なでなでなで)
「言いながらなでてますよ?」
「もう衝動を止めようとも思わないんだ。自業自得だ、諦めろ」(なでなで)
「はぅー♪」
そんな感じで、数分間先生をなでなでした。至福。
「はぁぁ……♪ ……えっ、いや、違うのですよ? 別に先生、ちっとも嬉しくなかったのですよ?」
「聞いてねえ」
「はぅぅ……。……? あの、ところで、何をしているのですか?」
「いや、ようやく衝動が治まったので、折角先生の家にいることだし、先生の私物を漁っているところだ」
「大変にマナー違反行為ですよっ!? 今すぐやめないと先生泣いちゃいます!」
泣く子と地頭と先生には勝てぬので手を止める。
「ううう……漁るのは酷いですが、すぐにやめてくれたので、別府くんは少しいい子です。なでなでしてあげましょうか?」
「是非お願いします」
先生に届くよう、少しだけ屈む。
「うー……もうちょっと屈んでください」
「先生が一生懸命背伸びして俺の頭をなでる光景が見たいから、お断りします」
「いい子度がまた下がりました。……まあいいです。なでなで、なでなで」
先生はぐーっと背伸びして俺の頭をなでた。だが、背伸びに慣れているのか、あまり辛そうな様子は見られない。これでは俺の歪んだ劣情が解消できないではないか。
「こうなっては先生の私物である『なりきり☆ 魔法少女セット』を強制的に装着させ、魔女っ子大谷先生を鑑賞するしかあるまい」
「なんで先生の秘密の趣味を知ってるんですかーっ!?」
「あと、DVDを全巻揃えていることも知ってます」
「大人買い情報まで!? 先生の社会的地位がピンチですっ!」
「大丈夫だよ、先生。そんなの、最初から超々低空飛行だよ」
先生の手を握り、優しく微笑みながら伝える。
「雰囲気だけが先生に優しいですっ! 伝えられた情報はシベリアもかくやと思えるほど寒いですっ!」
「シベリア超特急」
「言いたいだけのことは言わなくていいですっ!」
「俺もそうしたいんだけどなあ。ところで先生」
「なんですかっ! まだいじめないと気が済みませんか!? あとちょっとで先生泣きますよ!? ちゃんと泣き止ませてくださいよ!?」
「いや、そんな大人が裸足で逃げ出すような情けないこと伝えられても困るのだけど、そんなことより」
「ダムが決壊しましたっ! 泣きます、もー泣きます! ごーよんさんにーいち!」
「先生の手って、小さくて可愛いな」
ぴたり、と先生が停止した。
「先生?」
かと思ったら、小刻みに震えているではないか。まさか……自爆!?
「……そ、そゆことを、先生に言ってはいけないです。……困ってしまいます」
先生はほのかに頬を染め、自身の言葉通り、困ったように視線をさまよわせていた。
「いや、可愛いのは手の話で、先生が可愛いかどうかはまた別の話だ」
「また! また意地悪ですよ! 今回に限ってはよかったのですが!」
「そして先生自体も可愛いので、結果先生は全部可愛い。わはは」(なでなで)
「珍しい種類の意地悪です! きっと先生を困らせるのが主目的なのです! 別府くんのいじわる!」
「ああ可愛い。先生、ちゅーしていい? えーっと、ほら、熱気の罰という名目で」
「絶対にダメなのですっ!」
真っ赤な顔でべーってする先生は可愛いなあ。
「……でも、だからって、どしてこんなことをするですか」
「ちゅーしてくれないし、これくらいのご褒美はあっても構わんだろうという自己判断だ」
先生を膝にのせ、後ろから頭をなでているのだけど、どうも嫌がられている様子。
「ちっともよくないですっ! 別府くんは、今日は叱られに来たのですよ! どしてご褒美をあげなくちゃいけないのですかっ!」
「こんな暑い中、先生の呼び出しを無視せずに来たのだ、それだけで十分ご褒美に値するとは思わんかね?」
「思わないのですー! そもそも、別府くんが学校で呼び出しに答えていたら呼ばなくても済んだのですっ! どして来なかったのですか!?」
「暑いから」
「今日だって暑いのにー!?」
「あと、休みの日に先生に会えるのはラッキーなので」
「……そ、そゆことを言うのはずるいです。……困ってしまいますよ?」
「存分に困るがいい、若人よ。青春は悩むためにあるのだ!」
「先生のほうが大人なのですっ! そう言ってる別府くんが青春のまっただ中にいるのです!」
「あ、なんかおっぱい揉みたくなった。いい?」
「とってもいくないのですっ! 今日も別府くんは頭おかしいのですっ! 今日こそはお説教です! そこに直りなさい!」
「任せろ!」(なでなで)
「なでなではしなくていいのですっ! なでなでは後で、なのですっ!」
「後でするのか」
「そ、そゆことに注目する必要はないのですっ!」
そんなわけで、先生にお説教されました。あと、罰という名目でしばらくなでなでしました。
「えへへへー。罰なのでしょうがないのですよ?」
と、嬉しそうになでられている本人が言っているが、俺にはとても罰とは思えない。
【ツンデレと久しぶりに会ったら】
2012年09月03日
なんか超なんか。なんか。なんかー! 夏休みが終わったとか。なんか!
「今日は登校日なんだ。今日は登校日なんだ……」
そんなわけであずまんがの智ちゃんよろしく自分に言い聞かせながら教室に入ると、何やら寂しそうな顔をした奴が視界に映った。どうしたのだろうと見ていると、その生物が顔を上げた。瞬間、目が合った。
途端、目をきらきらさせ、にっこりと幸せそうな笑みを浮かべるではないか。だがその生き物はその表情をぱっと改め、急にしかめっ面になった。そして、何か言いたげにじーっとこちらを見ている。
見られたからには仕方がない、自分の席へ移動して鞄を置き、そのまま寝る。
「違うだろっ! そこはみことのところへ来るところだろうっ!」
なんか席の前がやかましくなったので顔を上げると、件の生き物が何やら半泣きで俺の席の前に立っていた。
「おはよう、みこと」
「う、うむ。お、おはよう」
ので、とりあえず挨拶をかわしてみると、腕を組みながら鷹揚に返事をくれた。ただ、なんか頬がひくひくとひくついている。なんだろう。
「久々の登校日に俺は早起きして眠いので寝る。お休み」
「む? 何を言っている。登校日ではなく、今日から学校だぞ?」
「みことは子供だから知らないかもしれないが、登校日なんだ」
「子供じゃないっ! それに、登校日ではないぞ。もう9月に入っているし」
「冗談は背だけにしろ」
「また馬鹿にしたな!? ううう~……やっぱ貴様なんか嫌いだっ! ふんっ!」
「それは残念。ところでみこと」
「なんだっ! みことは今、ヒジョーに不機嫌なのだっ! くだらん用事だと張り倒すからなっ!」
「久々に会ったことだし、帰りにどっか寄っていこうか?」
「うんうんっ、行く行くっ!」
なんか満面の笑みでうなずかれた。
「…………」
そしてみことが止まった。
「……と、とでも言うと思ったか、た、たわけめ」
何やら顔を赤くしながら、しどろもどろになりながら、みことは途切れ途切れに言った。
「ええと。どうすりゃいい」
「……貴様に武士の情けがあるのなら、流せ。頼む」
うつむきながら、絞りだすようにみことがつぶやく。良く見たら身体が震えてる。
「ふむ、分かった。で、最初の満面の笑みの『うんうん行く行く』はどういうことだ?」
「武士の情けーっ!」
みことは顔を真っ赤にして、半泣きになりながら俺をぺこぽこ叩いた。
「生憎ただの学生なので、武士の情けは存在しないなあ。学生の情けがあるなら、と言っていたら流していたのだけど」
「やはり貴様は大大、だーい嫌いだーっ!」
「わはは」
ぺけぽけしてくるのが楽しくて、みことの頭をわしわしとなでる。
「うぅー……」
「どうした」
「なんでもないっ! がるるる!」
がるるる言うこのみことは怖いなあ、となでながら思った。
今日は初日ということで、あっという間に放課後になった。さて、どうするかと思ってたら、何やら視線を感じる。けど、まあ、気のせいだ!
「さあ帰ろう帰ろう!」
「ええっ!?」
何か怪訝な声が聞こえたのでぐるりと教室を見回すが、特に異変は見つからない。ただ、強いて言うなら、みことが何もない壁の方を向いて、口でぴょーぴょー言ってるだけだ。口笛のつもりか。
「……気のせいか。さあ、帰ろうか!」
「ぴょーぴょー!」
妙に口笛風のぴょーがうるさくなった。一体なんだというのだ。そちらを見るが、やはり壁の方を見てぴょーぴょー言ってるばかり。
「……ああ! そういえば!」
「ぴ、ぴょ? ぴょー?」
「腹が減った。早く帰って飯を食おう」
「みことと遊びに行く約束だろうっ!?」
どでででとこちらに走りより、みことは俺をがっくんがっくん揺さぶった。
「なのに貴様は帰ろうとか腹減ったとか! どういうことなのだ!? みこととどっかへ行く約束はどうなったのだ!?」
「いや、覚えていたのだけど、忘れたフリをしたらどうなるかなあと思い実験したら、こうなった」
「…………」
ややあって、みことから湯気が出た。
「みっ、みことは貴様なんかと一緒に遊びに行くのなんて、ちっとも楽しみになんてしてないからなっ!?」
「いやお嬢さん、それは少々無理があるかと」(なでなで)
「無理などないっ! みことはそんなの全然楽しみになどしてないからなっ! あと頭なでるなっ!」
「いいえ」
「いいえ!?」
「で、どうする? 行くか、行かないのか」
「…………い、行く」
「──えーと」
「色々言うなっ、たわけっ!」
なんか半泣きだったので、いじめるのはここまでにしようと思った。
そんなわけで。
「えへへー♪」
みことと一緒に街をぶらぶらしたりしているわけなんですが。
「あの、みことさん」
「ん、なんだ? あっ、このアイスはやらんぞ! みことをいじめた罰なんだから、それくらい当然だぞ!」
俺から守るようにみことはアイスを急いでぺろぺろ舐めた。だが、急ぐあまりクリームが口の周りにつきまくりだ。
「あーあー、クリームがついてるぞ。ハンカチ持ってるか?」
「持ってるわけないだろう」
「はぁ……。ほれ、こっち向け」
みことと一緒にいるとこういう事態が多々起きるので、俺はハンカチを持ち歩くのが習慣づいている。そんなわけで、ポケットからそれを取り出し、みことの口元を拭う。
「んー、んぅー」
「ほれ、動くな。……ん、よし。終わりっと」
「綺麗になったか?」
「perfectでございます、お嬢様」
「うむ、褒めてつかわす!」
二人してわははと笑う。
「……えへへー」
笑い終わると、みことは何やら嬉しそうにこちらに寄ってきた。
「どした」
「んー? いや、なんでもないぞ。ほら、学校が始まったなー、って思っただけだ」
「あー……そうな。ああ、夏休みが一年あればいいのに」
「それじゃ毎日が夏休みじゃないか」
「なんて夢のある生活なんだ。そうなればいいのになあ」
「……みことはそんなの御免だ」
「なんと。学校が楽しいとかリア充か。ちくしょう、こんなところまで来て非リアの俺を攻めるか」
「みことという美しい女性と一緒にいて、何を言うか」
「ああそういやそうだった。みことという可愛い子供と一緒にいるし、俺もリア充なのか」
「じょせい!」
「子供」(なでなで)
「じょーせーい! れでぃ扱いしろっ!」
「任せろ!」(なでなで)
「言動不一致だぞ! まったく……」
ぷんぷん怒りながらも、みことは俺になでられるがままだった。
「──で、家の方は?」
ベンチに座り、ぼやーっと人の流れを眺めながら切り出す。
「相変わらずだ。歌に舞に茶にと、大忙しだ。下手に家がでかいと、苦労が絶えん」
「そか。ま、学校にいる間くらいは息抜きしろよ。ぶっ壊れちゃ、元も子もないからな」(なでなで)
「……ん」
金持ちには金持ちの苦労があるよな。せめて学校にいる間くらいは、笑っていてほしいものだ。
「……何より、休みの間は貴様に会えんからな」(ぼそり)
「ん?」
「なっ、ななな、なんでもない! 何も言っとらんっ!」
「なんでそんな顔赤いの?」
「あ、赤くなどないっ!」
「俺も本当は休みの時にも会いたいんだけど、いつも門前払いされちゃうんだ」
「聞こえているではないかーっ!?」
「わはは」
「忘れろ! 全部忘れるのだ!」
「や、俺もみことに会えなくてずっと寂しかったよ」
「も、ではない! みことはちっとも寂しくなどなかったぞ! 学校が始まるのを指折り数えなどしなかったらからな!」
「……はは、なるほど。じゃあその分を埋めるべく、しばらく一緒にいましょうね」
カレンダーを見ながら指折り数えてるみことを想像すると、思わず笑みがこぼれる。それを隠すため、という名目のもと、みことを膝にのっけて頭をなでる。
「寂しくないと言っているだろう! ……だ、だが、人の厚意を無碍にするのもなんなので、我慢してやる。と、特別だぞ?」
こちらに振り返り、上目遣いでそんなこと言われた日には、そりゃもう。
「ああもうみことは可愛いなあ!」(すりすりすり)
「ひゃああああ!?」
「今すぐにでも一緒にお風呂入って洗いっことかしてえ!」(すりすりすり)
「は、犯罪だ、馬鹿者! そ、それより、すりすりするなあ!」
「ふっにふにでモチみてえ。ああもう一生こうしていたいなあ!」(すりすりすり)
「ふにゃー!」
うららかな街角でみことの悲痛な声が響くのだった。
「今日は登校日なんだ。今日は登校日なんだ……」
そんなわけであずまんがの智ちゃんよろしく自分に言い聞かせながら教室に入ると、何やら寂しそうな顔をした奴が視界に映った。どうしたのだろうと見ていると、その生物が顔を上げた。瞬間、目が合った。
途端、目をきらきらさせ、にっこりと幸せそうな笑みを浮かべるではないか。だがその生き物はその表情をぱっと改め、急にしかめっ面になった。そして、何か言いたげにじーっとこちらを見ている。
見られたからには仕方がない、自分の席へ移動して鞄を置き、そのまま寝る。
「違うだろっ! そこはみことのところへ来るところだろうっ!」
なんか席の前がやかましくなったので顔を上げると、件の生き物が何やら半泣きで俺の席の前に立っていた。
「おはよう、みこと」
「う、うむ。お、おはよう」
ので、とりあえず挨拶をかわしてみると、腕を組みながら鷹揚に返事をくれた。ただ、なんか頬がひくひくとひくついている。なんだろう。
「久々の登校日に俺は早起きして眠いので寝る。お休み」
「む? 何を言っている。登校日ではなく、今日から学校だぞ?」
「みことは子供だから知らないかもしれないが、登校日なんだ」
「子供じゃないっ! それに、登校日ではないぞ。もう9月に入っているし」
「冗談は背だけにしろ」
「また馬鹿にしたな!? ううう~……やっぱ貴様なんか嫌いだっ! ふんっ!」
「それは残念。ところでみこと」
「なんだっ! みことは今、ヒジョーに不機嫌なのだっ! くだらん用事だと張り倒すからなっ!」
「久々に会ったことだし、帰りにどっか寄っていこうか?」
「うんうんっ、行く行くっ!」
なんか満面の笑みでうなずかれた。
「…………」
そしてみことが止まった。
「……と、とでも言うと思ったか、た、たわけめ」
何やら顔を赤くしながら、しどろもどろになりながら、みことは途切れ途切れに言った。
「ええと。どうすりゃいい」
「……貴様に武士の情けがあるのなら、流せ。頼む」
うつむきながら、絞りだすようにみことがつぶやく。良く見たら身体が震えてる。
「ふむ、分かった。で、最初の満面の笑みの『うんうん行く行く』はどういうことだ?」
「武士の情けーっ!」
みことは顔を真っ赤にして、半泣きになりながら俺をぺこぽこ叩いた。
「生憎ただの学生なので、武士の情けは存在しないなあ。学生の情けがあるなら、と言っていたら流していたのだけど」
「やはり貴様は大大、だーい嫌いだーっ!」
「わはは」
ぺけぽけしてくるのが楽しくて、みことの頭をわしわしとなでる。
「うぅー……」
「どうした」
「なんでもないっ! がるるる!」
がるるる言うこのみことは怖いなあ、となでながら思った。
今日は初日ということで、あっという間に放課後になった。さて、どうするかと思ってたら、何やら視線を感じる。けど、まあ、気のせいだ!
「さあ帰ろう帰ろう!」
「ええっ!?」
何か怪訝な声が聞こえたのでぐるりと教室を見回すが、特に異変は見つからない。ただ、強いて言うなら、みことが何もない壁の方を向いて、口でぴょーぴょー言ってるだけだ。口笛のつもりか。
「……気のせいか。さあ、帰ろうか!」
「ぴょーぴょー!」
妙に口笛風のぴょーがうるさくなった。一体なんだというのだ。そちらを見るが、やはり壁の方を見てぴょーぴょー言ってるばかり。
「……ああ! そういえば!」
「ぴ、ぴょ? ぴょー?」
「腹が減った。早く帰って飯を食おう」
「みことと遊びに行く約束だろうっ!?」
どでででとこちらに走りより、みことは俺をがっくんがっくん揺さぶった。
「なのに貴様は帰ろうとか腹減ったとか! どういうことなのだ!? みこととどっかへ行く約束はどうなったのだ!?」
「いや、覚えていたのだけど、忘れたフリをしたらどうなるかなあと思い実験したら、こうなった」
「…………」
ややあって、みことから湯気が出た。
「みっ、みことは貴様なんかと一緒に遊びに行くのなんて、ちっとも楽しみになんてしてないからなっ!?」
「いやお嬢さん、それは少々無理があるかと」(なでなで)
「無理などないっ! みことはそんなの全然楽しみになどしてないからなっ! あと頭なでるなっ!」
「いいえ」
「いいえ!?」
「で、どうする? 行くか、行かないのか」
「…………い、行く」
「──えーと」
「色々言うなっ、たわけっ!」
なんか半泣きだったので、いじめるのはここまでにしようと思った。
そんなわけで。
「えへへー♪」
みことと一緒に街をぶらぶらしたりしているわけなんですが。
「あの、みことさん」
「ん、なんだ? あっ、このアイスはやらんぞ! みことをいじめた罰なんだから、それくらい当然だぞ!」
俺から守るようにみことはアイスを急いでぺろぺろ舐めた。だが、急ぐあまりクリームが口の周りにつきまくりだ。
「あーあー、クリームがついてるぞ。ハンカチ持ってるか?」
「持ってるわけないだろう」
「はぁ……。ほれ、こっち向け」
みことと一緒にいるとこういう事態が多々起きるので、俺はハンカチを持ち歩くのが習慣づいている。そんなわけで、ポケットからそれを取り出し、みことの口元を拭う。
「んー、んぅー」
「ほれ、動くな。……ん、よし。終わりっと」
「綺麗になったか?」
「perfectでございます、お嬢様」
「うむ、褒めてつかわす!」
二人してわははと笑う。
「……えへへー」
笑い終わると、みことは何やら嬉しそうにこちらに寄ってきた。
「どした」
「んー? いや、なんでもないぞ。ほら、学校が始まったなー、って思っただけだ」
「あー……そうな。ああ、夏休みが一年あればいいのに」
「それじゃ毎日が夏休みじゃないか」
「なんて夢のある生活なんだ。そうなればいいのになあ」
「……みことはそんなの御免だ」
「なんと。学校が楽しいとかリア充か。ちくしょう、こんなところまで来て非リアの俺を攻めるか」
「みことという美しい女性と一緒にいて、何を言うか」
「ああそういやそうだった。みことという可愛い子供と一緒にいるし、俺もリア充なのか」
「じょせい!」
「子供」(なでなで)
「じょーせーい! れでぃ扱いしろっ!」
「任せろ!」(なでなで)
「言動不一致だぞ! まったく……」
ぷんぷん怒りながらも、みことは俺になでられるがままだった。
「──で、家の方は?」
ベンチに座り、ぼやーっと人の流れを眺めながら切り出す。
「相変わらずだ。歌に舞に茶にと、大忙しだ。下手に家がでかいと、苦労が絶えん」
「そか。ま、学校にいる間くらいは息抜きしろよ。ぶっ壊れちゃ、元も子もないからな」(なでなで)
「……ん」
金持ちには金持ちの苦労があるよな。せめて学校にいる間くらいは、笑っていてほしいものだ。
「……何より、休みの間は貴様に会えんからな」(ぼそり)
「ん?」
「なっ、ななな、なんでもない! 何も言っとらんっ!」
「なんでそんな顔赤いの?」
「あ、赤くなどないっ!」
「俺も本当は休みの時にも会いたいんだけど、いつも門前払いされちゃうんだ」
「聞こえているではないかーっ!?」
「わはは」
「忘れろ! 全部忘れるのだ!」
「や、俺もみことに会えなくてずっと寂しかったよ」
「も、ではない! みことはちっとも寂しくなどなかったぞ! 学校が始まるのを指折り数えなどしなかったらからな!」
「……はは、なるほど。じゃあその分を埋めるべく、しばらく一緒にいましょうね」
カレンダーを見ながら指折り数えてるみことを想像すると、思わず笑みがこぼれる。それを隠すため、という名目のもと、みことを膝にのっけて頭をなでる。
「寂しくないと言っているだろう! ……だ、だが、人の厚意を無碍にするのもなんなので、我慢してやる。と、特別だぞ?」
こちらに振り返り、上目遣いでそんなこと言われた日には、そりゃもう。
「ああもうみことは可愛いなあ!」(すりすりすり)
「ひゃああああ!?」
「今すぐにでも一緒にお風呂入って洗いっことかしてえ!」(すりすりすり)
「は、犯罪だ、馬鹿者! そ、それより、すりすりするなあ!」
「ふっにふにでモチみてえ。ああもう一生こうしていたいなあ!」(すりすりすり)
「ふにゃー!」
うららかな街角でみことの悲痛な声が響くのだった。