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2024年12月04日
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【ハロウィン 犬子のバヤイ】
2011年10月30日
菓子が食いてえ。しかし、金はない。どうしようかと思いながら黒板を見る。その端に、今日の日付が書いてる。10月31日。……そういや、今日はハロウィンだな。……ハロウィン?
「どしたの、符長くん? なんかぐったりしちゃってさ」
「その時、俺様の脳細胞が活性化した。そう、今まさに天啓が俺様に!」
「符長くんが壊れた!?」
失礼なことを言う犬子のほっぺを引っ張る。
「いひゃいいひゃい、いひゃいよ符長くん!」
「しょうがないよ、犬のくせに人間様を馬鹿にしたんだから」
とはいえ、犬に罰を与える趣味はない。とっとと手を離してあげる。
「うぅ~……今日も当然のように犬扱いだよ」
「ちょどいいや、お前もつきあえ」(なでなで)
「付き合うって、何に?」
なんとなく頭をなでながら提案すると、犬子は不思議そうな顔で問いかけてきた。
「今日の日付を考えれば分かるだろう。ハロウィンだ!」
「はろうぃん? え、仮装して色んな人の家に行くの?」
「そのつもりだ。俺は全裸に仮面をつける仮装をするから、犬子もそれに準ずるように」
「痴漢&痴女のコンビの出来上がりだよ、符長くん! とっても嫌だよ!」
「なんだ、贅沢だな。しょうがない、犬子だけがその仮装していいよ。らっきー♪」
「気遣いの方向が明らかに間違ってるよ、符長くん! ちっともらっきーじゃないよ!」
「なんだ。しかし、実際どういう仮装にしようか。コスプレは大好きだが、実際に衣装は持ってないんだよなあ」
「……あの、あのね、符長くん? その、たぶんだけどね、仮装して家々を回っても、お菓子はもらえないと思うよ?」
「俺が行く直前に犬子が先回りして、その家の菓子を根こそぎ奪って行くから? どこまであくどいんだ、お前は」(ぐりぐり)
「勝手に悪人にされたっ!? あうぅーっ!」
悔しさを指先にぶつけ、犬子のおでこをぐりぐりする。
「うぅー……今日も符長くんは酷いよ」
両手でおでこを押さえ、犬子はうるむ瞳で俺を見た。
「ごめんね。我ながら言いがかり以外の何物でもなかったね。近く自殺するので許してね」
「符長くんが切腹する!? そこまで恨んでないよ、ていうか死ぬなんて絶対に許さないよ!」
誰も死ぬ手段が切腹とは言ってないが、犬子は慌てた様子で俺の手を握り、力強い目で俺を睨んだ。
「あー、まあ、半ば冗談だ」
「半ば!?」
「全部だ、全部。ごめんな」(なでなで)
「うぅー……そんな冗談、勘弁して欲しいよ」
空いてる手で犬子をなでる。犬子は悲しそうに俺の手に鼻を寄せた。ふにふにと指で鼻を押してやる。
「……えへへ♪」
なにやら嬉しそうに微笑んでくれたので、悲しみは消えたと考えてよいだろう。やれやれ。
「それより犬子、さっき菓子をもらえないと言っていたが、なんでなのだ?」
「あのね、日本にはそういうイベントは根付いてないから、そんなのやっても不審者扱いされるだけだと思うよ?」
「大丈夫、慣れてる」
「符長くんの日常が思ったより可哀想!?」
なんて台詞だ。後で泣かす。
「しかし、菓子をもらえないのか……うぅむ、どうしたものかな」
「お菓子? ……あの、符長くん。ひょっとして、お菓子が食べたいだけ……とか?」
「おお、よく分かったな。この犬は賢い犬だ」(なでなで)
「犬じゃないのに……でも、どしてコンビニとか行かないの? 売ってるよ?」
「お金がないんだ」
はぅーって顔をされた。
「あの、それじゃ、よかったらだけどね、私がお菓子作ってこようか?」
「マジか!? 流石は犬子、俺の嫁にしたいランキング一位だな」
「嫁っ!? しっ、しかも一位!? はわっ、はわわわわっ!?」
「いかん、犬子の言語がいい感じに面白くなってきた! はい、深呼吸」
「す、すーはーすーはーすーはー。……ふぅ、ちょっと落ち着いたよ」
「おお、さすが俺の嫁」
「はわわわわっ!?」
「わはははは! 犬子は愉快だなあ」
「こっちは好きで愉快じゃないよっ! もー、どーせいつもの冗談でしょ? 知ってるもん」
「わはははは」
「もー……それじゃ、明日持ってくるからね? あ、でも、もしおいしくなくて許してね? 私、あんまり上手じゃないんだ」
「分かった、表面上は許す」
「怖いよっ! いっそ許してくれない方がありがたいよっ!」
今日も犬子は愉快だった。
「どしたの、符長くん? なんかぐったりしちゃってさ」
「その時、俺様の脳細胞が活性化した。そう、今まさに天啓が俺様に!」
「符長くんが壊れた!?」
失礼なことを言う犬子のほっぺを引っ張る。
「いひゃいいひゃい、いひゃいよ符長くん!」
「しょうがないよ、犬のくせに人間様を馬鹿にしたんだから」
とはいえ、犬に罰を与える趣味はない。とっとと手を離してあげる。
「うぅ~……今日も当然のように犬扱いだよ」
「ちょどいいや、お前もつきあえ」(なでなで)
「付き合うって、何に?」
なんとなく頭をなでながら提案すると、犬子は不思議そうな顔で問いかけてきた。
「今日の日付を考えれば分かるだろう。ハロウィンだ!」
「はろうぃん? え、仮装して色んな人の家に行くの?」
「そのつもりだ。俺は全裸に仮面をつける仮装をするから、犬子もそれに準ずるように」
「痴漢&痴女のコンビの出来上がりだよ、符長くん! とっても嫌だよ!」
「なんだ、贅沢だな。しょうがない、犬子だけがその仮装していいよ。らっきー♪」
「気遣いの方向が明らかに間違ってるよ、符長くん! ちっともらっきーじゃないよ!」
「なんだ。しかし、実際どういう仮装にしようか。コスプレは大好きだが、実際に衣装は持ってないんだよなあ」
「……あの、あのね、符長くん? その、たぶんだけどね、仮装して家々を回っても、お菓子はもらえないと思うよ?」
「俺が行く直前に犬子が先回りして、その家の菓子を根こそぎ奪って行くから? どこまであくどいんだ、お前は」(ぐりぐり)
「勝手に悪人にされたっ!? あうぅーっ!」
悔しさを指先にぶつけ、犬子のおでこをぐりぐりする。
「うぅー……今日も符長くんは酷いよ」
両手でおでこを押さえ、犬子はうるむ瞳で俺を見た。
「ごめんね。我ながら言いがかり以外の何物でもなかったね。近く自殺するので許してね」
「符長くんが切腹する!? そこまで恨んでないよ、ていうか死ぬなんて絶対に許さないよ!」
誰も死ぬ手段が切腹とは言ってないが、犬子は慌てた様子で俺の手を握り、力強い目で俺を睨んだ。
「あー、まあ、半ば冗談だ」
「半ば!?」
「全部だ、全部。ごめんな」(なでなで)
「うぅー……そんな冗談、勘弁して欲しいよ」
空いてる手で犬子をなでる。犬子は悲しそうに俺の手に鼻を寄せた。ふにふにと指で鼻を押してやる。
「……えへへ♪」
なにやら嬉しそうに微笑んでくれたので、悲しみは消えたと考えてよいだろう。やれやれ。
「それより犬子、さっき菓子をもらえないと言っていたが、なんでなのだ?」
「あのね、日本にはそういうイベントは根付いてないから、そんなのやっても不審者扱いされるだけだと思うよ?」
「大丈夫、慣れてる」
「符長くんの日常が思ったより可哀想!?」
なんて台詞だ。後で泣かす。
「しかし、菓子をもらえないのか……うぅむ、どうしたものかな」
「お菓子? ……あの、符長くん。ひょっとして、お菓子が食べたいだけ……とか?」
「おお、よく分かったな。この犬は賢い犬だ」(なでなで)
「犬じゃないのに……でも、どしてコンビニとか行かないの? 売ってるよ?」
「お金がないんだ」
はぅーって顔をされた。
「あの、それじゃ、よかったらだけどね、私がお菓子作ってこようか?」
「マジか!? 流石は犬子、俺の嫁にしたいランキング一位だな」
「嫁っ!? しっ、しかも一位!? はわっ、はわわわわっ!?」
「いかん、犬子の言語がいい感じに面白くなってきた! はい、深呼吸」
「す、すーはーすーはーすーはー。……ふぅ、ちょっと落ち着いたよ」
「おお、さすが俺の嫁」
「はわわわわっ!?」
「わはははは! 犬子は愉快だなあ」
「こっちは好きで愉快じゃないよっ! もー、どーせいつもの冗談でしょ? 知ってるもん」
「わはははは」
「もー……それじゃ、明日持ってくるからね? あ、でも、もしおいしくなくて許してね? 私、あんまり上手じゃないんだ」
「分かった、表面上は許す」
「怖いよっ! いっそ許してくれない方がありがたいよっ!」
今日も犬子は愉快だった。
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No title
犬子いいなぁ…思えば犬子がきっかけで読みはじめたんだし~