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2024年12月04日
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【超能力ちなみん】

2011年11月01日
 ちなみが超能力を身につけた、と言い張る。
「へー。それはすごい」
「……今日もタカシは全く私の言うことを信用していない。貧乳の言は信用に足らず、とタカシは言う」
「そこまでは言ってねえ」
「……ちなみのちっちゃいおっぱいを揉みしだきてえ、とタカシは言う」
「いっ、言ってねえ」
「……動揺が見られる。揉むむ?」
「揉ままない!」
「……残念」
「お前なあ……もうちょっと、なんつーか、男に対して警戒心を露にしろ。いつか食われるぞ」
「……タカシはいつだって私を独占したがっている。やれやれ、もてる女は辛い」
「殴りましょうか」
「……いじめるの?」(嘘泣き)
「いじめません」(なでなで)
 嘘だって完全に分かっているというのに、俺という生物は泣かれると何もできなくなるので厄介です。
「……タカシは今日も簡単だ。やーいばーかばーか」
「…………」(なでなでから頬引っ張りに完全移行)
「おおおおお?」
「はぁ……冗談はともかく、マジに気をつけろよ? 世の中俺みたいなチキンばっかじゃねーんだから」
「……だいじょぶ。タカシにしかしないから」
「やれやれ、もてる男は辛い」
「…………」
「無言で頬を染めるなッ!」
「そ、染めてない。た、タカシの勘違い。や、やれやれ、これだからもてない野郎は」
 ……まあいい。ここをほじくり返すと互いにダメージを受けそうだ。
「そ、それで、えと……そう。超能力」
「そ、そうか。それはすごいな」
 お互いに先ほどの空気を打ち消すべく、一緒になって話題を転換させる。
「そ、そう、すごい。……こんな感じ。えい」
「お?」
 ちなみが何やら念じると、俺の手が勝手に動いた。
「手が! 俺の手が!」
「……超能力。すごい?」
「うわ、これはマジにすげえ! どうやったんだ?」
「……なんか、寝て起きたら使えるようになってた」
「コメントのしようがないです」
「……頑張った。褒める?」
「頑張った要素がないので褒めません」
「…………」(不満げ)
「怒るな。それより、そろそろ解放してはくれまいか。手が動かないのですが」
「……頑張った私を褒めないタカシなんて知らない。……こーしてくれる」
「お?」
 俺の手が俺ならざる力にいざなわれ、ちなみを抱きしめています。
「……やれやれ、タカシは私が大好きすぎる」
「俺の意思が介在していないのに」
「……嫌いと申すか」(半泣き)
「そうは申さぬけど!」(なでなで)
「……むふー。……ん? なでろって命令してないのに、なでられてる」
「ん、ああ。たぶん超能力なんかよりも、『ちなみをなでねば!』という俺の意志力が上回ったのだろう。たぶん」
「……そんなに人を擦りたいのか。……タカシの性癖はちょっとおかしい」
「ちげーよ。泣いてるお前見てるの苦手だから、なでずにはいられないんだよ」
「…………。や、やれやれ。これだからタカシは、その、アレだ。ダメだ」
「もうちょっと語彙をどうにかしてください」
「う、うるさい、ばか。……あの」
「ん?」
「……な、なんでもない」
 珍しく顔中を真っ赤にさせ、ただじっとうつむいて俺に頭をなでられるちなみだった。

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