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2024年11月23日
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【梓にアホ毛が生えたようです】

2010年04月21日
 寝てると神様が降臨したので、梓にアホ毛を生やしてくれと言った。オッケーだって。
 明けて翌日、学校に行くと梓の頭から寝癖と呼ぶには少々抵抗のある髪の束が飛び出していた。
「おはよ、梓。とんでもないイメチェンだな」
「イメチェンじゃないよ、なんか何回戻してもこうなっちゃうんだよぉ……」
 そう言いながら手で髪を撫で付けているが、何度やってもアホ毛が飛び出していた。
「うう……呪われたのかなぁ」
「いや、祝福されたんだ」
「へ? どういうこと?」
 夢のことについて事細かに説明したら怒られた。
「なんでそういうことすんだよ、ばかぁ! もーちょっといいことお願いしろよ!」
「いや、ボクっ娘にアホ毛が生えたら面白いかな、と。……うん、面白い面白い。わはははは!」
「ううううう~、ばかにすんなぁ! だいたい、タカシにせいなんだからちょっとは責任感じろよぉ!」
「責任……よし、結婚しよう」
「なんでいきなりそうなるんだよぉ!」
 梓は顔を真っ赤にして不満を露にした。
「責任と言うと、それくらいしか思いつかない」
「もー、馬鹿だなぁ。……はぁ、もういいよ。諦めるよ」
 机にうつ伏せになった梓の頭上に、ゆらゆらとアホ毛が揺らめいている。うーん、実に馬鹿っぽい。
「梓、なにか馬鹿っぽいこと言って」
「ヤだよ! ボク、馬鹿じゃないもん」
「言ったら元に戻すから」
 自分で言ったことだが、どうやって戻すのだろう。いかん、早く訂正しないと梓をぬか喜びさせてしまう!
「え! 戻せるの!?」
「ああ、任せろ」
 どうして俺はこうも考えてることと言うことが乖離するのだろう。
「ば、馬鹿っぽいこと……ええと、ええと、どんなこと?」
「ほら、いつもお前が言ってるようなこと言えばいいんだよ。『おちっこ漏れる~』とか」
「そんなこと言ったこともないよ! うーん、うーん、……そうだ!」
 梓は何か閃いたように目を大きく見開いた。
「こほん。……ぼ、ボク、なんにもわかんにゃいにゃー。お兄ちゃん、ボクに色々教えてほしいにゃー」
「任せろ!」
「なんでいきなり服脱ぐんだよ、ばかぁ! こら、ズボン脱ぐな!」
「いや、色々教えようと」
「いいから服着ろ!」
 気がつけばパンツ一丁。うーん、クラスメイツの視線が痛い。
「そ、それでどうかな? 馬鹿っぽかったかな?」
「ああ、それはもう! 思わず全裸になるくらい凄かった。妹+猫+ボクっ娘がこれほどまでの威力とは……。もっかいやって」
「ヤだよッ! 恥ずかしすぎるよ!」
「まぁいいか。充分満足したし」
 まるで俺がそう言ったのを見計らったかのように、梓のアホ毛がしおしおと垂れていった。
「あ……戻った?」
「ようだな。残念なことに」
「よかったぁ……これから先、ずっとこのままかと思ったよ」
「まぁ、それはそれで馬鹿っぽくて素敵だぞ」
「全然ちっともこれっぽっちも素敵じゃないよ!」
 こうして、梓のアホ毛騒動は幕を閉じた。だが、いつまたアホ毛が生えるとも分からない。
「まぁどうでもいいか。おやすみー」
 家に帰ってお昼寝ぐー。すると、神様が。
 明けて翌日。いつものように学校へ。
「また生えたぁぁ……」
 梓が昨日のようにアホ毛を携え、机に突っ伏していた。
「うむ、やるなぁ神」
「またタカシのせいかよぉッ!」
 半泣きで激昂する梓を見ながら、さぁ今日はどうやって遊ぼうと画策する俺だった。

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