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2024年11月23日
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【ツンデレとバレンタイン】
2010年02月02日
今年はバレンタインが土曜日なので、残念ながら学校は休みだ。いや、本当に残念だ。学校があれば死ぬほどもらえたろうになあ!
……な、泣いてないよ、泣いてないよ!?(見えない何かに必死に抵抗)
落ちてたタオルで目元を拭っていると、インターホンが鳴った。はてこんな日に一体誰が。……ひょひょひょっとして可愛いおにゃのこが俺の家をつきとめ、ち、ち、ち、チョコを!?
矢も楯もたまらず転がるように受話器を取り、耳元にあてる。
「は、は、はい」
『別府くん、先生です。先生が来ました。開けてください』
「その声は大谷先生か。聞こえてくるロリ声に、一瞬にしてテンションが下がった」
『なんでいきなりテンション下がるんですか! あとロリ声ってなんですか! 先生、大人なので低音の魅力満載ですよ! ごあー!』
「ごあー?」
『そです。ごあーです。分かったら、開けてください』
「先生がそこで『お兄ちゃん♪』って媚びたら開ける」
『絶対に嫌ですッ! 先生、大人ですから別府くんはお兄ちゃんじゃないです! むしろ別府くんが先生をお姉ちゃんと呼ぶべきです! ほら、呼んでください!』
「お姉ちゃん」
『……て、照れますね』
「満足したら帰れ変態」
『へ、変態なんかじゃないです! 変態は別府くんの方です!』
「まあ、否定はしないが」
『そこは否定してくだたいっ!』
「くだたい?」
「もー! 揚げ足取らないでください! ちょっと用があったんで来たんです! いーから開けてください!』
なかなか愉快だったが、あんまり玄関先で喚かれても迷惑なんで、家にあげることにした。
「まったくもー……どして家に入るだけでこんな苦労しなくちゃならないんですか?」
ぶちぶち言いながら、自称大人の大谷先生が家に入ってきた。小さな体に似つかわしくない大きな鞄を持っている。なんだ?
「苦労した方が喜びもひとしおだろ」
「こんなことで苦労なんてしなくていいんですっ!」
「いやはや」
「いやはやじゃないですよぅ。……さて」
そう言うと、先生は居住まいを正し、俺に向き直った。
「先生、大人なので来るもの拒まずです」
「先生のビッチ宣言に、思わずしおしお」
「ちちち違いますっ! 何を言うですか貴方は!? まだしたことないです!」
「ほほう、それは興味深い情報だ」
「うぐ……な、何を言わせるですかっ! そ、そんなのはどーでもいいんです、どーでも」
先生は顔を赤くしながら、何でもない風を装った。
「そじゃなくて、その……きょ、今日は何の日か知ってます……よね?」
「全人類の半数が俺の元へチョコを届けに疾走する日だ。現在までに、数十万人が俺の元へチョコを届けに参った」
「……どこにあるんですか、その大量のチョコは」
「食った」
「質量保存の法則に従うと、別府くんのお腹は破裂してますよ?」
「食ったそばから消化するんだ。今日だけで既に両手両足では足りない数便所へ走った」
「きちゃないですっ! そんな強がりはいーんです。そもそも、今日は逆チョコの日ですよ?」
何を言ってるのだろう、この人は。
「さ、先生にチョコレートください。あ、だいじょぶですよ。先生、義理でも全然おっけーですから♪」
何を言ってるのだろう、この人は。
「別府くんはどんなチョコくれるんですか? 先生、ごでぃばっての食べてみたいです」
よく分からないが、スイーツ臭がするのでご退場願おう。
「べ、別府くん!? ほうき、それホウキです! 先生、ホウキで転がされてます!」
「大丈夫、ホウキは使い慣れてる」
「そんな心配してませんっ! ぷわっ、埃が、埃が口の中に入りましたよ!?」
「死にはしないさ。あ」
「みぎゃー!?」
先生はごろごろ転がされ、段差にどすんと頭から落ちた。
「うぐぐぐ……痛いです、頭が割れそうです」
「あー……ごめん。頭痛薬取ってくる」
「そんなのじゃ取れない痛みですっ!」
「薬じゃ治らない病……やれやれ、恋の病か。やっかいだな」
「やっかいなのは別府くんの頭ですっ! もー、先生をホウキで掃く生徒なんて、聞いたことありません!」
「奇遇だな、俺もだ」
「ぎにゃー!」
先生が怒った。怒った?
「別府くん! ちょっとそこに座りなさい!」
「はい」
「誰も先生の膝に座れなんて言ってませんよ!? 重い、重いです!」
「教職を預かる者が、この程度の重圧に根を上げてどうする」
「物理的に重いんです! うぐー、うぐぐー、膝が潰れますー!」
割とマジっぽかったので、腰を浮かす。先生はほっとしたように息を吐いた。
「どして先生を掃くんですか! 先生、埃まみれで誇りが汚れちゃいましたよ! ……ふふん?」
「別にうまくないですが」
「ええっ!?」
ええじゃねえ。
「ええと、先生を掃いた理由は、簡単に言うとスイーツ連中は殺せって電波が囁くんだ」
「うちの生徒がもうダメです!」
もうダメとか言うな。
「冗談はともかく、一応聞いておくが、逆チョコのためにうちに来たのか?」
「別府くんのおうちだけじゃなくて、他の生徒たちの家にも行きました。いっぱいチョコもらいました♪」
そう言うと、先生は持っていた鞄を開けた。チョコレートが山と詰め込まれている。
「いー風習ですよね、逆チョコ♪ 甘いのいっぱい食べれて、先生幸せです♪」
「あー、一応聞いておくが、お返しにちゃんと先生もチョコあげたんだろうな?」
「どしてですか? 先生のチョコがなくなるじゃないですか」
「……そですか」
きっと他の連中も知らず家にあげてしまい、先生に請われてチョコを買いに走ったのだろう。お返しのチョコがないとも知らず。哀れな……。
「さっ、それじゃ、別府くんの番です。チョコください」
「……はぁ。別にいいけど、チョコを溶かして俺の分身に塗りたくるから、恍惚とした表情でぺろぺろ舐めてくれよな」
「別府くんとてもえっちですっ!!!」
それが何を指すのかを一瞬で察知したのだろう、先生は全力で顔を赤くした。
「だって、合法ロリだし、いいかなーって。てへ」
「なんですか合法ロリって! 先生、大人ですからロリとか言う単語は似つかわしくないんです! いーからください! チョコ! ちょーこー!」
先生はその場に横になり、じたじたと暴れだした。どこが大人だ。
「分かった、分かったから暴れるな。スカートの中が丸見えだぞ」
「みっ、見ないでくださいっ! 別府くんえっちです!」
しゅばっと居住まいを正し、先生は俺を睨んだ。
「むー……み、見ましたか?」
「当然だろ。くまぱん!」
「うわぁぁん! 別府くんが『やーい、先生の見た目にお似合いだぁー』って吹聴しますー!」
してねえ。物まねがムカツク。
「ほら、泣くな。チョコ買ってきてやるから」
「ぐすぐす……本当ですか?」
「ああ。麦チョコとチロルチョコのどっちがいい?」
「安く済まそうとされてますー! うぇぇぇん!」
厄介。厄介だ、この人。
結局何がいいのか分からなかったので、近所のコンビニまで一緒に来た。
「しっかし、あれだけもらっておいて、まだもらおうとするとは……本当にチョコが好きなんだな、先生」
「え、えーと……まあ、それもそうなんですが」
先生は恥ずかしげにうつむき、指と指をくにくにと合わせた。
「? まぁいいや、入るぞ」
むぃぃぃんと自動ドアが開く。らっしゃっせーという店員のやる気のない声を受け、中へ。
「んと……どれがいーですかね。別府くん、選んでください」
「これ」
「チロルチョコです! 20円です! 不許可です!」
「贅沢だなあ……じゃ、これで」
「おせんべです! もはやチョコですらないです!」
「食いたくなったんだ」
「むー……別に買ってもいいですけど、ちゃんとチョコも買ってくださいよね、チョコ」
「へーへー」
先生と一緒にぷらぷらと店内を探索する。どれにしようかと思ってたら、視界に隅っこに先生が俺の持つカゴの中に何か入れようとしているのが映った。
「何やってんだ、先生」
「ひゃうわっ!? ちち違います、違います!」
「……『マシュマロ』」
「だだっ、だってだってだって! おいしそーだったんですもん!」
「没収」
「あああああ……」
元あった場所にマシュマロを戻すと、先生は力なくうな垂れた。
「ましゅまろー……」
「嫌と言うほどチョコを食えるんだから、いらないだろ」
「それはそれとして、食べたかったんですー。別府くんのばか」
「自分で買えよ……」
「ヤです」
このわがまま合法ロリが……あとでヒィヒィ言わせてやる。
「うぅ? なんか寒気が……」
「俺の思考が先生に流れ込んだんだろ」
「なんかとっても怖いですっ!」
などとぎゃーぎゃー言い合いながら、しばし店内をうろつく。その甲斐もあって、どうにか先生のお眼鏡に適うチョコを見つけた。
「ポッキーねえ。うまいけど、こんなのでいいのか?」
「いいです。ポッキー、おいしいです」
レジで清算して、店を出る。
「あれ?」
一緒に出てきたと思ったが、先生はなぜかまだ店内にいた。一度お菓子コーナーに戻り、何かを掴んでレジで清算してる。
……ああ、マシュマロか。なんか知らんが欲しがってたし。
「はぁはぁ……そ、それじゃ行きましょ、別府くん?」
「おっけー」
先生と一緒に帰宅。
「さて。それじゃ、はい。逆チョコとかいう不愉快な風習」
「ものすっごく受け取りづらいですっ!」
先生はとても嫌そうな顔をしながら俺のポッキーを受け取った。
「……えへ」
しかし、受け取った途端、嬉しそうに先生の顔が綻んだ。
「まあ、嬉しそうで何よりだ」
「べ、別に別府くんにもらったから嬉しいんじゃないですよ!? ち、チョコが好きだからですよ!?」
「一発芸、まな板の上の鯉」
「なんでこのタイミングで一発芸なんてするんですかっ!」
「いや、お茶を濁さないといてもたってもいられなくて」
「あ、あぅぅ……」
先生の顔が真っ赤になった。ええい。
「い、いーからもう帰れ。チョコはやったぞ」
「あ、あの、あのあの、そーしたいんですけど、そのあの、……こ、これ」
先生は持ってたコンビニの袋を探った。マシュマロがどうしたってんだ。
「……あ、あの、これ。どぞ」
そう言って差し出されたのは、マシュマロではなく、見紛うことなきチョコレートだった。
「え。えと?」
「……きょ、今日はバレンタインです。ほほほら、逆チョコもらったし! お、お返し、お返しですよぅ! やだなあ別府くん、意識しちゃって!」
「いや、他の生徒にはやってないとか言って」
「なな何のことか先生分かりません、分かりませんとも! そ、それじゃ別府くん、また学校で!」
呆然とする俺にチョコを渡すと、先生は顔を真っ赤にしたまま部屋から飛び出していった。
「はは……」
手に残るチョコレートに、我知らず笑いが込み出てくるのだった。
……な、泣いてないよ、泣いてないよ!?(見えない何かに必死に抵抗)
落ちてたタオルで目元を拭っていると、インターホンが鳴った。はてこんな日に一体誰が。……ひょひょひょっとして可愛いおにゃのこが俺の家をつきとめ、ち、ち、ち、チョコを!?
矢も楯もたまらず転がるように受話器を取り、耳元にあてる。
「は、は、はい」
『別府くん、先生です。先生が来ました。開けてください』
「その声は大谷先生か。聞こえてくるロリ声に、一瞬にしてテンションが下がった」
『なんでいきなりテンション下がるんですか! あとロリ声ってなんですか! 先生、大人なので低音の魅力満載ですよ! ごあー!』
「ごあー?」
『そです。ごあーです。分かったら、開けてください』
「先生がそこで『お兄ちゃん♪』って媚びたら開ける」
『絶対に嫌ですッ! 先生、大人ですから別府くんはお兄ちゃんじゃないです! むしろ別府くんが先生をお姉ちゃんと呼ぶべきです! ほら、呼んでください!』
「お姉ちゃん」
『……て、照れますね』
「満足したら帰れ変態」
『へ、変態なんかじゃないです! 変態は別府くんの方です!』
「まあ、否定はしないが」
『そこは否定してくだたいっ!』
「くだたい?」
「もー! 揚げ足取らないでください! ちょっと用があったんで来たんです! いーから開けてください!』
なかなか愉快だったが、あんまり玄関先で喚かれても迷惑なんで、家にあげることにした。
「まったくもー……どして家に入るだけでこんな苦労しなくちゃならないんですか?」
ぶちぶち言いながら、自称大人の大谷先生が家に入ってきた。小さな体に似つかわしくない大きな鞄を持っている。なんだ?
「苦労した方が喜びもひとしおだろ」
「こんなことで苦労なんてしなくていいんですっ!」
「いやはや」
「いやはやじゃないですよぅ。……さて」
そう言うと、先生は居住まいを正し、俺に向き直った。
「先生、大人なので来るもの拒まずです」
「先生のビッチ宣言に、思わずしおしお」
「ちちち違いますっ! 何を言うですか貴方は!? まだしたことないです!」
「ほほう、それは興味深い情報だ」
「うぐ……な、何を言わせるですかっ! そ、そんなのはどーでもいいんです、どーでも」
先生は顔を赤くしながら、何でもない風を装った。
「そじゃなくて、その……きょ、今日は何の日か知ってます……よね?」
「全人類の半数が俺の元へチョコを届けに疾走する日だ。現在までに、数十万人が俺の元へチョコを届けに参った」
「……どこにあるんですか、その大量のチョコは」
「食った」
「質量保存の法則に従うと、別府くんのお腹は破裂してますよ?」
「食ったそばから消化するんだ。今日だけで既に両手両足では足りない数便所へ走った」
「きちゃないですっ! そんな強がりはいーんです。そもそも、今日は逆チョコの日ですよ?」
何を言ってるのだろう、この人は。
「さ、先生にチョコレートください。あ、だいじょぶですよ。先生、義理でも全然おっけーですから♪」
何を言ってるのだろう、この人は。
「別府くんはどんなチョコくれるんですか? 先生、ごでぃばっての食べてみたいです」
よく分からないが、スイーツ臭がするのでご退場願おう。
「べ、別府くん!? ほうき、それホウキです! 先生、ホウキで転がされてます!」
「大丈夫、ホウキは使い慣れてる」
「そんな心配してませんっ! ぷわっ、埃が、埃が口の中に入りましたよ!?」
「死にはしないさ。あ」
「みぎゃー!?」
先生はごろごろ転がされ、段差にどすんと頭から落ちた。
「うぐぐぐ……痛いです、頭が割れそうです」
「あー……ごめん。頭痛薬取ってくる」
「そんなのじゃ取れない痛みですっ!」
「薬じゃ治らない病……やれやれ、恋の病か。やっかいだな」
「やっかいなのは別府くんの頭ですっ! もー、先生をホウキで掃く生徒なんて、聞いたことありません!」
「奇遇だな、俺もだ」
「ぎにゃー!」
先生が怒った。怒った?
「別府くん! ちょっとそこに座りなさい!」
「はい」
「誰も先生の膝に座れなんて言ってませんよ!? 重い、重いです!」
「教職を預かる者が、この程度の重圧に根を上げてどうする」
「物理的に重いんです! うぐー、うぐぐー、膝が潰れますー!」
割とマジっぽかったので、腰を浮かす。先生はほっとしたように息を吐いた。
「どして先生を掃くんですか! 先生、埃まみれで誇りが汚れちゃいましたよ! ……ふふん?」
「別にうまくないですが」
「ええっ!?」
ええじゃねえ。
「ええと、先生を掃いた理由は、簡単に言うとスイーツ連中は殺せって電波が囁くんだ」
「うちの生徒がもうダメです!」
もうダメとか言うな。
「冗談はともかく、一応聞いておくが、逆チョコのためにうちに来たのか?」
「別府くんのおうちだけじゃなくて、他の生徒たちの家にも行きました。いっぱいチョコもらいました♪」
そう言うと、先生は持っていた鞄を開けた。チョコレートが山と詰め込まれている。
「いー風習ですよね、逆チョコ♪ 甘いのいっぱい食べれて、先生幸せです♪」
「あー、一応聞いておくが、お返しにちゃんと先生もチョコあげたんだろうな?」
「どしてですか? 先生のチョコがなくなるじゃないですか」
「……そですか」
きっと他の連中も知らず家にあげてしまい、先生に請われてチョコを買いに走ったのだろう。お返しのチョコがないとも知らず。哀れな……。
「さっ、それじゃ、別府くんの番です。チョコください」
「……はぁ。別にいいけど、チョコを溶かして俺の分身に塗りたくるから、恍惚とした表情でぺろぺろ舐めてくれよな」
「別府くんとてもえっちですっ!!!」
それが何を指すのかを一瞬で察知したのだろう、先生は全力で顔を赤くした。
「だって、合法ロリだし、いいかなーって。てへ」
「なんですか合法ロリって! 先生、大人ですからロリとか言う単語は似つかわしくないんです! いーからください! チョコ! ちょーこー!」
先生はその場に横になり、じたじたと暴れだした。どこが大人だ。
「分かった、分かったから暴れるな。スカートの中が丸見えだぞ」
「みっ、見ないでくださいっ! 別府くんえっちです!」
しゅばっと居住まいを正し、先生は俺を睨んだ。
「むー……み、見ましたか?」
「当然だろ。くまぱん!」
「うわぁぁん! 別府くんが『やーい、先生の見た目にお似合いだぁー』って吹聴しますー!」
してねえ。物まねがムカツク。
「ほら、泣くな。チョコ買ってきてやるから」
「ぐすぐす……本当ですか?」
「ああ。麦チョコとチロルチョコのどっちがいい?」
「安く済まそうとされてますー! うぇぇぇん!」
厄介。厄介だ、この人。
結局何がいいのか分からなかったので、近所のコンビニまで一緒に来た。
「しっかし、あれだけもらっておいて、まだもらおうとするとは……本当にチョコが好きなんだな、先生」
「え、えーと……まあ、それもそうなんですが」
先生は恥ずかしげにうつむき、指と指をくにくにと合わせた。
「? まぁいいや、入るぞ」
むぃぃぃんと自動ドアが開く。らっしゃっせーという店員のやる気のない声を受け、中へ。
「んと……どれがいーですかね。別府くん、選んでください」
「これ」
「チロルチョコです! 20円です! 不許可です!」
「贅沢だなあ……じゃ、これで」
「おせんべです! もはやチョコですらないです!」
「食いたくなったんだ」
「むー……別に買ってもいいですけど、ちゃんとチョコも買ってくださいよね、チョコ」
「へーへー」
先生と一緒にぷらぷらと店内を探索する。どれにしようかと思ってたら、視界に隅っこに先生が俺の持つカゴの中に何か入れようとしているのが映った。
「何やってんだ、先生」
「ひゃうわっ!? ちち違います、違います!」
「……『マシュマロ』」
「だだっ、だってだってだって! おいしそーだったんですもん!」
「没収」
「あああああ……」
元あった場所にマシュマロを戻すと、先生は力なくうな垂れた。
「ましゅまろー……」
「嫌と言うほどチョコを食えるんだから、いらないだろ」
「それはそれとして、食べたかったんですー。別府くんのばか」
「自分で買えよ……」
「ヤです」
このわがまま合法ロリが……あとでヒィヒィ言わせてやる。
「うぅ? なんか寒気が……」
「俺の思考が先生に流れ込んだんだろ」
「なんかとっても怖いですっ!」
などとぎゃーぎゃー言い合いながら、しばし店内をうろつく。その甲斐もあって、どうにか先生のお眼鏡に適うチョコを見つけた。
「ポッキーねえ。うまいけど、こんなのでいいのか?」
「いいです。ポッキー、おいしいです」
レジで清算して、店を出る。
「あれ?」
一緒に出てきたと思ったが、先生はなぜかまだ店内にいた。一度お菓子コーナーに戻り、何かを掴んでレジで清算してる。
……ああ、マシュマロか。なんか知らんが欲しがってたし。
「はぁはぁ……そ、それじゃ行きましょ、別府くん?」
「おっけー」
先生と一緒に帰宅。
「さて。それじゃ、はい。逆チョコとかいう不愉快な風習」
「ものすっごく受け取りづらいですっ!」
先生はとても嫌そうな顔をしながら俺のポッキーを受け取った。
「……えへ」
しかし、受け取った途端、嬉しそうに先生の顔が綻んだ。
「まあ、嬉しそうで何よりだ」
「べ、別に別府くんにもらったから嬉しいんじゃないですよ!? ち、チョコが好きだからですよ!?」
「一発芸、まな板の上の鯉」
「なんでこのタイミングで一発芸なんてするんですかっ!」
「いや、お茶を濁さないといてもたってもいられなくて」
「あ、あぅぅ……」
先生の顔が真っ赤になった。ええい。
「い、いーからもう帰れ。チョコはやったぞ」
「あ、あの、あのあの、そーしたいんですけど、そのあの、……こ、これ」
先生は持ってたコンビニの袋を探った。マシュマロがどうしたってんだ。
「……あ、あの、これ。どぞ」
そう言って差し出されたのは、マシュマロではなく、見紛うことなきチョコレートだった。
「え。えと?」
「……きょ、今日はバレンタインです。ほほほら、逆チョコもらったし! お、お返し、お返しですよぅ! やだなあ別府くん、意識しちゃって!」
「いや、他の生徒にはやってないとか言って」
「なな何のことか先生分かりません、分かりませんとも! そ、それじゃ別府くん、また学校で!」
呆然とする俺にチョコを渡すと、先生は顔を真っ赤にしたまま部屋から飛び出していった。
「はは……」
手に残るチョコレートに、我知らず笑いが込み出てくるのだった。
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【ツンデレに俺が将来ハゲたらどうする?って聞いたら】
2010年01月25日
大谷先生が学校の廊下を歩いていたので声をかけた。
「先生、大谷先生。もしくは子供」
「後半が余計ですっ! 先生は大人なので子供と呼ばれても返事しませんっ!」
「してるじゃん」
「はっ! ……うう、別府くんは策士です。先生を子供呼ばわりすることにより激昂させ、巧みに先生を馬鹿にするなんて……ずるいです!」
「ずるいと言われても」
「それで、なんですか? 先生を馬鹿にするために呼んだんですか?」
「どれだけネガティブなんだよ……そうじゃなくて、相談があるんだ」
「相談!」
途端、先生の顔が喜びでキラキラ輝きだした。
「先生?」
「相談……それは、信頼できる『大人』のみが受けられるイベント。それが、とうとう先生にも!」
「やっぱいいや」
「別府くん殺生です! 先生を喜ばせておいてやめるなんてあんまりです! いいから先生に相談するのですよ。こー見えても先生、人生経験豊富ですよ?」
「キスは?」
「……ま、まだしたことないです」
「異性と付き合ったことは?」
「……未知の領域です」
「そんな人生経験豊富な先生に相談するのか。すごいな、俺」
「うわーん! 馬鹿にされてます、絶対馬鹿にされてます! そりゃ先生ちっこいですから学生時代からキスとかお付き合いとか周囲の人たちからずっとアウトオブ眼中でしたよ!」
「そう怒るなよ、先生。大丈夫、ちょうど俺がロリコンだから、先生みたいな合法ロリには大喜びだぞ?」
「たった一つの会話で怒る要素がてんこもりですっ!!! そーゆー時はもーちょっとステキに慰めるものですっ! なんですか、合法ロリって!」
「手を出してもお上に叱られない先生みたいな珍獣」
「うわーん! 別府くんのばかー!」
「ああっ、待って先生!」
先生はぼろ泣きしながら廊下を駆けていった。……ううむ、少しからかいすぎたか。後で謝っておこう。
放課後、先生に謝るべく職員室に向かう。その途中、偶然にも当の本人を発見した。
「あ、先生」
「……合法ロリに何か御用ですか」
いかん、まだご機嫌ななめのようだ。
「いや、その。……ごめんなさい」
おだてて機嫌を直そうとも思ったが、結局素直に謝ることにした。
「むー。……分かりました、今回だけ許してあげます。もうあんなこと言っちゃダメですよ?」
「分かった、思うだけにする」
「思ってもダメですっ!」
「それは無理だ」
「無理!?」
「でだ、先生。相談があるんだけど」
「うー……まあいいです、先生は大人なので不満は胸の内に秘めておきます。ストレスで倒れそうです。……えへん」
先生は俺をちらちら見た後、誇らしげに胸をそらした。その状態でも膨らみがほぼないってのは、ある種凄いな。
「あの、一応言っておくが、ストレスは別に大人の証じゃないぞ」
「ええっ!?」
やっぱ子供だ、この生き物。
「うう……ストレスで胃が空きそう、なんて大人の人が言う台詞なのに……。なんでなんですか!?」
「俺に怒られても」
「ぐっすんです。ぐっすんおよよです。……それで、傷心の先生にまだ何か用ですか?」
「ああ、そうそう。実は、相談が。俺の血筋ってハゲが多いんだけど、どうしたらいいんだろうか」
「そんなの先生の知ったこっちゃないです」
「でも、先生も自分の夫がハゲてたら嫌だろ?」
「そりゃ嫌ですけど……おおおお夫!? え、なんで別府くんが先生のお婿さんになってるですか!?」
「しまった、俺の秘密プランが漏洩した。こうなったら秘密を守るべく、先生を殺すしか……!」
「先生と結婚するつもりの人が、先生を殺しちゃ本末転倒ですっ!」
「おおっ、さすがは先生。四字熟語の使い方はばっちりだな! 偉いぞ」(なでなで)
「えへー♪」(満面の笑み)
「…………」
「……はうあっ! ちちち違うですよ!? なでなでなんてちっとも嬉しくないです、ええそりゃもう嬉しくないですとも! だって先生大人ですから!」
「じゃあもう二度としない」
「こういう時にこそ、普段の天邪鬼なところを出してほしいところですっ!」
「わはは。先生は可愛いなあ」(なでなで)
「あぅぅ……お、大人を可愛いとか言うものではないです」
「生徒に頭をなでられ、頬を染めるのも大人のすることではないと思う」
「うっ、うるさいですっ! 別府くんのばか!」
「わはは」
「笑ってますよぉ……てっ、ていうかですねっ、思い出しました! あ、あの、あのあの、別府くんは、先生のことが好きなんですか……?」
先生は俺の制服の裾をちょこんとつまみ、顔を真っ赤にさせ、あわあわしながら訊ねた。
「秘密プランをあえて漏洩させ、先生を意識させて遊ぶつもりなんて全然なくて、割と好きだよ」
「信憑性が皆無になる情報が漏れまくりですっ!」
「はっはっは。先生は愉快だなあ」
「こちとらちっとも愉快じゃないですっ! 実のところどうなのですかっ!?」
「ううむ、禿げたら嫌だし、今から何らかの対策をしておくべきか……?」
「先生はハゲとか気にしませんから、本当のことを言うべきですっ!」
「なんだ、そっか。いやよかったよかった」
「本当のことを、本当のことをーっ!」
聞きたいことを聞けたので満足した俺は、足取りも軽く帰途に着くのだった。なんか後ろからちっこいのがぴょこぴょこ着いてきてたような気もしたけど、まあいいか。
「先生、大谷先生。もしくは子供」
「後半が余計ですっ! 先生は大人なので子供と呼ばれても返事しませんっ!」
「してるじゃん」
「はっ! ……うう、別府くんは策士です。先生を子供呼ばわりすることにより激昂させ、巧みに先生を馬鹿にするなんて……ずるいです!」
「ずるいと言われても」
「それで、なんですか? 先生を馬鹿にするために呼んだんですか?」
「どれだけネガティブなんだよ……そうじゃなくて、相談があるんだ」
「相談!」
途端、先生の顔が喜びでキラキラ輝きだした。
「先生?」
「相談……それは、信頼できる『大人』のみが受けられるイベント。それが、とうとう先生にも!」
「やっぱいいや」
「別府くん殺生です! 先生を喜ばせておいてやめるなんてあんまりです! いいから先生に相談するのですよ。こー見えても先生、人生経験豊富ですよ?」
「キスは?」
「……ま、まだしたことないです」
「異性と付き合ったことは?」
「……未知の領域です」
「そんな人生経験豊富な先生に相談するのか。すごいな、俺」
「うわーん! 馬鹿にされてます、絶対馬鹿にされてます! そりゃ先生ちっこいですから学生時代からキスとかお付き合いとか周囲の人たちからずっとアウトオブ眼中でしたよ!」
「そう怒るなよ、先生。大丈夫、ちょうど俺がロリコンだから、先生みたいな合法ロリには大喜びだぞ?」
「たった一つの会話で怒る要素がてんこもりですっ!!! そーゆー時はもーちょっとステキに慰めるものですっ! なんですか、合法ロリって!」
「手を出してもお上に叱られない先生みたいな珍獣」
「うわーん! 別府くんのばかー!」
「ああっ、待って先生!」
先生はぼろ泣きしながら廊下を駆けていった。……ううむ、少しからかいすぎたか。後で謝っておこう。
放課後、先生に謝るべく職員室に向かう。その途中、偶然にも当の本人を発見した。
「あ、先生」
「……合法ロリに何か御用ですか」
いかん、まだご機嫌ななめのようだ。
「いや、その。……ごめんなさい」
おだてて機嫌を直そうとも思ったが、結局素直に謝ることにした。
「むー。……分かりました、今回だけ許してあげます。もうあんなこと言っちゃダメですよ?」
「分かった、思うだけにする」
「思ってもダメですっ!」
「それは無理だ」
「無理!?」
「でだ、先生。相談があるんだけど」
「うー……まあいいです、先生は大人なので不満は胸の内に秘めておきます。ストレスで倒れそうです。……えへん」
先生は俺をちらちら見た後、誇らしげに胸をそらした。その状態でも膨らみがほぼないってのは、ある種凄いな。
「あの、一応言っておくが、ストレスは別に大人の証じゃないぞ」
「ええっ!?」
やっぱ子供だ、この生き物。
「うう……ストレスで胃が空きそう、なんて大人の人が言う台詞なのに……。なんでなんですか!?」
「俺に怒られても」
「ぐっすんです。ぐっすんおよよです。……それで、傷心の先生にまだ何か用ですか?」
「ああ、そうそう。実は、相談が。俺の血筋ってハゲが多いんだけど、どうしたらいいんだろうか」
「そんなの先生の知ったこっちゃないです」
「でも、先生も自分の夫がハゲてたら嫌だろ?」
「そりゃ嫌ですけど……おおおお夫!? え、なんで別府くんが先生のお婿さんになってるですか!?」
「しまった、俺の秘密プランが漏洩した。こうなったら秘密を守るべく、先生を殺すしか……!」
「先生と結婚するつもりの人が、先生を殺しちゃ本末転倒ですっ!」
「おおっ、さすがは先生。四字熟語の使い方はばっちりだな! 偉いぞ」(なでなで)
「えへー♪」(満面の笑み)
「…………」
「……はうあっ! ちちち違うですよ!? なでなでなんてちっとも嬉しくないです、ええそりゃもう嬉しくないですとも! だって先生大人ですから!」
「じゃあもう二度としない」
「こういう時にこそ、普段の天邪鬼なところを出してほしいところですっ!」
「わはは。先生は可愛いなあ」(なでなで)
「あぅぅ……お、大人を可愛いとか言うものではないです」
「生徒に頭をなでられ、頬を染めるのも大人のすることではないと思う」
「うっ、うるさいですっ! 別府くんのばか!」
「わはは」
「笑ってますよぉ……てっ、ていうかですねっ、思い出しました! あ、あの、あのあの、別府くんは、先生のことが好きなんですか……?」
先生は俺の制服の裾をちょこんとつまみ、顔を真っ赤にさせ、あわあわしながら訊ねた。
「秘密プランをあえて漏洩させ、先生を意識させて遊ぶつもりなんて全然なくて、割と好きだよ」
「信憑性が皆無になる情報が漏れまくりですっ!」
「はっはっは。先生は愉快だなあ」
「こちとらちっとも愉快じゃないですっ! 実のところどうなのですかっ!?」
「ううむ、禿げたら嫌だし、今から何らかの対策をしておくべきか……?」
「先生はハゲとか気にしませんから、本当のことを言うべきですっ!」
「なんだ、そっか。いやよかったよかった」
「本当のことを、本当のことをーっ!」
聞きたいことを聞けたので満足した俺は、足取りも軽く帰途に着くのだった。なんか後ろからちっこいのがぴょこぴょこ着いてきてたような気もしたけど、まあいいか。
【ツンデレの鼻を押してみたら】
2010年01月22日
俺の調査によると、大谷先生はコピーロボットらしい。真相を確かめるべく、放課後、俺は職員室へと走った。
「はぁはぁ……せ、先生! 大谷先生!」
「はい? なんですか、別府くん?」
息も絶え絶えな俺に、中学生の見た目を持つ自称大人の大谷先生は笑いかけた。そんな先生の鼻をすかさず押す。
「ふぎゅっ!」
「……? おや、どういうことだ?」
「それは先生の超台詞ですっ! いきなり鼻を押すとは何事ですか!」
「回数が足りないのか?」
むぎゅむぎゅむぎゅ。
「ふきゅっ、きゅっ、きゅーっ!」
「……むぅ、ダメか。やはり本人の認証がなければ元に戻らないのか? なかなか優れた防犯機能ではないか」
「意味が分かりませんっ! 先生に説明しなさいっ!」
「ええとだな」
事細かに説明すると、先生の顔が次第にげんなりしたものへと変化していった。
「……一体誰がそんなデマを流したんですか?」
「ソースは俺の脳内」
「それはただの思い付きって言うんですっ! むしろ妄想の域に達していますっ!」
「まあそう言うな、ひょっとしたら神の悪戯か何かでコピーロボットになったかもしれないじゃないか。というわけで、えい」
「むぎゅーっ! 鼻、押さないでくだたいっ!」
「くだたい?」
「うるさいですっ! ていうかですねっ、先生は先生ですよっ!? もうちょっと、こう、敬ってください!」
「何を言うか。俺はいつだって先生を敬ってるぞ?」
言いながらも先生の鼻をむぎゅーっと押す。
「きゅふー! もーっ、先生の鼻をむぎゅむぎゅ押してながら言う台詞じゃないですっ! 尊敬のその字も感じられませんっ!」
「幼女のよの字を感じてくれ」
「よーっ!? 何を言いますか! 先生は幼女じゃないですっ! 立派な大人ですっ!」
「……そうだね、そうだといいね」
「なんで憐憫のまなざしで見られてるんですかっ!?」
「……ふむ、鼻じゃないのか? 別の箇所を押してみるか」
「な、なんで先生の胸を見てるんですか?」
「この布地の奥に、スイッチがふたつあります」
「スイッチじゃないですっ! 絶対、絶対押しちゃダメです、ダメですっ!」
「じゃあどこを押せと言うのだ!?」
「逆切れですよ!?」
「ええい、もうこうなったらここを押してやる!」
「ふぎゃーっ! ……へ?」
先生のほっぺをふにふに押す。いやまあ流石に胸はアレですよ。職員室だから電話あるし。通報されちゃうし。
「あ、あの、別府くん。……あの、あの?」
「ほう、ここはあのあのスイッチか。変なスイッチ」
「変とは何ですか! ていうかそんなスイッチじゃないです! ふにふにされてびっくりしただけですっ!」
「つまり、びっくりスイッチなのだな?」(ふにふに)
「違いますっ! ……あ、あの、別府くん」
「うん?」(ふにふに)
「……あ、あのですね。……ふにふに押すだけじゃなくて、さすさすとかしてもいーですよ?」
「…………」
「ちちちち違いますよ!? 別に気持ちいーとか嬉しーとかじゃないですよ!? 何を言うですか! まったくもう、先生びっくりです!」
何も言った覚えはない。が、その提案には何ら反対する理由はない。
「先生のほっぺはやーらかいな」(さすさす)
「あっ……う、うー」
「唸るな」
「うなってませんっ! ……て、ていうかですね、別府くんは優しい顔禁止ですっ!」
「してねえ」
「いーえ、しましたっ! なんかもーくらくらーってなっちゃう顔です! ダメです、禁止ですっ! 先生は大人なのでちっとも全然利きませんが、普通の人はくらくらーってなります!」
「…………」
「な、なんですかその目は。ほ、本当ですよ? 先生はすっごく大人なので平気なのですよ? 一般論を言ってるだけで、先生がどうこうという話ではありませんよ?」
「……ふう。ええと、先生」
「は、はい。なんですか?」
「鼻とほっぺ、触られるのどっちが好き?」
「ほっぺー♪ ……ちちちち違いますっ! 好きとか意味わかんないですよっ!?」
「正直な先生にご褒美ー」
「う、うー……違うって言ってますのにぃ……」
先生のほっぺを両手で包み込むようにさする。先生は困ったような、それでいてちょっと嬉しそうな顔をしながら俺を見ていた。
「それでだな、先生」
「う? なんですか?」
「もう放課後だけど、まだ職員室には他の先生が残ってることに気づいてるか」
「う? ……うーっ!?」
先生は視線だけで周囲をきょろきょろ見た。すると、顔が赤くなったり青くなったりするので大変愉快。
「べべべべ別府くん、別府くん、別府くん!」
「大丈夫だ、俺はここにいるぞ」
「そんな心配ちっとも全然してませんっ! て、手を離してくだたいっ! み、見てます、みんな見てますよ!」
「それなんだが……実は、突然手が痺れて動かないんだ」
「信憑性ぜろの発言が出ましたよ!? なぜなら今こうしている瞬間も先生のほっぺをさすさすしているから!」
「ははははは。先生かわいー」(ぐにー)
「うー! ほ、ほっぺ引っ張らないでくださいっ!」
半泣きで困る先生だった。
結局、先生はコピーロボットではなく、ただの人間だということが分かった。あと、思う存分ほっぺをふにふにできたので個人的には大変満足。また次もしよう。
「超お断りですっ! ていうかなんで先生の机で感想書いてるんですか!?」
「次は先生の小さなおっぱいをいじくりたいので頑張る……と」
「MAXでお断りですっ! ていうか小さいは余計ですっ!」
後ろからぎゃんぎゃん吠えられる俺だった。
「はぁはぁ……せ、先生! 大谷先生!」
「はい? なんですか、別府くん?」
息も絶え絶えな俺に、中学生の見た目を持つ自称大人の大谷先生は笑いかけた。そんな先生の鼻をすかさず押す。
「ふぎゅっ!」
「……? おや、どういうことだ?」
「それは先生の超台詞ですっ! いきなり鼻を押すとは何事ですか!」
「回数が足りないのか?」
むぎゅむぎゅむぎゅ。
「ふきゅっ、きゅっ、きゅーっ!」
「……むぅ、ダメか。やはり本人の認証がなければ元に戻らないのか? なかなか優れた防犯機能ではないか」
「意味が分かりませんっ! 先生に説明しなさいっ!」
「ええとだな」
事細かに説明すると、先生の顔が次第にげんなりしたものへと変化していった。
「……一体誰がそんなデマを流したんですか?」
「ソースは俺の脳内」
「それはただの思い付きって言うんですっ! むしろ妄想の域に達していますっ!」
「まあそう言うな、ひょっとしたら神の悪戯か何かでコピーロボットになったかもしれないじゃないか。というわけで、えい」
「むぎゅーっ! 鼻、押さないでくだたいっ!」
「くだたい?」
「うるさいですっ! ていうかですねっ、先生は先生ですよっ!? もうちょっと、こう、敬ってください!」
「何を言うか。俺はいつだって先生を敬ってるぞ?」
言いながらも先生の鼻をむぎゅーっと押す。
「きゅふー! もーっ、先生の鼻をむぎゅむぎゅ押してながら言う台詞じゃないですっ! 尊敬のその字も感じられませんっ!」
「幼女のよの字を感じてくれ」
「よーっ!? 何を言いますか! 先生は幼女じゃないですっ! 立派な大人ですっ!」
「……そうだね、そうだといいね」
「なんで憐憫のまなざしで見られてるんですかっ!?」
「……ふむ、鼻じゃないのか? 別の箇所を押してみるか」
「な、なんで先生の胸を見てるんですか?」
「この布地の奥に、スイッチがふたつあります」
「スイッチじゃないですっ! 絶対、絶対押しちゃダメです、ダメですっ!」
「じゃあどこを押せと言うのだ!?」
「逆切れですよ!?」
「ええい、もうこうなったらここを押してやる!」
「ふぎゃーっ! ……へ?」
先生のほっぺをふにふに押す。いやまあ流石に胸はアレですよ。職員室だから電話あるし。通報されちゃうし。
「あ、あの、別府くん。……あの、あの?」
「ほう、ここはあのあのスイッチか。変なスイッチ」
「変とは何ですか! ていうかそんなスイッチじゃないです! ふにふにされてびっくりしただけですっ!」
「つまり、びっくりスイッチなのだな?」(ふにふに)
「違いますっ! ……あ、あの、別府くん」
「うん?」(ふにふに)
「……あ、あのですね。……ふにふに押すだけじゃなくて、さすさすとかしてもいーですよ?」
「…………」
「ちちちち違いますよ!? 別に気持ちいーとか嬉しーとかじゃないですよ!? 何を言うですか! まったくもう、先生びっくりです!」
何も言った覚えはない。が、その提案には何ら反対する理由はない。
「先生のほっぺはやーらかいな」(さすさす)
「あっ……う、うー」
「唸るな」
「うなってませんっ! ……て、ていうかですね、別府くんは優しい顔禁止ですっ!」
「してねえ」
「いーえ、しましたっ! なんかもーくらくらーってなっちゃう顔です! ダメです、禁止ですっ! 先生は大人なのでちっとも全然利きませんが、普通の人はくらくらーってなります!」
「…………」
「な、なんですかその目は。ほ、本当ですよ? 先生はすっごく大人なので平気なのですよ? 一般論を言ってるだけで、先生がどうこうという話ではありませんよ?」
「……ふう。ええと、先生」
「は、はい。なんですか?」
「鼻とほっぺ、触られるのどっちが好き?」
「ほっぺー♪ ……ちちちち違いますっ! 好きとか意味わかんないですよっ!?」
「正直な先生にご褒美ー」
「う、うー……違うって言ってますのにぃ……」
先生のほっぺを両手で包み込むようにさする。先生は困ったような、それでいてちょっと嬉しそうな顔をしながら俺を見ていた。
「それでだな、先生」
「う? なんですか?」
「もう放課後だけど、まだ職員室には他の先生が残ってることに気づいてるか」
「う? ……うーっ!?」
先生は視線だけで周囲をきょろきょろ見た。すると、顔が赤くなったり青くなったりするので大変愉快。
「べべべべ別府くん、別府くん、別府くん!」
「大丈夫だ、俺はここにいるぞ」
「そんな心配ちっとも全然してませんっ! て、手を離してくだたいっ! み、見てます、みんな見てますよ!」
「それなんだが……実は、突然手が痺れて動かないんだ」
「信憑性ぜろの発言が出ましたよ!? なぜなら今こうしている瞬間も先生のほっぺをさすさすしているから!」
「ははははは。先生かわいー」(ぐにー)
「うー! ほ、ほっぺ引っ張らないでくださいっ!」
半泣きで困る先生だった。
結局、先生はコピーロボットではなく、ただの人間だということが分かった。あと、思う存分ほっぺをふにふにできたので個人的には大変満足。また次もしよう。
「超お断りですっ! ていうかなんで先生の机で感想書いてるんですか!?」
「次は先生の小さなおっぱいをいじくりたいので頑張る……と」
「MAXでお断りですっ! ていうか小さいは余計ですっ!」
後ろからぎゃんぎゃん吠えられる俺だった。