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2024年11月21日
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【暇つぶしに学校へ遊びに来たら】

2014年12月27日
 年の瀬ということで、師走の名の通り師も走りまわっているこの時。
「だというのにちっとも走り回りやがらねえこの師! どういうことだコンチクショウ!」グニーッ
「学校が休みなのにわざわざ来てほっぺを引っ張る極悪生徒を誰か逮捕してくだたいっ! あうーっ!」
 ゲームするのも飽きたので学校まで来てちっこい教師こと大谷先生のほっぺを引っ張る。
「くだたい?」グニグニ
「ほっぺを引っ張られてるからちゃんと言えないだけですっ! 手を離してくださいっ!」
「では屏風から虎を出してください」
「今はちっとも一休さんは関係ないですっ!」
「それはどうかな?」
「いーから手を離すのですっ!」ムキーッ
 先生の中の猿力が膨れ上がったので、素直に手を離す俺は聖人認定されてもおかしくないくらい偉いので誰か一億円くらい寄越せ。
「うー……それで、どしたのですか? 宿題でわからないところでもあったのですか? あっ……わざわざ先生に聞きに来たのですか!? それ、すっごく先生っぽい!」キラキラ
「宿題……?」
「初めて聞く単語みたいな反応!?」
「まあ俺には関係ないだろ。それより先生、暇だし遊ぼうよ」
「超関係ありますよ!? むしろ当事者ですよっ! そして先生は忙しいので遊びませんっ!」
「えー? 折角冬休み初日に徹夜して宿題全部片付けてスッキリした俺を先生は放置すると言うのか」
「意外と優秀な生徒だった! そして宿題ってものすごく知ってましたよ!? また先生を騙したんですかっ!?」
「先生に嘘をついたことなんて一度もないっ」キリッ
「なんでそんな真っ直ぐな目で嘘をつけるんですか……?」
 悲しそうな顔をしてたので頭をなでてあげました。
「うー……。宿題を片付けたのは偉いですが、それはそれとして先生は仕事があるのです。邪魔しちゃダメですよ?」
「でも、職員室に入る前にしばらく観察してたけど、椅子に座ったままクルクル回ってたよ」
「うぐっ! ……み、見てたのですか?」
「うぐぅって言った」
「言ってませんっ! そ、それより、質問に答えてくださいっ!」
「うぐぅって言った」
「もー言ったことでいいですからっ! 質問に答えるのですっ!」
「キッチンミトンでたい焼き食え、たい焼き。……そういやあれ何年前のだ?」
「わけのわからないことを言ってないで、質問にーっ!」
 なんか必死になってる様が面白かったので指さして笑ったら大変に怒られた。
「自分の担任教師を指さして笑うって頭おかしいのですっ!」プンプン
「あとで思い出し笑いにすればよかった」
「それはそれで不愉快なのですっ!」
「この子供は面倒臭いなあ」
「子供&めんどくさい!?」
「いや、この衣は粘土臭いなあと言った」
「今日も別府くんは無茶を通しますっ!」
「いや、急に以前行ったそば屋で食った天ぷらの味を捏造したくなって」
「ほら! 辻褄合わせるために捏造になっちゃってますよ!」
「困ったね」
「ちっとも思ってませんっ! もーっ! そろそろ質問に答えるのですっ! 先生の暇つぶし見てたのですかっ!?」
「自分で言っちゃってるじゃん。一部始終見てましたよ」
「うぐぐ……どしてそういう見てほしくない瞬間だけ見ちゃうのですか!? たまたま、ちょこっとだけ、時間が空いたし、他に誰もいなかったので暇を潰してたのですよ? いつもぼーっとしてるんじゃないですよ?」
「分かってる……俺は全部わかってるよ」ウンウン
「あーっ!? それはちっとも分かってない顔ですっ! なぜならすっごく優しい顔でうなずいてるから! そういう反応は逆に失礼ですよ、別府くんっ!」
「ふむ、では……俺は全部わかってるよ」クワッ
「ひっ!」ビクッ
「どうした、先生?」クワッ
「こ、怖……くはないですけど! なんでそーゆー顔をするですかっ!」ブルブル
「優しい顔はダメと聞いたので」
「だからってそーゆー顔は怖がる人もいるかもしんないのでやんない方がいいと思うのですっ! いえ、先生はちっとも怖くないですがっ!」ブルブル
「阿吽像をいめぇじして頂けると幸いです」カッ
「ぴゃあ!? また変わった!?」
「ぴゃあって言った。先生は今日も萌えキャラだなあ」ナデナデ
「怖い顔のまま頭なでなでしないでくだたいっ!」ウルウル
 嗜虐心が満たされたので怖い顔を解除する。つか、変に強張らせて顔が痛え。
「うー……休みの日でも別府くんはいじわるです。あと、先生は萌えキャラとかじゃないです。萌えとか先生とはちっとも関係ない単語なのです」
「ふむ。そこまで言うなら萌えキャラではなくHENTAIキャラにするか」
「変態? 先生はそんな趣味ないですよ?」
「いや、ローマ字でHENTAIと書くんだ。また日本語の変態とは違う意味合いなんだ。家に帰ったら調べてみてくれ」
「はい……?」
「よし、そろそろ帰るか。今日は楽しかったよ、大谷先生。またな」バイバイ
「え、あ、はい。さよならです、別府くん。気をつけて帰るんですよ? 寒いですからちゃんと上着の前を閉めなくちゃダメですよ?」バイバイ
「はいはい」

 ──大谷家、夜──
「はぁ……まったく、別府くんには困ったものです。冬休みだのにわざわざ学校に来るなんて、どれだけ暇なんですか。……それとも」
「あ、あはは、ないない、ないです、ないですよ///。そ、そいえば何か言ってましたね、えーと……HENTAI、でしたっけ?」
「なんでしょうね。ちょこっと調べてみましょー」カチカチ
「……ひっ!」

 ──別府家──
 自室で存分にほげーとしてたら携帯が鳴った。果たして大谷先生だ。そろそろだと思っていた。
『別府くん別府くん別府くん! どーゆーことですかっ!? パソコンで調べたらなんかえっちな漫画がいっぱい! いっぱい!』
「トラップ」
『先生を罠にかけないでくださいっ!』
「わはは。先生は愉快だなあ」
『こっちはちっとも愉快じゃないですっ! 画面見ないように右上の×押そうと必死ですっ! まったくもうっ! 別府くんはっ!』プンスカ
「おお、こちらまで怒りが届いてきそうだ。怒り……うーん、イカリングが食べたくなった。先生、買ってきて」
『プンプンしてる相手をパシリ扱い!? さらに言うならこっちは先生なのですよ!? イカリングってどこに売ってるんですか!?』
「買うな買うな。冗談だ。イカリングとは言わんが、また今回のお詫びに何かおごるよ」
『そ、そんなの結構です。先生と生徒がおごったりおごられたりするのはダメなのです』
「パフェとかどうだ?」
『行きます』(即答)
「…………」
『……し、仕方ないじゃないですか。パフェには勝てませんっ!』
「クレープとどっちが強い?」
『な、なんて名勝負……!』
「先生は愉快だなあ」
『う、う~……///』
「わはは。んじゃまた明日ね。その時に一緒に食おうな。都合悪かったら連絡くれな」
『え、あ、はい』
 色々考えさせる前に通話を切る。
「……っし。デートの約束成功。やったね」ルンルン
 調子に乗って小躍りしたら本棚の角の野郎が俺の足の小指にクリティカルヒットしたので調子に乗るべきではないなあと思った。

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【先生に甘食を食べさせたら】

2014年07月18日
 登校中、ふとコンビニに立ち寄ったら甘食なる品を発見した。
「甘食……ふむ」
 とあることを思いついた俺は、にやけながらレジまでその商品を持っていったらバイトのお姉さんの顔があからさまに引きつったので申し訳ないと思った。
 そんなわけで学校。鞄の中に入れたブツに思いを馳せながら、時が過ぎるのを待つ。
 待った。待ちに待った。待ちに待った昼食の時間だ。俺は鞄を持つと、脇目も振らず目的の人物の元へ走った。
「あーっ! こらっ、廊下を走っちゃダメですよ? 先生、めってしますよ? せーのーっ……めっ!」
 果たして、目的の人物と遭遇した。ちっこい身体に無限の勇気、僕らの大谷先生だ。わかりやすく言うと合法ロリ。
「おっす、先生」ナデナデ
「先生への対応ではないですっ! まず挨拶が違いますっ! おはよーございますって言うのですっ! あと手! これが一番の問題ですっ! なでなでなど目上の人物への対応として論外中の論外ですっ!」
「じゃあ次からおはようございますって言う」
「そうです。それでいいのです。……あんまり素直だと、逆に不安になりますね……」
 先生は俺をあまりまともな生徒だと思っていないようだ。
「昼でも夜でもおはようございますと言い続け、そのため自分がまるで業界人になったかのような錯覚を覚え、それでもおはようございます生成装置として生きていくうち、とうとう自己暗示が名人の域まで達し、その力で実際に業界人になってしまい、先生をモデルにAVを撮ってしま……あっ、先生だと発禁で発売中止になっちゃうかな?」
「今日も無茶な言いがかりをつけますねっ、別府くんはっ! あと、先生は超大人なのでえっちなビデオに出ても発禁とかになんないですっ!」
「いいのっ! やった、言質は取った! 今度個人用に撮ーろおっと! やったぜ合法ロリ!」
「よ、よくないですよくないです、とっても困りますっ! あと合法ロリってなんですかっ! 先生はロリとかじゃないですっ! 大人ですっ、ちょーないすばでーですっ!」ワタワタ
「いいや、そんなことはないよ。……現実を見ないと、先生。イカ腹だよ」ナデナデ
「イカ腹!? ああもうっ、今日も別府くんのいじわるは名人の域まで達してますねっ! 別府くんのいじわる虫っ!」
「虫……?」
「ふーっ、ふーっ……。それで、何の用ですか? いじわるをしにきたのですか?」
「それも悪くはないが、今日は別件だ」
 そう言いながら、鞄の中から例のブツを出す。
「なんですか、これ?」
「甘食。食え」
「食え……って、先生が?」
「大丈夫。何も仕込んでない」
「そんなの言われたら余計に不安になりますよぅ……」
「大丈夫。存分に仕込んだ」
「だからってそれじゃあ誰も食べませんよ。……ふふふ、別府くんって案外頭悪いんですね?」
「後で超犯す」
「ひぃ!? せ、先生ですよ!? 先生で、ここは学校ですよ!?」
「萌えるシチュエーションだね!」(イイネ!)
「良くないです良くないですっ! なにがイイネですかっ! 今日も別府くんは頭おかしーですっ!」
「頭が正常な奴と、頭がおかしい奴……果たしてどちらが先生を襲う率が高いか、聡明な先生ならわかると思いますがねェ……?」
「……べ、別府くんは今日もとっても真面目でいーこですねっ♪ で、ですから、先生を襲うとかナシですよ? ね? ねっ!?」ブルブル
 小動物みたいに震えだしたので、この辺にしとく。充分楽しんだし。
「では、この甘食を食べたらナシにしてやろう」スッ
「ほ、ほんとーですか? 嘘とかだったら怒りますよ? 先生の怒りはとっても怖いですよ? ぷんぷんってなりますよ?」
 恐怖の要素が全くと言っていいほど見えないが、先生なりの怒りの表現なので、乗っかってやろう。
「ひ……ひぃぃぃぃ!? た……助けっ、誰か助けてくれェ!」ガクガクガク
「怯えすぎですっ!」
 ちょっとやりすぎた。さじ加減が難しい。
「……でも、ちゃんと怖がられたの初めてかもかも。……えへー♪」
 そしてなんかこっそり喜んでる。変な人。
「こ、こほん! ぷんぷんってされたくなかったら、先生を襲うのはダメですからね?」
「あーもういいからちゃっちゃと食え」
「もがっ!?」
 茶番は大好きだがいい加減疲れてきたので先生の口に甘食を突っ込む。
「もぎゅ、い、いきなり何を……あ、おいひー」
「飲み物もあるぞ。牛乳といちご牛乳、どっちがいい?」
「いち……っ! ……っ、……っ! ……ぎ、牛乳で、お、お願いします……」
 先生内部で壮絶な葛藤があったのか、ものすごい懊悩としながら、最後に肩を落として牛乳を選択した。
「先生は子供なんだからいちご飲んどけ、いちご」ポイッ
「子供じゃないですっ! 何回言ったら別府くんは分かるのですかっ! ……ま、まー、いちごの方もらっちゃったから、今回だけは特別にこっち飲んであげますけど。で、でも特別なんですからね! 普段は牛乳飲んでるんですからねっ!? 甘くない方をっ!」
「なんで牛乳でツンデレやってんだよ……」
「ごくごく……はぁぁ、おいひい……♪」
 俺の話なんてちっとも聞かずに、先生はご満悦でいちご牛乳を飲んでた。
「それで、だ。先生、甘食食べて」
「ん? はい」モグモグ
「両手で甘食持って」
「はい?」
「で、上目遣いで」
「……?」キョト
「……よし。思った通り幼女感が高い! 流石先生、そこらの小学生より可愛いぞ! できれば袖の余った長袖の服の方が萌えるが、これだけでも充分にオカズになる!」
「はああ!? 何を言うですか! 先生は20歳を超えてるですよ!? ありえないですっ! 絶対にそこらの小学生の方が可愛いに決まってます! それに、どちらかと言えば先生は綺麗系ですから!」シャラーン
「何言ってんだ馬鹿。シャラーンって何だ」ペチペチ
「馬鹿!? 言うに事欠いて先生に馬鹿!? 明らかに別府くんより賢いのに!? なぜなら先生だから! いっぱい勉強したから! 大学とかで! あと、頭ぺちぺちしないでくださいっ!」
「超うるせえ! このままではあまりのうるささに心神喪失状態に陥って先生を犯しそう! そしてその場合心神喪失なので無罪もしくは減刑&少年法で俺の未来は明るいまま!」
「明らかに計画犯罪ですっ! 録音です、録音しますっ! ろくおん……えーっと、……どしたらいいのかな」
 先生はスマホを持ったまま、困ったように液晶を見つめていた。
「…………」
 そして、視線をこちらに向ける。
「はぁ……貸してみ」
「む、むずかしーので仕方ないですよね? ねっ?」
「簡単です」
「仕方ないことなのですっ!」
 しょうがないので先生に出鱈目を吹き込む俺だった。後でばれて大変叱られた。

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【ツンデレから幼女分を補給したら】

2013年12月15日
「幼女成分が足りなくなったので補給しに来ました」ナデナデ
「それでなんで先生のところへ来るですかっ!? 先生は幼女じゃないです、幼女じゃないです! 立派な大人です! せくしーです! うっふーん!」
 廊下をトテトテ歩いてた小学生(大谷先生)を捕獲してなでたら、怒られた。……怒られた、か?
「それはともかく、二回言うな。カナ坊か」
「か、金棒?」
「そう、金棒」
 イントネーションから何か勘違いしていることを感じ取ったが、そのまま推し進める。
「せ、先生は幼女だけじゃなく、金棒と思われているのですか? もはや無機物なのですか? ……あ、ロボットって思われてるのかな。が、がしゃーんがしゃーん?」
 その結果、先生がオーパーツ化してしまった。奇怪なロボットダンスもどきを見せつけられる身になれ。
「かくし芸はともかく、幼女分が足りないのでもう少しなでさせろ」ナデナデ
「かくし芸のつもりなんてないですっ! というかですね、別府くんっ! 先生をなでても幼女分は補充されませんよ! そもそも幼女分ってなんですか!?」
「こういうぷにぷにした幼女を触ると補給される成分」ナデナデ
「また幼女と!? 先生はものすっごく大人だと何度言ったら! ええ、先生は大人なのでぷにぷにとかいう単語なんてちっとも似合わないのです! 肌だってガサガサしてるのです、お肌の曲がり角なのですっ!」
「ほう、では触って確かめてみよう」
「ふぇ?」
 先生のほっぺを両手で包み込み、ゆっくりとさすったり押し潰したりする。……全身全霊でぷっにぷにだ。潤いも尋常ではない。ぷりっぷりでつやつやだ。
「んぅ、んー、はびゅ。べ、別府くん、先生のほっぺをふにふにしちゃダメです、ダメなのですよ?」
「……先生、太鼓判を押そう。先生は幼女だ!」
「がーん!? 先生は大人です、先生は大人です!」
「だから、二回言うなっての。カナ坊か」
「また金棒ですかっ!? 幼女なのかロボットなのかはっきりしてほしいですっ!」
「その場合どちらでも先生の望む大人には成り得ないのだが」
「う? ……あーっ、本当ですっ! どしてそういう意地悪をするですかっ!?」
「今回は俺のせいじゃないだろ……」
 先生の頭をなでたりほっぺをふにふにできたので、幼女分の補給が完了した。大満足。
「よし。もう行っていいぞ」
「なんか別府くんが格上みたいなのが非常に不愉快なので行きませんっ! 先生はここにずーっといます!」
「どうしてもと言うなら止めはしないが、職務を放棄するのは大人としてどうかと思うぞ」
「い、意気込みの話ですもん。実際は授業しますもん。先生は大人ですからっ!」ドヤァ
「うるせぇ」グリグリ
「あううーっ!? つ、つむじを指でぐりぐりしてますねっ!? 見えないから分からないと思うでしょうが、先生は大人なので完全に理解していますっ!」
「はいはい」ポムポム
「うぐぐ……今度は頭をぽんぽんと、明らかに子供扱いです……! 次の授業はラッキーにも別府くんの教室です、ものすごく当ててやります!」
「先生が俺をえこひいきする」
「逆です、いじめてるんですっ!」
「なんだ。よく先生の授業では当てられるし、俺を率先して教えてくれてるんだと思ってた」
「うぐぐ……なんというポジティブシンキングですか。ちょっとはくじけてくだたいっ!」
「お、くだたいが出た。やーい幼女」ナデナデ
「むがーっ!」キーンコーンカーンコーン
「お、チャイム。よし先生、教室戻ろうか」ナデナデ
「最後までなでなでするとは、最早あっぱれです! 通知表を楽しみにしてくださいっ!」
「『今学期はいっぱいなでてくれて嬉しかったです。次学期もいっぱいなでなでしてくただいっ』と書かれているのだな?」
「そんなの書きませんもん! 別府くんのばか!」ポカポカ
「わはは。先生は俺相手でも面倒臭がらずに全力で相手してくれるので、非常に楽しいですね」ナデナデ
「こっちは必死なのに!? 別府くんのばか、ばーか!」ポカポカ
 涙目でポカスカしてくる担任教師を連れて教室に戻る俺だった。

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【くぱぁの日】

2012年09月10日
「俺は知らなかったのだけど」
「はぁ」
 とある放課後、俺は大谷先生と一緒に補習という名のお茶会をしていた。そんな最中、俺はあることを切り出した。
「9月8日はくぱぁの日だったらしいね」
「くぱぁ? なんですかそれは?」
 イノセントな感じの瞳に魅入られたので、事細かに説明してあげる。
「~~~~~!!!」
 すると、顔を真っ赤にしながら俺をぺしぺし叩く人が出来上がります。素敵ね。
「な、な、な、な、何を教えてるですか!? 神聖なる学び舎で、聖職者に! にぃー!」
「聞かれたので」
「聞かれても! そーゆーことはある程度誤魔化したりするものなのですよ! 普通は!」
「ちなみにくぱぁとは、先生のそこを二本の指でこう、くぱぁと」
「もう聞きました!!!!!」
 先生は両手で耳を塞ぎ、イヤイヤと首を振った。興奮して顔が赤く、しかも涙目なので、俺の劣情をまあそそることそそること。
「ということで、先生」
「聞こえませんっ! 何も聞こえないのですっ!!」
「先生」
 聞こえないらしいので、純然たる善意からパワーオブゴリラ(訳:ゴリラ力)で先生の手を耳から引き剥がす。純然たる善意で。
「嫌なのですっ!!! 断固拒否するのですっ!!! そーゆーことは結婚してからなのですっ!!!」
「くぱぁをしてくれませんか」
「必死で拒否しているこの姿が見えないのですかっ!!?」
 半泣きで怒る先生は可愛いなあ。

 で。
「絶対、ぜーったい、絶対の絶対の絶対にお断りなのですっ! 断固拒否するのですっ! 今回ばかりは折れる気配がゼロなのですっ!!!」
 こんなに頼み込んでいるのに、先生ときたら一向にくぱぁをしてくれない。これでも聖職者なのか。ふんとにもう。
「でもまぁ、頼み込んだら“くぱぁ”してくれる聖職者がいても嫌だよな。わはは」
「あーっ!? ほらほら、やっぱり別府くんもおかしいと思ってるんじゃないですかっ! 分かったら一刻も早く先生にくぱぁをやらそうとするのはやめてくださいっ!」
「先生の口からくぱぁって聞こえると興奮するな。よし、録音するのでもっかい言って」
「御免被るのですっ!!!」
「あぁん」
 いそいそとケータイを取り出したのに、叩き落された。わたわたしながら拾う。
「わたわたしないでくださいっ! 先生は怒っているのですっ!」
「……ん、よし。壊れてないみたいだな。よかったよかった」
「むー……」
 口ではむーと言って不満を装っているが、壊れていないと聞いてこっそり安心しているのを俺は見逃していない。善人め!
「まあ、そこまで嫌がるなら、今回は諦めるよ。代わりにちゅーでいいや。ああ残念残念」
「そっちも当然お断りなのですっ」
「えええええーっ!? 超さりげなくしたのに!? いける雰囲気だと思ったのですが!」
「いけるわけないのですっ! 今日も別府くんは頭おかしいのですっ!」
「担任教師にくぱぁしてくれって頼んでいる時点で分かってるだろうが、たわけ!」
「なんで先生が怒られてるのでしょうか……」
 何やらショックを受けてる様子。
「分かったら俺にちゅーして今日のところは帰ろうか」
「ちゅーはお断りしますが、帰るのは賛成です」
「あ、気づいてないかもしれませんが、ちゅーとはキス、口づけ、接吻のことだから安心して行なってください」
「分かっているのです! 分かっているから断っているのです!」
「ディープの方でいいから」
「悪化してますっ!」
「ままならないなあ」
「超こっちの台詞なのですっ!」
 ということで、くぱぁはおろかちゅーまでしてくれなかった。なんて酷い先生なんだ。

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【ツンデレに言いがかりをつけたら】

2012年09月08日
 最近の暑さは全て大谷先生の責任と断定。
「なので粛々と罰を受けろ」
「言いがかりにしても酷すぎですっ! どーゆーことですかっ!?」
 なんか小学生みたいのが怒ってきた。ので、頭をなでてみた。
「人が怒ってる最中に頭をなでてはいけませんっ!」
「どうして?」
「なんかぷんぷんってのがどっか行っちゃうからです! ほらほら、言ってるそばからもう! もー! ……もー」
 先生はちょっと拗ねたような顔をしながら、俺の腕をきゅっと握った。
「なんスか」
「べ、別になんでもないですよ! もちょっとなでてくれたらなー、なんて思ってもいませんから!」
「奇遇だな、俺も丁度なでたくないと思っていたところだ」
「ほら! ほーら! またいつもの別府くんの天邪鬼が出ましたよ! 今日も悪辣で不愉快です!」
「この子供はうるさいなあ。まあ、子供というのはうるさいものだから仕方ないか」
「そしてまた例によって例のごとく先生を子供扱い! だけどちっとも慣れません! いつまで経っても怒りが治まりません! だって先生は大人ですから!」
「先生、飴食べる?」
「わーい! 食べます!」
 大人が飴で喜ぶかなあ、といじめようと思ったのだが、満面の笑みでくださいという感じの手を出されたので、素直にミルクキャンディーを渡す。
「ころころころ……はぅぅ! とってもおいひいです! ありがとーございます、別府くん!」
「いやなに、変態紳士なので女子供には優しくあれと心掛けているのでね」
「……変態、というところと、子供、というところに引っかかりはありますが、飴をもらったので文句は言わないでおきます」
「おお、成長したな。偉いぞ先生!」(なでなで)
「えへへへー」
 先生は稚児のようにニコニコ笑った。自分で言っておいてなんだが、本当に子供みたいだな。とても20歳を超えてるとは思えない。
「何やら失礼なことを想像されてる気がします……」
「いやいや、ただ単に俺の脳内で先生をひんむいて酷いことしているだけだ」
「仮にそうだとしても、それを臆面もなく当の本人に伝えるその度胸には驚嘆します!」
「先生には、先生だけには、嘘偽りなく接したいんだ」
 先生の小さな手を取り、ぎゅっと握り締める。真摯に目を見つめることも忘れない。
「べ、別府くん……せ、先生は、先生は……!」
「そう言ってるそばから嘘ついてたけどな」
「へ?」
 前述のひん剥き関連のことが嘘と伝える。
「もー! 別府くんはー! 今日もー! もぉー!」
「わはは」
「うううー! 先生を騙してはいけません!」
「わかった、次に先生と会うまでは覚えておく。そして会った瞬間に忘れるので、意味無いな。わはは」
「うー! うー!」
 先生は涙目で俺をぽかぽか叩いた。なんて可愛い先生なんだ。卒業したら結婚しーよおっと。
「まあそれはそれとして、熱気の罰を受けてもらおうか」
「はぅぅ……まだそれ続いてたんですか?」
「うんざりした顔をするない。罰を受けたくないのであれば、俺を涼しくさせることだな」
「じゃ、冷房点けますねー?」
 先生は手元のリモコンを操作し、エアコンをつけた。途端、そよそよと涼しい冷気がエアコンから吐き出されるではないか。
「お?」
「暑いなら最初から言ってくれればよかったのに。私が苦手だからつけてなかっただけなんですよ?」
「だって、担任教師の家にお呼ばれなんかされちゃって、あまりのことに気が動転してそれどころじゃなかったんだ」
「どっ、動転って、動転って! 呼び出ししたのは、そのっ、学校で呼び出してもちっとも来ないからですっ! だからしょーがなしに、家に呼んだのですよ!?」
「家に呼んでも来ない可能性の方が高いだろうに」
「……でも、来てくれましたよ?」
 先生は俺の服をちょこんと握り、にこーっと笑った。
「分かった、結婚しよう」
「何かが別府くんの琴線に触れちゃったご様子ですよ!?」
 慌ててる先生を見て、冷静さを取り戻す。何を突然求婚してるのだ俺は。
「まあ結婚は卒業後にするとして、今は少し涼むか」
「えええーっ!?」
「先生、超うるさい」
「け、結婚!? え、本気なのですかっ!? でででもっ、卒業しちゃったら教え子と教師って関係はなくなるから、……いいの?」
「いや、よくない」
「別府くんから言い出したことなのにーっ!?」
「今日も先生は打てば響くので大層愉快。わはは」
「ううう……例の意地悪でしたよ。ぐっすん、ですよ。はぅー」
「はぅーって言った」
「言ってません!」
「言った」
「言いません! 先生はそんな二次元の萌えキャラじゃないので、はぅーとか言わないのです!」
「言った」(なでなで)
「は、はぅぅ……」
「ほれみろ」
「い、今のは、はぅぅです! はぅーではないのです! だからセーフなのです! ……よ?」
 先生はちょこんと小首をかしげて、こちらの様子を伺っている。
「うむ!」
「ひゃああああ!?」
 大変に可愛かったので、気がつくと抱っこして頬ずりしていた。
「あ、いかん。このままでは性犯罪を犯してしまう。……でも、大谷先生だし、いいか!」
「ちっとも全然よくないのですっ! このままでは先生の初めてが悲しい思い出に塗り固められてしまうのですっ! もっと優しくて素敵で甘くてふわふわでなでなでしてくれる感じの思い出がいいのですっ!」
「先生、まだ処女なのな」
「はぅぅっ!? 酷いです別府くん、なんでそーゆーふーに誘導尋問するですかっ!? 先生の最重要機密がダダ漏れですよっ!?」
「わはは。さて、もう少々涼むか」
 先生をベッドにぽすりと置き、エアコンの前に陣取る。……衝動的とはいえ、先生を抱きしめたりしたせいで、ドキドキしちゃったよ。ええい、大谷先生のくせに生意気な。
「……は、はぅー」
 背後から萌えキャラの声が聞こえる。どうやらこっちの様子を伺っているようだ。
「は、はぅー。はぅー。……はぅ?」
「……ああもう。はぅはぅうるせえ!」(なでなでなで)
「言いながらなでてますよ?」
「もう衝動を止めようとも思わないんだ。自業自得だ、諦めろ」(なでなで)
「はぅー♪」
 そんな感じで、数分間先生をなでなでした。至福。
「はぁぁ……♪ ……えっ、いや、違うのですよ? 別に先生、ちっとも嬉しくなかったのですよ?」
「聞いてねえ」
「はぅぅ……。……? あの、ところで、何をしているのですか?」
「いや、ようやく衝動が治まったので、折角先生の家にいることだし、先生の私物を漁っているところだ」
「大変にマナー違反行為ですよっ!? 今すぐやめないと先生泣いちゃいます!」
 泣く子と地頭と先生には勝てぬので手を止める。
「ううう……漁るのは酷いですが、すぐにやめてくれたので、別府くんは少しいい子です。なでなでしてあげましょうか?」
「是非お願いします」
 先生に届くよう、少しだけ屈む。
「うー……もうちょっと屈んでください」
「先生が一生懸命背伸びして俺の頭をなでる光景が見たいから、お断りします」
「いい子度がまた下がりました。……まあいいです。なでなで、なでなで」
 先生はぐーっと背伸びして俺の頭をなでた。だが、背伸びに慣れているのか、あまり辛そうな様子は見られない。これでは俺の歪んだ劣情が解消できないではないか。
「こうなっては先生の私物である『なりきり☆ 魔法少女セット』を強制的に装着させ、魔女っ子大谷先生を鑑賞するしかあるまい」
「なんで先生の秘密の趣味を知ってるんですかーっ!?」
「あと、DVDを全巻揃えていることも知ってます」
「大人買い情報まで!? 先生の社会的地位がピンチですっ!」
「大丈夫だよ、先生。そんなの、最初から超々低空飛行だよ」
 先生の手を握り、優しく微笑みながら伝える。
「雰囲気だけが先生に優しいですっ! 伝えられた情報はシベリアもかくやと思えるほど寒いですっ!」
「シベリア超特急」
「言いたいだけのことは言わなくていいですっ!」
「俺もそうしたいんだけどなあ。ところで先生」
「なんですかっ! まだいじめないと気が済みませんか!? あとちょっとで先生泣きますよ!? ちゃんと泣き止ませてくださいよ!?」
「いや、そんな大人が裸足で逃げ出すような情けないこと伝えられても困るのだけど、そんなことより」
「ダムが決壊しましたっ! 泣きます、もー泣きます! ごーよんさんにーいち!」
「先生の手って、小さくて可愛いな」
 ぴたり、と先生が停止した。
「先生?」
 かと思ったら、小刻みに震えているではないか。まさか……自爆!?
「……そ、そゆことを、先生に言ってはいけないです。……困ってしまいます」
 先生はほのかに頬を染め、自身の言葉通り、困ったように視線をさまよわせていた。
「いや、可愛いのは手の話で、先生が可愛いかどうかはまた別の話だ」
「また! また意地悪ですよ! 今回に限ってはよかったのですが!」
「そして先生自体も可愛いので、結果先生は全部可愛い。わはは」(なでなで)
「珍しい種類の意地悪です! きっと先生を困らせるのが主目的なのです! 別府くんのいじわる!」
「ああ可愛い。先生、ちゅーしていい? えーっと、ほら、熱気の罰という名目で」
「絶対にダメなのですっ!」
 真っ赤な顔でべーってする先生は可愛いなあ。

「……でも、だからって、どしてこんなことをするですか」
「ちゅーしてくれないし、これくらいのご褒美はあっても構わんだろうという自己判断だ」
 先生を膝にのせ、後ろから頭をなでているのだけど、どうも嫌がられている様子。
「ちっともよくないですっ! 別府くんは、今日は叱られに来たのですよ! どしてご褒美をあげなくちゃいけないのですかっ!」
「こんな暑い中、先生の呼び出しを無視せずに来たのだ、それだけで十分ご褒美に値するとは思わんかね?」
「思わないのですー! そもそも、別府くんが学校で呼び出しに答えていたら呼ばなくても済んだのですっ! どして来なかったのですか!?」
「暑いから」
「今日だって暑いのにー!?」
「あと、休みの日に先生に会えるのはラッキーなので」
「……そ、そゆことを言うのはずるいです。……困ってしまいますよ?」
「存分に困るがいい、若人よ。青春は悩むためにあるのだ!」
「先生のほうが大人なのですっ! そう言ってる別府くんが青春のまっただ中にいるのです!」
「あ、なんかおっぱい揉みたくなった。いい?」
「とってもいくないのですっ! 今日も別府くんは頭おかしいのですっ! 今日こそはお説教です! そこに直りなさい!」
「任せろ!」(なでなで)
「なでなではしなくていいのですっ! なでなでは後で、なのですっ!」
「後でするのか」
「そ、そゆことに注目する必要はないのですっ!」
 そんなわけで、先生にお説教されました。あと、罰という名目でしばらくなでなでしました。
「えへへへー。罰なのでしょうがないのですよ?」
 と、嬉しそうになでられている本人が言っているが、俺にはとても罰とは思えない。

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